イスラムアート紀行

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アジアン、和、北欧。そして洗練アジアのディープな世界へ!?

杏水、美味〜!
e0063212_19153596.gif●「ウイグルの生活と文化」さんの「干し杏で味付けした水売り」に、これだ!とヒントをもらって作ってみた杏水

●数日たって写真で紹介されていたような薄赤色になったものを飲んでみたところ、、これが美味〜!!自然な甘みがなんともいえません〜♪夏の暑いときにゴクゴク飲めば最高だろうなあ〜!という味です。

●杏水の作り方としては、麦茶なんかを入れる容器に干し杏をいくつか(5〜6個かな)入れて水を注げばいいのでは?と想像しますが、適量や飲み頃などは不明です。実験しようにも、もう干し杏はないので、、残念。

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(洗練アジアの参考として/インド・サンガネール/木版捺染=ブロックプリント)


「アジアンインテリア」はどこへ?
●杏水を紅茶に使ったら、などいろんなアイデアが浮かびますが、いつもアイデア倒れ(悲)。そこで今日は流行のお話を。

●日本は、流行が変化するスピードが飛び抜けて早いですよね。たぶん欧米以上。欧米出身の人たちが、「この間まであんなに流行っていたのに、、」「流行が変わるの、ものすごく早いね」と驚く声を、何度も聞きました。現代だからというのではなく、昔から新しモノ好き。そういう面の好奇心がとても強い。人気やトレンドや売れ筋というものに、すごく敏感です。名所や美人の番付け表なんて今のランキングだし。

●先日は、少し店街ウオッチをしていて、一世を風靡したアジアンインテリアはいったいどこに!?と思ってしまいました。

e0063212_19164266.gif●消費の分野では、90年代中頃からアジアが脚光を浴び始めました。え?もっと前からでは?と思われるかもしれませんが、ある種古美術的な芸術性の高い布や家具、あるいは安くて可愛いアジア雑貨の元祖「仲やむげん堂」「大中」など、それまでのアジアのものは二極化していたように思います。一言で言えば、マイナーでしたよね。

●けれどもバブル崩壊後、「デフレ、価格破壊、節約」が暮らしの基本になり、一方で「癒し」を求める気分が日本全体を覆いました。

●といっても、何か新しいものは欲しい!そこにベトナムやタイやバリやソウルの癒し系雑貨やエステや料理が、ピタリとハマッた感じがします。ハノイやチェンマイが可愛い雑貨の買い物拠点として紹介され、バリのエステでお姫様気分、生春巻きが一躍人気に。モチーフとしてのロータス、素材としてのバンブー

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(洗練アジアの参考として/ウズベキスタン/刺繍布スザニ)


「和」はブームから底流へ、店頭は「北欧」人気
●そんななか、アジアブームから少し遅れで進行していたのが、「和」ブームでした。若者のTシャツは龍などの和モチーフに変わり、和食ダイニングが流行。町屋、古民家、温泉、リメイクキモノ、浴衣、新感覚邦楽などなど、「和み」感を求める若者中心に、和なものが新しい視点で見直されてきました。

●けれども、ブームとしての和はすでに変化。日本再評価の気運ともあいまって、世代を問わない底流的なものとなってきている感があります。では店頭は?、、これはもう、「北欧」ですよね。とくにインテリアでは、北欧人気が続いています。北欧のものは、シンプルかつデザイン性が高く、クールかつ温かみがあり、和ともよく調和し、年代性別を超えて親しみを持たれるテイストです。他のテイストとミックスしながら、続いていきそうな気配があります。

「洗練アジア」の魅力
e0063212_1918888.gif●じゃあ、アジアはどうなるの?、、個人的には、より洗練されて再来するのでは、と思います。アジアって王侯貴族が作ってきた豪奢な文化がありますよね。これって、本当に半端じゃないと思います。

●90年代中頃、インドの布を調べていたとき、その奥行きと職人さんの仕事の素晴らしさに圧倒されました。でも流通関係の人に話をしても、「インドのものは品質が悪い」と、まったくの「範囲外」という感じでした。

●それから10年。ゴージャスお嬢様系雑誌『ヴァンサンカン』は今月号で、インド特集をしています。・・・「ラグジュアリーなものや場所、そして先端の美容を追求してきた私たち。やっぱりゴージャスは絶対にはずせない。一方で、身体の奥から浄化してスピリチュアルなものにも触れたい」ということで、「今の欲望をすべて叶えてくれるのはインド」なのだそうです。

e0063212_1918293.gifヨガ人気は衰えず、アーユルヴェーダ、占星術、宮殿ホテルなど、女性好みのものも多い。宝石も有名。インドが経済発展してインフラも整ってきたら、「神秘と貧困」以外のゴージャスインドを求める人も増えてくるのかもしれません。

●そして今度来るアジアに、たぶん中央アジアも入ってくる、と私は思います。また中東も、ベリーダンスやシーシャ(水タバコ)などが若い層に人気で、石油や過激派以外のモノやコトも、これからどんどん受け入れられていくような気がしています。

*雑誌写真は、「ヴァンサンカン」2007.5月号を撮影したもの
by orientlibrary | 2007-03-29 19:49 | 社会/文化/人

桃山の御殿建築を彩った漆、同時代のイスラムタイル

漆(うるし)で塗装した車やデジカメなど、漆を工業製品に取り入れる動きがあります。モダンなフォルムに施された美しい光沢は、粋な豪華感を醸し出します。

「ジャパン」と呼ばれ世界にその名を知られる日本の代表的な美術工芸品である漆は、一方で中世以来、庶民が暮らしの器として愛用してきました。けれども現在では、簡便なプラスチックに置き換わり、お正月の重箱など儀礼用什器としての印象が強くなっています。

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縄文時代の漆
そんな漆の文化を歴史から深めるセミナーがありました(「漆の文化と日本の歴史」・国立歴史民族博物館主催フォーラム)。漆は中国からの渡来として紹介されることが多いと思うのですが、じつは函館で9000年前の縄文時代の漆が出土しており、これは中国よりも2千年もさかのぼるもの。技術は今と変わらない高度なものだったそうです。さらに朱とベンガラを区別するなど色への感性も大変優れていたといいます。けれどもなぜか弥生時代には、漆は衰退してしまったそうです、

日本の漆が中国より古い!?縄文で発達し弥生で衰退した!?・・・目からウロコの縄文・弥生から始まって、古代・中世、近世、さらに西洋へ渡った日本漆器まで、興味の尽きないセミナーでした。そのなかでも、イスラム圏のタイルを愛する私の好奇心を触発したのが、近世の建築装飾としての漆塗装です。

土の建築文化・西アジア
私が愛する装飾タイルのある地域、西アジアから中央アジアあたりは、乾燥した気候が特徴で、建築材料としての石材や木材が乏しいところです。だからこそ、土の建築文化が発展したのであり、限られた材料を極限まで生かして、あの美しいタイルに結晶させた、私はそのことを尊敬しています。

木の建築文化・日本
一方、日本は木の建築文化。木造建築は日本が世界に誇れるものだと思います。そんな日本の木の文化のひとつが、ウルシノキから採取される樹液を加工した漆。これを木地に塗って漆器にするのですから、まさに木の特性を生かし切ったものと言えますよね。

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木という素材を生かし切った漆、土という素材から生み出した最高の美タイル、、、と、感慨に浸っていた私に、さらにドキドキのお話。桃山文化期(北野信彦さんの定義では、信長による安土城築城から日光東照宮造営、鎖国の発令に至る“黄金の日々”)には、漆器以外にも漆が多用され、その最大の需要は御殿建築だったということ。

桃山文化期の建築装飾漆
安土城、聚楽第、伏見城、大阪城、二条城、名古屋城、江戸城、日光東照宮など建築ラッシュのこの時代こそ、日本の歴史上で最も漆塗料が必要となった時代だというのです。集大成は二条城の二の丸御殿、日光東照宮など。また方広寺や豊国廟社殿の漆塗装、南禅寺小方丈の漆塗り廊下、三千院金地院などの漆も美しく、さらに金箔瓦の接着にも漆が使われたとか。

日本の歴史、疎いのですが、安土桃山時代から江戸初期のテイストは、絢爛豪華という印象があります。そしてこの時代、日本だけでなく世界的に装飾的で豪華絢爛なものが好まれたように思います。安土城築城から鎖国まで(1576〜1640頃)を桃山期として、同時代の他の地域をみてみましょう。

同時代・ヨーロッパ
ヨーロッパでは、バロック建築盛んになっていました。彫刻や絵画、家具などが一体となった装飾的な様式ですよね。

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同時代・インド・ムガル朝
インドはムガル帝国、アクバルが活躍し、建築大好き皇帝ジャハンギールがタージマハルなどを作った最盛期です。インドは石の建築文化が主流であり、タイルはあまり発達しませんでしたが、タイルと共通する植物文様などの美しさは圧巻です。

同時代・イラン・サファビー朝
イランはサファビー朝。アッバース1世による最盛期であり、イスファハーンに都を移し王の広場や王のモスクなどが建設されました。この時代のタイルの流麗優美な見事さは、今なお人びとを魅了してやみません。
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同時代・トルコ・オスマン朝
トルコ・オスマン朝では、スレイマン1世時代による最盛期は過ぎていましたが、ブルーモスク、トプカプ宮殿のバグダッドキヨシュクが作られるなど、オスマンのタイル文化が優雅に花咲いていた時期です。
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漆とタイル
ティムール時代に爆発的に発達し、建築装飾として確固たる地位を確立したタイル装飾は、この時代にはまさに成熟の境地に入り、建築物の皮膜材として絢爛豪華な美を誇りました。その頃、日本では縄文時代からの歴史を持つ漆による塗装が建築物の表面を彩っていました。

土の文化と木の文化、素材は違うけれども、素材の魅力を最大限に生かした美の世界を同時代に実現していた、そのことに共時性や文化の共振性を感じると同時に、愛おしさともいえるものを感じるのです。

* 写真は、上から順に、「漆器を作る〜洛中洛外図屏風」、「豊国神社塗装の漆塗装〜洛中洛外図屏風」(以上、「漆の文化と日本の歴史 フォーラム資料」より引用)/「タージマハル 植物文様 貴石象嵌」(『TAJ MAHAL』 ABBVILLE PUBLISHING GROUPより引用)/「イスファハーン ルトファッラーモスク 天井部分」(『THE ART OF THE ISLAMIC TILE』FLAMMARIONより引用)/「トプカプ宮殿 イズニークタイル 16世紀」(『COLOUR AND SYMBOLIZM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用)
by orientlibrary | 2007-03-24 22:56 | 日本のいいもの・光景

ロードムービーから音楽映像詩まで イスラム圏の映画が熱い!

アフガニスタン映画祭、アラブ映画祭と、先週は映画ウイークでした。記憶に新しいうちに、感じたことなど少し書いてみたいと思います。映画や音楽を文字で表現するのは、いつも難しいなあと思います。なるべく短くしましたが、読むのも大変ですよね。どうぞ、適当なところで、、

驚いたのは、アラブ映画祭の盛況。立ち見の人もいるほどでした。2年前はけっこう静かだった記憶があります。中東に関心を持つ人が増えてきていることを実感することが多いこの頃ですが、今回の集客でもその感を強くしました。

e0063212_1433814.gif◆「長い旅」・・・フランスに住むモロッコ系移民家族。父は頑固で敬虔なムスリム。大学受験を控えた息子にメッカ巡礼に同行するように命令。息子は反発するが仕方なくボロ車を運転してメッカに行くことに。そして、なんとフランスからアラビア半島へ5千キロもの旅。次々起きる困難に「飛行機で行けば簡単じゃないか!」とキレる息子、「旅をすることで浄化される」と語る父。喧嘩を繰り返しながら、やっとの思いでメッカに到着。父は「お前のおかげで来られた」と感謝し巡礼におもむくが、、。映画の最後を書くわけにはいきませんが、もう、うるうる、、。

e0063212_144177.gif◆「バーブ・アジーズ」・・・なんとも不思議で、魅力的な映画。西アジア〜インド・パキスタンあたりの砂漠、スーフィー、スーフィー音楽などが好きな人には、たまらない映像世界。修行に生涯をささげるスーフィー(ダルビッシュ)的な生き方が、ごく自然に受け止められる。

祖末な衣服をまとい彷徨い歩く彼らの日々が、物質的満足よりも幸福なのではないかとさえ思えてくる。砂漠の地下モスクのタイル、王子の天幕と砂漠の踊り、きれいだったなあ。最後のシーンのバム、撮影の数ヶ月後に地震が起きたのだそうだ。本当に幻影のようだった。
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(パキスタン・ウッチュにて/イメージとして)

e0063212_144218.gif◆「古きサヌアの新しき日」・・・イエメン初の長編。予想していた以上に面白かった。身分の違いによる悲恋もの、ともいえるが、それだけではなく重層的。古都の建築と街並や路地、民族衣装と顔を隠した女性たち、有力者家族の横暴、結婚のしきたりや祝い、ナゲシ(ヘナは色付きでこちらは黒)の美しさ。

一番驚いたのは女性たちの暮らしや考え方。顔を隠す衣装の下でうわさ話に熱中し、喜怒哀楽を爆発させ、男を怒鳴りつけ、愛を全うし希望を捨てない、、映画と現実は違うのかもしれないが、それを差し引いても、忍従とか女性差別等のイメージとのあまりの違いに圧倒された。

◆「ヤコービエン・ビルディング」・・・エジプトで物議をかもし国会で上映について審議されたという問題作。本当にイスラム圏でこんな映画を作っていいの?上映していいの?と思ってしまった。・・・貧富の格差、同性愛、ドラッグ、売春、政治の腐敗と汚職、逮捕拷問などによる強権的治安維持、堕胎、セクハラ、、成績優秀な青年がイスラム過激派になるまでの過程も主軸になっている。

社会の諸問題がこれでもか、と登場して絡み合い、上映時間も3時間近い。にもかかわらず、展開が理解しやすく重苦しさに押しつぶされることもなく、娯楽映画としても楽しめてしまう。カイロが中東のハリウッドと言われる理由がわかる気がした。

e0063212_1445363.gif◆「カブール・トライアングル」・・・アフガニスタン、ドキュメント。なんとも重いが、これが現実。映画館で「重い」などと言っていられない、と自分のテンションを上げる。

◆「カブール・シネマ」・・・映画大好きの孤児の少年。しかし内戦で映画館にロケット弾が打ち込まれる。少年は破壊された映写機やフィルムを拾い集めて、リヤカーの上に映写可能な箱を作り生計をたてる。しかし、これを知ったタリバーンは映画箱を壊し、少年をさらし者にする。ラストシーンの暗さに少々めげた。

e0063212_1451282.gif◆「渡り鳥」・・・86年制作。深刻化する紛争や難民の姿を予見、警鐘を鳴らした幻の名作。在日アフガン人の関係者も強力リコメンド。花婿殺しや武器収奪など、無法の連続。ジハードを掲げる武装集団の山中での訓練は壮絶。難民キャンプでの大麻パーティ、殺された弟の花嫁との結婚に悩む武装組織のリーダー。最後に花嫁が立ち上がり復習するも悲惨な最期。あまりの重さに見終わった後、虚脱状態。

e0063212_1016494.gif骨太でシリアスな映画が好き。しかしアフガン、今回はちょっとキツかった、というのが本音です。どうしてだろう。絶望の中の希望というのが見えてこなかった。もしかして、86年の映画ということと関係があるのかもしれません。

*映画の写真は、アラブ映画祭、アフガニスタン映画祭のチラシより引用。
by orientlibrary | 2007-03-20 02:17 | 美術/音楽/映画

トルキスタンの味と慣習 干し杏水&頼母子講

個人が発信するブログなどのパーソナルメディア、具体的で筆者の思い入れが伝わるものが多く、更新を楽しみに待っているものがいくつもあります。そのひとつが、カシュガルにお住まいの男性による「ウイグルの生活と文化」(エキサイトブログ)です。

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(↑ ウイグルのバザール/トルファンにて/手前が干し杏かな?)

コメントなどは受け付けていらっしゃらないのでブログ的交流はありませんが、ウイグル人の女性と結婚し現地で長く暮らしていらっしゃる方ならではの話題と内容を、あのあたりが大好きな私は興味津々で拝読しています。写真もガイドブックなどでは見ることのできないものが多く、とても貴重。

干し杏水&干し杏酒
そんな「ウイグルの生活と文化」さん、今回は「ドーグゥ」という飲み物の話題でした。「ドーグゥ」に使われる氷は、凍結した池から切り出し氷室で貯蔵したものなのだとか。そんな土混じりの氷水のお話を楽しく読んでいると、最後の方に「ん?」と思う写真がありました。氷に関連した話題として、「干し杏で味付けした水売り」が紹介されていたのです。

そうか!?と思いました。ウズベキスタンからお土産の干し杏、どうしようかとずっと置いていたものがあったのです。お酒を愛するTさんから、「焼酎に漬けると美味しいよ」と聞いたことも思い出し、さっそく「干し杏水」と「干し杏酒」製作実験をしてみました。

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ちなみに、健康関連の各種情報によると、干し杏というのは、「生果・乾果も合わせた果実のなかで、β-カロテンの量がいちばん多く、活性酸素の害を抑制することで、抗ガン、抗動脈硬化、抗細胞老化の効果が期待できる」ほか、書ききれないほどの効能が紹介されています。たしかにパキスタンのフンザなど、長寿で名高い土地には杏がたくさんありますもんね。

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(杏の里、長寿の村、パキスタン・フンザの女性)

ウイグルの「チャイ」とウズベクの「ギャプ」
もうひとつ、「ウイグルの生活と文化」さん、以前読んでいて興味深かったのが、「チャイ」と呼ばれる互助組織の記事です。「チャイ」という言葉は、お茶と意味すると同時に、「大きめの宴席に招待したりされたりする」ときの表現にも使われるそうです。

ウイグルの「チャイ」
さらに、「日本の頼母子講に似た、「チャイ」 と称する親類縁者による親睦・相互扶助組織」があるそうです。内容は、「親類縁者女性同士の組織で、月に1度、当番の家や当番が予約したレストランに集まってする親睦会」とのこと。

具体的なケースを読んでいて、あれ?と思いました。・・・「妻の 「チャイ」 メンバーは15人で、毎月1人170元(食事代20元を含む)を会費として納めて、当番がお金を受け取るとのことです。1月4日は妻の当番日で、食事代を差し引いた2000元(約3万円)ほどを受け取ったと言うか、¥満期になったため戻って来たようなもの¥です」・・・

ウズベキスタンの「ギャプ」
これと似た組織のこと、¥「ウズベキスタンの慣習経済」¥というテーマのセミナーで聞いたことがあります。(講師は、樋渡雅人さん/東京大学)。そのときのメモから、少しご紹介します。

---慣習経済とは、血縁や地縁等の社会的な結びつきや慣行などにより人々が相互に依存しあっている経済のことを言う。インフォーマルエコノミー、セカンドエコノミーなどの言葉もあるように、旧ソ連時代にも¥計画経済と並存して根付いていた¥ものである。

---そのひとつの事例が¥「ギャプ」である。ギャプとは、定まった構成員が定期的に家に集まり、会食などを楽しむウズベキスタンの慣習。構成員は、マハラ(共同体)、同級生、親族、同業者など、何らかの接点に基づく。ホストはローテーションで回り、情報交換をしたり問題を討議したりする。また冠婚葬祭や緊急事態における互助単位としての側面も併せ持つ。

---ギャプには、「回転式貯蓄信用講」とでもいうべき経済的機能がある。定期的に構成員から定まった額のお金を徴収し、誰か一人にそれを自由に使わせるということを、全員が順番に回るまで繰り返す、という金融の仕組みがあるのである。これによって、多額の投資が可能になり、電化製品や絨毯など耐久消費財の購入が早まる。

---同種の接点を持つ同質のメンバーが選別され、共同利害によって結束するギャプは、メンバーの関係性を固定化、安定化する。ギャプにより地域のネットワークは重層化し、社会的相互作用は制度化、強化されていく。また、社会保障政策との補完性などからも注目される。

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(ウズベキスタンのバザールにて)

ウイグルでは女性だけ、ウズベキスタンでは多様なグループという点は異なりますが、基本は同じ仕組みですよね。大きな買い物をするとき、親族や地域で都合しあっていたことがわかります。ほんと、日本の「頼母子講」ですね。このような共通項を発見すると、さらに親しみが増すように思います。
by orientlibrary | 2007-03-15 22:42 | ウイグル/アフガン

ジャムのミナレット なぜこの青がアフガニスタンの谷間に!?

今回は「中東・西アジア都市周遊」講座から、カーブルとアフガニスタンについて少し書きたいと思いますが、その前にいくつかトピックを。ティーマサラ、巣ごと蜂蜜、サマルカンドブルーの陶芸の3つです。

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ティーマサラ
前回のチャイ調査で「ティーマサラを持参して」うんぬんと書いたところ、日本でティーマサラは手に入るのかというメールを何通かいただきました。売っています。知っているところでは、「LUPICIA」という紅茶専門店(通販もあり)。インド雑貨店でも見たことがあります。ご興味のある方は検索してみられるのもいいかもしれません。

私はなぜか手元に妙にマサラがあります。どこでどうやって買ったかも忘れました。インドに行く人にお土産に頼むのもいいかもしれませんね。または、カルダモンやシナモン、ジンジャーなど、日本で買いやすい好みのスパイスをミックスしてもいいのでは?手軽です。


巣ごと蜂蜜
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イランで買った巣ごとの蜂蜜をどうやって食べるかについての苦闘の歴史と実験について、以前書きました。熱することで解決、でしたが、先日、日本で見つけたのです。富士山麓の巣ごと蜂蜜を。200グラム1575円。販売の方に聞いてみると、「巣は残りますね。トーストにしても巣は残ってしまいます」とのこと。

私は実験後、適量を取り巣ごとレンジにかけて溶けた部分だけを使用するようにしています。でも日本の値段だと微妙ですね。それなら蜂蜜を買ったほうが手軽ということになってしまいます。ただ、巣のものの方が味が濃いように思いますので、好みによるということでしょうか。


サマルカンドブルーの陶芸
先日、イラン人陶芸家・ティムアさんと芸大の仲間たちとの展覧会を表参道で見たあと、向かったのは日本橋三越のギャラリー。石川県九谷の陶芸家・武腰一憲さんの作陶展です(会期は6日から12日まで)。「天空のサマルカンドブルー」と題された展覧会。その作品は、中央アジアとやきものが好きな私には衝撃的でした。

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サマルカンドの青というと、煌めくようなコバルトブルーとターコイズブルーを思い浮かべますが、武腰さんの青は、渋みと深みのある薄紺とでもいうような青。日本の青だと思いました。そんな青をベースに白を鮮烈に配し、剛直と繊細が同居したようなキリッとした線が形作る花器や陶額には、厳しいまでの美しさがありました。

でも、そこに遊び心のあるモチーフが加わることで、器は軽やかさと物語性に包まれます。そのモチーフとは、私の愛する中央アジアの人々や生き物の姿であり、イスラムの幾何学模様でした。日本とシルクロードを美しく融合する武腰さんの感性と匠の技に感動しました。


都市周遊・カーブル
トピックに続いては、「中東・西アジア都市周遊」講座(国際交流基金)より、「カーブル アフガニスタンを背負う街、アフガニスタンならざる街」(八尾師誠さん・東京外国語大学)です。

まず、都市の名前について。日本の報道機関は「カブール」という呼称を用いていますが、現地語であるダリー語のアラビア文字表記は「کابل」(kābul)) 。発音は「カーブル」または「カーボル」なのだそうです。欧米での用いられ方(報道や地図)がカブールだったことから、日本ではそれを導入したという、ありそうな話。以前、京大のH先生がある報道機関に投書して正したところ、答えは「昔からこうなっているので変えられない」だったとか。私は今後、「カーブル」と記すことにします。

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「リグ・ヴェーダ」にも登場し、アレキサンダーが通過したとされるカーブル。古い街なんですね。8世紀頃からイスラム時代に入り、様々な王朝が支配・争奪・係争する土地として複雑な歴史があるようです。タイル好きとしては、ジャムのミナレット(1179)(↑は全景)(↓は壁面のタイル装飾)が建設された12世紀のゴール朝が気になります。また、インド・ムガル朝を建国したバーブルが愛した街としての印象が強くあります。

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地形や歴史など先生のお話に引き込まれたのですが、驚いたのはカーブルの人口の推移。1988年の推計1424000人から、1994年には推計700000人に半減しているのです。クーデターやソ連やアメリカの侵攻など戦火の絶えない現代の歴史のなかでも、ムジャヒディーンの時代の混乱というのがいかにひどかったかがわかります。

以前、「在りし日のカブール博物館」というドキュメンタリー映画を見たことがありますが、博物館が無惨に破壊され貴重な収蔵品が略奪されたのもこの時代(93年)。現在は人口300〜400万人に増加しており、博物館にも収蔵品が戻ってきているようです。

私の最終目的地アフガニスタン。ヘラートやマザリシャリフのタイルを見に行きたい。深刻な課題が多いのに軽いことを言うのは不謹慎かもしれませんが、きれいなものを見に行けるようになる日が一日も早く来ることを願っています。

*写真は、上から順に、「インド・カングラのお茶畑にて」、「富士の蜂蜜」「武腰一憲作陶展パンフレットより引用」、「ジャムのミナレット〜『COLOUR AND SYMBOLIZM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用」、「同タイル装飾〜同」
by orientlibrary | 2007-03-11 17:22 | ウイグル/アフガン

日本のチェーン店で飲むチャイ その味は?!

●今回は、「イスラム金融」か「バグダッド」にトライしようと準備していましたが、まとめるには時間が足りず。またしてもプチネタになってしまいます。ま、春ということで・・(苦しい言い訳)。

●以前、「ヒンズー語ではありません」さんのところで、チャイ(チャーエ)の話題がありましたが、たしかに日本のチェーン店でもチャイを見かけるようになりました。インド料理店やこだわりのカフェでチャイが出るのは珍しくないとしても、セルフの店でというのはチャイの定着浸透を表すものでしょう!

●そこで、そのうちのいくつかについて、独断で書いてみたいと思います。まずは「ヒンズー語〜」さんも取り上げていらっしゃった「スパイスマジック」。アウトドアショップの「モンベル」併設のティールームです。そのメニューの核がチャイとロールというインドのスナックなのです。

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●どうしてアウトドアの店がインドのもの?という疑問はまだ解明されていませんが、自然をテーマにしているようなので、ヘルシーで他でやっていないもの、という感じなのでしょうか。チャイは300円(と思います。ロールと合わせて600円)。自分で砂糖、シナモン、グローブ、ジンジャーなどをプラスします。スパイスの入れ方にもよりますが、飲みやすい味で量もたっぷりなのでまったりします。


●次に、雑貨店の「アフタヌーンティー」のティールームは、オシャレ系の飲み物や食べ物があり若い女性でいつも賑わっています。そのカジュアル版の店(私が知る限りでは渋谷のマークシティ内にあります)では、飲み物のメインがチャイです。399円。食べ物もひよこ豆のカレーとか、ちょっとインドテイスト入ります。

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●「チャイってどんなものですか?」と聞いてみると、「濃いミルクティーです」と言うので、作り方を見ていると、ミルクティーに生クリームをひと匙入れ、そこにティーマサラのパウダーらしきものを振り入れています。

●味はなんだかスキムミルクっぽい気がしましたが(オシャレな店だからって、ローファットを使ってない??)、まあ外でチャイが飲めるのはいいことだと、まったりしました。茶碗も素焼き系でインドっぽい。さすが形から入る雑貨店!これも大事なことです。


●もう一店、「ス○○」などと書いても見え見えなので、はっきり言ってスタバですが、チャイ、あんな甘いものゴクゴクゴクゴク飲めるかっ!(テーブルひっくり返す) 

●で、気づいたのです。濃いミルクと茶葉をちゃんと煮出したスパイシーなものが飲めないのなら、、ミルクティーに自分でティーマサラを入れればいいんじゃないの?で、やってみたのです。代表的なコーヒーチェーン「ドトール」で。


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●ロイヤルミルクティーは230円(だったと思います)。熱々のミルクティーを貰ったら、パラパラとマサラを振り入れましょう。かき混ぜて、ん?うまい。なんかこれまででいちばん美味しい気が、、。ミルクが濃いもん。ついてくる専用のシュガーを入れるのもポイントです。

●問題は、バッグからビニール袋を出して茶色の粉を飲み物に入れる、その行為。ちょっと怪しいです。私なんか、その上に写真まで撮っているんですから。変な人です。でも、いいです。納得したから。

●以上、味などコメントは私の個人的意見であり、客観的なものではありませんので、あまりご参考にならないかも。というより、こんな飲み比べ、誰もしませんよね。失礼しました〜。次回はマジのテーマで!
by orientlibrary | 2007-03-06 01:12 | 日本のいいもの・光景

旅情いっぱい 各地のお茶のパッケージ

●引き続きのプチネタになります。パッケージに惹かれて買物することってありますよね。海外の旅行先には気になるパッケージがたくさん。書かれている文字だって絵みたいで興味津々。

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●とくに買ってしまうのがお茶系です。値段が手頃なうえにパッケージに風情のあるものが多くて、、。でもお茶は、その地で美味しくても日本ではあまり、、と感じるのは水の違い?そんなこんなで、結局は捨てるときもあって申し訳ないです。


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●そんななか、ずっと持っているものって、かなり気に入っているということでしょう。なかでもモロッコの田舎町の商店で買った紅茶?(↑)は、ラクダの絵がなんともいえず叙情的で旅情をかき立て、なんと6年くらいたつのに捨てられません。裏はフランス語のようで「ラ・キャラバン」と書いてあります。いいなあ・・。

**<追記>**  miriyunさんから「パッケージに”緑茶”と書いてある」という貴重な情報を頂きました。じつはパッケージを開けるのを躊躇していて味見していなかったのですが、そっと中を見てみました。すると大きめの茶葉が巻いた状態、中国茶的様相です。パッケージに書いてある「gun-powder」は紅茶を表すものと思い込んでいたのですが、紅茶とは製法の違うある種のお茶なのかもしれません。モロッコは茶の産地で、ハーゲンダッツの抹茶アイスの原料はモロッコと聞きました。賞味期限?の大丈夫なうちに飲んでみるべきでしたね〜。

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イランで買った紅茶(↑)、スリランカからの輸入もののようですが、このパッケージの絵柄、、お茶の葉、鳥、紅茶ポットを足した感じで、インパクトあります。イランの人たち、砂糖を囓りながら紅茶をすすって飲んでいました。え?と思いますが、慣れるとなかなかイケる飲み方@イランです。


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ウズベキスタンのハーブティー(↑)。走る女性の写真、ウエストあたりが不思議な感じで、つい目がいきます。修正しているのかと思いましたが、太いベルトをギューッと締めて細く見せているみたいです。「痩せるお茶」ということでしたが、ベルトで痩せ感を強調!?どの国でもダイエットは大テーマですね。しなしなした紙質(コピー用紙的)も、なんともいえずいいです。
by orientlibrary | 2007-03-02 01:16 | 中央ユーラシア暮らしと工芸