イスラムアート紀行

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ユーラシアの楽器 ユーラシアの本

●2回続いたアルメニア、石造建築や独特の文様、絨毯など、まだまだ追いかけたいことがあります。テーマが見えてきたということで、ここはいったんお休みして、今回は雑談的な話題にしたいと思います。(写真はユーラシアの楽器です。記事との関係はなく、、バックグラウンドという感じです)

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●今日はある国の大使館にビザの申請に行ってきました。すこしカルチャーショックでした。暗い玄関の下駄箱の上みたいなところで、領事館のスタッフに教えてもらいながら申請書を書いている女性がいて、なんでここで?と思っていましたが、どうやらそこで書くのが通常のようでした。その次に私もそこで書きました。普通は旅行社の人が記入したものを持参して渡すだけだから?

●「利用者にとってどうか」を反射的に考えてしまう習性から、「コーナーを作って机ひとつでも置けばいいのでは?」と思ってしまいましたが、、でも、スタッフの方は明るく親切でした。



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●世界中で観光の振興に熱心な国が多いと思います。日本も「ようこそ!JAPAN」キャンペーンをやっています。旅行の場合、ビザの時点からもうその国との関係は始まっている気がします。そういうのも意外と大事なんですよね、旅行者には!


●帰り道、渋谷の書店で「アジアの本」特集をしており、ストレス解消もあって、ついつい何冊か買ってしまいました。アマゾンに慣れたこの頃、、「本って重い、、」。


●そのなかの一冊、『シルクロード いくつもの夜を越えて』(西東社)はフランス人男性がマルセイユからカシュガルまで1万キロを2年がかりで歩いた体験記です。
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●イタリア、バルカン半島、トルコ、小アジア、コーカサス、イラン、中東、中央アジア、アフガニスタン、パキスタン、中国へ。西から東へのシルクロードとそこに暮らす人の生活が描かれています。厚い本ですが、写真もイキイキしていて、読むのが楽しみ。


e0063212_23125230.gif『ユーラシアの神秘思想』(岡田明憲・学研)は、古代ローマの審儀、イスラム教のスーフィズム、ユダヤ教のカバラ、仏教の密教など、ユーラシアに展開されるさまざまな神秘思想が「人類の原思想」ともいうべきひとつの起源から発しているとして、その共通性を探っているものです。ゾロアスター教に関する著書の多い方だけに、こちらも楽しみ。


『素顔のアジア』(三井昌志)。お友達ブログでも、三井さんの写真のファンが多いことがわかってきましたが、この人のアジアの写真、子どもたちの表情がほんとにいいんですよ。まっすぐな瞳を探しての副題のように、迷いのない生命力のあるまっすぐな目が魅力的です。&アジアファンにはおなじみ『新アジア赤貧旅行』(下川裕治)も、さくさく読める中に何か考えさせるものもあって、ついつい手に取ってしまいます。


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●今回の楽器編、本来なら楽器について説明があるべきなのでしょうが、この分野は知識がありません。(どなたかコメントで教えてください〜!)。でも、ユーラシアの音の世界は好きです。楽器は土地の材料で作られ、音質はその土地の空気の中で冴えるような気がします。


*写真上から、◆シリア・ダマスカスの街角で。隣のおじさんは写真屋さん。人なつこい人たちでした ◆ウズベキスタン・ブハラで。多分有名な音楽家だと思います ◆パキスタン・北部辺境州の山の中で。バグパイプなど賑やかに突然現れた! ◆インド・ダラムサラで。チベットオペラの演奏です ◆モンゴルのナーダム(競技会)で馬頭琴。草原の響きですね〜。
by orientlibrary | 2006-05-11 23:38 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

イラク現代演劇4本&トークで4時間 濃い〜・・・

ときはバレンタインデー、ところは新宿の小劇場。挫折中のアラビア語クラスの課外授業編でイラクの現代演劇を見てきました。イラクは古代メソポタミア文明の地。サーマッラー(アッバース朝の都城址)も見たいし、行きたい国のひとつですが、タイル・建築も含めてあまり知識なし。おまけに演劇自体に疎いので、まったく予備知識なし。そんな私の見たまま感じたままの観劇メモですが、イラクの演劇公演自体が稀少でもあり、思うこともあったので、書いてみることにしました。(以下、少し長いので適当に、お好みで?・・

e0063212_23223973.gif●劇場は満員。床に座る形式のため、一番前の席に座った私の目の前に役者さん。構成は、イラク人劇作家のドラマを日本人役者が読むドラマリーディング(朗読)3本、イラク人の構成・演出・出演によるパントマイム、イラクと日本の関係者によるシンポジウム

● “ゴドーを待ちながら”のイラク受容だという抽象的な作品、国境線での逃走劇を描いた作品は、内容が理解できないわりには、日本人の役者さんたちの熱演のせいで最後まで目が離せませんでした。

●ドラマ朗読の『戦争時代のお父さん』は、誘拐され乞食として商売道具にされた年老いたお父さんを子供たちが奪い返すお話。なんと現実にあった出来事。大きなニュースにもなったそう。無法がまかり通り、人間さえ商品にされる社会、家族の裏切りや愛情。戦時下のイラクの話なんだけど、日本にもつながるような普遍性も。観客の反応も良。

●そしてパントマイム『バグダッドのオテロー僕たちには時間がない』は、正直、不可解(もとのヴェルディの「オテロ」自体を知らないし)。彫りの深い役者さんの真摯な表情がライティングで陰影を増し、鏡を手で割って血も出たりして・・。隣の女性はチラシで顔を隠してしまって泣きそう。その隣の人は役者さんが口から吹き上げた水を浴びてました。あの席でなくてよかったわ〜・・。

●シンポジウム(というより会場からの質疑応答が主)では、演劇関係者が多かったのか、イラクでの劇団運営をめぐる具体的な(生々しい)展開に。ただしイラクからの皆さんは、政治、宗教、社会の話は、慎重かつ断固として基本的に拒否。芸術の話のみ。

●たしかに、演劇という専門分野で来ているのに、どこへ行っても政治のことばかり聞かれるのもうんざでしょう。でも、あまりの素っ気なさに、いろいろ事情もあるのではないかと思いましたが・・。以下に、そのスケッチを少し。

* イラクには現在、伝統劇から現代劇まで合わせて25ほどの劇団がある。劇団員数は5名から20名など、いろいろ
* 劇団員には国から給料が支払われる(会場=「全員に?!」、、ため息)
* 劇場のキャパシティは500-600名。入場料はすべて無料(会場=「おお・・」)
* 概して善悪のはっきりした伝統劇の方が人気。現代劇を見る層はまだ少ない。しかし観客が一人でも意に介さない。メッセージを伝えたい
公演期間は観客数次第。人気があれば何ヶ月も続くし人が入らなければ3日で終わることもある。しかし終了を決定するのは監督で国ではない
* フセインの時代は検閲などもあったが、現在では自由に作ることができる
* 劇団員がどの宗派だろうと関係ない。実際、ここに座っているもの同士もスンニかシーアかとか互いに知らない

●会場に一人、「今日は観てないんだけどさあ」と言いながら、やたらと「需要」だとか「観客数」ばかり聞くオヤジがいて、「結局、市場は小さいんだな」とわかったようなことを言っているので、、、キレた。小さいから、どうなのさ。尊大な態度で浅薄なことを言う、すごいイヤだ。ずっと戦争や経済制裁が続いてきてさ、今も強い緊張状態なのに、演劇の市場の大小もないでしょうよ。何が言いたいの?!単に見下したいの?

●「今のイラクでは盛んではなくても、アラブ世界全体では演劇の歴史がありますよ」「イラクは芸術文化の長い歴史のあるところですよ」「この脚本は層が厚くないと書けないレベルのものですよ」・・・会場や役者さんからも声が出始めて、オヤジは「アフリカの演劇なんかも観てみたいね」と引っ込んだ。行ってこい、アフリカに。で、終了したのが23時でした(疲)。

●私には内容はよくわからなかったけど、人間について何か表現したい人たちが真摯にやっていることは伝わった。イラクの人を間近で初めて見て、話すのを初めて聞いた。アラビア語がきれいだった。ホームシックになったり喜怒哀楽を表わしたり、同じ人間なんだなあ、それがコクッとわかってよかった。全体はゴツゴツとした違和感があったけど、体験型の私にはいい機会だった。

e0063212_2326129.jpg●イラクの作家や俳優さんが伝えたかったのは、「イラクだからではなく、普遍的なこと」。ただし、チラシなどを見たら「バグダッドからの証言者、来たる。イラクで何が起きているのか」とか「未曾有の史的体験を伝えにやってくる」などと書かれており、そのへんについて質問し拒否された人たちの気持ちも複雑ではないか、とは思いました。  

*写真は(上)「タイニイアリス・イラクNOW・プロジェクト」チラシ、(下)東トルコの老夫婦
by orientlibrary | 2006-02-15 23:40 | 美術/音楽/映画

アフガニスタン、映画で伝える希望

アフガニスタンに行ってきました?! 大田区池上で開催された「アフガニスタン映画祭」。2時過ぎから9時まで、なんとアフガニスタン映画9本、うち1本はオムニバス、4本はドキュメンタリーというヘビーさ。プラス1時間のシンポジウムで、7時間まるごとアフガニスタン!

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映画は、60年代のものからタリバン政権崩壊後に作られたもの<。どれもずっしりと重く、近年から現在のアフガンを表現している。例えば・・・『シャブナム」=両親と家をなくしたが孤児院も満員で入れてもらえない少女、両親の墓に一個のリンゴを半分に割って乗せるシーンから始まる。

サクリファイス」=母親が残してくれたヤギを病気の弟のために生け贄に差し出さなければならない、宗教指導者が頑固。

石打ち刑」=悲惨このうえない。村のヤクザに暴行された未亡人が出産、石打ち刑を言い渡される、その上ヤクザは彼女の13歳の妹と無理やり結婚する。

ストレンジャー」=田舎で仲睦まじく暮らす夫婦、地主が外人の客人に聴かせるために歌のうまい妻に無理やり歌わせたことから悲劇が。

もっとも迫力があったのは、ドキュメンタリーの『パミールの大地」。高度3500〜4500mというパミール高原に住む人たちの暮らしや伝統を、今年の選挙前の時期に取材。アフガンのクルーでさえ初めて撮影に入った地域であり、大変貴重な映像。季節外れの大雪の投票日、村の人は選挙を楽しんでいたが、雪のためか女性の投票率は2%と低かった。
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長時間、重い映画を見続けたわけだが、けっして苦痛ではなかった。いずれもときには命を張って真摯に作られており、伝えたいものがずっしりとくる。アフガニスタンの自然や住まいなども垣間みられた。見る機会が持てたことに感謝している。

タリバン政権崩壊後、映画製作は大変活発になっているという。機材はソニーなどの小型デジタルビデオを使用し、Macなどで編集。フィルムと比べて制作費が半分から3分の1になり、このようなデジタル化が活発な映画製作の背景にあるようだ。また、映画は読み書きのできない子供などの教育にも役立っており、ユネスコなどの支援で多数製作されているという。

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印象的だったのは、ゲストで映画制作者であるアフガン・フィルムのラティフさんの、「映画は希望だ」という言葉。多くの製作者が国外に逃れていた時代を思うと、映画を作れること自体が喜びであり、メッセージを伝えられること、受け取れることが希望なのだ。

絶望的な内容の映画であっても、自由を求める気持ち、生命を愛おしむ気持ちが、迷いなく強く伝わる。エンタテイメントな映画とはまた違う、映画を見る喜びがあると思った。

*写真はパンフレットより引用
by orientlibrary | 2005-11-27 01:52 | ウイグル/アフガン

ビスケットとイクラ 

新聞を見ていたら「アジアの民族楽器 共演」という見出し。ん?もしかして、、と読んでみたら、やっぱりそうだった。ユーラシアンクラブ・大野遼さんの企画&主催。モンゴルの馬頭琴、ネパールの横笛パンスリ、シベリアンエコー、津軽三味線など10カ国が一堂に集まってのフェスティバルが11日に開催されるという。

ユーラシアンクラブは少数民族との文化的な交流をはかるNPO。新聞的に書くとそうなんだけど、もっと熱く、もっと人との関わりが濃い。私もセミナーや旅行でお世話になった。これまでの旅行、インドやイスラム圏、それぞれに五感に強い印象を受けたし思い出もたくさん。でも、すべての旅行の中でいちばん強烈だったのは、大野さんが企画実施した極東シベリア少数民族の村を訪ねる旅だ。

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ハバロフスクから北へガタガタと車に揺られてたどり着いたアムール川沿いのシカチャリアン村、そこからビギン川を遡ってクラスニヤール村へ。少数民族、ウデゲとナナイの人たちの暮らしに触れた。サバイバルなその旅の模様は、またじっくり書きたい。

*写真はシカチャリアン村のナナイのお宅で。一人暮らしのおばあさんが、紅茶、ビスケット、イクラ、キャンディーなどでもてなしてくださった。ビスケットにイクラが合うことを初めて知った。そして本でしか見たことがなかった「サモワール」、実物を見て感激。キャンディーはそのあと村の雑貨屋で値段を見たら、お聞きしたおばあさんの年金額と比してのあまりの高額さに驚いた。申し訳なく、また有難く、もてなしてくださる気持ちに感謝した。
by orientlibrary | 2005-10-08 00:55 | 東南アジア/極東