イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

<   2011年 12月 ( 4 )   > この月の画像一覧

雪のタフテ・スレイマーン、冬のイランの景

静謐で雄大な冬景色を。

タフテ・スレイマーンの写真、ようやくスキャンしました。フィルム時代の写真、スキャンの手間に長年の先延ばし。「もう、なかったことにしよう」とも、、。でも、ようやく、やりました!

e0063212_21571351.jpg
(雪景色のタフテ・スレイマーン/تخت سلیمان‎ Takht-e Soleymān/イラン西アゼルバイジャーン州)

タフテ・スレイマーンは、ペルシア語で「ソロモンの王座」を意味する。ゾロアスター教(サーサーン朝の国教)、サーサーン朝の聖地。火口湖を中心に建てられている。主にサーサーン朝に建造された宗教施設などがある。世界遺産。

でも、どうしてこの地に、ソロモン王(*)の名前スレイマーンがつけられたの??かつてソロモン王がこの土地の100mの深さのある火口湖に怪物を閉じ込めたという伝説が残っているからだそうです。

e0063212_2255473.jpg
(サーサーン朝の日干しレンガに感動)

*ソロモン王(古代イスラエルの第3代の王)。ソロモンはイスラム教においても預言者の一人とされ、現代でもアラビア語ではスライマーン(سليمان Sulaymān)と呼ばれ、また、現代ペルシア語ではソレイマーン (Soleymān)、トルコ語でもスレイマン(Süleyman)とされ、ごく一般的な男子の名として普通に用いられる。ムスリムにあっては、預言者スライマーンは、知恵に満ちていたと同時に、アラブの民間伝承である精霊(ジン)を自由自在に操ったとされている。(wikipediaより引用)

e0063212_2261854.jpg
(日干しレンガは雪でも大丈夫?ユネスコが大規模な修復をしていましたが、、)

e0063212_2295769.jpg
(イラン北西部にあるザンジャーンにて。雪の舞うモスク。ザンジャーンにはアザリー(アゼルバイジャン人)が多い。絨毯も有名)

e0063212_2245174.jpg
(ソルタニエにて)

e0063212_22451827.jpg
(ザンジャーン州。乾いた冷たい空気。人もアヒルも日向に集まる)

タブリーズのマスジド・キャブード(ブルーモスク/1465)の写真もスキャン。安価な現像のため、劣化。悲しい。

e0063212_22132741.jpg
(masjid kabud or blue mosque , tabriz iran , 1465)

e0063212_22133696.jpg


e0063212_22134353.jpg


ブルーモスクは、本当に素晴しい。ファサードのモザイクは、あらゆるタイルの中で一番好きです。
こちらに書いてます。「15世紀タイル装飾の傑作 タブリーズの「ブルーモスク」」。この写真が行方不明。どうしたんだろう。これも悲しい。

雪のモスク(たぶん、これブルーモスクだったと思います)、絨毯にも織られています。情景があたたか。

e0063212_22174149.jpg
(テヘランの博物館にて撮影)

イランの冬景色、こちらは遊牧民の移動。300キロにも及ぶ山越え。壮絶なまでにきびしい。このような移動を年に数度繰り返す。

e0063212_22213289.jpg
(バフティヤリー族の移動を描いたドキュメンタリー映画「grass」より)

人も羊もたくましく、強い。彼らの毛織物、羊毛そのものに味があるような気がします。tribeさんの解説です。「ルル/バフティヤリー族  ペルシア語系遊牧民(イラン)」

日本です。笹に積もる雪をあらわしたやきもの。和の情緒と匠ですね。

e0063212_22323573.jpg
(銹絵雪笹文大鉢/仁阿弥道八作/江戸時代、19世紀/江戸末期を代表する京都の陶工仁阿弥道八は、伝統的な京焼を手本に秀作を多く残している。この鉢は、乾山焼の手鉢をモデルにして、大振りの鉢に仕立て直したもの。白泥を釉下に使って、笹に積もった牡丹雪の意匠を描き、その気分がいかにも雅で味わい深い/large bowl. snow coverd bamboo in overglaze iron-brown/東博にて撮影、解説を引用)

* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … *
前回に引き続き「coke studio」より。さらに一曲。

Mori Araj Suno, Tina Sani, Coke Studio, Season 3







素晴しい、、パキスタンの歌い手たち、この声は、この歌は、この表現力は、、
「coke studio」、音楽の神が降臨したかのような曲の数々。

今年もあと少し。風邪流行ってます。皆さん、気をつけてくださいね!
by orientlibrary | 2011-12-26 22:47 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

Coke Studio、心地良い衝撃と波動。捨てよ学問、Aik Alif アリフの一文字

「Coke Studio tokyo 世界が熱狂したパキスタン発音楽TVショウ」、待ってました!

e0063212_23353844.jpg


パキスタンの音楽番組「Coke Studio」(2008年〜2011年)を紹介するイベント(「 Coke Studio tokyo」公式サイト)。大きな画面で見て、ライブハウスのいい音響で聴けるという、うれしい企画。うちでYouTubeで見て(聴いて)はいても、もっと聴きたい、知りたいという気持ちが募ります。

イベントは、パキスタンの芸能や音楽に詳しく「Coke Studio」を早くから紹介してくれていた村山和之さんと、インドのA.R.ラフマーンはじめインド全般に詳しい矢萩多聞さんがナビゲーター。これはもう本当にワクワクです。

「パキスタン人が自ら企画し、パキスタン人ミュージシャンたちが伝統(古典・地域)音楽と現代音楽をコラボレーションさせる。新しいパキスタン音楽の創造を目指したこの番組は、昨今、彼らが世界に向けて発信したもののなかでも、最高の無形文化輸出良品である」(『Coke Studioの歩き方』より/村山和之さん)

「しかも、この輸出品、無料かつ無税というところが、彼らの心意気だ。従来の市場原理とは異なり、ダウンロードされて流通することを前提に制作されている」(同)。パキスタンのCDショップには、正規ディスクはないにも関わらず、たくさんのDVDやCDーRが販売されているそうです。日本にいても、YouTubeでいつでも見たいだけ見られます。まだ見ていませんが、メイキング映像もfacebookにアップされているそうです。今度見てみよう。

「Coke Studio」、見ながら、聴きながら、いろいろ感じ、考えた。

* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

今回のイベント、最初の曲にふさわしい一曲「Aik Alif(アリフの一文字)」から。ガツン!

"Aik Alif, Noori & Saieen Zahoor, Coke Studio, Season 2"






↑ *村山和之さん和訳字幕入りバージョンに変更!!*「コークスタジオ第二季より、サーイーン・ザフールとヌーリー(バンド)。パンジャービー語とウルドゥー語の歌詞。パンジャービーはバーバー・ブッレー・シャーの詩片」だそうです。

この曲が一番良かったという観客(知り合い)が多かった。
「莫迦たれ。捨てよ学問。アリフ一字でこと足る」。すごい歌詞、すばらしい歌詞。素晴しい歌唱、堂々たる朗唱。村山さんの和訳が字幕としてつき、合わせて聞くと、この歌のすごさがゾクゾクと伝わります。
数分の間に走馬灯のように、人生を、来し方を、今を、これからを考えていました。音楽とは、そのようなものなのだと思います。脳の中の何かに作用して、時を、自分を旅するのです。


e0063212_1511425.jpg


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

"Nar Bait HD, Akhtar Chanal Zahri, Coke Studio, Season 4"







アフタル・チャナールの「バローチ族のバラード」。「Coke Studio」とYouTubeがなかったら、知り得なかっただろう世界。バローチ族の誇りを歌いあげている。「アジュラック」(肩にかけている木版捺染の布)も、いいですね〜。

「生きよ永遠に!/先駆け自慢の我が友、山の猛き息子よ/狂い酔うさま愛ゆえに、熱く誰にも止められぬ/生きるも死ぬも構いなし、この世に恐るものはなし/一人ゆく鷹、ハヤブサか、高き山の尊き人よ(後略)・・・」(村山和之さん和訳)

e0063212_1531677.jpg


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

"Daanah Pah Daanah HD, Akhtar Chanal Zahri & Komal Rizvi, Coke Studio, Season 4"







アフタル・チャナールがクマル・リズヴィとバローチスタンを高らかに唄う。地名や名所が出てくるのが親しみやすい。バローチスタンに行きたくなる!
歌というより朗詠(ラップ?!)のような部分が多いけれど、声だけで存分に聴かせるのは叙事詩語りの伝統から?コーランの朗唱など、朗唱が自然に体に入っているのかな。美声というわけではないけれど、魅力がある声、谷間に響き山肌に沁み入るような声。

e0063212_1513372.jpg


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

"Rona Chod Diya, Zeb & Haniya and Javed Bashir, Coke Studio"






重量級の歌が多い中で、女性が入るせいか、軽快さもあり、楽しめる。北インドの音階の連写のような表現がすごい。この組み合わせ、、プロデューサー、素晴しい。

e0063212_1521528.jpg


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

これは、イベントでは紹介されなかった曲。Noori(「Aik Alif」の後半を歌っている)があまりにいいので、ブログでアップ。ロックと北インド音楽が好き、なので、、ものすごく好み。YouTubeで、この原曲らしき曲を発見。相当に土着的、民謡的。それもいいけど、ここまでの曲に作り込む、歌い込む、そのことにさらに驚きました。

"Hor Vi Neevan Ho, Noori, Coke Studio, Season 3"







ロックバンドNooriは、公式サイトなどを見ると、ポップで、なんだかアイドル的な感じ。が、この上手さ、魂のヴォーカル、素晴しい。

ちなみに、英訳詩のサイトにこの歌がありました。

Bow your head even further down (in humility) (Repeat。畏みて頭を深く垂れよ。これが何度も何度も繰り返されている)
Fakir, bow your even head further down (in humility)
There is great pleasure in holding the head high in arrogance
But, that pleasure will never be fulfilling
One day you will be bestowed with His presence
Lord, if only someone could understand the deliberations of my heart
I am a seeker who seeks nothing
I am a wanderer, roaming from one land to another
No one can unravel the secrets within me
I am a wanderer
Come along, come with me

*さらにYouTubeコメントより発見。(ちなみにYouTubeコメントは絶賛&絶賛。とくにインドからのメッセージが多い)
”very deep message share in this video . this is poetry or Kalam of Baba Bully Shah in Punjabi Language. he says. u should become more humble if u want to get some thing in this world. if you have some knowlege u will represent it with ur attitude . trees with full of fruit branches always down”

e0063212_1523059.jpg


* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … *

総合プロデューサーは、ロハイル・ハヤートとアンバール夫人。

「映像の中では輝いている音楽家たちも、日々の生活は貧しく、社会的地位も低い。ロハイルは愛と情熱で最高の作品をつくり、その立役者である音楽家の再評価をも社会に促そうと必死に走っている。Coke Studioは単なる娯楽的文化祭ではないのだ」(『Coke Studioの歩き方』より/村山和之さん)

小さなスタジオで生まれた番組は、テレビやインターネットを通して、パキスタンだけでなく世界の音楽ファンから熱狂的な支持を受けました。中には600万回もアクセスがある曲もあるそうです。

「この番組が、南アジアのフュージョン音楽発信大国としてのパキスタンを、全世界の音楽ファンに知らしめた功績は限りなく大きい。(略)イスラーム原理主義、テロの温床、インド側の先入観や知識で固まったまま、パキスタンを見ぬように。莫迦になって、愛のまなざしで、ありのままに向き合ってごらん。音楽を受け入れてごらん。そこではじめてわたしたちは対等の地平に立つのです」(『Coke Studioの歩き方』より/村山和之さん)

音楽を聴き、映像を見ながら、感じたこと、考えたことは、たくさんあって、書ききれない。
伝統と新しさというテーマは、音楽だけでなく、工芸、私の好きなやきものや染織にも共通するテーマ。そして、宗教を持つ人生・生き方と、生産と消費を基軸とした価値観のこと。

音楽は、触発する。五感に届く。音楽や舞踊を禁じている人たちは、そのすごさをわかりすぎているから?それとも、そのような経験をする前に聴くことをやめたから?

この番組の視覚、演出もすごい。パキスタンの激ハデな車のデコや聖者廟の電飾を連想させつつ、より洗練されている。70年代のサイケデリックも彷彿とさせるが、よりデジタルで広がりがある。パキスタン、すごい、、

この革新的な番組が、映画大国であり音楽でも有名なインド発ではなく(インド版のCoke Studioもありますが)、音楽的にはあまり知られていないパキスタン発であったこと。プロデューサーや周辺の人たちの熱が、数倍高かったということでしょうか。「思い」は状況を超えて行く。
国境を軽々と越えるインターネットの浸透力もすごい。

そして、このようなイベントを企画し実現してくれた村山さん、矢萩さん、その熱い思いと行動力に、心からのお礼を。ありがとうございました。村山さんの訳詩が映像にあったことで、歌の入り方が全然違いました。要所要所で入るトークも楽しかった。感謝します。

e0063212_1542483.jpg


** イスラムアート紀行・過去記事より **
 去年秋、矢萩さんと村山さんのトークイベント『「A.R.ラフマーンを語る」vol.3 イスラームとラフマーン』「インド、イラン、ギリシア、秋に響く詩の響宴」

 今年夏、「Coke Studio」から数曲紹介。ハマりました。「ジプシーを追いかけて。バローチスタン&パンジャーブ」

 こういう場には、いつも野上君がいるような気がする。きっといるんだと思う。「哀悼 野上郁哉さん / 自らの両足で立ち上がる 何度でも」
by orientlibrary | 2011-12-21 02:10 | 美術/音楽/映画

二羽の鳥がいるタイル、陶器、布

今回の写真は、「鳥」をモチーフとしたもの、とくに「双鳥」のものを集めてみました。その理由は、途中で「鳥」に関する記載が出てくるからです。その元々の理由は、、風邪。(>v<)

e0063212_2365728.jpg
(トルコ・イズニックに工房を持つアディル・ジャン・ギュヴェンさんのタイル。素晴しい。このタイルの深み、絵画的世界は何とも言えません。モスクの蝋燭立て、二羽の鳥、キャンドルには蛇がからみつき、トルコの花々が咲き乱れる。青一色の豊穣なる世界。鳥は天国を、蛇は健康を表すとのこと。蛇が良きものである点、東方的な感じがします/「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」展示作品より)

「風邪はひき始めの二日間が大事」、まさにそれを実感した週末でした。土曜日午後から日曜いっぱいの引きこもり生活。とにかく暖かくして、ひたすら休む。おかげでこじらせず、ほぼ回復。よかった〜。。

よかった、、よね、たしかに。でも、土曜日曜、楽しみにしていたイベントや訪問、すべて行けず(哀)。すごく残念。本来ならば、イベントや会った人たちの話で、今日のブログは情報モリモリ満載のはずでしたが、、何もなし!!(涙)

e0063212_23141086.jpg
(ウズベキスタンの陶芸家アリシェル・ナジロフさんの鳥皿、部分アップ/「青の魅惑」出展作品)

唯一、読めた本が「ユーラシアの神秘思想」(岡田明憲著)。何年も前に買った本、ようやく開いてみると、、風邪の夢うつつの気分に合ったというか、興味深く読めました。

私自身は神秘思想に惹かれるタイプではないのですが、著者岡田明憲さんのこの分野への「入り込み方」、いいなあ。好きで好きで、知りたくて追求したくて、という熱が伝わってきます。情報や商品が渦巻くような日々ですが、年のせいでしょうか、熱のあるモノ、コト、にしか食指が動かないこのごろです。

e0063212_23152820.jpg
(多彩釉画像タイル/イラン北西部/鉄器時代 前8〜7世紀/「ズイヴィエ偉宝」の発見で名高いウルミア湖周辺で出土したと推測される。本来、神殿または王宮の壁面を飾っていた建築材で、世界的にも稀少な作品。表面に描かれた超自然的な図像からは、当時のイラン北西部の宗教的観念の一端が垣間みられる/東博で撮影、解説を引用)

「占いの世界」という章もあります。来年の占いとか、少し気になる時期でもありますよね。

・占いは神秘思想への通路、あるいは神秘思想の応用とも言える
・神託から夢占い〜東西につながる占いの源流に、古代ペルシアのマギ(東方の博士たち〜占星術や夢占いの達人)がいた
・マギは占いに長じていただけでなく、ローマ世界にミトラの密議を伝えたのも彼らである
・このミトラの宗教は弥勒信仰として東にも伝搬する
・マギの占星術が独特の発達をして、そこにカルマの理論を導入して完成された、本場インドの占星術を見てみる
・この本では、占いを通して、日本から中国、インド、イスラム世界、さらにはギリシア・ローマに到るまで、まさにユーラシア的規模でおこなわれた、神秘思想の交流を跡づけていく

e0063212_23161389.jpg
(タシケントの博物館で撮影。建築装飾に用いられた「鳥女」だそうです。ブハラにて出土、6〜7世紀/fragments of architectual decoration image of bird woman,6-7century. varahsha,bukhara region)

ギリシアの神託は、巫女が語るのが普通でしたが、の鳴声や樹の葉のそよぐ音を解釈する仕方もあったそうです。
ローマでも鳥占いが神意をうかがうもの。鳥ト官は最高位の祭司で国政に助言する役割。鳥の飛び方、餌の食べ方で占う鳥占いが、公的なものと認められていたそうです。(餌の食べ方って、、そんなんで大丈夫!?)

その後、占いは中国の陰陽五行、イスラムの夢占い、密教占星術、インドの星学等々、体系づけられて高度に発達。
そして現在の占いブーム。皆さん、占いって信じてますか?
私はオカルトが苦手。何でも占いで語られるのも苦手。でも星座占いを真剣に読むときも。ポジティブな部分を、ちょっとした指針にしてる自分がいます。こうした方がいいと言って欲しいのかなあ。

e0063212_23182542.jpg
(トルコ・イズニックの博物館にて撮影。陶片。鳥と花がいいですね〜)

「ユーラシアの神秘思想」、眼目は「アジアとヨーロッパを合わせたものとしてユーラシアがあるのではなく、アジアとヨーロッパの基盤として、両者の文化が分かれる以前に、ユーラシアが存在していたという事実」という視角です。「人類の原思想」というべきひとつの起源、それを様々な角度から語り起こしている本なのでした。

e0063212_23274022.jpg
(九谷絵付け皿。東博にて撮影。日本の鳥は非対称で余白が効果的。色もスッキリと洗練されていますね)

まだちょっと熱っぽいこともあり、スキッとまとまらない内容で失礼しました。写真を楽しんでくだされば幸いです☆ そして風邪には気をつけてくださいね〜!

e0063212_23191364.jpg
(バングラデシュのカンタ刺繍部分。鳥がかわいい。使い古したサリーなどを再利用して数枚を合わせ刺子のように刺繍を施すもの。アーティストとかではない一般の女性たちが刺したもの。刺繍の細密さだけでなく、デザインや色合いが素晴しいものが多いです)

e0063212_2323225.jpg
(イラク南部の湿原に暮らしていた先住民族「マーシュアラブ」(湿原のアラブ人)の刺繍布部分。カラフルな色の組み合わせ、のびのびとした自由な構図で、鳥や魚、花などを刺繍で表します)

e0063212_23261610.jpg
(東欧の刺繍布。詳細はわかりませんが、ギャラリーで拝見して全体の雰囲気のかわいさに写真を撮らせていただきました)

e0063212_11583330.jpg
(ウズベキスタン・ブハラ、ナディール・ディヴァンベギ・マドラサ。二羽の鳥のモザイクタイル装飾。中央アジアの青のタイル、紺碧の空に映えます。鳥が太陽に向かって飛んでいく構図がスッと馴染む気がします)
by orientlibrary | 2011-12-12 23:46 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

タイルやスーフィーの本/イスラムの凝縮力/青の魅惑

トルコ・イスタンブールにて。「ルキエ」さんに、バザールの奥まったところにある本屋さんに連れて行っていただきました。現地の本屋さん、やはりネットでも買えないものがあります。

e0063212_23413522.jpg


今回はこれ(写真上右)。『TILES -TREASURES OF ANATOLIAN SOIL- 〜 TILES OF THE SELJUK AND BEYLIK PERIODS 〜』。セルジュークのタイル。草創期の青いモザイクタイルの壁面、濃いトルコブルーに黒で文様を描いた陶器、、最高です☆ うっとり。

こちら(上左)もそのときに購入。『CERAMICS FROM ISLAMIC LANDS 〜KUWAIT NATIONAL MUSEUM〜 - THE AL-SAVAH COLLECTION -』 。イスラム陶器の歴史や地域の個性を概観できそうな本。ハードカバーではないけれど500ページを超える立派な本で豊富な図版がうれしい☆ これはAmazonの方が安かった。円高なんですね〜。

そして、♪♪♪『COLOR IN ISLAMIC ART AND CULTURE 〜AND DIVERSE ARE THEIR HUES〜』♪♪♪(下)は ネットで買いました。表紙写真、グルエミル(サマルカンド)のタイルをAmazonで見て、即購入決定です☆ 色を切り口にしているのが、今の関心にぴったり。うれしい!タイルや陶器だけでなく、細密画や絨毯の色など、多彩に言及(しているみたいです。買ったばっかり)。

いずれも素晴しい本。すべて片手では持てないくらいに、ずっしりと重い。円高のおかげなのか、1万円を超えることなく購入できるのがありがたいです。
このボリュームで英語ということもあり、たぶん全部読むことはないかも。でも折々に写真を見たり、気になるところを読んだりしているだけで充分満足。うれしいな。

↓ 下の写真。数ヶ月前に買って、最近やっと開いてみた(まだ読んでいません)のが、パキスタンの芸能音楽に詳しいMさん推薦の3冊。

e0063212_23445091.jpg


『スーフィー イスラームの神秘主義者たち』(写真もいいです。読みやすそうなレイアウト)/『4億の少数派 南アジアのイスラーム』(ムスリム人口多いです。インド・パキスタンのイスラム建築も興味大)/『聖なる学問、俗なる人生 中世のイスラーム学者』(タイトルがいいですね!)。

『TOKYO  0円ハウス 0円生活』(ホームレスは理想の家を持っている!?のコピー)。先日、『ダンボールハウス』の著者、長嶋千聡さんのお話を聞いて、とてもおもしろかったので、工夫満載の「家」に興味がわいてきました。もともと天幕が大好きだし。でも、こちらの方が、より”定住型”です。

* … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … *

こうして、タイルや陶器の本、スーフィー関係の本を見つけて喜んでいるのですが、結果的にイスラーム関係の本が増えていくことになります。

といっても、イスラム教徒ではない私。教義も興味深いし、共感する点も少なくないですが、教徒になろうと考えたことはないです。何が好きって、やはりイスラム文化の「五感」に関わる部分なんですよね〜。

圧倒的な凝縮力と無限の広がりの予感、緻密と鮮烈、集中と余韻、端正でありながら強烈な熱のある手仕事、青の多用とその組み合わせの多彩、陶酔の音律と音階、朗唱、底流に流れる「意志」、そこへの共鳴性。そういうものに惹かれます。

メッカという一つの方向に向かって、世界中のイスラム教徒が祈っている、あの概念。あの集中と凝縮。完璧な拡散型の自分の感性とは違うのですが、逆なものに惹かれるのかな。

アブダビの空港で見たポスター。花びらかと思ったら、飛行機が中心に向かっている。中心の言葉は読めませんが、言葉が立ちますよね。この構図、意外と単純かもしれないけど、発想できない。

e0063212_00277.jpg
(アブダビの空港で見たポスター)

もちろん装飾タイルや建築装飾には、中心に凝縮しながら同時に無限の広がりを感じさせる、たくさんの例があります。

e0063212_043740.jpg
(サマルカンド、ティッラカッリマドラサ〜たぶん)

e0063212_05113.jpg
(サマルカンド、ウルグベクマドラサ〜たぶん)

e0063212_0133473.jpg
(これもサマルカンドかな。幾何学模様が発達したイスラム装飾。透しがきれいです)

そう思うと、日本の「余白」「間」、これも別の意味で、成熟した、素晴しい美意識だと思います。
日本人は芸術家ではなくても、余白によるバランスが自然にとれます。すごいことですよね。

e0063212_08085.jpg
(東博にて撮影。説明を引用:黄瀬戸草花文平鉢/美濃/安土桃山〜江戸時代、16〜17世紀/俗に油揚手、菖蒲手と呼ばれる黄瀬戸の典型作。中国龍泉窯青磁に従ったつば縁の平皿に、見込に草花文を釘彫し、失透する灰釉をかけ、銅で斑文を施し、ほのかな色の対比がまさに和様の雅びとなっている)

*… * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * * … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … *

最近、恒例のシリーズ!
西アジア、中央アジアの現代のやきものを特集展示している「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」展示作品(〜出展作家作品)より、何点か、ご紹介。(「青の魅惑」は、常滑市の「世界のタイル博物館」にて開催中/2012年3月20日まで)。

e0063212_0111129.jpg
(トルコ・イズニックに工房を持つアディル・ジャン・ギュヴェンさんの作品/アナトリアの技法を再現しているギュヴェンさん制作のスリップウエアです)

e0063212_0144139.jpg
(トルコ・キュタヘヤで制作を続けるメフメット・コチェルさんの絵付け、部分。ウサギでしょうか、躍動感が魅力的。花もイキイキとしています。線の運びがきれい!)

e0063212_0163120.jpg
(ウズベキスタン・リシタンの陶芸家、アリシェル・ナジロフさんの絵付け。自由でのびのびとした絵柄はお人柄だなあと思います)

e0063212_0174952.jpg
(ウズベキスタン・リシタンのウスマノフ工房の作品、アップです。こちらはアップで見たくなります。濃い青に引き込まれます)

秋の夜長の読書、は全然できなかったけど、冬は少し本を読もうかな。やるべきことをこなしきれない毎日(情けない、、)だけど、久々に本で旅したくなってきました。
by orientlibrary | 2011-12-06 00:33 | 青の道