イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

タグ:天幕 ( 4 ) タグの人気記事

天幕とジオラマ

写真をチェックしていたら、これを発見。

e0063212_23563017.jpg


「美しい世界の手仕事プロジェクト2010<シルクロード篇>レクチャー”トライバル衣装はこう纏う〜実技編・バローチ族を中心に”」のときに紹介していただいた画像をカメラで撮ったものでした。
これ、クエッタのチキン・サッジーでは?!たしかに遠火の炙りですね。

さてサッジー試食会のあと、私、先週末はサウジアラビアに行ってました。メディナのモスク、良かったですよ。

e0063212_23585269.jpg


、、って、もうバレバレですね。今年の「国際ブックフェア」、サウジアラビアのブースが規模も大きく内容も充実。書籍紹介というより、文化全般の紹介という趣き。なかでもこのジオラマが目を引きました。

e0063212_011050.jpg


カーバ神殿とモスクも。大きさや周囲の関係が少しつかめました。

e0063212_0124415.jpg


しかも精巧緻密で、メディナのモスクは床のタイルまで描き込まれています。こういう模様とバランスなんですね。あやふやなところのない厳格なデザインというか、キリッとした印象です。

国際ブックフェアは一般の人も多数来場する集客力のあるイベント。かつ全体の内容も知的。ここで文化紹介をするというのは、いいアイデア!
アラビア語のカリグラフィーで自分の名前を書いてもらえるプログラムは去年もありましたが、今年はさらに長い行列でした。人気ありますね〜。
そして今回、感心したのは(ちょっとびっくりしたのは)、スタッフの方がとても感じ良かったこと。大使館の方々なのかボランティアの方々なのかわかりませんが、やさしくいろいろ教えてくださり、説明も熱が入っていました。写真もOKとのことでラッキーでした。(会場自体は撮影不可のマークが)

サウジアラビアだけでなく中東の国々全体に、まだまだ遠い国、わからない国、という印象があると思います。しかも報道などのイメージから、ちょっと怖いイメージもあるかもしれません。
今回のようなオープンな展示やプログラムは、良い試みだと思いました。

そして、こんなのもあったんですよ。

e0063212_027482.jpg


テント。かなり大きいです。たくさんの人が靴を脱いで中に入り、くつろいでいました。ナツメヤシもサービスされていました。好印象。
天幕は、日本では「住居」としては馴染みがないですが、靴を脱ぐ暮らしの日本人には親しみやすいスタイルだと思います。広間、大座敷といった感じで、ゆるゆると和みます。いいですね〜。

が、私、大胆不敵なことを考えてました。「勝ったかも」^^。。

e0063212_033699.jpg


これは、「美しい世界の手仕事プロジェクト2008 テーマ4:シルクロード」のときのもの。手仕事クイーンTさんと部族説法師Sさん作の無国籍天幕です。(プロジェクト恒例の手作り&費用かけずの激低予算)

もちろん勝ち負けじゃございません。でもね、、

e0063212_0323412.jpg


インテリアの凝り方、ナイスと思いません!?(別名「自画自賛プロジェクト」)
奥にはマーシュアラブの刺繍布。トルクメンのテントベルトやウズベキスタンのスザニが飾られ、貴重なトライバルラグやクッションが惜しげもなく敷かれているんですよ。

e0063212_041352.jpg


角度によっては、「ここはどこ?」って感じです。記念写真撮る方、多かったです。
ウイグルの演奏家のかたは、「ウイグルよりもウイグルっぽい!」と喜んでくださいました。モンゴルの人、ウズベクの人も、ゆっくりとなごんでいってくれました。

テントの横には動物(馬〜ラクダ)も。(遊牧民の移動を再現。サドルバッグに荷物をつめて)

e0063212_15365329.jpg


しかも!その後、こんなジオラマまでできちゃったんですから。

e0063212_0403199.jpg


ジオラマからもう一枚。動物(馬〜ラクダ)の荷物の再現。

e0063212_15413992.jpg


クイーンT作ジオラマ全体などは、こちら「美しい世界の手仕事プロジェクト ジオラマ完成」から。

サウジのジオラマから、巡り巡ってまたジオラマへ。
「巡る」イスラムアート紀行でした☆
by orientlibrary | 2010-07-14 00:55 | 社会/文化/人

こんな空間で暮らしたい! 天幕を彩る華麗な布世界

三鷹市にある中近東文化センターで3月から始まっていた「中近東の織物 コプト織りとペルシア錦・絨毯」に、ようやく行ってきました。

e0063212_0544923.gif


コプト織りはキリスト教化した「コプト」と呼ばれるエジプトの人々が生み出した綴織(つづれおり)を主とする織物。そしてペルシア錦は豪華に金糸や銀糸を織り込んだイランのサファヴィー朝時代の織物です。コプトの素朴な力強いデザインは、単なる文様というよりも、何か象徴的な意味を持つ図像なのではないかという気がします。その「念力」みたいなものは、最近興味を持っている部族絨毯につながるものがあるように思います。

展覧会では、「イラン人と布 その歴史と伝統」(千代延惠正さん)という講演会も聞くことができました。イラン人と布?絨毯ならまだしも、布との関連で独自の特徴が出るんでしょうか?実際、先生もどんな切り口でまとめるか苦労されたようです。(レジメにも「イラン人独特の布の用法の発見=困難」と記してありました・・・)。けれども、布を広義に捉え、天幕や移動の籠などにも視点を広げた内容で、天幕好きの私には興味深いものでした。

e0063212_0571654.gif


まずイランの天幕を、ミニアチュールや浮彫などから抜き出して形状を整理。天幕に張られた布のデザインや文様も見ていきます。一本の棒に布をかけた原初的なものから、王様やお后のための豪華な天幕、暑さ寒さをしのぐ工夫など、ミニアチュールにはいろいろなタイプの天幕が描かれていることに気づきました。(写真で紹介しているミニアチュールは講演のものとは違いますので、文脈と絵の内容は合致していません)

床の絨毯と天井の布がコーディネートされている絵もありました。華麗で豪華な天井の布、、重さ的に絨毯ではないでしょうから、刺繍?手描きまたはブロックプリントの更紗?

e0063212_0574592.gif


移動のための布=籠、輿、幌馬車。日差しを避けるための布=傘、日よけ布。信仰の中での布=聖者の覆い布、旗。暮らしの中の布=チャドルや女性の顔を覆う布、食卓布ソフレ(テーブルのようにして使う布)など、、なるほど、イランの布の活用方法が多彩に見えてきました。

興味深いのは、やはり住居としての布です。移動を前提とした暮らしでは、持ち運び容易な織物がさまざまな局面で使われてきたようです。

以前は「テント」というと、キャンプというイメージしかありませんでした。でも、インド・ラジャスターン地方で美しい天幕に出会って以来、移動する人々にとっての住まいとしての天幕に魅せられてきました。本当に美しいテント・リゾートというものがあればいいと思ってきましたが、自分の企画としてはかないませんでした。

e0063212_0581482.gif


ところはそのインド・ラジャスターン、数年前アマン・リゾートがテントホテル(アマニカス)をオープン。私、贅沢したいと思いません。ブランドものもまったく興味なし。ですがアマンには泊まりたい!とくにテント・リゾートは憧れだっただけに、一生に一回は!

*写真は、(上)コプト織り(展覧会チラシより引用)、(2〜4番目の写真)=美しい天幕が登場するミニアチュールは『MINIATURES ILLUMINATIONS OF NISAMI’S “HAMSAH”』より引用しました(出版社名はロシア語のためわからず、、以前ウズベキスタンで買ったものです)。
by orientlibrary | 2006-06-26 01:27 | 絨緞/天幕/布/衣装

移動にも天幕の中にも。遊牧民の袋もの、カッコイイ〜!

遊牧民が移動するときに、財産や穀物、生まれたばかりの子羊などを入れる「袋もの」を集めた展示会が新宿で開催されました。毎回テーマにこだわった展示を続けるtribe(リンクのカフェトライブ)さんの主催です。タダでさえ触れる機会の少ない部族の織物、袋ものだけを一同に集めて見る機会は、さらにとても貴重!tribeさん、いつもありがとうございます〜!以下は、tribeさんが作ってくださった資料からご紹介させて頂きます。

e0063212_22352788.gif


●私たちが「袋もの」というと、ラブリーなものを連想しますが、遊牧民の袋は大型の頑丈な織物です。山脈や渓谷などを移動する過酷な道のり、大切な家財道具などを運ぶのですから、ヤワなものじゃ間に合いませんよね。下の部分がパイルになっているものもあり、重い荷物にも安心!

●でも、頑丈がウリでも、全然無骨じゃない。それどころか、このうえもなく繊細で美しいのです。それがスゴい。カッコイイです。他の部族に見られる機会も多いことから、織る女性たちも部族と自分の美的センスと技術の見せ所だったのかもしれません。

●代表的なのは、ロバなど動物の背にかけて両側に振り分けて荷物を入れる「サドルバッグ」。有名なのは、1メートルを超えるものを織るイランのロリ/バクチアリ族だそうです。

小麦や衣類を収納する「ジュワル」(大型のもの入れ袋)では、トルクメンやクルド、ユルックなど、各部族の個性豊かな完成度の高い織りを見られるそうです。そのまま天幕の中のインテリアになりますから、力入りますよね。カッコいいなあ。

e0063212_2238264.gif


●面白いのが「塩入れ袋」↑。食用となる塩を収納するための袋ですが、上部が細くなっているのは、家畜に大事な塩を舐められないようにするためなのだそうです!この狭さでは口を入れられませんね。かわいそうだけど仕方ない。

●この塩袋がきれいなんです!表はぎっしり文様があり、裏はストライプなどちょっと軽いデザイン。両面それぞれ魅力があります。房飾りがたくさんついたものもあります。センスの良さで定評のあるシャーセバンやクルド、カシュガイなどイラン各地の遊牧民が織るそうです。

e0063212_2237779.gif


立方体の形の「布団袋」はマフラシュと言うそうです。この袋、テントの中では赤ちゃんのゆりかごに変身!汎用性が魅力。私たちの暮らしにもおおいにヒントになる部分があるように思います。シャーセバンのもの、以前から欲しいんですが、、積み立て貯金しないと、、

e0063212_22405883.gif●この他、いろんな袋ものがあり、部族のモチーフや色彩が表現されるそうです。「もっとも部族性が強く表される毛織物が袋もの=トライバルバッグ」と、tribeさんは言います。

●絨緞も深いですが、袋ものも気になりだすと、もっと知りたくなってきます。私にとっては、まだまだこれからの世界です。

●差し入れのデーツをいただきながら、「今の生活の中で塩袋をどうやって使うか」で盛り上がりました。すっごく魅力的なんだけど、いざ買ったら家でどうしようかな、と考えますよね。花を入れる、長い定規を入れる、あたりはまっとうな意見。取りにくさを逆手にとって貯金箱、マネキンに着せてディスプレーに、クッションにして口の部分にホカロンを入れて腰に当てる、、このあたりで居酒屋に流れました。

*写真、一番上は展示会直前に海外から届いたというサドルバッグのサイド部分。惚れ惚れする完成度。クラクラ、、3番目の布団袋はウズベキスタンのもの。華やか!
by orientlibrary | 2006-05-22 23:03 | 絨緞/天幕/布/衣装

移動する家、1時間でできる住宅・・・天幕LOVE!

日差しに弱い、乾燥に弱い、肉・脂系食物に弱い。なのに、どうして乾燥地帯、西南アジア、イスラム圏にどっぷり惹かれてしまったんでしょう?? パキスタンのチョリスターン砂漠では、肌がボロボロに。さらにその後、百円玉大のシミにが頬にポッカリ浮かび上がってきたときには、思わず叫びました。・

e0063212_0322857.gif


そんなにしてまでどうして?ほんとどうしてでしょう。きれいな落ち着いたところが世界にはたくさんあるのに。そんな私の前世からの遺伝子が引き寄せられるのは、タイルやレンガなどの土の建築文化、土色に映える華やかな民族衣装や部族の模様が魅力的なキリム。そしてもうひとつ、興味津々なのが天幕、テントなんです。

マハラジャや王様や族長など、最高権力者だって天幕で暮らすのですから、天幕自体が発達しますよね。インドのムガルテイストのテントは、インテリアがブロックプリントの布で華麗です。移動する住居は、みな凛として美しい!

e0063212_0342640.gif


そしてモンゴルのゲル。モンゴルの遊牧民一家の生活を描いたド映画『天上の草原のナンサ』でも、次の放牧地に移動するためにゲルを解体していましたが、その手早いこと。ゲルの大きさや人数にもよりますが、解体は約30分、組み立ては1時間ほどでできるそうです。きびしい寒さ暑さにも快適な家が、なんと1時間でできる。ローンの支払いに一生かかる日本とは天と地の違いです。

そのゲルが、どうやって今の形になったか。「半地下式竪穴住居(右)や円錐天幕式住居(左)から、移動式のゲル(下)に発展した過程」を描いた図がありました。

e0063212_0335859.gif


なるほど。でもさらに、解体して組み立てる可動式になるまでには、長い年月を要したみたいです。その間、どうやって移動していたの??車の上に住居を載せて移動したそうです。元祖トレーラーハウス?エンジンは馬ですけどね。

最近は日本でも、ゲルを室内に配したレストランなどが、円形の空間で親密な雰囲気を楽しめると人気になっています。

e0063212_0352926.gif


天幕の中のインテリア、意味、機能、モノなど、ノマドの暮らしや考え方についても、これから少しスタディしていくつもりです。天幕、軽やかで潔く、見るほどに深い世界。みなさん、テントはお好きですか?

*写真は、(上)インドのテント・ホテル、ムガル柄のブロックプリントが壁面を飾る。パンフレットより引用 (中)車輪がついた移動式ゲル。モンゴルのゲルキャンプにて。その昔、チンギス・ハーンなどが乗って草原を駆けめぐったという。迫力満点 (下)日本でもゲルが人気に。モンゴル料理店「チンギス・ハン」など(日経流通新聞060118より引用)
*図は、「移動式ゲルへの発展」(「遊牧建築から移動建築へ」より引用/『遊牧民の建築術 ゲルのコスモロジー』/INAX)
by orientlibrary | 2006-02-28 01:11 | 絨緞/天幕/布/衣装