どうぞ、健やかに、のびのびと、笑顔で、おすごしください。
そして、どの地でも、誰もが、安全で穏やかな日々を送ることができますように。
西アジア、中央アジアにも、鳥をモチーフとする陶器がたくさんあります。中世から現在にいたるまで。写真もいろいろあり、選べない。なので深く考えず、バババッ!っとセレクトしました。日本の陶磁器やテキスタイルも折り込みながら、鳥たちを少々コラージュしてみました。(詳細なキャプションなしにて、失礼します)






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今年は、動き始めたい。前を向いて、深呼吸して、歩いて行きたいです。人や景色や美しいものと、たくさん出会いたい。get moving,, 今年もよろしくお願いいたします。
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■トークイベント「昭和の美術タイルと旧朝香宮邸」@東京都庭園美術館
庭園美術館で開催中の展覧会「アール・デコの花弁」。その関連イベントとして、タイルに焦点を当てたトークイベント「ディテールのアール・デコ 旧朝香宮邸の室内空間 〜 昭和の美術タイルと旧朝香宮邸」がおこなわれました。参加予約は、すぐに満員になったようです。リニューアルした庭園美術館の魅力はもちろんでしょうけれど、最近のタイル人気もあるのかな。
トーク内容は、タイルの定義(〜世界のタイルの歴史概略)、昭和のタイル、美術タイル、アールデコの建物にタイルが多用される理由、幾何学模様、旧朝香宮邸のタイル(玄関から便所、テラス、中庭、居間、バルコニー、ガーデンなど各所について、現在の写真と貴重な図面を見ながらの解説)と、全体を網羅しながらディテールに迫るものでした。
同館出版の本の帯、「絶品のタイル、極上の石。絢爛たる意匠を堪能せよ」。え?タイル??、、、 朝香宮邸(1933年=昭和8年竣工)、何度か行っていますが、これまではアールデコという先入観のせいか、正直、土っぽいタイルというイメージはあまり持っていませんでした。絶品?
でも、トークでタイルだけを追って拝見してみると、これは確かにすごいですね。認識あらたにしました。といっても、アールデコの文脈から、ではなく、日本のタイル、という面からです。
朝香宮邸のタイルは、日本の美術タイルの二つの名門、「泰山製陶所」(池田泰山/京都)と「山茶窯」(小森忍/瀬戸)のタイルを採用。「この2大メーカーのタイルを同時に使っている現場はここしかないのでは。それが“絶品”のワケ。タイルのすごさを実感した。職人もすごい」(講師の後藤泰男さん)。
当時の日本の美術タイル独特の重厚さ、やきもの感の強さよりも、こちらでは一片が小さなタイルを幾何学的に組み合わせたり曲線を取り入れたりして、柔らかく軽やかな印象です。そして何と言っても魅力は淡い「色」、その組合せだと感じました。
きれい。何色と言えない仄かな薄い紫、薄い青、薄い茶色、さまざまな色。揺らぐような、たゆたうような釉薬の質感。なんという魅惑でしょう。スライドでタイルの写真をずっと見せてもらっているうちに、テキスタイルを見ているような気がしてきました。日本の絣を見ているような感じ。日本の美の感性。
これだけの色のバランスを作り出せた裏には、色を綿密に指示した設計図があったようです。職人さんも大変です。すごい仕事ですね。
が、残念ながら写真がないのです。トーク日は撮影禁止(平日のみ撮影可能&この展覧会会期中だけでは?詳細はサイトをご参照ください)。また行ってきます。


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■「三田村有純漆藝展 黄金幻想」@平成記念美術館ギャラリー
三田村有純さん、江戸蒔絵赤塚派十代を継承、東京芸術大学漆芸術科教授(先日退官)、日展作家として活躍。展覧会サイトはこちら。
「自ら木を掘り、漆を塗り重ね、その上に漆で絵を描き、金を蒔いた作品」35点の展示。「風景彫刻、レリーフによる壁画、揺れる箱などが漆の概念を超えた魅力を放つ」。「参考出品として、祖父、父、三人の息子の作品も合わせて50点が並ぶこの展覧会は、漆藝を代々受け継ぎ、明治、大正、昭和、平成と発展してきた三田村家の歴史と、漆藝の未来を見せてくれることでしょう」(チラシより)。
漆、蒔絵は、土もの好きの私にとって、少し敷居の高いというか、見るのが難しい印象があったのですが、見始めると、細密な技巧、優美な美しさ、奥に感じる自然の素材感、日本の美意識などに、引き込まれるのを感じます。

平成記念美術ギャラリー、次回の展示は、九谷の作家・武腰一憲さんの「色絵シルクロード行」。「特にウズベキスタン共和国の艶やかさは九谷の色と重なり、それ以降その作風がライフワークとなりました。鮮やかなサマルカンドブルーが力強く優しく語りかけ、悠久の時間が流れる作品たちを、どうぞお楽しみください」。青に会いに行こうと思います。
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■ ”FUTURE AMBIENT feat. Benjamin Skepper and Sami Elu”@WALL&WALL
孤高の音楽家 BENJAMIN SKEPPER&自作の割り箸弦楽器「幻ピアノ」を操る唯一無二のアーティストSAMI ELUによるライブ。内容紹介はこちら。
割り箸ピアノのサミエルさんの大ファンです。戸外イベントで聴いて、一目惚れならぬ一耳惚れ?!高価なシンセサイザーとかではなく、本当に割り箸やリサイクルの素材で自作したピアノで奏でる他にない音の世界は、アコースティックの素朴な優しさとエレクトリックなコズミック感があり、私にはずっと聴いていたい音楽なのです。

*** YouTube What Does a Chopstick Piano Sound Like? ***
ベンジャミンさんも初めて聴く音の世界。「常にどこに居るのかわからないほどに、セレブのオーダーで世界中を縦横無尽に飛び回る貴族系?!音楽家」。すごいな〜。「来週はロシア。大学で人間の遺伝子を数学化した音楽をチームで研究中」と流暢な日本語で。いろんな世界があるんですね。
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■「SENSE OF MOTION あたらしい動きの展覧会」@スパイラルガーデン

写真のみです。エマニュエル・ムホーさん作品の景色、どこから見てもワクワクする色の景色。単体はシンプルな形ですが、集まって、何か自然を思わせます。スパイラルのサイトはこちら。
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超駆け足で書いてきました。がんばろう。。
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西アジア遊牧民の染織
東京国立博物館東洋館(アジアギャラリー)にて、「アジアの染織 西アジア遊牧民の染織」が展示されています(4月5日まで)。

「遊牧民研究家、松島清江氏が1960年代から1980年代にかけて現地で収集したコレクションを展示します。インド西北部からパキスタン、アフガニスタ ン、イランからトルコにかけて遊牧を営んだ部族が染め、織り、制作したハンドメイドの衣類や袋物、テント用敷物。家畜の毛をつむいで織り、あるいはフェル トにして作られた、各部族の特色ある色と文様の世界を紹介します」との内容。

「遊牧民の染織〜トライバルな毛織物」というジャンルも、装飾タイル同様、日本ではあまりメジャーではない、というか、好きな人はものすごく好きだけれどあまり知られていない、広がりが少ないジャンルではないかと思います。でも紋様や技法など、とても魅力があります。古いものは、色もいいですね。引き込まれます。
ただ展示としては、解説がややざっくりしていました。部族名や地域もなく「トルコ」とだけ表示されていたり。「敷物 赤紺緑紫地小花幾何文様刺繍縫合せ」といったタイトルは現物を見ればわかるのでは?作った人たちや特徴的な技法について知りたいです。博物館での稀な展示なので、贅沢は言えませんが!
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ベジタブル・センセーション、カドヤ・ワールド
陶芸家・角谷啓男さんの個展(六本木アクシスSavoir Vivreにて/3月1日まで)。あ、上のタイトルは私が勝手につけたものです。びっくりな野菜や花や葉っぱたちだったので。

ガラスや磁器土でできているのですが、本物より本物らしい繊細な仕事!すごいな〜。テイストがまったく違うのですが、超絶技巧の明治工芸を思い起こす面もありました。が、もっとオシャレでモダンです!

角谷先生、陶芸教室行ってなくてスイマセン。。久々に会った角谷さん、野菜たちとの日々でちょっと疲れも見えましたが、逆に内に炎が赤々と灯っているのを感じました。不肖生徒ですが、またよろしくお願いします。

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大正タイルの館 青淵文庫
日本のタイルを少しずつ見ていますが、まだまだです。とくに近代建築に使われたタイルは、行くのにモチベーションアップが必要。青淵文庫(せいえんぶんこ/渋沢資料館内/東京・王子)も、じつは大きな期待を持たずに行ったのですが、すんなりと受け止めることができました。
渋沢史料館は、近代日本経済社会の基礎を築いた渋沢栄一の思想と行動を顕彰する「渋沢青淵記念財団竜門社」の付属施設として、1982年に北区飛鳥山公園の一部に設立された博物館。旧邸内に残る大正期の2つの建物「晩香廬」と「青淵文庫」、本館があります。
ステンドグラスやタイルががあるのは青淵文庫。設計は田辺淳吉。1920(大正9)年に設計開始、1925(大正14)年竣工。完成目前の1923年に関東大震災にあい工事は一時中断。震災の経験を生かして再工事。栄一の書庫として、また接客の場としても使用されたそうです。

明治〜大正の西洋館、苦手なものもあるので心して出かけましたが、箱形の端正な佇まいに安心。そして予想以上に多用されていたタイルが、色合いも模様も組合せもテクスチャーも和な感じでスッキリ。けっこう好きだなあ。
紋様は渋沢家の家紋「丸に違い柏」に因んで柏の葉とドングリの実をデザインしたもの。石膏型成形。色は青磁釉の青緑と白、金を使用。オリジナルと修復時作成(200個ほど)が混在。けれどもあまり違和感がない。質実感あり好み。館内部にも、窓回り、柱回りなどにタイルが使われていました。

洋館建築にはとんと疎いので、この感じはなんなんだろう、他の洋館と何か違うなあ、と思いながら、置いてあった館紹介の掲載雑誌を後で読もうと写真に撮りました。で、撮ったままにしていたものを、先ほど読みました。面白かった。藤森照信さんの「タイル多芸」というシリーズの読み物のようです。(そんな連載があったんだ、、今、タイルの連載ってどこかにあるのかな??) 雑誌名は今わかりません。が、そこから引用を!(< >内はorientlibraryが補足追記)
——— 「タイル多芸4 大正期の掌品 青淵文庫と晩香廬」(藤森照信)———
<第一印象は正体不明の建築。タイルもよくわからない>
「(大学院生時代はじめて訪れたとき)、にぎやかな明治の西洋館に慣れた目には、全体を箱形とし、一部に角柱を並べるだけの外観はあまりに無口すぎるし、一歩なかに入ったときのインテリアの印象も、それまで見慣れたイギリス風フランス風などといったヨーロッパの歴史様式とも違うし、かといってアールヌーヴォー以後のモダンデザインじゃないし、正体不明、見所不詳の感を否めない」
「ステンドグラス以上のとまどいはタイルだった。箱形の単純な外観の唯一の見せ場は開口部回りにグルリと使われているタイルだが、そのタイルがどうもよくわからない。まず、色がいけない。緑色をベースとしているが、建物に緑色を使う例はきわめてまれで、なんだか落着かない。加えて、タイルの面に刻まれた装飾も、幾何学紋様のようでもあり、植物風でもあり、ステンドグラス同様もっと伸びやかにならないのか。国籍不明、デザイン原理不詳の建物、と学生の私の目には映ったのだった」

<優れたデザインだった。中国風が溶け込んでいる>
「それから20余年。明治の西洋館だけでなく、大正・昭和初期の西洋館、さらに20世紀のモダンデザイン、またモダンデザインの影響を受けた歴史様式、といったさまざまな日本の近代建築の形と思想についてその後勉強を重ね、今は、また別の目でこの建築を見ることがでいるようになり、たいへん優れたデザインであると考えるようになっている」
「まず、国籍不明の件、結論から述べると、中国風なのである。中国の感覚を取り込んだヨーロッパ系のデザイン。ステンドグラスの装飾は殷の青銅器などでおなじみのゴニョゴニョ紋様だし、そこここに竜に由来するようなモチーフも潜んでいる。ステンドグラスとタイルが一般よりずっとグリーンがかっているのも、中国の緑と朱を好む伝統とふまえているといえよう」
「中国風のデザインセンスを加えた理由は、この文庫の蔵書の性格にある。論語関連の和漢の古典籍を収蔵し、それを使って論語研究をする研究図書館というのが青淵文庫の設立目的であった。渋沢栄一は資本主義の経済活動にも論理が不可欠と確信し、その根本を孔子の教えに置こうと考えていた。こうした渋沢の思想を踏まえ、設計者は中国を感じさせるセンスを巧みに取り込んだわけである。あまりに巧みに溶かし込んでいるから、中国風はムキ出しにならず、逆に一見しただけでは国籍不明に見えてしまうのである」

<じつはヨーゼフ・ホフマンの影響を受けたデザインだ>
「外観は凹凸が少なく、アッサリと仕上げられ、ひとつの箱に化すような兆しが観察されるし、インテリアでもあれこれ付加された装飾のバックにひとつのマッスが感じられよう」
「実はこの建物のデザインは、かのヨーゼフ・ホフマン設計のモダンデザインの記念碑的作品、ストックレー邸の影響を受けているのである。設計者の田辺淳吉の自ら記した文によると、彼は大正のはじめにヨーロッパに出かけたとき、それまで習得してきた歴史様式に喰い足りないものを覚え、むしろウイーンで巻き起こっていたセセッションのデザイン運動に関心を持ち、リーダーのホフマンの仕事に強く魅せられた、という」
「ストックレー邸とのつながりにマサカと思われる読者のためにひとつ証拠を挙げるならば、外観の開口部のタイルの縁取りはどうか。初期の案だと、2階まで窓が伸び、その回りをタイルが縁取っているからもっとわかりやすかったが、こうした幾何学化したファサードをタイルで縁取って飾るというのはストックレー邸のやり方にほかならない」
<平明なうえでの装飾性というタイルの得意技を理解>
「当時の記録によるとタイルは“泰平タペストリータイル”ということになっているが、泰平は京都のタイルメーカー辻製作所のブランド名で、タペストリーというのは装飾織物を指す。建築部材というより、織物で壁面に帯状のアクセントをつけるというところにウイーンのセセッションへの共鳴が感じられよう」
「晩香廬も設計は田辺淳吉で、完成は大正6年。イギリスのチューダー様式をベースとしているが、暖炉の上部の「喜」の字の飾りに象徴されるように、そこはかとなく中国感覚が溶かし込まれている」

「しかし、チューダー様式、中国感覚の背後で、青淵文庫と同じように、設計者はインテリアをひとつのマッスとしてとらえているし、壁面の処理も、暖炉回りの壁で明らかなようにより平明にしたうえで、タイルと木部によって装飾性を生み出そうとしている」
「平明なうえでの装飾性。イスラム建築の装飾タイルを引くまでもなく、たしかにこれはタイルの得意技のひとつといわなければならない」
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さらに、こういう見方も。(同じく雑誌を撮影したものより)。今度はオットー・ワーグナー。
「青淵文庫の設計は田辺淳吉。オーストラリアの建築家でウイーン分離派のオットー・ワーグナーに傾倒し、青淵文庫もワーグナーの代表作「郵便貯金局」に似ている部分が多いと言われている」「窓の枠と柱のタイル、そして窓上部のステンドグラスには渋沢家の家紋にちなんだ柏の模様が施されている。細部へのこだわりは田辺がワーグナーから影響を受けていることを表しているのではないだろうか」(月間建築仕上技術/2008年9月号)
え、、論語、孔子、中国、資本主義、ウイーン分離派、、
そんなにいろいろな要素があったんですね。う〜ん、すごいな。そして、渋沢栄一さん、資本主義にも論理が不可欠、さすが明治の実業家は骨太。
タイルオタクには、「平明なうえでの装飾性」という見立てが、すんなり入りました。イスラームの建築や工芸は優美繊細だけれど爛熟じゃないんです。華麗だけどゴテゴテしていない。そこが好きなのです。そんなこともあり、青淵文庫、予想していたより共鳴できました。
ウィーン分離派からの影響、建築史としてはそうなのかもしれませんが、タイルについて言えば、幾何学紋様と植物紋様の組合せや青緑の使用などは、私にはイスタムタイルと、また一部のヴィクトリアンタイルとの共通項として感じられました。そしてまた、「やきものとしての日本のタイル」の美しさも宿っていると感じました。「泰平タペストリータイル」の底力!日本のタイルも、もっと見て歩きたいと思います。

今回の特集は「琳派400年の系譜と新時代の京焼・清水焼」。見応えありました。解説までは写真を撮っていないので詳細はわかりません。写真のみです。



「日本の器を訪ねて」では、今回、和モダンな漆を特集。輪島塗、山中塗、津軽塗など、日本の代表的な産地の逸品、そして斬新な作品がセッティングされていました。
「日本の器を訪ねて」、毎回、大きなブースを展開するのは、日本の有名な陶芸産地。土岐市、瀬戸、多治見、有田、常滑、波佐見、鹿児島の工芸品。伝統的な作品からカジュアルなものまで豊富に揃い、値段も手頃に設定されています。楽しみにしている展示です。



気に入ったもの、気になったものは、いろいろあるのですが、、ザクッとの範囲で、こちらをご紹介。オリエンタルなテイストを感じたもの。

有田で写真を撮ってもいいですよ、と言ってくださった窯元さん。去年から注目していましたよ。「メデタイ」の窯元さん。今年はさらにパワーアップ。人も集まり注目の展示になっていました。明治時代の版木を使って成形し、すべて手描きで仕上げています。

小さいものは可愛いですね〜。そこにびっしりと描き込んであるのですから、グッと惹き付けられます。

あれ、、洋食器ブランド、見逃してました。でも、日本のブランドの洋食器はしっかり見ました。大倉陶園、こちらはちょっと別格。重厚というか格調というか、、美術品のようです。

テーブルセッティングもさまざまなテーマで、展示されています。


写真はたくさんあるのですが、長くなってしまうので、このくらいにしておきます。陶磁器見学、次はどこに行こうかな!? 北九州も行きたいな。
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気持ちが重い。いい方向に世の中が向かっているとは思えない。大好きな地域(人々)が、ますます辛い状況になっている。日本もモヤモヤ。世界、社会、すべてが加速度的に複雑になっていて、こじれていく。正直、今日は気を紛らわせて何かに向かいたかったこともあり、ブログを書きました。とにかく、自分の小さなことだけを考えていては、それさえも危うくなるのだと思う。というところまでしか、、うまく表せません。。
イスラームの装飾タイル偏愛紀行ではありますが、日本の陶芸、工芸も、とても好きです。年々惹かれています。日本の陶芸産地には地元の陶芸をテーマにした博物館、美術館も多くあり、総合的かつ深く見られてありがたい存在。先日は、絵付けで有名な九谷焼を専門に展示紹介する「石川県九谷焼美術館」を訪ねました。
石川県九谷焼美術館は2002年開館。加賀市「古九谷の杜親水公園」内にあり、周囲の自然と一体化した心地よい美術館でした。設計は富田玲子さん(象設計集団)。公園と一体になったくつろぎ感、細部まで心配りされた素材使いや色使いなど、建築というものに久々に感動しました。行ってよかった。



館内の常設展示は、
* 青手 (緑・黄・紺青・紫の4色を使い大胆な筆づかいで独自の世界を築きあげた青手古九谷、そして青手の伝統を受け継ついだ吉田屋窯、松山窯などの名品を紹介)
* 色絵・五彩 (「九谷五彩」と呼ばれる緑・黄・紺青・紫・赤の色絵の具で、山水や花鳥風月、人物などのモチーフを、大胆に繊細に描き出した色絵の名品を紹介)
* 赤絵・金襴 (宮本屋窯の飯田屋八郎右衛門によってスタイルが確立した赤絵細描の作品や、京都の名工永楽和全が伝えた金襴手の技法による九谷焼など、赤と金のコントラストで表現された作品を紹介)
など。見応えありました。
そして企画展示は現代作家の作品を多数展示。九谷と聞くと、ちょっと作風が古いのでは?というイメージの方もあるのでは?が、この現代作品が作風も多彩で、細密かつ力強く、圧倒的に素晴らしかったです。産地の底力!!!(展示作品が撮影不可なのは仕方ないことですが、アップできないことが非常に残念)


2階の喫茶室も、作家さんの作品を使ってのセッティングが、とても洒落てました。庭を見ながら外のテラスで風に吹かれて、がおすすめです。

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横浜のやきもの・真葛焼 「宮川香山真葛ミュージアム」
数年前からでしょうか、「横浜のやきもの」ということと、「明治工芸の超絶技巧」という2点から、ずっと気になっていた横浜真葛焼と、その専門博物館である「宮川香山真葛ミュージアム」。今回、横浜のアートイベントの一環として館でもイベントがあることを知り、良い機会と出かけてきました。
豪奢な細工や幽玄の色彩が特色の真葛焼、九谷焼とはかなり趣きが異なりますが、圧巻の匠の技で見る者を魅了するのは同じ。明治を代表する陶芸家、宮川香山の世界に浸りました。

まず真葛焼について。あまり情報が見当たらないこともあり、館のチラシから引用します。
「世界を驚愕させた横浜真葛焼 〜 1842年、初代宮川香山は、京都真葛が原の代々やきものを生業とする家庭に生まれました。29歳のとき、輸出向けの陶磁器を製造するため、横浜大田村字富士山下に真葛焼を開窯します。1876年(明治9年)、フィラデルフィア万国博覧会に出品された真葛焼は絶賛され、その名は世界に知れ渡ります。その後、フランス、アメリカ、イギリスなど各地の万国博覧会で輝かしい受賞を重ねました。真葛焼は初代から、二代、三代へと引き継がれますが、1945年横浜大空襲で壊滅的な被害を受け、閉窯。四代目香山の復興努力もむなしく、その歴史は閉じられ、今では「幻のやきもの」と言われています」
19世紀の万博と日本の明治工芸については、薩摩焼の細工や漆の超絶技巧で関心を持つようになりました。真葛焼も「高浮彫」という精緻な彫刻を施した技法が特徴です。じつは好みとしては、豪華絢爛で派手なものは、いくら美しくても苦手。真葛焼の「高浮彫」も引いてしまう面もあります。今回もトークなどで熱の入ったお話を聞かなければ、派手だったなあ、と帰ったかもしれません。が、エピソードなども聞き、あらためてじっくり見ると、やはりすごい!と見入ります。



精緻な細工を特色としていた初期真葛焼も、写実的な作品がしだいに減少。二代目香山はのちに、「外国人が濃厚な作風に飽き、日本本来の趣味である清楚淡白なものを好むようになってきたからであった」と語っているそうです。マーケティング!
また二代目による初代への、次のような回想も。「故人は西洋向けのけばけばしいものよりも、日本向けの沈んだ雅致に富んだ物の方が得手のようでした」。実際、晩年の作品は滋味あふれ、伝統的な情緒あふれる作品が多いとのこと。


京都の腕の良い職人が、海外との交易盛んな時代に輸出に都合が良い横浜で窯を開き、薩摩焼に彫刻的要素を加えた華やかな作風をもって流行の世界万博で一世を風靡、そのために渾身の努力をする。けれども晩年は滋味あふれる雅な作品を制作。しかしその後、窯は、横浜の大空襲により三代香山が亡くなり、多くの資料も失われ、閉窯に。
美しい陶磁器群のなかに、時代が刻々と流れている。ときには華やかに、ときには辛く悲しく。さまざまに思いが巡ると同時に、超絶技巧と淡白な美を両立し得る日本陶芸の深さに、あらためて感慨をおぼえました。
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これからも、たくさんの陶芸を見ていきたいと思います。今回ご紹介できなかった「河井寛次郎記念館」、機会があれば何かとまとめて書きたいと思います。

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&このところ、日本のタイルの動きがすごいです。ほんとにびっくり。個人ができる範囲ですが、取材などもおこないつつ、こちらも書きたいと思っています。
コンヤへのタイル旅、どのモスクもマドラサも圧巻で、熱狂と感動の連続、至福の時間でした。なので、どこが一番とは言えないのですが、スルチャル・マドラサのタイルには本当に惹かれました。修復があまりされておらず、いにしえの姿のままに出会えたこと、そしてタイルのある場所が屋外(イーワーン=中庭に向けて開いた前方開放式の小ホール)であり、遺跡のような感覚でタイルを味わえたこともあるかもしれせん。(ここもまた誰もおらず、タイル友二人と3人で熱狂)
1242年建造のスルチャル神学校、トルコのセルジューク朝タイルの中でも初期に属すと思います。1242年に、この素晴らしいモザイクタイルが壁面を覆い尽くしていた。タイルの歴史を考えると、なんとも興味深く、その現場に立ってタイルを見られたことは感涙でした。

以前ご紹介したセルジュークタイル史の詳細な専門書=『TILES / TREASURES OF ANATOLIAN SOIL/ TILES OF THE SELJUK AND BEYLIK PERIODS』では、スルチャル神学校は写真含めて10ページ。かなりのページを使っており、やはりセルジュークのタイル史の中でも重要であるようです。ざっと読んでみたのですが、タイルの模様の詳細な解説が多く、スルチャルならではの特長や他との比較、歴史的な位置づけなどは、今ひとつピンときませんでした。英語力の問題が大きいと思います。残念。なので、今回はあまり書ける内容がないのです。写真中心です。


スルチャル・マドラサは、1242年にベドレッディン・ムスリフによってイスラム法学校として創設されました。メインのイーワーンのアーチのタイルの銘文には建築家の名前が記されています。








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これまでずっと自分の好きなタイルだけを見てきました。それ以外に興味もわかなかったし、日本ではタイルの情報自体が少なかった。それが今では、ネットやfacebookで日常的に世界各地のタイル情報、イスラム建築情報に接することができます。少しずつでも毎日見ていると、発見があり、楽しく、勉強になります。ありがたい。
そしてなんだか、日本でもタイルが動いているように感じます。タイルに関する話題に触れる機会が俄然増えてきました。以前紹介した日本のタイル愛好者のfacebookページ。ますます盛り上がってきています。近代建築の中のタイル、街角のタイル、商店や地蔵祠のタイルなど、いろんな視点、いろんなタイルがあるのですね。発見があります。また、多治見に開館予定の「モザイク・ミュージアム」がらみの話題もあり、楽しみです。
そんなこんなで、日本でのタイル情報、検索などもするようになったのですが、、これがなあ、、
日本で「タイル」というとき、イスラームのタイルが出てくることが非常に少ない(過小評価という以前に認知されていない)、タイルの歴史に誤解がある(ヨーロッパ近代からのスタートと思われている)など、以前からしつこく書いていますが、このことも一層感じるようになりました。
((( ここに、いろいろと残念な事例を書いていたけど、消去! 自分のことをやっていくのみ )))
つまり=イスラームのタイルは歴史であり過去であり、現在の産業と結びつかない、だから何らかの媒体を通しての話題にのることが少ないのかと思う昨今です。ハイ。報道などを通じてのイメージの問題もありますしね。
それを前提にして、では何をするか。そんなことを考え始めています。愚痴だけではダメなんでですね。きっと。

セルジュークの装飾タイル、そしてモザイクタイルへの道、少しずつ進めています。でも、連続だと、ブログの見た目にも、気持ち的にもちょっと重そうなので、今回は軽めの話題をいくつか。
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中央アジア積み&盛りコレクション
まずは、「中央アジア積み&盛りコレクション」。Facebookのページで、流れで始まった特集。以前から、面白いなあと思っていたんですよね、バザールなどで見かける、てんこ盛りみたいな、とことんやる積み上げ方。各地での採集投稿もいただき、楽しいです。

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青の陶器とタイル、好き
青のfacebookも続いています。1年半かけて、「いいね」=400。とくに宣伝してはいないので自然に。青好き、タイル好きの方の存在を感じられて(これまで、なかなか実感が持てなかったので)、心強い気持ちになります。

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柳宗悦が選ばなかったもの
たった4日間の展示会、「柳宗悦が選ばなかったもの VOL3 茶わん 1900—1970」(倉日用品商店 企画展)@べにや民芸店(東京港区南青山/7月1日まで)。
「日本の雑器の7割を生産しながら、民藝という視点では必ずしも光が当たらなかった瀬戸や有田の茶わん。しかし、明治以降全国の家庭に、食卓に、旅館に使われ続けているそれらには窯屋の主人が頭をひねって生み出した、様々なデザインが施されていた。伝統の文様をベースにしつつも次第に珍奇になっていく、誰も記録していなかった「ふつうの飯茶碗」のデザインを、明治から戦後まで一挙公開!」
とても面白かったです。しかも全品即売。しかも1個数百円が大半、最高でも1000円ほどという値段。古いものの値段は私にはわかりませんが、見る人が見たら、かなりの値段がつくものもあるのでは。へたウマイラスト系のもの、昭和モダン系のものなど、お宝もありそう。倉日用品商店Facebookには「さすがに初日はプロに類する方が素早く「特にいいもの」を買っていかれまして、目利きの仕事の鮮やかさを目の当たりにした次第です」とありました。
本業ではないのですが、流れとご縁で、陶器の仕入れと販売をさせていただいた経験、少々あります。ひとつずつすべてが違う手作り品の梱包や値段つけは、素人には大変な作業でした。(とくに中央アジアからは、物流が大変すぎました。値段も前例がないので難しかった)。今回の茶碗は、脆くはないですが、やはり一つ一つのパッキングは手間だと思います。倉日用品商店さんのある京都から持ってきて、開梱して並べる、青山の老舗民芸品店のギャラリーで。思わず、数百円×個数で、かけ算してしまいました。

京都西陣の堀川商店街にある「倉日用品商店」、荒物などを扱い、コーヒーも飲める。なんだか面白そう!今度行ってみよう。三井美術館の明治工芸展で興味津々の幕末、明治の工芸を展示している「清水三年坂美術館」も!&facebookのタイルの会で知った、すてきな京都のタイルも見たい。大好きな河井寛次郎も。
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インドTarabooksのゆかいな本づくり
「インドTarabooksのゆかいな本づくり」スライドトーク、というイベントがありました。案内人は矢萩多聞さん(装丁家) 。



「手漉きの紙に、手刷りのシルクスクリーン、手製本で本を綴じ、なにもかも手づくりで絵本をつくっているインドの出版社Tarabooks。彼らの絵本に魅せられ、南インド・チェンナイの印刷工房へ見学にいった矢萩多聞が、現地の写真をたっぷりおみせつつ、彼らのゆかいな本づくりについてお話しします。ぼくはこの出版社に出版の原点、明るい未来を感じています。本好きはもちろん、多くの日本人にこのすばらしい出版社、美しい絵本のことを知ってもらいたいです」
素晴らしい絵本たちを画像で紹介できないのが残念ですが、リンク先に写真がたくさんあります。矢萩さんのHPは、詳細でわかりやすいです。ぜひ、ゆっくりとごらんください。
● Tarabooks とは (1994年から美しい絵本を数多くつくり、 世界中の本好きたちを魅力しつづける、奇跡の出版社だ。本文用紙は手漉き紙。印刷はすべてシルクスクリーンで刷られている。造本は手製本。通し番号がふられ、工芸品のように美しい絵本たちはまるで宝物のようだ。絵本の挿絵の多くは、インド各地の少数民族たちが描いたもの、、など詳細な説明が。写真も、Tarabooksのオフィスや職人さんたち、制作行程など!)
● ニュース (「Drawing from the city」(街を描く) 作者は西インド、ラジャスターンの門付け芸人を夫にもつテージュベハム。 彼女がペンと紙で書きつづった自伝的絵本。ペンでかかれた世界は、絵の教育をうけた絵描きにはぜったいにかけないような 生き生きとした線にあふれています。ほとんど絵の描いたことのない人、絵本なんて作ったことのない人の絵で こんな大判の絵本を作ってしまったTarabooksはすごいと思います。 まさに「誰もがもっている宝物を引き出す」仕事/インドから本が届きました!、、など)
● Tarabooks
矢萩多聞さん。矢萩さんと村山和之さんのトークイベント『「A.R.ラフマーンを語る」vol.3 イスラームとラフマーン』で、ラフマーンの音楽に出会いました。このときも矢萩さんは、ラフマーンを訪ねたときのことを、楽しそうに話してくれました。
出会って、好きになって、気になって、調べて、ある日出かけて行く、話を聞く、ますます好きになる。それを分かちたい、紹介したい。そんな自然なテンションや温かい感情が伝わります。
かといって、Tarabooksの代理店になってビジネスを、ということでもなく(すでに日本でもいくつかの代理店がありブックフェアなどにも出ています)、淡々と熱く、できることをする、そんな姿勢に共感しました。
たまたまなのかもしれませんが、倉日用品商店さんも、矢萩多聞さんも、あまり商売っ気がない感じ。でも、熱を感じます。そして行動しています。できることをしています。派手でなくても、大規模ではなくても。費用的にマイナスにはならないように工夫して、他のことでがんばって補いながら、気持ちのいい人たちと出会い、熱を持って思いをシェアしていく、自分も楽しみながら。それがいいのではないかと思うこのごろです。そういうふうに自分もなりたい。
矢萩さんは、20年くらい前からお名前を知っていました。パソコンでネットを見始めた頃、インドでの暮らしを描いた「メールマガジン」を読んでいました。どうも若い人のようだなとは思っていましたが、その頃はなんと10代半ばだったようです。14歳でドロップアウトして、インドで一人暮らし、街や村で生活の中の美を学んでいたのです。なので、20年くらい経っても、まだ34歳くらい。インドや日本の、心に響くものを、これからも伝えて欲しいなと思います。
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モザイクタイルへのみち
タイルについて、ずっと知りたかったこと。大きなテーマであった「なぜ青なのか」は、少し得心できました。もう一つのテーマ、「モザイクタイル(集成モザイク)は、いつ頃、なぜ、どのような背景の中で生まれたのか」。



そこに向かって歩いています。セルジュークのタイルの中に、大きなものを感じています。

「イスラム建築における陶製タイル」、読んだのは一度や二度じゃないはず。でも覚えてない。そんな自分を認識し、何度でも読むしかないです。そして『TILES / TREASURES OF ANATOLIAN SOIL』に圧倒され、どこから手をつけようと、、建造物のタイルに行く前に、発掘のすばらしいタイルを、と思います。クバダバード宮殿(1236年)の星形と十字形のタイル!!
これらのタイルが展示されているのは、カラタイ・マドラサ(コンヤ、1251年創設)。陶器とクバダバード宮殿出土品を展示する博物館にもなっています。圧巻のモザイクタイル装飾は次の機会にしっかりご紹介することにして、今回は「イスラム建築における陶製タイル」の文章(及び要旨)を引用しつつ、画像とともにお送りします。


… 「イスラム建築における陶製タイル」より。以下…後同様/ 宮殿の装飾に用いられた一群のタイルは、宗教的な建造物とは異なり、完全な形のまま今日まで残っているものはない。宮殿のタイル装飾については発掘調査を通じてのみ、知ることができる。
… 宮殿のタイルは、宗教的な建造物に使われていたものとは、多くの点で異なっている。第1に、形状が異なる。宮殿で好まれたタイル装飾は、いわゆる星形と十字形の組合せである。端から端まで23センチの星形のタイルが、十字形のつなぎタイルとともに用いられている。
… 第2に、タイルの種類、または施工の技法が異なっている。最も一般的に用いられた種類は、下絵付けタイルである。ラスタータイルはあまり一般的ではない。
… 第3には、タイルの装飾が異なる。これはクバダバードの収集品によって、明らかである。



… コンヤの南西、ベイシュヒル湖岸のクバダバード宮殿で行われた発掘調査によって、セルジューク朝時代で最も注目に値するタイル装飾が明らかになった。
… クバダバード宮殿は、1236年に完成。セルジューク朝のスルタン、アラエッディン・ケイクバドの夏の別荘として用いられた。タイルのほとんどは、非常に興味深く、人間や動物の、革新的な絵柄で装飾されている。(*Kubadabad Palace was a complex of summer residences built for sultan Kayqubad ruler of the Sultanate of Rum. )





… 人物像としては、召使いとともに宮殿の高官が描かれている。人物像のほかに、スフィンクス、サイレーン、双頭の鷲、孔雀、生命の樹のまわりの一対の鳥、一対の竜などの魔術的な象徴動物が、タイルを飾っている。一連の実在動物も描かれている。この中では、狩猟動物や狩猟風景が強調されている。猟犬、狼、キツネ、野ウサギ、野山羊、カモシカ、野生ロバ、クマ、馬、ライオン、ヒョウ、鷹、ハヤブサなどが、飛び跳ねたり疾走する姿が優美な動きで表現されている。
… ザクロ、またはケシの枝が、地模様を形づくり、一般的には中央のモチーフを囲んでいる。絵柄は十字形タイルで仕上げられている。
… 壁の上段は、普通、魔術的な動物の描かれたタイルで占められ、魔術的な世界や宮殿の高官を表現している。一方、実在する動物は下段に集中している。
… 星形タイルでは、文様は通常無色透明の釉薬の下に、ダークブルー、紫、トルコブルー、黒、暗緑色で描かれている。つなぎ十字タイルは、トルコブルーの地に黒いアラベスク模様用が描かれている。素地土は、かすかに黄色味をおび、きめ粗く、くだけやすい。


あ〜、素晴らしい。憧れの八角星とクロスのタイル、大好きな青。コンヤでの幸せなタイル時間に感謝!
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始まる。日本での、タイル・モザイクの、新しい物語。

さて!タイル、モザイク、日本でも何かが始まるかもしれません。じつは、若干、始まっております!^^
試行錯誤は覚悟の上で、ささやかに、でも情熱とワクワクする気持ちを満載に、先日、「タモガク」がスタートしました。初期メンバー4名、もうテンションがどんどん上がってます。
ところで、タモガクとは!?泣く子も喜ぶ、「日本装飾タイル・モザイク学会」なのです!すごいでしょ。言ったもん勝ち、というより、本当にタイルとモザイクを学びたい、楽しみたい。だから学会。
当面、タイルやモザイクへの熱い思いを心ゆくまで語り合いながら、展開を考えていきます。当ブログでも、少しずつご紹介していきますね。
アトリエ「ユークリッド」
「タイルがどのくらい好きか」について語り合う機会が少ない(ほとんどない)と嘆いている私に、先日、あるメッセージが。<タイル好きが集まってバーベキューをします。来てみませんか>。え〜、タイル好きって、日本で??<ほとんどが20代、30代の女性です>。若い女性がタイル好き?ホント??
正直、内心は半信半疑。でも若い女性に好まれそうな「イチゴ、チェリー、赤ワイン」をエコバッグに入れて、イソイソと出かけてみれば、、、わ〜〜っ!ホントだ、、本当に若い女性ばかり!しかも美人ばかり!

そこは、タイル職人・白石普(しらいしあまね)さんのアトリエ「ユークリッド」。タイル張りのバーベキュー台には血のしたたるような肉、肉。しかもデカイ。さすが。同年代だと干物、酢の物、梅干し入り焼酎などサッパリ路線なので、すでに軽いカルチャーショック。
美人さんたちに見とれていると、奥にヒゲの男性を発見。この日本で、タイルをデザインし、制作し、施工をおこなうことを生業にしている人。イタリア留学、モロッコの専門校と工房でのモザイクタイル修行。タイルやモザイクが息づく土地で暮らし学んだ経験が素晴らしい。(詳細は、「タイルびと」(チルチンびとWEB連載)で。端的でリアルで臨場感とリズムのある文章。写真や図版も。日本にこのようなタイル人がいることが、うれしい!)
アトリエは、「タイルを愛する人が集えるように団欒スペースを設け、 教室や作品展も開けるタイルサロンとし、「ユークリッド」と名付けた」(タイルびと、より)。開放的な空気、白石さんの明るく率直な人柄。これは人が集まります。

女性が多いのは、女性の方が好奇心と行動力があることも関係している気がします。(美人が多いのは、、なぜ!?)イタリアでモザイクを修行した専門家、自分のデザインでタイルを作りたいという絵描きさん、タイルに関わる人たちのコーディネートをしたいというタイルショップの方、施工にチャレンジしている女性、アラベスク模様のタイルがたまらなく好きという女性。わ〜、すごい。
アトリエに来たきっかけを聞いていると、「タイル」をネットで調べてこちらに辿り着いたという人が多かった。そういう層があり、ニーズがあるということなんでしょうか。その気持ちに応える場が少ないということなのかなあ。
「女性が好きなのは小さくて可愛いもの。女性はタイルが好きなんですよ」(参加した女性)。なるほど。小さなタイルのちょっと盛り上がった風情、釉薬のキラッとする光沢、温かみのある土の質感、星などの「カタチたち」が織りなす幾何学模様の愛しさ、安心感。また白石さんのタイルは青系が多く色がきれい。若い女性たちの琴線に触れること、わかる気がします。

ウズベキスタンの工房でも、「あまりに大変でやる人がいない」「値段が高くつき過ぎて現実的に無理」というモザイクタイルの制作と施工。西アジアのタイル産地でも、有名な建造物の修復現場を除き、モザイクタイルは稀少でしょう。それを、この日本で、個人でやっているなんて。しかも美しい。デザインも施工も。自由で緻密。
白石さんの仕事については、きちんと取材してから書きたいです。このブログの「タイル人(たいるじん)」に、ぜひ登場して欲しいな。
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タバコ屋のタイル〜日本のタイル
じつは、もうひとつ、タイルがらみのトピックがあります。
ある時、facebookの「おすすめグループページ」という欄を見るでもなく見ていたら、「タイル」という言葉が目に入り、そのページに入ってみてビックリ。タバコ屋のタイルや街角のタイル、日本の近代建築の中のタイル写真をいろんな方々(建築関係の方が多い印象)が投稿。とくに全国くまなくタイルを見て歩いている方(女性)のエネルギーに脱帽しました。

さっそく仲間に入れていただきましたが、日本のタイル中心の様子なので、イスラームのタイル写真は外れてしまうなあと遠慮。が、次第に自分も参加したい気持ちが高まり、かの地の街角タイルなどを投稿中です。
日本のタイルは、数年前まで全く見ていなかったので新鮮です。レトロで(古いものなので当たり前ですが)温かみがあって誠実な感じがします。グループに関しては、いろんな視点、視線で見ることの面白さを感じています。興味を持つポイントがそれぞれ違う。そのタイルが好きかどうかは別として、触発されます。

コメント欄もあるので、投稿写真についてのやりとりも。つまり結果的に、「タイル話」をしていることになります。ずっと「タイル話」がしたかった。こういう形でできるようになるなんて。
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タイルが動く?
この間、感じていること=不思議さ、感慨、ちょっと微妙な気持ち、それでも前に行こうという思い。
・白石さんのアトリエ、日本のタイルのFBグループ。ネットを通じてタイルに関心のある人が集まっていること。タイルが好きという人が少なからずいること。とくに若い女性。
・個人的には、これまでできなかったタイル話ができそうという感慨。
・ただ、ちょっと微妙なのは、やはり私の好きなタイル、植物文様の圧倒的なモザイク、西アジア〜中央アジアの濃いタイル文化、12〜17世紀前半頃までのイキイキしたタイルは、それでもまだまだ、とってもニッチなのだと気づかざるを得ないこと。
・では、あくまでも好きなタイルだけを見ていくのか、と考える。それではいつまでも浅いタイルファンのままかもしれない。触発され、ときには反発もし、でも良さを認め合い、だから一層自分の好きなタイルが見えてくる、のかも。実際、この間、どんどんタイルが好きになっているのです。

<5月26日8時AM 追記> 「基本構想から約2年半、ようやくその姿を現します。27日、名古屋 でプレス発表。藤森照信流、土でできたモザイクミュージアム」だそうですよ!ついに!タイル、動いていますね☆
<5月28日 追記> 発表になりました。「多治見市モザイクタイルミュージアム」、2016年6月オープン予定!概要はこちら=「タイルのまち」象徴 多治見市がミュージアムの概要発表
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今回は、「神宮外苑と国立競技場〜解体中止と改修検討」「明治神宮」について、「自由学園明日館」「江戸東京たてもの館」「超絶技巧!明治工芸の粋(三井記念美術館)」「フランス印象派の陶磁器 1866-1886―ジャポニスムの成熟―(汐留ミュージアム)」なども、少し用意していました。回をあらためて、明治工芸、明治建築などについて書いてみたいと思います。今回はタイル特集でした!
<こちらは緊急性もあります。ご関心がありましたら読んでみてください!>
●神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会
●新国立競技場の何が問題なのか──中沢新一氏と伊東豊雄氏が問題提起
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中央アジア五カ国の子どもたちの絵画
まずは中央アジア関係。国立新美術館で2月3日まで開催中の「アジア創造美術展2014」の一角に、中央アジア五カ国の子どもたちの絵画が展示されています。世界各地の子どもの絵、時々見る機会がありますが、中央アジアの国々勢揃いは初めてで興味津々。

広々とした会場の奥、各国2枚ずつ10枚のパネル。カザフの民族衣装姿で説明してくださるのは、企画から展示まで尽力されたアルマティ在住のKさん(日本人)。この展覧会のために帰国なさっているのだそうです。
先入観があるのかもしれませんが、子どもたちの絵画、中央アジア好きには「この感じ、わかる」とツボでした。子どもたちの事情も様々、画材も様々なのを前提としても、子どもたちが見てきたもの、経験したこと、心のなかにあるものが、かたちや色として表れている。深読みかもしれませんが、象徴性を感じます。国別に見ていきましょう!







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トピック祭りなので、どんどん行きます。デザイン編。国立新美術館の近く、東京ミッドタウンにある「21—21」、「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」(2月9日まで)。見たのがけっこう前で記憶が薄れているのですが、「地域を世界につなぐ〈東北/祈り/ユーモア〉の系」の展示がとても良かった。

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トピック祭り、北関東編。日本のやきものに興味が高まっている昨今、なるべく産地や美術館博物館を訪ねたいと思っています。たまたまネットで見た「栗田美術館」(栃木県足利市)、景勝の地に敷地3万坪、伊万里、鍋島の収蔵で世界最大級の陶磁美術館とのこと。鍋島ファンとしては行くべきでしょう!と小さな旅に。電車を乗り継いで行ってみると、、とにかくものすごく広い。展示館がいくつもある。1万点という膨大な展示数。が、あくまで陶芸素人&個人の好みなのですが、これは惹かれた、というものがなかった。しいて言えば、蒐集のきっかけになったという染付の徳利がいちばん良かった。ただ、蒐集への熱と無名の陶工への敬意、愛情はひしひしと伝わりました。
あまり調べ込まずに現地を歩いてみるやり方なので、館の創立者であり鬼気迫るほどの徹底蒐集をされた栗田英男さんについて、まったく調べていませんでした。最寄り駅の待合室でiPad。Wikipedia曰く「日本の実業家(肥料商、東京毎夕新聞社主、鉱山経営者)、総会屋、元衆議院議員、美術評論家(栗田美術館創設者)」。趣味に投じた私財は当時500億円とも言われたそうです。

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トピック祭り、カシミヤショール編。「アジアの染織 憧れの毛織物 カシミヤ・ショールの歴史」(東京国立博物館アジアギャラリー地下/3月9日まで)。「カシミヤ・ショールは、インド北西部カシミール地方で放牧されたカシミヤ山羊の毛を紡ぎ、細くつややかな毛糸をさまざまな色に染め綴織(つづれおり)で文様(もんよう)を表わした最高品質の毛織物です」。ペイズリー好きには惹かれる展示。ただ、爛熟感のあるヨーロッパ色が濃くなってくると苦手に。ペルシア、ムガルの清楚な草花模様が好きだ〜!

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トピック祭り、陶芸編。「茶と美 -柳宗悦の茶 」(日本民藝館/3月23日まで)。
「柳宗悦は「茶」とその「美」について生涯に渡り強い関心を寄せました。なかでも初期の茶人の鋭い直観を高く評価し、併せて茶礼における型の美や、茶と禅との濃い結縁を重視したのです。さらに茶が暮らしと深く交わるよう願いました」。やきもの好きにはうれしい茶器の数々。併設展も「朝鮮陶磁」「丹波古陶」「庄内被衣」など充実で見応え。

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トピック祭り、建築編。「内藤廣展 アタマの現場 」(ギャラリー間/3月22日まで)。
内藤廣さんの「海の博物館(三重県鳥羽市)」、力強くて好きです。

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トピック祭り、陶板編。民藝の器を中心にしっくりしてデザイン性の高い手仕事を紹介する「SML」(目黒川沿い)。こちらで見ることで勉強になります。楽しい。あるとき、モダンな陶板が数枚あったので、「こういうのも扱ってるんですか」とお聞きしてみたら、奥から出してきて、いろいろ見せていただきました。

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トピック祭り、芽吹く編。

* * * 長々でした〜。寒い日々ですが、皆さんご自愛くださいね! * * *