イスラムアート紀行

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日本のタイルびとたち&やっぱりタイルが好きだ!

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アトリエ「ユークリッド」


「タイルがどのくらい好きか」について語り合う機会が少ない(ほとんどない)と嘆いている私に、先日、あるメッセージが。<タイル好きが集まってバーベキューをします。来てみませんか>。え〜、タイル好きって、日本で??<ほとんどが20代、30代の女性です>。若い女性がタイル好き?ホント??

正直、内心は半信半疑。でも若い女性に好まれそうな「イチゴ、チェリー、赤ワイン」をエコバッグに入れて、イソイソと出かけてみれば、、、わ〜〜っ!ホントだ、、本当に若い女性ばかり!しかも美人ばかり!

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(「ユークリッド」の名付け親はモザイク師の荒木智子さん。
タイルやモザイクは無限なる宇宙であり、
幾何学であるという見解が一致しての命名となった、そうです/青の時計や八角星のチェスなど女性の心鷲摑み系!?)

そこは、タイル職人・白石普(しらいしあまね)さんのアトリエ「ユークリッド」。タイル張りのバーベキュー台には血のしたたるような肉、肉。しかもデカイ。さすが。同年代だと干物、酢の物、梅干し入り焼酎などサッパリ路線なので、すでに軽いカルチャーショック。

美人さんたちに見とれていると、奥にヒゲの男性を発見。この日本で、タイルをデザインし、制作し、施工をおこなうことを生業にしている人。イタリア留学、モロッコの専門校と工房でのモザイクタイル修行。タイルやモザイクが息づく土地で暮らし学んだ経験が素晴らしい。(詳細は、「タイルびと」(チルチンびとWEB連載)で。端的でリアルで臨場感とリズムのある文章。写真や図版も。日本にこのようなタイル人がいることが、うれしい!)

アトリエは、「タイルを愛する人が集えるように団欒スペースを設け、
教室や作品展も開けるタイルサロンとし、「ユークリッド」と名付けた」(タイルびと、より)。開放的な空気、白石さんの明るく率直な人柄。これは人が集まります。

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(壁面を飾るのはイランと思われる絵付けタイル!白地で品のいい絵柄、いいですね〜!/モザイクのテーブルなども)

女性が多いのは、女性の方が好奇心と行動力があることも関係している気がします。(美人が多いのは、、なぜ!?)イタリアでモザイクを修行した専門家、自分のデザインでタイルを作りたいという絵描きさん、タイルに関わる人たちのコーディネートをしたいというタイルショップの方、施工にチャレンジしている女性、アラベスク模様のタイルがたまらなく好きという女性。わ〜、すごい。

アトリエに来たきっかけを聞いていると、「タイル」をネットで調べてこちらに辿り着いたという人が多かった。そういう層があり、ニーズがあるということなんでしょうか。その気持ちに応える場が少ないということなのかなあ。

「女性が好きなのは小さくて可愛いもの。女性はタイルが好きなんですよ」(参加した女性)。なるほど。小さなタイルのちょっと盛り上がった風情、釉薬のキラッとする光沢、温かみのある土の質感、星などの「カタチたち」が織りなす幾何学模様の愛しさ、安心感。また白石さんのタイルは青系が多く色がきれい。若い女性たちの琴線に触れること、わかる気がします。

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(「私は23歳の時にタイル職人を目指した。陶芸家の父。イコン画家の母。
そんな両親の影響で留学したイタリアで、幾何学模様の大理石の床、
絨毯のようなガラスモザイクの壁や天井、石積みやレンガ造りの躯体のままの意匠、
数々の魅力的な空間に出会い、こういうものに関係した仕事がしたいと
漠然と思いながら帰国したのが、22 歳のときだった」(タイルびと、より)/右上:青い鳥のモザイクタイル、サンプル作品。素敵!色は本番ではもっとクリアになるとのこと。私の好きな青2色。楽しみ/右下:パーティの様子。次々と訪問があり中に入りきれないほど!)

ウズベキスタンの工房でも、「あまりに大変でやる人がいない」「値段が高くつき過ぎて現実的に無理」というモザイクタイルの制作と施工。西アジアのタイル産地でも、有名な建造物の修復現場を除き、モザイクタイルは稀少でしょう。それを、この日本で、個人でやっているなんて。しかも美しい。デザインも施工も。自由で緻密。

白石さんの仕事については、きちんと取材してから書きたいです。このブログの「タイル人(たいるじん)」に、ぜひ登場して欲しいな。


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タバコ屋のタイル〜日本のタイル


じつは、もうひとつ、タイルがらみのトピックがあります。

ある時、facebookの「おすすめグループページ」という欄を見るでもなく見ていたら、「タイル」という言葉が目に入り、そのページに入ってみてビックリ。タバコ屋のタイルや街角のタイル、日本の近代建築の中のタイル写真をいろんな方々(建築関係の方が多い印象)が投稿。とくに全国くまなくタイルを見て歩いている方(女性)のエネルギーに脱帽しました。

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(このトピックとは直接関係ありません/岐阜県多治見笠原の「モザイク浪漫館」にて)

さっそく仲間に入れていただきましたが、日本のタイル中心の様子なので、イスラームのタイル写真は外れてしまうなあと遠慮。が、次第に自分も参加したい気持ちが高まり、かの地の街角タイルなどを投稿中です。

日本のタイルは、数年前まで全く見ていなかったので新鮮です。レトロで(古いものなので当たり前ですが)温かみがあって誠実な感じがします。グループに関しては、いろんな視点、視線で見ることの面白さを感じています。興味を持つポイントがそれぞれ違う。そのタイルが好きかどうかは別として、触発されます。

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(このトピックとは直接関係ありません/瀬戸にて)

コメント欄もあるので、投稿写真についてのやりとりも。つまり結果的に、「タイル話」をしていることになります。ずっと「タイル話」がしたかった。こういう形でできるようになるなんて。


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タイルが動く?


この間、感じていること=不思議さ、感慨、ちょっと微妙な気持ち、それでも前に行こうという思い。

・白石さんのアトリエ、日本のタイルのFBグループ。ネットを通じてタイルに関心のある人が集まっていること。タイルが好きという人が少なからずいること。とくに若い女性。

・個人的には、これまでできなかったタイル話ができそうという感慨。

・ただ、ちょっと微妙なのは、やはり私の好きなタイル、植物文様の圧倒的なモザイク、西アジア〜中央アジアの濃いタイル文化、12〜17世紀前半頃までのイキイキしたタイルは、それでもまだまだ、とってもニッチなのだと気づかざるを得ないこと。

・では、あくまでも好きなタイルだけを見ていくのか、と考える。それではいつまでも浅いタイルファンのままかもしれない。触発され、ときには反発もし、でも良さを認め合い、だから一層自分の好きなタイルが見えてくる、のかも。実際、この間、どんどんタイルが好きになっているのです。

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(ブハラのタイル)

<5月26日8時AM 追記> 「基本構想から約2年半、ようやくその姿を現します。27日、名古屋 でプレス発表。藤森照信流、土でできたモザイクミュージアム」だそうですよ!ついに!タイル、動いていますね☆

<5月28日 追記>  発表になりました。「多治見市モザイクタイルミュージアム」、2016年6月オープン予定!概要はこちら=「タイルのまち」象徴 多治見市がミュージアムの概要発表


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今回は、「神宮外苑と国立競技場〜解体中止と改修検討」「明治神宮」について、「自由学園明日館」「江戸東京たてもの館」「超絶技巧!明治工芸の粋(三井記念美術館)」「フランス印象派の陶磁器 1866-1886―ジャポニスムの成熟―(汐留ミュージアム)」なども、少し用意していました。回をあらためて、明治工芸、明治建築などについて書いてみたいと思います。今回はタイル特集でした!

<こちらは緊急性もあります。ご関心がありましたら読んでみてください!>
神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会
新国立競技場の何が問題なのか──中沢新一氏と伊東豊雄氏が問題提起
by orientlibrary | 2014-05-25 23:13 | タイルのデザインと技法

圧巻コンヤ、セルジュークのタイル、大急ぎアップ編

更新少なく、お立ち寄りいただいている皆様、ごめんなさい!大急ぎで、セルジュークタイルをいくつかご紹介。今回はザクザク編、、近いうちに記事にします!


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(The Karatai madrasah/アナトリアのセルジューク朝の首都だったコンヤ、歴史的建造物は街の中心地に点在。ルーム・セルジューク朝時代を代表する傑作カラタイ・マドラサは1251年創設。19世紀末まで神学校として使用されていた。圧巻のモザイクタイル)


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(THE INCE MINARE MUSEUM/インジェ ミナーレ神学校 (1267年))


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(THE SIRÇALI MEDRESE/セルジュークのタイル、どの建物のタイルも圧巻だったが、とくにスルチャル神学校(1242年)のタイルには魅了された。技術は年代を重ねるごとに右肩上がりに高まるものではない、それを見せつけられたセルジュークタイルの旅だった)


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(Esrefoglu Mosque, Beysehir/エシェレフオール・モスク(1296〜1299)、ベイシェヒール=コンヤ近郊。ベイシェヒールには、カラタイマドラサに展示されている素晴らしいクロスと八角星のタイル群が壁面を覆っていた「Kubadabad Palace」(夏の宮殿)があった。セルジュークのタイルが花開いた地域)
by orientlibrary | 2014-05-19 01:53 | トルコのタイルと陶器