イスラムアート紀行

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青の陶片と青の絵付け

今回も、ぬくぬく系から。
手仕事クイーンTさんが、前回のヒトコブラクダだけでは、ということで、フタコブラクダにもキリムをプレゼント。お似合いです。

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(ミニチュアって、独特のかわいさがありますね)

秋のトルコ行き以来、なんだかトルコ関連のモノ・コトに興味が湧き始めております。キリムなども以前より興味が高まっているものの、織りを拝見していると自分にはムリだなあと思ってしまいます、、

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(色合いや質感、あったかい。図面を見ず頭の中のデザインで織っていくYさん)

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そして、今回も「青」でいきますよ〜☆ 
日本の青との比較も気になっています。東博の陶片でも、ついつい青を探していました。伊万里の陶片。

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(東博にて撮影。説明も引用:百間窯址出土陶片/伊万里/江戸時代・17世紀/武雄市山内町宮野に位置し、江戸時代に活動した。製品は主に磁器で、この他少量の陶器も焼いている。青磁染付、外面に黒釉を掛け、内面に染付を施した椀など、特色ある様々な技法がおこなわれた)

こちらは鍋島の青陶片。一瞬意外な感じも。シックな印象。

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(東博にて撮影。説明も引用:大川内山鍋島藩窯址出土陶片/鍋島/江戸時代、17〜18世紀/青磁も一定量焼かれていた)

鍋島の青い磁器。デザイン性と細密さが、たまりません、鍋島。

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(東博にて撮影。説明も引用:色絵柴垣図大皿/鍋島/江戸時代、17世紀/鍋島焼は佐賀県鍋島藩の藩窯で、将軍家や上流武家階級を対象として製作された。この作品はやや青みをおびた白磁肌に、染付と赤・緑・黄の上絵付けで柴垣を描く。精選された材料と熟練した技術によるわが国色絵磁器中最も精巧な鍋島焼の代表作である)

モンゴル時代のイラン、13〜14世紀頃のラジュヴァルディナ陶器のきれいなもの、東博にあります。何度も見に行ってます。金色が渋くなっていいですね。模様もかわいいです。

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(東博にて撮影。説明も引用:青釉色絵金彩大壺/伝イラン出土、イスラーム時代、13〜14世紀/土製、施釉/コバルトを呈色剤とする青釉の上に、白、赤、金、黒の絵具で文様が描かれている。ペルシア語で青藍色を「ラジュヴァルド」ということから、ラジュヴァルディナ陶器と呼ばれる)

そんなイランなど、西アジア、中央アジアの現代のやきものを特集展示している「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」展示作品より。

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(トルコ・キュタヘヤの作家メフメット・コチェルさんの作品。赤のカーネーションがトルコのやきものの矜持でしょうか。手描きの精密さがすごい。薄い青が上品です)

ウズベキスタンは強い青が印象的です。

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(ウズベキスタン・リシタンのウスマノフ工房の作品。一見、青の強さや大胆さに目が行きますが、青の強弱が効果的で、丹念な絵付けです)

そんな展示は、常滑市の「世界のタイル博物館」にて開催中(2012年3月20日まで)。
博物館にちなんで、長い歴史のある陶の街、常滑のやきものをご紹介。

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(東博にて撮影。説明も引用:自然釉壺/常滑/平安時代、12世紀/常滑窯は平安時代末期に愛知県の知多半島に成立し、壺・瓶・摺鉢といった日用の器物を主に生産した。口部から肩にかけて降り掛かった自然釉が鮮やかであり、12世紀の常滑焼を代表する作品の一つである)

寒くなってきましたが、まあまあ元気にやっているこのごろ。マイペースでいきます☆

 23日、トークにご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。m(_ _)m
by orientlibrary | 2011-11-28 21:19 | 青の道

羊クラフト/イランのザクロ/青で描かれた鳥や魚

さすがに寒いです。もう11月下旬。ぬくぬくものが恋しくなってきますね。

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(手仕事クイーンTさんがラクダのサドルバッグを作成。「サドルバッグはバンバンじゃないとダメ」との持論から、ミニチュアでもパンパン。その場でどんどん作るクイーンの仕事ぶりはこちらで)

このところ「青」づいていたオリエント・ライブラリーも、ちょっとだけぬくぬく気分を味わいました@「ひつじクラフト」。ぬくぬく〜と温かい写真はこちら

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イランのザクロ、日本に届きました。
日本橋のダルビッシュショップにて購入。アイドルの文鳥が入り口まで一直線に飛んで来て迎えてくれました。が、つつかれまくり(>v<)、、でも、かわいいです☆

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美容にいいと人気になっているザクロ。ジュースはよくみますが、イランのザクロの生を見る(食べる)のは初めて。
酸っぱくて、コリッ、ギシッとして少し固いですが、でも、おいしい。後味がいいというか、ケーキとの二者択一なら、私はこちらを選びます。

実がぎっしりと詰まったザクロは、豊穣のシンボルとして、ウズベキスタンのタイルによく描かれます。ウズの家々の中庭にも、たわわに実っています。

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タイルに戻ってきたところで、ただいま開催中の「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」の展示作品などについて、少しご紹介。

西アジア、中央アジアの陶芸産地、その「青」を軸に、各地の青のニュアンスの違いや個性、作家が青に込める思いなどを特集した展示です。
イラン、トルコ、ウズベキスタン、古代や中世の陶器の展示は時々見ることがありますが、現代のやきものの紹介は少ないように思います。さらに青の比較というのはおもしろいのでは!?^^

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(トルコ・イズニックに工房を持つ作家、アディル・ジャン・ギュヴェンさんの作品。伸びやかな鳥。余白の多いブルー&ホワイト。鳥の表情が愛らしいですね)

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(ギュヴェンさんの工房にて。女性の作家さんが絵付け中)

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(トルコ・キュタフヤのメフメット・コチェルさんの絵付け。細密でありながら勢いがあり素晴しい。鳥の眼、まるで生きているよう。何かを話しかけてくるようです。今も1日に10〜15時間も作業をするというコチェルさん、つい「そんなに仕事をして疲れませんか」と聞いてしまいましたが、「描かないと死んでしまう」と。「夜中に描いていると、花たちが”私をもっと綺麗に描いて”と語りかけてくる」そうです☆)

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(ウズベキスタン・リシタンの陶芸家、アリシェル・ナジロフさんの鳥。大胆な構図、筆致が力強い。鳥と植物が一体化しているようです。強い青と相まって印象的な作品。 *展示のためテグスがかかっています)

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(ウズベキスタン・リシタンにあるウスマノフ工房の作品。双鳥もありますが、魚二匹の構図も時々見ます。伝統的なのでしょうか。ウズベキスタンでは魚を見る機会は少ないと思いますが、魚のモチーフがとても多いです)

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(アリシェル工房での絵付けの様子。葉の形の良さとイキイキ感が見せどころ。若い職人さんたちは、朝から夕まで熱心に仕事をしています)

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(これは今回の展示品ではありません。日本の青の例。東博にて撮影/以下解説より引用。「染付草花文輪花大皿/伊万里/江戸時代、17世紀/中国の芙蓉手写しの大皿を作っていた伊万里は、1660年代以降、和様の表現を持つ精作を作り出す。この大皿では、周縁部を和様の表現とし、見込みも余白を生かした絵画性の高い意匠とする。染付の筆致も繊細で、伊万里染付の新しい方向をよく示している」)

中国染付への憧れ、模倣から始まった各地のブルー&ホワイトの表現。気候風土や歴史的な背景が、どのように影響しているのでしょう。青の道は、まだまだこれから、のオリエント・ライブラリーです。


*** 11月23日は、会場である「世界のタイル博物館」におります。お天気も良さそうでよかったです♪♪♪
<追記> 13時30分より、トーク「シルクロードの暮らしとやきもの」をおこないます。こちらにもどうぞ☆ 現地の写真を200枚以上ご紹介しますよ〜^^。


(facebook&twitterカウンター、今回はちゃんと働いてくれるでしょうか??、、→ どうもダメみたいですね、、どうなってるんだろう!? +;+)
by orientlibrary | 2011-11-21 14:39 | 青の道

「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」、コバルトロードの旅へ

日本のタイル好きなら、必ず見ているであろう「イスラームのタイル」(INAXブックレット)。

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この青に惹かれました。もちろん、こちらの青も。

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(イラン・タブリーズの博物館にて)

旅先で見る青のモスク、マドラサ、聖者廟は、青のタイルに包まれて、この上もないほどに青く輝き、紺碧の空と呼応していました。

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(ウズベキスタン・サマルカンド)

大好きなモザイクタイル。土を用いてここまで美しくできるのかと感嘆する緻密で精巧な手仕事。異なる表情の青が醸し出す陶酔。天空に至るかのような、至高の美を感じます。

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(イラン・タブリーズ/ブルーモスク=マスジドキャブード/最高に好きなモザイクタイルです)

ウズベキスタンでは、タイルだけでなく、陶芸とも出会いました。

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シルクロードを旅行しながら、各地での青のニュアンスの違いを感じるようになりました。青は時代によっても違うような気がしてきました。

5年くらい前でしょうか。ウズベキスタンの陶芸産地リシタンの工房で、陶芸家のアリシェルさんと雑談をしていたとき、アリシェルさんが言いました。
「各地で青は違う。コバルトロードってあるんじゃないかな。較べてみるとおもしろいね。そういう展覧会があったらいいと思う」。

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「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」、愛知県常滑市のINAXライブミュージアム内「世界のタイル博物館」で11月3日より開催中です(2012年3月20日まで)。

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(「青 空と水とやきものの始まり」)

大きなテーマは「青」。「青 空と水とやきものの始まり」というテーマの中で、現代作家の青の表現をギャラリーにて展示しています。

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(「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」/チラシ、両方キレイですよね!大好評です)

イラン、トルコ、ウズベキスタンから、各国2工房(作家)が参加。ギャラリーですから、展示点数は50点ほど。ささやかともいえるでしょう。けれども、見比べてみると、興味深いです。各地の青の表情。違いもあり、共通点もあり。

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イスラームの青。西アジア、中央アジア、イスラム文化圏といわれる地域には、青で飾られた建造物が多く、青い陶器も多い。かといって、工芸が青一色なのではなく、民族衣装は赤など華やかな色が好まれますし、毛織物も赤が主体です。

やきものに青が多いのです。
材料や製法上の問題、魔除けなどの信仰、宗教(イスラム)、水や空への憧れ、トルコ石やラピスラズリへの願望、気候風土がもたらす美的感性、、いろいろ考えられそうです。書籍や資料からも、そのように学びましたし、どれも納得、得心できるものだと思います。

今回は、出展作家に聞いています。どうして青なのか、と。正解はわかりません。
ただ、青の作り手、青に(ある種、病のように)魅せられた人たちが語る、青の理由。その言葉は生のものです。少なくとも、その作家にとっては、真実なのです。

「イランの青、至高の“フィルゼ”は自然のトルコ石の色。自然にある色こそ最良である」 (ムハンマド・マフディ・アヌシュファル/イラン・テヘラン)

「イランでは青(フィルゼ)は水を意味する。水は命の根源。自然にも人間にも」 (サイード・アクバリー・ソヒ/イラン・イスファハーン)

「“作家が熟練すればするほど色数が減ってゆく”という言葉は、まさにブルー&ホワイトを表す」 (メフメット・コチェル/トルコ・キュタフヤ)

「青は深遠でありながら自由そのもの。困難の末に得られる高貴の色」(アディル・ジャン・ギュヴェン/トルコ・イズニック)

「砂漠に水があると嬉しくなると同時に安心して心が落ち着く。陶器の青もそれと同じことだ」 (ルスタム・ウスマノフ/ウズベキスタン・リシタン)

「青は、活力・生命力・愛情・感謝などすべての心の動きを活性化する。幸福と勝利をもたらす聖色である」 (アリシェル・ナジロフ/ウズベキスタン・リシタン)

真摯に質問に答えてくださった作家さんたちの言葉は、青の魅惑を解く鍵として珠玉ではないかと思います。たくさん話してくださった方もあります。全部をご紹介できないのが残念です。(このブログで折々にご紹介していきたいと思います。また、何かの機会に発信できればと思います)

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(展覧会のこのようなかたちでのご紹介)、書こうかどうしようか、迷いました。(ホントはまったくの「黒子」がいちばん。内気なんですよ〜^^)。でも、やはりブログで書くべきだと決めました。

ブログを通して知り合ったイスタンブールのchinichiniさん、ブログによく登場するサブさんに、トルコ、イランの作家さんコーディネートでお世話になりました。chinichiniさん、9月のトルコ、本当にありがとうございました。
ウズベキスタン関係の皆様、手仕事の仲間たちにも、強力なサポートをいただきました。

私のタイル愛好への道を開いた一冊「イスラームのタイル」のINAX社の博物館、「イスラームのタイル」の著者でありタイルを求めて世界を歩いた山本正之氏のコレクションをもとに作られた「世界のタイル博物館」での展示。なんだかタイルの道をぐるっと廻ってきたようにも思えます。
この間、とくにこの数ヶ月、振り返る暇もなかったけれど、これって本当に有り難く、素敵なことなんだな、、ちょっとだけ落ち着いた今、ようやく少しリアルになりました。

これから、作家さんのこと、作品のこと、青の陶器の産地のことなど、写真をまじえながら、少しずつ書いていきますね。会期は長いので、ぼちぼちと、かもしれません。でも、けっこうせっかちなので、青に関する次のテーマに走っていくかも??

コバルトロードは、まだ第一歩を歩み始めたところ。謎と魅力に満ちた青の道、探検は続きます。みなさんも、ご興味があればご一緒に!

***
11月23日は、会場におります。愛知近郊の方、タイルオタクのお話などできれば楽しいですね〜!^^ 
(これから毎年)11月23日は「タイルオタクの日」! 古今東西のやきもの職人さんに感謝する日!^^
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(ウズベキスタン・ウスマノフ工房の出展作品より。直径32センチの皿のセンター部分、細かい絵付けです。濃淡もあり素晴しい。鮮烈な青のなかに清潔さ、律儀さがあるように感じます。今年の夏、この展覧会のために制作されたものです。40度を超える毎日、もちろん工房に冷房などありません。しかも時間がなく、非常に短期間でお願いしてしまったのです。他の注文仕事もあります。こうした中での18枚の絵付け皿の制作。それを思うと、この細密さが、とてもとても愛おしくなります。日本への梱包の、ここまでか、というほどの完璧さにも、職人さんの矜持を強く感じました。梱包、それは技能であり、誇りであり、矜持です。愛情であり、責任です。梱包まで含めて作品ではないか、私はそう思います)
by orientlibrary | 2011-11-13 21:24 | 青の道

常滑陶散歩 やきもの散歩道から青の陶器展へ

秋の陶散歩、常滑編です。
常滑は日本六古窯のひとつ。そのなかでも最も古く、最大の規模だったそうです。よい土が豊富だったんですね。有名なのは朱泥の急須。明治時代からは、産業資材としての陶製の土管やタイルの生産が盛んになりました。
そんな歴史を感じさせるのが、町の各所に見られる再利用の、または飾られた、あるいは置かれたままの、土管や陶器。
たくさんの飴色のやきものは、そこで長く暮らしてでもいるように光景に溶け込んでおり、町の景色を温かく、そしてゆたかにしているように感じました。

駅から陶磁器会館までは数分。そこを起点とした「やきもの散歩道」は約1時間のコース。陶芸工房やお店、煙突や登り釜、明治期の土管と昭和初期の焼酎瓶が左右の壁面をびっしりおおう「土管坂」などを、のんびりと楽しめます。

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(この陶板使い、トルコのキュタフヤやイズニックを思い出します。陶の町の光景、共通するところがありますね)

おもしろかったのは、レトロなモノを集めた雑貨店的なお店。何店かあり、何がでてくるかわからないおもちゃ箱のようで、見応えありました。何気なく素朴な感じで存在しつつ、東京下北沢のレトロショップなどより、凄みがあるというか、とことんイッてる感がありました。

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食事でも満足感。和風のお食事どころも美味しく器使いがさすがでしたが、ビストロやショットバーのフードが、想像以上の大ヒット。びっくり。(写真は「常滑屋」さんのランチ。ちらし寿司とデザート。上品で繊細。素材のおいしさを味わいました)

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そして、こちらでは、こんな展覧会が。

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(「青の魅惑―イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの The Allure of Blue -The Ceramics of Iran, Turkey and Uzbekistan」/2011年11月3日(木・祝)~2012年3月20日(火・祝))

日本のやきもの、世界のやきもの、たのしいな。好きだな。青のやきもの、きれいだな。再確認する、このごろです。
by orientlibrary | 2011-11-02 21:58 | 青の道