イスラムアート紀行

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シャーヒズインダの滴形モザイクタイル

以前、仏像の光背からタイルに広がる連想について書いたことがありました。サマルカンドのシャーヒズインダ墓廟群やグルエミルなどのタイルを見ていると、ティムール時代のタイルに、この滴形のタイルがとても多いことに驚かされます。

イスラム美術の泰斗である杉村棟先生も、「中央アジアにおけるティームール時代の建築遺構と装飾タイル」(『シルクロード学研究・7/1999)』)の中で次のように指摘されています。

* 「 (モザイクタイルは)個々の技法の中で最も複雑精緻で洗練されている。たとえば花瓶から草花が生え出ているデザインや銘文など」

*「色彩は共通して濃い青が基調をなす。これを地色として淡青、黒、緑、白、褐色などが使われている。この傾向はシャー・ルフの時代まで続く」

*「中央アジアのモザイクタイルには涙滴形、牡丹のような花が特徴的である」

個人的な好みとしてとても惹かれる滴形、今回は、シャーヒズインダの滴形モザイクタイルを集めてみました。


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ティムール時代のタイルって、本当に花模様が愛らしい。色合いもピンクがかった白があるせいか、淡さも漂います。広大な帝国を築いた武将の時代の繊細で可愛らしい花模様に、いつも感心します。
by orientlibrary | 2009-11-22 23:56 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

「美人」の謎に迫る!?

●今回は「美人」がテーマです。ウズベク美人たちの写真もあるのですが、WEBへのアップはあまりよくないかな、と断念。けれどもイスラム圏のビジュアルは幾何学模様や文字文様が多く、手持ちの写真に美人を描いたものがありません。そこで写真は、「遠目に見た美人」や「美の基準を考えさせるもの」「美の周辺のもの」などを選びました。苦肉の策です。が、なぜ今回、美人のことを考えたかというと、、

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(パキスタンの人形。目鼻立ちがはっきりして美人。私的美人世界一はインド、パキスタン系。ボリウッド女優などホントに見とれてしまいます)

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(ウズベキスタンのミニアチュール(細密画)。よく見てみたら、なんだか不思議系の女性でした。中国的な背景の描き込みが魅惑的)

●たまたま合わせたチャンネルで「ミス・ユニバース」世界大会(夏に開催。録画)が入っていたんです。各国の代表が次々と出てきます。80数カ国から参加しているとのことで、小さな国も堂々と登場。その点はいいなと思って少し見ていました。でも、女性が歩いてポーズを取るばかりで、だんだんと飽きてきました。そしてなんだか次第に違和感が高まってきました。

●そうか、みんな同じに見えるからかも、、と思いました。髪は同じような長い巻き髪。肌は全員日焼けしたブロンズ色。スタイル抜群だけど、どこかサイボーグのよう。そしておんなじメーク。だから、アフリカの女性もアジアの女性もヨーロッパの女性も、皆同じ顔。せっかくいろんな地域から参加しているのに、地域の個性というものがまったく見えない。全体に漂う人工的な感じに、超違和感!これもグローバル化の一環?こわ〜!

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(ベネズエラ代表が優勝)

●こういうコンテストって、どんな意味があるの。だいたいミス・ユニバースって何?「1952年にカリフォルニア州ロングビーチで初めて行われ、2002年以降はトランプ財団などが出資するミス・ユニバース機構が主催する美の祭典」なんだそうです。トランプ財団ですか、、。ウリの社会性やアグレッシブさと美人コンテストという方法、、何かヘン!これまでの優勝は、アメリカ7回、ベネズエラ6回、プエルトリコ5回、スウエーデン3回。南米系強いですね。日本も2回。

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(カザフスタンで見た看板。愛らしさや自然な魅力をアピールかな?)

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(カザフスタンにて。モデル立ち。スタイルがいいですね。聖者廟なのでスカーフをしていますが、オシャレ感あり!)

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(キルギスの女性。スレンダーでジーンズがお似合い。中央アジアの女性は、皆さん髪が長く編み込みしたりヘアスタイルに凝ってます)

●そこで、ネットでミスコンについて調べていたら、こんな記事がありました。サウジアラビアの“美人コンテスト”です。

「サウジアラビアでは身体や顔だけを考慮する欧米の退廃的な美人コンテストに代わるものとして、内面の美を競うミス・コンテストが2008年から開催されており、2009年に2回目が実施された」
「女性は顔も身体も一切見せずに審査が行われ、優勝者はアバヤを被った目しか見えない写真しか公開されていない。主催者は「身体や顔だけを考慮する、退廃的な(西欧の)美人コンテストに代わるものだ」と強調する」
「出場者は247人、3カ月間にわたって審査が行われた。審査基準は、両親や家族、社会への献身度など。出場者自身の心の豊かさや、社会、文化への関心の高さ、心理状況も審査対象になったという」
「コンテストはテレビで放映されず、男性が審査などにかかわることもない。黒いベールを脱いでリラックスした雰囲気で臨めるため、素地が逆に出やすい環境にもなっている」
「18歳のアヤさんが優勝、賞金5000リヤル(約12万円)と宝石、マレーシア旅行などを獲得した」

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(「オスマン宮廷衣装展」のキービジュアルでした。凛々しくてきれいです)

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(「オスマン宮廷衣装展」。衣装にも個性や地域性があります。手仕事の技が素晴らしいです)

●どうしてこのような“美人コンテスト”が生まれたの?

「中東地域では最近、エジプト人ビジネスマンが所有する音楽テレビ番組が米国の美人コンテストの様子を放映したり、イスラム教指導者が西欧風のトーク番組の司会者役を務めたりするなど、衛星テレビやインターネットを通じて、思わぬ「西欧化」が進んでいるのが実情だ」
「こうした中、このコンテストは、もともと西欧の美人コンテストの形式に、イスラム風のメッセージを乗せたコンテストだといえる」

なるほど。わかったような、わからないような。、、どうも、美人コンテストの話題自体に違和感を持ってしまいます。&コンテストとか、そういう優等生的なこと全般が、相当苦手かも(笑)。

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(タジク女性のイラスト。Wさん所有のタジク民族衣装図録より。衣装ばかり見ていましたが、顔立ちもきれいでいい感じです。タジクはペルシア系)

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(ウズベキスタン陶器人形。ゆりかごで赤ちゃんをあやすお母さん。女性の人形はめずらしいです)

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(ウズベクの衣装バランジャ。美は隠すもの?「用の美」とも異なる独特の美の世界です)

*「美人」という言葉に違和感、というメールいただきました。どんな表現が一番いいのかな?男性の「イケメン」(イケてるメンズ、あるいは面)みたいな言葉の方が軽味があっていいのかも。意外とむつかしいテーマでした、、。
by orientlibrary | 2009-11-18 00:45 | 社会/文化/人

ウズベキスタンの宝物、「マハラ」

●以前、「トルクメンの座布団(絨緞をカットしたもの)のせいか、ちょっとした不思議体験をしました」と書いたところ、「何があったの?」「座布団はどんな柄?」などのご質問が。また、「苔玉作りました」では、「その後、どうなった?」というメールも。合わせてここにご紹介します!、、、こんなので〜す↓。トルクメンファンにはおなじみのギュル。強いです。赤が濃いです。苔玉、元気です。ウズベキスタンの青の陶器の中で、とっても元気です。ウズじいちゃんも写真に入ってくれました。不思議体験は、一種の幽体離脱系。ヨガの後だったので、ごく自然な現象かもしれません。ヨガで体が空っぽになる感じって、いいものです。日々の中で、心身ガチガチになってるので。

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●ガチガチの心身、ほぐしたいですね〜。そんなときには中央アジアに思いを馳せて、こんな話題はいかが?ウズベキスタンの「マハラ(マハッラ)」です。写真もマハラにちなんだものを選びました。

●ウズベキスタンのことが語られるときに、時々登場する言葉マハラ。たとえば、中央アジアでの日本語弁論大会で優勝したA君のスピーチの中に、こんな一節がありました。

「ウズベクには“マハラ”という、日本の町内会のような、組織があります。“マハラ”が親代わりになったり、結婚式、お葬式など、めでたいことや困ったことなどを、お互いに助けあいます。ひとつのマハラは3 Km 四方ぐらいの広さで、約 2,000 人ぐらいの人が住んでいます」

「マハラにもルールがありますが、厳しいものではありません。 どこかにお葬式や “ハシャール”という町の共同作業があるとき、手伝いに出なかったことを恥ずかしいと思って、マハラの仕事があるときは、どの家でも必ず誰かが手伝いに行きます。 私は、マハラはウズベクの、大事な宝物だと思います」

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(生活の匂いあふれる路地歩きが好き)

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(ぶらぶら歩きしたいな、土の道)

●A君、これを書いた時は二十歳。若者も「ウズベクの宝物」と思っているマハラ、別の本で見てみましょう。『社会主義後のウズベキスタン 〜変わる国と揺れる人々の心』(ティムール・ダダバエフ/アジア経済研究所発行)、この本はウズベキスタン出身の著者自身の経験や人々へのインタビューによって構成されている新書。ソ連邦崩壊後の人々の価値観の変化や夢や悩みが、具体的に紹介されています。このなかでも「人々のアイデンティティを形づくるもの」として宗教、郷土意識と並ぶ3本柱の一つとしてマハラが紹介されていました。以下「 」内は同書から引用させていただいています。

「マハッラと呼ばれるコミュニティは、ウズベキスタンの人々のアイデンティティ形成において重要な役割を果たす人的ネットワークの代表例である」

「マハッラとは、アラビア語で都市の住宅地域に見られた街区あるいはいくつかの街区を合わせた行政単位を意味する。これは、いわゆるイスラーム世界の伝統的な都市に広く見られる。8世紀以降、徐々にイスラーム化の進んだ中央アジアでも、この語は都市の街区や農村地域の地区などの意味で用いられてきた」

「マハッラは、都市社会のもっとも基本的な単位であり、都市の住戸はいずれかのマハッラに所属しているのが普通であった」

「中央アジア南部のオアシス地域では、個々の住宅は高い粘土壁で囲まれたスペースに中庭を設け、その周りに住居空間を配置するのが一般的であり、これらの住宅を細い路地で結びながら、生活と行政の側面で近隣コミュニティとして機能してきたのがマハッラである」

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(路地沿いに土壁。素朴な土味がある)

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(土壁の中には広々とした中庭のある住まい。庭には果樹や畑があり生産的でもある)

●マハラってアラビア語だったんですか。勉強不足でした。それにしても、、オアシス、中庭、土壁という言葉、それだけでイメージが広がり、和む私です。ほわほわ〜〜。

「その主な機能は、相互扶助的な隣人ネットワークであり、住民は一つのモスクやパン焼き釜を共有しながら、冠婚葬祭などの儀礼を共同で実施し、また必要に応じて労力を提供しあい(ハシャル)、用水地や道路の清掃に当たってきた。非金銭的な相互支援の仕組みであったとも言える」

「このようなマハッラに寄せる人々の帰属意識は濃密であり、ブハラ人やサマルカンド人という個々のオアシス都市への帰属意識と並んで重要なアイデンティティのよりどころであったと考えられている。政治権力は頻繁に交替したが、中央アジアのオアシス都市社会の持続性を支えてきたのは、このマハッラだったと言える」

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(マハラのモスク。整然と清掃され種々の花が咲く庭がある)

●日本の町内会と同じようなものと説明されることの多いマハラですが、より深く強い紐帯のように思えます。暮らしの中の道徳も教えられます。長老や老人の存在は重要だったそうです。

「(マハッラの)長老は、万引きをする、タバコを吸う、家出をする、親の言うことを無視するなど、行動に問題のある子どもを厳しくしつけ、二度とそのようなことをしないように見守った」

●ウズベク人以外の民族も積極的にマハラに参加していたそうです。あるロシア女性は語ります。

「(洗濯後の水の始末のことなど)私に注意をしてくれた人は怒ることもなく優しく説明してくれました。私が出産のために入院していたとき、マハッラの人たちが私の親戚がロシアからお見舞いにくることができないことを知って、毎日のように順番に病院まで料理を持って来てくれました。とても温かい気持ちになり、ありがたかったです」

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(ハシャールで守り維持する聖者廟)

●長い歴史と伝統を持つマハラですが、ソ連邦崩壊後の暮らしの変化や人々の揺れる心に焦点を当てる同書、マハラの変化にもリアルに迫っていきます。

「独立後の政策によって、マハッラはさまざまな権限を与えられ、非公式かつ伝統的な組織から公式な準行政機関へと変貌した。(略) しかしマハッラの公式化は、事実上、新たな行政機関を作り上げることになってしまい、マハッラに対する住民の信頼と期待は裏切られる形になった」

●変化にとまどい、こんな感想を述べる人もいました。

「昔(公式化以前)のマハッラではお互いに対する思いやりがあり、個々人の問題は住民全体の問題として考えていました。当時の(現在のような犯罪防止隊は存在しなかった)マハッラの方が泥棒も少なく、みんな家のドアを閉めずにドアにカギをかけずに暮らしていて、住民同士の信頼度は高かったのです。今のマハッラの状態を見ていると、生活が良くなって(さまざまな支援の仕組みが制度化されて)いるにもかかわらず、人々のお互いに対する優しさはどんどん減っています」

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(フェルガナの立派なマザール=聖者廟。タイル装飾が美しい)

●複雑な気持ちになりますね。こんな発言、見つけました。(「ウズベキスタンと中央アジア:安定と持続的発展の実現」
/アブドゥジャバル・アブドゥバキトフ/ウェストミンスター大学タシケント校学長/2008年10月/中央ユーラシア研究会公開シンポジウムにて)

「今、わが国の政治体制は再構築の真只中にある、現在、国家建設のために政治エンジンとして4つの政党があるが、その構築の基盤は伝統的末端共同体マハラと直結している。マハラというのは英語ではネイティブ、あるいはコミュニティ、ネイバーフッド、アドミニストレーション、コミュニティの自治会などと訳すことができる。今われわれはこれを、新しい近代的なわれわれ自身の制度に編成替えしようとしている。そしてさらに、アジア型の市民社会の特徴を高めていきたい」

●編成替え、、、う〜ん、、『社会主義後のウズベキスタン』の筆者であるティムール・ダダバエフさんは、マハラの項を次のように結んでいます。

「人々の多くは公式化された行政機関の機能を果たしているマハッラの姿にそれほど親近感を抱いていない。むしろ、昔の非公式なコミュニティ内にあった人々の関係が壊れていくことを気にしているように思われる」

●ティムールさんは慎重に言葉を選んでいますが、その奥にある多くの人々の声の声が聞こえてくるような気がします。

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(Fさん撮影/ナン焼き釜を積んだロバ車。窯はマハラで共有の場合もあるようです)
by orientlibrary | 2009-11-11 22:33 | ウズベキスタンのタイルと陶芸

シリアのタイル、ペルシャ料理、中央アジアが舞台のコミック

◆ 爽やかでイキイキ、シリアのタイル ◆
前回の「シリア料理」にちなんで、シリアのタイルを少し見てみましょう。石造建築が特徴的なシリアの建物ですが、16世紀オスマン朝時代のモスクの壁面やミヒラーブなどで美しいタイル装飾が見られます。

同時代のオスマン朝・イズニクタイルの影響を受けていますが、ダマスカス独特の爽やかな色合いで、葡萄や糸杉など多彩な植物模様がみずみずしく描かれています。イキイキとしたデザインはのびやかで洗練されており、個人的にはオスマン朝トルコの華麗なタイルよりも、むしろこちらが好みです。

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(爽やかなセージグリーンがダマスカスタイルの特徴。青や白とのバランスも良く明るい/DARWISHIYYA MOSQUE・ ダマスカス/1571/『THE ART OF THE ISLAMIC TILE』より引用)

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◆ オシャレなペルシャ料理の本 ◆

次は、「シリア料理」から料理つながりでペルシア料理へ!リンク先の記事で知ったサイト「カフェペルシャ」。日本在住のイラン出身のアーティスト・レザさんのサイトがオシャレ。私はイランのタイルや建築が大好きですが、やはりどちらかというとササン朝とか中世頃とか、古い時代のペルシアに中心に見ることが多くなります。

でも、以前ご紹介したイランの子ども向けの工芸紹介本を見ても、あるいは独特の世界を持つイラン映画を見ても、イランの人の美的・芸術的感性というのは突き抜けたものがあると感じます。最近は、とてもチャーミングなイラン出身の女優(サヘル・ローズさん)や、芥川賞候補になったイラン人女性(シリン・ネザマフィさん)など、日本でもイラン出身の方が活躍中。うれしいことです。

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レザさんが最近出版した料理本『家庭で楽しむ ペルシャ料理 〜フルーツ、ハーブ、野菜たっぷり』(河出書房新社)。野菜たっぷりのレシピで、おいしそう&見た目にも軽やか。絨緞や刺繍、タイルなども紹介されていました。オシャレなイランです。

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◆ 描き込まれた情熱!チュルクの嫁入り物語 ◆

最後に、当サイトではめずらしいコミックの話題です。今朝、新聞の書評欄で「中央アジアの嫁入りを描いたコミック本『乙嫁語り』(森薫)」を知りました。さっそく書店へゴー!といっても、コミック本売り場に足を踏み入れることがほぼない私、どう探していいかもわからず結局店員さんに探してもらうことに。発見したこのコミック、平積みで、しかも売れてたんですよ!「中央ユーラシアが舞台のブライド・ストーリー」、いいですね〜!

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(『乙嫁語り』/森薫/エンターブレイン)

帰って即読みましたが、「19世紀中央アジア、カスピ海周辺の地方都市」とされる地域の民族衣装や装身具、暮らしの濃密な描きこみがすごい!驚きです。その緻密かつ迫っていくような描写から、溢れるような対象への関心の強さを感じます。天幕の中、陶器、絨緞、食べ物、、いやあ、もう中央アジア好きには、たまりません!!作者はいったいどんな人!?

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(木彫り装飾や住居作りにふれた一節も。多彩な木彫りの描写が素晴らしいです)

作者の森薫さん、「そもそもこの中央アジア、コーカサス地域にはまったのは、中学〜高校の頃。当時盛り上がっていたシルクロード関連書を図書館で読みあさったのがきっかけで、馬、羊、幕家、じゃらじゃら、じゅうたんじゅうたん、むしろじゅうたん!!!」、「まあそんな暑苦しい何やらが竹の地下茎のごとく、ここに来てまた芽を出して出来上がったのがこのお話です」とのこと(あとがき=これもマンガです=より)。やはり積年の思いがあったんですね〜。

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(こんな絨緞も登場してます)

ネットで調べてみると、おもしろい紹介がいくつもありました。「“民族衣装描きたいいいい!”という作者の叫びが紙面から聞こえてきそうな、恐るべき描き込みの細かさです。本人の気のすむまで描いて描い描き倒す(後略)」。このサイトでは描かれた民族衣装がどこのものかを調べています。こういう関心の道筋、中央アジア好きとしては、とってもうれしいです。

「森薫の新連載『乙嫁語り』に出てくる“チュルク系民族”を追う」という記事もおもしろかったです。筆者は外国語学部のトルコ語専攻。この物語に出てくる民族が誰なのかを調査するために大阪のみんぱくで衣装をチェックし、チュルク研究者にもヒアリング。結果、この物語は「チュルク系民族の複合的なイメージ」ではないかと結んでいます。

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(舞台はこんな風景かな。カラカルパキスタンのカラ周辺)

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中央ユーラシアへの関心の入り口、私はタイルでした。そして現地の人の温かさに出会い、暮らしに触れました。「〜スタン」の国や中東の国々、入り口は、料理でも映画でもコミックでも。いろんなところから、どんどん入ってみて欲しいな!&、、最近、このような話題を書ける機会が増えてきました。なんだか「来てる」感じがします!☆
by orientlibrary | 2009-11-01 22:13 | 絨緞/天幕/布/衣装