イスラムアート紀行

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”みかわち焼”、やわらかな白と淡い呉須、超絶技巧が織りなす優美な陶世界

前回更新から時間が経ちました。時間の早さについていけてません。。こんなブログですが、どうぞよろしくお願いします。

この間、いろいろ見たものはあるのですが、今回は記憶の新しいところで、「江戸の美、明治の技、現代の匠  長崎 みかわち焼展」(渋谷ヒカリエ8階にて/1月20日まで)について。ライブトーク「みかわち焼めぐり」(講師:荒川正明さん)のお話を軸に、展示会場を巡るイメージで、ご紹介したいと思います。

* みかわち焼 * 400年の歴史をもつみかわち焼。江戸時代には平戸藩の藩主のための器や献上品をつくる「御用窯」として、篤い保護のもと採算を度外視したような繊細なやきものを残しています。幕末から明治・大正・昭和初期には、ヨーロッパへの輸出のための洋食器や宮内庁御用達の食器など、一時代の工芸を象徴した存在でした。こうして培われた職人技は、いまでもDNAとなり受け継がれ、うつわづくりが続けられています。(チラシより)

*「 」内=トークより、荒川さん、みかわちの作家の方、コーディネーターの坂井さんの言葉/写真の説明及び情報部分は、会場の展示解説、冊子「みかわち焼の見どころ・勘どころ」、チラシ等を基にしています。

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(会場光景。江戸〜幕末、明治、大正、昭和初期のものから現代の作品まで貴重な名品揃い!「美術館や博物館に展示されているほどの逸品が、オープンな場で見られる。あり得ない。照明もいいし見やすい」と荒川さん。ガラスケースの中のものは撮影も可で嬉しい。下段左はライブトークの様子。熱心なオーディエンスがたくさん。作品を見ながらお話を聞けるので臨場感がありました)

16世紀末から現代に続くみかわち焼ですが、その歴史や功績がきちんと認識されたのは、この10年くらいのことなのだそうです。

「みかわち焼は、江戸時代、幕末明治は細工物で有名だった。平成10年以降の研究でわかってきたのは、これまで柿右衛門と言われてきたものの中にみかわち焼が入っていたこと。平戸藩三川内皿山代官所跡の発掘調査では柿右衛門と同じようなもの、余白を持ったものが出てきた。浅草の松浦家の屋敷の調査でも、ものすごくきれいな元禄前後の染付がたくさん出てきた。これまで肥前や有田として報告されていたものも、再度見直したらみかわちということが多い。みかわちを見逃していた。研究者の間で、やっとみかわちの本当に歴史が認識されてきた」

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(染付草花文輪花皿/江戸時代/高級食器としてつくられたものと考えられ、皿の中央〜見込み〜部分は無地に二重の線、その外側にはボカシ濃みによって地面と大胡石と草花が描かれている)

「有田では18世紀には量産が始まり雑器生産に向かうが、みかわちはこの(高い)レベルを維持し、18世紀になっても16世紀と同じ仕事している。余白があり繊細なタッチで秋草などを描いている。鍋島の藩窯と同じような松浦藩の藩窯。江戸中期にもレベルの高い仕事、いい仕事をしている」

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(白磁水差/江戸時代後期/蓋の表面には、原料に含まれる鉄分がホツとなって現れている。本来、磁器製品としては白い肌を損なうマイナス点になるが、長石分が多かったと推されるマット調の釉と調和し、むしろやわらかい印象を生み出した)

「白磁水差しは、やややわらかい感じ。なにかあか抜けた白磁の美しさ、破綻のない造形の美しさ。ヨーロッパでは磁器の時代、白磁が流行した時代。そういう世界の流れにしっかり沿いながら磁器の仕事を九州でやっていた。海外に近い、世界に開かれた造形感覚がここにあったと感じる。日本の磁器の中では異質な世界、真行草の真につながる造形を感じる」

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(献上手唐子絵銘々皿/江戸時代末期/器の中央部分に二重線が引かれたものを「献上手」と呼ぶ。七人唐子、松、蝶など)

「唐子絵銘々皿は典型的な唐子。18世紀の後半から作られた有田より先んじて中国モチーフを取り込んだ」

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(染付雀竹文大皿/江戸時代/雀の躍動感と中央部の二重線、内部の大胆な余白で見る人にサイズ以上に大きな印象を与える)

「雀竹皿。周辺のものを自然に使う。色合いも自然。土を作るにしても今は精製する。鉄分を抜くので白い。これを抜ききらない侘び寂び的なものは当時の特徴。みかわちでは、天草の土を先端的に取り込んできたが、地元の土を混ぜながら発展した。地元の土を入れることで細工しやすくなった」

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(上2点は大正時代のもの/染付透彫香炉〜透し彫りは器面の一部をくり抜いて模様を施す/染付菊文献上徳利〜淡い呉須の色や底に近い部分の唐草の線がみかわち焼ならではのもの)

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(上部に龍の細工、染付で唐獅子の絵、下部に剣先模様)

「(↑上写真)、繊細な技法を駆使した細工物。龍に唐獅子の絵。有名な狩野永徳の獅子には渦巻きがあり大きな気を宿している感じがするが、この獅子にはものすごい細かい渦巻きが全体にある。勢いがあり素晴らしい」

「狩野派の絵師がみかわちに来た。絵師が原画を描き、やきもの職人が描写していく。日本画をベースにしている。染付の濃みでぼかしていく。筆跡がでなくて日本画のようなぼかしがでる。その効果がこの染付の特徴」

「文様は剣先が多い。武士の心。失敗を恐れず挑戦する。変なものを世の中に出さない(心意気がある)」

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(左:白磁毛彫虎置物、江戸時代後期、髭や眉毛も彫られているのが釉のたまりによってわかるが、口の中の細かい歯や瞳には釉をかけないことでリアルな表情になっている/右:菊彫文鎮、明治15年、菊花飾細工、一枚ずつ切り起こして生まれる花びら)

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(染付秋草文椀/江戸時代/江戸時代末期以降のみかわち焼は「薄づくり」が特徴のひとつになるが、その100年ほど前に、この当時としては薄く精巧につくられた高級食器。淡い呉須で、野菊などの秋草が繊細に描かれている)

「江戸中期の蓋椀。有田や波佐見がくらわんか茶碗のようなものを作っている時に、みかわちでは量産だと思うが緻密な絵付けをしている。余白を持っており、いい仕事。18世紀にこういうものがあったことに驚く」

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(染付鯉陽刻花瓶/江戸時代後期〜末期/藍色の鯉に重なるように動いた白い鯉は、「置き上げ」の技法で描かれている。器本体と同じ土を水に溶いたものを何度も塗り重ねるようにして描き立体感をつくる)

「鯉が二匹。白い泥を塗って盛り上げる置き上げという技法。浮世絵でも広重に盛り上げる表現がある。時代の流行を取入れ、やきもので重要な部分を浮き上げたのだろうか。魅力がある」

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(染付菊文角形水滴/明治時代初期/一枚一枚の細かい筋に至るまで描き、曲線が強調された花びらは、菊の流麗な魅力を引き出す。細密な描写とみかわち焼特有のボカシ濃みによって、絵画的な立体感をつくり出した)

「水滴。文房具、李朝が有名。菊水の意匠、永遠の命、吉祥。みかわちには菊の模様が多い」

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(中里陽山/昭和時代に名を馳せた陶工。卓越した絵付け技術。形のバランスやその薄さはみかわち焼の伝統。近代のみかわち焼の技術を体現/左はデミタスカップ、右は菊紋章入椀皿。薄づくりの皇室用食器としてつくられた。江戸時代以来のみかわち焼の特徴である淡い呉須が使われており繊細)

「品がいい。白磁の薄さは透けて向うが見えるくらいだ。ハレというか日常でも使いたい。欲しい」

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(現代の2点/虫籠鈴虫、嘉久房窯/白龍、嘉久房窯)

会場で頂いた『みかわち焼 散策ガイド 見方、買い方、歩き方』という冊子が充実!染付、唐子、透かし彫り、手捻り、菊花飾細工、置き上げ、薄づくりといった技法から、歴史、やきもの用語集、古写真、散策マップまで。ハンディサイズのこの冊子を持って歩けば、初めてでもスムーズに窯巡りができそうです。

昨年1月に引き続いての展覧会拝見。みかわち焼の端正・優美で品のいい佇まい、超絶技法を駆使した細密な表現、やわらかい白地、淡い青、薄づくり。美しいものに出会う、触れる幸せに存分に浸ることができました。作家の皆様、協同組合の皆様、開催準備をしてくださった皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。


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次回は、こちらも陶酔の陶芸美、板谷波山(現在、出光美術館で「板谷波山の夢みたもの」開催中)について、日本の陶芸超ビギナーが素人目線で、素直に感じたことを書いてみたいと思っています。

&青の釉薬づくりも最終局面に入ってきました(と期待!)。

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(透明釉レシピは決定。3種類比率替え呈色剤を加えた下段左の6つのピースの中から一つ、望みの青が輝きますように。青の名前は「リシタンブルー OLK(オルカ)」=orientlibraryとカドヤ先生のイニシャルで=にしようかなとかイメージ先行、どんどん広がってます。青ができたら、いろいろ作ってみたいな〜)
by orientlibrary | 2014-01-20 00:47 | 日本のタイル、やきもの

ティムール朝時代の陶器 染付への憧れと中央アジアのおおらかな美

ウズベキスタン陶器、18〜20世紀、14〜16世紀、9〜12世紀、、どれも簡単には書けないです。そう言っていたら何も進まないので、ティムール朝時代のごく一部のみの今回。文章は、いくつかの資料より、抜き書き、あるいは要旨抜粋です。自分でまとめる力はまだなし(悲)。いつか自分の言葉で書きたい!

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(皿/牡丹模様/15世紀/ウルグベクマドラサ、サマルカンド、ウズベキスタン/『ARTISTIC CERAMICS OF UZBEKISTAN』より引用)

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「中央アジアのイスラーム陶器と中国陶磁器 序章」(杉村棟さん/『シルクロード学研究7 (1999)』 より

「中央アジアにおけるティムール時代の建築遺構と装飾タイル」、今も何度も読み返している杉村棟先生の論文。掲載されているのは『シルクロード学研究7 中央アジアのイスラーム陶器と中国陶磁器』。この資料集を奈良で見つけたときは狂喜しました。その発行から十数年経ち、海外や日本での中央アジア陶器研究もきっと進んでいるでしょう。今後、資料見つけていきます。

<概論>
・ 中央アジアにおけるティムール支配時代の工芸品は、建築遺構や写本挿絵に比較して現存資料が少ない。 北米を中心に過去(1999年の論文)10年ほどの間に北米を中心にした研究者たちによりティムール朝時代の文化の再評価が行われ、まず建築に関する総合的な研究成果が発表された。史書や研究も活発になり、ティムール朝美術工芸の展覧会も開催されるに至った

・ ユーラシア間の文化交流は、近世大航海時代に活発化した。陶磁器類は海上ルートにより大量に運ばれるようになった。 当時中央アジアと明の間の交易が陸路を通じて行われていたことは明らかにされているが、内陸の中央アジアで発見されている陶磁器が陸路からもたらされたものか海路からか定かではない

・ 中国とイスラーム世界の陶磁器が相互に刺激を与え合って発展を遂げてきたことは言うまでもないが、その顕著な例が、14世紀のモンゴル支配時代以降、盛んにイスラーム諸国に輸入された中国の青磁や青花磁器で、これを契機として一種の中国趣味をイスラーム世界の支配者層の間に引き起こしたのである
・ 白地にコバルトの青で施文したローカル性の強い釉下彩陶器が各地で盛んに製作され、こうした状況は、15世紀ペルシアの写本挿絵に青花風の陶磁器が盛んに描写されていたことによって立証されている

・ 中央アジアにおけるイスラーム期の遺跡の調査と研究については、少なくともソ連時代には数例を除いて西側にほとんど紹介されなかった。 15世紀の東方イスラーム世界の陶器の技法と装飾様式に関する研究は、イラン、トルコ、アラブ諸国等地域的に偏ったものとなり、中央アジアを含めた総合的研究がおこなわれていないのが現状である

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(皿/15世紀/サマルカンド、ウズベキスタン/『ARTISTIC CERAMICS OF UZBEKISTAN』より引用)

<ティムール時代の陶器>
・ 東方イスラーム世界の15—16世紀の陶器に関しては、中央アジアのサマルカンドやシャルリサブスの遺構に見られる通り、タイルが突出して発達した事実があるにも関わらず、陶器の現存資料がきわめて少なく、それがこの分野の研究の顕著は遅れの一因になっていた

・ 欧米ではイランの15世紀の陶器の研究、とくに中国の青花磁器の影響を被った白釉青彩陶器などの研究が進められており、ティムール帝国(中央アジア、イラン、トルコ、アラブ諸国の一部)全体に共通した「国際的なスタイル」の存在が明らかにされている

・ このタイプは、トルクメニスタンなどにおいて出土例が若干あるが、中央アジア、主にウズベキスタン(サマルカンド、ブハラ、タシケント)やカザフスタン(オトラル)を中心にしたローカル性の強い「地方的スタイル」が存在したことが確認された

<中国陶磁器に関する調査研究>
・ イラクのサーマッラ、イラン北東部のニシャプール、シリアのハマ、トルコのイズニック等、イスラーム世界各地から、唐・五代の白磁、青磁、元・明の青磁、青花磁器など各時代に陸路と海路によってもたらされた中国陶磁器が出土しているように、それが中東各地の支配者層に珍重され、陶工に大きな影響を与えてことはすでに知られている通りである

・ 中国の陶磁器が中東のみならず中央アジアにも達していたことは、1988年から10年計画でおこなわれた調査によって中央アジア各地の博物館に中国陶磁器及びその断片が収蔵されている事実が確認された

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(鉢、陶器、緑黒色で魚を青釉に下絵付け/イラン、ソルタニエまたはカシャーン/13世紀/見込みは左回りの魚が底部に向かう。鋸歯状のボーダー。側面は一つの大胆な植物モチーフ。魚は豊穣と良き未来のシンボル/『UZBEKISTAN』より引用)

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(左:染付魚藻文輪花盤/中国清時代/『トプカプ宮殿秘蔵東洋陶磁の至宝展』より) *右:皿/リシタン/1990年代/魚藻文 *リシタンで今も見る「双魚と藻」。中国の典型例写真がなくトプカプの清時代のもの。いかにも中国の文様がリシタンに?長く疑問だった。ウズベキスタン東部の陶芸の町リシタン、伝統の継承の証だろうか)

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(同じくリシタンの皿と鉢。左は1990年代、右は2010年代/西のイスラーム世界とも中国染付とも異なる東方イスラーム世界のテイストを感じる)

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(リシタン、2010年代/リシタンでは魚のモチーフが多い。多彩で自由にのびのび製作されている印象。魚と唐辛子やアーモンドが一体になったようなデザインも見かける。清らかな水に棲む魚は清浄と平和の象徴と聞いたことがある)

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「中央アジア美術の至宝」(アクバル・ハキモフ/ウズベキスタン芸術研究所所長/『偉大なるシルクロードの遺産』より)

<ティムール時代の陶磁器>
・ 14、15世紀になり、ようやく国土を再建し、巨大な帝国を築きあげたアミール・ティムールが政治の舞台に踊り出たとき、中央アジアの民衆は再び創作活動を始めた
・ それは、都市建設、建築、芸術、文芸、工芸が勃興した時代として特筆される
・ 肖像画、精巧な織物、豪華な刺繍、鋳造容器、武器、宝石などの手工芸も繁栄した

・ 陶器制作においては、白地にコバルト絵具を用いて自由奔放な絵を染め付けた中国の陶磁器の影響を受けてまったく新しいスタイルが形成された
・ 中央アジアの職人により制作された陶器はカシナと呼ばれる土着の陶土を素材として、ブハラ、シャフリサブス、ウルゲンチなどで制作されたが、その中心はサマルカンドであった

・ サマルカンドの碧青釉鉢はティムール朝陶器を代表するものであるが、輸入陶器の装飾方式を複製することから脱却し、独自の文様を探求した段階に相当した
・ 施釉陶器を制作した職人はティムール朝期の建築物に広く用いられた建築用装飾タイルの制作にも携わっていた

・ 14〜15世紀の工芸美術の発展は現地の職人と中東の職人の技に負うところが大きかった。この時期の装飾文様は絶妙の域に達していた
・ 陶器では多彩陶が残り続けるとともに、青地、もしくは白地の器面に黒色で画を描く、色調を押さえた単彩画も用いられた
・ 植物文と文字文を持つすべての模様構成は、驚くほど見事に器形とその分割に従っている。器面にはりめぐらされた幾何文、縁、縞模様は、バランスを保ちながら、連続した動きを見せている

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(タシケントのティムール博物館。ティムール朝時代陶器断片。中国染付に憧れながらも、伸びやかで自由な中央アジアのスタイルを感じる)

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(同じくティムール博物館。中国の実物も展示。陶器好きには熱狂の内容。ガイドブックでも個人の旅レポートでもほとんど紹介されないのはなぜだろう。陶器は一時的な展示だったのかもしれない?)

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(ティムール博物館。15世紀。東西が入り交じった印象。白地に青が美しく、とても素敵ではないですか!?)

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(ティムール博物館。1996年建設とのこと。青いドームの外観はお札にも描かれている。写真は1階。豪華と言われるこのキラキラの内装で、展示が誤解されているような気がする)

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「like porcelain : fourteenth to sixteenth century ceramics from Uzbekistan」(Gisela Helmecke/磁器のように:14世紀から16世紀のウズベキスタンの陶芸)/『UZBEKISTAN』)は、さすがに長くなるので、次の機会にします。

「多治見・瀬戸 陶芸とタイルに出会う旅」に出かけます。しっかりしたレポートを書けるようにお話聞いてきます。
by orientlibrary | 2013-08-24 00:43 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

ウズベキスタン・18世紀から20世紀の陶芸の味わい

猛暑でバテていたわけではないのですが、時間が経つのが速いです。タイルのデザインや幾何学模様の6、8の形で圧倒された後、気がつけばお盆。静かなこの時期、読まねば!と思っていたウズベキスタンのやきものの資料を読んでみました。
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(ウズベキスタン陶芸についての本や写真集。今回参考にしたのは右下の『UZBEKISTAN』。下真ん中の『ARCHITECTUAL CERAMICS OF UZBEKISTAN』『ARTISTIC CERAMICS OF UZBEKISTAN』は未読。たぶん宝の山。時間かかります、、)

S先生から「ちゃんと役立てるなら」という条件でいただいた(実質はS先生の研究室で発見、抱えて離さなかった絶版本)『UZBEKISTAN』(THAMES AND HUDSON)。古代から現代までのトルケルタン(ウズベキスタン)の工芸〜染織、金属加工、陶芸等について研究者の論文+豊富な写真がすばらしく、充実した内容。

陶芸については、次の3つのパートがあります。
1:「ceramics from the ninth to the twelfth century」(Johannes Kalter/9世紀から12世紀の陶芸)
2:「like porcelain : fourteenth to sixteenth century ceramics from Uzbekistan」(Gisela Helmecke/磁器のように:14世紀から16世紀のウズベキスタンの陶芸)
3:「ceramics of the eighteenth to twentith century」(Johannes Kalter/18世紀から20世紀の陶芸)。

ウズベキスタンの陶芸について、9〜12世紀とティムール朝が繁栄した中世については、わりと資料を見つけることができます。わからなかったのは近代。ソ連からの独立後については、少ないけれどもなにがしかの情報があるけれど、その「間」がわからなかった。ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国、コーカンド・ハン国の3つのハン国時代後期からロシア帝国支配下、ソ連邦時代の陶芸。

結論から言うと、読んでもまだストンとはわからない。ウズベキスタン陶芸の基本的な理解が自分に足りないのだと思います。けれども、近世のウズ陶芸もまた、独自のすばらしい発展を遂げていたようです。

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(リシタンのウスマノフ工房プライベートミュージアム展示作品)

そして写真などをあらためて見直して、、私は本当にウズベキスタン陶芸が好きだ!と叫びたい気持ちになりました。

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(リシタンのウスマノフ工房プライベートミュージアム展示作品)

細密で繊細な絵付け、味わいのある土もの、好きな陶芸作品は多いですが、ウズ近世、1800年代、苦難のソ連時代、独立後伝統復興に苦労のあった時期、その後の隆盛。いろんなレベルのものがあったでしょうけれど、いいものも多い!独特の味があります。土の味、手の味、素朴でイキイキしたかわいらしさ。とても好きな世界です。

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「ceramics of the eighteenth to twentith century」

「ceramics of the eighteenth to twentith century」(Johannes Kalter/18世紀から20世紀の陶芸)の概略は下記のようなものです。

* 概要は箇条書きです。しっかりと正確に和訳していませんので、この点をご理解下さい。あくまでご参考のためのレベルです。
* 手持ちの写真(リシタンの工房附属プライベートミュージアム、ウズベキスタン内博物館等)+書籍内の写真で補足します。

・ 陶芸に必要な資源に恵まれたトルケスタンでは、陶芸が非常に成熟しており、鉢、皿、杯等、多くの量が生産されてきた。図案はアラブの影響を受けている。
・ 裕福な人たち地元産の茶碗を使わず、中国からの輸入ものか、磁器風のものを使用したが、これらは非常に高価で地元産の25倍もした。

・ 18世紀から20世紀の陶芸は、4つの代表的なスタイルに分けられる。
* 第1のスタイルは、地元固有のモチーフによる純粋にウズベキスタンらしいもの。いにしえの美が素晴らしいものがある
* 第2のスタイルは、中国的なもの。あるいは中国とウズベキスタンを一体化、融合したもの
* 第3のスタイルは、(筆者の私感だが)オスマン朝の美意識の影響を受けたもの。キュタヘヤと並行して作られたかのように見えるもの
* 第4のスタイルは、ペルシア様式の影響を受けたもの

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(『UZBEKISTAN』より引用)〜
〜(左上)皿/リシタン/18〜19世紀/施釉、下絵付けのティーポット、脇に護符と推定されるナイフの図柄  
(右上5点)茶碗と皿/ターコイズ青とコバルト青で下絵付け/左の皿はトルケスタンで発展したこの地独自の様式/右の皿は、中国の影響を強く受けている/中央のものはイランからの感化に由来する軽やかな植物文様/18〜19世紀/リシタンか?/The Museum Fur Islamic Kunst in Berlin 
(左下) 皿/白のスリップ(泥漿)の上に下絵付け染付。15世紀のデザインを踏襲しているが、釉薬のグレーの色合いが、この皿が15世紀以降のものであることを示している/17〜18世紀/ブハラ博物館|皿/下絵陶器/絵付けの様式は明時の中国の染付磁器と関連している。ただし、ギリシア十字で4分割するスタイルはトルケスタン独自のものである/リシタン/18〜19世紀/The Museum Fur Islamic Kunst in Berlin  
(右下)茶碗とボウル/白のスリップ(泥漿)の上に下絵付け/高台内に中国の印を似せたものがある。富裕層は好んで中国磁器を使用した。トルケスタンの陶芸家たちは中国が輸出した磁器を正確に真似た作品を作った/リシタン/18〜19世紀/The Museum Fur Islamic Kunst in Berlin | 皿/白のスリップ(泥漿)の上にコバルト青とマンガン茶で透明釉に下絵付け/泉を分割するスタイルはティムール朝に遡る/サマルカンドか?/18〜19世紀/The Museum Fur Islamic Kunst in Berlin)

・ (以下、写真を例示しつつ) 地場産陶器を中国の陶磁器のレベルにまで高めようとする。これに似た試みは、サファヴィー朝イランでもおこなわれた。中国様式と共通する植物文様、中国の印を模した高台内は進歩的な様式だった
・ 最も成功した例は、茶碗内部底面にギリシア十字(クリアブルーの地に白い十字)が中央アジアが起源であることが明らかである皿である。18世紀後半から19世紀前半のものと思われる。
・ すばらしい染付の器は、主にフェルガナ盆地のリシタンで生産された。皿はコバルト青、トルコ青、黄土色で絵付けされ、緑の縁には中国と中央アジアの要素がある
・ 異質なものは、内部底面のチェックボードのパターン、S字形の留め金のボーダーの皿に顕著だ。1縁は、菊の花を表し、中国にインスピレーションを受けた幾何学文様とともに小さな円形模様と交互にある
・ 純粋な中央アジアの伝統は、ギリシア十字、円花飾り、縁は斜線の菱形の皿だ
・ トルケスタンの伝統は、おそらく三日月形の刀がティーポットに寄り添うように描かれた皿の上に、最もすばらしく表現されている。ティーポットは、もてなしの象徴と推測され、三日月形の刀は権力と力を表している。大きなサイズは、かつて宴会で使われたことを示唆する。リシタンで作られたものと思われる
・ バラ水の瓶と水差しは双方とも、肩の部分に大胆な唐草文が渦巻く。サマルカンド産のものであろう
・ サマルカンドやヒヴァで作られた多彩彩色陶器は、主に、黄色、赤、茶、緑、白の花が描かれている。ヨーロッパの農民芸術を連想させる
・ 白地の水差しは、水玉と縞模様が首部分にあり、持ち手と注ぎ口に簡素な円花模様があるものは、キュタヘヤをモデルにしたものと思われる。これらの多くはブハラで作られた
・ 繊細で軽やかな樹木が絵付けされた小皿はイラン様式の影響があり、たぶんリシタンのものだろう

・ イスラム世界のすべての隣国とは異なり、トルケスタンは、ティムール朝とそれ以降とが明確に定義されるすばらしい個性を持つ。そして18世紀から19世紀に輝かしい成熟に達した

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(リシタンのウスマノフ工房プライベートミュージアム展示作品)

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(大崎・所澤コレクションより。1990年代のリシタン陶器)

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「中央アジア美術の至宝(陶芸)」

「中央アジア美術の至宝(陶芸)」(アクバル・ハキモフ ウズベキスタン芸術研究所所長/『偉大なるシルクロードの遺産』展カタログ)にも、少しですが説明があります。(以下、箇条書き)

・17後半〜19世紀初頭、ブハラハン国、ヒワハン国、コーカンドハン国が形成されたが先行する時代の芸術水準には至らなかった。孤立状態は閉鎖性を高め地方性の強さを増大させた。細密画は停滞し建築技術は下降した。工芸のみが発展した。伝統的手法と技術を基礎としつつ、陶器の他、木、骨、石を素材とした工芸など。

・ 18-19世紀には各地に施釉陶芸の主要な流派が形成された
* リシタン、グルムサラエなどを中心とする碧青釉陶のフェルガナ流派(タジキスタンのホージェント、カニバダム、チュルク、ウラチュベも含まれる)
* キジュドゥヴァン、ウバ、ブハラ、ウルゲンチ、サマルカンド、シャフリサブス、キタブ、デナウを中心とする黄釉陶のブハラ・サマルカンド流派
* ヒワ、カッタバグ、ハナカ村を中心とする碧青釉陶のホラズム流派
・ これらの流派はその伝統を20世紀まで残したが、その後秘伝の多くが失われた

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(コーカンド博物館展示品)

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(フェルガナ博物館展示品)

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『UZBEKISTAN』の陶芸パートの中で、内容的には、「like porclain: fourteenth to sixteenth century ceramics from Uzbekistan」(Gisela Helmecke/磁器のように:14世紀から16世紀のウズベキスタンの陶芸)が、非常に興味深かった。これまでも多少読んでいましたが、中国磁器のインパクト、影響の大きさを、リアルに感じました。とくに模様の解説が興味深かった。内容については、またの機会に紹介します。

またしても写真をたくさん準備してしまったので、、こちらもテーマを変えるか、続編としてご紹介します。「8」写真も出番を待ってます。
夏は陶芸のお勉強!今月下旬には、日本一暑い町の座を四万十に(一時的に)譲った多治見に行きます。炎の41℃台でしょうか!?こちらもたぶんいろんなご報告ができると思います!♪
by orientlibrary | 2013-08-15 15:10 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

古今東西、8が愛されてきたワケは?

装飾タイルの「8」〜“慈悲深き神々の呼吸”に続き「8」なのですが、、自分の写真からイスラムタイルの「8」モチーフのものをピックアップ。これは終了していました。
が、他のジャンルのものも気になり、さらに自分の写真以外のもの(本やネット)も見始めたら、もう完全に錯乱状態!?多い!!八角形、八角星、8つの花びらなどなど、、とめどなくなってきました。

こんなに8のものが多いなんて。とくに絨緞関係は、素人は入口も入れない。モロッコの精緻な幾何学文様の多様さは驚愕。モロッコ工芸の本『TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE 1、2』(=1冊が片手で持てないくらい重い2冊組。ネットに慣れた身には調べるだけで重い。字が小さくてパソコンのようにサクッと拡大できない。見るのにエネルギーが、、)を見ていたら、圧倒されると同時に、もう虚脱状態。

そのわりには、八角形や八角星についての文字情報が見つからない。(絨緞では専門的な研究書があるそうです。今は無理、、)でも、そういっていると、いつまでも更新できないので、写真をまず、しかも後から調べて混乱中のものからアップしようと思います。後日、情報がまとめられる時が来たら、別途か追記かしたいと思います。できるかな。。

写真が多いので、自分なりの結論を、最初にここで書いちゃいます。8がなぜ多いか=バランスがいいから。安定感があるから。かつ広がりがあるから。人にとって快い視覚なのではないでしょうか!?  (バタン、、また次回、、)

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モロッコの「8」

多彩でゆたかなモロッコの幾何学文様。図案ができる過程など。(すべて『TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE 1、2』から引用しています)

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(漆喰装飾/ifane王宮/ the kfatem slimanni =motif Solomons seals (ソロモンの紋章)幾何学的な花模様。〜ソロモンの紋章=全部で44枚の紋章。ソロモン王が天から授かった不思議な刻印のある指輪の伝説から。紋章は、科学と美と形而上学のつながりを象徴。宇宙の秩序、天空、星の軌道上の動き、天と地の間の永久の流れ、風と火の要素の間の永久の流れを反映。神からの恩恵による、超人間的な英知と法則を象徴〜)

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(漆喰装飾/Marakesh王宮/多角星の中、ピンクを使った花模様)

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(漆喰装飾/meknes王宮/ソロモンの紋章)

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(八角星で構成されカリグラフィーで聖典を記す)

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(八角星・八角形とその構造。星形の多角形デザインはイスラム装飾に無数にある)


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(トレーシングペーパー実例付き!)

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(花模様のイラストレーション、図案)

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(2つのzalijモチーフ。このようなザクッとしたパターンも魅力的。親しみやすい。カラフルさがパッと目に入る)

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([new patterns]より。新しいパターンのようだ/ラバト(モロッコ)の迎賓館。精緻でカラフルな幾何学文様が圧倒的なモロッコのタイルだが、新しいデザインはシンプル。青の色味や組合せにもカジュアルさを感じる)

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いろんな「8」

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(リシタン茶碗。一つとして同じものがない手描きのリシタン陶器。文様も職人さんの個性で。どんどん変化して多彩で面白い。8はバランスがいいんだなあ)

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(ウズベキスタンのスザニ。8つの円で構成されている。こういうのまで見出したら、ほんと無限、、)

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(タイル装飾。facebook marakanda.netより。Golestan Palace, Tehran, Iran。カージャール?ちょっとゴテゴテしていて苦手だけれど、いかにもペルシアのかわいらしさがある) 

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(絨緞の八角星。トルクメンなど多彩な使用事例。調べて書きたいと思っていたけれど、一回では無理。難しい)

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(facebook visit uzbekistanより。お菓子も。なるほど、こういうふうに8つ並べるとかわいいですね!、、ってよく見たら、、7だった、、上のも合わせて8だった、、早とちりでした。にしても、さすがウズベク、、自然体!)
by orientlibrary | 2013-07-31 00:23 | タイルのデザインと技法

「6」のデザイン 天地創造の6日間の理想表現

少し時間があいてしまいました。梅雨空のもと、元気にしています。あまり更新のないブログ、ご訪問頂いた皆様、ありがとうございました!さて今回は、6月ということで、「6」がテーマ。イスラームの幾何学で重要な6です。数学壊滅の私ですが、がんばります!

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おっと、その前に、、青のfacebookページ、「青の陶器とタイル好き * blue ceramic museum」。昨年末の開始以来、約半年がたち、現在オリジナル発信92話になりました。
Facebookは集計や解析機能がすごい。頼みもしないのに、アクセス数や話題指数など、いろんな集計が表示されます。半年記念に現時点での「THE 青のfacebook人気、ベスト3☆」!

第3位は、、ティムール・サブーリさんの青の釉薬テストピース。陶器やタイルの中で、すごい!深い青の魅惑。

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第2位は、、リシタン・ウスマノフ工房の皿コラージュ。強い青のインパクト。ウスマノフさん、おめでとうございます!☆!

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そして堂々の第1位は、、ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ、の装飾タイル。ブハラ・青の輝き!モザイクタイルは現地で見るのも圧倒的なのですが、アップで見るとまた凄みがありますね。

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刺繍王子Kさんが絶賛紹介、『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』(創元社/ダウド・サットン著 武井摩利訳)を即購入。コンパクトで読みやすい。簡潔でポイントが記憶に残りやすい。イスラム美術や幾何学の本は、分厚かったり難解だったりで手ごわいものが多いですから、これはありがたい。

最初の章(見開きの2ページ)=「最初の出発点」は、点、円、6個の円のお話。6個の円は「クルアーンに記された天地創造の6日間の理想表現」。これを拡げていき正六角形の点を結ぶと六芒星=「ソロモンの印章」(この印章付き指輪を使って精霊を使役したと言われる)。外枠だけを星形にして並べると星と六角形のパターンに。

(文章では、わかりにくいですよね、、でも図をスキャンして紹介していいものか迷います。この本では、コンパスと直定規だけを使って描いたパターンを豊富に紹介し、幾何学的土台の理解を促しています。肝の図形をスキャンするのは気が引けます。)

次は「6から作られる6」です。星と六角形からスタートして複雑なパターンに展開していきます。一見した印象は違いますが、元々は同じデザインから発展したことがわかります。

って、文章では、わかりにくいですよね、、  そうだ!タイルの事例ならいいですね。自分の写真ならば問題ない。現実にどう活用されているか、タイルからみえてきますね。

そんなわけで、iPhoto見てみました。私の場合、イスリーミ(植物文様)の方が多いのですが、壁面装飾ではやはり幾何学模様!なるほど〜、幾何学の理解がもう少しできるようになれば、タイルがもっと楽しくなりそう。

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(アイシャビビ廟/カザフスタン/カラハーン朝/写真左の四角形のレンガが建造物のメインですが、右奥には六角星(&六角形)、星の中に模様。この部分色を塗っているようにも見えますが詳細不明。でもキレイ)

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(アフマド・ヤサヴィー廟/トルケスタン/ティムール朝/タイル自体は修復だと思いますがオリジナルデザインは維持されているはず。花や葉のデザインも6に。そして六角形との組合せ。濃い青がレンガの茶色に映える)

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟/サマルカンド/ティムール朝/アフマド・ヤサヴィー廟と同時代。六角形が六角星にも重なり、ラインや花びら状のものも6。いいですね〜!時代が古いものは6のデザインが多いような印象。これが古雅な印象につながっているのかな)

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(カラーン・モスク/ブハラ旧市街/シャイバーニ朝/ミヒラーブを囲むようにある六角形青タイルのパネル。青の濃淡がさざ波のよう。サマルカンドのグル・エミル廟などティムール時代の他の宗教施設にも見られるこの水のようなタイルパネル。イラン・ヤズドの金曜モスク(1325-34)あたりから?)

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(チャルバクル/ブハラ郊外にある墓廟、モスクなどの複合体/写真は奥まった場所にあるアブー・バクルの墓と言われるもの。六角形&六角星模様のタイルの連なりが印象的。広い墓所に私一人、、こわいくらいに静かで、この文様が強く響いてきた、、)

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(ウルグベク・マドラサ/サマルカンド/建造自体は1420年/このような透しのスクリーンに六角形をよく見る。隠し度合いがちょうどいいのかな)

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(シャーヒ・ズィンダ?/♪☆6☆6☆6☆♪ 見事な6のハーモニー。青と白で軽快)

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(トルコ/キュタヘヤ/現在のプロダクツ、メフメット・コチェル氏のデザイン室で/描かれた文様が六角形を彩る。文様が揃ったらキレイだろうな〜!青もしっとり洗練の色合い)

というふうに、いろいろあって、掲載しきれません。6シリーズ、そして8、12へGO GO!!タイル道、精進するぞ〜!☆★☆!



★★★ この間、なぜか「ズルハーネ」(イランのアスレチック)検索からの訪問が多かったようなんですが、何かあったんでしょうか??   →→→→→  どうやらこちらの関係のようです。。「日本選手権の際、室伏広治さんはこん棒をコンクリートで自作したことを明かした。単に重い負荷でトレーニングするのが目的であれば他の方法でもよかったはずで、ズールハーネの精神性に引かれるものがあったのかもしれないと荒井啓子さん(スポーツ人類学者)は推理する」、、さすが室伏さん!!ストイック!!    ← ← ← ← ←  もともとの記事はこちら「パフレヴァーン(ペルシア騎士道)の伝統に連なる「ズールハーネ」見学記」 ★★★
by orientlibrary | 2013-06-13 22:43 | タイルのデザインと技法

セミラックパークMINOと美濃のやきもの

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セラミックパークMINO」は、「岐阜県現代陶芸美術館」と「オリベスクエア」と呼ばれるメッセ施設からなる、文化と産業の複合施設。設計は磯崎新氏。「緑のままの自然を残して、その隙間に人工的な構造物を作るなど自然環境との調和に配慮」「谷という地形を最大限利用し、方形の懸崖造りの施設」が特徴。
憧れつつ、写真だといまいちよくわからなかったのですが、現地はやはり迫力ありました。広大でモダンで気持ち良い。どの角度から見ても絵になる!それなのに、どこから撮ってもなんか違う。チマチマっとしてしまう。素人だし仕方ないです。いつものようにコラージュでごまかそう!^^

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(ギャラリーウオークからエントランスへ&屋上広場。陶の椅子の青がキレイ。ここで見た青空と新緑が忘れられない/「シデコブシが自生する中央の谷や尾根を壊さないよう駐車場を建物から離して北の谷に建物は南の谷に」「タイルや煉瓦など地元の陶磁器製品をできる限り使用」)

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(茶室〜水の階段。さすがの構築美/「屋上広場との一体利用も可能」)

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(大きな写真が展望台から見た全体像。広々として空気がいい。散策路としても魅力!左下は展望台から見えた木曽御岳山(ですよね?)。右下はウオークのところにあったタイルの街。あ、その上はえ〜と鰻丼です。コンベンションホールの「地元名店のカジュアルランチ」で。鰻ってものすごく好きではないんだけど、この鰻はふっわふわで人生一番のウナでした。/「自然を体感できるよう多くの遊歩道を設定」「陶片をギャラリーウォークの天井に貼り付け休憩施設の座面に陶板を使用」)

あれ?これだけ?幸兵衛窯同様、ここでも狂ってたのに。そうなんです、こちらは撮影禁止の場所が多く、写真がないので、どう書いていっていいか迷います。が、「陶芸作家展2013」、良かったです。「二名の人間国宝を含む重鎮から若手作家まで、 美濃を拠点に活動する陶芸作家110名の作品が一堂に会しての展示販売会」。大盛況。陶芸家一人一人の個性があって、じっくりと楽しめました。
来場者のやきものの見方を見ていると、日本人って本当にやきものが好きなんだなあと思います。自然です。機会あるごとにいいものを見ている日本人、暮らしのなかにやきものが当たり前のようにある日本。最高です。

ステージイベントは、皆さん携帯やデジカメで撮っていたので、便乗。アップしていいのかな??

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(青山鉄郎さんの作陶実演。土練り、轆轤引きを間近で拝見できました。語りもお人柄が出て和やかなパフォーマンスタイム。青山さんの青の湯のみ。写真、色が違うんですが、GR、CXというカメラ(いずれもコンデジ)の違いでしょうか。実物は左の方に近い感じです)

実演された青山さん、偶然というか、会場内でもっとも惹かれた青のやきものの作者。青の湯のみを分けていただきました。少しですがお話もできて、うれしかったです。青山さん、自然の中に入り、山や樹々や川を見るのが好き、と。この茶碗の青、清流のように感じます。茶や黄色も、なんだか渓谷や里山を思わせます。すごく好きで、目の前に置いて、いつも見ています。
ずっとイスラームの青を見てきましたが、コバルトブルーはかの地の紺碧の空のよう。この茶碗の青は水のよう。美濃の作家さんの青、いくつか拝見しましたが、日本の澄んだ水を感じました。穏やか、かつ清冽。惹かれます。

岐阜県現代陶芸美術館では、「アジア・木と土に見る“みんぞくのかたち”」を見ました。

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そんなわけで、ブログでは、もう一度、感動の幸兵衛窯に戻ります。桃山様式の穴窯では、職人さんが作業中。静かな庭園と窯、幸せなひとときでした。

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(古陶磁資料館、半地上式桃山様式の穴窯)

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(スタッフが見せてくださった加藤卓男さん手書き原稿。地図、正確/詳細な日記。チケットや写真、スケッチなど。何度も書きますが、この時点ですでに凡人とは違いますね、、)

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(ペルシア染付鶏冠壷 13世紀/淡青釉金彩花鳥文双耳壷 七代加藤幸兵衛/「シルクロード望見」七代加藤幸兵衛より 「背のうに陶のわざのみ籠み籠めて西の胡国へわが勇み行く」。七代加藤幸兵衛さんのイラン国立考古博物館での「ラスター彩里帰り展」、この夏7月4日から23日までだそうです。煌めく旅になりそうですね)

陶芸作家展でも、作家による書画が展示されていたんですが、当然なのかもしれませんが、書も絵も巧み!やきものを作る人って、デッサンから書道まで多才!加藤幸兵衛さんの「歌と画」も素敵でした。いちばん好きだった歌、「一粒の麦たらむわれオアシスに雪解け水の満ち来る春に」(オアシスの春は百花繚乱である。人も植物も生命の讃歌を奏でる。俺だってイランのオアシスの春の畑にまかれた一粒の麦なのかな)。

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多治見(美濃)の土、水、空、緑、やきもの、人との出会いに感謝します。拙い拙い十七文字ですが、心をこめて。

白壁の蔵に青葉の淡き影 
藤棚に花揺れ光り踊りおり  
新緑を映して流る川逸る  
桃山の穴窯万緑迫りけり  
まだ白き木曽御岳や風薫る  
万緑や鳥の形の雲一つ  
川面いま輝く五月うつくしき  
by orientlibrary | 2013-05-18 00:34 | 日本のタイル、やきもの

眼福の幸兵衛窯。新緑眩しい美濃を訪ねて

数日前のことなのに時間の感覚がなく、「いい思い出」としてひとこまひとこまが蘇る旅。岐阜県、美濃・多治見。
日本の陶芸産地を訪ねたいと思っていながら、意外に腰が重い私。ぜひ行きたいと思っていた多治見は、これまで何度も宿泊予約をしたのにキャンセルする結果になり(ブラックリスト寸前だったかも)、なかなか行けなかったところ。今回がご縁のタイミングだったんだろうなと思う。鮮やかな新緑、五月の風と光、清流、真っ青な空、最高でした。もちろん陶器も、人も、食も。本当に行って良かった。
数日間の小さな旅ですが、幸兵衛窯、虎渓山永保寺、セラミックパークMINOなど、一度では書けない感じです。今回は、イスラーム陶器と和の趣きが大好きな私にとって、熱狂時間となった「幸兵衛窯」の一端を、写真中心ではありますがご紹介したいと思います。

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(JR多治見駅の陶オブジェ/1時間に1本のバスに乗り窯元が集まる山間の市之倉へ/土壁の蔵、大きな青空にクラクラしながら地図を片手に歩く/見えてきた幸兵衛窯)

(以下は幸兵衛窯ホームページを参照しています)
幸兵衛窯は1804年に初代加藤幸兵衛が開窯。間もなく江戸城本丸等へ染付食器を納める御用窯に。五代幸兵衛は、青磁、金襴手、染付、赤絵、天目など中国陶磁をはじめ、乾山、李朝など幅広い技法を駆使した名品を生み出し、幸兵衛窯の礎を築き上げました。
六代の加藤卓男氏は、ペルシア陶器や正倉院三彩の技法の復元で有名。ラスター彩、青釉、三彩、ペルシア色絵など伝統と独創の融合した作品を制作。人間国宝。
現当主、七代加藤幸兵衛氏は、桃山陶やペルシア陶器といった幅広い作風を展開。三十余名の熟練職人とともに品格ある和食器を制作しています。

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(幸兵衛本館。加藤卓男展示室/上右は加藤卓男さんの制作現場再現/旅先の日記やメモ。偉大な仕事をする人たちは、記録からすでに違うと、いつも思う。一日の疲れもあるだろうに、旅先の宿でこのような正確で美しい日記を書くこと自体がすごい。すでに作品!)

主な展示館が3つ。とにかく建物全体が重厚で素晴らしい。内部の展示や調度も、本物逸品揃いでずっしり見応え。展示作品は一部ガラスケースに入っているけれど、多くはそのまま展示されている、、驚きです。数センチまで近づいても大丈夫。もちろん触らないけれど、伝わってくるものがある。「生」!しかも、写真撮影もOK。こんな太っ腹な陶器展示って、、私設ならではでしょうか。最高です!

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(加藤卓男氏作品。緑釉、青釉、ラスター彩、色絵)

代表作30点ほどとスケッチや日記。大作!ラスター彩!幅広い技法!それぞれに超一流の完成度。クラクラしつつ、「古陶磁資料館」へ。圧巻!言葉なし。

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(古陶磁資料館。約200年前の古民家を福井県大野市より移築。三階建て。庭園をはさんで桃山様式の半地上式穴窯/建物と陶磁器と調度としつらえと。贅沢な時間を満喫。ペルシア古陶、美濃古陶など)

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(古陶磁資料館の多彩な展示物は、最適な美しい居場所に)

入り口の青いタイルが目印の工芸館、五代加藤幸兵衛と当代の七代加藤幸兵衛の作品を展示。こちらも建物としつらえ、演出に熱狂。随所に飾られた花と器も和ませてくれます。写真は七代加藤幸兵衛氏が、この夏、テヘランの考古学博物館で展示するラスター彩。こういうものも惜しみなく展示されて、本当に感動です。

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(七代加藤幸兵衛氏のラスター彩。ペルシアのモチーフと日本的な感性。細密で上品!)

幸兵衛釜、当然陶磁器を見に行ったわけですが、驚いたのは絨毯の活用。日本の展示空間でこんなにたくさんの絨毯を見たことは今までありません。さすがペルシア陶器の研究者。ペルシアの美感を象徴するような手織り絨毯、その配し方と、流麗ながら枯れ感のある、どこか植物的な絨毯の数々を楽しませていただきました。

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(幸兵衛窯展示で使われていた絨毯、多数あった中の一部。真ん中のはバローチですか? →→→ こういう時はトライバルラグに詳しいSさんに♪「イラン南部のアフシャール族のもの」ではないかとのことです。南部なんですね。文様の構成が近く良し遠目良し、くたーっとしていて好きな絨毯でした。幸兵衛窯の絨毯、産地や文様それぞれ違うと思いますが、何か共通したトーンがあって興味深かった。やさしく素朴な洗練感のある野趣、的なものかなあ。セレクトする眼を感じました)

日本国内の観光名所を格付けするミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(フランス語版)第2版改訂版(2011年発売)で、幸兵衛窯が再度2ツ星を獲得。「近くにいれば、寄り道をして訪れるべき場所」なのだとか。真っ当な評価ですね。(個人的には三ツ星ですが)

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(お気に入りのタイル/花のあしらい/日本やアジアの調度とやきものの組合せ。余白のバランス、色合わせ/ ラスター彩タイル!LOVE!!顔をくっつけるような距離でしみじみ拝見。これ普通はガラスケースの中ですよ、、淡い青がふわんとしてきれい!)

明治時代から盃の生産が盛んな市之倉町。「さかづき美術館」には行ってみましたが、窯元巡りは全然できていない。野と山と川のある郷、散策したい。

眼福の幸兵衛窯編、今回ここまでに。多治見シリーズ、続きます。

* たくさんのfacebookいいね!ありがとうございます *
by orientlibrary | 2013-05-06 23:55 | 日本のタイル、やきもの

明治の粋と美意識、憧れとおもてなし。染付古便器

このところ、また青に凝っています。青のfacebookを始めたのがきっかけですが、写真等を見返してみると、ますますそれぞれの青が美しく感じられます。歩いていても、空の青、水の青、街の中の青に目が行き、きれいだなあとうっとりしています。いよいよ病(やまい)に入ってきました。

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青のfacebookは、西アジア、中央アジアの青がメインですが、日本の青もしっかり見ていこうと思っています。そんなわけで、今日は染付古便器をアップしたのですが、以前の写真などを見ていると、、ブログでも書いてみたいなという気分になってきました。

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<INAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館」内にある染付古便器のコレクション。以下同様>

染付古便器といえば、常滑市にあるINAXライブミュージアム。同館の展示は、質と量ともに圧巻です!一堂に並ぶ染付古便器は細密な絵付けが美しい逸品揃い。展示もブランド商品の売場かと思うような姿で、美しく整っています。

陶の芸術作品ともいえる明治の便器群を鑑賞していると、日本ってすごい、日本人の美意識と手技って素晴らしいという気持ちがフツフツと湧いてきます。

ネット検索でも、出てくるのは大半がINAXライブミュージアムのコレクションと解説関連。ていねいに解説されていてわかりやすいので、今回はライブミュージアム発信の情報から抜粋し、簡単なまとめをさせて頂こうと思います。

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トイレを美しく清らかに保とうとするのは、日本人固有の美意識です。明治、大正、昭和初期につくられた染付の便器は、青と白のシンプルな配色ながら、目を見張るほどの美しさをもち、日本のトイレ文化を象徴するものになっています。そのデザインには、日本人のきめ細やかな“おもてなし”の心を映し、海外の方からも高い評価を得ています。
※展示の古便器は、古流松應会家元の千羽他何之氏のコレクションが中心となっています。

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江戸時代後期、江戸の町では藍染めの着物と瀬戸産(愛知県)などの染付の食器が庶民に広く普及。「青と白」の取り合わせは粋でお洒落だという感覚が広がり、人びとにとってあこがれの対象となり、涼しさとみずみずしさの象徴となった。

ブームは明治時代に入ってからも続き、陶磁器製の便器にも「青と白」の装飾が施されるようになる。人目をはばかる空間だった便所は、視覚的にも精神的にも清らかな空間に。染付便器は一世を風靡。芸術作品と呼べるほど華麗で装飾性豊かな逸品がつくられた。
「染付古便器について」

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磁器製の便器が盛んに生産されるようになるのは明治時代の中期以降。江戸時代末期、当時一般的だった木製便器の形状を模して、陶器製の便器が瀬戸でつくられ始めた。陶器の素地を白化粧したのちに、青に発色する呉須(コバルト)で花鳥や草木などの模様が描かれた、いわゆる「染付」の便器。

当初はわずかな生産量だったが、濃尾大震災(明治24年〈1891〉直後から大量につくられるようになる。旅館や料亭、富裕層が復旧家屋のお客様便所用に、染付便器を設置するようになると大流行し、東海地方を中心に全国に普及していった。

華麗に染付が施された便器が一世を風靡すると、有田や平清水でもつくられるように。常滑では土管に多く見られる塩釉や、飴釉、褐色釉を掛けた便器が、信楽や赤坂では、白地に青釉を縦や横に流し掛けした便器がつくられた。

瀬戸では磁器製の便器の生産も始まった。美術品と見まがうほど華麗な文様が、内側にも外側にも施されていた。なかには、特別注文による作者の銘が入った、いわゆる“ブランドもの”もあり、非常に高価であったと思われる。

染付による陶器製便器は装飾性が高められていったが、明治38年(1905)頃になると、陶器製は変わらず染付が主流だったが、陶器より高価な磁器製便器は青磁釉を施したものが好まれるようになった。

さらに大正時代に入り、人びとの衛生観念が向上すると、都市部では人々の衛生観念が向上して吸水性のない磁器製便器を積極的に使うようになった。明治45年(1912)頃より、吸水性の少ない良質の陶器製染付便器が平清水でつくられはじめ、主に大正時代、東北地方を中心に出回り始めた。

大正12年(1923。関東大震災発生)頃には、陶器製の大便器も小判形が主流となり、青磁釉のものが多く出回る。昭和に入ると白色便器の関心が高まり、白磁の便器が増えた。
「古便器の変遷」

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白地に呉須で絵付けを施した染付便器の産地は3箇所あるが、ほとんどが瀬戸産。瀬戸では陶器と磁器の両方がつくられたが、磁器生産はわずか十数年。絵付けの技術も高いが、高価だったためそれほど普及しなかった。現存する資料はいずれも貴重である。 


有田では、わずか数年しか便器がつくられなかったようだ。現存する染付便器のうち、有田産と確認できているものは3点のみでいずれも磁器製。

瀬戸に遅れること約20年、平清水でも瀬戸を真似た陶製の染付便器がつくられるようになり、東北方面に出回った。鉄分を含んだ土に白い泥を厚く化粧掛けして染付が施されているため、瀬戸と産地の識別が可能。

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INAXライブミュージアムでは、陶磁器製便器やトイレに関係する資料・情報を募っています。問合せ等はこちら

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今週の青のfacebookから。

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<青のfacebook サマリー:青釉色絵金彩大壺(伝イラン出土、13〜14世紀)/イランの青色の花入れ(現代)/青花氷梅文壺(清時代、17〜18世紀)>

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<青のfacebook サマリー:タフテソレイマンの浮彫金彩タイル(13世紀/オリジナルのデータ(画像と解説)は、WEB「CAIS ARCHAEOLOGICAL & CULTURAL NEWS©」内「Takht-e Soleyman Tile on Sotheby’s Auction」)/リシタン(ウズベキスタン)の皿/トルコ・イズニックのアディル・ジャン・ギュヴェンさんの皿>

きもち、日の暮れるのが遅くなったように感じます。寒さきびしい今年の冬。春の足音に耳を澄ませたいですね☆
by orientlibrary | 2013-01-12 21:00 | 日本のタイル、やきもの

蛇絵画、カシミアショール、西域美術、、博物館で工芸旅

2013年、「イスラムアート紀行」は、西アジア〜中央アジアの装飾タイル、加えて日本を含めての工芸、やきもの、土、染織などを、もっとスタディしていきたいと思います。「青」のテーマもより深く広く知っていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

せっかくなので干支にちなんでと思いますが、蛇、巳は、ビジュアル的になかなかむつかしいですね。リアル蛇も、以前動物園で模様の美しさに惹かれ、たくさん写真を撮ったんですが、iPhotoに入れてみると引いてしまい、消去してしまいました。けっして蛇が嫌いではないし、怖いとも思わないんですが、、ビジュアルとして難しい、、

そんな蛇に、東博が挑戦していました。「博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」。「ここトーハクに140年をかけ巣食ってきた蛇たちが、いま結集しました」ということで、蛇にちなんだ絵画、彫刻、工芸品などを一堂に集めています。

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(左:胆松に白蛇/江戸時代、19世紀/販売目的ではなく配りものとして制作された版画を摺物と呼んでいる。新春を寿ぐ絵と狂歌を合わせた春興摺物として制作して交換することが江戸後期の趣味人に流行した。弁天様の使いとされるめでたい白蛇が松の木に絡み、朝日が昇っている) (右:岩山に坐す蛇使いの女/インド、北デカン/19世紀後半/音楽を表すラーガマーラ絵画の一つ。アサヴァリ・ラーギニーでは、孔雀の羽をつけた女が白檀の木の下に坐り、周りに蛇たちが集まってくるという図像が一般的である)

「蛇はときに、神のお使いとして、毎日のくらしの安全を守り、富をもたらすものと信じられました。また昔話や神話にもよく登場し、ふしぎな力をふるいます。日本に限らず、いろいろな時代と地域で、バラエティ豊かな蛇が絵に描かれ、形づくられてきましたが、そこには「おそれ」と「うやまい」の入りまじった、複雑な感情があらわれているようにみえます」(東博解説)

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お正月らしく、おめでたい模様、美しい模様を、東博展示から見てみましょう。和の手仕事、細やかで優美ですね。

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(左:打掛/白綸子地松竹梅宝尽模様/江戸時代、18〜19世紀/麻葉繋ぎ文に菊花文を散らした地紋を織り出した綸子に紅・萌黄・鶸色・浅葱・白といった絹糸や、金糸で刺繍を施した総ぬいの小袖。松竹梅や宝尽くし模様要など吉祥文で埋められた晴着) (右:唐織/紅白段牡丹若松孔雀模様/江戸時代、18世紀/日本では牡丹は「顔佳花」と称され美人をして「立てば芍薬、座れば牡丹」とたたえられた) 

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さて、この東博、東洋館がリニューアルオープン!待ってましたよ〜。耐震が主目的だったようですが、全体に明るくなり展示も見やすくなっていました。展示ケースに使用された低反射ガラス、LED照明で、作品がクリアに見えるのがうれしい。アイランド型というのか何というのか、四方から見られるのも陶器の場合、とくにありがたいです。

現在、特集展示として「アジアの染織 カシミア・ショール」開催中。きれいでした〜!「インド北西部・カシミール地方に生育するカシミヤ山羊から採取される上質な毛糸をさまざまな色に染め、綴織や刺繍で細密な模様を表わしたカシミヤ・ショールを中心に展示します。同時代のイラン・ケルマン地方で製作されたカシミア・ショールやインド・ムガル王朝やイラン・サファヴィー朝の衣装も併せて展示しますので、華麗な王宮のイメージをお楽しみください」。

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(カシミア・ショール 赤地ペイズリー菱花文様刺繍/イラン・ケルマン/18~19世紀/鮮やかな緋色のカシミヤ地に色とりどりのカシミヤ毛糸で刺繍。インド独特の植物文であるペイズリー文様。本来カシミヤショールは綴織だが、ヨーロッパで人気が高まり需要が増えるにしたがって、刺繍で量産を試みるようになった/cashmere shawl, paisley, lozenge and flower design in embroidery on red ground)


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(コート 濃紺ヴェルヴェット地花卉文楊金銀糸刺繍/インド・ジャイプール マッダ・シーン2世着用/19世紀/つややかに光る黒いベルベット地に金モール糸で豪華な刺繍を施し、ルビーや真珠、エメラルドといった貴石でまばゆいばかりに装飾されている/coat, flower design in gold and silver in embroidery on deep blue velvet ground)


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(カシミア敷物 赤地ペイズリー立木孔雀人物文様刺繍/イラン・ケルマン/19世紀/18の半ばから19世紀にかけてヨーロッパで絶大な人気を博したカシミール地方のショール。19世紀にはイランのケルマン地方でも模倣して作られるようになった。伝統的な立木文様に鉄砲を持つ兵士が刺繍された近代的感覚を加えたデザイン/cashmere carpet, paisley, tree, peacock and figure design in embroidery on red ground)


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(カシミア壁掛 赤地ミフラーブ文様切嵌刺繍/インド・カシミール/18~19世紀/イスラム教礼拝用の壁掛けに用いたと考えられる。彩り豊かな毛織物を文様の形に切り、地にはめ込み、さらに輪郭を色糸で縁取りした手作りのぬくもりが感じられる作品/cashmere hanging decoration, floral scroll design in embroidery on red ground) これ好きでした〜^^


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(カシミア・ショール裂/18〜19世紀/fragments of cashmere shawls)

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期待の西アジア美術、、少ないなあ、、以前は展示スペースが狭いからないのかと思っていた、、工事中は仮だからなのかと思っていた、、広い場所に正式に置いても数は少ないのね、、。「3か月に一度入れ替えをします」ということだけど、たぶん、私が期待している陶器は元々これ以上ないのでは??これまでいくら見ても、これだけだったもの。もう覚えてるよ(泣)。エジプトはまあまあ多く、考古学的なものもある程度ある。でもイスラーム陶器は東博には少ないということですね。中国陶磁、朝鮮陶磁は多彩ですよ!もちろん日本の陶磁器はすごいです!、、そういうことですね。旅をしましょう。

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(左:西アジアの美術、、)(右:青釉色絵金彩大壺/イラン出土/イスラーム時代・13~14世紀/この青が大好きです。この作品だけ別格で一点だけの展示に)


今年もミュージアム、ギャラリー、展示会やイベントに、どんどん出かけてレポートしたいと思います。&今年は陶芸産地も巡りたいな。日本の産地は全然見ていない。これは大きなテーマ。イラン、トルコ、ウズベキスタン、インド、パキスタン、中東、マグレブも、もっともっと見たい。
今年も遊びにお立ち寄りくださいね!^^
by orientlibrary | 2013-01-06 21:05 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

青い陶の花たち/ミントンタイル展/青の景セレクション

クリスマスシーズン、強い赤と緑と白、どこにいっても流れている同じ曲、強制的テンション揚げ揚げモード後、見渡してみると、やはり青系に目が止まりました。
フィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーとして世界的に知られる石本藤雄さんの個展「石本藤雄展 布と陶 −冬− スパイラルガーデン」(東京・青山)。

石本さんの「マリメッコ」での作風は、フィンランドの自然を題材にしつつ日本的な感性も感じさせます。また、フィンランドの陶器メーカー「アラビア」にて、自身のライフワークとして想像上の草花や自然の風景をモチーフとした陶芸作品の制作を続けているとのことで、今回は布と陶をともに展示しています。

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(写真撮影とブログでの紹介は、個人のブログでの節度ある内容をということで、OKを頂いています)

スパイラルガーデンの吹抜けの螺旋状空間を贅沢に使った展示。黒や白のもの静かな陶芸作品は、夜の蓮池やその水面に映る月をイメージ。「凍てつく冬景色を想起させる極限まで色彩を押さえた空間がひろがります」。

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ギャラリーの白の壁面には伸びやかで個性的な陶の花が咲きます。造形もイキイキと魅力的なのですが、印象的なのは色合い。同じ青でも、西アジア中央アジア等の明快で強い青とは異なる世界。深みがあり控えめながら芯の強さを感じさせ何か語りかけてくるような青に、共感しました。

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赤や緑も華やかですが強すぎない淡い色合い。モチーフに合わせて土の質感が変化しているのも面白かった。
フィンランドデザインは最近注目されているようです。日本人が世界のデザインや工芸の第一線で存在感を持って活躍しているのはうれしいですね。

「石本藤雄展 布と陶 −冬−」。会場:スパイラルガーデン/会期:〜2013年1月14日(*12月30日~1月4日までは休館)。


↓下のコラージュは、上段3点が引き続き「布と陶」より。石本氏作品のファブリックや生地サンプル展示です。
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中段は、中央アジアの布を使った衣服を作っているカンノテキスタイルの展示会場にて(展示は終了)。ウズベキスタンの絹織物を作る職人さんたちが腕を競って取組んでいる大胆な「復興柄」(一時途絶えた柄のリバイバル)も現地から届いていました。シンプルな新柄もテキスタイルとしての魅力がたっぷり。今後の展開が楽しみです。

下段は、カンノ展示会場にて。トゥバ音楽演奏家・寺田亮平さんのブーツ!皮の模様がカッコ良く、裏にはトナカイの毛皮が張ってありとても暖かいそうです。中央は口琴ケース。模様「オルチェイ」はトゥバでは「幸せ」を意味するそうです。右はトゥバ語の歌詞。寺田さんはトゥバ語の話者でもあります。

寺田さんたちが準備中の「中央アジアの音楽 テュルク・ミュージック・イン・トーキョー」は1月27日開催。詳細はこちらです。なかなかない機会!草原の風を感じるひとときになりそうです。


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イスラームのタイルに熱狂の「イスラムアート紀行」、それ以外のタイルはほとんど登場しませんが、現在東京で開催中の英国タイルの展覧会を見てきました。「ミントンのタイル 千変万化の彩り」。会場:渋谷ヒカリエ 8階 8/CUBE 1,2,3/会期:~2013年1月7日(※1月1日は休館)。

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19世紀イギリスの陶磁器メーカーMINTON(ミントン)の美しいタイルを紹介するもの。ミントンは中世ゴシックの象嵌タイルや、色鮮やかな「マジョリカ釉」開発など、新しい技術の開発に積極的に取り組みました。タイルが人々の暮らしの中に取り入れられたという面では功績大ですよね。

イスラムタイル偏愛を公言しているオリエント・ライブラリー、くすみと濁りのある色、過剰装飾のヴィクトリアンタイルは最も苦手で見ることができません。でもミントンくらいになると、一巡して見ることができ、勉強になりました。手描きタイルの一枚は、とても好きで見とれました。転写タイルと手描きタイルは違うもの。それぞれに良いということでしょう。

以上は個人的感想であり、存在感の強いイスラムタイルよりむしろ、このようなきれいなタイルを好まれる方が日本では多いと思います。歴史有るタイルの本物が一堂に揃い、系統だった説明があり見やすいです。東京での開催は貴重ですよ!ヒカリエは渋谷駅直結の便利な場所。オシャレなお店も集結しています。お正月休みにいかがですか!?


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スタートして10日間くらいたった青のfacebook「青の陶器とタイル好き* blue ceramic museum」。勉強を兼ねて、一日1題にチャレンジ中。どんなフォーマットがいいかも試しています。投稿も系統だっていません。そうすると、逆に、反応の強弱が見えてきて興味深いです!

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(10日間にアップした主な青=タブリーズのブルーモスク/トルコ・イズニックの水場/サマルカンドのシャーヒズインダ廟/ブルーモスク本の青/青の魅惑展(facebookはこの写真じゃなかった、、アップしたのはメフメットさんのコーナー。こちらはアディルジャンさんコーナー)/シャーヒズインダ廟浮彫り/リシタン陶器/シャーヒズインダ廟雫型モザイク)

今のところ、人気No.1はサマルカンドのコバルトブルーの壁面タイル。続いてタブリーズ・ブルーモスクのコバルトブルーの壁面モザイクタイル。
どうもコバルト青に惹かれる方が多いようです。暮らしの中にある藍染めや染付、このあたりが日本人の青の好みの底流にあるのではという気がしてなりません。トルコ石青は、むしろエキゾチックな色なのかもという気がしています。

来年も引き続き青道邁進です!
今年一年、ご訪問どうもありがとうございました。お礼申し上げます。
年末年始、お元気でお過ごしくださいね。
どうぞ良いお年をお迎えください。
by orientlibrary | 2012-12-28 15:42 | 日本のタイル、やきもの