イスラムアート紀行

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星が光り花が咲く、墓廟のタイル装飾

「イスラーム地域の墓廟はモスクやマドラサなどほかの建物に付随することもあるが、独立して立てられるときは多くの場合、方形または正方角形の集中式プランを基本とし、その上に大きなドームを架ける。埋葬方向と密接に関連するため、内部にはミフラーブが設けられる。むろん、地域や時代によって建築用材、ドームの構造や形、装飾様式は異なる」(『イスラームの美術 建築・写本芸術・工芸』より/桝谷友子/東京美術)

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(シャーヒズインダ墓廟/浮彫りのポタポタ滴るようなターコイズブルーの釉薬が魅力的。多角星(あるいは花?)の中心のラピスラズリ色が効いてますね)

中央アジア周辺のタイルが好きな私、好きなタイルは「墓廟」に多くあります。中央アジアには有名な墓廟が多いですもんね。

装飾タイルの萌芽が見られる「ソルタニエ」(イルハーン朝/オルジャイトゥの墓廟)、内部壁面のタイルは素朴ながら古雅の香りに満ちてドキドキするくらいに魅力的です。

ブハラの「サーマーン廟」(サーマーン朝/王族の墓廟)は、焼成煉瓦の組み合わせだけで宝石箱のような華麗な美を表現しています。

トルケスタン(現在のカザフスタン)にあり人気の巡礼地となっている「アフマド・ヤサヴィー廟」(ティムール朝/スーフィー指導者の墓廟)は、堂々とした建築の壁面にタイルが軽やかな模様を描きます。内部のタイルはティムール朝初期の生命感があります。

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(アフマド・ヤサヴィー廟/室内のタイル。撮影禁止なのでピンぼけ、でもいかにもティムール朝初期の可愛さがあるタイルなので何度もアップしてます)

そして「シャーヒ・ズインダ墓廟群」(ティムール朝/11世紀創建の聖人クサムの墓を核にティムール朝王族の墓廟が立ち並ぶ)は、タイル装飾の博物館と言われるほどで、多彩なタイルの美にクラクラします。

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(シャーヒズインダ/ディテールも可愛い。パルメットふう。ティムール朝)

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(シャーシズインダ/コーナーも楽しい。色味の違いもいいですね)

「トラベク・ハニム廟」(ホラズムシャー朝/ホラズム総督クトルグ・ティムール夫人の廟)のドーム内部の宇宙のようなタイルの世界は、タイル装飾の傑作中の傑作です。なぜあのタイルが無名なのか不思議です。

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(トラベク・ハニム廟ファサード壁面/八角星の中に植物模様や星が煌めく。力強い。シャーヒ・ズインダやアフマド・ヤサヴィー廟と同時代。14世紀頃のタイルが最高!!)

パキスタンのムルタンやウッチュのタイル。「シャー・ルクネ・アーラム」や「ビービー・シャビンディー」も聖者廟です。蒼のタイルが本当に魅力的です。こちらも同時代。ベースは中央アジア的なのですが、やはり西のイスラムとはどこか違う気がします。

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(ムルタン/六角星と六角形。じつは複雑な構成。青のバリエと白の組み合わせがリズミカルです)

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(ムルタン/なんだかかわいくて好きです。こういうのは、いいですね〜)

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(シャーヒズインダ/トランプを連想してしまう。黒が効果的。なんだか上のムルタンと同じ匂いを感じてしまいました)

と、墓廟のことを書いているのも、、風邪気味のぼーっとする頭で写真を選んでいて、選んだもの、気がついたらみんな墓廟のものだったからでした。

上に書いた墓廟やそのタイルのこと、これまで何度も書いてきました。まだ知らないことばかり。何度も見てみたいです。なかなか行けませんが、、。

今回は地味なディテールのものを選びました。でも、傾向がありました。八角星や多角星のモチーフ、パルメットや花模様。ティムール朝の特徴ですね。

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(シャーヒズインダ/LOVE!)

タイルの世界で少し遊んでいっていただければ幸いです。
私はちょっとだけウズベキスタンに行ってきます。零下の寒さから少し気温が上がってきたようです。
日本も早くあたたかくなって欲しいですね〜!☆

 タイルに関してはこちらのタグ「タイル」に過去記事全部載ってます!
by orientlibrary | 2010-02-22 23:47 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

ホラズム、土の装飾の優美

灼熱のホラズム、古代ホラズムの都クニャ・ウルゲンチ。
10~14世紀頃に造営された廟やミナレットが今も残る。
焼成レンガは土色一色ながらも濃淡が美しく、文様はリズミカルで流麗。
土から生み出された装飾の美しさと力強さに、見入るばかりです。


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(上の写真ボーダー部分のアップ。アラビア文字のカリグラフィーと植物模様の組み合わせ。浮彫りを施した土を細長く奥行きのあるものにカットし焼成して組み合わせているように見えますが、どうでしょう)


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(上の写真真ん中上部分のアップ)


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(上の部分をアップ。レンガ一枚一枚は薄いが奥行きがかなりありそう。違和感なくきれいな筒状になっている)


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(より古いブハラのモスク。崩れかけていることでデザイン構成や技法が見えてくる。パネル状の浮彫り。サーマーン朝のサーマーン廟のようなレンガだけの模様もいろいろと採用されているようだ)


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(沙漠の模様、つけたのは誰?)
by orientlibrary | 2009-12-02 21:17 | タイルのデザインと技法

ウズベキスタンの宝物、「マハラ」

●以前、「トルクメンの座布団(絨緞をカットしたもの)のせいか、ちょっとした不思議体験をしました」と書いたところ、「何があったの?」「座布団はどんな柄?」などのご質問が。また、「苔玉作りました」では、「その後、どうなった?」というメールも。合わせてここにご紹介します!、、、こんなので〜す↓。トルクメンファンにはおなじみのギュル。強いです。赤が濃いです。苔玉、元気です。ウズベキスタンの青の陶器の中で、とっても元気です。ウズじいちゃんも写真に入ってくれました。不思議体験は、一種の幽体離脱系。ヨガの後だったので、ごく自然な現象かもしれません。ヨガで体が空っぽになる感じって、いいものです。日々の中で、心身ガチガチになってるので。

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●ガチガチの心身、ほぐしたいですね〜。そんなときには中央アジアに思いを馳せて、こんな話題はいかが?ウズベキスタンの「マハラ(マハッラ)」です。写真もマハラにちなんだものを選びました。

●ウズベキスタンのことが語られるときに、時々登場する言葉マハラ。たとえば、中央アジアでの日本語弁論大会で優勝したA君のスピーチの中に、こんな一節がありました。

「ウズベクには“マハラ”という、日本の町内会のような、組織があります。“マハラ”が親代わりになったり、結婚式、お葬式など、めでたいことや困ったことなどを、お互いに助けあいます。ひとつのマハラは3 Km 四方ぐらいの広さで、約 2,000 人ぐらいの人が住んでいます」

「マハラにもルールがありますが、厳しいものではありません。 どこかにお葬式や “ハシャール”という町の共同作業があるとき、手伝いに出なかったことを恥ずかしいと思って、マハラの仕事があるときは、どの家でも必ず誰かが手伝いに行きます。 私は、マハラはウズベクの、大事な宝物だと思います」

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(生活の匂いあふれる路地歩きが好き)

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(ぶらぶら歩きしたいな、土の道)

●A君、これを書いた時は二十歳。若者も「ウズベクの宝物」と思っているマハラ、別の本で見てみましょう。『社会主義後のウズベキスタン 〜変わる国と揺れる人々の心』(ティムール・ダダバエフ/アジア経済研究所発行)、この本はウズベキスタン出身の著者自身の経験や人々へのインタビューによって構成されている新書。ソ連邦崩壊後の人々の価値観の変化や夢や悩みが、具体的に紹介されています。このなかでも「人々のアイデンティティを形づくるもの」として宗教、郷土意識と並ぶ3本柱の一つとしてマハラが紹介されていました。以下「 」内は同書から引用させていただいています。

「マハッラと呼ばれるコミュニティは、ウズベキスタンの人々のアイデンティティ形成において重要な役割を果たす人的ネットワークの代表例である」

「マハッラとは、アラビア語で都市の住宅地域に見られた街区あるいはいくつかの街区を合わせた行政単位を意味する。これは、いわゆるイスラーム世界の伝統的な都市に広く見られる。8世紀以降、徐々にイスラーム化の進んだ中央アジアでも、この語は都市の街区や農村地域の地区などの意味で用いられてきた」

「マハッラは、都市社会のもっとも基本的な単位であり、都市の住戸はいずれかのマハッラに所属しているのが普通であった」

「中央アジア南部のオアシス地域では、個々の住宅は高い粘土壁で囲まれたスペースに中庭を設け、その周りに住居空間を配置するのが一般的であり、これらの住宅を細い路地で結びながら、生活と行政の側面で近隣コミュニティとして機能してきたのがマハッラである」

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(路地沿いに土壁。素朴な土味がある)

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(土壁の中には広々とした中庭のある住まい。庭には果樹や畑があり生産的でもある)

●マハラってアラビア語だったんですか。勉強不足でした。それにしても、、オアシス、中庭、土壁という言葉、それだけでイメージが広がり、和む私です。ほわほわ〜〜。

「その主な機能は、相互扶助的な隣人ネットワークであり、住民は一つのモスクやパン焼き釜を共有しながら、冠婚葬祭などの儀礼を共同で実施し、また必要に応じて労力を提供しあい(ハシャル)、用水地や道路の清掃に当たってきた。非金銭的な相互支援の仕組みであったとも言える」

「このようなマハッラに寄せる人々の帰属意識は濃密であり、ブハラ人やサマルカンド人という個々のオアシス都市への帰属意識と並んで重要なアイデンティティのよりどころであったと考えられている。政治権力は頻繁に交替したが、中央アジアのオアシス都市社会の持続性を支えてきたのは、このマハッラだったと言える」

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(マハラのモスク。整然と清掃され種々の花が咲く庭がある)

●日本の町内会と同じようなものと説明されることの多いマハラですが、より深く強い紐帯のように思えます。暮らしの中の道徳も教えられます。長老や老人の存在は重要だったそうです。

「(マハッラの)長老は、万引きをする、タバコを吸う、家出をする、親の言うことを無視するなど、行動に問題のある子どもを厳しくしつけ、二度とそのようなことをしないように見守った」

●ウズベク人以外の民族も積極的にマハラに参加していたそうです。あるロシア女性は語ります。

「(洗濯後の水の始末のことなど)私に注意をしてくれた人は怒ることもなく優しく説明してくれました。私が出産のために入院していたとき、マハッラの人たちが私の親戚がロシアからお見舞いにくることができないことを知って、毎日のように順番に病院まで料理を持って来てくれました。とても温かい気持ちになり、ありがたかったです」

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(ハシャールで守り維持する聖者廟)

●長い歴史と伝統を持つマハラですが、ソ連邦崩壊後の暮らしの変化や人々の揺れる心に焦点を当てる同書、マハラの変化にもリアルに迫っていきます。

「独立後の政策によって、マハッラはさまざまな権限を与えられ、非公式かつ伝統的な組織から公式な準行政機関へと変貌した。(略) しかしマハッラの公式化は、事実上、新たな行政機関を作り上げることになってしまい、マハッラに対する住民の信頼と期待は裏切られる形になった」

●変化にとまどい、こんな感想を述べる人もいました。

「昔(公式化以前)のマハッラではお互いに対する思いやりがあり、個々人の問題は住民全体の問題として考えていました。当時の(現在のような犯罪防止隊は存在しなかった)マハッラの方が泥棒も少なく、みんな家のドアを閉めずにドアにカギをかけずに暮らしていて、住民同士の信頼度は高かったのです。今のマハッラの状態を見ていると、生活が良くなって(さまざまな支援の仕組みが制度化されて)いるにもかかわらず、人々のお互いに対する優しさはどんどん減っています」

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(フェルガナの立派なマザール=聖者廟。タイル装飾が美しい)

●複雑な気持ちになりますね。こんな発言、見つけました。(「ウズベキスタンと中央アジア:安定と持続的発展の実現」
/アブドゥジャバル・アブドゥバキトフ/ウェストミンスター大学タシケント校学長/2008年10月/中央ユーラシア研究会公開シンポジウムにて)

「今、わが国の政治体制は再構築の真只中にある、現在、国家建設のために政治エンジンとして4つの政党があるが、その構築の基盤は伝統的末端共同体マハラと直結している。マハラというのは英語ではネイティブ、あるいはコミュニティ、ネイバーフッド、アドミニストレーション、コミュニティの自治会などと訳すことができる。今われわれはこれを、新しい近代的なわれわれ自身の制度に編成替えしようとしている。そしてさらに、アジア型の市民社会の特徴を高めていきたい」

●編成替え、、、う〜ん、、『社会主義後のウズベキスタン』の筆者であるティムール・ダダバエフさんは、マハラの項を次のように結んでいます。

「人々の多くは公式化された行政機関の機能を果たしているマハッラの姿にそれほど親近感を抱いていない。むしろ、昔の非公式なコミュニティ内にあった人々の関係が壊れていくことを気にしているように思われる」

●ティムールさんは慎重に言葉を選んでいますが、その奥にある多くの人々の声の声が聞こえてくるような気がします。

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(Fさん撮影/ナン焼き釜を積んだロバ車。窯はマハラで共有の場合もあるようです)
by orientlibrary | 2009-11-11 22:33 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

シリアのタイル、ペルシャ料理、中央アジアが舞台のコミック

◆ 爽やかでイキイキ、シリアのタイル ◆
前回の「シリア料理」にちなんで、シリアのタイルを少し見てみましょう。石造建築が特徴的なシリアの建物ですが、16世紀オスマン朝時代のモスクの壁面やミヒラーブなどで美しいタイル装飾が見られます。

同時代のオスマン朝・イズニクタイルの影響を受けていますが、ダマスカス独特の爽やかな色合いで、葡萄や糸杉など多彩な植物模様がみずみずしく描かれています。イキイキとしたデザインはのびやかで洗練されており、個人的にはオスマン朝トルコの華麗なタイルよりも、むしろこちらが好みです。

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(爽やかなセージグリーンがダマスカスタイルの特徴。青や白とのバランスも良く明るい/DARWISHIYYA MOSQUE・ ダマスカス/1571/『THE ART OF THE ISLAMIC TILE』より引用)

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◆ オシャレなペルシャ料理の本 ◆

次は、「シリア料理」から料理つながりでペルシア料理へ!リンク先の記事で知ったサイト「カフェペルシャ」。日本在住のイラン出身のアーティスト・レザさんのサイトがオシャレ。私はイランのタイルや建築が大好きですが、やはりどちらかというとササン朝とか中世頃とか、古い時代のペルシアに中心に見ることが多くなります。

でも、以前ご紹介したイランの子ども向けの工芸紹介本を見ても、あるいは独特の世界を持つイラン映画を見ても、イランの人の美的・芸術的感性というのは突き抜けたものがあると感じます。最近は、とてもチャーミングなイラン出身の女優(サヘル・ローズさん)や、芥川賞候補になったイラン人女性(シリン・ネザマフィさん)など、日本でもイラン出身の方が活躍中。うれしいことです。

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レザさんが最近出版した料理本『家庭で楽しむ ペルシャ料理 〜フルーツ、ハーブ、野菜たっぷり』(河出書房新社)。野菜たっぷりのレシピで、おいしそう&見た目にも軽やか。絨緞や刺繍、タイルなども紹介されていました。オシャレなイランです。

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◆ 描き込まれた情熱!チュルクの嫁入り物語 ◆

最後に、当サイトではめずらしいコミックの話題です。今朝、新聞の書評欄で「中央アジアの嫁入りを描いたコミック本『乙嫁語り』(森薫)」を知りました。さっそく書店へゴー!といっても、コミック本売り場に足を踏み入れることがほぼない私、どう探していいかもわからず結局店員さんに探してもらうことに。発見したこのコミック、平積みで、しかも売れてたんですよ!「中央ユーラシアが舞台のブライド・ストーリー」、いいですね〜!

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(『乙嫁語り』/森薫/エンターブレイン)

帰って即読みましたが、「19世紀中央アジア、カスピ海周辺の地方都市」とされる地域の民族衣装や装身具、暮らしの濃密な描きこみがすごい!驚きです。その緻密かつ迫っていくような描写から、溢れるような対象への関心の強さを感じます。天幕の中、陶器、絨緞、食べ物、、いやあ、もう中央アジア好きには、たまりません!!作者はいったいどんな人!?

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(木彫り装飾や住居作りにふれた一節も。多彩な木彫りの描写が素晴らしいです)

作者の森薫さん、「そもそもこの中央アジア、コーカサス地域にはまったのは、中学〜高校の頃。当時盛り上がっていたシルクロード関連書を図書館で読みあさったのがきっかけで、馬、羊、幕家、じゃらじゃら、じゅうたんじゅうたん、むしろじゅうたん!!!」、「まあそんな暑苦しい何やらが竹の地下茎のごとく、ここに来てまた芽を出して出来上がったのがこのお話です」とのこと(あとがき=これもマンガです=より)。やはり積年の思いがあったんですね〜。

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(こんな絨緞も登場してます)

ネットで調べてみると、おもしろい紹介がいくつもありました。「“民族衣装描きたいいいい!”という作者の叫びが紙面から聞こえてきそうな、恐るべき描き込みの細かさです。本人の気のすむまで描いて描い描き倒す(後略)」。このサイトでは描かれた民族衣装がどこのものかを調べています。こういう関心の道筋、中央アジア好きとしては、とってもうれしいです。

「森薫の新連載『乙嫁語り』に出てくる“チュルク系民族”を追う」という記事もおもしろかったです。筆者は外国語学部のトルコ語専攻。この物語に出てくる民族が誰なのかを調査するために大阪のみんぱくで衣装をチェックし、チュルク研究者にもヒアリング。結果、この物語は「チュルク系民族の複合的なイメージ」ではないかと結んでいます。

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(舞台はこんな風景かな。カラカルパキスタンのカラ周辺)

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中央ユーラシアへの関心の入り口、私はタイルでした。そして現地の人の温かさに出会い、暮らしに触れました。「〜スタン」の国や中東の国々、入り口は、料理でも映画でもコミックでも。いろんなところから、どんどん入ってみて欲しいな!&、、最近、このような話題を書ける機会が増えてきました。なんだか「来てる」感じがします!☆
by orientlibrary | 2009-11-01 22:13 | 絨緞/天幕/布/衣装

横浜お家探訪。中央アジアの工芸が暮らしに息づいて

手仕事つながりでご縁ができたWさんのお宅におじゃましました。遊牧民の感性と暮らしをこよなく愛するSさん、手仕事界のクイーンTさんといっしょです。

横浜の閑静な住宅地にある南欧風のWさん宅、庭にはレモンも生っていて、洗練されたおしゃれな雰囲気いっぱい。が、、玄関に入ると、いきなり「ウズベキスタンじいちゃんず」の一団!一気に、アジアンなテイストに。

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一般のお宅で、こんなにたくさんのじいちゃんを見たのは初めてです。さすが、タシケントに2年在住されていたご夫妻、玄関にじいちゃんを、、、(感涙)

ふと見上げれば、吹き抜けを彩るのは、インドネシアはスンバの布、ウズベキスタンのスザニ。私たちのテンションも次第に上がってきます。リビングは、さらにめくるめく趣味の世界!世界の工芸がところ狭しと飾られています。

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(ウズベキスタンのティーセット。デザインが洒落てます。高級なものですね。ステキです)

ソファには、、わ〜!ウズベキスタンのアトラス柄クッション!手作りですね。さらにアトラス柄をキルトにした掛け布が!奥様のK子さん作品、すごい〜!

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ウズベキスタンの細密画、筆箱になっていて、細工も見事。ウズの細密画は世界一だと私は思っていますが、こちらには、その中でも素晴らしいものが揃っていて見応えありました。

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テーブルにはウズベキスタンの陶器が。リシタン、ヒヴァ、キジュドゥバンなど各地のものが揃っています。ドライフルーツがよく似合います。ウズ陶器って、ホントに味がありますねえ。こんなふうに普段使いで上手に使っていらっしゃって、(感涙)。

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(タゲスタンの木製小物。象嵌細工が見事です)

工芸的な家具やカリグラフィー、絵画など、お二人が好きで集められた品々のある空間には、あたたかい空気が流れています。ヨーロッパのアンティークのティーカップで(=こういう世界知らなくて説明できない私)紅茶をいただき一息ついたところで、次はコレクションの布と衣装を拝見!

中央アジアの衣装やスザニ(刺繍布)、帽子など、大胆でカラフル。興味深かったのは、ウズベキスタンの西部にあるカラカルパクスタンの衣装。(写真下は胸の部分の刺繍)

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三角形の不思議な形をしていましたが、その着方はこちら。ポスター(右側に電話番号みたいなものが書いてあるのがジャマ)です。強くて可愛い女性の顔立ち、くるんくるんした模様、炎のような赤、ジャラジャラした飾り、、ウズベキスタン的でもありトルクメニスタン的でもありカザフスタン的でもあり、、不思議のカラカルパクです。超魅力!

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衝撃は、タジキスタンの衣装の資料。60年代ソ連時代に作成されたもので、部族〜民族ごとに、驚くほど細密に衣装、靴、アクセサリーなどが描かれていました。イラストは写真よりも資料的な側面があり、要素がすべて集約されていると感じました。

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(女性の後ろのスザニ!ムガルの花模様みたいなんですけど、、!こんなの見たことないんですけど、、!タジクに行けば見られるの?今もあるの?スゴい。こんなイラストが何十枚もあり、狂喜乱舞です)

さらに感動したのは、帽子(ターバンやスカーフ)の巻き方や、衣装のパターンが、詳細に紹介されていたことです。圧倒されました。

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この素晴らしい資料、どなたかにロシア語を訳していただき、描かれた部族〜民族が誰かを知りたい。そして本文部分の豊富な解説内容を知りたい!これだけで展覧会ができそう!と、おおいに盛り上がりました。

タシケント時代、住宅地に住んでいたWさんですが、隣の家から毎日ドンドンというすごい音が聞こえてきて何だろうと思っていたそう。ある日、それが牛が壁にぶつかっている音と知り驚いた、など、楽しいお話に、時間を忘れました。

先日のウズベキスタン滞在時、ダニにやられた痕(数十カ所)がまだ熱を持っている私、だるさが残ります。ダニにはまいりましたが、、でもウズ熱は冷めず。K子さんの資料やコレクションを拝見して、やはり魅力的とあらためて思いました。Wさん、楽しい時間を、どうもありがとうございました。
by orientlibrary | 2009-09-17 20:46 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

フルーツ天国

フルーツ好きなら、夏のウズベキスタンへ。

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(シルクロードじいちゃんずも果物持って)

とりわけ、甘く、濃く、ジューシーな、メロン、スイカは、日本で食べているものと同じとは思えません。
日本のものも甘いけど、ウズベキスタンのは、したたるような、とろけるような、でもあくまでも自然な甘さ。太陽がくれた甘さ。
冬は零下数十度、夏は50度近くまでという厳しい気候、水の少ない乾燥地帯に、神様が授けてくださったような、まさに天の恵み。

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旅行者も、その大切な果物を、いただきます。
・・・ホントにおいしい!ラフマット(ありがとう!)

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こんな甘露のような果物が、バザールや道ばたで、ゴロゴロと売られているのもおもしろい。
こんなにあって、全部売れるのかなあと思うくらいの量です。
しかも1個が大きいんです。

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メロンやスイカは、車に積んで売りに出る人も多いようです。

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最初にウズベキスタンに行ったとき、サマルカンドのバザールでスイカを1個もらいました。
旅行者というのは一目瞭然なのに、、大きなスイカを「持っていきな」と、、遠慮していると思われたのか何度もすすめられ、ありがたくいただいて、ホテルに持って帰ったことがあります。
ウズベキスタンの人たちの明るさやたくましさ、ゲストをもてなそうとする気持ちに感動しました。

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今のサマルカンドは、ちょっと様相が変わっていると感じましたが、地方の町では、そんなメンタリティが今だ健在。
ブドウをいただきました。
このブドウがうまいんだな!本当においしいんです。

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普通のお家の中庭にも、リンゴ、ブドウ、ザクロ、ナシなどの木があり、枝がしなるほどのたわわな実りに驚きます。果物も密度濃いなあ!

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なにしろたっぷりな実りですから、家庭では果物をどんどん干していました。
干すとまた、甘みも増して、栄養価も高まってきますよね。
干し果物も名産です。
庭の様子、干している様子、などは、また別の機会にアップしたいと思います。

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(メロンにスイカ、リンゴにブドウ。このブドウは干しブドウ用のものでタネがなく、なんというか上質な甘さです)

フルーツ天国・ウズベキスタン。したたる甘さを、どうぞ!

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(じいちゃん持っているもの、ナシっぽい。全体に初秋の気配?!)
by orientlibrary | 2009-09-11 23:00 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

タイルの渦

ウズベキスタンより戻りました。真夏!と思っていましたが、暑いのは日中の数時間だけで、朝夕は気温20度ほど。涼しく乾いた風が心地よく、予想外に快適な夏のウズでした。

今回は、タイルに浸るというわけにはいきませんでしたが、写真は(コンデジですが)少し撮ってきました。ティムール朝タイル、ホントにすごいと思いました。

今回も引き続き、写真だけになりますが、ウズのタイルを少々お楽しみください。


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(シャーヒズインダ墓廟群)


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(シャーヒズインダ墓廟群)


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(シャーヒズインダ墓廟群)


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(シャーヒズインダ墓廟群)


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(グルエミル)


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(グルエミル)


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(ウルグベク・マドラサ)


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(ウルグベク・マドラサ)


サマルカンドのタイルです。細密でありつつおおらかなモザイク、イキイキした発色、大胆で伸びやかなデザイン、幾何学模様とイスリミ(植物模様)の組み合わせのバランス、、素晴らしい技術と感性に惚れ惚れします。ウズのタイル、タイルの渦に今日もクラクラです。
by orientlibrary | 2009-09-03 23:58 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

真夏のウズへ

ちょこっと残暑、そして朝晩は肌寒い、今年の夏は最後までよくわからない天候でした。
そんな日本から、パッキリ夏してる(はずの)ウズベキスタンに行ってきます。

ムガルの本、イランの庭の本、読みたい本を入手したものの、そのまま、という日々。
なんだかあわただしく、じっくりスタディできず、せっかく遊びに来ていただいているのに、すいません!
秋は落ち着いて、、と、といくかどうか。どんな秋になるのでしょうか。

またしても写真だけの更新になりますが、ウズベキスタンの雰囲気を味わっていただければと思います。


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(自分では好きな写真。ウズの林檎と赤いチェックがカワイイ☆)


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(ウズの杏の林。ゆりかごが風に揺れる)


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(職人さんの紹介。コーカンドの博物館にて。こういうのを見るとうれしくなる。さすがウズ!)


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(絹織物で有名なマルギランの工房。絣の織り模様のデザイン。先染めしたあと織っていく)


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(リシタンの町のはずれ。廟。コミュニティで守っている)


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(フェルガナに雨が降る。急な雨でも熱心に野菜販売。買う側も雨をものともせず、しっかり交渉。水の少ないフェルガナに雨は恵み)


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(リシタンの路地裏。生活感がしみ出してくるよう)


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(リシタン陶器。青と緑が鮮烈。大胆でおおらかな線が好き、いいですよねえ、、)


1週間ほどですが、行ってきます☆
by orientlibrary | 2009-08-25 17:57 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

土色のメルヴ

●昨年、トルクメニスタン旅行から帰ったとき、ブログにこんな報告を書きました。「その印象は、土土土、風風風、日日日」。さらに「風というよりは砂嵐が吹きつけ、行けども行けども土族もびっくりの土づくし」とも。

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(メルヴ出土の15世紀・ティムール朝時代の皿。動物がイキイキと描かれています)

●今、メルヴ遺跡の写真を見ていて、その感覚を思い出しました。土を愛する自称「土族」の私ですが、あまりに広大な土色世界にちょっと食傷気味でした。

●メルヴ遺跡は、広大な沙漠の中にある60平方キロメートルのトルクメニスタン最大規模の遺跡群です。衰退した古い町に隣接して新しい町が作られたため、紀元前6世紀のアケメネス朝ペルシャから16世紀頃までの5つの時代に築かれた町の跡を見ることができます。現存する建造物としては、日干しレンガの城塞跡やアイスハウス(氷の貯蔵庫)、焼成レンガの廟などがあります。

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(大キズカラ)

●最も有名なのは、ササン朝時代に築かれた大キズカラ。パンフレットなどで紹介されることの多いメルヴのシンボル。ササン朝の土の建造物、今も各地に残ってますねえ。日干しレンガの質が違うのかなあ。すごいです。

●セルジューク朝のスルタンの廟「スルタン・サンジャール廟」は、1140年代の建造。当時のメルヴには、セルジューク朝の都が置かれ、イスラム圏ではバグダッドに次ぐほどに栄えたといいます。堅牢な造りなので、モンゴル軍の徹底的な破壊にも耐えたそうです。現在では修復の結果、立派に復元されています。味わいはありませんが、大きさや建築を知るには良いのでしょう。想像力が必要ですね。

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(スルタン・サンジャール廟、1890年の様子)

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(スルタン・サンジャール廟、2001年の様子)

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(スルタン・サンジャール廟、現在)

●タイル好きの私が最も反応したのは、7世紀の聖者廟・アスハーブ遺跡群。アーチ部分は14世紀に建て増しされたとのこと。タイル装飾隆盛期であることから、つじつまが合います。14世紀のタイル(=バンナーイという技法のレンガ装飾)とは感慨深い。いいですね〜!でも、はっきり覚えていませんが、撮影禁止と言われ、こっそりと撮った気がします。(昨年のことですが、もう記憶があいまい。でも撮影禁止の意味がわからないと思った記憶が、、)

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(アスハーブ遺跡群)

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(アスハーブ遺跡群)

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(アスハーブ遺跡群)

●そして、一番好きだったのは、ムハンマド・イブン・サイード廟(ムハンマドから5代目の子孫)の内部装飾。レンガ積みとカリグラフィーに、簡素な美しさ、趣があります。暗いせいもありますが、荘厳な気持ちに。遺跡などで、一瞬ですが、その時代に自分がいるような気になるときがあります。それが私にとって、旅の醍醐味のひとつですが、このカリグラフィーは、そんな瞬間をプレゼントしてくれました。

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(ムハンマド・イブン・サイード廟)

●有名なメルヴ遺跡。シルクロード交易の拠点、オアシス都市、セルジューク朝の都、、私にとって興味津々のところのはずなのですが、どうも盛り上がりきれなかったのは、あまりに広大なせいでしょうか。遺跡を愉しむには、実際のところ、知識が重要、そしてそれを駆動させる柔軟な想像力も不可欠、と思うのでした。

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(花模様のレリーフ)
by orientlibrary | 2009-08-19 00:45 | 中央アジア5カ国

いろいろあるからおもしろい、ブハラの不思議建築

●ウズベキスタン・ブハラといえば中世の風情漂う旧市街の街並が魅力。そんななかで異色なのが、ブハラ・ハーン国の離宮として1911年に建てられた「スィトライ・マヒ・ホサ宮殿」。ネット等で見てみると、「ロシア文化に心酔していたハーンの趣味で建物はブハラ・ロシア折衷方式で建てられています」とあります。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿)

●ティムール朝の装飾タイルやムガルの模様、イスラム建築の洗練された精緻な美しさが好きな私、この宮殿にはグッと惹かれるものはありません。でも興味は持ちます。どうしてこうなったのかな、という興味ですが。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿)

●ロシアの様式は疎くてわかりませんが、外観はそんな感じの部分もあります。またシャンデリアのある謁見の間はゴテゴテとしてロココ風の匂いもあります。でも、バロック、ロココ大の苦手の私ですが、そんなに拒否反応も出ませんでした。たぶん、模様のせいではないかと思います。

●この時代のロシアはヨーロッパ志向真っ盛りでしょうから、ロシア様式の中にはヨーロッパ趣味が入っているはず。しかし、そのヨーロッパ趣味の中にはヨーロッパ人が影響を受けたインドや中国などアジアのテイストが入っているはず。つまり回り回って、ブハラのこの宮殿は、アジアが色濃くあるのでは、と思いました。だから私も意外と大丈夫だったのでしょう。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿。ミヒラーブ形の上部はイスラム装飾の代表である「ムカルナス」(鍾乳石飾り)が)

●そして、具体的に言えば、そのアジアとは、、インド・ムガル朝(〜ムガルが影響を受けたペルシア)です。スィトライ・マヒ・ホサ宮殿の模様の中に、かなりムガル的なものを感じます。代表的なモチーフとしての花瓶に入った花、ミヒラーブ、パルメット、幾何学模様などです。ムガルの創始者バーブルはフェルガナ生まれ。インドに遠征し、ムガル帝国を建国しました。しかし生涯、中央アジアの地を懐かしんだと言われます。こういう形で影響を与えているとは、バーブルも意外かも。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿)」

●スィトライ・マヒ・ホサ宮殿の壁面には、イスラム建築に見られる漆喰装飾(ガンチ)の浮彫り、ニッチになったミヒラーブ形の装飾、花瓶に入った花束の絵などを見ることができます。最盛期ムガルのものと比較するからなのでしょうが、少し粗いと感じるのは仕方ないかも。

●おもしろいのは、花束の模様です。↓こんなの見たことありません。が、連想するものはあります。インド・カシミールのペーズリー模様です。ペーズリーはペルシアのボタ(花模様)から、次第に花が傾ぎ、まとまって塊になり、勾玉状に変化していったという見方があります。ヨーロッパで人気を博し、後の生産地であるイギリスの地名がつけられました。この模様、花の密度からいうと、強いて言えばカシミール風!?でも、赤と緑が多用され描き方は中国風な印象も。それともロシアのモチーフに、これに近いものがあるんでしょうか?謎です。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿)

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(ペーズリー〜花模様。カシミールショールのボーダー部分、18世紀/『MUGHAL DECORATION 』 より引用)


●ムガル的といえば、石のスクリーン「ジャーリー」(シンプルな模様ですが)もあります。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿)

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(itimid-ad daulas’s tomb。これぞムガルの美!壷や花瓶、花、糸杉のモチーフ、象嵌装飾、細やかな幾何学模様の石のスクリーン、繊細優美!/『MUGHAL DECORATION 』 より引用)

●また、八角星を中心においた幾何学模様もティムール朝やムガル朝をはじめイスラムの装飾でよく見られるものです。

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(スィトライ・マヒ・ホサ宮殿。ハーンの写真。重厚なカオスとでもというのか、、全体になんとも言えない空気感)

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(ラホールフォート、八角星と幾何学模様。ラホールフォートの黄色のタイルは独特。テラコッタに映えます/『MUGHAL DECORATION 』 より引用)

●結局、、この建物、わかりません。以前、南インドのマドゥライにあるパーンディヤ王国時代のティルマライ・ナーヤカ宮殿について書いたことがあります。「インド・サラセン様式」(ムガルのイスラム建築の要素を取り入れたコロニアル建築)の建物だそうなのですが、壮大かつコテコテとした不思議な、退廃的匂いの漂う宮殿でした。

●スィトライ・マヒ・ホサ宮殿は、もっとカラッとおおらかな感じ。深く考えず、好きなものをいろいろと取り入れてみた感じがします。そこがおもしろいし、興味の持てる点でした。

●しかし、ブハラも9世紀の端正なサーマーン廟から、中世建築物のタイル装飾の豊穣、そして20世紀初頭の不思議建築まで、いろいろあります。気候のいいときに、ゆっくりと滞在したい街です。


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(サマルカンド、グルエミル、天井の華麗な装飾。絢爛豪華だけどゴテゴテ感はない。洗練ってこういうものではないかなと思います)
by orientlibrary | 2009-08-05 14:14 | ウズベキスタンのタイルと陶芸