イスラムアート紀行

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毛織物の原点・羊探求シリーズ! 八王子で毛刈り見学!

イスラムタイルのある土地は、建築材料となる木や石が少ない乾燥地帯〜ユーラシアの大平原です。建築には身近な土が使われ、土の建築の美しさが徹底的に追求されました。こうしたなかで、釉薬をかけて焼いた煌めくタイル、それを刻んで集成するモザイク、一枚ごとに絵や文様をほどこす絵付けタイルなどの、独特の素晴らしい技法が発展してきました。

これらの地域は、遊牧を生業とした「羊ベルト」とも言える地域と重なります。タイル装飾は広範なイスラム圏に見られますが、最もタイルを愛好したのは、イラン、中央アジア、アナトリアと言われています。これらはまさに、羊ベルト。そして絨毯文化圏なのです。

タイル好きでキリムなどの毛織物にも興味のある私、「絨毯会議」という絨毯ファンの集まりでも「羊をもっと知りたいね」という声が出ていた矢先に、「東京の牧場で“毛刈りピクニック”があるよ」という情報が飛び込んできました。ナイスなタイミング!さっそく出かけてきました。

ワクワクでおじゃましたのは、東京八王子市にある磯沼ミルクファーム。東京に牧場が??京王線の山田駅から歩いて5分、本当に牧場がありました。たくさんの牛が自由に歩き回っています。ゆったりした雰囲気で、のびのびした気分になってきます。

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日本では「桜の花の咲く頃」に毛刈りをするそうです。でも今年は天候が変。そんなわけで羊の体調を考え平年より少し遅めの実施に。毛刈りをするのは静岡県で牧場を経営する豊岡さんご夫妻です。毛刈りにははさみとバリカンがあるそうですが、今回ははさみで。初めて見る毛刈りです。

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豊岡さんが羊をかかえます。羊って体が柔らかい〜!「イナバウアーもできますよ」。でも超柔らかいだけに押さえるのが大変そう。なんたって50キロ〜60キロくらいある羊。これはかなりの力とコツが要りそうです。「羊と人間がより掛かり合ってやるのがベスト」とのことでした。お腹側はまだしも首のあたりはかなり気を使うところ。「一番刈りにくい」そうです。また脚や手も細いので慎重です。


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刈るうちにピンクのきれいな地肌が見えてきます。
この地肌、触ると温かくポワポワして気持ちいい〜!!でも羊は、寒いのか、気分いいのか、人間にはよくわかりません。が、暖かいものを脱ぐのですから、ストレスではあるようです。

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刈ったフリース(一枚の布状にくっついてまとまった羊毛)は後ろへ後ろへ。ほんとに服を脱ぐように刈っていって、コートを脱ぎました、という感じのスリムな姿。「羊は寒くないんですか?」「痛くないの?」という参加者の声に、「よく羊は寒くないかと聞かれるけど、、、刈ってる私が風邪をひいていても誰も心配してくれないんだけどね」と、豊岡さん微妙・・。確かに・・。羊の数がユーラシアの羊圏と比して圧倒的に少ない日本では、羊は「ペット感覚」かも??日本独特の感覚かもしれません。

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フリースを広げる と、こんなにたくさん。重さは3キロ前後。触ってみると、かなりの脂分。このグリースは精製されてラノリンになります。羊って本当に、いろんなものを人間に与えてくれます。

参加者は紡ぎや織りの人たちだけに、フリースを見る目が違います。気に入った色合いや感触のものを選んで入手し、手紡ぎで糸にしてショールなどに。手紡ぎのものは、ふんわりとやわらかく、しかもとっても暖かいのです。

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なんかちょっと呆然とした感じの羊さん。でも、すぐに慣れるよね!牧場長手作りのランチも参加者の楽しみ。今回は、牛乳鍋、有機野菜サラダ、パン(美味!)、ヨーグルト。おやつは石焼釜で焼いたピザとキャラメル入りミルクでした。
by orientlibrary | 2006-04-29 01:59 | 日本のいいもの・光景

お洒落なワーヒーのシニアたち、帽子に織り込まれた風景とは

●杏の季節だしフンザにしようかなあ、と軽い気持ちで始めたフンザの記事。調べるうちに、ワハンから移動してきたとされる「ワーヒー(人)」が興味深くなってきました。フンザの中心地の人たちより、部族度が高いというか、パミール高原の民という感じがするというか、とても惹かれるものがあります。

e0063212_2120187.gif●たとえば、赤に黄色という目立つ色の帽子に白いショールをまとった年配の女性(←)。よく見るとピンクの服も茶色のカーディガンもお洒落です。

●この帽子はどうも当地独特のもののようです。作りや柄をもっと見たいものだと思っていたところ、ラッキーなことに「旅と絨毯とアフガニスタン」さんが「帽子コレクション」という記事で紹介してくださいました。アップで見ると全面に細かく刺繍されていることがわかります。


男性も負けずにお洒落です(↓)。グルミットでゆったりとたむろってる、「ワーヒーLEON軍団」、というより、LEONよりも渋くてかっこいいおじいちゃんたち。


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シャツ、セーターとジャケットの色合わせなどがセンスいいですね〜。そして全員帽子。これは山羊の毛?寒さがきびしいこの地では必需品かもしれません。

e0063212_21215416.gif●そんなわけでフンザの商店街でも、帽子を売る店をいくつも見かけました(←)。 写真の上の方の帽子は古いものかもしれません。新しいものは鮮やかです。注目は右の貝で作られたもの。山の中では高価なのでは?

帽子は、フンザに限らず各部族や民族でいろいろな形や素材、模様のものを見かけます。女性も、イスラム教徒でなくてもスカーフを被っているところがけっこうあります。

●きびしい自然の中で暮らすと、日差しや風や砂嵐をを遮ったり、寒さや多少の雨雪をしのいだり、頭回りのものは必須かもしれません。そしてこのような暮らしの品々にも美を徹底的に追求するのが部族の手作りのもののすてきなところだと思います。


●遊牧民の染織のフィールドワークで有名な松島きよえさんは、こう書いています。「部族意識が高い集団ほど衣服の刺繍も良く織物に専念し、デザインが冴えていた。これは大事なことである」。

●なぜならば「部族社会では勢力を増し権力地を広げるために他の人間に威信を示す必要」があったから。こうして重視されるデザインは「生活環境からモチーフを得ている。織り込まれた風景の描写は特色ある色彩と形を織り出す

●「遊牧民は互いに種族の象徴である織物を織り、権威を示した。自族の織物が他の部族の目に何度もさらされているという経験の積み重ねを経て色彩やデザインが洗練度を増し、それぞれの種族の象徴となっている。小さな家庭用品にも生活用品にどのような細部にも種族のシンボルを織り入れる。織物で種族の違いがわかる」。

●ワーヒーのおばあさんの帽子の模様は、どのような風景から生まれ、何を象徴しているのでしょうか。これからも少しづつ、イスラム圏の人々の美意識を勉強していきたいと思います。
by orientlibrary | 2006-04-23 21:34 | インド/パキスタン

桃源郷の少女たち

●フンザの農業は、アンズ、桃、リンゴ、ナシなどの果物の他に、ほうれん草、かぶなどの野菜、主食になる小麦などが生産されています。極度の乾燥地帯のため、農業は水の確保が最重要課題で、各部落にはりめぐらされた灌漑用水路など水の確保に大変な努力がされてきたそうです。

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●この子どもたちはフンザといっても、より北のゴジャール地区で出会いました。満開のリンゴの花の中に現れた無垢な表情の少女たち。なんとも牧歌的な光景ですが、彼女たちは背中に大きなポリタンクを背負っていました。日本にいると水の問題がなかなかピンとこないのですが、水汲みに多くの時間をさかなければいけない地域が世界にはたくさんあることを、このようなときに気づきます。

e0063212_235710.gif●この地域で見かける家はこのような石作りの家でした。

●いろんな地域でいろんな家を見ましたが、人はその土地にある材料で住居を作るものだなあと思います。自然の中に溶け込んでいるような石の家です。


●上部フンザのゴジャール地区では、小麦、豆類、アンズ、リンゴなどを栽培。夏は牧畜をして乳製品を作っています。ワーヒー人のバター作りは、中央アジアやチベットで見られるように乳を棒で撹拌する方法。7〜8時間撹拌して大人の頭一つ分くらいのギー(バター)が得られるそうです。

●フンザの住民のほとんどは、イスラム教シーア派・イスマーイーリー派に属するニザールー派のホージャ派だそうです(長い、、)。ゴジャール地域では,イスマーイーリー派関連の農村援助が行われているほか,村落内での共同作業も宗教施設を中心に行われることが多いといいます。また,イスマーイーリー派の発祥地の言葉であるペルシア語は,今もなお文化教養語としての地位を保ち、高齢者を中心にペルシア語を解する話者も多いとのこと。宗教に関わる言語は、空間を超えますね。

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●桃源郷フンザにたどり着くまでの道、カラコルム・ハイウエイは肝試しか、というくらい、激こわい

●巨石が今にも落ちてきそうな側と、絶壁からインダスの濁流に真っ逆さま側、どちらがいいですか!?
by orientlibrary | 2006-04-21 02:20 | インド/パキスタン

ワーヒーとフンザ 地形も歴史も人々も入り組んで魅力的!

●北方パキスタン、上部フンザと言われるゴジャール地区のグルミット、パスーなどフンザ川沿いの低地(といっても3000〜3500M)や氷河沿い。もうパミール高原の一角と言えるこのエリアに住む人たちはワーヒー人。数百年前にワハンから移住してきた人たちで、青い目に金髪の人もいます。フンザ人とは異なる文化や伝統を持ち生活は牧畜民的。これはこの地に移住する前のワハンや中央アジアでの牧畜生活の伝統に根ざしているからと言われます。

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●資料がないので間違いがあるかもしれませんが、撮影した場所と本の小さな写真から想像する限り、上の写真の人たちはワーヒー人だと思います。顔立ちも彫りが深くてエキゾチック。カラフルな帽子にショールをかけた姿が印象的です。
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●一方、「フンザ人(ブルーショー)はギルギット地区の住民の中で最も勤勉であり、また進取の精神に富んだ人々である」と本に書かれています。(『もっと知りたいパキスタン』)。観光基地でもあるギルギットのバザールに店を持ったり、ラーワルピンディーや遠くカラーチーまで進出しているといいます。起源は定かではありませんが、北方からの移住民で、イラン系だとする説が主流だそうです。


e0063212_183527.gif●フンザのミール(藩王)は「スリー」と呼ばれていたことがあり、これはサンスクリット語の尊称で「吉祥」「栄光」を意味する「シュリー」と関係があると言われています。

●また、ミールの宮殿のある「カリーマーバード」はアラビア語のカリーム(寛大なという意味)とペルシア語のアーバード(町)との合成語。う〜〜ん、さすがに地形と同じくらい入り組んでますね〜!!

●下の写真、これもはっきりわかりませんが、フンザ中心地のバザールなのでフンザ人ではないかと思います。上のワーヒー人とは顔立ちが違って(先入観もあるかもしれないけれど)イラン的?? それにしても、ストリートでミシン、イケてます〜!

●パキスタン北部、カラーシュ族とか、興味を惹かれる部族の人たちがたくさんいるんですよね。このフンザ編、住まいや自然など、もう少し続きます。

* 地図は『もっと知りたいパキスタン』(弘文堂)より。

more!カルガモ赤ちゃんズ&鯉
by orientlibrary | 2006-04-18 01:18 | インド/パキスタン

カラコルムの高峰に囲まれた桃源郷と呼ばれる山里 フンザ

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春の杏、夏の緑、秋の紅葉の美しさなど、「桃源郷」とも言われるパキスタン北西部のフンザ。けれども近代は 、イギリス、ロシアの「グレートゲーム」の舞台でした。1974年までは「ミール」と呼ばれる王のもとで半独立を保ってきた藩王国でしたが、74年にパキスタンに併合されました。広い意味ではカシミールの一部だそうです。

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●宗教はイスラム教シーア派・イスマーイーリー派。昔から「長寿の里」としても有名です。またこの地域の人たちが話すブルーシャスキー語は、系統不明語として世界中の言語学者からも注目されているそうです。1979年にカラコルム・ハイウェーが開通。観光地化が進んでいます。K2やナンガーパルバットをはじめとするカラコルムの山並みの雄大さと美しさは圧巻です。また「風の谷のナウシカ」の舞台となった場所としても知られています。(続く)
by orientlibrary | 2006-04-16 01:19 | インド/パキスタン

アフガニスタン 土の景に煌めく蒼のタイル

いつ頃から、何がきっかけで、アフガニスタンが気になり始めたのか、よく覚えていません。やはりタイルだったのかもしれないし、仏教美術が先だったかもしれません。けれども聞こえてくるアフガン関連の情報は争いのことばかりでした。そのうちに911が起き、アフガン空爆が始まり、長い争いや戦争で荒廃した町や村がテレビに映し出されました。

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そんななかでも、いや、こうなるずっと以前から、アフガニスタンで地道な活動を続けているのがペシャワール会の中村哲さんとその仲間たちです。

中村さんの講演を聞いたこともありますが、静かな話し方の中に強い意志があり、小柄な体にはエネルギーがみなぎっていました。現在は医療活動の他にも、「アフガン問題は先ずパンと水の問題である」という問題意識で、用水路建設を自らおこなっています。

送って頂く「ペシャワール会報」の楽しみのひとつは、表紙の甲斐大策さんの絵。最初は暗くて重い、と少し敬遠していたのですが、見るほどに引き込まれるようになりました。モノクロなのにアフガンの光を感じます。

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アフガニスタン文化研究所の研究会にも一度おじゃましました。所長の前田耕作先生のバーミヤン発掘調査のお話でした。前田先生のトークは「話術」と言ってもいいくらい、人を引き込む魅力があります。会員の皆さんも熱心で、文化を通しての交流を心強く感じました。

ニュースレターの表紙は「花咲くアフガニスタン」でした。4月のバーミヤンには杏や林檎、ジャガイモの白い花、菜の花などが咲き揃うそうです。バーミヤンにはかって巨木が繁茂していたといいます。そんなバーミヤンには緑化の計画もあるそうです。


海外のタイルの専門書や写真集には、アフガニスタンのものがかなり載っています。土色のレンガに蒼のタイルが映えて、心惹かれるものばかりです。

アフガニスタンのヘラートはタイル装飾の頂点であるティムール朝の都だったのですから、タイルが素晴らしいのは当然でしょう。

しかし日本では、アフガニスタンがタイルの文脈で語られることは、まずありません。残念なことです。絶対に見たいという思いが高まっています。でも、もう願いがかなわないものもあるようです。

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KOHSANにある“ MAUSOLEM OF TOMAN AGHA ”(1441)。タイルは少ししか残っていませんが、ドームが見事です。けれどもソ連の爆撃によって1984年にドームを完全に失いました。その直前に撮られた最後の写真です。

この他、本で見る限り、へラートのモスクのタイル装飾は、同時代のイラン・タブリーズ・ブルーモスク(トルクメン系王朝)の流麗さと比較すると、たしかに「知的で抑制的」に見えます。このあたりの比較にも徐々にチャレンジしていきたいと思います。そしていつか、実際に自分の目で見たい!

* 3点目の写真は『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』 より引用。
by orientlibrary | 2006-04-13 02:28 | ウイグル/アフガン

タイルのある光景 モンパルナスの家(フランス)

藤田嗣治の全画業を紹介する展覧会が、竹橋の近代美術館で開催されています。どちらかというと、工芸館の「花より工芸」展がメインだったのですが、花もきれいな北の丸公園のふたつの館に行ってきました。藤田展はテレビなどで紹介されたようで、すごい混みようでした。
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●洋画や藤田嗣治についてはほとんど知らないのですが、一生の間に多くの大作を残したエネルギーのある人だったんだなあと感心しました。しかも時期によって作風がかなり違うのです。最も有名なのはパリ時代の「乳白色の肌」と言われる優美な裸婦画ですよね。次の中南米時代のカラフルで大胆な絵も魅力がありました。

●しかし年配の方々には、国策により戦争の絵を描いた人としても記憶にあるようです。従軍画家としても活動し、各地の戦況を描いています。戦後はそのことが批判の対象に。失意のうちに二度目のパリ生活に入り、日本に戻ることはなかったそうです。

●彼の戦争画は暗く重い大作でした。確かに日本兵が凄みをもって描かれています。けれども全体を貫くトーンは悲惨さであり、とても戦意を高揚しているようには私には思えませんでした。ただ彼が習得した西洋画独特の重厚さが、結果的に戦争を美化した側面が、もしかしてあるのかもしれません。

e0063212_2164912.gif●二度目のフランス移住後、主なテーマのひとつとなったのが子どもです。描かれた子どもたちは皆ひたいが広く目が吊り上がり気味で今で言うと奈良美智の感じ。そこで、タイルを発見!

絵タイル「小さな職人たち」は、油彩でハードボードに描かれたもの。子どもが靴屋、額縁屋など大人の職業にいそしんでおり、独特の世界を醸し出しています(←)。

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モンパルナスのカンパーニュ・ブルミエール街にあったフジタの家の壁一面を飾っていたそうです(→)。

●展覧会では、一番上の写真のように、現存するタイルで壁の一部を復元し、その上に当時の住まいと同じように絵をかけて雰囲気を出していました。

●フジタ展でタイルに出会えるとは思っていませんでした。イスラム圏主体の当ブログのタイルのある光景としては少々異色ですが、絵も幻想的で面白いので掲載したいと思います。

*写真3点はすべて同展カタログから引用しました。
by orientlibrary | 2006-04-10 21:16 | タイルのデザインと技法

タイルのある光景 ウッチュ(パキスタン)

聖者廟「ビービーシャビンディー」のあるウッチュ。宗教的な雰囲気が濃厚な街。
蒼い空に緑の椰子が揺れ、強烈な日射しの中を黒の衣装を纏った女性が歩いていく。
水場で遊ぶ子どもたちの表情は無垢。そしてウッチュのタイルは水の色のような蒼。

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by orientlibrary | 2006-04-09 08:08 | ムルタン・蒼のタイル

『夢の花園』・・・タフテ・ソレイマーンのタイルとの邂逅

「タイルが好き」等々、常日頃からアピール?していると、関連する本や資料を貸してくださるやさしい方々があります。ありがたいことです。

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最近お借りした強力ラインナップ。『遊牧の民に魅せられてー松島コレクションの染織と装身具』は絶版ということで騒いでいましたが、Mさんにお借りして無事コピーがとれました。写真はもちろん現地のスケッチがとて〜もいいのです。

雑誌『HALI』は、知る人ぞ知る?絨毯・布・イスラム美術の専門誌。専門性が高く写真も綺麗。定期購読の価格がかなり高いので迷っているうちに今に至りましたが、S姫が特に評判のいいバックナンバーを貸してくれました。昆虫染色や渡り鳥の柄などマニアックな話題満載でした。

そしてロゴの字がレトロな『夢の花園』。トライブなSさんが何気なく貸してくれたものですが、見てびっくり、私にとっては本当に「夢の花園」でした。

序文によると、この本は「イランを代表する叙情詩人ハーフェズ(1390年没)の没後600年を記念して出版された美術工芸品の写真集の日本語版」。収録された作品のほとんどが、ハーフェズと同時代に作られたものか、彼にちなんで後世制作された作品であり、いずれも「イラン国内の博物館所蔵の代表的な美術工芸」なのです。

イスラム美術の宝庫、テヘランの国立博物館では「所蔵品図録はない」と言われがっかりでしたが、これは日本語版まであります。しかも14世紀のイランといえば、タイルや陶器が素晴らしいのです。奥付を見ると3000部限定。これが「飛行場に売ってた」とか。買える時には買えるってことですね・・。

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さっそく見てみると、クルアーンやハーフェズの詩集をふくむ写本や書が多く、織りや木工も。そして、、、ありました!陶関係!陶のミヒラーブの解説!タイルの銘文!ソルターナーバード(現在のアラータ)の陶器の解説もガラス陶器博物館で買った英語パンフより詳しい!そしてタイル!以前、どたばたしながらもご紹介した「ラージュバルディーナ手」のタイルやレンガが載ってる!ラスター彩タイルに描かれたどう見ても絵にしか見えないカリグラフィーの日本語訳まである!

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タイルに関しては、>イル・ハーン朝の宮殿タフテ・ソレイマーン(1270年頃)のものが多くありました。西イラン旅行時に訪れましたが、一面の雪景色ということもあり遺跡としてはきちんと見ておらず、タイルに関しても、こんなにいろいろあることは知らなかったのです。

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そんなタフテ・ソレイマーンについて調べているうちに、興味津々の研究を見つけました。中国の「龍」のモチーフがイランに定着する過程や、イランとトルコにおける龍の象徴性や表現の違いなどのスタディです。以前から気になっていた点なので嬉しい!長くなってしまうので、詳しくは次回にしたいと思います。

*写真=「タフテ・ソレイマーン全景」は同ポストカードより。「星形タイル」は型押しされた草花模様。「六角形タイル」は型押しによるライオン。いずれもラージュバルディーナ手。タフテ・ソレイマーン。『夢の花園』より引用。
by orientlibrary | 2006-04-06 00:18 | 至高の美イランのタイル

勝手にコラボレーションwith「U2」。ボノ(さま)に似合う場所

勝手にコラボレーション、今日は大胆不敵にもwith「U2」! どうしてって、、ほんとだったら今頃はU2的テンションが最高潮のはずだったのです。>but、、来日中止(延期)、4月4日(日本ではこの日のみ)のコンサートはキャンセルに。がんばってチケット取った時に限って、、ま、こんなもんです(諦念)。そこで、代わりにU2のイメージに合う写真を探してみました。私の写真は南のものが多いので、選定に相当の苦戦。そんななかからの2点です。

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インド・ダラムサラの「ノルブリンカ・インスティチュート」。亡命政府のあるチベット難民の町ダラムサラにあって聖域(サンクチュアリ)のような場所。敷地内は緑濃く、花々は咲き乱れ、カラフルなチベット建築の施設が点在していました。社会的な活動をしているボノ(さま)との関連で。

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もうひとつは、このところ続いている東トルコからになりました。バザールの光景。ずっしりした古い青の秤が頑固な感じ。生命力ある果物との組み合わせにU2を感じました。皆さんのご感想はいかが!?
by orientlibrary | 2006-04-05 00:43 | 中東/西アジア