イスラムアート紀行

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ペルシア、ムガルの草花愛好から生まれた「ペイズリー」

ペイズリー、あの先方がちょこっと傾いだ感じに惹きつけられます。ずっと気になる存在。
装飾タイルや中東、中央ユーラシアあたりが、気になりかけていた頃、松濤美術館(東京・渋谷)で見た「ペイズリー模様の展開 ーカシミアショールを中心に」(1993年)。自分が「このあたり」のものに惹かれる傾向があることを自覚しました。

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(「ペイズリー模様の展開 ーカシミアショールを中心に」図録より引用/カシミールショールの裾に施された草花模様、17世紀後半、綾地絹織)

とくに、ペルシアの花模様「ボテ」、インド・ムガル朝の花模様「ブータ」の神秘的な清楚さに魅了され、ブータからカシミールショールにあらわれたペイズリー模様への変化にドキドキしました。
けれども、(時代の美意識もあるのでしょうけれど)19世紀中頃からの過剰なまでに濃密になったペイズリーは苦手。ヨーロッパの洗練されつつも濃厚なタイプも苦手。
装飾タイルと同じで、生命力があり、生き生きして、ピュアで、どこかかわいいものが好きです。それが自分にとっての「きれい」。

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(文化学園服飾博物館ホームページより)

文化学園服飾博物館(東京・新宿)で、「ペイズリー文様 発生と展開」が開催中(3月14日まで)。
ペルシア、ムガルから中央アジアや日本、ヨーロッパなど、世界のペイズリーが一気に見られてペイズリー好きには、とてもうれしい展覧会でしたが、残念ながら図録がないので、記憶にとどめるのみ。

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(左:掛布(部分)インド、19世紀末/右:ショール(部分)インド・カシミール地方、19世紀初期/文化学園服飾博物館ホームページより引用)

まだ少し展示の記憶があるうちに、自分の手持ちの写真や布で<ペイズリー讃歌>を。

と、その前に少しだけ。起源は、イラン・サファヴィー朝の花模様にあると言われます。それがインドのムガル朝に伝わり、宮殿などに描かれた花模様が王侯貴族のショールにも。当初は、大地に根を張り風にそよぐ一輪の花、それが次第に花が密集した灌木の姿になり、根の代わりに花瓶が描かれるなどしていきます。

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(タージマハルの大理石レリーフ。固い石とは思えないほど優美に花模様を表す。しっかりと大地に根ざしている。17世紀頃)

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(ムガルの花模様。根が描かれている。たぶんジャイプールのアンバー城?)

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(ムガルインドの花模様を再現したサンガネールのブロックプリント(木版捺染)。固い木に細密な線を彫り出し精密に捺していく。一本の清楚な花、大地を感じさせる根がついている/orientlibrary)

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(カシミールショールの17世紀頃の花模様を思わせるサンガネールのブロックプリント。風に揺れるように少し傾いでいる/orientlibrary)

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(糸杉、生命の樹?ペイズリー的にも見える。透ける白地が涼しげ。orientlibrary)

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(サンガネールのブロックプリント。花や灌木が一つにまとまり少し傾いだり壺に入るなどしてくる/orientlibrary)

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(インド更紗、型/18〜19世紀/鳥のような動物に襲いかかるライオンと孔雀。その周りには大小の花をつけた花唐草が隙間なく配され、両端にはペイズリー模様をあらわす/東博にて撮影)

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(肩掛け/赤紫地ペイズリー花文様絞り/インドネシアスマトラ島バレンバン/20世紀初頭/インドネシアのペイズリーはインドのものとは逆さまに描かれる/東博にて撮影)

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(イランで購入した飾り布。草花がびっしりぎっしり詰まったペイズリーがぎっしり並び重量感大。orientlibrary)

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(オスマントルコの女性の衣装。バックルがペイズリー。重厚カワイイ)

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(オスマントルコの女性の衣装とバックル。少しペイズリー入ってる?きっと世界中で流行したんでしょうね!)

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(バングラデシュの刺繍布カンタ/望月コレクションより/自由でノビノビした模様。色もカラフル)

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(同上。愛らしさや動きからミジンコを連想!?)

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(タイルではペイズリーはこれまで見た経験がないのですが、、滴形が近いかな。滴形はタイルの模様にたくさんあり!)

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(ウズベキスタン・リシタンの青の陶器。これはペイズリーというより唐辛子だと思いますが、、)

中央アジアでは、この傾いだ水滴状の模様は、アーモンド、唐辛子などとも言われます。ウズベキスタンの織物「アトラス」「アドラス」にも多数登場。
ヨーロッパでは、球果や松かさ(多産や豊穣の象徴)とも。日本では、勾玉模様とも呼びますよね。

なぜ、ペイズリーと呼ばれるか、は、産業革命期のイギリスのペイズリー市で機械織りのカシミール風のショールが大量生産されたため。
ペルシア生まれ、ムガル育ちの模様なのに、ヨーロッパの地名がついても意外と違和感がないのは、(個人的な見解ですが)ペルシアのPが入っていること、ムガルなどのLが入っていることで、オリエンタルなニュアンスがあるからだと思います。^^

ペルシア、ムガルの植物愛好、自然観、生き生きと描く美的感性、それを「根」として花開き、世界で愛されるようになったペイズリー。あらためて、いいなあと思いました。
寒さは続きますが、立春頃らしく花のトピックでした!
by orientlibrary | 2012-02-05 19:18 | 絨緞/天幕/布/衣装

陶磁器展覧会今昔 トプカプ宮殿東洋陶磁の至宝&三代山田常山展

ときは巡ります。

先日、Sさんから、1990年・出光美術館にて開催の「トプカプ宮殿秘蔵・東洋陶磁の至宝展」図録をいただきました。「ブックオフで見つけた」とのこと。感謝!m(_ _)m 
図録の中には、チラシ、チケット半券、ポストカードなど、関連するものがすべて揃っていました。すごい。。几帳面な方ですね〜!そんなわけで、当時の貴重なチラシをご紹介!

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(B5版。この頃って、このサイズだった??記憶にありません)

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(裏もカラー。レイアウトは4分割でシンプル。入場料は1000円。22年後の今も同じ1000円です。高・大生は90年800円、現在700円。日本の物価はやはりデフレ傾向ですね。ちなみに1990年はバブル最盛期)

展覧会では、出光所蔵のイズニック陶器も参考出品されたとのこと。そのための解説チラシもありました。個人的には、豪奢な中国陶磁よりもむしろこちらが好み、ということもあり、昨年秋イスタンブルの博物館で撮った写真を。

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(イズニック、1530−45/磁器を思わせる白い地肌に青で清楚に葡萄や花が描かれています。イズニックは15世紀から17世紀初頭にかけて、オスマン帝国内の窯業の中心地でした)

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ときは移って、2012年1月の出光美術館。「三代山田常山ー人間国宝、その陶芸と心」展です。

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(A4版。軽やかなデザイン。「たのし うつくし 手仕事」のコピーも軽やか。裏は白黒)

出光美術館は、板谷波山など現代の陶芸家の作品コレクションもおこなっており、今回の三代山田常山作品は20年以上の蒐集による180点の初公開。見応えがありました。

「三代常山は、時代の荒波に棹をさし、一見地味な、「急須」という原点を持ち続けた職人でもありました。本展では、生涯を常滑の地に暮し、夫妻で協力しながら元日も休まずに仕事をした、そのひたむきな仕事への姿勢と生き方にも光を当てます。今だからこそ、〈ぶれない手仕事〉が教えてくれる、変わらないものの健やかさに、私たちが生きてゆくための、ヒントを感じていだだけることでしょう」(展覧会案内より)

たしかに、急須はサイズも小さく、形も色合いも地味。けれども、朱泥、紫泥、烏泥(うでい)、白泥、藻がけ、彩泥など、微妙な色合いの違いや様々に試みられた形など、バリエーションを楽しむことができました。

「江戸時代後期に中国趣味の煎茶が盛んになると、日本でも青木木米などが優れた煎茶具を制作しました。木米の急須や中国の急須に学びつつ常山窯を興したのが、三代常山の祖父・初代常山でした」(展覧会案内より)

出光のHPは写真を持ってくることができないようになっているので、東博所蔵の青木木米の作品を一つご紹介。

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(色絵草花浮文煎茶椀/青木木米作/江戸時代、19世紀/江戸時代の京焼の陶工。中国清時代の朱えんの『陶説』を読破して作陶を志した。当時流行の煎茶趣味に応じた煎茶具に優品が多い/東博にて撮影)

もっとも感銘を受けたのは、常滑自然釉の作品群なのですが、本物を見た後に図録の写真を見ると、とくにこのような「質感系」のものは、どうしても違いが大きく見えて、購入せずじまい。ご紹介できないのが残念。

「鎌倉時代の大壺の形を急須に生まれ変わらせた「常滑自然釉茶注」や、形・土肌・釉の三拍子が揃った「常滑自然釉壺」/「ダイナミックな土味と、炎の偶然が織り成す美しい釉色」/「燃料に竹を加えることによる青の色合い」など、会場または、HPにてどうぞ。こちらから「展覧会のみどころ」クリック。

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こちらも見ました。(終了しています)「上田宗箇 武将茶人の世界展 —「ウツクシキ」桃山の茶 秀吉、織部そして宗箇
生誕450年記念」(松屋銀座)

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(展覧会サイトより引用/(1)御庭焼茶碗 銘「さても」上田宗箇作 (2)水指 丹波焼 (3)大海茶入 銘「上田大海」
(4)竹一重切花生 上田宗箇作 (5)織部肩衝茶入 銘「喜撰」 美濃焼  岡山・華鴒大塚美術館蔵 (6)織部沓形茶碗 美濃焼)

茶碗「さても」、実物、ビシーっとした切れ味鋭さが一見して伝わるものでした。スゴい迫力、、。

冬、陶磁器の展覧会、多いですね。

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(畠山記念館)

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(サントリー美術館)

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(戸栗美術館)

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(日本民芸館)


* 一気書きの私、青のファイアンスとウズベク陶器についても、一気に書こうとしていましたが、流れとして分けた方が良さそうなので、次回にします。まずは、こちらアップしちゃいます〜♪ *
by orientlibrary | 2012-01-15 14:22 | タイルのデザインと技法

タイルやスーフィーの本/イスラムの凝縮力/青の魅惑

トルコ・イスタンブールにて。「ルキエ」さんに、バザールの奥まったところにある本屋さんに連れて行っていただきました。現地の本屋さん、やはりネットでも買えないものがあります。

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今回はこれ(写真上右)。『TILES -TREASURES OF ANATOLIAN SOIL- 〜 TILES OF THE SELJUK AND BEYLIK PERIODS 〜』。セルジュークのタイル。草創期の青いモザイクタイルの壁面、濃いトルコブルーに黒で文様を描いた陶器、、最高です☆ うっとり。

こちら(上左)もそのときに購入。『CERAMICS FROM ISLAMIC LANDS 〜KUWAIT NATIONAL MUSEUM〜 - THE AL-SAVAH COLLECTION -』 。イスラム陶器の歴史や地域の個性を概観できそうな本。ハードカバーではないけれど500ページを超える立派な本で豊富な図版がうれしい☆ これはAmazonの方が安かった。円高なんですね〜。

そして、♪♪♪『COLOR IN ISLAMIC ART AND CULTURE 〜AND DIVERSE ARE THEIR HUES〜』♪♪♪(下)は ネットで買いました。表紙写真、グルエミル(サマルカンド)のタイルをAmazonで見て、即購入決定です☆ 色を切り口にしているのが、今の関心にぴったり。うれしい!タイルや陶器だけでなく、細密画や絨毯の色など、多彩に言及(しているみたいです。買ったばっかり)。

いずれも素晴しい本。すべて片手では持てないくらいに、ずっしりと重い。円高のおかげなのか、1万円を超えることなく購入できるのがありがたいです。
このボリュームで英語ということもあり、たぶん全部読むことはないかも。でも折々に写真を見たり、気になるところを読んだりしているだけで充分満足。うれしいな。

↓ 下の写真。数ヶ月前に買って、最近やっと開いてみた(まだ読んでいません)のが、パキスタンの芸能音楽に詳しいMさん推薦の3冊。

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『スーフィー イスラームの神秘主義者たち』(写真もいいです。読みやすそうなレイアウト)/『4億の少数派 南アジアのイスラーム』(ムスリム人口多いです。インド・パキスタンのイスラム建築も興味大)/『聖なる学問、俗なる人生 中世のイスラーム学者』(タイトルがいいですね!)。

『TOKYO  0円ハウス 0円生活』(ホームレスは理想の家を持っている!?のコピー)。先日、『ダンボールハウス』の著者、長嶋千聡さんのお話を聞いて、とてもおもしろかったので、工夫満載の「家」に興味がわいてきました。もともと天幕が大好きだし。でも、こちらの方が、より”定住型”です。

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こうして、タイルや陶器の本、スーフィー関係の本を見つけて喜んでいるのですが、結果的にイスラーム関係の本が増えていくことになります。

といっても、イスラム教徒ではない私。教義も興味深いし、共感する点も少なくないですが、教徒になろうと考えたことはないです。何が好きって、やはりイスラム文化の「五感」に関わる部分なんですよね〜。

圧倒的な凝縮力と無限の広がりの予感、緻密と鮮烈、集中と余韻、端正でありながら強烈な熱のある手仕事、青の多用とその組み合わせの多彩、陶酔の音律と音階、朗唱、底流に流れる「意志」、そこへの共鳴性。そういうものに惹かれます。

メッカという一つの方向に向かって、世界中のイスラム教徒が祈っている、あの概念。あの集中と凝縮。完璧な拡散型の自分の感性とは違うのですが、逆なものに惹かれるのかな。

アブダビの空港で見たポスター。花びらかと思ったら、飛行機が中心に向かっている。中心の言葉は読めませんが、言葉が立ちますよね。この構図、意外と単純かもしれないけど、発想できない。

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(アブダビの空港で見たポスター)

もちろん装飾タイルや建築装飾には、中心に凝縮しながら同時に無限の広がりを感じさせる、たくさんの例があります。

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(サマルカンド、ティッラカッリマドラサ〜たぶん)

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(サマルカンド、ウルグベクマドラサ〜たぶん)

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(これもサマルカンドかな。幾何学模様が発達したイスラム装飾。透しがきれいです)

そう思うと、日本の「余白」「間」、これも別の意味で、成熟した、素晴しい美意識だと思います。
日本人は芸術家ではなくても、余白によるバランスが自然にとれます。すごいことですよね。

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(東博にて撮影。説明を引用:黄瀬戸草花文平鉢/美濃/安土桃山〜江戸時代、16〜17世紀/俗に油揚手、菖蒲手と呼ばれる黄瀬戸の典型作。中国龍泉窯青磁に従ったつば縁の平皿に、見込に草花文を釘彫し、失透する灰釉をかけ、銅で斑文を施し、ほのかな色の対比がまさに和様の雅びとなっている)

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最近、恒例のシリーズ!
西アジア、中央アジアの現代のやきものを特集展示している「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」展示作品(〜出展作家作品)より、何点か、ご紹介。(「青の魅惑」は、常滑市の「世界のタイル博物館」にて開催中/2012年3月20日まで)。

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(トルコ・イズニックに工房を持つアディル・ジャン・ギュヴェンさんの作品/アナトリアの技法を再現しているギュヴェンさん制作のスリップウエアです)

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(トルコ・キュタヘヤで制作を続けるメフメット・コチェルさんの絵付け、部分。ウサギでしょうか、躍動感が魅力的。花もイキイキとしています。線の運びがきれい!)

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(ウズベキスタン・リシタンの陶芸家、アリシェル・ナジロフさんの絵付け。自由でのびのびとした絵柄はお人柄だなあと思います)

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(ウズベキスタン・リシタンのウスマノフ工房の作品、アップです。こちらはアップで見たくなります。濃い青に引き込まれます)

秋の夜長の読書、は全然できなかったけど、冬は少し本を読もうかな。やるべきことをこなしきれない毎日(情けない、、)だけど、久々に本で旅したくなってきました。
by orientlibrary | 2011-12-06 00:33 | 青の道

羊クラフト/イランのザクロ/青で描かれた鳥や魚

さすがに寒いです。もう11月下旬。ぬくぬくものが恋しくなってきますね。

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(手仕事クイーンTさんがラクダのサドルバッグを作成。「サドルバッグはバンバンじゃないとダメ」との持論から、ミニチュアでもパンパン。その場でどんどん作るクイーンの仕事ぶりはこちらで)

このところ「青」づいていたオリエント・ライブラリーも、ちょっとだけぬくぬく気分を味わいました@「ひつじクラフト」。ぬくぬく〜と温かい写真はこちら

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イランのザクロ、日本に届きました。
日本橋のダルビッシュショップにて購入。アイドルの文鳥が入り口まで一直線に飛んで来て迎えてくれました。が、つつかれまくり(>v<)、、でも、かわいいです☆

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美容にいいと人気になっているザクロ。ジュースはよくみますが、イランのザクロの生を見る(食べる)のは初めて。
酸っぱくて、コリッ、ギシッとして少し固いですが、でも、おいしい。後味がいいというか、ケーキとの二者択一なら、私はこちらを選びます。

実がぎっしりと詰まったザクロは、豊穣のシンボルとして、ウズベキスタンのタイルによく描かれます。ウズの家々の中庭にも、たわわに実っています。

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タイルに戻ってきたところで、ただいま開催中の「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」の展示作品などについて、少しご紹介。

西アジア、中央アジアの陶芸産地、その「青」を軸に、各地の青のニュアンスの違いや個性、作家が青に込める思いなどを特集した展示です。
イラン、トルコ、ウズベキスタン、古代や中世の陶器の展示は時々見ることがありますが、現代のやきものの紹介は少ないように思います。さらに青の比較というのはおもしろいのでは!?^^

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(トルコ・イズニックに工房を持つ作家、アディル・ジャン・ギュヴェンさんの作品。伸びやかな鳥。余白の多いブルー&ホワイト。鳥の表情が愛らしいですね)

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(ギュヴェンさんの工房にて。女性の作家さんが絵付け中)

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(トルコ・キュタフヤのメフメット・コチェルさんの絵付け。細密でありながら勢いがあり素晴しい。鳥の眼、まるで生きているよう。何かを話しかけてくるようです。今も1日に10〜15時間も作業をするというコチェルさん、つい「そんなに仕事をして疲れませんか」と聞いてしまいましたが、「描かないと死んでしまう」と。「夜中に描いていると、花たちが”私をもっと綺麗に描いて”と語りかけてくる」そうです☆)

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(ウズベキスタン・リシタンの陶芸家、アリシェル・ナジロフさんの鳥。大胆な構図、筆致が力強い。鳥と植物が一体化しているようです。強い青と相まって印象的な作品。 *展示のためテグスがかかっています)

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(ウズベキスタン・リシタンにあるウスマノフ工房の作品。双鳥もありますが、魚二匹の構図も時々見ます。伝統的なのでしょうか。ウズベキスタンでは魚を見る機会は少ないと思いますが、魚のモチーフがとても多いです)

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(アリシェル工房での絵付けの様子。葉の形の良さとイキイキ感が見せどころ。若い職人さんたちは、朝から夕まで熱心に仕事をしています)

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(これは今回の展示品ではありません。日本の青の例。東博にて撮影/以下解説より引用。「染付草花文輪花大皿/伊万里/江戸時代、17世紀/中国の芙蓉手写しの大皿を作っていた伊万里は、1660年代以降、和様の表現を持つ精作を作り出す。この大皿では、周縁部を和様の表現とし、見込みも余白を生かした絵画性の高い意匠とする。染付の筆致も繊細で、伊万里染付の新しい方向をよく示している」)

中国染付への憧れ、模倣から始まった各地のブルー&ホワイトの表現。気候風土や歴史的な背景が、どのように影響しているのでしょう。青の道は、まだまだこれから、のオリエント・ライブラリーです。


*** 11月23日は、会場である「世界のタイル博物館」におります。お天気も良さそうでよかったです♪♪♪
<追記> 13時30分より、トーク「シルクロードの暮らしとやきもの」をおこないます。こちらにもどうぞ☆ 現地の写真を200枚以上ご紹介しますよ〜^^。


(facebook&twitterカウンター、今回はちゃんと働いてくれるでしょうか??、、→ どうもダメみたいですね、、どうなってるんだろう!? +;+)
by orientlibrary | 2011-11-21 14:39 | 青の道

イズニックで陶散策&「かけら」拝見の至福

イズニック陶散策、続きます。(写真&キャプションだけですが、、(^_^;))

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(青は茶色に映えるんですよね。ボーダーだけの青の量がスキッとした印象ですね)

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(街の各所にあるゴミ箱。タイルでおなじみの様々の模様が描かれています)

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(表札もタイルでした)

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(チューリップ模様の表札。自分でオーダーできるのかな?)

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(窯址。探検したい!)

chinichiniさんの『- イスタンブル発 - トルコタイル通信』というすばらしいブログに、この窯址についてのお話があります。陶の長い歴史のある街なのですね。(下記を引用させていただきたく、、chinichiniさん、勝手にすいません!)

「イズニックの名前は、オスマン朝期に生産された『イズニック・タイル』で有名ですが、それ以前のローマ、ビザンティン、ルーム・セルジューク時代から陶器生産の中心地でした」

「現在の町の中心地近くに、窯址はあります。1960年半ば、イスタンブル大学のオクタイ・アスラナパ教授によりチニの破片が見つけられ、1980年代より毎夏、ここで発掘が続けられています」(chinichiniさんの『- イスタンブル発 - トルコタイル通信』より)

こんな窯址や陶の街を探検すれば、運がよければ見つけられるかもしれない、愛らしい「かけら」たち。まずは、かけらたちの持ち主のアトリエ外観をご紹介。

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(アディル・ジャン&ヌルサン・アトリエ。陶器好きには、たまらない時空間)

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(お家で見せていただいた宝物。ウロコ模様の青がきれい!)

歴史的にも価値の高いイズニックのタイルや陶器の陶片。かけら好きには、たまらない、、、、言葉はわからなくても、皆で見ているだけで、とにかくテンション上がります。

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(赤が盛り上がってますね)

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(愛らしい花模様)

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(白地の多さが好み。個人的に陶器の赤は苦手なんだけど、これは全然嫌じゃない。青とのバランスが素敵です)

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(いいですね〜。こんなの見つけたら舞い上がっちゃいますね!)

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(これ、なんだと思います?「貫入」ですって。貫入がカッコ良く映ったようで、絵付けで再現したんですね。この発想、面白い。世界は広い。そして美観は国境を越える)

写真だけですが、イズニックの魅力あふれるかけら編でした。ちなみに、背景の黒、バザールで買ったオヤ(刺繍)スカーフを敷いて撮りました。スカーフって、いろいろ使えます。

そんなわけで、秋も深まり、もうそろそろ落ち着く、かな??もう少し、体力つけて、がんばろう!

*最近またfacebookのカウントがおかしいです。せっかく「いいね!」にしてくださっているのに、反映がなく残念〜。excite、しっかりして〜!

*トルコ東部の地震、心配です。ヴァンは一度行ったことがありますが、地元の皆さんは、とても親切でした。9月末にトルコに行ったときも、各地で日本の震災への、心からのお見舞いの言葉をいただきました。被災地の皆様、どうぞご無事でありますように。救出がすすむことを祈ります。今年は世界レベルで天災や大きな社会変化があり、どうなっているのかと思ってしまいます。
by orientlibrary | 2011-10-24 22:18 | 世界の陶芸、工芸

パレスチナの天旗、青い茶碗で抹茶、古代イラン風丼

ペースは戻ってきましたが、なんだかめまぐるしい毎日です。ガッカリすること、考え込むこともあれば、時々はうれしいことも。ブログに書きたいのは、もちろんうれしいことです。

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これまで何度かご紹介してきた気仙沼の天旗
なんと、パレスチナ支援のNGOの方のご縁で、パレスチナ難民キャンプの子どもたちに届けていただけることになりました!それを知って、すごく感動しました。

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潮風にはためく天旗、のびのびとした勢いのある天旗、気仙沼のKさん手描きの天旗。
パレスチナの空に高くあがって!真っ赤な太陽のような元気な模様で子どもたちに笑顔を!

天旗と5月に出会ってから、このような展開になるなんて、、SKさん、事務局の皆様、本当にありがとうございました。
どんなに微力でも、成果が見えなくても、自分ができることを淡々とおこなっていくこと。いつか何かのつながりやかたちになるのかもしれない、、力づけられました。

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青のリシタン陶器。惚れ惚れと眺めてしまいます。

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ちょっとオタクに、サイドの模様をご紹介。

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可愛いなあ。。そして、この子たちも旅立っていきました。美しいところへ。
それで良かった。そう、それがいちばんですね!

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私ではできないこと、美しさの可能性を引き出して、暮らしの中で息づかせていただけること。
お抹茶だって、こんなに似合ってる!緑と青がこんなに合うなんて思わなかった。私ではわからなかった。布や金属とも自然に溶け込んでいる。

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青の茶碗でお抹茶をいただきながら、思わず感涙。ヘンですよね。でも、泣けてきてしまいました。美しいところで愛されて大事にしてもらう。最高のモノ冥利ですね!
出会いをつくってくださった皆様に感謝しております。ありがとうございました。

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楽しんだのは、これ。

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(スタンプ丼にしようと思っていたけれど時間がたって乾いてしまった轆轤成形の丼、何か面白いことをしてみたいと、古代イラン風に挑戦!さぶ先生に最初の線を描いてもらいました)

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(模様のイメージ、お手本はこちら!この色合いになる予定。あくまで予定!)

陶芸が楽しい。時々しか行っていないけれど楽しいです。でもけっこう腰にきますね。

こうして書き出してみると、、しみじみとうれしいこと、熱中できることが、こんなにある。書くことって大事だな。日記みたいなブログになりましたが、ペース回復をめざしていきます☆

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<ユーラシア横断近況報告/4月にロカ岬をスタートし、ユーラシア大陸を自転車で横断中のCoCの加藤君、田澤君、ついにトルコに到着/(メールより引用させて頂きます。了承済み)>

「現在トルコのイスタンブールです。

いよいよヨーロッパとアジアの架け橋となる地にたどり着くことができました。ヨーロッパのキリスト圏を抜け出し、すっかりイスラムの文化の中です。すでにモスクでお祈りに参加するという貴重な体験もしました。人も文化も町並みもこれまでの国々と大きく異なります。

今はポルトガルを出発してちょうど3ヶ月になります。これまで駆け抜けてきたヨーロッパでの6000キロの道のりは山あり谷あり嵐ありでけっして簡単なものではありませんでしたが、大きな事故もなく今まで無事に進んでくることができました。これもいつも日本で僕らを応援してくださっているたくさんの方々のおかげです。ありがとうございます。

そして、この6000キロの間に僕たち自身も予想もしていなかったような現地の人々との素敵な出会いがたくさんがあったことに驚き、感動し、感謝をしております。あらためて人々とのつながりの温かさや大切さを実感しております。」

自転車で大陸を進むことは、若いとはいえ生半可ではできないことだと思います。でも、だからこそかもしれないけれど、彼らの文章で毎回感じるのは感謝のことば。自然ににじみ出てくる感謝の思い。いろんな人や出会いや無事に走れていることに、常に感謝している。たくさんの体験と出会いのなかで、人間として大きくなっていっているんだなあ。次は中央アジアゾーン。嫌な思いをなるべくしないで、もし何かあったとしても笑い飛ばして、体験を楽しんで欲しいなと思います。(自分自身は「笑い飛ばす」ことができないでいる昨今ではありますが、、、(^_^;))

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(酷暑の中のギリシャの広大な平原、だそうです。暑そう、、)

ウズとキルギスの国境で大きな地震。リシタンもかなり揺れたようです。地震が多いなあ。工房は大丈夫かな、、8月に陶器をたずねて、行ってきます☆


*facebookがなぜか表示されませんね〜、、どうしてかなあ。。
by orientlibrary | 2011-07-22 23:11 | 社会/文化/人

日本の型染と、イスラムのきれいなもの

イスラムのタイルや建築に惹かれるようになってから、日本はどうだろうと、振り向くように見ることが多くなりました。その気分は年々強まっています。
そして、いつも思うのです。日本の匠、デザイン、文様、技法、色、どれをとっても、何て素晴らしいんだろう、と。
さらに、「見立て」や「銘」を通して、言葉やイメージを愉しむこともできます。深く美しい世界。日本の美、その入り口で、うっとりとしているのでした。

イスラムテイストに惹かれるということは、抽象的な文様や繰り返しのパターンが好き、繊細優美で細密なものが好きということだと思うのですが、日本にもそのようなデザインはたくさんあります。
共通項がありつつ、違いがある。これを自分なりに発見したり考えるのが楽しいです。

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(「日本の型染」展/文化学園服飾博物館)

先日見た「日本の型染」展(文化学園服飾博物館)では、落ち着きと華やぎを合わせ持つような小紋や中形など、多様な日本の型染を堪能しました。

「型染は、紙や木などの型を用いて文様を表現する染色技法の一つです。日本では古くから行われ、着物をはじめ、公家服飾、武家服飾、芸能衣裳など多くの服飾に型染が見られます。日本の型染は、主として文様を彫り透かした型紙を用い、種々の染色技法が施されています。型染の種類は実に多様であり、日本の豊かな染織文化の一端が示されています。

元来、型染は型を用いることによって同じ文様の染色品を量産する技法です。このため、型染には手描きによる自由な文様とは異なり、省略やデフォルメされた文様とパターンの繰り返しなどが見られます。型の使用という制約こそが型染の特徴であり、そこには整然とした文様や反復の諧調など、型染特有の美を見出すことができます」(展覧会解説)

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(「日本の型染」展チラシより引用)

日本の型染について、「型染・小紋・中形」(日本の染織シリーズ/京都書院美術双書)を見てみると、次のような解説がありました。(抜粋、要旨)

* 日本では、型紙に糊防染を用いたものが世界に例を見ないほど特異な発達を示してきた。 日本の三大染色技法といわれる手描友禅・絞り染・型染が、浸染による絞りはいうまでもなく、友禅・型染が糊を防染剤としてきたことはこのことがおおいに関係していると考えられる。

* 型染は量産性、整然とした繰り返し文様の諧調が好まれて発達してきたものと考えられるが、同時に硬い紙を彫り透かす時に生ずるデフォルメと省略による独特の文様様式が大きな特徴でもある。

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(唐草文様祭礼装束/麻/日本の染織シリーズ 京都書院美術双書より引用)

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(ウズベキスタンの伝統的絣模様/マルギランの工房にて)

* 日本における型染の展開は、こうした日本の文化的特質に基礎をおき、またその一角を形成してきたが、それは良質の素材の供給が可能になったことにも与っている。

* すなわち、第一に楮を原料とする手漉和紙による型地紙の生産、第二に型地紙を貼り合わせる渋柿、第三に糯米による高度な防染糊である。これらの三つの素材が揃ってくるのは、遺品から見て鎌倉時代のことと考えられているが、それ以降、日本の型染は技法、様式ともに豊かな展開を見せている。

* 型によって文様を作り出そうという考え方がいつごろから発生してくるのかわからないが、少なくとも奈良時代には相当の発展を見ている。木版や文様の形に彫った木印によって鑞を置いたもの、文様を彫った板に布を挟んで防染してそめるもの、木版に染料を塗りその上に布を置いて摺り染めたものがあった。

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(屏風袋/麻/奈良時代/正倉院/古く正倉院の宝物に見られる技法は、型を用いて文様を表すという意味で広義の型染ということができる。後の型染の源になったと考えられる/向かい合う鳥のバターンは西方的/日本の染織シリーズ 京都書院美術双書より引用)

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(タイル装飾/向かいあう鳥/ウズベキスタン)

* 型紙もまたいつ頃から作られ始めたか明確ではないが、平安時代に入ると新様式の武器武具の登場とともに用いられ始めたようだ。それは染革を用いる革所を数多く持つ大鎧という形式の甲冑に顕著で、ほぼ今日のような型紙が完成していたと思われる。

* 小紋は裃の流行によって、(江戸時代の)諸大名が各々自家の裃小紋柄を定め、留柄として一般の使用を禁じたことから技法・意匠双方の発展を促し盛行。 江戸時代中期以降の人々の好みに合い、特に女子の服飾に流行した。 一方中形は、絵画的な文様が多く、木綿に染めてもっぱら浴衣に用い、浴衣の別名ともなった。

楮、渋柿、糯米、、四季の自然によってもたらされた日本の素材、そして細密な型を作る道具や巧みな手仕事が、ゆたかな染織文化を育んでいたのですね。

(* こんな放送、見つけました!型紙作り保存の取り組みです。「ストリーミング放送 特集:伊勢型紙 手仕事の世界」。ご参考に=私のMacでは「プラグインがない」とのことで見られませんでしたが、ノートPC(Windows)では見られました)

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(被衣(かつぎ)/菊桐文様被衣/麻/女性が外出するときに頭から被ったもの。発生は不明ながら、型染や筒描を施したものが多い。京都のほか、北前船による都との交易が盛んだった庄内地方でしばしば見いだされる/日本の染織シリーズ 京都書院美術双書より引用)

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(ウズベキスタン女性衣装)


日本の多様な型染の中から、二羽の鳥文様、唐草模様、女性の被衣など、イスラム圏と重なるものを選んでみました。
日本と中央アジア、西アジアは共有するものが多いと思います。もっともっと交流が増えればいいですよね!
by orientlibrary | 2010-11-30 23:18 | 日本のいいもの・光景

模様も着こなしも、オリエンタルで!

◆ オリエンタルなパターン集 ◆

世の中にはやさしい方がいらっしゃるものです。この夏からタイル絵付けを習い始め、ヨロヨロしながら模様の練習をしている私に、うれしいプレゼントが☆
「Oriental」と名づけられたパターン集。「18世紀を中心とした日本、中国、インドの模様を、今様に使いやすく装飾過多な部分をなおしながら新たに描き起こし集大成したもの」「デザイナーのアイデアを実現するための重要なツールになる」という豪華パターン全集です。

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紺色の布ばりの箱の中にA4で150枚くらい、1枚づつパターンが描かれています。なるほど、これはトレースして実際に使用できますね。
「本が生きるところに」と譲ってくださったMYさん、どうもありがとうございました!!(涙)タイル好きで良かった〜!^^(ちゃっかり)

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(パターン集からタイル絵付けをイメージして合うのでは、と思うものを考えてみました。こちらは中国のパターン)

出版は1997年、インテリアやファッションにアジアの要素が入ってきた頃ですね。ベトナムやタイの雑貨が流行り(バッチャン焼きとか、懐かしいですね)、アジアンリゾートやアジアンエステが女性の憧れに。

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(インド・ラジャスターン、ホテルのインテリア。布使いが本当にうまい。テキスタイルが息づいてるなあと感心しました)

それまでは本当にアジアの情報って少なかった。例えば、インド製品=質が悪いというイメージが流布していました。洗練の極みのようなムガルインドのブロックプリントも、あまり理解してもらえなかった。

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(インドのパターン。イスラム的模様でタイル絵付けに映えそう。少しヨーロッパテイストが入ってきていますね)

時代は変わりました。
ボリウッド映画、ベリーダンス、韓流、ボヘミアンファッション、オシャレになったフェアトレードショップ、バングラデシュのバッグを商品化する(マザーハウス)など日本市場で勝負できる途上国でのモノ作りに日本の若者が関与、世界の果てのモノまで集めて販売する個性的なネットショップ。

レトロ可愛い中欧雑貨、トラトライバル・テキスタイルの専門ミュージアム「岩立フォークテキスタイルミュージアム」(2009年11月開館/東京自由が丘)、和のグラフィックやテキスタイルの専門ミュージアム「アミューズミュージアム」(2009年11月開館/東京浅草)、セレクトショップが「民芸もの」や「地方の手仕事」を扱う、若者の柳宗理人気、刺繍カフェや手作りフリマなど手芸人気、等々。

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(日本のパターン。これ、意外とタイル的な気がします)

書ききれません。日本の消費や文化の中で、欧米の影響力が弱まり、アジアなど幅広い欧米以外が浸透してきています。
加えて、グローバル化の中で自国文化の見直し、再発見気運も高まっています。食から住まで、最近の「和」人気はジャンル問わず。
また、買うばかりではなく、作る人も増えています。ブログだってそのひとつだと思う。皆さん、写真は上手いし、内容も臨場感あふれるもの。雑誌はほとんど読まなくなってしまいました。

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(日本のパターン。御所車がタイルになったらどんな感じ?)

あ、パターン集から、どんどん横道にずれてしまいました。「Oriental」といううれしいテーマ、まずはたっぷりと「真似」をしなくてはと思う今日この頃です。


◆ エルメスのエスノなスカーフ使い ◆

上の話題とも少し重なるんですが、先日「表参道ヒルズ」という私には見るだけの商業施設をブラブラしていたら、なんだかトライバルな雰囲気のビジュアルが目に飛び込んできました。「な、なに、これ?!」と迷い込んで行った先は、、なんとエルメス。

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(エルメス「カレ」パンフレットより引用。以下2点同様)

エルメスのスカーフブランド「carré(カレ)」の期間限定店「“J'aime mon carré(ジェーム・モン・カレ)”」なんだそうです。さすが老舗。老舗って革新的なんですよね。ヒッピー&ストリート感あふれてます。

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コンサバスタイルのOLさんがエルメスを首に巻く姿はかなり過去形で、クロゼットにしまい込んでいる人も多いはず。だって派手なプリント柄とテカテカしたシルクの光沢感は、ロハスだとかエコだとか言われる時代の気分と合わない。
でも「カレ」はデザインをポップにしたり70年代風だったり、うまく引き算してる気がします。何よりも巻き方がいい感じ!かわいい〜。使えますね〜。こうすればいいんだね〜。

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(ウズベキスタンにて、ヘアスカーフ巻き光景)

でもでも、スカーフといえばイスラム圏。オシャレにかぶっている若い女性も多いですよね。
ウズベキスタンだって、女の子たちのヘアスカーフは、すごく多彩!最近のヘアスカーフというものも、中央アジア発なのでは?(以前も書きました。「ウズ風プリントが揺れる、街に、モードに!」

やはり全体的に、エスノ、トライブ、工芸的手仕事、オリジナリティ、装飾、といった方にシフトしているような気がするのでした。
by orientlibrary | 2010-10-12 23:48 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

タイル絵付け修行・ハタイ篇(3)&タイル話をモザイク風に

今回はザクザクっと、タイルまわりのメモです。

「絵付け初体験、熱中篇」「イスラムデザインでタイル絵付け修行!ハタイ篇2」などでご紹介してきたように、この夏からタイル絵付け、しかも憧れのペルシアタイル絵付け(ハフトランギ)を習い始めています。その流れで、夏、ウズベキスタンの陶芸工房では作業光景をじっくりと見てきました。

タイル絵付けの先生は、もの静かな「さぶ先生」(ニシャプール出身)。じつは「穏やかな疾走タイプ」。何年か前から知っている方ですが、陶芸やタイルに関してのエネルギーの総量のすごさ、じわじわとわかってきました。熱中人、とか、こだわり、とか、そういう言葉じゃない。人生そのもの、といえるかもしれない、そんな気がしてきました。

会話はどんどんタイル界の彼方に。でも新たな目標というか、イメージもできつつあります。まずは、練習、練習!

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(花模様の練習。くるくる、円がとにかく大事)

3枚目のタイル、「ミヒラーブとハタイ」(自然な植物模様)の組み合わせは、タイルの大きさから、1枚では難しく4枚組くらい必要になりそうなので、今回はあきらめました。ハタイだけのもの、マンガンで線入れまで終了。そのあと、色を塗る前に花模様の練習です。久々だったので、すっかり曲線の感覚を忘れてしまって、円と曲線の練習。

その一方で、もう次回のタイル、決定です!
なんと前回、「無謀な野望」と書いた「十字タイルと星形タイル」を作ることになりました!タイル作りの最終目標だったんですが、、いいんでしょう。ふふ、楽しみ〜。

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(右紙=今回のタイル、色付け後に焼成予定/左紙=次回制作予定。手前はイラン・ソルタニエで買ったお土産。「セメント?ひどい、、現地でもっといいものが作れるのに、どうしてこういうもの売ってるの?」と先生、静かにコメント)

工房(教室)光景など。
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(ウズベキスタンスナックトリオ(干し葡萄3種、砂糖くるみナッツ2種、塩アーモンド)でお茶タイム)

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(世界にない色を作ろうと穏やかな意欲全開の先生。色味が様々に確認できるような形だそうです)

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(しずかで、いい色だ!名前つけたい。命名権を私に!和の名前をつけたい。そしてこんな色合いでイスラムデザインのタイルを作りたい!)

タイルつながりで、こちらもご紹介。ウズでD君がプレゼントしてくれた自作タイル。「トルコ風に描いてみた」とのこと。ミヒラーブとハタイでした!D君、ありがとう。

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(ウズのD君作のタイル、縦長長方形2個)

最後に前回のモザイクつながり。ウズベキスタンの陶芸家Aさん自宅の庭にあるキオスク階段がモザイクでした。陶器がいいから、モザイクにしてもかわいい。このキオスク(あづまや)でのごはんやお茶、なごみます。

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(ウズ、モザイク階段がかわいい)

最後の最後に、タイルつながりで、各地で拾ってきたかけら(ゴミじゃないですよ)お披露目。土埃、立ちました。

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(かけら)
by orientlibrary | 2010-09-29 00:00 | タイルのデザインと技法

「モザイク」と「モザイクタイル」

◆ 華麗なベネツィアンモザイク ◆

ようやく歩き回れる気候になりました。歩くのは体にもいいし、街歩きにはいろんな発見が。先日は、こんな出会いがありました。ふと目に入ったのは、黒と白の重厚な床と階段。え、モザイク?!日本でモザイク?!これってお店?アパレル?インテリア?レストランじゃないよね。

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華麗なモザイクに導かれるように階段を下りて中に入ってみると、そこには一面モザイクの空間が!しかも芸術的で本格的なモザイクです。どうやらショールームのようですが、それにしてもゴージャス!床は白い優美な大理石、壁面は深い黒がベース、そして鮮烈で多彩なモザイクパネルの数々。

スタッフの方ともお話できました。イタリアの「SICIS(シチス)」というベネツィアンモザイクのブランドのショールーム&ショップだそうです。オープンはこの夏。高級キッチンで有名な「トーヨーキッチン」が輸入代理店として日本でのビジネスを展開するのだそうです。

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その後ネットなどで調べると、このフラッグショップには総額1億円相当のモザイクが使われたとか。250平方メートルの広さを、大理石、天然石、金属などを使ったモザイクで埋め尽くすのですから、大げさな額ではないかもしれません。

モザイクの猫足バスタブ(400万円ほど)や目もくらむような豪華なモザイクに、「今の時代、よく出店されましたね」と、ついもらしてしまった大きなお世話の私。でも富裕層って、どんな時代にもいるもの。景気低迷と言われて久しい日本でも、そんなの関係ないっていう方々も多いはず。マーケットはあるのでしょうね。

豪華さやルネッサンスの絵画世界、イタリアンテイストとは縁がない私、本来ならば、こういうところは苦手で引いてしまうはずですが、意外なほど居心地が良かったです。
人間が前面に出たヨーロッパテイストだけだと窒息しそうですが、アジアや日本を意識したモザイク(オリエンターレ)が華麗。モチーフも鳥や植物など自然でオーガニック。スパイラルな植物模様のイスラムっぽいデザインもありました。

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(いちばん惹かれたマットな青色のモザイク。この色合い、他と何か違う。聞けば「ラピスラズリを練り込んでいる」とのこと。ラピス好きの私に訴えかけてくるもの、ありました〜☆)

私、モザイクタイル以外のいわゆるモザイクって、じつは惹かれないものがけっこうあるのですが、こちらの職人さんの手仕事、本物はやはり見応えがあり、とても触発されました。いいものを見せてもらいました。

「SICIS(シチス)」のサイトはこちら。YouTubeで見るとわかりやすいです。


◆ タイル作り、絵付け、モザイク ◆

ペルシアのタイル「ハフトランギ」の絵付けを習い始めてから、「タイル絵付け」「タイル作り」などのサイトを見るようになりました。それまでは、そういう教室ってないのだろうとあきらめていたので調べることもありませんでした。(でも、たくさんあるんですね〜。びっくりしました)

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(ウズベキスタン/サマルカンド/シャーヒズインダ墓廟のモザイクタイル、壁面のごく一部、ディテールです。くっきりとした線でイスリミを表現。デザインに合わせ色別に焼いた陶板をカットして集成したとは、、圧倒されます)

日本では「タイル=水回り、工業製品」のイメージが強く、タイル装飾の概念が稀薄。展示でタイルが紹介されるとしても、なぜか「ヴィクトリアン」「デルフト」などヨーロッパのもの。以前も書きましたが、ヴィクトリアンタイル、、これって、ちょっと違う世界ですよ。

一方、日本でも流通しており「タイル作り教室」も多いスペインなど南欧系のタイルやメキシカンタイルは、明るくカジュアルで魅力的ですが、気になるのは、このような系統のタイルだけが日本で「タイル」として認知されている現状です。

たまにモロッコ風インテリアの中でタイルが使われていますが、全体的に「本家イスラムタイル」「元祖タイルであるイスラム」、より限定的に言うならば「ペルシアや中央アジアのタイル」の存在感は、薄いと言うしかありません。

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(ウズベキスタン/ブハラ/モザイクタイル。色あいも細部で変えているため遠目にはまるで絵画のよう。これだけ緻密ながらイキイキとした躍動感があります)

今回いろいろ見ていて感じたのは、「モザイクタイル」に関するサイト、商品、教室、情報の多さ。多彩な材料を使い、フォトフレームや表札など好みのものが作れます。大理石などの本格的なものもあり、手作り好きの方に人気があるようです。

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(世界のタイル博物館/「クレイペグの壁」/メソポタミアのウルクの神殿を飾ったクレイペグは粘土を円錐形にして焼いたもの。壁に嵌め込むとモザイクのような模様を表現。モザイクの起源とする研究者も)

が、「モザイク」に「タイル」がからむと、タイルのイメージが固定的な日本の現状では、問題もありそう。青山のSICISのスタッフの方が、「うちはモザイクタイルとは言わない。ヴェネチアン・モザイクです」とおっしゃっていましたが、意図はよく理解できます。賛成です。

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(東京国立博物館本館〜庭が見えるレストスペース〜壁面。東博には、この他にも床などでのモザイク使用があり味わいと重厚感を醸し出しています)


*** 関連過去記事です(再度ご紹介) ***

 <日本のタイル史から見えてきた「本来の感性」
 <「ヴィクトリアンタイル〜イスラム〜日本」、、疑問です@旧岩崎邸」
 <洋館のヴィクトリアンタイルから もういちどムガル
by orientlibrary | 2010-09-18 18:01 | タイルのデザインと技法