イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

<   2012年 03月 ( 5 )   > この月の画像一覧

青展無事終了御礼、常滑歩きと苗族刺繍の衝撃、パキスタンバザールでのカワーリ

2011年11月よりINAXライブミュージアム(愛知県常滑市)にて開催していた「青の魅惑 イラン・トルコ・ウズベキスタンのやきもの」。3月20日、無事に最終日を迎えることができました。

e0063212_21444378.jpg
(「青の魅惑」展会場の天井は、蒼穹の空をイメージした青のタイル写真。デザイナーの方がつくってくださいました。大半がサマルカンドのタイルです。雨上がりのときの写真なので、タイルが水滴でツヤツヤしています)

ご来場いただきました皆様、長期にわたりお世話になったミュージアムのスタッフの皆様、作家やコーディネーターの皆様に、心よりお礼を申し上げます。

e0063212_21474344.jpg
(ウズベキスタンのアリシェル工房コーナー)

半年の展示は長すぎるのではとも思っていましたが、なんだかあっという間でした。ブログでのご紹介も、ちゃんとしないまま。青のスタディはこれからが本番だと自覚しています。orientlibraryの手元に残った作品もありますので、全部ではないですが、また何かの機会に、あるいはどこかの場所で見ていただけるかもしれません。またご案内しますね!

3月は、あわただしく過ぎました。coke studioの音楽に癒され、かつ刺激を受けながら、ヨレヨレしつつなんとかやっています。
常滑も先々週、先週と行きました。行くたびに発見があり、まだまだ奥行の一端に触れているだけかも。

e0063212_21501671.jpg
(やきもの散歩道にある「廻船問屋 瀧田家」)

e0063212_21504377.jpg
(瀧田家。昔のものって全体的に小ぶりですね)

e0063212_21524933.jpg
(こちらは「十三蔵」という食べ吞みどころ。散歩道の、ちょっとわかりにくいところにあります。知多半島(だったかな)に酒蔵が13あったのが店名の由来とか。アナゴの干物の「めじろ茶漬け」は、やはりこちらが美味!と思います)

e0063212_21542163.jpg
(利き酒セット。吟醸、純米、熟成古酒など)

そして、なんと、なんと、常滑の奥行をさらにど〜〜〜〜〜んと深める、ある場所と出会いました。中国家具店エスニカ店主Tさんのご縁で、今回お会いできた瑞さん。中国貴州省を中心に暮らす苗(ミャオ)族の刺繍のコレクター。そして、「苗族刺繍博物館」オープンの準備をされています。
その古民家にうかがいました。

e0063212_2263124.jpg
(子どもの頃から古いものが、とにかく好きだったそうです)

Tさん、手仕事クイーン、私、とにかく圧倒され、魅了されました。個人による16年間のコレクションです。

e0063212_18364742.jpg


e0063212_228066.jpg


e0063212_2281032.jpg


量にも圧倒されますが、その質の高さというか、刺繍の精巧さ、デザインの多彩さ、技法の多様さ。こんな世界があるんですね。。そして、ここまで愛をもって、苗族の手仕事を支援する方がいらっしゃるんですね。ある種、ショックを受けました。

e0063212_2282336.jpg


e0063212_2285096.jpg
(「昭和のイケメン」と呼ばれるTさん。光のせいか、全体に昔風の感じが、、)

ミャオ族刺繍や装飾文化について、これから私も少しずつ勉強して、ご紹介できればと思っています。

そんなこんなで、東中野でのバダル・アリー・ハーンのカワーリ・ライブに行くことができませんでした。が、先週末、代々木公園で盛り上がっていた「パキスタン・バザール」で、熱狂のライブを見ることができました。

e0063212_2213952.jpg
(パキスタン・バザール。ステージでは切れ目なく、いろいろなイベントが。こちらは結婚式の再現。ダンスも多彩に披露されていました。パキスタン大使って感じのいい方ですね!素晴しい)

e0063212_22104947.jpg
(バダル・アリー・ハーンのカワーリ・ライブ。これは1曲めのあたりなので、会場も静か)

この後、会場はただならぬ盛り上がりへ。ドル札が散華のように舞い、パキスタン、日本、各国の善男善女が踊りの熱狂の渦のなかに。ここまで観客のテンションを上げる、楽士の力なのでしょうね。パキスタンの現地の雰囲気を味わいました。
ただ、子どもがステージ上を自在に走り回るまでは、祭りなので良しとしても、奏者のマイクや楽器を触ったり倒したりは「良くないこと」と教えられる方が、子どもにとっても幸せだと思いました。観客に対して、主催者としては言いにくいものです。やはり、ここは親の出る幕では??大勢の人を対象とするイベントの歯がゆいところ、むつかしいところなのかもしれません。(パキスタンではカワーリ奏者のマイクやタブラを幼児が玩具にすることは許容範囲なのでしょうか?もしもそうならば、余計なことですが、、)

最後に、マーマレード。「杉並 もったいないマーマレード」は、区内の民家、神社、お寺などの敷地になっている夏ミカンをわけてもらい、作られているもの。道に落ちている夏ミカンをみて、もったいない!と思ったことがきっかけだそうです。
できたてホカホカのものを、わけていただきました。パンやスコーンに合うし、酸味を生かした味わいなので、そのまま食べてもどんどんイケます。

e0063212_22284645.jpg


杉並では戦後、甘いものが手に入らなかった時代に夏ミカンを庭に植え、おやつに食べていたそうですが、今では食べられることがほとんどなくなったとか。柿なども、木になったままのものが多いけれど、ジャムなどにしてもよいですね。もったいない!

まとまりのないままですが、このごろ便り、でした。春まで、あと少しです、よね!
by orientlibrary | 2012-03-26 22:47 | 日々のこと

ウズベキスタンの絹織物「アトラス」を使っての手工芸コンテストに295作品の応募!

ブログ「美しい世界の手仕事プロジェクト」にて、「ウズベキスタンの絹織物アトラスを使った手工芸品コンテスト」「アトラス・ハンディクラフト・コンテスト、順調に進行中」「アトラスコンテスト関連トピック〜雲の織物アブルバンディ」、とご案内してきたウズベキスタンの絹織物「アトラス」を使った手工芸品のコンテスト。2月末が応募締切でした。

e0063212_2361213.jpg
(ウズベキスタンの工房にて。括りの作業)

アトラスやウズベキスタンについては、日本ではあまり知られていません。それに加えて、告知から締切までの応募期間が短いこと、説明会に出向いて布を購入する手間ひまが必要なこと、初めての取り組みであること、賞金や賞品による引力が少ないこと、著作権の放棄要請など、応募が少なくなりそうな要素がたくさん、、でした。

e0063212_2381226.jpg
(伝統的アトラスの工房)

ところが、応募作品数は295!!私がお礼を言うのもおかしいのかもしれませんが、中央アジアやかの地の装飾文化に関心のある者として、とてもうれしいです。応募頂いた皆様に心よりお礼申し上げます。

しかもその作品はすべてが、工夫とセンスがあふれる力作、細かい手仕事の美しい作品ばかりで、圧倒されるほど。アトラスがこんなふうになるなんて、こういう発想や視点があるのか、と驚く作品も少なくありませんでした。

e0063212_22505949.jpg
(ごらんください!多彩な295作品。本当に素敵です!!!)

日本はすごいな。仕事がていねいで、きっちりきちんとしたつくり。安心して使えます。使い勝手や最適なサイズなど細かいところまでよく考えられている。ボタンなどの装飾品やちょっとしたアクセントが、こなれていてかわいい。いいものをたくさん見てきた方々の作品だなあと思いました。

独立後20年経つ中央アジアですが、製造業やものづくりは進行形。暮らしのなかの「モノ」も限られており、商品開発への発想はそう簡単ではないかもしれません。
そんななか、今回のコンテスト作品は、今後大きな刺激とヒントになっていくのではないでしょうか。

そして、もうひとつ、感謝したいことがあります。「石巻復興支援ネットワーク」の皆様のご尽力で、石巻の女性たちから19作品の応募をいただきました。仮設住宅にお住まいの方もあります。
石巻からの作品は、邪気のない、素直で、心が温かくなるような作品が多いと感じました。そのうちの1点(エコ草履)が「つくば市長賞」、もう1点(巾着)が「輝け石巻賞」でした!!おめでとうございます。^^

3月18日には、つくば市内で「表彰式」が開催されました。最優秀賞、ウズベキスタン大使賞、茨城県知事賞等々、賞状と副賞が送られました


e0063212_2303523.jpg
(表彰式会場の様子)

e0063212_22591136.jpg
(授賞式の様子)

e0063212_22595135.jpg
(アトラクション。ウズベキスタン出身のアノーラさんの歌とウズベクダンスのyulduzさん。きれい〜☆)

e0063212_23161268.jpg
(TBSの番組にも出ているアノーラさん)

e0063212_23164945.jpg
(yulduzさんとスタジオの方々。ウズダンスは衣装も髪型も明るくて可愛い!)

e0063212_2312068.jpg
e0063212_23183084.jpg
(最優秀賞(作品=伝統袋物)受賞の方、当日の帯もアトラスでした!シックな色と模様ですが大胆な魅力があります。アトラスは和とも相性がいいですね)

私もアトラスの魅力をあらためて感じたコンテストでした。応募された皆様、企画実施された東京農工大事務局の皆様、ありがとうございました。
by orientlibrary | 2012-03-19 23:21 | 絨緞/天幕/布/衣装

「青の魅惑」 時空を旅する多彩な青 〜アディル・ジャン・ギュヴェン氏の青の世界

前回に続き、2011年11月よりINAXライブミュージアム(愛知県常滑市)にて開催中の「青の魅惑 イラン・トルコ・ウズベキスタンのやきもの」。3月20日が最終日につき、大急ぎのご紹介です。

e0063212_20524536.jpg
(ギュヴェン氏のコーナー)

前回は、メフメット・コチェル氏(トルコ・キュタフヤ在住)を駆け足でご紹介しました。
今回も、トルコ編。イズニック在住のアディル・ジャン・ギュヴェン氏です。

e0063212_2053222.jpg
(今回は青がテーマということでセレクトして頂きました。東洋を思わせる図柄ですが伝統的なデザイン。親しみを感じます)

「アディル・ジャン・ギュヴェンさんの素晴しさは、ビザンティン時代〜現代に至るアナトリアの陶器タイルの技術を再現している、その幅の広いテクニックです」とトルコ作家をコーディネートしてくださったルキエさんがおっしゃるように、一人の作家の仕事とは信じられないほどの多彩さに驚きます。

まずは、プロフィルと青についてのコメントを(会場のパネルにてご紹介しています)。

e0063212_23485159.jpg


■■■■■
アディル・ジャン・ギュヴェン  Adil Can Güven  トルコ イズニック
1953年イネギョル生まれ。陶芸家の家系に生まれ、キュタフヤなど陶器生産の中心地で学ぶ。教職についた後、イズニックに夫人と工房を構える。ビザンティン時代から現代に至るアナトリアの陶器・タイルを伝統的な材料と技法を用いて再現しながら、丁寧で個性的な作品を作り続けている。

「青は深遠でありながら自由そのもの。困難の末に得られる高貴の色」

「深みのある青色を作り表現したいと願うのですが、最初の段階でその発色・濃淡を見極めることのできない青の顔料を使うことは大変に難しい。しかし青は魅力に満ちています。青の持つ深み、高貴さ、そしてその美しい表現力が、私を惹きつけます」
■■■■■

e0063212_2055325.jpg
(私の最も好きな作品。このタイル、、、突き抜けている、、最高です)

会場でご紹介できなかった、青についての質問の答えです。(いつか全作家のお答えをアップしたいです)

1.伝統の青の作り方
1200℃で石英、鉛、ソーダの混合物(釉薬)がガラス化した中に、コバルトが溶け込むことにより発色します。(コバルトを)すりつぶし、アラビアゴムと混ぜてから彩色します。

2.伝統の青を作り、色を出すことの難しさ
青の発色の調節のために、数種類の酸化金属が加えられます。彩色と調整が難しいのです。

3.伝統の青にこめられた意味、精神性、願い
私にとって、青とは高質であり、比類無きものです。深みであり、自由です。伝統芸術においては、青は困難の末に得られる高貴の色なのです。

4. 青の作品を作る際、気をつけていることは
深みのある色を作り表現したいのですが、最初の段階でその発色・濃淡を見極めることの出来ない青の顔料を使うことは大変難しいです。

5.日本のイメージ
日本とは、芸術と敬意(尊敬)と礼儀作法によって日々の暮らし(生き方、生活様式)を高めている、微笑みを絶やさない人々の国だと思っています。

6.日本のファンに一言
芸術は共通語であると信じています。お送りしました私の作品によってもまた、お互いに共感することが出来、皆さんに実際にお目にかかることが出来なくとも、皆さんに対する私の敬愛をこの作品で伝えることが出来ると信じます。

e0063212_20544040.jpg



ギュヴェン氏のコーナーは、このようになっています。

1:「青」というテーマに合わせて制作されたオリジナル作品。

e0063212_20582272.jpg


e0063212_20542537.jpg


2:ビザンティン時代から続くアナトリアの陶器・タイルを伝統技法で再現するギュヴェン氏の作品から、青に特徴があるものを選んだ。

e0063212_20573726.jpg


<ミトレス手> 西アナトリアやマルマラ海、エーゲ海の島々で、14世紀後半~15世紀に流通したと推測されている。赤い素地の上に白い化粧土を掛け、主にコバルトブルーで彩色されるが、他にターコイズブルー、紫、緑、黒も使われる。フリーハンドによる勢いある筆使いで描かれるのが特徴。

<ダマスカス手> イズニックでは、1530-60年代の短期間にのみ生産された。色がこの様式の特徴で、コバルトブルー、ターコイズブルー、緑、紫などを用いて生き生きと自由に描く。16世紀後半以降、オスマン朝シリアのダマスカスでもつくられたためこの名で呼ばれる。
  
<スリップウエア> 表面をスリップ(化粧土。粘土や珪土に水を混ぜたもの)で装飾する手法。

e0063212_20561050.jpg
(ミトレス手の作り方と代表的模様を一枚の皿に入れたというユニークな作品)

イズニックの湖畔の道を歩いているギュヴェン氏の淡々とした姿が忘れられません。奥様とは本当に一心同体。二人の息子さんやお弟子さんたちとの工房は、なごやかで、真摯で、一体感があり、初対面にもかかわらず、こちらでも、すっかり居着いてしまったのでした。

e0063212_20571213.jpg
(工房にて)

ありがとうございました。
また会いに行きます!!

e0063212_20585038.jpg
(イズニックの考古学博物館展示品。いいですね〜!)
by orientlibrary | 2012-03-13 21:01 | 世界の陶芸、工芸

「青の魅惑」 潤む青のタシュチニ 〜メフメット・コチェル氏 洗練優雅な青の世界〜

昨年11月より、INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)にて開催中の「青の魅惑 イラン・トルコ・ウズベキスタンのやきもの」、早いもので3月20日が最終日となりました。

e0063212_22531879.jpg


なぜこの地で、青が脈々と作りつがれてきたのか。旅先の西アジア、中央アジアのオアシス都市で出会う青の建築物、とりわけ装飾タイルの青の煌めき。「青の理由」と「青の秘密」が、どんどん知りたくなりました。

e0063212_23133820.jpg


「シルクロードはコバルトロードでもある。各地の青に違いはあるのだろうか。あるとしたら、どのような違いがあるのだろう」。
青をテーマとした展覧会はできないだろうか。時間をかけて、そんな気持ちが固まってきました。開催を検討していただく博物館に打ち合わせに行こうとしていた、まさにその頃に、東日本大震災がおきました。
2011年3月末から6月前半までは、「美しい世界の手仕事プロジェクト/東北の手仕事」に、邁進しました。

e0063212_225994.jpg


「青の魅惑」は春からじょじょに準備を始め、初夏から集中しました。が、なにしろイラン、トルコ、ウズベキスタンという「手ごわい」国々。欧米ならば、なんの問題もなく可能なこと、一つ一つが手ごわい。

「青の魅惑」展をめぐるエピソードは、まさにunbelieable。自分でも、本当にあったことかと思うくらいです。毎日、何回も「イッシャアッラー」を繰り返していました。
とにかく、6人の作家の作品たちは、何事もなかったように、博物館のギャラリーに堂々とした姿を見せています。ありがたいです。

今回は「最終日間近エディション」?ということで、写真にて一部作品のご紹介。
メフメット・コチェル氏(トルコ・キュタフヤ在住)の、極めて繊細細密、かつ流麗な絵付けの作品をごらんください。

(キャプションは、トルコ作家のコーディネーターをお願いしたイスタンブル在住の絵付け作家・ルキエさんの資料を参照させて頂いています。ルキエさんのおかげで、展覧会が成立しました。心よりの感謝を!)


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … * …

e0063212_2346318.jpg


■■■■■  メフメット・コチェル/トルコ・キュタフヤ在住/ Mehmet Koçer/Ktahya , Turkey /1951年エラズー生まれ。現在のキュタフヤ陶器の特徴と言われる描き方・様式を生み出した作家。教育者としてキュタフヤ・ダムプナール大学で勤め退官後、現在はアルトゥン・チニ陶器産業のチニ生産責任者兼デザイナーを勤めている。今なお日に10〜15時間を陶芸制作と研究に費やす。 ■■■■■


e0063212_23412799.jpg
(展示会場、トルコ作家コーナー/紹介パネルでは「青の理由」「青の魅力」を出展作家に語っていただいています)

b0132180_20232557.jpg
(展示会場/メフメット・コチェル氏のコーナー)


b0132180_20235697.jpg
(壺(タシュ・チニ)/幅最大36cm、高さ46cm/ブルー&ホワイト、ババナッカシュ様式)(澄んだ白い肌を持つ中国磁器への憧れから15世紀後半から始まった「タシュ(石)・チニ」の生産。石英を80-85%も使用。化学的なことはさておいても、一見して何かが違う。地肌が潤んだようにまったりと白く、青の発色が明快。絵が生きているように、筆が流麗に走っています。描きにくいに違いない地肌をものともしない絵付けの見事さに感嘆)


e0063212_23423956.jpg
(オスマン朝時代のチニ、工芸等を再現展示しているアマスヤの「皇太子博物館」。上の壺がスルタンの部屋を象徴するものとして左右対で展示されているそうです。まさにオスマンの香り!)


b0132180_20241118.jpg
(扁平蓋付壺/幅最大34cm、高さ38cm)(品格のある形と絵付け。メフメット氏は、現在、次の「Living Human Treasure」〜日本で言う無形文化財所持者〜に最も近いと言われています)


b0132180_20242640.jpg
(ブルー&ホワイトの絵付け皿。直径40㎝/赤いカーネーションがポイントです)


b0132180_20245383.jpg
(飾りタイル(タシュ・チニ)/幅40cm、高さ45cm(額装含む)/カリグラフィー(チューリップとアッラーの文字 La ilahe illallah ))


b0132180_2025729.jpg
(モスクランプ/ブルー&ホワイト/ババナッカシュ様式)(「Mehmet  Kocer」個人のサイン入りの作品は非常に少なく、トルコ国内でも入手が大変難しい状況です。今回の出展は、ご本人の個人コレクションからのもの。「紹介者である大学教授と親しいこと、青というテーマが気に入ったこと、日本が好きなこと」の3点から出展を決めたとのことです)


b0132180_20394492.jpg
(絵付け皿、直径40㎝/ブルー&ホワイト/ルーミー・ハターイ様式)(ルーミーは、アラベスク、イスリミとも呼ばれ螺旋を描きながら連続してゆく装飾文様。ハタイとは、どれと言って特別の花を指すのではなく”一般的な花”の縦割りにされたもの)


b0132180_20244428.jpg
(飾りタイル(タシュ・チニ)/トプカプ宮殿・割礼の間壁面タイルの模写)(展覧会のポスターにも使われた美しく勢いのあるタイル。素晴しい)


b0132180_202538100.jpg
(絵付け皿/ブルー&ホワイト/サズ様式/直径50㎝)(現在のキュタフヤ陶器の全体の特徴と言われるようになった描き方、波打つように長い葉先、空間を音符のような葉のようなクルクルとした模様で埋めるといった様式を生み出したのはメフメット氏)


実際にお会いしたメフメットさん、厳格な方と覚悟してお会いしたのですが、やさしくて、とても気さくな方。初対面であるにも関わらず、話が尽きませんでした。こんなことも、おっしゃっていました。

「夜中に絵付けをしていると、描いている花が語りかけてきます。“もっと私を綺麗に描いて。隣の花よりも綺麗に描いて”と。そんな会話を楽しんでいます。毎日10時間、15時間と制作していますが、制作しなくていいと言われたら、、私は死んでしまいます。そのくらい絵付けが好きなのです」(コチェル氏)。


展覧会は20日まで。6作家の作品は、一部販売もしています(コチェル氏作品含む)。日本では入手困難なものがほとんどです。ご興味のある方は、INAXライブミュージアムへ!
by orientlibrary | 2012-03-07 23:19 | 世界の陶芸、工芸

羅、経錦。北村武資、究極の織の世界

『「織」を極める〜人間国宝 北村武資』(Kitamura Takeshi Master of Contemporary Weaving)/東京国立近代美術館 工芸館/4月15日まで)。タイトル通り、まさに究極の織の世界。”組織の美”とも言うべき細密さと優美さに魅了されました。

e0063212_2049257.jpg
(展覧会チラシ)

・・・・・・・・・・
北村武資は1935年京都生まれ。京都西陣で得た高度な織の技術と現代的な感覚によって、織の造形に新たな地平を切り開きました。1995年に「羅」、2000年には「経錦」で重要無形文化財保持者に認定され、今日を代表する作家として国内外で高く評価されています。(展覧会資料より)
・・・・・・・・・・

* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … * …

e0063212_2052107.jpg
(書籍表紙/代表作「碧地透文羅裂地」azure tomon-ra fabric 1992)

e0063212_20544310.jpg
(「まさに綟織(もじりおり)の極と言うべき作品で、少し離れてみればまさに蝉の羽根のように見え、われらが羅として考えているものとはまったく性格の異なる作品であり、経糸が整然と綟れ、解けていく動きを追うのも楽しかった」/書籍解説文より引用)

・・・・・・・・・・
「羅」は複雑なもじり組織(たて糸がからみ合ったところによこ糸を織り込む)が透明感に満ちた生地を作ります。中国前漢時代までさかのぼる歴史を持つこの織物は、日本では中世以降衰微しましたが、北村の挑戦は古代織の再生にとどまらず、過去に例のない経糸の大胆な動きで文様と陰翳とを構築する「透文羅」の創造にいたりました。(展覧会資料)
・・・・・・・・・・

e0063212_20585548.jpg
(萌黄地透文羅裂地 yellow-green tomon-ra fabric 2010/チラシより)

・・・・・・・・・・
同じく綟織に属する紗や絽が隣り合う2本1組の経糸を一方向に綟らせるのに対して、羅は1本の経糸が3本先の経糸を求め、しかも左右に振れながら緯糸の通り道を開く。経糸が交差点にいたる動きの複雑さと綟りが緯糸の密着を押しとどめることから、羅は編目状の組織となり、他の綟織よりもさらに際立った透明感を可能とする。(書籍解説文より)
・・・・・・・・・・

e0063212_2164698.jpg
(羅織着物「四ツ菱欅文羅」 kimono of ra fabric with four lozenge on crossed-parallel-line 2000/書籍より部分)


e0063212_21444612.jpg
(花房文羅金裂地 ra-kin fabric with braided flower pattern 1981/書籍より部分)


e0063212_2133988.jpg
(裂地「黄地透文羅」 yellow tomon-ra fabric 1996/書籍より部分)

全部スキャンして、さらには組織を拡大で紹介したい衝動にかられますが、、そういうわけにもいかず、、 ご興味ある方は展覧会で実物をごらんください。

* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … * …

・・・・・・・・・・
古代織の「経錦」においても、困難とみなされてきた大型の文様を織り上げ、つややかな質感と豊かな色彩は整然としたパターンに生き生きとした表情をもたらします。どちらの技法についても「織物の組織そのものが表現」と考える北村のきれ地は、わずかな厚みのなかでたて糸が複雑に交錯し、静かなムーブマンと奥行さえ感じさせるものとなりました。(展覧会資料)
・・・・・・・・・・

e0063212_2104978.jpg
(経錦丸帯「瑞松」 one-piece sash of tate-nishiki fabric "auspicious pine" 1992/チラシより)

e0063212_2113313.jpg
(経錦丸帯「瑞松」 /書籍より/帯として動きが加わると表情がさらにゆたかに。やわらかく、陰影にも深みがある)

・・・・・・・・・・
経糸で色柄を織り出すには経糸に色糸を使わなければならない。織り出そうとする色が三色ならば三種類の、四色ならば四種類の色糸が必要である。一般には三重経と言われ、三色三本の糸を一組として経糸に使う。織り出そうとする色糸を表に出しながら横糸を入れていく。その為に経糸には細い糸(通常の三分の一の太さ)を使わなくてはならない。他にも四重経、六重経と言われる経錦もあるが、これらを織るには大変高度な技術と手間が必要なので経錦と呼ばれる織物のほとんどは三重経である。
(WEB「結城屋きもの博物館」)
・・・・・・・・・・

e0063212_21554.jpg
(経錦裂地「青花」 tate-nishiki fabric "blue flower" 2009/書籍より部分)

e0063212_2116090.jpg
(七宝連珠文経錦丸帯 one-piece sash of tate-nishiki fabric with interlocking circle pattern 2010/書籍裏表紙より部分/これが織!?実物を見ても、まだ信じられない。実物は白の色合いが、よりやさしい印象。同じ大きさの円の円周を4分の1ずつ重ねて繋いだ七宝文様。円の内側に花文)

・・・・・・・・・・
北村氏の織った経錦は、きめの細い柔らかな織が特徴である。色糸は三色しか使えないので華やかな、あるいは複雑で豪華な織柄を出すことはできないけれども、単純な上品さとでも言える作風である。そして、帯の本来の使命である「帯を締める」ということに関しては絶品である。その柔らかさは緯錦では得られない締め心地だと言う。(WEB「結城屋きもの博物館」)
・・・・・・・・・・

日本の伝統的文様の律儀な美。そして色の魅力。複雑な中間色から鮮やかな原色まで、さまざまな色で織り上げる。まさに多彩。斬新な模様も楽しい。contemporary weavingと言われるゆえんでしょうか。
細密の極地は濃厚濃密でありつつ、透明で繊細優美でした。コツコツと織り続けて、けっして寡作ではない氏の作品群に、日本の匠の底力を感じ、うれしくなりました。世界の人に見て欲しいです。

* 「織」を極める人間国宝 北村武資::北村の初期から今日までの作品約130点を、2期(前期2月7日~3月11日/後期3月13日~4月15日)に分けて展観。
by orientlibrary | 2012-03-01 22:28 | 絨緞/天幕/布/衣装