イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

<   2013年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧

トゥバのホーメイ、遊牧民の染織、ラスター彩故郷に還る

トゥバ共和国のホーメイ

「アルタイ共和国のカイ、トゥバ共和国のホーメイという、シベリアの喉歌における二大潮流が一堂に会するコンサートが、今年9月に東京と大阪で開催される。両共和国の歌手が同じステージに立つのは本邦初のこと。あわせて、その前後にもアルタイ、トゥバの歌手によるツアーがそれぞれ実施される」(Realtokyoより)

各地で連日盛況かつ感動のコンサート、そのなかの一夜、横浜で開催された「ホーメイの夕べ〜トゥバ共和国の超人的な倍音喉歌」(出演:モングンオール・オンダール、アヤス・クーラル
、ドスタイ・オトクン
、アンザット・クーラル
/横浜みなとみらいホール小ホール)へ。喉歌ワークショップとバックステージツアー付きという貴重な機会でした。

e0063212_1231322.jpg
(上段:ホーメイの夕べ。コンサート写真がないので、バックステージツアーの様子を少々/下段:東京駒場の日本民芸館、「特別展 柳宗理の見てきたもの」11月21日まで)

ロックやスーフィー音楽、そのフュージョンが今も好きだけれど、一方で喉歌や口琴系、パーカッション系に惹かれてきています。じつは、自分がこちら系に来るとは思っていませんでした。年齢とかいろんなことがあるのかな。ギリギリまでそぎ落とした音世界ならではの豊穣、電子音楽と紙一重のトランス感に巻込まれている感じです。

<ホーメイとは>
「
ロシア連邦トゥバ共和国に伝わる喉歌(のどうた)。声に含まれている倍音を、声帯の力で強調させ

て口笛に似た音を出す。非常に低い倍音を出したり、音を細かく震わしたりと、発声法が7種類以上

(28種類という説も)ある。また、この他にもアルタイ山脈周辺地域には類似した「喉歌」が伝えられ、

モンゴル国ではホーミー、アルタイ共和国ではカイ、ハカス共和国ではハイと呼ばれている」



(「ホーメイの夕べ」のワークショップ「ホーメイの魅力 トゥバ共和国発祥の奇跡の歌声」資料〜講師:巻上公一さん〜より)

音の響きの良いホールで、4名それぞれの個性あふれる生歌を堪能。低音の喉歌カルグラー、高い音の出る喉歌スグットなど圧巻。南シベリアの草原、自然の中にいるよう。全体を通して「風」を感じます。それが根源的な気持ち良さにつながっているのかもしれません。

モングンオール・オンダール(スグット)



---------------------------------------------

柳宗理の見てきたもの

特別展 柳宗理の見てきたもの」=「2011年のクリスマスの日に他界した柳宗理(1915~2011)。世界的な工業デザイナーとして活躍する一方、約30年間にわたり日本民藝館の三代目館長として活動しました。本展では、宗理が蒐集した当館コレクションの逸品をはじめ、柳家から遺贈された陶磁器や染織品、仮面などを展示。また、父宗悦から受け継いだ食器類も併せて展観し、柳宗理がどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介」する展示。日本民芸館にて11月21日まで。

e0063212_1391618.jpg


ひとりの人が好きで集めたもの、いろんな地域、いろんな領域、でも一貫した「好き」が見えてくるようで興味深い。柳宗理さん、生命力がありながらどこか端正な感じ。繰り返す模様が織りなす妙味、色や色合わせの一歩引いたようなシックさ、などを私は感じました。


---------------------------------------------

西アジア遊牧民の染織

「アジアの染織 西アジア遊牧民の染織」(東京国立博物館・東洋館/~ 2013年12月1日)

「遊牧民研究家、松島清江氏が1960年代から1980年代にかけて現地で収集したコレクションを展示します。インド西北部からパキスタン、アフガニスタン、イランからトルコにかけて遊牧を営んだ部族が染め、織り、制作したハンドメイドの衣類や袋物、テント用敷物。家畜の毛をつむいで織り、あるいはフェルトにして作られた、各部族の特色ある色と文様の世界を紹介します」

松島きよえさんについては、トライバルラグディーラーのTRIBEさんが、これまで熱心に紹介しています。「トルコ~イラク~イラン~アフガニスタン~パキスタン~インドと西アジア~西南アジアを駆け巡り、
遊牧民と行動を共にしながら彼らの生活に溶け込み、同時に毛織物を収集された貴重な日本人である。
今生きていらっしゃればどれだけ話が弾んだであろうと思う。
特に野蛮(遊牧民らしい魅力溢れる)な部族に惹かれ、昔ながらの部族らしさを残した人々に
魅せられていたようである」(TRIBEさんHP)

* 遊牧民に魅せられて。松島きよえさんの物語
* 遊牧民に魅せられた人 松島きよえさん
* ブーラーフィー族 『Josephine Powell&松島きよえ』2

おかげでコレクションの実物も何度か拝見していました。東博のガラスケースの中、さすがに大作、状態の良い絨緞や塩袋が揃っていました。

e0063212_1254960.jpg
(アジアの染織 西アジア遊牧民の染織/東京国立博物館・東洋館)

e0063212_126167.jpg
(左:アフガニスタンとのこと。トライブ名不明/右:イランのバフティアリ族)

「ブロイ族」とあったので、初めて見る名前だと思いましたが、どうやらブラーフィー族のようです。アルファベット記載は「BRAHUI」。「バルチ族」「バクテアリ族」なども、ちょっと違和感。カタカナでの記載は難しいですね。東博さんはアカデミックな影響力があるところ。少しリサーチしてみてもよかったのでは?

東博ついでに。東博は、じつはモザイクタイルがけっこう使われているんです。有名なのは本館1階の壁面モザイク。外からの光の具合で色や光沢が変化して、とてもきれいです。表慶館の床はビザンチンっぽいモザイクが一面に施されています。表慶館はなぜか現在レストスペースのみ。もったいない!展示したい人が山のようにいると思う。貸出しも一法では?

e0063212_1254993.jpg
(東博のモザイクタイル。左:表慶館、右:本館1階)


----------------------------------------------

ラスター彩、故郷に還る

京王百貨店の「七代 加藤幸兵衛茶陶展<併催>ラスター彩イラン里帰り展」、もう一度じっくり見たかったな〜、、どこか心残りだったところに、21日放映のテレビ番組「ラスター彩、故郷に還る」。1年間の密着取材での製作光景、展覧会までの道のり、イランでの展覧会の様子など、75分しっかりとラスター彩に浸れて、これで満足しました。いい番組でした。

製作の日々には、圧倒されました。とくに焼成。本当に発色が難しいのですね。いくつもの失敗作もあっての、あの美しさ。感動です。また絵付け前の段階、八角星と十字からご本人が作っていらっしゃるとは、、分業なのかと思っていました。

好きだったシーンは、幸兵衛氏がイランの村で、「土はいいなあ」と土壁にヒタとくっついているところ、そして青い壷を抱えるようにして道ばたに座っているところ。イランの人たちも土への思いは共通するものがあるはず。気持ちは通じますね。

そんなわけで、まだラスター彩気分が続いています。写真もラスターで!すべて「幸兵衛窯」にて。

e0063212_1264887.jpg
(靴、そして描かれた人の絵がかわいい。金や銀と青、これがまた合うのですよね。右は正統派)

e0063212_127140.jpg
(左:ラスター彩駱駝人物文大皿/右:ラスター彩楽人文茶わん、いずれも加藤卓男氏)

e0063212_1271176.jpg
(左:この青が好きです/右:ラスター彩神鹿文茶わん、いずれも加藤卓男氏)

e0063212_1275975.jpg
(右がテレビで追っていた「生命の樹」ですね。ペルシアのモチーフと日本の感性)

e0063212_1281363.jpg
(加藤幸兵衛氏作品のディテール。遠目にはとても繊細だけど、アップで見ると麒麟や龍が力強い。生きているよう。八角星と十字もきっちり整って緻密で丁寧。素晴らしい)

虹色の陶の光こそ
匠らの 生き死にの果てに
輝けり けふも           天山草


季節は、黄金色の実りの秋に。
by orientlibrary | 2013-09-24 01:41 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

ラスター彩、やきもの嫡伝、旅するポット、アジア染織、日本タイル

ラスター彩イラン里帰り展

大型台風ということで、外出を控えた方がいいのか、出ても大丈夫なのか、迷いますね。敬老の日前後は台風の確率が高い気がします。雨上がりを見計らい、やはり見たい!と出かけてきました。

まず、「七代 加藤幸兵衛茶陶展 <併催> ラスター彩イラン里帰り展」(新宿京王百貨店・京王ギャラリー/9月18日まで。最終日16時閉場)。(ラスター彩について、さらに加藤幸兵衛さんのラスター彩製作については、「ラスター彩と日本人-現代によみがえる虹色の輝き-1」「同-2」(iran Japanese Radio)に、わかりやすくまとめられています。イランでの展覧会の様子も垣間みられます。関心のある方は参照されることをおすすめします)

京王ギャラリー、ラスター彩も茶陶展も、存分に好きな陶器に浸れて幸せな時間でした。もちろん、例えば古民家や博物館の凝った展示で見られたらすごいと思います。でも都心で交通至便の百貨店が、これだけ充実の展示を企画して、誰にでも見られるようにしてくださったこと(無料)、その姿勢がうれしいです。

ペルシア陶器だけでなく、イスラームの文化や芸術は、一部博物館で触れることができますが、より多くの人の目に触れる機会は多くないように思います。また、百貨店ではどうしても「シルクロード」の冠がつきがちです。今回は、「イラン」がタイトルに入っており、イラン国立博物館出品作品40点が見られるのです。イスラーム陶器に親しみを感じている私には、そのこと自体が喜びでした。

e0063212_1630999.jpg
(上段左:左=展覧会図録、右=イランでの展覧会カタログ〔*次からの写真5点はこちらから引用〕/上段中と右:イラン人出展作家作品/下段左:ラスター彩壷、イラン・グルガン、9〜10世紀/下段中:ラスター彩十字タイル、タフテソレイマーン、13世紀/下段右:ラスター彩星形タイル、イラン・グルガン、14世紀/金色、玉虫色のなかの青が熱狂的に好きです)

ラスター彩展示の核は、加藤卓男氏と七代幸兵衛氏の作品展示。緻密、繊細、美しい光り、ペルシアのモチーフと和の感性の融合。あらためて圧巻と感じました。ペルシアの古陶も少しですがありました。鮮やかなコバルト青と羊の図柄の壷など、本当にできるものなら手に入れたい、、美しいものを手に入れるために権力を行使した王様の気持ちが理解できました。。

イランの現代作家によるラスター彩は、イラン陶芸家のfacebookページに今年春頃から随時アップされていたので、見ていました。オブジェが多く、幽玄な美意識は伝わりますが、細密さは追求されていない印象。ラスター彩ならではの発色を含め、イランでの今後の展開にも興味があります。

---------------------------------------------

美山三代展 “嫡伝展”

瀬戸・美山陶房、寺田美山氏、寺田康雄氏、寺田鉄平氏、三代の陶芸家による「美山三代展 “嫡伝展”」(アートスペース煌翔〜東京・阿佐ヶ谷〜にて9月21日まで。休み9月17日)。

「瀬戸の窯元では代々嫡子に築窯技法、釉薬調合等、製陶技術を秘伝として伝えてきました(嫡伝)」。そして「代々伝えられる技法だけでなかう個の制作意欲」も併せて見て欲しいとの趣旨の展覧会。現代はもちろん職業選択は自由。そうしたなかでも代々続くこと、その強さ、確かさ、律動を感じました。

e0063212_16311925.jpg
(三代それぞれの個性と多彩な作風/下段:織部三代三様。左:美山氏、中:康雄氏、右:鉄平氏)

---------------------------------------------

Asian textiles

Asian textiles <アジアの染織>」(ギャラリー囲織庵/世田谷区久我山/~17日まで。最終日17時まで)。トライバルラグを扱うTRIBEさんの展示会。ラグも質量ともにすごいですが、いつもいい布、持ってますね〜。グジャラートの「パトラ」、クメールの「ピダン」、ベンガルの「カンタ」やジャワ島の「カイン=更紗」、スマトラの霊船布「タンパン」、バリ島の儀礼布「ブバリ」など、アジア各地の染織品が見られます(&購入できます)。

e0063212_16321156.jpg
(濃い展示。逸品が目の前に。下段のお菓子はお客さんの差入れ。ココナッツパウダーを練乳で練り上げプルーンに挟んだスイーツ。やさしい甘さでした)

ギャラリー囲織庵、住宅地の中、竹や様々な緑に囲まれた趣きある民家ギャラリー。台風のニュースの中、うかがった側にはラッキーな静けさで、すっかり長居しておしゃべりを楽しませていただきました。素敵なオーナーとトライブさんに感謝。

---------------------------------------------

Occupied Japan

こちらは雨の連休ではなく、ちょっと前なのですが、「Occupied Japan」(連合国軍占領下の日本、1947-52年の5年間に日本から輸出したもの)の陶磁器と思われるものを、偶然拝見できました。以前「日本ーアフガニスタンークエッタ、旅した陶器たち」でご紹介したものと同じタイプのティーポットのようです。

e0063212_16331830.jpg
(上段左:品の良い絵付け。趣きあるポットで惹かれました/葡萄モチーフは輸出先の名産を意識したものでしょうか)

全体にザクッとしてかわいらしく、欲しかったけど、、値段が自分にはやや高かった(涙)。でもパキスタンから持ってくる手間や現地価格から考えると、妥当な価格でしょう。陶器を運ぶって、本当に大変ですから(しみじみ)。でも、じつは、、青地に花模様のティーポット、大事に飾っているものがあります。アフガニスタンを愛するcharsuqさんからいただいたもの。旅で運んだ大事な陶器、charsuqさん、本当にありがとうございます!!

---------------------------------------------

日本のタイル

8月の多治見・笠原旅で、その魅力に触れた「日本のタイル」、まだ資料などを読めていません。多治見旅では、タイル熱中人との出会いはもちろん、岐阜県現代陶芸美術館で「日根野作三と薫陶をうけた7人」を見て、日根野作三さんのことをもっと知りたくなって少し調べ始めたり、伊藤慶二さんも素晴らしく、、ますます興味やテーマの拡散傾向が強まっているのに、動きが遅くて、はかどりません。少しずつ進みます、、、

そう、日本のタイル。まず少しでも画像アップします。好きなタイルから!!青系ばかりなのは青好きゆえ、ご容赦を。とくに矢印模様のタイル、欲しかったですね〜、、、「手描150角 昭和45年頃製作 有限会社桝文製陶所」。ほんとステキです。フレームに入れて飾りたいです。

e0063212_16343219.jpg
(多治見市笠原の「モザイク浪漫館」所蔵品)

日本のタイル、外壁内壁に使われているものが多いですね。

e0063212_1635474.jpg
(多治見市、タイルの景/上段左と中:銀行の壁面で発見!色や形状が多彩。日本の四季を表すパターンが好まれるのでしょうか/上段右と下段中と右:多治見市の長江陶業にて。いまの建物や暮らしの中でのタイルの魅力を追求し提案。青好きゆえに青や白ばかり撮っていますが、もちろん色は多彩/下段左:このタイルに6月の「インテリアライフスタイル」(ビッグサイト)で出会い、日本のタイルに興味が高まったのでした。日本にも味わいある青いタイルがあるんだ、と)

マリンタイル」、多治見の長江陶業さんでも話題にのぼっていました。そのときは「え、そんなのあるんですか」と、相当ボケていた私。私の好きなR不動産の「tool box」、タイルのコーナーでも紹介されていたのに(見ていたのに)、、、これまで日本のタイルをいかにちゃんと、真剣に見ていなかったかということですね。深みのある青、海のようです。多治見には、モザイクタイルの流し台を作っている工房も。お話聞きたい工房が増えてます!!遠くないうちにうかがえれば、、。皆様、どうぞよろしくお願いいたします!

* * * * *
ブログ更新が遅れがちです。自分のスピードが落ちているのでしょう。いかんいかんと思っているのですが、こんなペースになってしまいます。ゆっくりすぎるブログですが、どうぞまたお立ち寄りください。

今回もコラージュ写真とトピック、いろいろ用意しました(まず写真の準備から入るので)。が、話の流れがますますバラバラになってしまうので、風景の一枚を今回のラストにします。信州駒ヶ根、初秋の空気と光り苔です。

e0063212_16361489.jpg
(ヒカリゴケは光前寺(長野県駒ヶ根市)にて。ヒカリゴケ(wikipediaより)=ヒカリゴケは自力で発光しているのではなく、原糸体にレンズ状細胞が暗所に入ってくる僅かな光を反射することによる。またレンズ状細胞には葉緑体が多量にあるため反射光は金緑色(エメラルド色)になる)/日本の緑の幸。心洗われる)
by orientlibrary | 2013-09-16 16:38 | 日本のタイル、やきもの

日本のタイル〜文京の銭湯「おとめ湯」&笠原タイル予告少々

多治見・笠原 土の旅

土(つち)の東濃、多治見旅、今回もたくさんのやきものやタイルに触れ、ステキな方々と出会い、語り、歩き、吞みました。日本一暑い町の座を一時的に四万十に譲った多治見ではありますが、もちろん熱暑覚悟で参上。ところが連日の20℃台。涼しくて動きやすく、夜などは肌寒いくらいでした。

e0063212_2223224.jpg
(サワリのみですが、、多治見市陶磁器意匠研究所、幸兵衛窯、セラミックパークMINO)

でも、気持ちは熱波!会った方々の熱いこと。いやはや、ハンパないです。そして、なんと今回は、一時帰国中のイスタンブル在住絵付け作家チニチニさんと一緒だったんですよ〜!
「青の魅惑」展でお世話になったチニチニさん。あの時は重い壷や皿をかついでイズニックやキュタヘヤを歩きましたが、日本のタイルの町を一緒に歩ける日がくるなんて、、本当にうれしかったです。

ですが、多治見のお話は次回に。今はあまりに未消化。日本のタイルについては、まったくスタディしてこなかったので、呆然としています。が、これはおもしろくなりそう、という予感。日本のタイル、和なんですよ!色やかたちが。これから少しずつ書いていきますね。

e0063212_22235472.jpg
(笠原にある「モザイク浪漫館」。今回はチラリと姿のみ。これから少しずつ調べて書いていきます)

---------------------------------------------

今日の話題に行く前に、お知らせを二つ。多治見の宝石「幸兵衛窯」、今回もうかがって夏のしつらえを堪能しました。幸兵衛窯といえば「ラスター彩」で有名。7月にはテヘランで「里帰り展」も。そのラスター彩の展示と、数ヶ月密着というテレビ番組の放映です。やきもの好き、ペルシア陶器ファン、ラスター彩マニア、いえいえ、皆さん、この美しいやきもの&その製作の現場やテヘランでの模様を見ましょう!

e0063212_22214362.jpg
(左上:「七代加藤幸兵衛茶陶展」カタログ表紙/他の3点は幸兵衛窯展示品)

(1)「七代加藤幸兵衛茶陶展」<併催>「ラスター彩イラン里帰り展」
*日時:2013年9月12日(木)〜18日(水) 午前10時〜午後8時(最終日は午後4時まで)
*場所:京王百貨店新宿店 6階 京王ギャラリー
*内容:七代幸兵衛さんの新作茶陶百余点の展観。ラスター彩を中心としたペルシャ陶技をはじめ、今回は美濃桃山陶も。また京王ギャラリー前特設会場にて「ラスター彩イラン里帰り展」として、イラン国立博物館での出品作40点を帰国後初めて展示。

(2)「ラスター彩、故郷に還る 〜 陶芸家・七代 加藤幸兵衛の熱き思い」
*日時:2013年9月21日(土)16:00〜17:15(75分)
*放送局:テレビ東京系ネットワーク(全国放送/テレビ愛知開局30周年特別番組)

<当ブログ内 関連記事>
□ 眼福の幸兵衛窯。新緑眩しい美濃を訪ねて
□ セミラックパークMINOと美濃のやきもの


---------------------------------------------

おとめ湯 見学会

今回は、銭湯です。「おとめ湯 見学会」(主催: 文京建築会ユース)に行ってきました。本日36℃超え、あふれるほどの見学者、銭湯内はサウナ状態。すごい熱気でした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
本年6月30日をもって惜しまれながらも60年の長い歴史に幕を閉じた文京区千石の ”おとめ湯” 。

都内で残り少ない中庭のある豪華な造りで、富士山の溶岩石に、大きな1本ツツジ、その下を泳ぐ立派な鯉は入浴しながらも覗き窓から見ることが出来ます。丁寧なコテ装飾のツルがいたる所を舞う様子はまるで極楽浄土。可愛らしいピンクの漆喰壁に唐破風、格天井…古典的な銭湯のモチーフは勿論、銭湯全盛の華やかさを残す特有の仕掛けにあふれた、極上の癒し空間です。

近日中に解体の可能性が極めて高いこの建物を、この度、おとめ湯さんのご理解の元、大変貴重な公開の機会を頂きました。この機会を通し、移築、部分的移設、保存をご検討頂ける方を急募しております。

徹底された清掃により、タイル絵やコテ絵などが美しい状態で保存されています。

この地域を育んだ銭湯文化、地域の遺産を実際にご覧になれる最初で最後の機会となります。是非ご覧下さい。(以上、「おとめ湯 見学会」案内より)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

銭湯への興味の元は、やはりタイル、そして鏝絵です。おとめ湯には中庭もあり、ちょっとしたリゾート!見学会では、建築家や学生でつくる文京建築会ユースの皆さんによる資料、図面も紹介されており、銭湯文化を垣間みることができました。資料の詳しさはさすが!以下、情報はユースさんの資料を引用、参照させて頂いています。

e0063212_2227417.jpg
(1954年創業。当時の銭湯経営者たちが華やかさを競った名残で正面入口の唐破風(からはふ)には千鳥が舞い、つがいの鶴が鏝絵で描かれています。文京区で営業する11の銭湯(おとめ湯廃業で現在は10)の冊子も。写真がきれい。ユースさんではネット販売も考えているそうです)

e0063212_22281963.jpg
(湯ぶねのタイル絵。章仙絵付けの号。創業時のまま。九谷のタイル製造者のもの。昭和30〜40年代には九谷焼タイルは高級ブランド。贅沢さを競う銭湯経営者がこぞって飾った。このような良好な状態で残っている章仙絵付けは珍しいそうです/中庭が見える洗い場/白のタイルも清潔感/昭和な感じの方形タイル。落着いた印象。体重計も)

e0063212_22283468.jpg
(銭湯の舞台裏、初めて見ました。薪をくべて炊く窯。大きな箱状のもののなかを通っていく。煙突までは距離がある。地下を煙が通っていく仕組み?右上は覗き穴。最後の客が出たのを確認するのだそうです/下は銭湯研究で有名な町田忍さんのトークの模様。下真ん中の黒いTシャツの方がおとめ湯オーナー。おとめ湯は徹底清掃で良好な状態を長く保ってきました/右下、「ゆすり、たかり、押売 御断り」。昭和)

e0063212_22341122.jpg
(煙突掃除の箒。さすがに長い/唐破風アップ。粋だ〜。/脱衣所も縁側があり、ゆったりした感じ。格調高い折上げ天井はあまりの暑さで写真撮り忘れ。残念!銭湯に折上げ格(ごう)天井はビックリ/うちわも昭和。全体に懐かしい。レトロ。こういう見学会に多くの人が集まる、そういう時代なのかな)

e0063212_2229217.jpg
(文京建築会ユース制作の冊子より。好みの3冊を購入/歌舞伎湯=このモザイクタイル、冊子で見ても質感の良さが伝わる。図柄はノイシュバンシュタイン城。浴槽の青いタイルも素敵/右下:白山浴場=これまたオシャレ!旅行好きのオーナー母がインドに行き帰国後に現地のイメージをスケッチして作成したというモザイク画。色合いも好き/真ん中=文京の銭湯のタイル。シック/右上:おとめ湯でポイントで使われていた花模様のタイルもかわいい)

寺社仏閣を模した「宮造り銭湯」は、東京特有の形式だそうです。最初の宮造り銭湯は大正12年、関東大震災のあと、焼け野原になった墨田区の土地で、銭湯建設の依頼を受けた宮大工の技術を持つ棟梁・津村享右氏が、多くのお客さんを呼ぶために今までにない銭湯を建ててみようと考えて作ったのが最初。たちまち評判となり、次々と同じ造りの銭湯ができていったのだそうです。

タイルと鏝絵を見に行ったのですが、銭湯そのものの魅力にも浸ることができました。いい汗でした。文京建築会ユースの皆様、ありがとうございました。千石(〜周辺)、かわいい雑貨店、不思議なカフェもあり、楽しかったです。
by orientlibrary | 2013-09-01 22:37 | 日本のタイル、やきもの