イスラムアート紀行

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古今東西、8が愛されてきたワケは?

装飾タイルの「8」〜“慈悲深き神々の呼吸”に続き「8」なのですが、、自分の写真からイスラムタイルの「8」モチーフのものをピックアップ。これは終了していました。
が、他のジャンルのものも気になり、さらに自分の写真以外のもの(本やネット)も見始めたら、もう完全に錯乱状態!?多い!!八角形、八角星、8つの花びらなどなど、、とめどなくなってきました。

こんなに8のものが多いなんて。とくに絨緞関係は、素人は入口も入れない。モロッコの精緻な幾何学文様の多様さは驚愕。モロッコ工芸の本『TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE 1、2』(=1冊が片手で持てないくらい重い2冊組。ネットに慣れた身には調べるだけで重い。字が小さくてパソコンのようにサクッと拡大できない。見るのにエネルギーが、、)を見ていたら、圧倒されると同時に、もう虚脱状態。

そのわりには、八角形や八角星についての文字情報が見つからない。(絨緞では専門的な研究書があるそうです。今は無理、、)でも、そういっていると、いつまでも更新できないので、写真をまず、しかも後から調べて混乱中のものからアップしようと思います。後日、情報がまとめられる時が来たら、別途か追記かしたいと思います。できるかな。。

写真が多いので、自分なりの結論を、最初にここで書いちゃいます。8がなぜ多いか=バランスがいいから。安定感があるから。かつ広がりがあるから。人にとって快い視覚なのではないでしょうか!?  (バタン、、また次回、、)

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モロッコの「8」

多彩でゆたかなモロッコの幾何学文様。図案ができる過程など。(すべて『TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE 1、2』から引用しています)

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(漆喰装飾/ifane王宮/ the kfatem slimanni =motif Solomons seals (ソロモンの紋章)幾何学的な花模様。〜ソロモンの紋章=全部で44枚の紋章。ソロモン王が天から授かった不思議な刻印のある指輪の伝説から。紋章は、科学と美と形而上学のつながりを象徴。宇宙の秩序、天空、星の軌道上の動き、天と地の間の永久の流れ、風と火の要素の間の永久の流れを反映。神からの恩恵による、超人間的な英知と法則を象徴〜)

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(漆喰装飾/Marakesh王宮/多角星の中、ピンクを使った花模様)

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(漆喰装飾/meknes王宮/ソロモンの紋章)

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(八角星で構成されカリグラフィーで聖典を記す)

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(八角星・八角形とその構造。星形の多角形デザインはイスラム装飾に無数にある)


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(トレーシングペーパー実例付き!)

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(花模様のイラストレーション、図案)

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(2つのzalijモチーフ。このようなザクッとしたパターンも魅力的。親しみやすい。カラフルさがパッと目に入る)

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([new patterns]より。新しいパターンのようだ/ラバト(モロッコ)の迎賓館。精緻でカラフルな幾何学文様が圧倒的なモロッコのタイルだが、新しいデザインはシンプル。青の色味や組合せにもカジュアルさを感じる)

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いろんな「8」

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(リシタン茶碗。一つとして同じものがない手描きのリシタン陶器。文様も職人さんの個性で。どんどん変化して多彩で面白い。8はバランスがいいんだなあ)

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(ウズベキスタンのスザニ。8つの円で構成されている。こういうのまで見出したら、ほんと無限、、)

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(タイル装飾。facebook marakanda.netより。Golestan Palace, Tehran, Iran。カージャール?ちょっとゴテゴテしていて苦手だけれど、いかにもペルシアのかわいらしさがある) 

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(絨緞の八角星。トルクメンなど多彩な使用事例。調べて書きたいと思っていたけれど、一回では無理。難しい)

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(facebook visit uzbekistanより。お菓子も。なるほど、こういうふうに8つ並べるとかわいいですね!、、ってよく見たら、、7だった、、上のも合わせて8だった、、早とちりでした。にしても、さすがウズベク、、自然体!)
by orientlibrary | 2013-07-31 00:23 | タイルのデザインと技法

「遊牧のチャラパルタ」/「幸之助と伝統工芸」/「HandMade In Japan」

装飾タイルの「8」、写真は準備済みですが、今回はその前にいくつかの話題を。

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遊牧のチャラパルタ

まずは映画、「遊牧のチャラパルタ」。音楽ドキュメンタリーが大好きな私。しかもタイトルに「遊牧」が入っていては、もう絶対外せない。

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4年の月日をかけて撮影されたロードムービー&音楽ドキュメンタリー。2006年の公開で、世界の国際映画祭で受賞14、各地で熱い支持を受けてきた。日本では、ようやく先日が初上映(しかも上映は7月1回、8月1回のみ)。渋谷の会場はファンの期待で熱気にあふれる。

思った以上に惹き込まれました。大好きな「ラッチョ・ドローム」に匹敵すると言っても過言ではないとも思う。たぶん相当な低予算とギリギリの少人数で制作されたと思われる映画。丹念にていねいに、だが時には強く対象に迫っていく。

バスクの伝統の打楽器チャラパルタは、木の板を木の棒で叩くというシンプルな楽器だが、素材の音と音階と二人で会話するようなリズムが素晴らしい。その奏者の男性二人(オレカTX、撮影時20代前半)は、故郷バスクを飛び出し、世界のノマドのコミュニティを旅する。暮らすように滞在し、土地の材料でチャラパルタを作り、ノマドたちと共演する。灼熱の砂漠、極寒の北極圏、大草原。過酷ながら大自然は土地の人も旅人も包み込み、折々に美しい姿を見せてくれる。

ライブ演奏の熱。バスクの二人の単独演奏も、ノマドとの共演も、ノマドのパフォーマンスも。最高!!

ムンバイ。いきなりソウルな口琴でガツンときた。インド西部のノマドの村。カースト制には属していないという。儀式と芸能が暮らしに息づく。

モロッコサハラ、ベルベル人のノマドの村。近隣国の内戦や貧困化など社会の変容の中にある。暮らしはきびしい。そんななかでも、女性たちの歌と踊りは強烈。「家族を失って難民キャンプにいるけれど、これからも自分らしく生きていく。顔を上に上げてね」。

北極圏のサーミは氷の世界。氷を切り出しチャラパルタを作っての演奏。透明で天上から聴こえるようだ。サーミの音楽家が、中央アジア・トゥバの音楽家との交流を語る。距離は離れていても、北方の音楽はつながっている。

モンゴル。草原の遊牧民。馬を愛しホーミーを歌う。さらに、なんとトナカイ遊牧で知られるツアータンまで。極寒の中を旅するバスクの二人。温かく迎える土地の人の表情がいい。

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(モンゴルイメージ/orientlibrary/左上はポストカードのスキャンだったかも?記憶があいまい)

口琴、喉歌、打楽器、原初的な音世界の圧倒的な伝達力、迫力。総勢でたたみかけるようなラストが圧巻。




(nomadax tx trailer、「遊牧のチャラパルタ」より/口琴と喉歌、予感があり入れない。帰って来れない気がする。びよ〜んという口琴がとくにヤバい。自分でも意識していない「どこか」に響いてくる。まだ入れない)

映画すべてを通して、人と人、人と自然、素材と素材、文化と文化、時と場所が、奏で合う。音楽は対話。奏でる人たちの幸せな表情、聴衆の高揚。

「僕らがノマドのコミュニティーにフォーカスしたのは、音楽が「動き」であり、また「新たな音を探し続けること」だからだ。ノマド達は移動するし、だからこそ、そのコミュニティーのサウンドはスペシャルに違いないと僕らは思ったんだ。彼らは本当に必要なものだけを持って移動しなくてはならず、それは音楽も同じなんだよ」
「僕らの最終的な目的は、(一つの文化によって引き起こされる)サウンドを彼らの起源から理解することだったんだ。そのためには彼らの生き方まで分かち合う必要があったんだ」 (主催者の資料/演奏家オレカTXインタビューより) 

単発上映2回のみは残念ですが、今回、貴重な機会を作ってくださった主催者の皆様に感謝致します。ありがとうございました。

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幸之助と伝統工芸


「幸之助と伝統工芸」展(パナソニック汐留ミュージアム)。経営の神様と工芸?そもそも松下幸之助さんについて、ほとんど何も知らないまま、会場へ。

「松下幸之助が我が国の伝統文化に理解を示し、その普及を支援していたことはあまり知られていません。
美術品を見る目は持ち合わせていないと言いながらも、実際には、多年にわたり絵画から工芸作品にいたるまで美術品を収集したり、公益社団法人日本工芸会などの団体の役員を務めるなど、文化支援活動を続けていました」(開催趣旨より)

会場で最初に目に入ったのが、幸之助氏自身の書でした。とらわれのない筆運び。誠実、簡素、温かみ。どうしたらこのような線が書けるのだろう。しばらく動けず、ずっと見ていました。

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(松下幸之助《心》
  パナソニック株式会社蔵)

幸之助氏の一貫した「好み」で蒐集された、日本を代表する作家の各分野の工芸作品が多彩に展示された会場。そのなかでも、最初に見たこの書に最も感動しました。作品の上手い下手、完成度ではなく、こういう文字を書ける人がいるんだ、ということを不思議にさえ感じました。

「松下幸之助は「素直な心」を生涯大切にしていましたが、その「素直な心」を育てる道が茶道にあると考えるようになりました。
そして茶道具に触れるうち、その関心は工芸家に向けられるようになったのです。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、截金(きりかね)など、さまざまな素材を駆使し、伝統のわざを絶やさず時代の息吹を取り入れることによって成立する日本の工芸作品。松下幸之助は「伝統工芸は日本のものづくりの原点である」と確信し、このような作品を作り出す工芸家を支援することで、「ものづくりの心」を未来に伝えていきたいと考えました」

「素直」ということ、茶道との出会い、ものづくりの原点としての工芸への共感、伝統文化への生涯にわたる支援。骨太で本質的で一貫した態度。使命感と品格。器が違いますね。
あらためて年譜を見てみると、平成元年に逝去されている。昭和という時代を全身全霊で全うした経営者なのかもしれません。

素直が大事なんだと反省し、『素直な心になるために』という著書を買って帰りましたが、パラパラ見ただけで挫折。素直は遠い。

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HANDMADE IN JAPAN FES 2013

同じ「ものづくり」でも、こちらは昨今大人気の「ハンドメイド」。カタカナになっているところが軽やか。主役は一般人。
さらに、ハンドメイド作品を売買できるポータルサイト(Creema、iichiなど)が、日本でも盛り上がりを見せています。そんな「ハンドメイド」が一堂に介するイベントが開催されました。 “HANDMADE IN JAPAN FES 2013”。

「オンライン・クリエイターズマーケット「Creema」ではクリエイターが作りたいものを作り、 
自ら値付けして売り、 今や日本中から10万点以上の作品が集まっています。 
その多くは、この世にひとつしかないハンドメイドです」「ハンドメイドにはかつての “MADE IN JAPAN”の 精神がいきています。 
そして、その独自性やユニークさ、きめ細やかさは世界に誇る一つのカルチャーになりえるもの。
そんな思いを「HandMade In Japan」という言葉に込めました」(主催者挨拶)

東京ビッグサイト会場に参加した作り手2400名、来場者は2日間で26000人だったそうです。

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(わりとゆっくり見られてよかった/会場の造作、もっとハンドメイドであって欲しかった/ワークショップも多数開催/出展者は様々で面白かった。気軽に会話もしてくれる。交流が一番の魅力かな/虫が出てくる本/朱肉入れ付き印鑑入れ/タコ/知多半島から素焼きのお人形の窯元。通常問屋さんとの取引、この機会に出てみたとのこと/すごいバッグ。バッグメーカー勤務。仕事では作れないものをプライベートで作っているとのこと/さおり織とのコラボ人形/キャンパス地のポーチ。色がキレイ/オブジェ。目を引く/マトリョーシカロウソク/カワイイので人気だったディスプレー/ヘアバンド!/きれいな青の陶器/同じ作家さんの星座湯のみは光を当てると星座が浮かび上がる。素敵!)

正直、玉石混淆かと思っていましたが、全体のレベルは高かった。皆さん、器用!発表と交流の場としては良い機会なのでは。イベントや展示は、出展者がいちばん楽しいんですよね、大変ではあるけれど。

それにしても、アクセサリーやポーチは、今や使う人より作る人の方が多いかも。日本に「クリエーター」は2000万人くらいいそうですね。(「プロデューサー」は1500万人くらいいますね)。一般人のクラフト、ハンドメイドは、今後も確実に定着していく分野だと思います。

以前、同好の仲間とおこなっていた展示イベント「美しい世界の手仕事プロジェクト」は、西アジア中央アジアなどの工芸、手仕事(毛織物、テキスタイル、陶芸等)を紹介するのが趣旨。遊牧民の暮らしに根づいた手仕事、職人たちの匠、超絶手技、研ぎすまされた美的感性。

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(美しい世界の手仕事プロジェクトより)

趣味の手作り、プロの手技、魅力はどちらにもあり。個人的には、完成度の高いものとの出会いが嬉しい。ハンドメイドの後に松下の展覧会に行って、正直、ホッとしました。極めた人の仕事を見る幸せがあります。

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長くなりました。ペシャワール会のことも書きたかったけど、、。次回は「8」にいきます。

また今後、タイルや工芸、中央アジアに関わる方々へのインタビューをおこない、まとめていければという野望?を持っています。取材につきもののテープ起こしに戻る覚悟。
取材のお願いの連絡をさせて頂くこと、突然訪問などの失礼もあろうかと思います。どうぞ温かく見守ってください!!がんばります。

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by orientlibrary | 2013-07-23 23:20 | 日々のこと

装飾タイルの「8」〜“慈悲深き神々の呼吸”

「6」のデザイン 天地創造の6日間の理想表現」に続いて、今回は「8」です。が、建築の8(八角形、八角柱、八角堂等)や象徴としての8(宇宙のかたち、無限等)まで調べるのは力不足。イスラームの装飾タイル中心にみていこうと思います。

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八角星と十字のパターン

水平線上の円からスタートし、弧を2本描き、斜めの線を定義、4個の円に、さらに4個で8個の円。この円によるマトリックスを無限に続ける。正方形内で反復させると基本的な星と十字のパターンに。

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(基本的な星と十字のパターンを示したページ一部=『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』(創元社)と『イスラームのタイル 聖なる青』)

「斜め正方形のうち半数でそれと接する正方形の部分ではそのぶんへこませたと考えるのである。このため、近年これは“慈悲深き神々の呼吸”とも呼ばれている。この表現は、創造の源として火・空気・水・土の四大元素の可能性を発現させるのは神の呼吸であると説くイスラムの偉大な思想家イブン・アル=アラビーの教えに由来する」(『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』より)

「世界のタイル博物館」にこのタイルの収蔵が多く書籍でも紹介されていることから、タイルのイメージが「十字と八角星」という方もあるのでは。私もこのかたちと組合せに魅せられた一人です。

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(ラスター彩星形壁面タイル、カシャーン、13世紀/『イスラームのタイル 聖なる青』(INAXブックレット)より)

重要なモスクの、その中でも重要な部分(ミヒラーブ等)を飾ったといわれるこの組合せ、ラスター彩釉のものが多いことも、装飾タイルならではの精緻な魅力にあふれています。当時の壁面そのままの姿を見ることができないため、ますます想像は広がります。細密な絵付けやカリグラフィーが描かれた八角形と浮彫りなどが施された十字が組合わさった大きな壁面、どんなに煌めいていたことでしょう。

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(シャーヒズインダ墓廟にて。廟外部壁面装飾タイル。よく見ると、八角星と十字のパターンの一部を大きく使ったものですね。八角星の中にまた八角星、そのなかにカリグラフィー〜聖典の言葉が記されていると思われます。帯状のラインにもアラビア文字。強い青で、まさに圧巻)

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(星と十字が連続する上に絵付けしたラスター彩。ラスター彩陶壁部分、「オリエント幻想」、七代・加藤幸兵衛 作、イラン大使館ファルドーシホール壁面)

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(ビビハニム廟入口、大理石とタイルでしょうか。キリッとして目立ちます。大きな面積はこのような素材とやり方がベターなのかも)

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(憧れの星と十字を制作した時の写真。それぞれの形に土を真っすぐにカットするだけでも一苦労。側面がデコボコに。花模様のものは地色を塗らず素焼きのままに。和な感じの星&十字になりました)


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八角星一つ、またはいくつか

八角星はバランスが良く安定しています。内部に文様も描きやすいのではないかと思います。そのせいか、一点のタイルとして、それこそスターのように目立ったところに飾られているものを見ることがあります。また、いくつかの中にあっても、ひとつひとつの存在感の強いものも見かけます。

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟にて。カリグラフィーを書き込んだ八角星の大きなタイル。レンガの茶色と青と紺はよく似合う組合せだと思う)

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(ブハラにて。モザイクではなく絵付けでカリグラフィーを描く。周辺の青もまた星空のよう)

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(タシケントの博物館展示品。雫状のものと花びら。おおらかな文様と青の発色が好みです。タイルの聖地を多数擁するウズベキスタンの博物館でもタイルの展示品は数が少なく、古いタイルは貴重なものであることがわかります。ソ連時代やその後の混乱で、散逸してしまったものがたくさんあるのでしょうね、、、)

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青のfacebookでも支持が高かったブハラ、ナディルディバンベギマドラサ、渡り廊下天井のタイル。5つの八角星で星空のようでした。青好きにはたまらない青の組合せ)

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(変わりバージョン。ブハラのストライ・マヒ・ホサ宮殿にて。横長の八角星)

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(シャーヒ・ズィンダ墓廟群にて。盛り上がった白の縁取りと青だけの文様が目を引くタイル。 “タイル装飾の博物館”とも言われるシャーヒズインダだけに、様々な技法が見られます)


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丸みのある8

まず手持ちの写真から8に関わるものをピックアップし、なんとなく特徴が似ているものを分けていたのですが、丸い花びらのようなもの、まだ他にもあるかもしれないけれど、シャーヒ・ズィンダの浮彫りのもの2点です。

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この他、「連続して描かれているもの」「建築での8」「壁面幾何学」「布や陶器での8」などを少々ピックアップしました。次の機会にご紹介したいと思います。

最後に、『イスラム芸術の幾何学 天上の図形を描く』の「むすび さらなる可能性」より一部引用します。

「伝統的なイスラムの装飾は、際立って機能的であるーただし、ここで機能的というのは単に実用的という意味ではない。イスラムのデザインは文明化とひきかえに失われた霊的な感覚を、無垢の自然が持つ原初的な美しさを再構築することで補完し、俗世にどっぷり浸かった人間を真剣な熟考へいざなおうとする。イスラムのデザインは、一種の“目に見える音楽”だと言ってもよい。モチーフの反復とリズムが内なるバランス感覚を目覚めさせ、神への祈りや神についての思弁を視覚的に展開する役目を果たすのである」
by orientlibrary | 2013-07-15 17:02 | タイルのデザインと技法

絨毯織り体験、生命の樹、発色銅器、太陽、農パワー!

またまた時間が経ってしまいました。訪問してくださった皆さん、ごめんなさい。こんなペースのブログですが、どうぞよろしくお願いします。今回は前回の「6」に続き「8」、、のつもりでしたが、その前に、トピック的なものを一気にまとめようと思います。話がいろいろ飛びますが、おつきあいくださいね。

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ミニ絨緞織り体験

まずは、絨緞織り体験のこと。以前、「ミニ絨緞作り」の様子をご紹介したことがあります。織り機はザルそばの容器の枠!しかも100円ショップのもの。手仕事クイーンTさんの工夫魂が冴えまくり!が、そのときは見ているだけ。今回ひょんなことから開催となった体験会、私も挑戦してみました。

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(先生はクイーンTさん。上段左がザルそば容器時代、真ん中が進化した新型織り機。Tさん手作り!最適なサイズを工夫し木材をカットして金具などで組み立てています。ホントにすごい人です。右下が3人の完成形、コースターサイズです。iPhone置きにもピッタリ!サソリ文様2名、ニワトリ文様1名)

先生が縦糸を張り下部のキリム織りまで準備してくださるという恵まれた環境。生徒はまず毛糸を選びます。深く考えず即決で選んだ縁の色=茶色、地色=白、文様の色=青。結び方はトルコ結び(対称結び)。必死で一段結び終え、横糸を通して固定。この程合いが難しい。固すぎてもダメ、緩すぎてもダメ。なんと数センチ編み上がるのにに4〜5時間かかりました、、、

さらに驚愕したのは、私が図面(マス目)を読めないということでした。というより、私以外の人が何の問題もなく読めるということを人生で初めて知りました。めげてもしょうがないので、マス目の色を文字情報に直しノートに記載。これでスピードアップ。最後にキリム部分を作り、縦糸を結んで終了。時間はなんと、、7時間半ほどもかかっていました。その間、生徒3名、お茶やおやつもそこそこにトイレも行かず。この熱中は自分でも意外。

生徒のうち一人は男子。日本初の「絨緞男子」誕生です。「嫌いじゃないです」って、上手いよ、、(画像右下の真ん中緑色の作品)。先生も感心。絨毯織りが趣味とかになったら、かなりすごいよ、S君!オリエントは左の白地のもの。これって染付、、無意識に色を選んでこうなるって、、頭が青。

バローチ絨緞女王mzさん作品は、バローチ愛の鳥文様がイキイキ!mzさんのブログにも「絨毯織りのおけいこ」として画像とともに、プロセスや織り方が詳しく紹介されています。T先生、同期の?皆さん、ありがとうございました☆

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イラン 生命の樹

絨緞の故郷イラン。イランのテキスタイル、ファッション、カリグラフィー等の展示がありました。「sarv サルブ 生命の樹」(青山グランピエにて/展示は6月30日で終了)。

「イランで活躍するクリエイターが作り出す、生命の樹や庭園をテーマにした作品は、古代アート先進国ペルシアへのオマージュ。神戸ファッションミュージアムと、京都グランピエ丁字屋に続く三度めの展示会です」

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(更紗、カリグラフィーなど。稠密!カリグラフィーにも感嘆〜実物は数m縦横の大きな作品です。服は写真がないんですが、更紗ロング丈や長い袖口が優美でした)

デザイナーであり、テヘラン芸術大学テキスタイル科で教えるモジュガンさんとも、いろんなお話ができました。イランの伝統工芸やアートへの敬意、自らのミッションとテーマへの邁進。包容力のある人柄とともに、その熱情が多くの人を巻込み、風を生み出しているのだなと感じました。

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(グランピエにて。チャイグラスと丸いカーブの小皿、インド更紗のコースターが素敵でハマった。同行の数人も、それぞれたくさんのコースターをゲット。小さいものってかわいくて数が欲しくなる、、上段右2点はイランの布だったと思う)

イランとインドがコラボしたかたちの展示。ムガルのテイスト。私がムガルが好きなのは、ペルシア(文化的影響が大きい)×中央アジア(初代皇帝バーブルはフェルガナに出自)×ヒンドゥスタン(独特の濃い感性と超絶手技)を感じるから。インドとペルシアが融合したテイストに目がない私にとって、うれしい展示会でした。(*7月6日からは、「abr アブル ウズベクの雲」と題して、kannotextileの作品と中央アジアの布の展示販売がスタート。19日まで)

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高岡銅器の青銅色

日本の工芸、こちらもまた最高です。
銅像、梵鐘、仏具等の銅器生産で歴史と伝統のある高岡市(富山県)は、日本における銅器生産額の95%程も占めるとか。ここでも新たな技法や取組みが生まれています。創業以来、銅器の「着色」を手がけ(銅器生産の行程は分業化されている)、昨今はその発色技法をインテリア用品やクラフトなどに生かして話題を呼んでいるのが「モメンタムファクトリー・Orii」。その展示と活動紹介が東京のギャラリーでありました。

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(「青銅色・煮色・宣徳色・鍋長色・朱銅色・焼青銅色・鉄漿色(オハグロ)等。いろいろな技法・薬品の組み合わせで数十種類もの色のバリエーションを作り上げております。これらの色の発し方(出し方)は先人方が試行錯誤を繰り返しながら研究し、開発してきた大切な財産であると思います。これら着色技法は、実に利に適った手法で、自然に背を向けず、ブロンズ・真鍮といった、銅合金に自然調和した着色法です」(OriiHより引用))

富山生まれの私ですが、正直言って銅器にはこれまであまり興味がありませんでした。なのに知って速攻出かけた理由、この青。深みのあるトルコ青と銅が織りなす色合いと表情。実物の質感が写真で出ないのが残念です。

「青銅色は、銅素材の自然腐食・錆色を人為的に発色させる技法です。緑青(銅錆)を短時間で俄かに発生するには様々な薬品、技法を使います。丹礬酢・硫酸銅・酢酸銅・塩化アンモンといった薬品を調合し、時には加熱しながら、時には日光の下で塗布し、何度も何度も繰り返し塗布、ふきあげを行うことによって自然に形成された緑青に近い酸化被膜を表面に発生させております」(Orii HPより引用)

ニューヨークでの見本市にも出展したOrii 。新しい工芸の世界をどんどん開いていってくださいね。応援してます!

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ソーラークッキング

話は変わって、太陽です。独立型ソーラーシステムを作る会に行ってきました。この分野、ほとんど接したことがない&理科系苦手の私、無心に参加。でもシンプルな作りで、ホームセンターで買ったもので作れることや、どのくらいの電気をまかなえるかも教えてもらい、苦手意識減になったのが良かったです。

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(あっと驚いた干しエノキの旨み。サツマイモもしっとりした仕上がり)

そして、非常に気になった&気に入ったのが、お楽しみ編のソーラークッキング。干しエノキはTVでも紹介されたらしいですね。初体験の私、見た目がひからびた糸みたいなエノキなのに、「スルメ要らずです」と言われ半信半疑でしたが、、本当に旨い!お酒にも合いそう。太陽の下2時間くらいでこんなになるのなら、高価なおつまみ?も不要。サツマイモはしっとりして甘い。

このときはガス台のアルミシートと市販のソーラークッカー使用。ソーラークッカーっていろんなものがあるんですね。びっくり。

これはウズベキスタンに持って行かねば!肉類苦手の私は外食で苦労します。食べるものがない。野菜をボイルしたりゆで卵を作ってナンでサンドにすればいいんじゃないの!?すっかりイメージが広がっていました。が、風での転倒や、光が集まりスクーターの車体が溶けた例などが報告されているサイトを見て、移動中の車内で燃えたらどうしようと心配に。ウズの陽射し、ハンパないですから、、しっかり検討しなくては。。

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日本の若き帰農家たち

このところ、「世界が食べられなくなる日」「フードインク」「よみがえりのレシピ(山形県の在来作物と種を守り継ぐ人々のドキュメンタリー映画。若い監督による素直でしなやかな作品。印象が深く残る)」など、食(食糧〜安全)関連の映画を観て、衝撃を受け、また地道な取組みも知り、いろいろ考えさせられました。野菜作りなどにも興味があります。
そんななか、「これからの農業 日本の若き帰農家たちと語り合う」というトークイベント、興味を持ちました。テクノロジーやカルチャーの雑誌&WEBサイト『WIRED』の主催です。「みんなが農業をやる時代が来る!」というパワー炸裂の90分でした。

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(植物工場のやさい。色が濃くて瑞々しい。有機のキャベツ、やわらかくて甘みがある/満員御礼、若い人中心に150名以上かな?/植物工場のアイスプラントとバジルをリシタン皿に。シャキシャキして味もしっかり。アイスプラントは「海水と同程度の塩化ナトリウム水溶液中でも水耕栽培が可能」とか。塩味があるのでドレッシングも何も要らない。ハマる食感)

登壇者4名は、いずれも大学院の研究者から転身。日本の人工光型植物工場の普及を目指す/世界中の最先端農業技術をリサーチしさまざまな企業に提供する/研究者から有機農家へと転身して無農薬野菜の栽培を行う/この秋からインド・バンガロールで日本の農業技術を広めようとする/とアプローチは異なるものの、農業はビジネスとしても有望とのスタンスで世界の市場をターゲットとし、フットワーク軽く、プレゼン力高く、世界を飛び回り、朝3時半から畑に出ています。

いくつかのコトバを抜粋。
「農業への参入は、すごくハードルが低いのに、誰も行かない。参加させないオーラがある。農家は超大変という罠。大多数の人が何となくダメかもと思っている日本独特の空気。若い人が関係ねえよと言って入っていけばいい」
「小さく細かく作る人たちが出てくれば変わる。庭先でちょっとずつ野菜作り。みんな物々交換するようになる」
「(千葉で農業をやっているが)農家に補助金出すのやめろよ。放っておいてくれれば、やろうと思ている人たちはやる。(イヤという人がいれば)集約して生産力のある農家がやればいい」
「(インドに行くが)農業はどこでやってもいい。どうせやるなら食糧が足りていないところでやろうと思った。ボーダーを超えて行くのは若い人間しかいない」
「インドでは日本が誇るイチゴ「あまおう」を甘くないと言う。シロップやコンデンスミルクをつけてしまう。繊細な甘さが通じない。日本で考えているモデルが通用しない。場に合わせて、高価ではないイチゴに変え、シロップをつける売り方にした」
「オーガニックフードからローカルフードへ。有機が普通に普通のスーパーに並ぶのが理想」
「旅行に行くときに、農場に行ってみようとかスーパーの野菜売場を見るとか、目的を持つと景色が違ってくる。そんなところから始めてみては」
等々、絶好調。が、最後の質問で出た「遺伝子組み換え」には、全員歯切れが悪くなってしまいました。「科学的には問題ない」は全員一致。高まる消費者の不安感や、風で飛んでいく花粉が引き起こしている問題などもあり、弁の立つ人たちをもってしても、短時間では語りきれない問題なのでしょうね。う〜ん、謎は深まる、、

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けっこう長くなりました。最後に農業つながり的なコラージュです。次回テーマは「8」の予定です。

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(ウズのフルーツ、メロン食べたい!/フェルガナのハーブ園/ベリー系?/庭でドライフルーツ作り。小規模でもそれぞれが少しずつ作るというのが大事なのかも/キルギスの畑作、かなたには天山山脈)
by orientlibrary | 2013-07-03 20:56 | 日々のこと