イスラムアート紀行

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シリアのタイル、釉薬づくり、新訳『わたしの名は赤』

シリア。2002年に、いわゆる「ツアー」で行きました。笑顔で接してくれる人懐っこい人々、重厚な歴史や文化を感じさせる建築と街、迷路のような路地、広い中庭のある住宅、五感を刺激するバザールの活気、イスラム世界独特の濃い空気。たった一度のツアーだけど、シリア、好きになりました。また行きたいと思っていました。

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(オスマン朝シリアのタイル <左>施釉タイル。糸杉と葡萄が描かれる。セージグリーンとマンガンの色がダマスカスの特徴 <中>六角形のタイル。花瓶と花が描かれる <右>施釉絵付けタイルの一部。カーネーションが描かれる/DARWISHIYYA MOSQUE, DAMASCUS,1571/『The Art of the Islamic Tile』〜DAMASCUS, SYRIA, AND PALASTINE, IN OTTOMAN TIMES〜より引用)

オスマン朝シリアのタイル。ザクッとした絵付けが愛らしい。深みのある青に爽やかなセージグリーン。白地に糸杉や葡萄の模様が好みです。

ずっと何も書けずにいました。今も何もできない。あまりなことに、報道を見るのを避けてしまっています。どうぞ早く安定しますように。家族の暮らしを取り戻せますように。必要な医療を受けて教育の場も保障されますように。写真は私が出会ったシリア。(スキャンではなくアルバムを撮影しており不鮮明です)

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(ウマイヤド・モスク、アゼムパレス)

 ウマイヤド・モスク=ウマイヤ朝、705年。現存する世界最古のモスクであり世界最大級のモスク。「古代地中海世界を継承したイスラーム建築。高さ20mを超える豪壮な石造りで威風堂々、外観はまるで小さな要塞のように見える。歴史の痕跡を観察しながら外回りを一周するだけで小一時間を要してしまうほど、巨大かつ興味深いモスクである」〜『世界のイスラーム建築』(深見奈緒子)より

 アゼムパレス=1749年、オスマン朝ダマスカスの知事だったアスアド・パシャの邸宅として作られた。ダール・アラビーエ(伝統的アラブ住宅)の粋と言われる。

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 古代都市ダマスカスは、シリアの首都ダマスカスの旧市街に残る歴史的な構造物が登録されたユネスコの世界遺産(文化遺産、1979年登録)。エジプトとメソポタミアを結ぶ交通の要衝であり、紀元前3000年ごろから都市が形成しはじめたと考えられている。2013年にシリア騒乱による被害のため、シリア国内の他の5つの世界遺産とともに危機遺産に登録された。(wikipediaより)

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(マルーラ。キリスト教の村。BC6世紀頃から東アラビアやイランで広く使われていたと言われる古代アラム語が残っていることで有名。とてもきれいな村だった。岩山に立つ聖サルキス教会でスタッフの説明を聞いた)

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国境なき医師団への寄付(←クリックでリンク先に飛びます)
 「国境なき医師団は、シリア政府の活動認可を得られないまま、シリア国内で人びとに直接援助を提供している数少ない国際NGOとして北部で6ヵ所の病院と4ヵ所の医療センターを運営しています(2013年8月末日現在)。また、シリアから周辺国に逃れた難民に対しても、緊急援助活動を実施しています。国境なき医師団では、シリアに関連する活動の完全なる中立・公平性を確保するために、民間の皆様からの寄付金のみを活動財源としていますが、2013年に予定している活動予算の6割が不足している状況です」

 山崎やよいさんのブログ
長引くシリア紛争で生活基盤のすべてを失いつつある女性たちに『針と糸』で収入の道を開くプロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」発起人。

 イブラ・ワ・ハイトfacebook
「かつて平和なシリアの家庭で女性たちがたしなんできた手芸。シリア女性達は、美しい、独特の刺繍の伝統を日常生活の中で守ってきました。今、悲しいことにシリアでは、家、仕事、一家の大黒柱、そして社会インフラも含めた、生活基盤の全てが失われつつありますが、女性たちの手には、まだその独特の刺繍技術が残っています。『針と糸』があれば、社会インフラが破壊された街でも、避難先の仮住まいでも、刺繍ができるのです」

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青のfacebook、復活

青のfacebook、しばらくお休みしていました。ヤマイのように青、青と思っていたのが、2ヶ月ほど憑物が落ちたような感じに。まあ、この夏が暑すぎて体力がついていかなかっただけかもしれません。ささやかに復活しています。この間の更新画像をアトランダムに少々。

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(上段上から順に::色絵三壺文皿、鍋島、17世紀/瑠璃釉青花楼閣図稜花大皿、明時代、17世紀/青花唐花文大皿、ベトナム、15世紀/九谷焼五彩呈色試験版 初代徳田八十吉)

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(上段上から順に::ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ (ブハラ)/ブハラ旧市街の観光名所ではないモスク。ここがすごい!オリジナルタイルが見られる/ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ (ブハラ)/ザンギアタ廟(タシケント))

facebookは、「インサイト」というかたちで、見た人や気に入った人の数等、いろんなデータが、ビジュアル的にわかりやすく表示されます。人気上位は、青のタイル装飾。これはうれしいです。

日本でタイルの話が思い切りできる機会は少ない。とくにタイル装飾の華、イスラムタイルの認知度が低いのは残念。こういう状況、もう長いですから、かなり諦めていましたが、もしかしてイスラムタイルを好きな人も少なくないかも。ちょっとだけ希望の灯が。小さなことしかできないけれど、コツコツ続けていこうっと!

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釉薬づくり

釉薬づくりのクラス受講を始めました。青、青と騒いでいるのに、あまりに何も知らない。基本の基本は知っておきたい。そして、自分の青を作りたいという野望がフツフツと。お世話になるのは、タイル作りを習った白金陶芸教室。

透明釉づくり=福島長石、赤坂石灰石、マグネサイト、韓国カオリン、福島珪石。
青の釉薬づくり=基礎釉+酸化コバルト、炭酸銅、酸化銅。

不器用な私、手仕事系がダメという残念人間ですが、人には何か取り柄があるはず。それが、「粉を量ること」だったことが、このたび、わかりました。妙に速いらしいのです。取り柄って、数が限られているものでしょうか。そしたら、そのカードの一つが「粉量り」って、どうなんだろう。摺ったり混ぜたり塗ったりも好き。楽しい釉薬づくり。今後が楽しみです。

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『わたしの名は赤』

コラージュの下段右は、、『わたしの名は赤』(オルハン・パムク)。文庫サイズの新訳版=右側の2冊。旧訳『わたしの名は紅』の難解な訳に対して、わかりやすいと評判の新訳。読むのが楽しみです。

以前のブログ記事で、旧訳の一部、好きなパートを、勝手に自分流に書いてみたことがあります。
 細密画師の幸福の闇 無限の空白の頁
 手が記憶だけで描く。黒羊朝細密画師アリの物語

「盲目は全生涯を美しさに捧げた細密画師にアラーの神が賜(たまわ)る最後の幸せである」「盲目の細密画師の記憶がアラーの神に到達したところには、絶対的な沈黙、幸福な闇、そして空白のページの無限がある」。オルハン・パムク氏、すごい作家です。


今回も、まとまりのない内容に。「中央アジア人」「タイル人」シリーズも、スタートしたいと思いつつ。陶芸家でありデザイナーであった日根野作三さんの展覧会図録も届いたし、日本のタイルもスタディしたい。銭湯のタイルも見に行きたい。ホレズム(ウズベキスタン)のタイルを見に行きたい。少しずつです。こんなブログですが、また遊びに来てくださいね〜♪
by orientlibrary | 2013-10-05 02:25 | 中東/西アジア

ラスター彩、やきもの嫡伝、旅するポット、アジア染織、日本タイル

ラスター彩イラン里帰り展

大型台風ということで、外出を控えた方がいいのか、出ても大丈夫なのか、迷いますね。敬老の日前後は台風の確率が高い気がします。雨上がりを見計らい、やはり見たい!と出かけてきました。

まず、「七代 加藤幸兵衛茶陶展 <併催> ラスター彩イラン里帰り展」(新宿京王百貨店・京王ギャラリー/9月18日まで。最終日16時閉場)。(ラスター彩について、さらに加藤幸兵衛さんのラスター彩製作については、「ラスター彩と日本人-現代によみがえる虹色の輝き-1」「同-2」(iran Japanese Radio)に、わかりやすくまとめられています。イランでの展覧会の様子も垣間みられます。関心のある方は参照されることをおすすめします)

京王ギャラリー、ラスター彩も茶陶展も、存分に好きな陶器に浸れて幸せな時間でした。もちろん、例えば古民家や博物館の凝った展示で見られたらすごいと思います。でも都心で交通至便の百貨店が、これだけ充実の展示を企画して、誰にでも見られるようにしてくださったこと(無料)、その姿勢がうれしいです。

ペルシア陶器だけでなく、イスラームの文化や芸術は、一部博物館で触れることができますが、より多くの人の目に触れる機会は多くないように思います。また、百貨店ではどうしても「シルクロード」の冠がつきがちです。今回は、「イラン」がタイトルに入っており、イラン国立博物館出品作品40点が見られるのです。イスラーム陶器に親しみを感じている私には、そのこと自体が喜びでした。

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(上段左:左=展覧会図録、右=イランでの展覧会カタログ〔*次からの写真5点はこちらから引用〕/上段中と右:イラン人出展作家作品/下段左:ラスター彩壷、イラン・グルガン、9〜10世紀/下段中:ラスター彩十字タイル、タフテソレイマーン、13世紀/下段右:ラスター彩星形タイル、イラン・グルガン、14世紀/金色、玉虫色のなかの青が熱狂的に好きです)

ラスター彩展示の核は、加藤卓男氏と七代幸兵衛氏の作品展示。緻密、繊細、美しい光り、ペルシアのモチーフと和の感性の融合。あらためて圧巻と感じました。ペルシアの古陶も少しですがありました。鮮やかなコバルト青と羊の図柄の壷など、本当にできるものなら手に入れたい、、美しいものを手に入れるために権力を行使した王様の気持ちが理解できました。。

イランの現代作家によるラスター彩は、イラン陶芸家のfacebookページに今年春頃から随時アップされていたので、見ていました。オブジェが多く、幽玄な美意識は伝わりますが、細密さは追求されていない印象。ラスター彩ならではの発色を含め、イランでの今後の展開にも興味があります。

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美山三代展 “嫡伝展”

瀬戸・美山陶房、寺田美山氏、寺田康雄氏、寺田鉄平氏、三代の陶芸家による「美山三代展 “嫡伝展”」(アートスペース煌翔〜東京・阿佐ヶ谷〜にて9月21日まで。休み9月17日)。

「瀬戸の窯元では代々嫡子に築窯技法、釉薬調合等、製陶技術を秘伝として伝えてきました(嫡伝)」。そして「代々伝えられる技法だけでなかう個の制作意欲」も併せて見て欲しいとの趣旨の展覧会。現代はもちろん職業選択は自由。そうしたなかでも代々続くこと、その強さ、確かさ、律動を感じました。

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(三代それぞれの個性と多彩な作風/下段:織部三代三様。左:美山氏、中:康雄氏、右:鉄平氏)

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Asian textiles

Asian textiles <アジアの染織>」(ギャラリー囲織庵/世田谷区久我山/~17日まで。最終日17時まで)。トライバルラグを扱うTRIBEさんの展示会。ラグも質量ともにすごいですが、いつもいい布、持ってますね〜。グジャラートの「パトラ」、クメールの「ピダン」、ベンガルの「カンタ」やジャワ島の「カイン=更紗」、スマトラの霊船布「タンパン」、バリ島の儀礼布「ブバリ」など、アジア各地の染織品が見られます(&購入できます)。

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(濃い展示。逸品が目の前に。下段のお菓子はお客さんの差入れ。ココナッツパウダーを練乳で練り上げプルーンに挟んだスイーツ。やさしい甘さでした)

ギャラリー囲織庵、住宅地の中、竹や様々な緑に囲まれた趣きある民家ギャラリー。台風のニュースの中、うかがった側にはラッキーな静けさで、すっかり長居しておしゃべりを楽しませていただきました。素敵なオーナーとトライブさんに感謝。

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Occupied Japan

こちらは雨の連休ではなく、ちょっと前なのですが、「Occupied Japan」(連合国軍占領下の日本、1947-52年の5年間に日本から輸出したもの)の陶磁器と思われるものを、偶然拝見できました。以前「日本ーアフガニスタンークエッタ、旅した陶器たち」でご紹介したものと同じタイプのティーポットのようです。

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(上段左:品の良い絵付け。趣きあるポットで惹かれました/葡萄モチーフは輸出先の名産を意識したものでしょうか)

全体にザクッとしてかわいらしく、欲しかったけど、、値段が自分にはやや高かった(涙)。でもパキスタンから持ってくる手間や現地価格から考えると、妥当な価格でしょう。陶器を運ぶって、本当に大変ですから(しみじみ)。でも、じつは、、青地に花模様のティーポット、大事に飾っているものがあります。アフガニスタンを愛するcharsuqさんからいただいたもの。旅で運んだ大事な陶器、charsuqさん、本当にありがとうございます!!

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日本のタイル

8月の多治見・笠原旅で、その魅力に触れた「日本のタイル」、まだ資料などを読めていません。多治見旅では、タイル熱中人との出会いはもちろん、岐阜県現代陶芸美術館で「日根野作三と薫陶をうけた7人」を見て、日根野作三さんのことをもっと知りたくなって少し調べ始めたり、伊藤慶二さんも素晴らしく、、ますます興味やテーマの拡散傾向が強まっているのに、動きが遅くて、はかどりません。少しずつ進みます、、、

そう、日本のタイル。まず少しでも画像アップします。好きなタイルから!!青系ばかりなのは青好きゆえ、ご容赦を。とくに矢印模様のタイル、欲しかったですね〜、、、「手描150角 昭和45年頃製作 有限会社桝文製陶所」。ほんとステキです。フレームに入れて飾りたいです。

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(多治見市笠原の「モザイク浪漫館」所蔵品)

日本のタイル、外壁内壁に使われているものが多いですね。

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(多治見市、タイルの景/上段左と中:銀行の壁面で発見!色や形状が多彩。日本の四季を表すパターンが好まれるのでしょうか/上段右と下段中と右:多治見市の長江陶業にて。いまの建物や暮らしの中でのタイルの魅力を追求し提案。青好きゆえに青や白ばかり撮っていますが、もちろん色は多彩/下段左:このタイルに6月の「インテリアライフスタイル」(ビッグサイト)で出会い、日本のタイルに興味が高まったのでした。日本にも味わいある青いタイルがあるんだ、と)

マリンタイル」、多治見の長江陶業さんでも話題にのぼっていました。そのときは「え、そんなのあるんですか」と、相当ボケていた私。私の好きなR不動産の「tool box」、タイルのコーナーでも紹介されていたのに(見ていたのに)、、、これまで日本のタイルをいかにちゃんと、真剣に見ていなかったかということですね。深みのある青、海のようです。多治見には、モザイクタイルの流し台を作っている工房も。お話聞きたい工房が増えてます!!遠くないうちにうかがえれば、、。皆様、どうぞよろしくお願いいたします!

* * * * *
ブログ更新が遅れがちです。自分のスピードが落ちているのでしょう。いかんいかんと思っているのですが、こんなペースになってしまいます。ゆっくりすぎるブログですが、どうぞまたお立ち寄りください。

今回もコラージュ写真とトピック、いろいろ用意しました(まず写真の準備から入るので)。が、話の流れがますますバラバラになってしまうので、風景の一枚を今回のラストにします。信州駒ヶ根、初秋の空気と光り苔です。

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(ヒカリゴケは光前寺(長野県駒ヶ根市)にて。ヒカリゴケ(wikipediaより)=ヒカリゴケは自力で発光しているのではなく、原糸体にレンズ状細胞が暗所に入ってくる僅かな光を反射することによる。またレンズ状細胞には葉緑体が多量にあるため反射光は金緑色(エメラルド色)になる)/日本の緑の幸。心洗われる)
by orientlibrary | 2013-09-16 16:38 | 日本のタイル、やきもの

日本のタイル〜文京の銭湯「おとめ湯」&笠原タイル予告少々

多治見・笠原 土の旅

土(つち)の東濃、多治見旅、今回もたくさんのやきものやタイルに触れ、ステキな方々と出会い、語り、歩き、吞みました。日本一暑い町の座を一時的に四万十に譲った多治見ではありますが、もちろん熱暑覚悟で参上。ところが連日の20℃台。涼しくて動きやすく、夜などは肌寒いくらいでした。

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(サワリのみですが、、多治見市陶磁器意匠研究所、幸兵衛窯、セラミックパークMINO)

でも、気持ちは熱波!会った方々の熱いこと。いやはや、ハンパないです。そして、なんと今回は、一時帰国中のイスタンブル在住絵付け作家チニチニさんと一緒だったんですよ〜!
「青の魅惑」展でお世話になったチニチニさん。あの時は重い壷や皿をかついでイズニックやキュタヘヤを歩きましたが、日本のタイルの町を一緒に歩ける日がくるなんて、、本当にうれしかったです。

ですが、多治見のお話は次回に。今はあまりに未消化。日本のタイルについては、まったくスタディしてこなかったので、呆然としています。が、これはおもしろくなりそう、という予感。日本のタイル、和なんですよ!色やかたちが。これから少しずつ書いていきますね。

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(笠原にある「モザイク浪漫館」。今回はチラリと姿のみ。これから少しずつ調べて書いていきます)

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今日の話題に行く前に、お知らせを二つ。多治見の宝石「幸兵衛窯」、今回もうかがって夏のしつらえを堪能しました。幸兵衛窯といえば「ラスター彩」で有名。7月にはテヘランで「里帰り展」も。そのラスター彩の展示と、数ヶ月密着というテレビ番組の放映です。やきもの好き、ペルシア陶器ファン、ラスター彩マニア、いえいえ、皆さん、この美しいやきもの&その製作の現場やテヘランでの模様を見ましょう!

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(左上:「七代加藤幸兵衛茶陶展」カタログ表紙/他の3点は幸兵衛窯展示品)

(1)「七代加藤幸兵衛茶陶展」<併催>「ラスター彩イラン里帰り展」
*日時:2013年9月12日(木)〜18日(水) 午前10時〜午後8時(最終日は午後4時まで)
*場所:京王百貨店新宿店 6階 京王ギャラリー
*内容:七代幸兵衛さんの新作茶陶百余点の展観。ラスター彩を中心としたペルシャ陶技をはじめ、今回は美濃桃山陶も。また京王ギャラリー前特設会場にて「ラスター彩イラン里帰り展」として、イラン国立博物館での出品作40点を帰国後初めて展示。

(2)「ラスター彩、故郷に還る 〜 陶芸家・七代 加藤幸兵衛の熱き思い」
*日時:2013年9月21日(土)16:00〜17:15(75分)
*放送局:テレビ東京系ネットワーク(全国放送/テレビ愛知開局30周年特別番組)

<当ブログ内 関連記事>
□ 眼福の幸兵衛窯。新緑眩しい美濃を訪ねて
□ セミラックパークMINOと美濃のやきもの


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おとめ湯 見学会

今回は、銭湯です。「おとめ湯 見学会」(主催: 文京建築会ユース)に行ってきました。本日36℃超え、あふれるほどの見学者、銭湯内はサウナ状態。すごい熱気でした。

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本年6月30日をもって惜しまれながらも60年の長い歴史に幕を閉じた文京区千石の ”おとめ湯” 。

都内で残り少ない中庭のある豪華な造りで、富士山の溶岩石に、大きな1本ツツジ、その下を泳ぐ立派な鯉は入浴しながらも覗き窓から見ることが出来ます。丁寧なコテ装飾のツルがいたる所を舞う様子はまるで極楽浄土。可愛らしいピンクの漆喰壁に唐破風、格天井…古典的な銭湯のモチーフは勿論、銭湯全盛の華やかさを残す特有の仕掛けにあふれた、極上の癒し空間です。

近日中に解体の可能性が極めて高いこの建物を、この度、おとめ湯さんのご理解の元、大変貴重な公開の機会を頂きました。この機会を通し、移築、部分的移設、保存をご検討頂ける方を急募しております。

徹底された清掃により、タイル絵やコテ絵などが美しい状態で保存されています。

この地域を育んだ銭湯文化、地域の遺産を実際にご覧になれる最初で最後の機会となります。是非ご覧下さい。(以上、「おとめ湯 見学会」案内より)
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銭湯への興味の元は、やはりタイル、そして鏝絵です。おとめ湯には中庭もあり、ちょっとしたリゾート!見学会では、建築家や学生でつくる文京建築会ユースの皆さんによる資料、図面も紹介されており、銭湯文化を垣間みることができました。資料の詳しさはさすが!以下、情報はユースさんの資料を引用、参照させて頂いています。

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(1954年創業。当時の銭湯経営者たちが華やかさを競った名残で正面入口の唐破風(からはふ)には千鳥が舞い、つがいの鶴が鏝絵で描かれています。文京区で営業する11の銭湯(おとめ湯廃業で現在は10)の冊子も。写真がきれい。ユースさんではネット販売も考えているそうです)

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(湯ぶねのタイル絵。章仙絵付けの号。創業時のまま。九谷のタイル製造者のもの。昭和30〜40年代には九谷焼タイルは高級ブランド。贅沢さを競う銭湯経営者がこぞって飾った。このような良好な状態で残っている章仙絵付けは珍しいそうです/中庭が見える洗い場/白のタイルも清潔感/昭和な感じの方形タイル。落着いた印象。体重計も)

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(銭湯の舞台裏、初めて見ました。薪をくべて炊く窯。大きな箱状のもののなかを通っていく。煙突までは距離がある。地下を煙が通っていく仕組み?右上は覗き穴。最後の客が出たのを確認するのだそうです/下は銭湯研究で有名な町田忍さんのトークの模様。下真ん中の黒いTシャツの方がおとめ湯オーナー。おとめ湯は徹底清掃で良好な状態を長く保ってきました/右下、「ゆすり、たかり、押売 御断り」。昭和)

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(煙突掃除の箒。さすがに長い/唐破風アップ。粋だ〜。/脱衣所も縁側があり、ゆったりした感じ。格調高い折上げ天井はあまりの暑さで写真撮り忘れ。残念!銭湯に折上げ格(ごう)天井はビックリ/うちわも昭和。全体に懐かしい。レトロ。こういう見学会に多くの人が集まる、そういう時代なのかな)

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(文京建築会ユース制作の冊子より。好みの3冊を購入/歌舞伎湯=このモザイクタイル、冊子で見ても質感の良さが伝わる。図柄はノイシュバンシュタイン城。浴槽の青いタイルも素敵/右下:白山浴場=これまたオシャレ!旅行好きのオーナー母がインドに行き帰国後に現地のイメージをスケッチして作成したというモザイク画。色合いも好き/真ん中=文京の銭湯のタイル。シック/右上:おとめ湯でポイントで使われていた花模様のタイルもかわいい)

寺社仏閣を模した「宮造り銭湯」は、東京特有の形式だそうです。最初の宮造り銭湯は大正12年、関東大震災のあと、焼け野原になった墨田区の土地で、銭湯建設の依頼を受けた宮大工の技術を持つ棟梁・津村享右氏が、多くのお客さんを呼ぶために今までにない銭湯を建ててみようと考えて作ったのが最初。たちまち評判となり、次々と同じ造りの銭湯ができていったのだそうです。

タイルと鏝絵を見に行ったのですが、銭湯そのものの魅力にも浸ることができました。いい汗でした。文京建築会ユースの皆様、ありがとうございました。千石(〜周辺)、かわいい雑貨店、不思議なカフェもあり、楽しかったです。
by orientlibrary | 2013-09-01 22:37 | 日本のタイル、やきもの

装飾タイルの「8」〜“慈悲深き神々の呼吸”

「6」のデザイン 天地創造の6日間の理想表現」に続いて、今回は「8」です。が、建築の8(八角形、八角柱、八角堂等)や象徴としての8(宇宙のかたち、無限等)まで調べるのは力不足。イスラームの装飾タイル中心にみていこうと思います。

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八角星と十字のパターン

水平線上の円からスタートし、弧を2本描き、斜めの線を定義、4個の円に、さらに4個で8個の円。この円によるマトリックスを無限に続ける。正方形内で反復させると基本的な星と十字のパターンに。

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(基本的な星と十字のパターンを示したページ一部=『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』(創元社)と『イスラームのタイル 聖なる青』)

「斜め正方形のうち半数でそれと接する正方形の部分ではそのぶんへこませたと考えるのである。このため、近年これは“慈悲深き神々の呼吸”とも呼ばれている。この表現は、創造の源として火・空気・水・土の四大元素の可能性を発現させるのは神の呼吸であると説くイスラムの偉大な思想家イブン・アル=アラビーの教えに由来する」(『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』より)

「世界のタイル博物館」にこのタイルの収蔵が多く書籍でも紹介されていることから、タイルのイメージが「十字と八角星」という方もあるのでは。私もこのかたちと組合せに魅せられた一人です。

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(ラスター彩星形壁面タイル、カシャーン、13世紀/『イスラームのタイル 聖なる青』(INAXブックレット)より)

重要なモスクの、その中でも重要な部分(ミヒラーブ等)を飾ったといわれるこの組合せ、ラスター彩釉のものが多いことも、装飾タイルならではの精緻な魅力にあふれています。当時の壁面そのままの姿を見ることができないため、ますます想像は広がります。細密な絵付けやカリグラフィーが描かれた八角形と浮彫りなどが施された十字が組合わさった大きな壁面、どんなに煌めいていたことでしょう。

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(シャーヒズインダ墓廟にて。廟外部壁面装飾タイル。よく見ると、八角星と十字のパターンの一部を大きく使ったものですね。八角星の中にまた八角星、そのなかにカリグラフィー〜聖典の言葉が記されていると思われます。帯状のラインにもアラビア文字。強い青で、まさに圧巻)

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(星と十字が連続する上に絵付けしたラスター彩。ラスター彩陶壁部分、「オリエント幻想」、七代・加藤幸兵衛 作、イラン大使館ファルドーシホール壁面)

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(ビビハニム廟入口、大理石とタイルでしょうか。キリッとして目立ちます。大きな面積はこのような素材とやり方がベターなのかも)

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(憧れの星と十字を制作した時の写真。それぞれの形に土を真っすぐにカットするだけでも一苦労。側面がデコボコに。花模様のものは地色を塗らず素焼きのままに。和な感じの星&十字になりました)


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八角星一つ、またはいくつか

八角星はバランスが良く安定しています。内部に文様も描きやすいのではないかと思います。そのせいか、一点のタイルとして、それこそスターのように目立ったところに飾られているものを見ることがあります。また、いくつかの中にあっても、ひとつひとつの存在感の強いものも見かけます。

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟にて。カリグラフィーを書き込んだ八角星の大きなタイル。レンガの茶色と青と紺はよく似合う組合せだと思う)

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(ブハラにて。モザイクではなく絵付けでカリグラフィーを描く。周辺の青もまた星空のよう)

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(タシケントの博物館展示品。雫状のものと花びら。おおらかな文様と青の発色が好みです。タイルの聖地を多数擁するウズベキスタンの博物館でもタイルの展示品は数が少なく、古いタイルは貴重なものであることがわかります。ソ連時代やその後の混乱で、散逸してしまったものがたくさんあるのでしょうね、、、)

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青のfacebookでも支持が高かったブハラ、ナディルディバンベギマドラサ、渡り廊下天井のタイル。5つの八角星で星空のようでした。青好きにはたまらない青の組合せ)

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(変わりバージョン。ブハラのストライ・マヒ・ホサ宮殿にて。横長の八角星)

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟群にて。盛り上がった白の縁取りと青だけの文様が目を引くタイル。 “タイル装飾の博物館”とも言われるシャーヒズインダだけに、様々な技法が見られます)


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丸みのある8

まず手持ちの写真から8に関わるものをピックアップし、なんとなく特徴が似ているものを分けていたのですが、丸い花びらのようなもの、まだ他にもあるかもしれないけれど、シャーヒ・ズィンダの浮彫りのもの2点です。

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この他、「連続して描かれているもの」「建築での8」「壁面幾何学」「布や陶器での8」などを少々ピックアップしました。次の機会にご紹介したいと思います。

最後に、『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』の「むすび さらなる可能性」より一部引用します。

「伝統的なイスラムの装飾は、際立って機能的であるーただし、ここで機能的というのは単に実用的という意味ではない。イスラムのデザインは文明化とひきかえに失われた霊的な感覚を、無垢の自然が持つ原初的な美しさを再構築することで補完し、俗世にどっぷり浸かった人間を真剣な熟考へいざなおうとする。イスラムのデザインは、一種の“目に見える音楽”だと言ってもよい。モチーフの反復とリズムが内なるバランス感覚を目覚めさせ、神への祈りや神についての思弁を視覚的に展開する役目を果たすのである」
by orientlibrary | 2013-07-15 17:02 | タイルのデザインと技法

「6」のデザイン 天地創造の6日間の理想表現

少し時間があいてしまいました。梅雨空のもと、元気にしています。あまり更新のないブログ、ご訪問頂いた皆様、ありがとうございました!さて今回は、6月ということで、「6」がテーマ。イスラームの幾何学で重要な6です。数学壊滅の私ですが、がんばります!

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おっと、その前に、、青のfacebookページ、「青の陶器とタイル好き * blue ceramic museum」。昨年末の開始以来、約半年がたち、現在オリジナル発信92話になりました。
Facebookは集計や解析機能がすごい。頼みもしないのに、アクセス数や話題指数など、いろんな集計が表示されます。半年記念に現時点での「THE 青のfacebook人気、ベスト3☆」!

第3位は、、ティムール・サブーリさんの青の釉薬テストピース。陶器やタイルの中で、すごい!深い青の魅惑。

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第2位は、、リシタン・ウスマノフ工房の皿コラージュ。強い青のインパクト。ウスマノフさん、おめでとうございます!☆!

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そして堂々の第1位は、、ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ、の装飾タイル。ブハラ・青の輝き!モザイクタイルは現地で見るのも圧倒的なのですが、アップで見るとまた凄みがありますね。

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刺繍王子Kさんが絶賛紹介、『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』(創元社/ダウド・サットン著 武井摩利訳)を即購入。コンパクトで読みやすい。簡潔でポイントが記憶に残りやすい。イスラム美術や幾何学の本は、分厚かったり難解だったりで手ごわいものが多いですから、これはありがたい。

最初の章(見開きの2ページ)=「最初の出発点」は、点、円、6個の円のお話。6個の円は「クルアーンに記された天地創造の6日間の理想表現」。これを拡げていき正六角形の点を結ぶと六芒星=「ソロモンの印章」(この印章付き指輪を使って精霊を使役したと言われる)。外枠だけを星形にして並べると星と六角形のパターンに。

(文章では、わかりにくいですよね、、でも図をスキャンして紹介していいものか迷います。この本では、コンパスと直定規だけを使って描いたパターンを豊富に紹介し、幾何学的土台の理解を促しています。肝の図形をスキャンするのは気が引けます。)

次は「6から作られる6」です。星と六角形からスタートして複雑なパターンに展開していきます。一見した印象は違いますが、元々は同じデザインから発展したことがわかります。

って、文章では、わかりにくいですよね、、  そうだ!タイルの事例ならいいですね。自分の写真ならば問題ない。現実にどう活用されているか、タイルからみえてきますね。

そんなわけで、iPhoto見てみました。私の場合、イスリーミ(植物文様)の方が多いのですが、壁面装飾ではやはり幾何学模様!なるほど〜、幾何学の理解がもう少しできるようになれば、タイルがもっと楽しくなりそう。

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(アイシャビビ廟/カザフスタン/カラハーン朝/写真左の四角形のレンガが建造物のメインですが、右奥には六角星(&六角形)、星の中に模様。この部分色を塗っているようにも見えますが詳細不明。でもキレイ)

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(アフマド・ヤサヴィー廟/トルケスタン/ティムール朝/タイル自体は修復だと思いますがオリジナルデザインは維持されているはず。花や葉のデザインも6に。そして六角形との組合せ。濃い青がレンガの茶色に映える)

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟/サマルカンド/ティムール朝/アフマド・ヤサヴィー廟と同時代。六角形が六角星にも重なり、ラインや花びら状のものも6。いいですね〜!時代が古いものは6のデザインが多いような印象。これが古雅な印象につながっているのかな)

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(カラーン・モスク/ブハラ旧市街/シャイバーニ朝/ミヒラーブを囲むようにある六角形青タイルのパネル。青の濃淡がさざ波のよう。サマルカンドのグル・エミル廟などティムール時代の他の宗教施設にも見られるこの水のようなタイルパネル。イラン・ヤズドの金曜モスク(1325-34)あたりから?)

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(チャルバクル/ブハラ郊外にある墓廟、モスクなどの複合体/写真は奥まった場所にあるアブー・バクルの墓と言われるもの。六角形&六角星模様のタイルの連なりが印象的。広い墓所に私一人、、こわいくらいに静かで、この文様が強く響いてきた、、)

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(ウルグベク・マドラサ/サマルカンド/建造自体は1420年/このような透しのスクリーンに六角形をよく見る。隠し度合いがちょうどいいのかな)

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(シャーヒ・ズィンダ?/♪☆6☆6☆6☆♪ 見事な6のハーモニー。青と白で軽快)

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(トルコ/キュタヘヤ/現在のプロダクツ、メフメット・コチェル氏のデザイン室で/描かれた文様が六角形を彩る。文様が揃ったらキレイだろうな〜!青もしっとり洗練の色合い)

というふうに、いろいろあって、掲載しきれません。6シリーズ、そして8、12へGO GO!!タイル道、精進するぞ〜!☆★☆!



★★★ この間、なぜか「ズルハーネ」(イランのアスレチック)検索からの訪問が多かったようなんですが、何かあったんでしょうか??   →→→→→  どうやらこちらの関係のようです。。「日本選手権の際、室伏広治さんはこん棒をコンクリートで自作したことを明かした。単に重い負荷でトレーニングするのが目的であれば他の方法でもよかったはずで、ズールハーネの精神性に引かれるものがあったのかもしれないと荒井啓子さん(スポーツ人類学者)は推理する」、、さすが室伏さん!!ストイック!!    ← ← ← ← ←  もともとの記事はこちら「パフレヴァーン(ペルシア騎士道)の伝統に連なる「ズールハーネ」見学記」 ★★★
by orientlibrary | 2013-06-13 22:43 | タイルのデザインと技法

中央アジアの踊り、布、タイル、着こなし、料理

ブログ更新できず、、時間が経つのが早い!今回もまとまらない内容ですが、日々のことなどを。
まず、青のfacebook、「青の陶器とタイル好き * blue ceramic museum」よりサマリーです。↓ テキスタイルの青もピックアップしてみました。青のアトラスは友人から「初めて見た」「キレイ」と好評でした。青のスザニもいいねが多かったです。

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(左上より/「青の魅惑」展出展作品。ムハンマド・マフディ・アヌシュファル氏(イラン)/タブリーズ・ブルーモスク(イラン)/ミル・アラブ・マドラサ(ブハラ)/ウズベキスタンの刺繍布、青のスザニ/シャーヒ・ズィンダ(サマルカンド)/ウズベキスタンの絣布、青のアトラス)

↓ 以前、2月のウズ行きのところでご紹介した「ブハラで購入したかけら」(写真上段)。青のfacebookで調べてみました。やはりティムール博物館所蔵品(写真下段)の文様や構成との共通点を感じます。素朴な植物文様が愛らしい。青がイキイキしていると思います。

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↓ 音楽はもちろん、ダンスも、ユーラシア各地の個性ある表現や衣装に惹かれます。これまでなかなか見る機会がなかった中央アジアの民族舞踊ですが、先日、ウイグル、カザフ、ウズベク、キルギスのダンスが一堂に披露されました。木場でおこなわれた国際フェスティバルのプログラムのひとつ、「DANCES OF TURK 2013」。衣装も華やかでテンポも良く、とても楽しかった。「みんなで踊れそう感」があるところが、中央アジアダンスの魅力かも。

1月には、「中央アジアの音楽 チュルク・ミュージック・イン・トーキョー」が開催され、盛況。キテますね〜!

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(「DANCES OF TURK 2013」)

↓ 先日の、東京農工大「シルクロードからの贈り物」展でのイベント、「ウズベキスタンの布と旅」と題した講演会(菅野陽氏)、「ウズベキスタンの歌と踊り」(ANYAさん)も盛況でした。ウズベキスタンの布についてのレクチャーというのも珍しいと思います。現地の画像、バザールの映像を交え、臨場感のあるお話でした。

ダンスは、各地の踊りの披露のあと、手の動かし方など簡単な振付けを習い、みんなで体を動かします。その後音楽に合わせてダンス大会。振付けの後なので、恥ずかしがらずに前に出て踊る方が多く、楽しい雰囲気!ウズベキスタンからの留学生は、さすがに動きが違う。踊りの国の人ですね〜!

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↓ そんな日々のなか、折り込みチラシにも目が止まりました。
上段左:通販カタログの宣伝。全体に値ごろな商品のようです。こういうところにも「旬エスニックで夏美人」。柄が中央アジアっぽい。インドネシアとかアフリカともいえるけど、微妙に中央アジア感がある。こういうの多いですよね、このごろ。日本のファッションは無地が圧倒的ですが、こういう大胆柄も時々はいいかもしれません。

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上段中も、チラシか広告でした。どうして目に留まったかというと、、ヘッドスカーフとウエストスカーフ。これぞ中央アジアの得意分野じゃないですか!!ヘッドスカーフはこのごろ少し普及しているような気もしますが、ウエストスカーフはこれからでは!?この写真では、柄に柄を合わせてますね。いいですよ、これ。

上段右は、数年前のエルメスのカタログ。この頃からカジュアルなストール使いが増えてましたね。
で、下段は、本場中央アジアの着こなしです!さすがですね!カッコいいですよ。右のスザニドレス風のものにストライプのパンツ。帽子に大判のストール。最高です!

↓ そんな日々のなか、トルコ料理を習いに行きました。メニューが野菜だったので、これならと思い参加。4種類、どれも大正解。それぞれ美味しかった。一部、通販か新大久保あたりに買物要な材料もあるけど、それもまた楽しいかも。

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(メニューは、フェタチーズとパセリの春巻き風。ブルグルというクスクスみたいな材料を使うkisirというお料理。トマトペーストやチリ、レモンなどでスパイシー。好みでした。セロリとニンジンとクルミのサラダ。すりおろしニンニク入りのヨーグルトで合えます。デザートはゴマペーストとクルミのクッキー。サクサクでゴマの風味とクルミのカリカリ感がいい感じ)

教室といってもトルコ人のご自宅でアットホームな雰囲気。先生の子どもたちもいっしょに、チャイといっしょに、みんなでいただきました。

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最後になりましたが、今回のウズベキスタン行きのタイルを少々。全体で1700枚強の写真あります、、随時ご紹介したいと思います。

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(ブハラのマゴキアッタリモスク。このターコイズブルーのタイルは11世紀頃?他の部分も、色は落ちていても優れた幾何学模様が展開されていたことがわかる。イスラムの数学、幾何学は素晴らしいですね。内部は「絨毯博物館」というかたちに。以前はお土産物屋さんだったけど。入館料要。ラビハウズ近く、タキ手前)

モザイクタイル、一部です。ナディル・ディヴァンベギ・マドラサ。幾何学模様と花模様。

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(16世紀後半、ウズベク人のシャイバーン朝が都と定め、その後ブハラ・ハン国の首都として長く繁栄したブハラ。中央アジアにおけるイスラム教学の中心地であり「聖なるブハラ」とも。中世の面影を残す旧市街や青いタイルで装飾された建造物群も有名。太陽に向かう二羽の鳥の構図で有名な「ナディール・ディバン・ベギ・マドラサ」のタイル)

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(同)
by orientlibrary | 2013-04-08 00:16 | 中央アジア5カ国

青い陶の花たち/ミントンタイル展/青の景セレクション

クリスマスシーズン、強い赤と緑と白、どこにいっても流れている同じ曲、強制的テンション揚げ揚げモード後、見渡してみると、やはり青系に目が止まりました。
フィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーとして世界的に知られる石本藤雄さんの個展「石本藤雄展 布と陶 −冬− スパイラルガーデン」(東京・青山)。

石本さんの「マリメッコ」での作風は、フィンランドの自然を題材にしつつ日本的な感性も感じさせます。また、フィンランドの陶器メーカー「アラビア」にて、自身のライフワークとして想像上の草花や自然の風景をモチーフとした陶芸作品の制作を続けているとのことで、今回は布と陶をともに展示しています。

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(写真撮影とブログでの紹介は、個人のブログでの節度ある内容をということで、OKを頂いています)

スパイラルガーデンの吹抜けの螺旋状空間を贅沢に使った展示。黒や白のもの静かな陶芸作品は、夜の蓮池やその水面に映る月をイメージ。「凍てつく冬景色を想起させる極限まで色彩を押さえた空間がひろがります」。

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ギャラリーの白の壁面には伸びやかで個性的な陶の花が咲きます。造形もイキイキと魅力的なのですが、印象的なのは色合い。同じ青でも、西アジア中央アジア等の明快で強い青とは異なる世界。深みがあり控えめながら芯の強さを感じさせ何か語りかけてくるような青に、共感しました。

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赤や緑も華やかですが強すぎない淡い色合い。モチーフに合わせて土の質感が変化しているのも面白かった。
フィンランドデザインは最近注目されているようです。日本人が世界のデザインや工芸の第一線で存在感を持って活躍しているのはうれしいですね。

「石本藤雄展 布と陶 −冬−」。会場:スパイラルガーデン/会期:〜2013年1月14日(*12月30日~1月4日までは休館)。


↓下のコラージュは、上段3点が引き続き「布と陶」より。石本氏作品のファブリックや生地サンプル展示です。
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中段は、中央アジアの布を使った衣服を作っているカンノテキスタイルの展示会場にて(展示は終了)。ウズベキスタンの絹織物を作る職人さんたちが腕を競って取組んでいる大胆な「復興柄」(一時途絶えた柄のリバイバル)も現地から届いていました。シンプルな新柄もテキスタイルとしての魅力がたっぷり。今後の展開が楽しみです。

下段は、カンノ展示会場にて。トゥバ音楽演奏家・寺田亮平さんのブーツ!皮の模様がカッコ良く、裏にはトナカイの毛皮が張ってありとても暖かいそうです。中央は口琴ケース。模様「オルチェイ」はトゥバでは「幸せ」を意味するそうです。右はトゥバ語の歌詞。寺田さんはトゥバ語の話者でもあります。

寺田さんたちが準備中の「中央アジアの音楽 テュルク・ミュージック・イン・トーキョー」は1月27日開催。詳細はこちらです。なかなかない機会!草原の風を感じるひとときになりそうです。


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イスラームのタイルに熱狂の「イスラムアート紀行」、それ以外のタイルはほとんど登場しませんが、現在東京で開催中の英国タイルの展覧会を見てきました。「ミントンのタイル 千変万化の彩り」。会場:渋谷ヒカリエ 8階 8/CUBE 1,2,3/会期:~2013年1月7日(※1月1日は休館)。

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19世紀イギリスの陶磁器メーカーMINTON(ミントン)の美しいタイルを紹介するもの。ミントンは中世ゴシックの象嵌タイルや、色鮮やかな「マジョリカ釉」開発など、新しい技術の開発に積極的に取り組みました。タイルが人々の暮らしの中に取り入れられたという面では功績大ですよね。

イスラムタイル偏愛を公言しているオリエント・ライブラリー、くすみと濁りのある色、過剰装飾のヴィクトリアンタイルは最も苦手で見ることができません。でもミントンくらいになると、一巡して見ることができ、勉強になりました。手描きタイルの一枚は、とても好きで見とれました。転写タイルと手描きタイルは違うもの。それぞれに良いということでしょう。

以上は個人的感想であり、存在感の強いイスラムタイルよりむしろ、このようなきれいなタイルを好まれる方が日本では多いと思います。歴史有るタイルの本物が一堂に揃い、系統だった説明があり見やすいです。東京での開催は貴重ですよ!ヒカリエは渋谷駅直結の便利な場所。オシャレなお店も集結しています。お正月休みにいかがですか!?


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スタートして10日間くらいたった青のfacebook「青の陶器とタイル好き* blue ceramic museum」。勉強を兼ねて、一日1題にチャレンジ中。どんなフォーマットがいいかも試しています。投稿も系統だっていません。そうすると、逆に、反応の強弱が見えてきて興味深いです!

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(10日間にアップした主な青=タブリーズのブルーモスク/トルコ・イズニックの水場/サマルカンドのシャーヒズインダ廟/ブルーモスク本の青/青の魅惑展(facebookはこの写真じゃなかった、、アップしたのはメフメットさんのコーナー。こちらはアディルジャンさんコーナー)/シャーヒズインダ廟浮彫り/リシタン陶器/シャーヒズインダ廟雫型モザイク)

今のところ、人気No.1はサマルカンドのコバルトブルーの壁面タイル。続いてタブリーズ・ブルーモスクのコバルトブルーの壁面モザイクタイル。
どうもコバルト青に惹かれる方が多いようです。暮らしの中にある藍染めや染付、このあたりが日本人の青の好みの底流にあるのではという気がしてなりません。トルコ石青は、むしろエキゾチックな色なのかもという気がしています。

来年も引き続き青道邁進です!
今年一年、ご訪問どうもありがとうございました。お礼申し上げます。
年末年始、お元気でお過ごしくださいね。
どうぞ良いお年をお迎えください。
by orientlibrary | 2012-12-28 15:42 | 日本のタイル、やきもの

へラート、青のタイルの廟。1965年の映像から

「The University of Pennsylvania Museum of Archaeology and Anthropology」による映像記録がすごいです。1960年代のイラン、トルコ、アフガニスタンはじめ、世界各地の記録映像(無音)が800本以上YouTubeで公開されています。





(1965: Reel 39: Afghanistan. June 22-23. Herat. アフガニスタンのヘラート 1965年6月/公開日: 2012/09/18) (内容=煙の立ち上る窯/石を重りにした手動の織り機/糸繰り機、縦糸/ヘラートの遺跡、塔、モザイクが少し残る壁、市場/中世の暮らしを描いたGhory Taymanの絵画/刺繍3点/16世紀ムガル時代の挿絵本等/石のコレクション/ミナレットのパン撮り、帯の部分は小さなレンガ、Goharshadの墓廟、遠景、装飾、ドームを廟周辺から見る、畝状のタイル装飾ディテール、塔の球面のタイル装飾、廟内部の装飾)

画質は粗く手ぶれで酔いそうですが、逆にナマの迫力がある。ホント卒倒しそうです。こんな記録があるなんて。そして気軽にいつでも見られるなんて。ほんの少し前まで、数少ないタイル本の写真を眺めているだけだったのに。

色はクリアとは言えませんが、アナログの味わいがあり、青の爽快さ、白の可憐さに熱狂します。また、モザイクの模様、どの模様が1パーツなのか等が垣間みられます。

このような記録映像の魅力のひとつは、美しいだけではなく、施工やモザイクの製作過程を想像できることです。昨今の完璧に修復された建造物は、鮮やかで圧倒的に美しいけれど、時を遡ったり、関わった無数の工人の匠や息づかいを感じにくい。崩れ落ちているからこそ、逆に恐ろしくなるほどの手間ひまが見えてくる。

ヘラートGoharshadのタイル、詳しくはわかりませんが、たぶん1447年ティムール朝期の建造物。携わった職人たちの矜持、とてつもない時間が伝わってきます。タイル装飾ってすごい。素晴らしい。中央アジアの土塊から、当時の土の匠たちはなんていう美を創造したのでしょうか。

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(herat(afganistan)/mauseleum of gohar-shad 1447,state of the before 1984/『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用)

けれども、このヘラートの廟は、今はどうなっているのでしょう。Pennのアフガニスタンのリールは1965年撮影。(写真を引用している『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』も、たぶん同時期の撮影ではと思われます)。

1965年のアフガニスタンを見てみると、、1964年=新憲法制定。女性に参政権、教育の権利、就労の自由などが認められる/1965年=初の普通選挙実施。アフガニスタンの歴史は難しいけれど、とにかくこの頃は比較的自由で活気があったような印象です。
その後のソ連侵攻、内戦、タリバンによる支配等のなかで、この廟、このタイルはどうなったのでしょう。人がいる限り、また作ることができます。美しい青のタイルの建造物が蒼い空に輝く日々でありますように。そう願うばかりです。

(参考:「1953年に首相となったムハマド=ダウード=ハーンは、アフガニスタンを近代国家とするために積極的な改革を進めました。他方、パシュトゥーン人重視の姿勢からパキスタン政府と対立し、陸上輸送が生命線であるアフガン経済の生死を決する国境封鎖、さらには国交断絶の事態が生じるまでになった末、その打開のために辞任に追い込まれました。その後も王制のもと改革は進められましたが、カブール大学の教師、学生を中心とした中産知識階級はそれには満足せず、新たな動きが出始めました。1965年には社会主義を目指すアフガン人民民主党が結成され、他方、1990年代以降のムジャヒディン各派の中心となる、カブール大学の教官、学生であったラバニ、マスード、へクマティアルらがイスラームに基づく国家建設を目指す運動を開始しました。1973年PDPAの助けも借りてダウード元首相によるクーデタが起こり、「アフガニスタン共和国」が誕生し王制は廃止されました。」(JICAホームページより))

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(jam(afganistan)/minaret, late12th century/ジャムのミナレット、12世紀後半/右は左写真塔の真ん中部分青の帯のディテール。1100年代にターコイズブルーで施釉したレンガがこのような山奥の峡谷のミナレットに使用されていた/『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用))

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(上右、ペシャワール会報の表表紙の画を楽しみにしています。「チャイハナにて 画:甲斐大策さん」/下左はペシャワール会による取水堰の建設で潤される地域(耕地)/下右は「ラピスラズリの壺」

『ペシャワール会報』(113)、代表の中村哲さんの巻頭文「目的と精神は変わらず 「生命」が主題です 時流に乗らない心有る人々の思いに支えられ」。灌漑用水路の工事を進める「緑の大地計画」10年めの状況と現地活動29年の決意です。

 「 内戦は激しくなる一方で、政情は混乱の一途をたどっています。しかし、殆どの人々の深情—戦(いくさ)と外国人の干渉は、もうたくさんだ。故郷で家族と三度の食事がとれさえすれば、それ以上のものは要らないーという、無欲な願いが、誤りのない普遍的な人の営みでしょう。そして、これこそが、活動の基盤である、活力の源泉であり、ゆるぎない平和につながるでしょう」

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『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束』(中村哲、澤地久枝)。書名に惹かれて買いましたが、対談形式というのは読みやすいけど、ちょっとまだるっこしい。でも、さすがに澤地さん引き出し上手で、中村さんは人生を語っています。

「死の危険に幾度も直面し、しかもその瞬間、これで楽になれるという思いがひらめいたという。それだけ、生きていれば逃れられない重い荷物を背負っているのだ。アフガンとの約束は容易ならない」(澤地さん)。

 (マドラサ〜神学校の建設の時、村の長老たちが集まって皆でお祈りを始めた。「これで解放された」「自由だ」と言って本当に大変な喜び方だったと紹介し)「私も意外だったのは、まず皆が生存していくために必要なのは水で、マドラッサはその次くらいだろうと思っていたら、彼らにとってそういった精神生活というのは、生きていく上での水と同じように比重が重たいのだということを知らされました」

 (灌漑用水、農業復興支援について)「なぜ水が欲しいのか。ペットボトルに入っている水ではなくて、それで耕作ができて、動物が棲み、子どもたちの栄養失調が減ったり、そこで生きていく命の源とでもいうもの、そういうものが必要なんだということを(住民は)口を揃えていいますね。アフガニスタンというのは、いわゆる近代化に取り残れた国で、自分たちの伝統を頑なに守る民族が住んでいたわけですね。そういうところでは、かえって鮮明に水のありがたさ、自然と人間の共生の仕方といったものが、言葉もいらないぐらい、皆、自然に生きている」

  「地元の人は、「これは神様のご意思ですから」と言う。それは諦めというよりも、一種の謙虚な気持ちのような気がしますね。洪水が来たとしても、向うの人は国家そのものをあてにしていないので、自分たちの意のままにならないことがあるんだ、それはそれで甘受しようじゃないかというのが、どこかにあるんですね」

中村さんの言葉は、いつも全部引用したくなるほどに、本質的で具体的で熱くて人間の誠の心が滲み出ています。同じ日本人であることが、嬉しくなる、誇りに思えます。多くのボランティアの皆様も、ありがとうございます。

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『ラピスラズリの壺』。こちらは江藤セデカさん監訳と絵によるアフガニスタンの民話(アフサーナ)集です。(NPOイーグルアフガン復興協会/2012年5月発行/非売品)。

まえがき(2008年、ネダー・ファルハトさん)によると、
・ 情報文化省は古いアフサーナを収集し始めた
・ アフガニスタンにおける民衆文学も非常に長い歴史を持っている
・ 民衆文学から集団が持つ道徳や文化や行動基準を解明することができる
・ 5つに分類=劇/説教/妖精/英雄/神話
・ テレビやラジオの出現以前は、特に冬に家族が集まり物語を聞いた。しかし物語を話す文化は過去のものになった

物語だからこそ、独特の心性、価値基準が、臨場感を持って伝わってくる気がします。貴重な本、労作です。

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(左:herat(afuganisutan) gazor-gah,1426/『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用)/右:イラン)

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<アフガン、パキスタンつながりで...ザフ様特集>
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パキスタンのスーフィー楽士、Sain Zahoor Ahmadさんを信奉し、ザフ様をモチーフ&テーマとした様々なモノの製作を続行している手仕事クイーンTさん。コラージュ左がサイン・ザフールさん。右上がMD入れ(織から刺繍まですべて)。MDの中身もすべてザフ様。右下は操り人形!動くのがすごい!ザフさまの動きになります。楽器トゥンバは派手な飾りですがとても繊細な音で魅力的です。

(* YouTubeが真っ黒画面で見られない件、ひとまず見られるようになりました。アドバイスやご連絡どうもありがとうございました!m(_ _)m 解決法を探していて、この現象、少なくない人が体験していることがわかりました。皆さんもYouTubeが突然真っ黒画面(真白画面バージョンもあるらしい)になった時、焦らずにネットで調べてみて下さい。いろんな方法が紹介されていますが、各人のネット環境と時系列にて。私の場合は「safariの環境設定でYouTubeのクッキーを削除する」で、現在は何とかなっています。)
by orientlibrary | 2012-12-15 00:07 | ウイグル/アフガン

青のタイルと陶器、ブログの初心、これからも

ブログを始めて満7年と少しがすぎました。当初は「イスラム」と名のつくブログや関連するブログも少なく、心細い感じがしましたが、その後お友達ブログもたくさんできて、世界が広がりました。
1〜2年前から更新が少なくなるか、または休止のブログが多くなり、ちょっと淋しいです。twitter、facebook、iPhoneなど魅力的なメディアが登場。変化も仕方ないですね。
一方、WEBサイトとブログのリンク、facebookとのリンクも多い。全体には、日記的でやや長文、書き手の人柄や考えを伝えるものとして、ブログもまだまだ活気あり、なのかもしれません。

7年、飽きっぽい自分にとっては、ブログはけっこう続いています。本当はもっと頻度をあげたい。そして、初心の2点、「自分の勉強のため」「自分の好きなタイルやイスラムのきれいなものを伝えたい」を精進していかなくては、と思うのでした。
が、今回もまた写真メイン(これではダメなんですけど)。とにかく更新!(これではダメなんですけど)

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(ウズベキスタンからのお持ち帰り品!/左列:本類/上段中右:陶器/下段中右:アトラス、アドラス、バッグ)

絵本は民族衣装の絵を見ているだけでも楽しいです。ハードカバーではなく薄い紙を使っているので軽くて旅行者にはありがたい。

スザニと陶器とガラスの本(というか資料)。「SUZANI ~CENTRAL ASIAN DECORATIVE EMBROIDERY~」「CERAMICS ~THE ARTISTIC CULTURE OF CENTRAL ASIA AND AZERBAIJAN IN THE 9TH~15TH CENTURIES VOL1~」「GLASS ~2~」の3冊は、INTERNATIONAL INSTITUTE FOR CENTRAL ASIAN STUDIESのシリーズ本らしい!2011年の出版。こういう本が出てきました〜!図版や写真も豊富。しかも安かった。たしか1冊15ドル!助かります。

陶器はリシタンのもの。じつは、次からの写真のものが購入のメインで、この白地の青のザクッとした茶碗は”おまけ”。
「焼きが甘かった」とのことで、工房の雨受けみたいになっていたのを発見!一目惚れ♥で、譲ってもらいました。余白の白と青2色と茶色の組合せ、ザクッとしたおおらかな模様に惹かれます。今回出会った陶器の中で一番好きかもしれない。
ちなみに、このようなかたちで奪って?!きたものが上段右に。”まかない”的なシーンで使われていた茶碗。カフェオレマグに最適です。

布は、アドラス(絹と木綿)、アトラス(絹)。光沢や触感、存在感がたまりません。高かったけど、、毎日見て惚れ惚れしているのでOK!お隣はバッグ。微妙でシックな色合い、たくさん入って使いやすい。もっと買えばよかった。

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(2012年夏購入、ウズベキスタン・リシタンの工房の陶器。いわゆる作家ものにあたります。ウズ各地にお土産物で出回っているものとは違いますね)

鉢ものが好きなんですよね〜。そして幾何学模様より植物のモチーフが好き。もちろん青。
昨年の「イラン・トルコ・ウズベキスタンのやきもの」(INAXライブミュージアム)でも展示したウスマノフ工房(下2点)、アリシェル工房(上2点)のものです。工房の特徴、個性が出ています。

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(同。魚皿直径約20㎝。センター部分の図柄、余白の多いものを選びました)

「海のないウズベキスタンで、どうして魚?」と聞かれることが多いのですが、答えは「水が貴重なウズベキスタンでは、水に棲む魚は清浄と幸せ、平和の象徴」とのこと。青色で涼やか爽やかな印象。今回、白地の多いもの(今年の傾向)を選んだので、さらに涼しげではないでしょうか。

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(ウズベキスタン・リシタンのウスマノフ工房。細かい作業が続きます。窯もカッコいい!)

陶芸を習ってみて、たいへんな手間のかかるものだなあと実感します。もちろん毛織物も刺繍も細密画も、どの手工芸も手間と技能が凝縮していますよね。土ものもまた、土の準備から絵付けまで、たくさんの行程を経て、しかも焼成後の歩留まりの問題もあり、たいへんだなあと思います。

ウスマノフ工房の絵付けは繊細で緻密。下書きもきっちりです。慣れているとはいえ、細かい作業、集中が必要。40度を超える夏も氷点下の冬も、黙々と作業する職人さんたち。淡々としていてカッコいいです。

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去年の今頃は、トルコだったんだなあ、、作家さんと会い、陶器を選び確認し、引っ越しかと思うくらいの量の陶器を壊さずに日本まで運ぶというミッション。このすごすぎる運び屋騒動は、(とくに陶器の量を実際に見た人たちには)語りぐさになってます!火事場の馬鹿力ってホントですね(^_^;))

そんなトルコ、写真、アップしていないものが大半です。

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(陶芸産地キュタヘヤ/旧市街の佇まい。もう一度行きたい!/青の館の主人。青に狂った繊細で心やさしいアーティスト。なんとも個性的な方でした/青の館、全館とにかく青青青!)

キュタヘヤ。壺の大きさ、皿の大きさ、それらを収納する赤い飾り箱、、これをどうやって飛行機に乗せるの??、、、呆然クラクラしつつ、、楽しいこともたくさん!
旧市街にある「青の館」は、忘れられない場所。青に狂った作家さん、気持ちわかります〜!でも、すごかった。私なんか、まったくまったく足元にも及ばない。
青の釉薬を作る秘密を語ってくれたときには、通訳してくれたKさんが真っ青になるくらいの?熱の入りよう。後で聞けば、哲学的な独特の言葉遣い、表現で、訳が難しいのだとか。とにかく、この青色を出すために精魂込めている作家さんなのです。

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(キュタヘヤの博物館。タイルと陶器)

トルコで一番の陶器産地キュタヘヤ。が、正直なところ、これまでお土産物的な印象しか持てていませんでした。オスマン朝最盛期の技法を再現する作家さんのお仕事を見て、青の館を見て、やはり現地に来て、人と会うことが大事だなあと思いました。

博物館も良かったです。セルジュークのタイルに熱狂しました。絵付けタイルや、壺、皿の絵付けも品があり伸びやかで、好きになりました。

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(イスタンブールの博物館。セルジューク朝、オスマン朝、イランの陶器とタイル。見応えたっぷり!写真を撮っていいのもありがたいです)

イスタンブールも、もっとゆっくりじっくり見たい、歩きたい!ティムール朝タイル好みの私ですが、セルジュークはもっと知るべき見るべき。11世紀くらいから。タイルも建造物も。


気力復活。気候もすごしやすい。いろいろがんばりたいです。
ブログ、今回もおつきあい、ありがとうございました〜♪
by orientlibrary | 2012-09-30 22:52 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

水の景で涼やかな日本の青。くっきりした空のような中央アジアの青

『Stitches & Stories 苗族刺繍の世界展』でのトーク、手仕事好きのたくさんの方々が、瑞さんと思いを共有されているように感じました。

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「禾苗刺繍学校」支援者の方たちも多かったようです。北海道から横浜まで駆けつけた方も。
刺繍学校については、「2001年 貴州省台江に開校した刺繍学校。そこに集う生徒達の成長と学校の歩みを綴って」からも知ることができます。

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miao-japan.comより)

コツコツと、そしてニコニコと、自分たちの歩む道を進んでいらっしゃる「雅+瑞」さん。率直で温かいお人柄、ファンが多いこと、本当にうなづけます。


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梅雨も近づき、紫陽花の似合う季節となりました。青から紫の色合いが好きな私、散歩がうれしい季節です。

先日、東博にて。涼しげな小袖が目を引きました。「プルシャンブルー」の水が流れています。視覚を通して涼を感じられます。蒸し暑い日本の風土から生まれた美的感性でしょうか。

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(小袖/萌黄縮緬地松牡丹紅葉流水孔雀模様/江戸時代、19世紀/幕末にヨーロッパから輸入されて流行したプルシャンブルーが鮮やかな振袖。松葉や紅葉を細かくあらわした風景模様は、江戸時代後期に様式化された武家女性の小袖のデザインである。腰から下の模様は、百合の王・牡丹と百鳥の王・孔雀の組み合せとなっている/東博にて撮影) 
 プルシャンブルー=紫色を帯びた暗い青色。紺青と呼ばれる青色顔料の発見地ドイツの旧名プロシアに由来してプルシアンブルーと呼ばれるのが一般的/「wikipedia」 

納戸色の粋な色合いの小袖も。場面も橋をポイントに水のある光景を描いており涼やかです。

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(小袖/納戸色縮緬地宇治橋風景模様/江戸時代、19世紀/納戸色の縮緬の水辺の風景模様を白く上げ、紅・萌黄・鶸色の絹糸や金糸で彩りを添えた武家女性の小袖。張り出しのある宇治橋を前景に、平等院や宇治上神社を遠景に描く。名所模様要は江戸時代後期に町方に好まれたが、歌枕を題材とする点が武家らしい/東博にて撮影) 
 納戸色=つよい緑みの青。一般に、藍染の鈍い青の伝統色のこと。江戸時代、奢侈禁止令により染色の色が制限されたなかで茶色系統、鼠色系統、納戸色を含む紺色系統は許されたとされるほど人気があった。色名の由来は「納戸の暗がりの色」「城の納戸に掛けた垂れ幕の色」など諸説 

やきものを見るのも楽しみです。常設でも入れ替えがあるので、新しいものを見つけては喜んでいます。今回は青磁の特集もありました。

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(青磁下蕪瓶/中国/南宋時代、13世紀/伝世の青磁花入の最高の優品として名高い。灰白地の素地に明るい粉青色の青磁釉が厚くかかり、玉のような美しい肌あいをみせている。丸く張りのある胴から長く頸がのびた器形は、茶人によって下蕪とよばれ、落ち着きとともに堂々たる風格をそなえている/東博にて撮影) 

じつは私、なぜか昔から青磁には惹かれないのでした。どうしてなんでしょう。緑系はそれはそれで好きだし、白磁にはぐーっと寄って行くのですが。青磁は、どこか冷たさを感じるのかな。好みとしかいいようがありませんね。

こちらは伊万里の染付。白地が多くザクッとした模様。どこか自由でちょっとワイルドで、いい感じ。

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(染付鳥牡丹唐草文輪花鉢/伊万里/江戸時代、17世紀/江戸時代初期に九州肥前有田において磁器の生産が始まって間もない時期の製品を初期伊万里という。口部の大きさに比して高台が小ぶりであるのは、初期伊万里の鉢の大きな特色である。青みを帯びた透明釉が厚くかかり、一面の貫入が生じている/東博にて撮影)

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また青の話題になっているのですが、、ここまできたら、リシタン(ウズベキスタン)の青、いきたいと思います。コラージュにしてみました☆

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このおおらかさ、クリアで明快な青、でもそれだけではない青の多彩な色合い、繊細で温かい感性も好きですね〜。

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いろんな青の表情があります。伝統の青、自分の青を出すために、職人さんは精魂を傾けます。青を生かす絵付けも伸びやかで、図柄も多彩。細かい手仕事に集中している職人さんを見ていると、こちらも集中します。あっという間に数時間たっています。

中世からの伝統を誇るリシタン陶器、ソ連時代は集団での制作の時代でしたが、伝統は秘かに受け継がれてきたといいます。

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(ソ連時代に作られたパンフレットより。表紙にもなっている皿。この青。スカッとして深い。ゾクゾクします)

ソ連邦からの独立後は、いち早く復興への道を歩み、伝統の技法を継承する偉大なマイスターたちが次代の若手を牽引したと聞きます。

2000年代頃には、素晴しい青の作品が生まれています。↓もっとも好きな世界です。なんて青、、言葉なし、、

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(『CERAMICS OF RISHTAN』 LJALJA KUZNETSOVAより)

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ブログ、週1回もようやく、という情けない有り様なのですが、(書くことで自分にプレッシャーをかけるべく、、)青の装飾タイルの萌芽、セルジューク朝を少し勉強したいと思っています。
このような青を追いかけて行こうと、、↓

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(初期のタイル/1213年/Aksehirのグランドモスク、ミヒラーブ/『TILES /TRESURES OF ANATOLIAN SOIL/ TILES OF THE SELJUK AND BEYLIK PERIODS』、Fuchan Arik olus Arik)

『TILES /TRESURES OF ANATOLIAN SOIL/ TILES OF THE SELJUK AND BEYLIK PERIODS』を読んでいきたいと思います。意気込み!YHEA!♪♪♪
by orientlibrary | 2012-06-06 22:51 | 青の道