イスラムアート紀行

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100年単位で熟成していくアフガンの楽器「ラバーブ」を聴く (@rabab gig)

音楽との出会いから、新しい扉が開くことがあります。
イスラムタイルに熱中する伏線としては(何度か書いていますが)、<カッワーリー>(スーフィズムの宗教儀礼で歌われる陶酔の音楽)とその代表的歌い手である<ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン>のコンサートがあります。

また、「世界の手仕事プロジェクト」のきっかけは、アフガニスタンの民族楽器ラバーブ奏者<アミール・ジャン>のコンサートと、<メヘル・アーリー&シェール・アーリーのカッワーリー>コンサートが伏線にありました。

元々はハードロック、その後はいわゆるワールドミュージック、なかでも北インド音楽の系譜が好きなのですが、ライフワークや関心ジャンルにおいては、アフガニスタン、パキスタンなどの音楽に影響を受けているようです。

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(アフガニスタンの民族衣装、刺繍布が飾られたラバーブ演奏会会場。華やかで奥深い。このような演出があるとないとでは印象がずいぶん違います。感謝)

今もなお強い印象が残るアミール・ジャン。その名が記されたラバーブを持つ演奏家の演奏とお話の会がありました。「前世はアフガン人」と語る鈴木ひろしさん、アフガンの衣装でにこやかにたたずむその姿は、本当にアフガンのハザラ族(モンゴル系)のよう?!

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手に持つラバーブにはアミール・ジャンのサインと、元の持ち主であるショカットさん(ジャンと一緒に来日したラバーブ奏者)のサインが。とても美しいラバーブ、アミール・ジャンやショカットの来日時に入手したそうです。
高円寺のライブ、私も行きましたが、まさかその後、演奏使用のラバーブが日本人の手に渡っていたなんて!好きのエネルギーは通じるものですね。ホントに好きなことは、ホントに好きな人には伝わる、そう思います。

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(アミール・ジャンのサイン。わお!)

ラバーブは、「アフガニスタンを代表するリュート属の撥弦(はつげん)楽器。3本の旋律弦、3~5本のドローン(持続音)を演奏する弦、および15本ほどの共鳴弦が、クワ製の胴に張られている。声楽の伴奏をする器楽合奏で用いられるだけでなく、独奏楽器としても演奏される。北インドの古典音楽で演奏されるサロッドは、このラバーブが原型」(国立民俗学博物館サイトより)。

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(胴部分の象嵌装飾。工芸品のようです。装飾がある楽器にはみとれます。視覚も大事ですよね〜)

鈴木さんの演奏、とても良かったです!哀愁と激しさのある撥弦楽器の音色、独特の音階とリズムに引込まれます。卓越した技術はもちろんのこと、全体に温かい印象。人柄なのかな。
「男性の深い勘違い(女性への片思いなど)の歌を男たちが涙を流しながら聴いている。それがアフガン音楽の真骨頂」なのだそうです。

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(胴裏部分の装飾)

加えてナイスなのは、ほのぼのとした笑いを誘いつつ高速で進行する語り。「ラバーブ漫談」という言葉が頭に浮かんだほどです。
穏やかに炸裂する語りの合間も、じつは楽器をケアし、様子を見ています。「湿気に弱い。音が全然違ってきます。会場の温度や湿度の変化に合わせて微妙に調弦します」。ラバーブ、デリケートな楽器なのです。

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(かわいい花のようなナット?で調弦)

「ラバーブは一本の桑の木をくり抜いて作ります。中は空洞。職人が手彫りのみですべてを5ミリの厚さに揃えます。彫るだけで半年かかるんですよ」。
しかも、その前の準備期間が長い!「良さそうな木を見つけてきて、8年間雨ざらしにする。倉庫で1年半乾燥。半年かけて削る」。
さらに、「白木のものが飴色になるまでに30年、黒くなるのにその後50年。代々家に伝わり使い続けるスパンの長い楽器です。元々中世の楽器で今も形が変わっていない。古楽器だが現役。アフガニスタンにあったために生き残ったのかもしれません」

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(ネックにかけられた鈴が哀愁のリズムを刻む)

基本的に時間の感覚が違う。また譜面とか規格とかはなくて、なんとなくいい加減のようでありながら、全体は絶妙にうまく合う。「熟成」という言葉が浮かびました。
若さ、新しさ、スピード、変化、このような日々とは対極にあるような趣きや態度。昨今の価値観や感覚とはかなり異なる世界ですが、だからこそ、ときには浸りたくなるのだと思いました。

企画してくださったアフガン研究会の皆様、貴重な経験をどうもありがとうございました。

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(民族衣装胸当て刺繍部分)
by orientlibrary | 2011-01-30 21:13 | 美術/音楽/映画

甲冑に見る装飾的工芸美&イスラム・ウオーリア (japanese armor & islam warrior)

今回の話題は、変わり種。「甲冑(かっちゅう)」です。イスラムアート紀行でなぜ甲冑??
自分でもこういうテーマでブログを書くとは思ってもいませんでした。歴史小説も読まず、時代劇などもほとんど見たことがなく、全般に戦闘シーンは苦手。博物館などでも武具関係は足早に通り過ぎます。

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(東京国立博物館にて。絵画の一部)

きっかけは、家々に眠るボタン、でした。手先不器用な私ですが、衣料を処分するときには、エコ心なのか気がとがめ、ボタンを外して保存していました。元々なぜかボタンが好きで、ボタン専門店で衝動買いを繰り返してしていたこともあり、保存袋にはたくさんのボタンが眠っています。
ある時ふっと、手仕事しない自分がこうなのだから、多くの人は同様のことをしているのではないか、と思いました。そして知人友人に聞いてみたところ、やはり多くの人が「ボタンは外し、ビンやカンに入れて持っている」と言うのです。しかし、このようなボタンが再利用される確率は限りなくゼロに近いでしょう。

ペットボトルの蓋で車椅子を送る、という運動がありますよね。廃棄物を免れた、でも次の出番のないボタンたちも、一つ一つは小さくても集まれば何かになるのでは、そこから何か活動が生まれるのでは、と、ふと思い、一時期、いろいろ考えたり調べたりしました。
リサイクルの方向=ボタンの素材は様々であり、分別が難しく、リサイクルに適していないようです。
チャリティの方向=再利用したモノを販売して、その利益を必要とするどこかに寄付。あるいは、ボタンそのものを、必要とするどこかの地域に送る。う〜ん、どうもピンときません。
モノを作る方向=アクセサリー、ヘア関係、バッグ装飾、ボタンのれん、までは思いつきます。あるいは多くの人でボタンオブジェを作り、環境問題をアピール。う〜ん、ピンときません。

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(当世具足を身に着けた侍の手彩色写真。フェリス・ベアト撮影(1860年代)/wikipediaより引用)

そんななか、「ボタンで何を作るのが一番いいだろうね」に対して、即座に「鎧!」と答えた人がいたのです。女性です。「さすがTさん!発想がすごい」「たしかに素材的には生きるね」などと会話がはずみました。

それからしばらくして、「ボタンで鎧、っていう女性がいたんですよ〜」と世間話的に話をしたのがT氏。するとT氏、即座に、「僕たちも以前考えたことがあったんだよ。ぜひ進めてみたらどうか」、、え〜、、そういうつもりでは、、
T氏こそは、甲冑の専門家。オリジナル甲冑作りの教室などもなさっています。「サンプルを送ってあげる」とのことで、早速に宅急便で登場したのが立派な「モバイル甲冑」(本物に近いが軽量仕様)、、、

Tさんに型紙を取ってもらい、いつでも製作できるようにはなっているのですが、、どうしよう、、ボタンどうやって集めよう、どこで作ろう、どんなふうに作ろう、っていうか、、流れとはいえ、「ボタン甲冑作ってどうしよう、、」

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(甲冑/古墳時代、5世紀/主に4世紀の縦長の鉄板を重ね合わせた短甲と5世紀に量産された細長い帯金に複数の三角形や長方形の鉄板を裏重ねした短甲がある。鉄板は小型から大型化する/東京国立博物館にて/重そう!動きにくそう、、)

頭の隅にいつも甲冑があるようになりました。博物館や美術館でも、甲冑の前で足が止まります。仕方なく見ていると、鉄、皮革、漆、組紐、染織など、甲冑を構成する工芸の驚くべき見事さに気づくようになりました。戦闘のための武具でありながら、装飾美を極めている。この世界はなんなんだ!!

今は驚いているばかりで、甲冑について何か書くことはできません。資料を読んでも、基本がわからないので、なかなか入ってこないのです。以下、引用です。

「甲冑は、主として刀剣や弓矢を用いた戦闘の際に兵士が身につける伝統的な防具である。日本においては古代には埴輪や古墳の出土品などに挂甲や短甲など大陸の影響の強い甲冑が見られるが、平安時代における武士の出現とともに大鎧という独自の甲冑がみられるようになる。日本の甲冑はその後の武器の変遷や戦闘形式の変化により常に改良が加えられながらも一定の特徴を有していたが明治維新による武士階級の消滅や軍備の近代化にともない実用に供されることはなくなった。 現代では古美術品、工芸品的、歴史資料的性格をもっている。日本の甲冑は、世界の防具と比較しても彩りが豊かで美しいが、中世、近世において武士が常に権力の中枢にあったことや、特に戦乱の無い江戸時代において一部の上級武士が象徴的に珍重したためであって、その時代の鍛鉄・皮革・漆工芸・金工・組紐など様々な分野の技術を駆使して製作されているためである」(wikipedia)

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(紺糸威(おとし)二枚胴具足/17世紀/全体を黒地に紺糸でまとめ兜の前立てには鍍金の輪貫(わぬき)、胸の鐶(かん)の座には七宝の花輪違い文の金物、篭手には金箔押し透漆かけとした白檀塗の金物を用いている。遠州流の茶道の祖として知られる小堀遠江守政一所有として小堀家に伝来した具足/東京国立博物館にて)

「戦国時代の甲冑は、身分相応の格式をもち敵の攻撃を防ぎながら戦闘中の激しい活動にも耐え、炎天下や風雨にさらされる事から、堅固・軽量・活動しやすく・着脱が容易・立派で格式をもつ、などの条件が要求された。その時代の戦闘形式に応じて工夫が重ねられた甲冑・武具とは、金工・皮革・漆工・染職人・甲冑師たちの集大成であり、我が国が世界に誇れる素晴らしい工芸品である。職人たちが心を込めて作り、またこれを着用した武者の勇姿を想い浮かべながらご覧頂きたい」(川越歴史博物館サイトより)  

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(茶糸威四枚胴具足/19世紀、江戸時代/兜は鉄地で正面に繭形を打ち出した蒙古鉢風で、山勢いの立物と言われる菊桐唐草透の頭立(ずだて)を付ける。胴は短冊系の札(さね)をかわ包黒漆塗とし両脇を背面中央に蝶番を入れた珍しい四枚胴で全体を茶糸で威す/東京国立博物館にて)

頭が甲冑化しているところに、「週刊 戦国甲冑をつくる」の大々的な広告も飛び込んできました。これは、毎号付属のパーツを組み立てて戦国武将の伊達政宗の甲冑(1/2スケール)が完成する、というもの。「同甲冑は、黒一色の五枚胴と黄金の弦月を戴く兜が特徴的な具足で、その美しさと堅牢さを兼ね備えたスタイルは、戦国甲冑の中でも高い人気を誇っている。
同シリーズで完成する甲冑は、金属、皮革、麻布、正絹の布や組紐、馬毛など、素材も当時に限りなく近いものを使用し、本物の甲冑の工法を随所に用いながら組み上げていく、今までにない本格的な甲冑模型」なのだそうです。は〜、、

心まで甲冑化してきたところに、「赤鎧を着て大阪城天守閣周辺で清掃活動等を行っている」団体の記事が飛び込んできました。「大阪城甲冑隊」は紙製の自作鎧兜を制作した人達によるNPO。「赤い鎧を中心に制作して着用」し清掃活動を展開。鎧で心もキリリと引き締まるのかもしれません。

しかし、、我らがT氏の「モバイル甲冑」も、女性が着るとマニッシュなチェニック的で、ものすっごくお洒落なのですよ〜。サイズも自由で誰でも着られます。これ流行るかも!!

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(モバイル甲冑を着用)

日本の甲冑の装飾美にはクラクラしますが、イスラム世界の戦士はどのようなスタイルなのでしょう。これまであまり見なかったページを、恐る恐る開いてみました。

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(エジプト・ファーティマ朝の戦士/11世紀/槍や刀を持っている/『ISLAM』より引用)

こういうときこそ細密画が威力を発揮。武将ティムールが描かれていました。意外と軽装な印象です。実際はどうだったのでしょうか。

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(ティムールによる包囲、アナトリア・SMYRNA、1402年/つり上げ橋が上げられているがムスリム戦士たちは別の橋を作っている。他の戦士は木製の盾の向こうの壁に向かい走って行く。右上には鉱物が採取されている様子が描かれている。ティムールは右下で馬に乗った姿が描かれている/『ISLAM』より引用)

上の細密画と同時代です。かなりしっかりした装備です。

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(イスラム戦士/1425年/左に刀、右に弓、背に矢筒、右手に槍を持つ/『ISLAM』より引用)

けれども、甲冑に関しては、日本の装飾美、工芸美が圧倒的にすごいような気がしてきました。武士の衣装もまた、とんでもなくお洒落度で突き抜けていますよね。
平和に感謝しつつ、ちょっとこのあたり、気をつけて見ていきたいなと思うこの頃です。
by orientlibrary | 2011-01-24 22:02 | 日本のいいもの・光景

壁画とタイルで巡る 西域への心の旅 (silk road paintings)

◆ 大唐西域壁画 ◆

リニューアルが話題になっている東京国立博物館。特別展「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」も始まりました。外に出るのが初めてという奈良・薬師寺玄奘三蔵院奉納の大作「大唐西域壁画」が全点展示されています。

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(「明けゆく長安大雁塔・中国」「大唐西域壁画」/平山郁夫筆/2000年/玄奘三蔵院壁画 奈良・薬師寺蔵/博物館サイトより引用)

この壁画は、以前薬師寺にて拝見、その迫力に感動しました。その時のことを、以前(他に)書いたことがあります。
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 薄明かりの壁画殿。目が慣れてようやく、そこに展開されている壁画の雄大さに息をのみました。平山郁夫画伯が三十年の歳月をかけて完成したという「大唐西域壁画」。玄奘三蔵の求法の精神を描き、絵身舎利としてお祀りされています。
 長安から始まり、果てしない熱砂、急峻なヒマラヤ山脈、氷河をも超え行く過酷な旅を歩き抜き、インド・ナーランダ僧院に至った玄奘の旅にまつわる地が、七場面に分けて描かれています。
 東には戻らないという不屈の「不東」の志に、胸がいっぱいです。見る者にそのような気持ちを抱かせる平山画伯の絵の迫力も、ただならぬものがありました。
 見上げれば、天井もまた西域の空。なんと群青色の貴石であるラピスラズリを贅沢に使った一面の空です。それは旅人が見上げる紺碧の空でもあり、一日の疲れを癒す深く遠い夜空でもあるようです。
 空をよく見ると、入り口近くには日光が、出口近くには月光が描かれ、壁画群の中心にあるヒマラヤの絵上部には、散華の様が描かれています。空間全体が、仏教の宇宙観、思想、それを命をかけて学び伝えようとした人々の思いを表しているように感じました。
  春の星ラピスラズリの宙重し 
  大壁画抱く伽藍に霾れる 
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( 「ナーランダの月・インド」「大唐西域壁画」/平山郁夫筆/2000年/玄奘三蔵院壁画 奈良・薬師寺蔵/博物館サイトより引用)

シルクロード周辺が好きな人間にとって、やはり平山さんは特別です。自らの被爆体験を原点とし、創作と文化財の保護に生涯を捧げられました。「絵を描き続けた平山」として夫人の言葉が紹介されていました。「平山の人生は行(ぎょう)であったのですが、人に喜んでもらえる事が平山には嬉しかったのです」。そして、今は苦しみも痛みもない世界で存分に絵を描いているでしょう、と結ばれていました。

今回の展示を見、あらためて、一人の人間としてなんとたくさんのことを、意味のあることをされたのかと思います。
また再度壁画を拝見して、沙漠や廃墟、過酷な自然などが題材にも関わらず、乾燥や荒涼よりもむしろしっとりとやさしい情感があふれているように感じました。もう一度、今度は薬師寺で見たいと思いました。

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(仏教伝来の道より「舎利容器」/6~7世紀/中国・クチャ・スバシ出土/華麗な筆致と彩色によって奏楽などの場面を見事に表現した、西域美術の傑作/博物館サイトより引用/イキイキと描かれた華麗な衣装の人々、この絵画に魅了されました)

基本的に、東博は常設展が好きです。多数の国宝や重要文化財を含む11万点もの所蔵品の中からのテーマ展示は、小規模な美術館の企画展くらいの見応えがあります。それが館内でいくつも展開されているのですから、本当に贅沢な時空間だと思います。しかも、企画展のような混雑はなく、静かにゆっくり見られるのがいい。写真撮影ができる(一部を除く)のも大変に有り難いです。

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(三彩兎文皿 磁州窯/金〜元時代、13世紀/文様を線彫りで手早くあらわし、緑、黄、白の釉薬を塗り分けて彩っている。13世紀後半の三彩の稀少な基準作となっている/東博にて撮影)

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(染付吹墨亭兎図皿/伊万里/17世紀/東博にて撮影)

今回の平山展では、珍しくスーベニアを買いました。普段は図録以外は買わないのですが、モチーフが好みなので、ついつい。とくにウズベクの絣のメモ帳は面白い。使いにくいけど、これははずせない買物でした。

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◆ タイル友 ◆

昨年夏からスタートしたペルシアタイル絵付け、今年はまだクラスを受けていないのですが、その前に教室の新年会。ふだん会わない曜日の生徒さんとも顔合わせして楽しかったです。

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(持ち寄りで多彩な手作り料理が揃い、とても写真に撮れないほどでした。これはさぶ先生作のイラン風カレー。さぶ先生の母上作のソフレ(食卓布)と。羊や山羊の毛をつむいでの手織りソフレ。色合いといい模様といい最高です!)

とくにお会いしたいと思っていたタイルクラスの方に会えて良かった。建築の仕事をなさっているOさんは、スペイン居住時にタイルと出会いスペインでタイル絵付けを勉強された方。私の雑なタイルとは全く違う次元で、細密で美しい。現在、大作を作成中です。

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(さぶ先生の新釉薬。きれいだ〜!私も使いたい!)

さぶ先生とも「日本で装飾タイルをもっと広めたい」と、いつも話をしているのですが、Oさんもお仕事の中で工夫して提案されているようです。

こんな同好の仲間が増えていく、、うれしいです。、、と思っているところに第3の生徒登場。年末デビューで、映像関係の仕事をなさっている男性ですが、この方も最初とは思えないくらい上手。

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(絵付けタイル/トルコ文化センター)

3人で「どうしてタイルなんですか?」等々、タイル話に熱中。日本でタイルの話ができるなんて、感激です、、(泣)。

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(絵付けタイル/トルコ文化センター)

平山郁夫さんの修行のような日々、偉業には遠く及ばずとも、小さなことでもしっかりとやっていかねばと思いました。
by orientlibrary | 2011-01-19 00:14 | 日本のタイル、やきもの

ウズガールズと行く、お正月トーキョーツアー (tokyo outing with uz girls)

連休中の某日、ウズ留学生や旅好き仲間と「お正月プチツアー」をおこないました。その模様をご紹介します☆

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(留学生の出身地サマルカンド/シャーヒズインダ墓廟)

原宿駅集合後、スタートは明治神宮。動けないくらいの原宿駅周辺の雑踏を思えば、ゆったりと歩けることが不思議なくらい。人が多くても、やはり清々しい。樹々の威力ですねえ。そして木漏れ日が、それを中和するように何かのんびりした気分をもたらしてくれます。

今回はウズ女子トリオだったので、賑やかでした。
最初の質問は、「鳥居にはどうして赤いものと赤くないものがあるんですか?」。
さっそくN君、モバイルからwiki。でも「書いてない」とのこと。今PCで見てもよくわからずです。

手と口をゆすぐのはイスラム教と同じ。境内では結婚式も見られてラッキー。ウズ女子たち、「おめでとうございます」と声をかけていました。
お賽銭を用意して、「どうして五円玉には穴が開いているんですか?」。(考えたことありませんでした)。いろいろと説明するN君。

一番難しいのは、神社や寺の説明の中での明治神宮の位置づけ。「江戸時代が終わって」と言いかけたら「1868年」。わお!
彼女たちは日本語の勉強を2年前に始めました。わずか2年なのに自然な会話ができることには、いつも驚くばかり。語学だけでもすごいと思っているのに、歴史や文化もしっかり勉強してきています。さらにロシア語、英語、タジク語はできて普通。トルコ語やペルシア語あたりまで大丈夫な人も。みんな二十歳前後ですよ。本当に優秀だと思います。

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二拝二拍一拝、絵馬、おみくじ、破魔矢、神社建築などの説明。N君、Yさん、ありがとう。
皇族の和歌を見つけたので、今度は私がちょっともったいをつけて声に出して読んでみます。「どんな意味ですか?」→「・・え〜と、新年になって〜の光と影が水に映っている」→「それだけですか?」→「・・・」。
こういう会話って海外の人との間でけっこうあるんですよね。日本の余韻、余白の感覚は独特のもののような気がします。

玉砂利をザクザク踏みしめながらの散策後、竹下通り、表参道。ペットショップの品揃えに驚くウズ女子。わかります。ウズの犬は、とことん犬らしい犬。番犬の役割を十二分に果たす用心棒です。かわいい服着て犬用ケーキなんてあり得ません。

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(竹下通りで「こういうのウズにもある!」)
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(ウズのチャバン)

次は、代々木の東京ジャーミーへ。彼女たちの様子が少し変わります。正座して静かにミヒラーブを見ています。

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ここでSさん合流。静かなモスクで時をすごした後、1階のトルコ文化センターへ。彼女たちは日本語訳のコーランを買いました。「静かできれいなモスクですね。来れて良かった」と、とても喜んでくれました。

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次はシルクロード代表、新宿の「タリムウイグルレストラン」へ。ここで新たにウズ女性と日本女性合流&ワールド音楽好きのナイスな皆様と合流。賑やかです!
ウイグルとウズベクはまったく会話に問題なし。ポロ、ラグメン、シャシリク、サラダなどをいただきました。

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(シャシリク)
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(タリムラグマン)
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(ポロ/ウズベクではプロフ)

その間もウズ女子たちは流れる音楽に興味津々。ついにDJエリアにも進出。音楽を聴くのと踊るのと同意語のように、体が動いています。今回は種々の事情でダンス時間が少なかったのは残念。次回ね!

留学生のみんな、かわいいんだよなあ。「明るい」「礼儀正しい」と初対面の人たちにも好印象で良かった。ウズ(近辺)料理と日本語の会話の機会、また企画するね〜☆

この後、大人チームは吉祥寺で、マリの楽器「コラ」のライブ。繊細で植物的な音の響きにリラックス。

さらに、アラビアンカフェ(シリアテイスト)でシーシャ(水タバコ)とハーブティータイム。アロマ効果のまったりした空気、くつろいだおしゃべり。お酒抜きの安らかな語らいっていいなあと開眼したのでした。

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(マッテというハーブティー。細い銀のストローで。草そのものなんだけどハマる味)

明治神宮からシリアまで、盛りだくさんの一日でした。皆さん、どうもありがとう!
by orientlibrary | 2011-01-10 22:02 | 日本のいいもの・光景

ハーブ&ドロシー、ものを選ぶちから (movie:[herb&dorothy])

新しい年となりました。今年もどうぞよろしくおつきあいくださいませ。

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あるドキュメンタリー映画のお話から始めたいと思います。タイトルは、「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」。

数年前の「美しい世界の手仕事プロジェクト」以来、日本にも数多くの「コレクター」がいらっしゃることを知り、その情熱に触れる機会が増えてきました。そして市井のコレクターが長い年月をかけて蒐集されたコレクションの行方にも関心を持つようになりました。

コレクターの方々の子供世代孫世代にとって、思い入れの詰まった膨大なコレクションを引き継いでいくのは大変なことだと思います。博物館や美術館で保管されるのが最も良いのですが、館でも収蔵場所や予算に限界があり、運良く所蔵されても展示機会もそう多くはないでしょう。
遠い国々から日本にやってきた素晴らしい手仕事の数々を見せていただくにつけ、何かいい方法はないかなあと思いを巡らせるのですが、、。

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(公式サイトより)

「ハーブ&ドロシー」のヴォーゲルご夫妻〜ハーブさん(1922年生まれ)、ドロシーさん(1935年生まれ)〜は、ニューヨークに住む稀代の現代アートコレクターです。
現代アートというだけで少し引いてしまう私には、そのコレクターならば「お金持ちで、ちょっとスノッブ」というような先入観がありました。

ところが、このご夫妻は結婚以来住み続けている1LDKのアパート暮らし。ハーブは郵便局員を勤め上げ、ドロシーも図書館司書を定年退職。現在は年金で暮らしています。このお二人の行動がスゴいのです。

「二人は1962年に結婚。アートに関心の高かったハーブは独学で美術を学び、アートには興味がなかったドロシーも実務面でハーブをサポートしながら二人で共にミニマル、コンセプチュアリズムを中心とした現代アートの作品をコレクションしてきた。毎日、いくつもの展覧会に出かけては、アーティストと友人のように交流しながら、新しい作家を精力的に発掘。ドロシーの収入を生活費にあて、ハーブのお給料を全て使って作品を購入する生活を40年にわたって続けた」
「やがてマンハッタンの1LDKのアパートが“楊枝1本の隙もない”ほどとなり、最終的に4000点ものコレクションを築き上げる。1992年、コレクションの全てをアメリカ国立美術館ナショナルギャラリーに寄贈することを決意。1000点余りは同美術館の永久保存に、そして残りの作品群は、アメリカ史上でも最大規模のアート寄贈プロジェクト『ハーバート&ドロシー・ヴォーゲル・コレクション 50×50』として全米50州の美術館に50点ずつ、合計2500点寄贈された。その類まれなるコレクターとしての資質とアートに対する真摯な生き方は全世界で多くのメディアに紹介され、話題を呼んだ」(公式サイト)

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(公式サイトより)

とにかく仲の良い二人。コレクションが生活空間のほとんどを占める(本当に“楊枝1本の隙もない”ほどの空間!)アパートの小さなテーブルに向かい合って慎ましく暮らし、互いを尊敬し、慈しみ、高齢となった今は文字通り手を取り合い支え合い、なお精力的にギャラリーに足を運び、鋭い眼差しで作品を見つめ、作家と温かい交流を続けています。このお二人の様子、会話、笑顔が本当にいいのです。

「二人は狭いアパートに集めた4千数百点ものアートを売ったことがない。アートバブルも暴落も無縁だった。多くの美術館から譲渡の申し込みがあったコレクションを寄贈されたナショナルギャラリーは、“緊急時に二人が作品を売らなくてもいいように”謝礼を支払ったが、夫妻はギャラリーに還元すべくその金でも作品を買ったという」(朝日新聞)

コレクションを選ぶ基準はふたつ。「自分たちのお給料で買える値段であること」、「1LDKのアパートに収まるサイズであること」。地下鉄で持って帰れないものは買わない二人。
作家の内面や作品の変化に迫った膨大なコレクションは、ニューヨークの現代アートの歴史をつなぐ貴重な資料となっているそうです。

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(公式サイトより)

もうひとつの驚きは、この映画の監督が日本女性だということです。
「この現代のおとぎ話に衝撃を受けた佐々木芽生監督はふたりの姿を追ううちに、これは現代アートについての映画ではなく、豊かな人生を考える映画になると確信。ニューヨークでは口コミで感動が感動を呼び、17週のロングランを記録、その後、世界の映画祭で賞賛され大きな注目を集めた」(公式サイト)

「彼らのもとには、それまでに何人もの著名な監督が訪ねていた。「二人はいちども撮影依頼を断ってないそうです。でも『お金ができたらまた来る』と言って、戻ってきた人がいなかった。私はまったくの素人だから、お金を作ってから撮るという発想がなかっただけ」」「制作途中でハーブの健康状態が悪化、助成金や個人の寄付のほか制作費の足りないぶんは自宅を抵当に借り4年かけて完成させた」(朝日新聞)

佐々木監督、素晴らしい!!純粋に好きなことをやり通すハーブとドロシー、そして細やかで大胆な仕事を成し遂げた日本人女性・佐々木さんに大きな大きな拍手を贈りたいです。新年にこの映画と出会えたことに感謝します。

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(ウズベキスタンの刺繍布スザニ。力強い構成と明るさ。今年も元気にいきたいですね!)

自分ではうまく書けないので、長いですが松浦弥太郎
さんのメッセージ(公式サイト)を引用したいと思います。この映画の本質が伝わる骨太のメッセージだと感じました。↓

〜〜〜〜〜〜〜
「ニューヨークで暮らすには、何が必要ですか?」
ある日の朗読会にて、絵本作家のジェイムズ・スティーブンソンに、こう訊いたことがあります。
すると、「ニューヨークでは、お金が絶対に必要と言う人がたくさんいるけれど、決してそうではない。この街で必要なのは、何よりも友だちを作るちから。友だちを作るちからがあれば、世界中どこに暮らしても、きっとしあわせになれるだろう」と答えてくれました。

友だちを作るちから。
『ハーブ&ドロシー』を観て、僕はこの忘れかけていた言葉を思い出しました。そう、暮らしに大切なのは、何よりも友だちを作るちからだと。
友だちを作るちからとは、よいところを見つけるちからです。ここで言う友だちとは、人だけではなく、動物や植物はもちろんのこと、道具やモノ、自然など、身の回りにあるものすべてです。

よいところを見つけたとき、人は誰でも感動をする。感動すれば、人はそれを隠すことはできません。言葉や表情、行動で、その嬉しさが湧いて出る。湧いて出るものは、言葉で表すことのできない魔法のような、まわりをしあわせにするあたたかい何か。
たとえば、人と出会ったとき、相手のよいところを見つけることができれば、よいところは自分の好きでもあるから、そんな魔法があれこれと作用して、きっとすぐに仲良くなれるでしょう。人間でも動物でも植物でも、コップでもやかんでも、シャツでも帽子でも、毎日、それらのよいところを見つけてあげれば、そのすべては自分にとってのよき友だちになるでしょう。

よいところを見つけるちからとは、ものを選ぶちからでもあります。
現代の情報化社会にて、すでに誰かが選んだもののなかから何かを選ぶのではなく、それこそ自分だけの友だちをつくるように、自分の目で、本質を見極めて、ほんとうによいものを選ぶこと。そのためには、どんなものでも食い入るように、しっかりと見ることが必要であり、よいところの最初の発見者でありたい。そうして友だちへの道はできるのです。

ハーブとドロシーの暮らしは、アーティストとその作品という、友だちとの強いきずなで作られています。
毎日のように、よいところを見つけ、選び、彼らはどんどん友だちを増やしていきます。あるときは喧嘩もするでしょうし、失敗もあるでしょう。そうやって、お互いの成長を分かち合っていく。また、友だちだからこそ、よくないところはきちんと言葉にし、よいところは褒める。あるときは欲張りにもなる。そのかわり一度友だちになったら、自分がされて嫌なことや、裏切ることは決してせず、一生、友だちでいつづける。それがほんとうの友だちです。

幼いころ、初めて子どもたちの集団のなかに入っていったとき、胸をどきどきさせながら、その誰かを選んで、お互いの心を少しずつ開きながら、友だちになっていったわくわくした気分を思い出します。僕はあの頃の友だちを作るちからという魔法を今でも忘れられません。
しあわせで豊かな暮らしとは、お金が必要なのではなく、友だちを作るちからが授けてくれるもの。
『ハーブ&ドロシー』は、ニューヨークで暮らす夫婦の、一生をかけた友だち作りの記録です。
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今年も、タイル、青、陶器、中央アジアの人と暮らしなどについて書いていきたいと思います。
よろしければまたお立ち寄りくださいませ!^^

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(タイル教室、さぶ先生が六角形タイル絵付け&カリグラフィーの試作を制作中。私も今年は多角星と十字の絵付けからスタートです☆)
by orientlibrary | 2011-01-04 23:06 | 美術/音楽/映画