イスラムアート紀行

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アフガニスタン 生命の樹

2か月ずつのカレンダーだと、もう1枚、という時期になりました。紙のカレンダーを壁にかけること、いつもはしないのですが、今年は甲斐大策さんの「アリアナの生命樹」というカレンダーをかけていました。
甲斐さんはペシャワール会会報の表紙を描いていらっしゃる方。重厚でありながら底から温かさが立ち上がってくるような甲斐さんの絵が好きです。

9・10月の絵は、カレンダーの中で一番好きでした。そしてじつは今日初めて、絵の下に書かれている文章を読んだのでした。描かれた世界が息づいてくるような、愛おしくなるような「語り」でした。(部分抜粋にて引用させていただきました。)

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(「アリアナの生命樹」“樹々と人 ヌリスタン”部分/甲斐大策画、ペシャワール会事務局編、石風社制作より)

〜〜〜
樹々のヌリスタン
ところでヌリスタン人はどうしたのかな、平和な頃から少しづつ姿を見せなくなった。
アフガニスタン側の、五種類だったかな、怒らせると大変だが普段は、シャリーフ(高貴)な山の駱駝、という雰囲気のヌリスタニだったが、ソ連がきた頃から少しづつ減っていった気がする。
山奥の暮らしのせいか、上等な材木をたっぷり使い、扉は柱の彫刻が私たちより細やかで、木と葉と花で一杯、そうそう、スザン(刺繍)が最も素晴らしかったさ。
雪豹や珍しい蝶と同じだな、生命の樹の細工物も一緒に、静かに静かに少しづつ消えていく。あの人たちも消えてしまったのかなあ。
〜〜〜

最後の1枚は雪景色でした。

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(「アリアナの生命樹」“北の薪市”部分/甲斐大策画、ペシャワール会事務局編、石風社制作より)

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北のたき木屋
薪も炭も高くてなぁ、近頃ペシャワルに出廻っている薪の大半は、古材の切れ端だよ。古い建物取り壊しが盛んになって二十年程かなぁ。
中には百年二百年を経た上等な松材もある。それもパクティア、そうだとも、私の村近くから出た松さ。そりゃあ、見ればすぐわかる。木目でわかるよ。それが、そこいらのユーカリやポプラや楡の枝と一緒にされていると哀しくなるよ。
(カバブ屋のコックが)このところの薪は信用ができない、炭はもっとひどい、と頭を抱えていた。カバブが臭くなってはなぁ。それもセラティーンの天下一カバブがだ。
(昔の薪は)ほとんどが根だった、それも太くて重いのばかり。うんと寒いところでじっくり育った樹の根だよ。もう何十年も前にそうだったのだから、その後樹を植えたり育てたりするような世の中ではなくなっただろう、今頃どうなっているかは想像がつく。
クンドゥズの夏はペシャワル並みに蒸し暑いが、もうそろそろ寒い頃だろう。薪をどうしているやら・・・・
〜〜〜

雪の中の薪、、薪ひとつからもいろいろなことが見えてくるのですね。

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(コヒスタンの衣装とバローチの絨緞/美しい世界の手仕事プロジェクト2010より)

今年は秋にパミールのお話を聞く会があり貴重な写真も見せて頂いたのですが、アフガニスタン、このごろ考えたり何かしたりすることがほとんどなくなっている私です。報道で接するアフガニスタンは、依然混迷しているようです。ペシャワール会のような地道な活動に頭が下がります。

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(「アリアナの生命樹」部分/甲斐大策画、ペシャワール会事務局編、石風社制作より)

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生命の樹
なぁ、これは生命の樹だよな、石榴、無花果、葡萄、林檎、桑の実、みんな一本の樹にぶら下がり、グリ・ライラ(夜の花=チューリップ)、グリ・ダウド(ダヴィデの花=雛罌粟)まで咲いている。
生命の樹、壁だけではない。木に彫り、布に刺し、絨緞に織り、西も東も、アリアナのどこへ行っても、恐らく何千年も昔からあったはずだ。
村そのものが生命の樹、皆その下で生まれ育ち、そして枯れもする。
ペシャワルかい?この都は永遠の生命の樹、善いこと悪いこと全てある。枯れはしない。
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(HERAT FRIDAY MOSUQUE 1200-1498-1964/『COLOUR AND SYMBOLIZM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』よりトリミングして引用)

甲斐さんの絵、じっくり見ていると、ますます絵の中に入りこみます。リアルだけれど幻想的、重いけれど温かい。そして何よりアフガニスタンへの強い愛を感じます。底流に信頼や希望を感じるのです。カレンダーはお終いになるけれど、絵は保存しておこうと思いました。
気が早いですが、どの国の人たちにとっても、良き年になりますように。
by orientlibrary | 2010-10-31 22:39 | ウイグル/アフガン

輝け、リシタンブルー!

番組、見終わってから書いています。

ディヨル君がサマルカンドで青いタイルに近づき思わず手を触れる。感動して見ているうちに、20分という時間はあっという間にすぎました。

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(番組でディヨル君が訪れ「いつかこのようなモスクの修復をするのが夢」と語ったサマルカンド・レギスタン広場。これはその中のひとつ、ウルグベクマドラサのタイル)

なんだか夢のようでもあります。私が好きになったリシタン陶器、あの青、モスクのタイル、あたたかい人々、いつもの工房、それらがテレビから流れてくるなんて。

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(リシタンの青の陶器。工房にて)

20分は短いなあ。窯焚きの前のお祈り、寛容なイスラム、仲間、家族のシーンも見たかった。制作を短い時間におさめるのは大変だったのではと思います。あくまで陶芸を軸にして、伝統と継承、その今が伝わってきました。

途中で番組の写真を撮ることに気づきました。引用させて頂きます。

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(アジアンスマイルより引用。以下4点も同様)

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(工房にて。アリシェルさんと弟子たち)

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(工房)

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(リシタンブルー。番組でも少し紹介されていた天然釉薬イシクールにより輝く青に発色)

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(みずみずしい葡萄。世界の若者たちが自分の行きたい道を進んでいけますように。平和で穏やかな暮らしでありますように)
by orientlibrary | 2010-10-27 00:58 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

「アジアンスマイル」にリシタンの陶芸工房が登場!

このお知らせができる日を楽しみにしていました。本日10月26日に放送です!☆

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(工房光景)

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NHK アジアンスマイル
「輝け! サマルカンドブルー 〜ウズベキスタン リシタン〜」


◆本放送 BS1  10月26日(火) 23:30〜50
◆再放送 総合  10月 31日(日) 05:30〜50 
◆再放送 BS1  11月1日(月)  9:20〜40(休止の可能性も)                          
<内容>
ウズベキスタンは古くから陶器の盛んな国。かつてシルクロードの要衝としても栄えた古都、サマルカンドは、モスクをはじめ街中の建物が美しい青色のタイルでおおわれ600年以上に渡って人々を魅了している。2001年には世界遺産に指定された。
独特の青の色は“サマルカンドブルー”といわれ、世界中に知られている。
サマルカンドブルーは陶芸家の中で代々、師匠から後継者に伝えられる秘伝の色。今、ウズベキスタンでサマルカンドブルーを扱うことの出来る陶芸家は20人に満たない。

ナジロフ・ディヨール(22歳)は、伯父であり国を代表する陶芸家のナジロフ・アリシェルさんに弟子入りして7年がたつ。この夏、ディヨールは師匠から新築中のモスクに貼るサマルカンドブルーのタイル作りを任された。
師匠の厳しい指導に耐え、伝統を引き継ぐために奮闘するディヨールを追った。

◎ 番組の紹介サイトはこちら
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ウズベキスタンの土の文化が好き、リシタン陶器が好き、なかでもその青が好きな私に、このテーマはなんとも魅力的。
そして、これまで「D君」ということでこのブログでもご紹介していたディヨル君がテレビでお目見え、主役です!

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(工房にてタイル制作。後ろがディヨル君)

ディヨル君は15歳で有名な陶芸家である伯父さんの工房に弟子入り。以来、一生懸命に陶芸に取り組んでいます。そして、地元リシタンの暮らし、家族、仲間を、いつも大事にしています。このことに、本当に感動します。

日本語も上手です。この工房やリシタンは日本人と縁の深いところではあるのですが(これを書き出すとすごく長くなるので割愛します)、とくに習ったわけでもないのに、会話くらいは全然問題なし。メールの日本語(アルファベットですが)も丁寧語を駆使。今どきの日本の若者より丁寧です。ライティングって一番難しいのに、、、どうやって勉強したんだろう。
「ウズベク語、ロシア語、タジク語、ふだんからいろんな言葉を使っているから、語学は簡単です」と言っていました、、。はあ、、(頭を垂れる)

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(伝統を大事にしたリシタン陶器。この枯れた植物、じつは青の秘密と関係あり)

この「アジアンスマイル」という番組、ご存知の方もあるかと思いますが、アジア各地で自分らしく生きようとがんばっている若者たちをじっくりと取材するドキュメンタリー。若者たちを通して、その土地の暮らしや文化に触れることができます。
もともと気に入っていた番組で、リシタンが舞台になるなんて、とてもうれしいです。

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(青、茶色と並んで緑も伝統的なリシタンカラー)

番組では、現代における伝統工芸の継承と、そのために重要な「子弟制度」もテーマ。その伝承として「青」が登場しそうです。どうやってリシタンの青(番組紹介ではサマルカンドブルーとなっていますが、、、)を輝かせていくのか。どんな青が登場するかなあ。ドキドキ。

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(かわいい小皿もたくさんあって、、こうしてリシタン陶器がどんどん増えていきます。。)

最後に、リシタン独特の子弟制度について、菊田悠さんの素晴らしい論文から一部引用させていただきたいと思います。(菊田悠/「変化の中の『伝統』解釈と実践 ーポスト・ソヴィエト期ウズベキスタン陶工の事例よりー」/『アジア経済』2005年9月号)

* (リシタンで高級陶器作りの工房を持つAさんは)、伝統的なウスタ(職人)とショーグルト(弟子)の関係の下でこそ、高度な技能や礼儀作法、仕事に愛情を込めるという陶工として望ましい態度が養われると主張していた。
* それは以下の言葉に表現されている。「こんな一文がある。『最も新しく、美しいものは、古いものである』と。何かするときは伝統を残していかなくてはならない。新しいスタイルを考えるときも基礎に伝統がなければ、何も出てはこない」
* 「リシタンの残したい伝統はもうひとつ、ショーグルトを育てる過程、これを残さないといけない。これ(が残らないこと)は、伝統が消える主な理由のひとつだ。ウスタは自分の知っている芸術をショーグルトに伝えること。ショーグルトを伝統の精神のもとでしつけることは、基本的なことと考えられる」
* A氏は「リシタン陶業の伝統」に色や文様、形といったソヴィエト民俗学者やアカデミー会員の解釈と同じ要素のみならず、アンジュマン(ショーグルトが昇進する時の集会)やウスターショーグルト関係をも含めて想定している。そして「伝統的な」ウスターショーグルト関係を再構築することが、リシタン陶器の質の向上と発展に役立つと考えているのである。


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(リシタン陶器を伝承してきた陶芸家たち)

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(ソ連時代)

独立後のウズベキスタン、リシタンに関わり、その人々を愛し、陶芸を見つめてきた方々と、リシタンの人々との長い交流、信頼関係が太い幹となり、今、様々に若々しい葉を広げているように感じます。
そのことを尊敬し、感謝します。

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(これがサマルカンドブルー。空より青く輝きます/グルエミル、サマルカンド、1404)
by orientlibrary | 2010-10-21 22:44 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

ハイタッチしたり、四股を踏んだり☆

◆ 上虚下実 ◆

伝統的なヨガにフィットネスの要素を加え、ハリウッド女優やマドンナが取り入れたことで、アメリカで人気が高まった「ハリウッドヨガ」や「パワーヨガ」。日本でも、教室やテレビや雑誌、すっかり人気が定着しています。

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(リシケシのヨガ道場)

以前、伝統的ヨガや太極拳を少し習い、その後ジムのヨガにハマって4年ほどたちました。ミーハー心満載で、インドのリシケシ(ヨガの聖地と言われるところ。ヨガマット持参の日本女性もたくさん)にも行ってきました。

先日のヨガクラスでのことです。先生が「実験してみましょう」。まず座って腰を左右にひねってみます。その感じを記憶した後で足の中指を1〜2分伸ばしたり回します。そのあと同じように腰をひねると、なんと柔軟性が3割くらいアップ!股関節と手の指も同様(親指を開くと、その後全然違う)。「沖ヨガといって日本のヨガの教えです」とのこと。

そして首の実験。柔軟性だけはある私ですが首は固く、首を使うポーズでは途中でキツくなってしまうのですが、やったのは「四股(しこ)」を踏むこと。左右数回踏んだだけで首を後ろに傾けるのが格段にラクになり、びっくり。
首や頭に上ってしまっている力を下に降ろすのだそうです。え〜!そんなにシンプルなことなの〜?
どうしても首や肩に力が入りガチガチになりがちですが、四股で改善するなんて。これなら家でできるじゃないですか。

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(リシケシの夜明け。ガンガーに映る朝陽、今もふっとよみがえります)

「“上虚下実”という言葉があるように、上は虚にして力を抜き下半身がどっしりと安定していた方がいいんです」と先生。エネルギーが入ってくるんですね。
首が固く重い皆さん、ドスドス四股を踏みましょう!足腰を強くするスクワットや、上半身を(まるで液体のように)揺らしたりほぐしたりすることも良さそうです。

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(リシケシのヒンドウー寺院、夕方の祈りの時間)

◆ ハグとハイタッチ ◆

話は少し違うのですが、日本では挨拶の際に「ハグ」(腕で抱え込む)をほとんどしませんよね。気恥ずかしくて、とてもできません。握手することも稀。他人との身体接触が少ないお国柄です(満員電車以外は)。

ところが、そんな私もウズベキスタンに行った途端、がっつりハグモードに入ります。こんにちわもさようならもハグ&ハグ(女性同士)。ハグしないと物足りない感じがします。男性たちもガシガシ、ハグしています。ときには男性同士、頬もくっつけ合ってます。
ハグは親愛の情が感じ取れて、いいなあと思います。身体的って大事。日本もハグ習慣があればいいのに、とそんなときに思います。

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(機嫌良さそうなもの/アンデスの人形?/Yさんコレクション展示会にて)

けれども日本も、どうやら少しずつ変わり始めている気配。スポーツ選手などがする「ハイタッチ」、一般の人も抵抗がなくなっているようです。
アップルストアでは開店前から行列する客を店員がハイタッチで歓迎。一気にイベント会場の雰囲気になり、皆で盛り上がっているとか。
ある介護施設では、「ハイタッチすれば気分が盛り上がるんじゃないか」と始めたところ、「仕事を楽しむ雰囲気が生まれ施設内が活気づいた。円陣を組むなどアレンジする人も出始めた」そうです。

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(元気良さそうなもの/ウズベキスタンのスザニ/美しい世界の手仕事プロジェクト2008展示より)

都内などで街頭ハイタッチ活動をするグループ「ハイタッチ隊」も登場。「お互いテンションが上がり言葉以上に伝わるものがある。年配層にも受け入れられるようになった」。
最近は営業がうまくいったときなどに「行列握手」をしたり、目標達成するとハグで祝い喜びを共有するオフィスもあるようです。スキンシップに対して、以前のような抵抗感はだんだんと薄れているのかも。

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(テンション高そうなもの/日本、火焔土器、縄文中期。本来ただの煮炊きの器である深鉢だが全体を覆い尽くす躍動的な装飾がスゴい/東京国立博物館にて撮影)

数多くの著書がある明治大学の斉藤孝さん、大学の講義(コミュニケーション)でハイタッチと拍手のトレーニングをおこない、「人に対してオープンな構えを作る」「上機嫌を技化する」にあたって「絶大な効果」があったそうです。
パチパチパチ、イエイイエイ、パンパンパン。ほとんど祭り状態。「突き抜けたような祭り感覚、日常とは違う枠組みの中で、自分をどれだけ曝け出せるかが大切」と説きます。やはり、オープンとか循環とか開くとか、そういうことって大事な気がします。

このハイタッチ、ウズ(フェルガナ)では女の子たちがやってました。毎日会う友だち同士でハグもヘン、でも何か親愛感を確認しあいたいのかな。女の子のハイタッチ、元気でかわいい。朝からイキイキしている感じがして、いいです。

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(明るい感じのもの/ウズベキスタン・コーカンド宮殿ファサードのタイル。この色使いは独特。東のカシュガル方面やスラブ等々いろいろ入ってる?)

またウズで驚くのが、見知らぬ人同士でもどんどんおしゃべりしていることです。たとえば乗り合いタクシーの客同士、運転手と客、ずっと前からの知り合いのように親しげに会話。退屈しませんね。楽しいし情報も得られるでしょう。昔からの知恵でしょうか。会話力、高い。別れ際には固い握手で、しっかり挨拶。

いろんな文化や習慣、いいところは取り入れて、前向きで機嫌のいい国日本になっていったらいいなあと思います。
by orientlibrary | 2010-10-18 00:24 | 社会/文化/人

模様も着こなしも、オリエンタルで!

◆ オリエンタルなパターン集 ◆

世の中にはやさしい方がいらっしゃるものです。この夏からタイル絵付けを習い始め、ヨロヨロしながら模様の練習をしている私に、うれしいプレゼントが☆
「Oriental」と名づけられたパターン集。「18世紀を中心とした日本、中国、インドの模様を、今様に使いやすく装飾過多な部分をなおしながら新たに描き起こし集大成したもの」「デザイナーのアイデアを実現するための重要なツールになる」という豪華パターン全集です。

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紺色の布ばりの箱の中にA4で150枚くらい、1枚づつパターンが描かれています。なるほど、これはトレースして実際に使用できますね。
「本が生きるところに」と譲ってくださったMYさん、どうもありがとうございました!!(涙)タイル好きで良かった〜!^^(ちゃっかり)

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(パターン集からタイル絵付けをイメージして合うのでは、と思うものを考えてみました。こちらは中国のパターン)

出版は1997年、インテリアやファッションにアジアの要素が入ってきた頃ですね。ベトナムやタイの雑貨が流行り(バッチャン焼きとか、懐かしいですね)、アジアンリゾートやアジアンエステが女性の憧れに。

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(インド・ラジャスターン、ホテルのインテリア。布使いが本当にうまい。テキスタイルが息づいてるなあと感心しました)

それまでは本当にアジアの情報って少なかった。例えば、インド製品=質が悪いというイメージが流布していました。洗練の極みのようなムガルインドのブロックプリントも、あまり理解してもらえなかった。

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(インドのパターン。イスラム的模様でタイル絵付けに映えそう。少しヨーロッパテイストが入ってきていますね)

時代は変わりました。
ボリウッド映画、ベリーダンス、韓流、ボヘミアンファッション、オシャレになったフェアトレードショップ、バングラデシュのバッグを商品化する(マザーハウス)など日本市場で勝負できる途上国でのモノ作りに日本の若者が関与、世界の果てのモノまで集めて販売する個性的なネットショップ。

レトロ可愛い中欧雑貨、トラトライバル・テキスタイルの専門ミュージアム「岩立フォークテキスタイルミュージアム」(2009年11月開館/東京自由が丘)、和のグラフィックやテキスタイルの専門ミュージアム「アミューズミュージアム」(2009年11月開館/東京浅草)、セレクトショップが「民芸もの」や「地方の手仕事」を扱う、若者の柳宗理人気、刺繍カフェや手作りフリマなど手芸人気、等々。

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(日本のパターン。これ、意外とタイル的な気がします)

書ききれません。日本の消費や文化の中で、欧米の影響力が弱まり、アジアなど幅広い欧米以外が浸透してきています。
加えて、グローバル化の中で自国文化の見直し、再発見気運も高まっています。食から住まで、最近の「和」人気はジャンル問わず。
また、買うばかりではなく、作る人も増えています。ブログだってそのひとつだと思う。皆さん、写真は上手いし、内容も臨場感あふれるもの。雑誌はほとんど読まなくなってしまいました。

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(日本のパターン。御所車がタイルになったらどんな感じ?)

あ、パターン集から、どんどん横道にずれてしまいました。「Oriental」といううれしいテーマ、まずはたっぷりと「真似」をしなくてはと思う今日この頃です。


◆ エルメスのエスノなスカーフ使い ◆

上の話題とも少し重なるんですが、先日「表参道ヒルズ」という私には見るだけの商業施設をブラブラしていたら、なんだかトライバルな雰囲気のビジュアルが目に飛び込んできました。「な、なに、これ?!」と迷い込んで行った先は、、なんとエルメス。

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(エルメス「カレ」パンフレットより引用。以下2点同様)

エルメスのスカーフブランド「carré(カレ)」の期間限定店「“J'aime mon carré(ジェーム・モン・カレ)”」なんだそうです。さすが老舗。老舗って革新的なんですよね。ヒッピー&ストリート感あふれてます。

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コンサバスタイルのOLさんがエルメスを首に巻く姿はかなり過去形で、クロゼットにしまい込んでいる人も多いはず。だって派手なプリント柄とテカテカしたシルクの光沢感は、ロハスだとかエコだとか言われる時代の気分と合わない。
でも「カレ」はデザインをポップにしたり70年代風だったり、うまく引き算してる気がします。何よりも巻き方がいい感じ!かわいい〜。使えますね〜。こうすればいいんだね〜。

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(ウズベキスタンにて、ヘアスカーフ巻き光景)

でもでも、スカーフといえばイスラム圏。オシャレにかぶっている若い女性も多いですよね。
ウズベキスタンだって、女の子たちのヘアスカーフは、すごく多彩!最近のヘアスカーフというものも、中央アジア発なのでは?(以前も書きました。「ウズ風プリントが揺れる、街に、モードに!」

やはり全体的に、エスノ、トライブ、工芸的手仕事、オリジナリティ、装飾、といった方にシフトしているような気がするのでした。
by orientlibrary | 2010-10-12 23:48 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

もっと楽しくミニアチュール!(タイルもあるよ☆)

先日、タイル教室に持って行ったもの、ミニアチュール(細密画)2枚。ミニアチュールにはタイルが描かれていることが多く、それも私が細密画に興味を持つ理由のひとつです。

2枚のうち1枚は、イランのお土産にいただいたもの。「バザールで買った。安かった」と聞いていました。
モスクのような建物にはタイルが描かれており、絵の回りにはペルシア語で何やら文章が。ニシャプール生まれの「さぶ先生」に何が書いてあるのか聞いてみたかったのです。
物語のようで、絵が描かれたのは40〜50年前とのことでした。教室では、紙質のことなどで盛り上がり、楽しみました。

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が、帰って、再度じっくり見るにつけ、なんだか不思議な絵だなあと思い始めました。
これまで見てきたミニアチュールには王様や貴族や美女たちが華麗に描かれていました。

それに対して、この中の人たちは、どうみても庶民ですよね。
画題的には、パッと見たときは、植物に親しむ村人、という感じかと思っていましたが、手の動き、指先が不思議。この画家の癖なのか、妙にどこかを指し示しています。
そして、わからないのが壺のような瓶のような、茶色のもの(左下で男性が見ている、一番左の男性は手に持っている)、これは何??
そして、たくさん人がいるのに、皆バラバラの動きをしていて、しかも山の方には怪しい3人組。天眼鏡で見ると、軽いタッチのアニメ調です。

建物も、左から見た構図、かと思えば、その他は正面から見た構図。煉瓦の柵の隙間から伸びている大きな木。ありえない、、。
細密画というより、民画というか、挿絵(イラスト)というべきものなのかな。でもなんだか、独特の味わいがありますよね。いいですね。

一方、もう1枚は、私がイスラマバードのホテルのアンティークショップで買ったもの。いわゆる、まっとうな絵、です。

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が、さぶ先生曰く、「紙って古くするのは簡単なんだよね」(静かにやわらかく)。ほう、、。
「でも、けっこう高かったんですよ、、」
陶芸のK先生、「10ドルくらいだったんですか」(にこやかに淡々と)。のー、、。
「アンティークショップなんで、、」

たしかに細密度はそれほど高くないかも。
(以前一度アップしましたが)こちらと較べると。

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(なんて流麗、優美。インドが誇る目利きB氏にいただいたもの。額装の上から撮っているのでボケボケですが、、実物はキレイです!)

博物館収蔵品だと、このようなものが。

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(東京国立博物館にて撮影/ジャハンギール立像/インド ビカネール派/紙に水彩、金彩/解説=ジャハンギールはムガル帝国の第4代皇帝(在位1605〜27年)。本図は時代的に下ったもので、表情などは同帝の他の作例と比して安定している)

現在のインドで。観光地のちょっと高級なお土産物屋さんの奥には、細密画のコーナーが。

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(あまり気合いが入っていない印象。画題も好みじゃない)

比較するなら、こちらも。ウワサのプチ美術本『民族衣装』(マール社)。

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(細密な図版を再現した文庫本サイズで、驚異の291円。このシリーズ、『世界装飾図』なども291円。マール社さん、エラい!)

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(元がフランスの豪華本だけに、インドなんだけどどこかヨーロッパの香り?「ジハン・カーン」「ラジャプート族」の表記が新鮮/『民族衣装』(マール社)より引用)

そうこうしているうちに、youtubeで、本当に偶然に、これを発見!!「現代アートに負けるな、イランの「伝統美術」」(せっかくyoutubeの埋め込み方がわかったのに、こちらは埋め込み無効。残念。細密画、ものすごくキレイ!)。

<内容>=「(この人は)数々の賞を受けた細密画作家だが、長い間作品は売れていない。「生活費や家族のことを考えるが、、作品を前にするとすべて忘れるんです」と語る。毎日8時間作業して4か月かかった作品は8000ユーロ。蒐集家は現代アートを好み買い手はほとんどない。細密画はほぼ消滅しかけたが、ヨーロッパなどの新たな買い手がある。20世紀初頭に欧米の東洋学者や蒐集家や学芸員が来て、本を書き図録を作った。彼らが細密画の再発見を助けた。レザ・アバン博物館が所蔵している最古の細密画は10世紀のもの。歴史を学ぼうとするイランの学生らが訪れている。数少ない現役の細密画家は生活のため教室を開く。唯一の市場は海外。イランの文化遺産に興味を持つ外国人だ」

そうなんだ、イランでは現役の細密画家が少ないんですか。
ウズのお土産物屋さん、細密画のアトリエと兼ねたものがけっこう多いけどなあ。たくさんの作品を販売しています。ただやはり、買うかというと考えてしまう。小物は買うけれど、大作となると難しい。でも、ウズの職人さんは、上手いですよ。今も職能が生きてる。ウズだなあ。

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(イランの細密画家に敬意を表して。シャー・アッバースの息子の肖像だそうです/『民族衣装』(マール社)より引用)

タイル絵付け物語は、続行中。
ブログで書きたい大きなテーマも考え中。
でも、現実はなかなか、、
イスラムアート紀行、がんばります。
by orientlibrary | 2010-10-06 23:12 | 美術/音楽/映画