イスラムアート紀行

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Atlas Today、色使いと模様が魅力、ウズベキスタンの絹織物

アトラスです。大急ぎにて。ウズベキスタンの絹の絣布アトラス。大胆な模様と目の覚めるようなイキイキした色使いで、近年は欧米や日本のデザイナーにも注目されています。

まとめる余裕がないので、そのまんまですが、、「University of Nebraska - Lincoln DigitalCommons@University of Nebraska – Lincolnより。“Atlas Today: Patterns of Production, Bazaars and Bloomingdales Uzbekistan and Xinjiang, China”(Mary M. Dusenbury/2007〜2008年の調査による)」を意訳してみました。そのままの正確な訳ではないので、その点、ご了解くださいね。

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(マルギラン〜ウズベキスタン、フェルガナ〜の専門職家庭/2011夏)

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19世紀、中央アジアのハーン国、オアシスの街々では、統治者や富裕な商人、経済的な余裕のある男女は、大胆な模様の経絣、ベルベットの式服を纏っており、そのデザインの多彩さは驚くべきものであった。19世紀の絣(ikat/イカット)の衣装、織物は、今日の博物館や個人のコレクションとして記録や写真が残っている。1970年代以降は、蒐集家、ディーラー、研究者の関心の的となっている。

この大胆なイカットは、19世紀初頭より富裕で洗練された美意識を持つ人々の支持を得て、素晴らしい多彩さを見せている。19世紀末には、この「アトラス atlas」は富裕層だけでなく、簡素なタイプのものならば中央アジア中の人々(さらにはチュルク系のウイグルの人々)が着るようになっていた。

1865年、フェルガナ盆地コカンド・ハーン国の指揮官がパミールの山々やその周辺を行進したが、フェルガナの職人が作る豪華な彼のコートはしっかりと地元の人々の印象に焼き付いたようだ。数年後にはウズベクスタイルの絹絣のガウンが、かの地を訪れた商人や冒険家に提供された。今ではそれがロンドンのビクトリア&アルバート美術館の重要なコレクションとなっている。

ロシアの中央アジア支配、ハーン国統治者の死後には、安価な工業製品の布が広まり、絣織アトラスの豊かな伝統は荒廃した。本物のイカットは、安価な模造の絣に取って変わられ、模様はプリントとなった。ロシアと中央アジアの起業家たちがタッグを組んでフェルガナ地方を商業的なシルクの生産地に替え、今日に至っている。商業的とは、手織りと機械織りの両方を含む概念として理解されよう。

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(マルギランの著名な生産現場/2012夏)

中央アジアでの今日における手織りイカットの心臓部は、ウズベキスタンのフェルガナ地方にある。ソ連崩壊後、織物を家業とするいくつかのファミリーがアトラス織の復興に取組んでいる。その主役は、ファミリーの4代め、5代め、6代めの世代である。

復興に取組む若手世代は、数十、いやそれ以上の複雑な行程を要する絣布製作の主要なメンバーでもある。また製作の行程に欠かせない専門の技を持つ数百もの職人の家々を束ねているものもいる。デザインやマーケティングも重要であり、インターネットで国際的な市場を調査する担当もいる。

最高の製品の多くを仕入れるのはトルコのディーラーである。父親世代はトルコに何度となく出向いたものだが、今の世代はインターネットで商売する。繊維産業には、監督官や財務の担当者も必要だ。多くの工房を見回り進捗状況を監督する。若手世代は、商人であり主要な制作者であり、プロデューサーでもあるといえる。

フェルガナ盆地とウイグルは生産において連動したネットワークを有しているが、それは複雑であると同時に流動的である。例えば、織り機は自分のものだが、経糸はすでに作られたものを購入する人もいる。フェルガナ盆地では多くの織り手は自分の設備を持たないが、仕事と糸は監督者から提供される。シルクの糸繰り機は動力のある設備により速度が向上した。手紡ぎ、手染めの糸は小さな織機で良く織りあげられる。

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(マルギランのアトラスをリードする工房にて/2012夏)

現在、アトラスのテーマは、他のシルク製品といかに差別化するかという段階に来ていると考えられる。ウズベキスタンでもウイグルでも、バザールには数えきれないほどのアトラスが売られている。売り手は、販売が好調で伸びていると話す。プリントのイカットは、中国や韓国で生産されている。街角で見られる大半の「アトラス」は高価ではないが化学繊維のものだ。ギラギラしたベルベット風プリントのアトラスにも魅力はある。

マルギランの木曜市、そこには多様な図柄の手織アトラスが登場する。ウズベキスタンだけでなく隣国からの商人たちが、きらびやかな模様と色の素晴らしい、このアトラスを仕入れに来る。デザインは季節ごとに変わり、ディーラーや蒐集家の購入意欲をそそる。

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(アトラスにまつわる写真/工芸博物館の絵画、お土産物、バザールの人形、ホテルの部屋のカーテン)

ウズベキスタンでは、現在、女性用の絣布の衣装は種類豊富になり、デザインや材質、シルエットも様々だ。アトラスは文化遺産であり、国や民族のアイデンティティの象徴にもなっている。

アトラスは、国際的なデザイナーたちにも注目され取り上げられている。例えば、オスカー・デ・ラ・ルンタは、いち早くマルギランのベルベットイカットとアドラスを使った。ラルフ・ローレンもコレクションで、手織り、プリント両方のアトラスを紹介した。

21世紀に入り、アトラスの大胆な柄や目の覚めるような色合いは、ソ連時代も伝統技術を脈々と守り抜いた幾世代もの職人たちの忍耐を賞賛し、アトラス新世紀に向けて復興し、子孫代々隆盛させようとしている彼らのビジョンと決意を示している。

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青のfacebookから、サマリー。一部です。

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(イラン90年代街角の青/サマルカンドのグール・アミール/カシュガルのアパク・ホージャー廟/キュタフヤのラスター彩/ブハラ・青の輝き/サマルカンドのシャーヒズインダ墓廟古写真)

ウズベキスタンに行ってきます。厳寒装備です。ではまた!毎日寒いですが、ご自愛くださいね!
by orientlibrary | 2013-02-18 23:33 | 絨緞/天幕/布/衣装

青TODAY@テーブルウエアフェスティバル/悲願のウズ本&口琴ライブ

東京ドームいっぱいに、日本の陶芸産地、海外ブランド、アンティーク、テーブルコーディネートコンテスト発表展示などが繰り広げられる「テーブルウエアフェスティバル2013」。漫然と見ていると、たくさん見た〜で満足してしまうので、今年は軸を「青」に絞り、各地、各ブランド、各工房の青の表情を見ることに。結果、あらためて、やきものでの青色の比率の高さ、とくに日本のやきものでの青比率の高さと青の表現の多彩さに感じ入りました。

今回は写真中心に、フェスティバルの内容紹介ではなく、好きなもの、気になったものを選んでの青の陶器のご紹介です。産地やブランドと写真の照合があやういので、記載しない方が確実かと思い、日本、海外くらいの記載とさせて頂きます。すいません。

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(日本/多治見?/若手作家の明るい青の表現。女性好みのイラストや色合い、清潔感のある可愛らしさ。昨年のフェスで一番勢いを感じた多治見、今年も多彩な器形、鮮度のある色合いとデザイン、そして暮らしに溶け込み愛着を持って使われそうな器群で見応えがあり、安定していました。手の届くプライスもうれしい。)

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(日本/波佐見/大きなブースで賑わっていた波佐見。今の暮らしに似合う多彩な青。プレゼンテーションも商品がよく見えて勢いが伝わります)

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(日本/有田?/上段左:「JAPAN BLUE」というブランド名。豊かな水に恵まれた日本の水の清冽さを表現する試み。何度も吹き付けを重ねて青に深みを出しているとのこと。右も買いやすい価格だったと記憶。薄手で涼しげ。下段も有田だったと思う。デザイン性の高いものなど、様々な取組みを紹介。下右はレンジOK)

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(海外/このところ雑貨店でよく見かける北欧陶器。青い小花模様は女性好みの王道。手の届く価格帯。まだまだ人気が広がるのでは。有名ブランドもカジュアルな青使い。白の中の青がスッキリと涼しげ)

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(海外/フランス、イタリアなどの陶器とガラス。青の色味が違うことを感じます。日本はこのターコイズブルーではなく、もう少し紫系の紫陽花のような青、または水色。紺色もこのような重厚なものではなく、軽みがあります。同じ青で同じ色番号だとしても、素材や表現で微妙に違うのだろうなと感じました)

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(日本/ガラス、ワインクーラーなど/小樽など/ガラスも日本の青と繊細でやさしい自然モチーフが生きていました。コバルトブルーのどっしりしたテーブルと椅子も和のカフェなどに良さそうです)

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(日本/三川内焼/以前衝撃の出会いとして書いた「長崎みかわち焼」。三川内焼の工房出展、細密な絵付けで淡い色合いの染付が見事でした。海外に紹介したい絵付けです。今回思い出してみると、三川内焼、見たことはあったようです。渋谷ヒカリエでのプレゼンテーションが、鮮度高く強烈で、初めて見た感を抱かせました。プレゼンテーションや展示設計、演出、本当に本当に大事だと思います。今回も、有名産地でも技術が素晴らしい工房でも、プレゼンテーションが従来型のところは残念ながら魅力が発揮されていませんでした。もったいなさすぎます)

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(日本/ノリタケ、1904年創業/日本初のディナー皿を開発。ディナーウェアを主体に日本の洋食器産業の礎を築いてきたノリタケ。今回は日本で人気をよんだスイーツの歴史と合わせてのプレゼンテーションでした。華美で重厚な青が印象的なティーセット。すみれ色系と青の組合せも可憐)

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(日本/大倉陶園、1919年創業/日本のブランドのプレゼンテーション、上質で洗練されていました。自分には縁遠い華麗豪奢さですが、美しいものとしてスッと受け入れることができます。ぼかしのある青は、大倉陶園独自の技法「岡染め」によるもの。釉をかけて本焼成した白生地にコバルト絵具で絵付けし、再度1460度の高音で焼成。この間コバルトの青色は釉薬と柔らかに融合し、釉面に絵具が滲透。絵具の拡散により独特のぼかしができるそうです。中央アジアの絵付けを見慣れていると、日本の手描き絵付けの精緻な優美さは逆に新鮮です。イスラーム陶器は幾何学模様や様式的な植物模様が多いですが、自然への敬意や共感を描ききるような日本の絵付けには、しずかな力が満ちているように感じます)

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(日本/幸兵衛釜/やはり目が止まります。ペルシア陶器の研究、ラスター彩の復元で有名な六代加藤卓男さんの幸兵衛釜。七代加藤幸兵衛さんのラスター彩も見事。今年の夏、テヘランの博物館で展覧会が開催されるそうです!イランの方々に、日本陶芸、日本のラスター彩をぜひ見ていただきたいと思います。商品が一堂に紹介された今回、セルジューク朝的な青に黒彩のもの、生命の樹などをモチーフにしたペルシア色絵のシリーズがやはり素敵でした。星座別の絵付けタイルも洒落ていて、立てかけたり壁に掛けたりできるようになっていました。このあたりがウズのタイルでは難しい。いろんなことを総合して、やきもののレベルが世界一高い日本、誰もがやきものを見る眼があり暮らしに溶け込んでいる日本で、中央アジアの陶器やタイルが「商品」として動いていくのは、簡単ではないと感じました。食品衛生法も課題。ただ、ウズベキスタンのざっくりした絵付けと日本にない青が、人気があることも確か。飾り物としての道はありそうです。アントレプレナーが出てくれば、、/今回のお買い物は幸兵衛釜で、下段右の湯のみと星座タイル☆)

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この本、欲しかった、、「Uzbekistan: Heirs to the Silk Road」。買おうか迷っている間に絶版になり、今ではものすごく高額になってしまって、とても手が出ませんでした。(Amazon現時点で、新品82,000円強、中古20,000円強。海外からの輸入にて)。

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その本が、現在、私の横に(狂喜)。この幸運がなぜ訪れたかというと、、先日、ある大学の研究室におじゃました際、たくさんの方々の濃くて楽しい会話を聞きつつ、壁面を埋め尽くす本の中に、何か磁気を発している存在を感じたのです。それがこの赤い表紙の「Uzbekistan」。「ブックオフで安かった」とS先生。

思わず抱え込み、必死で見る私。「絶版なんですよ、、高いんですよ、、」とうわ言のように繰り返す私に、寛大なS先生、「1年間、貸してあげましょう」。狂喜しつつ、まだ見続ける私。先生「、、あげようか、、」即答「ありがとうございます!!!」

魅力なのは、例えば陶芸で18〜19世紀のリシタン陶器の写真実例があること。数少ない書籍でも、10〜11世紀、ティムール朝、そしてソ連崩壊後の陶器で、間がない。ソ連時代末期のパンフレットは偶然入手したけれど、18世紀頃は空白のゾーンでした。現在興味を持って資料を探している絣布「アトラス」なども図解と模様実例が豊富。細密画、金属加工、建築、室内装飾、服飾小物など、全体クラクラです。

寛大なS先生に幸あれ!神のご加護を。約束通り、今後、この本の内容を紹介したり、得た知識を何らかの形で生かしていきます!ありがとうございました!! (今後定期的にブックオフをチェックします♪)

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画像下段、『口琴のひびく世界』(直川礼緒著)。「中央アジアの音楽 テュルク・ミュージック・イン・トーキョー」での直川礼緒さんの口琴に圧倒され、ずっと気になっていました。ご縁があって日本口琴協会の定例会に初参加。Steev Kindwaldさんライブ、共演:立岩潤三さん(パーカッション)。強烈に素晴らしかった。現時点では、まだ言葉にできません。ことばになるのは、まだ先だと思います。

口琴については、内心「やばい」と思っている面も。素朴の極致のような楽器、けれども音世界の深さは無限とも思えます。価値観、生き方が変わるくらいに。なので、当面は隅の方でひっそりと聴いていようと思います。
by orientlibrary | 2013-02-11 22:33 | 日本のタイル、やきもの

北斎、青で描く日本の自然美、そして生命

◆ 北斎の青 ◆

西アジア、中央アジアの装飾タイルや陶器の青の興味があります。けれども日本美術に疎いので、日本の絵画や版画での青の表現は知らないままです。

テレビでの青の番組がありました。「青の宇宙史〜フェルメールから北斎へ〜」(BSTBS)。フェルメールは日本で大人気ですが、私はあまり興味が湧きません。そんなわけで、あまり期待せず、いちおうチェックするというスタンス。「フェルメール・センター銀座」という施設があり、現在青を軸とした北斎の展示を開催中。その館長でもある生物学者・福岡伸一氏が番組のナビゲーターでした。

番組はすっきりとまとまっていて、浮世絵の知識のない私にも流れがよく理解できました。そして北斎の青と、青への思い、構図や表現の斬新さ、ベロ藍という当時の最先端の青のインパクト、そしてフェルメールブルーをイキイキと「動かした」北斎の力量の凄みに、心が動きました。

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(「青の宇宙史〜フェルメールから北斎へ〜」(BSTBS)、テレビ画面を撮影)

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<出演者のコメントなどをメモした中で、個人的に印象に残ったこと>
《北斎の青、日本の青》
・ 北斎の青の魅力は、白(〜余白)がきれいなこと。潔く身を引いている。藍色は白のためにあると思えるほど、白がより良く見える

・ 日本の色の感性は素晴らしい。日本ほど色の名前が多い国はない。それは日本の風土、花や海や空からきているのだろう。水や空など青が自然の中にある日本だから、様々な青に挑戦する。いろいろな青が出るように工夫する

《ベロ藍の使用、刷の技術》
・ ベロ藍はそれまでの日本になかった色。ハイカラで知的で品がいい。空気感、湿度感が違う。立体感、奥行が出てくる。自然の美しさがイキイキしている。これを使った北斎は、自分だけの色をだしたかったのだろう

・ 当時は長崎の出島にオランダの物産を売る場所があった。フェルメールともつながる。フェルメールは青に身も心も奪われているが、北斎はそうではない。突き放している

・ 北斎はこのベロ藍を使って「冨嶽三十六景」を描き、青の濃淡で名所の水や空を表現した。日本の刷師は、絵の具を紙の表面でなく芯に滲み込ませる。独自の高度な印刷術もあり、「冨嶽三十六景」は爆発的な人気となった

《青は生命の色、その青を動かすことで生命を描いた北斎》
・ 青は生命にとって大切な色。生物は海で生まれた。最初に見た色は青だったのではないか。生命の色である青には生命の美しさがある。大きなもの、母性、限りなく生命的なもの。雄大なすべてを包み込む色

・ 北斎は青と生命の関係に自覚的だった。生命は流れでありエネルギーである。北斎は晩年の傑作「怒涛図」の「男浪」「女浪」で青を動かした。止まっているが絵は動的であり動いているものとして表現している。青は動いているから美しい。あらゆるエネルギーのうねりが込められた、宇宙にまで届くかのような青。北斎は生命の色である青を使って、生命の存在を描いてみせた
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ベロ藍は、紺青(こんじょう、プルシアンブルー)。1700年頃、プロシア(当時)の都市ベルリンにおいて初めて合成に成功した人工顔料で、日本では、ベルリン藍がなまってベロ藍と呼ばれたそうです。

「冨嶽三十六景」の青の濃淡、互いに引き立て合う青と白、生きているかのような波、さらには晩年の螺旋状にうねる青。日本の青の表現、驚きでした。

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(日本の青を東博写真の中から探してみました。左は18世紀江戸時代の被衣。染分麻地松皮菱菊蕨模様。藍を基調にした染が人気/右は型染木綿地に刺し子を施した火事羽織です。粋ですね!)

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◆ パキスタン映画「BOL~声をあげる~」 ◆

パキスタン映画「BOL~声をあげる~」、2011年にパキスタンで公開。2012年に福岡での「アジアフォーカス・福岡映画祭2012」で上映され観客賞を受賞。その後、映画祭等で上映されましたが、すべて合わせても計6回と、観る機会がとても少ない映画でした。

「BOL」の監督であるショエーブ・マンスール氏は、2007年に公開された「Khuda Kay Liye/神に誓って」で世界的に高い評価を受けています。「神に誓って」は9.11後のアメリカでのイスラーム諸国出身者への非道、厳格なイスラム教徒の結婚観、過激派に引込まれて行く若者の心理などを丹念かつ重厚に描き、圧倒的。主人公がミュージシャンの兄弟という設定もあり、音楽も素晴らしい。上映会は08年でしたが、今も強く心に残っている映画です。

そんなマンスール監督の「BOL」ですから、観られる機会を待望していました。そして先日、ついに観ることができました!しかも、日本語字幕付きで。さらに当日は、日本語字幕の監修をされた麻田豊先生から、映画の背景となる考え方、風土、慣習などについての解説がありました!

ストーリーが複雑というよりも、登場人物たちの考え方や行動に「どうして?」という疑問符でいっぱい。観る前に解説頂いたおかげで、なんとか話についていけました。わかりやすく具体的なお話が聞けたこと、とても有り難かったです。

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(HP「アジアフォーカス・福岡映画祭2012」等から引用/妻と7人の娘たちは家に幽閉状態。お隣さんはシーア派、リベラル家庭。隣の長男役がcoke studioにも出演するアーティフ・アスラム:伝統医療は衰退し収入は減るばかり。売春地帯の親分がコーランの先生の話を持ちかけ、なんと親分の孫娘〜高級娼婦〜とこの厳格親爺が結婚することに!やがて女の子が生まれます:両性具有の末息子。純真)

父親を殺害した罪で死刑を宣告された伝統医療医の長女。最期の望みとして絞首台で記者会見を行うことを要求。自分の身の上を語り出すところから始まります。

インド・パキスタン分離独立、衰退する伝統医療、父親の圧倒的な権力、男性が女性を養うという考え方、男児願望、両性具有、女子に教育は不要という考え、外に働く場がない女性、警察の汚職と賄賂、パキスタンの売春地帯、教養があり礼儀正しい高級売春婦タワーイフ、スンニ派とシーア派の対立、宗教への妄信など、様々な問題が2時間半の中に盛り込まれていますが、最も大きいのは女性の生き方、人権ということかと思います。長女は「産む罪」を問いかけました。

家族に暴力をふるい恐怖支配する父親ですが、俳優の演技があまりに秀逸なせいか、感情移入してしまう面も。ラホールのモスク、古い住居が美しく、農村の風景も憧れます。パキスタン女性はクラクラするくらいの美しさ!世界一綺麗では?また、パキスタンの福山雅治とも言われるアーティフ・アスラムのシーンは明るく、音楽もいい感じでした。

(重厚で様々なテーマが織り込まれた映画。感想を書くのが難しく、なかなか書けません。日を改めて書ければ、、と思っています)

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◆ 青のfacebook、サマリー ◆

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<リシタン古皿 ウズベキスタン〜フェルガナ郷土史博物館展示品> <仁清が描く波の青 日本 色絵波に三日月文椀〜仁清/江戸時代、17世紀東京国立博物館所蔵品> <イズニック陶器 トルコ〜赤い素地の上に白い化粧土を掛け、コバルトブルーを主に、ターコイズブルーを効果的に用いながら、蓮、三つ葉模様、螺旋状の花模様等を描く> <フダーヤール・ハン宮殿のタイル ウズベキスタン>

今回写真が少ないので、フダーヤール・ハン宮殿のタイルをこちらでご紹介!

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<フダーヤール・ハン宮殿のタイル ウズベキスタン/コーカンド・ハン国は、18世紀後半から19世紀前半にかけてフェルガナ盆地を中心に栄えたチュルク系王朝。最盛期には清朝、ロシアと通商関係を結び、中央アジア最大の交易国に。しかし19世紀半ば過ぎにロシアが侵攻、やがてロシアの属国に。君主フダーヤール・ハンはロシア様式を取り入れた新宮殿を造営し国の再建と専制の増強をはかりますが、ほどなくして国は滅びました。14世紀から続く中央アジアの装飾タイルの伝統ですが、19世紀も後半になると周辺地域の色やデザインの嗜好が入り交じり、青よりも多彩色のインパクトが大。宮殿内のタイルの中にはロシア正教を思わせるモチーフもあり独特/mosaic tile on the gate of Khan's Palace=the Palace of Khudoyar Khan, built between 1863 and 1874/ Kokand is a city in Fergana Province in eastern Uzbekistan>
by orientlibrary | 2013-02-03 23:05 | 美術/音楽/映画