イスラムアート紀行

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かたち・きもち、民藝のうつわ、カンタ刺し

瀬戸から戻って1週間。この1週間、たくさんの「民藝のうつわ」に触れました。民藝のうつわ自体は、これまで見ていなかったわけではありません。が、この1週間、若い人たちの「民藝のうつわのある暮らし、空間、食」とでもいうようなテイストに出会いました。出会ったというよりも、興味が高まり、どうなっているのかな、どうしてなのかなと、どんどん出かけて行ったのです。

先週日曜日、瀬戸本業窯、民藝とのつながりの深い窯でギャラリーや資料館を見せていただきました。三彩、黄瀬戸、緑釉など、とても魅力的で使いやすそう。時間がなく、大急ぎで分けてもらった皿、やさしい色合いで軽くてサイズも程よくて使いやすい。手抜き料理も美味しく感じられて、とても満足です。

このようなうつわは、どこで買えるものなのか、ネットを見てみると、カジュアルなテイストの民藝の器や雑貨を販売するサイト、実店舗、けっこうありました。30代くらいの人がやっているみたい。え、そうなんだ、、民藝って今こうなってるんだ、人気の窯元があり、セレクトされ、程よい品揃えと価格で販売されているんだ、、この時点で、かなりの驚きがありました。

 注釈です。「民藝」と「民芸」。その違いはよくわかりません。後述の『日々、うつわ』によると、「柳らが「民藝」の言葉を使い始めた当時は、「藝」には「草木を植えること、修練によって得た技能」という意味があり、「草を刈る。香草の名」を意味する「芸」とはまったく異なるものであった。現在の使い分けとしては、元来の民藝の考えを踏襲するものは「民藝」、郷土色の強いもの、和風のものなどは「民芸」があてはめられることが多いようだ」とありました。わかりやすい説明です。今回の内容は、展覧会名や書籍での使用が「民藝」。個人的には旧漢字はあまり使いません。が、本文でだけ民芸と書くのもごちゃごちゃしてしまうので、民藝で統一しようと思います。今後はまた考えます)

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「日々、うつわ展 〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜」

たまたま、東京ジャーミー(代々木上原)のすぐ近くの「CASE gallery」で、「日々、うつわ展〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜」という展示が開催中であることを知りました。またしても土砂降りの雨でしたが、行ってきました。びっくりでした。

白い壁のシンプルな空間、木の展示台に各地のうつわ、壁にそのうつわに料理を盛った写真パネル。ギャラリーの方(坂元さん)とギャラリーが醸し出す、ナチュラルでデザイン感の高い雰囲気、なんだか「北欧」を感じていましたが、やはりというか、北欧と縁のあるスペースなのだそうです。厚かましくいろいろ聞く私に、坂元さんが親切に、そして端的に答えてくださってありがたかった。いまどきの「民藝のうつわ」、その感触をつかむことができました。

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(沖縄読谷北窯、小鹿田、小石原、石見など全国14の産地のうつわ/各産地のうつわのかたちや色にあった料理の写真と説明/お気に入りの小石原焼・飛び鉋皿を持つ坂元さん)

民藝のうつわが最近とみに好きになったという坂元さん、使いやすくて価格も手頃なのがよい、と。こういうセンスのいい人たちが手仕事のやきものを取り入れるようになる。うれしいですね。

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(やっぱり魅力的、一堂に揃ったうつわたち。北欧と和は重なり合うものがありますね。4枚のなかでひとつ、北欧の器集合写真があります。どれでしょうか?!)

書籍『日々、うつわ〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜』(萩原健太郎著/誠文堂新光社)。9月末の発行。著者は1972年生まれ。簡潔な温かい文章で伝えたいことがよくわかります。

「全国の民窯をめぐるうちに、日本にはこれほど多くのうつわがあること、それぞれに地域に根ざした伝統や技術があることを知る。しかし、それらは価格も手頃なのにもかかわらず、日常のなかで見かける機会は多くない。(中略) うつわそのものを紹介するのではなく、うつわは使ってこそ輝きを放つことを証明したかった。料理のチカラを借りて、うつわの素晴らしさを伝えたいと思った」

料理がまた、いい。見かけだけのこじゃれたレシピじゃない、骨太な料理。筑前煮、かぼちゃのスープ、たまごサンド、ハンバーグ、親子どんぶりなど。これがおいしそうだし、器と合ってる。うつわが欲しくなる。これこそ、うつわと料理のしあわせなレシピ。

展覧会はすでに終了していますが、会期中にはトークイベントも。「民藝から北欧のデザインまで」「山陰のうつわ、料理、旅について」「調理から盛りつけまでの実演」も。「いま」を感じます。

このようなうつわを扱っている店がありますよ。え、それはどちらですか!?ということで、CASE galleryで教えてもらった「SML」(エスエムエル、ショップ、恵比寿)と「SMg」(エスエムジー、展示主体、目黒)に向かいます。

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「最高に美しいうつわ tableware as life」

目黒川沿いの道から少し入ったところにあるSMg。「因州 中井窯の仕事」展を開催中でした。黒いジャケットの眼鏡男子がじっくりセレクト中で、6点ほどまとめ買い。

因州中井窯は、緑、黒、白の染め分けが特徴。前述の『日々、うつわ』によると、「柳親子に愛された山陰を代表するモダン民藝」。和の力強さと感性が伝わります。インパクトがありますね。

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(SMg。「因州 中井窯の仕事」展。スッキリした店内、ユーズドの木の什器が陶器の味わいを引き立てています)

こちらでSML監修の書籍、『最高に美しいうつわ』(エクスナレッジ/2013年4月発行)を購入。安西水丸氏の推選の言葉=「うつわ、陶芸家、店、すべてがセンス良くまとまったこんな本ができたことがうれしい」。同感。作家、うつわを扱う店舗やカフェのオーナーなど、様々な角度から、うつわ、思い、伝統を受け継いできた土地、風土、人々を見つめます。「今」が伝わる。写真がとてもいい。深い魅力を引き出しています。

徒歩でSMLへ。恵比寿らしいかわいいお店ですが、小鹿田焼、砥部焼など、上の2冊の本に登場する民藝のうつわたちが並んでいます。値段も数千円台が多い。民藝の店というと、敷居が高く独特の雰囲気、知識がないと恥ずかしいというイメージもありましたが、今の民藝のお店は気さくでカジュアル。暮らしのなかで使って欲しいという思いが伝わります。

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(SML。手作り風の店内。人気は「やちむん」や「スリップウエア」。スリップウエアはファンが増えていてイベントなどもあるそうです)

SML、SMg、ともにこの数年内のオープン。話を聞いたスタッフの方々も、出会ったのはこの数年内とのお話。書籍も今年2冊。それ以前には、『Discover Japan TRAVEL 民藝のうつわをめぐる旅』(2010年)、『民藝の教科書1 うつわ』(2012年)も。今回は、「行ってきました!」だけで、とてもまとめられません。いつかまた書きたいと思います。

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(左2点:瀬戸本業窯にて。上はクバの草ビロードと黄瀬戸の経年変化/右3点:本文でご紹介した書籍2冊。料理が美味しそう。写真もいい)

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カンタ、ラリーキルト

うつわから刺繍に話題は飛びます。民藝のうつわで感じた、伝統、継承、時代性、実用など。どの手工芸でも同じ課題や取組みや試みがあるように思います。

ブログでも何度かご紹介している刺繍家の望月真理さんの展覧会。真理さんは、インド東部のウエストベンガル地方などで盛んなカンタ(古い布のサリーをはぎあわせ刺し子を施し丈夫で美しい布に仕上げる)を現地で知り、調査と研究を続けています。「この文化の途絶えるのを惜しみ、シルクロードの終点である日本で受け継いでいきたいと願っております」。

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(ベンガルのカンタ)

真理さんは、カンタを日本人の眼と手と心で刺します。細密な手仕事、遊び心が魅力。ベンガルの大胆で明るい構図や色使いから学び、真理さんのカンタを、87歳の今も、日々、時間を惜しんで作り続けています。

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(真理さんのカンタ)
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(真理さんのカンタ)

そのカンタ、この数年、「ラリーキルト」として、とりわけクオリティの高い手仕事のストールなどが紹介され、人気となっています。先日、横浜「エスニカ」の「染まるインディア」という展示とイベントで、コカリさんの展示を拝見。いつもながらセンスいい。

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(ラリーキルトのストール。インドの手仕事はすごい)

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(展示とイベント「染まるインディア」@エスニカ。陽射しが差し込む居心地良い展示空間)

ラリーキルト、初めて見たときから、どんどん洗練度が高まっている気がします。カンタ、ラリーキルト、時代や人々の思いのなかで、どのように変わらない芯の部分と変化する姿を見せてくれるでしょうか。

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最後に、今日、たまたま発見!北欧の雑貨のオンラインショップ(北欧、暮らしの道具店)で、九谷の器の販売を開始と。「石川県の九谷焼の器の販売を
開始しました。当店でご紹介させていただく、
初めての和食器となります。『北欧の器』と『日本の器』。このふたつが絶妙にマッチしてくれることは、
これまでの特集やスタイリング写真などで、
何度となくご提案させていただきました。様々なものを組み合わせ編集する
楽しさをご提案できたらという想いで、
初めて和食器を仲間入りさせることにしました」だそうです。

北欧と和は重なり合うものが多い。まだまだいろんな動きがありそうです。

相変わらず長文ブログです。今の「民藝のうつわ」に興味を持って1週間、まとまりませんが、その時しか書けないものがあると思い、書いてみました。ふぅ〜〜(汗)
by orientlibrary | 2013-10-30 00:17 | 日本のタイル、やきもの

秋の瀬戸で本業タイルと出会う

瀬戸への小さな旅。
日本のやきもの産地を少しずつでも見て歩きたい。そして最近見始めた日本のタイル。瀬戸本業タイルは、やはりもう少し知りたい。「河井寛次郎の陶芸」展(瀬戸市美術館)も開催中。行ける時にはどんどん行こう!土砂降りに見舞われましたが、土味はたっぷり。今回は写真中心に、ざくっとご紹介。だんだん調べていきたいと思います。

雨自体は、けっして嫌いじゃありません。雨の日に本を読むのが好き。小雨なら散歩も好き。雨上がりの植物や景色も瑞々しくて好き。でも朝から丸一日土砂降りの散策、スニーカーはずぶ濡れ、地図はヨレヨレで見えなくなるし、寒い。

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ぼやきたくもなるけれど、やきものは雨の中で、ますますツヤツヤときれいなんですよね。いいなあ。見とれます。「窯垣の小径」はやきもの散歩道。塀や壁に埋め込まれた古い窯道具などが様々な模様を描きます。使い込まれたものは美しい。味わいがある。四季それぞれいいと思いますが、落葉の秋は色が合います。常滑の土管を積んだ散策路もいいし、土と土のものは相性がいい。茶系、緑系は落ち着きます。

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窯垣の小径の道沿いにある「窯垣の小径ギャラリー」。雨の中、行く場所もなく途方にくれていたら、ギャラリーの方が小走りで来て早めに館を開けてくださいました。助かった〜。ギャラリーは、江戸時代の旧窯元のお屋敷を利用。地元作家の作品を展示販売しています。スタッフの皆さん(出展作家さん)が親切で、ほっこり和みます。

ギャラリーから少し歩いたところにあるのが「窯垣の小径資料館」。「建物はもと「本業焼」の窯元であった寺田邸を、そのままいかす形で改修したもの」だそうです。こちらに本業タイルが20点ほど展示されていました。資料館パンフレットより、「本業タイル」についての説明を引用させて頂きます。

——— 明治時代の日本における洋風建築の流行と共に「敷瓦」を前身とする「本業タイル」がさかんに使われるようになりました。これは「転写」技術の向上により、同一図柄で量産されたわが国の近代タイルの第1号ともいうべきものでした。本業タイルは、本業(陶器)の伝統的な調合による土を使い、土の表面の粗さを覆うために磁器の土を使って表面が化粧してあり、銅板転写による図柄の美しさとも相まって陶器でありながらあたかも磁器のように繊細で硬質感と近代感を兼ね備えたものとなっています。 ———

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(写真は青のものばかりですが、茶系緑系もあります。本物をこんなにたくさん見るのは初めて。左右対象、幾何学と植物文様を合わせたもの等、このデザインの出自がピンと来ませんでしたが、ヴィクトリアンタイルの影響だと気づきました。けれども日本らしさが滲み出したようなものもあり、その混合が興味深いです)

資料館では、本業タイルが貼られた浴室及び便所も当時のままの姿で紹介。一枚で見るタイルとはまた違った印象です。当時はとてもモダンな空間だったのでしょうね。

時間は前後しますが、「瀬戸蔵ミュージアム」の展示タイルはこちら。

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(瀬戸蔵ミュージアム。タイル生産の道具展示。代表的なデザインのパネル等)

名鉄尾張瀬戸駅から数分の複合施設「瀬戸蔵」(店舗、飲食、ホール等)、その2階と3階が瀬戸蔵ミュージアムです。吹抜けになっていて広い。陶房の再現ややきものの歴史等、日本のやきものビギナーの私にはとても有益で楽しいミュージアム。熱中しました。

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(瀬戸蔵ミュージアム。モロ(陶房)の再現。すごい!)

モロ(陶房)の再現がすごい。地元の人には見慣れた光景かもしれないけれど、小物など細部まで凝った展示は感動ものでした。かつ、陶器生産の行程や設備、道具を知ることができる。やはり、実物があるとわかりやすいです。一つのモーターを動力にして、ロクロなどいくつもの機械が動く。モーターという言葉の当時の輝きに思いを馳せました。

生活道具展示室では生産工程が具体的に見えてきて、とても勉強になりました。ビデオも全部見ました。3階の「瀬戸3万年の歴史」もわかりやすい。時系列、品目別に実物をひたすら見せる。アートな展示方法もあるでしょうけれど、ここではこのやり方がわかりやすいのでは。私は好みでした。

製品を出荷〜輸出する光景の再現も興味深かった。陶器の梱包ではエピソードもある私、箱詰めの輸出用陶器に見入りました。もっと詰め物はするだろうけど、基本、こんな感じだったの!?割れないのかな。紙と藁みたいなものでも、とにかくやきものが動かなければいい。ウズベキスタンのウスマノフ工房のパーフェクトパッキングを思い出す。工夫と技。最近は大量のエアパッキンに頼り過ぎなのかもしれない。

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(瀬戸蔵ミュージアム。製品を出荷、輸出する光景の再現。右下2点は1970年代の輸出用との記載。「Occupied Japan」(連合国軍占領下の日本、1947-52年の5年間に日本で生産し輸出したもの)と図柄が同じなことに驚いた。でもどこかおとなしい。いつか両者の比較写真をアップしたいと思います)

さて、また土砂降りの窯垣の小径に戻ります。迷いながらも、ようやく登り窯に辿り着きました。が、土砂降りの中を歩いていたのは私だけではありませんでした。写真愛好家と思われる団体ご一行が、雨具の中にカメラを入れながら熱心に撮影旅。登り窯も、妙に満員な感じになってしまいました。寒さもあって、もう帰ろうかな、、と弱気になったところに、なぜかカフェらしきものを発見。登り窯の上部の横にカフェ?その名も「窯横カフェ」。入ってみます。

広過ぎず狭過ぎず、白い壁に木の床。ジャズっぽい音。雑誌やグリーン。若いお二人がオーナーのご様子。とにかくまずコーヒーを頂きます。やがて石油ストーブも登場し、体も暖まってきました。お店の方と少しおしゃべり。絵を描いている方々、瀬戸に移住し、セルフビルドでカフェ作り。今年2月のオープンだとか。感じいいカフェです。器もいいな。目の前には薪ストーブも。気になるのはその下に敷かれたタイルなんですよね。

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相当好きなタイル。青の色味がいいな。ラスティックな質感も。このタイル、どうしたんですか?すると、登り窯の窯(瀬戸本業窯)の八代目に作ってもらった、と。注文で作ってもらえるんですか?さあ、どうかなあ。もうすぐ八代目が用事で来るので話してみたら、ということでiPadしながら八代目を待ちます。

やってきた八代目、カジュアルなファッションが似合ってます。資料館やギャラリーを見せて頂けることになり、ラッキー!資料館には、本業タイルが。「うちで作ってきたものです」。え〜、そうなの!?こちらだったんですか!

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(ペルシアにも輸出していたというタイル/六代目水野半次郎氏と民藝運動の方々/八代目/陶器の染付魚藻文。陶器の染付は珍しい。でもウズベキスタンやイラン、トルコは基本的に磁器ではないブルー&ホワイトなので私にとっては親しみある質感と化粧土の白/ギャラリーも見応えあり。こういうのが見たかった)

聞けば、民藝との関わりのある窯元。六代目が柳宗悦さん等と交流があり、昭和30〜40年代の大量生産の時代も手仕事を大事にしてきたのだそうです。黄瀬戸(これがまた、最近大好きなんですよ)と緑釉が特徴。いい色です。

瀬戸に行くからには本業タイルに触れたいと思っていた。でも、どうやってそこに辿り着けるのかわからなかった、というか、詳細を調べなかった。最初はあまり調べ込まずに先入観を持たずに行き、とにかく歩いて手がかりを探す。いつもそんなふうにしています。今回は土砂降りのおかげでカフェに入り、いつもなら短時間で出て歩き回るのに雨と寒さで出られず、そのおかげでタイルを見つけ、たまたまタイルを作った八代目が用事でカフェに。日本のタイルの現場と会えました。感謝。

河井寛次郎の陶芸−科学者の眼と詩人の心−」展も良かった。鍛錬の賜物である圧倒的な技術が支える自由な個性の表現が、やわらかいあたたかい造形と色に結晶している。やきものは人柄なのかと感じました。釉薬の研究で定評があった寛次郎さんが最後に作り出した「碧釉」。深くどこまでも引き込まれる、かつ屹立するような、魅惑の青。最高でした。

最後に瀬戸で出会った青。

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(窯垣の小径ギャラリーの庭2点/染付壷。瀬戸染付の特徴は没骨(もっこつ)技法。主に付立筆を用いて一気に描く/本業タイル)

今回はひとまず、ここまでに。今後も、産地シリーズ、「タイル人」も書いていきたいと思います。

* 「窯横カフェ」のfacebook、発見しました。ごはんやお菓子がおいしそうです!
* たくさんの「FBいいね!」ありがとうございました☆
by orientlibrary | 2013-10-22 01:04 | 日本のタイル、やきもの

中央アジア人・アトラスと駆けるウズベキスタン

秋は展覧会、展示会、イベントが、いつもにも増して多い時期。個人的には、土寄りの時間が多いのですが、写真がないこともあり、今回もアトランダムな内容。後半は、「中央アジア人・1 〜アトラスと駆けるウズベキスタン 川端良子さん(東京農工大学)」です!

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まず、青のFBよりサマリー少々。
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(ティラカリ・マドラサ(サマルカンド)〜宇宙のようなカリグラフィーと幾何学模様/ホジェ・アハマド・ヤサヴィー廟(トルケスタン)〜彩釉レンガとタイルを駆使した壮麗な装飾/シャーヒ・ズィンダ(サマルカンド)〜幾何学模様を立体化)

釉薬クラス。知らなくてはと義務感のような気持ちで始めたのですが、意外なことに釉の調合にハマってます。無謀なチャレンジをサポートしてくれる白金陶芸教室さんに感謝しつつ、今回もオリジナル青に向けて走ってます♪
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(青系調合テストピース/基礎釉作り/トルコ青釉調合/この青が憧れ)

インドの布を紹介しているkocariさん。明るい色使い、斬新な色の組合せ、美しい手仕事のカンタや刺繍が女性に人気。
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(西早稲田の民家ギャラリー。きれいな手仕事とチャイでなごませていただきました)

中央アジアのテキスタイルや工芸を紹介するカンノ・テキスタイル。滝野川の展示。スザニやキリムバッグも。
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(左段3点=カンノ・テキスタイル/中〜右の4点。ウズベキスタンの絣布アトラス、アドラスで作られた小物類=テディベア、捻り香合、ネクタイアなど、2012年のハンディクラフトコンテスト入賞作品、現地での製品化第1弾。ウズベキスタンでの販売がスタート! 〜写真はコカリさん、カンノ氏空間にて〜)

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<中央アジア人・1 >
「アトラスと駆けるウズベキスタン」川端良子さん(東京農工大学)


ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンなど、中央アジアを駆け巡るひと。数十キロの荷物、スーツケース2個持ちでもニコニコ。中央アジアメニューなど、おいしい料理を手早く作る料理上手でもあります。ウズベキスタンでのアトラスプロジェクトも興味深いステージに。聞いてみたいこと、たくさん。

(* 夏のインタビューからタイムラグがあるため、少々補足している点があります。また録音はしていますが、このまとめは取材時の入力を基にしています。細部のニュアンスが多少違う点があるかもしれません。この点、ご了解ください。)

まず、東京農工大のウズベキスタンプロジェクト。趣旨、経緯、現状など、詳細はこちらに。

<参考:フェルガナプロジェクト>=JICA の草の根支援プロジェクト。ウズベキスタン共和国の国立養蚕研究所、ビジネスウーマン協会と協力し、フェルガナ地域農民を対象に、養蚕を主体とした農家副業技術の改良・向上に向けた普及活動をおこなう。生産物の販売モデルを確立し、ウズベキスタン国内の養蚕地域において活動発展と高品質蚕糸の安定生産につなげることを目指す。

<参考:ウルゲンチプロジェクト>=2013年3月より新プロジェクト。「ウズベキスタン共和国シルクロード蚕業復興計画−辺境農村における副業収入向上のための技術移転モデルの確立−」を開始。

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—— アトラスプロジェクト、いまの様子を教えてください。
この秋、ヒバ市イチャンカラ市場に外国人向けの販売拠点を作る予定です。目的はお土産物としてアトラス商品を定着させること。サマルカンドやタシケントには、いろんな店ができていて、品質も向上しています。ヒバはまだ入る余地があります。世界遺産なので外人観光客も来ます。女性の自立化とアトラスの普及をめざしています。

—— 今後、ハンディクラフトコンテストの優秀作品が販売されるのですか。
地元の人を雇用し、日本の皆さんのアイデアであるコンテストの優秀作品などを販売します。プロジェクト開始以降、ウズベキスタン側のアイデアで作られたアトラスのシュシュやポーチは、日本国内でも販売しており好評です。メインの市場はあくまでウズベキスタンだと考えていますが、日本でも売れる商品だということは自信になります。農村の女性は日本や日本人を知っていて、いまだに「おしん」と言われるんですよ。日本に悪い印象はないですね。

—— 風土や慣習も違いますし、いろいろと大変なこともありそうです。
ビジョンは長期です。このプロジェクトで終わるつもりはない。成果を出したい。私の専門は環境問題ですが、その分野のプロジェクトは現実的になかなか難しい。農工大は養蚕研究の長い歴史があり、養蚕復興はウズベキスタン政府の意向とも重なりました。双方に良かったと思います。

—— やりがいがありますね!
目に見えて成果が出ていることは喜びです。農家の人が喜んでいること、同じ労力でも日本の繭を買うと収量が増し、収入も増える。基本はカイコの品種です。ウズベキスタンは旧ソ連だったので日本品種が行っていなかった。品質を良くして、製糸会社に働きかけています。そしてプロジェクト拠点は、フェルガナからウルゲンチに移動しました。フェルガナでの成功を点から面にしていかなくてはなりません。フェルガナには養蚕の伝統がありましたが、養蚕が気候条件的に困難と言われているウルゲンチで成功したいのです。ウズベキスタンの西と東の端で成功することは、全土での展開に重要だと考えます。ウズベキスタンでは、ロシアなどに出稼ぎに行く男性が少なくありません。シルクの製品化と販売を通して、副業による収入向上につなげたい。

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—— 中央アジアとの縁、どのようなきっかけだったのですか。
専門は、中央アジアの環境問題、水質と土、養蚕です。京大大学院時代はアラル海の水質をやっていました。中央アジアの環境問題で、理系の博士号は初めて。足抜けはできません。元々、NHKのシルクロード番組が好きでした。民族学者である片倉もとこさんの『アラビアノート』などの著書や辺境をフィールドワークする生き方にも影響を受けました。青池保子さんのロシアを題材とする漫画にも魅せられていました。いろいろなことが重なっていますね。

—— 中央アジア、ウズベキスタンと日本、ここがいちばん違うという点は。
計画的に動く日本人と、前もって準備しない傾向のあるウズベキスタン。でも、ギリギリに帳尻を合わせるのがすごいです。

—— 中央アジア、ウズベキスタンの、ここが好きと思うことは。
人情味がある。ウズベキスタンの人は親切。日本人が失いつつあるものがあると思う。お役所仕事は腹が立つけど地方は親切。最初にカザフに行ったとき、田舎に行くとものがないので、カップ麺とか食べていました。そんなとき、村長が羊をふるまってくれました。ゴミ箱に落ちていた箱、そこに日本語が書いてあったのですが、それを拾って飾り棚に飾ってくれたこともありました。

—— 中央アジアでの最高の時間は。
真っ平な地平線に沈む太陽。自然の大きさを肌で感じます。中央アジアの自然は本当に魅力があります。

—— 中央アジア、ウズベキスタンでおすすめの食べ物は。
ナンが一番好きですね。窯で焼くナン、焼きたてのナンほどおいしいものはない。とくにタシケントの安いナン、卵が入っていない薄いナンがいい。フェルガナのナン、ピザパイ、ラグマン、カザフのロシアパンもおいしい。メロン、ドライフルーツなど、果物ははずせません。タシケントには各国の料理店がいろいろあります。現地のチェコビールはおいしいですよ。グルジア料理も安くておいしいです。

—— お気に入りの場所は。
ヒバは好き。いまは都会になっていますが、こじんまりとして観光しやすい。時期は5月か9月ですね。

<追記> 2013年10月よりヒバのイチャンカラにてテスト販売開始。タシケントのいくつかのショップでもコンテスト作品第1弾商品の取り扱いが始まっています。ウズに行かれた折には、お土産にどうぞ!

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川端さん、どうもありがとうございました!これからも中央アジアパワー、分けてくださいね〜!

アトラス製品、日本での展開も楽しみです。いつもウズベキスタンでお土産選びに苦労しているので、興味津々。川端さんおすすめのヒバ、私もホレズムのタイルとやきものを巡る旅をしたいのに、好適な9月も10月も行けずじまい。冬は極寒、夏は極暑。いつ行けるだろう。ご縁を待ちます。
by orientlibrary | 2013-10-15 00:26 | 中央アジア人

シリアのタイル、釉薬づくり、新訳『わたしの名は赤』

シリア。2002年に、いわゆる「ツアー」で行きました。笑顔で接してくれる人懐っこい人々、重厚な歴史や文化を感じさせる建築と街、迷路のような路地、広い中庭のある住宅、五感を刺激するバザールの活気、イスラム世界独特の濃い空気。たった一度のツアーだけど、シリア、好きになりました。また行きたいと思っていました。

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(オスマン朝シリアのタイル <左>施釉タイル。糸杉と葡萄が描かれる。セージグリーンとマンガンの色がダマスカスの特徴 <中>六角形のタイル。花瓶と花が描かれる <右>施釉絵付けタイルの一部。カーネーションが描かれる/DARWISHIYYA MOSQUE, DAMASCUS,1571/『The Art of the Islamic Tile』〜DAMASCUS, SYRIA, AND PALASTINE, IN OTTOMAN TIMES〜より引用)

オスマン朝シリアのタイル。ザクッとした絵付けが愛らしい。深みのある青に爽やかなセージグリーン。白地に糸杉や葡萄の模様が好みです。

ずっと何も書けずにいました。今も何もできない。あまりなことに、報道を見るのを避けてしまっています。どうぞ早く安定しますように。家族の暮らしを取り戻せますように。必要な医療を受けて教育の場も保障されますように。写真は私が出会ったシリア。(スキャンではなくアルバムを撮影しており不鮮明です)

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(ウマイヤド・モスク、アゼムパレス)

 ウマイヤド・モスク=ウマイヤ朝、705年。現存する世界最古のモスクであり世界最大級のモスク。「古代地中海世界を継承したイスラーム建築。高さ20mを超える豪壮な石造りで威風堂々、外観はまるで小さな要塞のように見える。歴史の痕跡を観察しながら外回りを一周するだけで小一時間を要してしまうほど、巨大かつ興味深いモスクである」〜『世界のイスラーム建築』(深見奈緒子)より

 アゼムパレス=1749年、オスマン朝ダマスカスの知事だったアスアド・パシャの邸宅として作られた。ダール・アラビーエ(伝統的アラブ住宅)の粋と言われる。

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 古代都市ダマスカスは、シリアの首都ダマスカスの旧市街に残る歴史的な構造物が登録されたユネスコの世界遺産(文化遺産、1979年登録)。エジプトとメソポタミアを結ぶ交通の要衝であり、紀元前3000年ごろから都市が形成しはじめたと考えられている。2013年にシリア騒乱による被害のため、シリア国内の他の5つの世界遺産とともに危機遺産に登録された。(wikipediaより)

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(マルーラ。キリスト教の村。BC6世紀頃から東アラビアやイランで広く使われていたと言われる古代アラム語が残っていることで有名。とてもきれいな村だった。岩山に立つ聖サルキス教会でスタッフの説明を聞いた)

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国境なき医師団への寄付(←クリックでリンク先に飛びます)
 「国境なき医師団は、シリア政府の活動認可を得られないまま、シリア国内で人びとに直接援助を提供している数少ない国際NGOとして北部で6ヵ所の病院と4ヵ所の医療センターを運営しています(2013年8月末日現在)。また、シリアから周辺国に逃れた難民に対しても、緊急援助活動を実施しています。国境なき医師団では、シリアに関連する活動の完全なる中立・公平性を確保するために、民間の皆様からの寄付金のみを活動財源としていますが、2013年に予定している活動予算の6割が不足している状況です」

 山崎やよいさんのブログ
長引くシリア紛争で生活基盤のすべてを失いつつある女性たちに『針と糸』で収入の道を開くプロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」発起人。

 イブラ・ワ・ハイトfacebook
「かつて平和なシリアの家庭で女性たちがたしなんできた手芸。シリア女性達は、美しい、独特の刺繍の伝統を日常生活の中で守ってきました。今、悲しいことにシリアでは、家、仕事、一家の大黒柱、そして社会インフラも含めた、生活基盤の全てが失われつつありますが、女性たちの手には、まだその独特の刺繍技術が残っています。『針と糸』があれば、社会インフラが破壊された街でも、避難先の仮住まいでも、刺繍ができるのです」

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青のfacebook、復活

青のfacebook、しばらくお休みしていました。ヤマイのように青、青と思っていたのが、2ヶ月ほど憑物が落ちたような感じに。まあ、この夏が暑すぎて体力がついていかなかっただけかもしれません。ささやかに復活しています。この間の更新画像をアトランダムに少々。

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(上段上から順に::色絵三壺文皿、鍋島、17世紀/瑠璃釉青花楼閣図稜花大皿、明時代、17世紀/青花唐花文大皿、ベトナム、15世紀/九谷焼五彩呈色試験版 初代徳田八十吉)

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(上段上から順に::ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ (ブハラ)/ブハラ旧市街の観光名所ではないモスク。ここがすごい!オリジナルタイルが見られる/ナディール・ディヴァン・ベギ・マドラサ (ブハラ)/ザンギアタ廟(タシケント))

facebookは、「インサイト」というかたちで、見た人や気に入った人の数等、いろんなデータが、ビジュアル的にわかりやすく表示されます。人気上位は、青のタイル装飾。これはうれしいです。

日本でタイルの話が思い切りできる機会は少ない。とくにタイル装飾の華、イスラムタイルの認知度が低いのは残念。こういう状況、もう長いですから、かなり諦めていましたが、もしかしてイスラムタイルを好きな人も少なくないかも。ちょっとだけ希望の灯が。小さなことしかできないけれど、コツコツ続けていこうっと!

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釉薬づくり

釉薬づくりのクラス受講を始めました。青、青と騒いでいるのに、あまりに何も知らない。基本の基本は知っておきたい。そして、自分の青を作りたいという野望がフツフツと。お世話になるのは、タイル作りを習った白金陶芸教室。

透明釉づくり=福島長石、赤坂石灰石、マグネサイト、韓国カオリン、福島珪石。
青の釉薬づくり=基礎釉+酸化コバルト、炭酸銅、酸化銅。

不器用な私、手仕事系がダメという残念人間ですが、人には何か取り柄があるはず。それが、「粉を量ること」だったことが、このたび、わかりました。妙に速いらしいのです。取り柄って、数が限られているものでしょうか。そしたら、そのカードの一つが「粉量り」って、どうなんだろう。摺ったり混ぜたり塗ったりも好き。楽しい釉薬づくり。今後が楽しみです。

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『わたしの名は赤』

コラージュの下段右は、、『わたしの名は赤』(オルハン・パムク)。文庫サイズの新訳版=右側の2冊。旧訳『わたしの名は紅』の難解な訳に対して、わかりやすいと評判の新訳。読むのが楽しみです。

以前のブログ記事で、旧訳の一部、好きなパートを、勝手に自分流に書いてみたことがあります。
 細密画師の幸福の闇 無限の空白の頁
 手が記憶だけで描く。黒羊朝細密画師アリの物語

「盲目は全生涯を美しさに捧げた細密画師にアラーの神が賜(たまわ)る最後の幸せである」「盲目の細密画師の記憶がアラーの神に到達したところには、絶対的な沈黙、幸福な闇、そして空白のページの無限がある」。オルハン・パムク氏、すごい作家です。


今回も、まとまりのない内容に。「中央アジア人」「タイル人」シリーズも、スタートしたいと思いつつ。陶芸家でありデザイナーであった日根野作三さんの展覧会図録も届いたし、日本のタイルもスタディしたい。銭湯のタイルも見に行きたい。ホレズム(ウズベキスタン)のタイルを見に行きたい。少しずつです。こんなブログですが、また遊びに来てくださいね〜♪
by orientlibrary | 2013-10-05 02:25 | 中東/西アジア