イスラムアート紀行

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北イタリアの山荘、バスルームの飾りタイル

●絨毯会議「『carpet magic』を読む会」は、ますます快調。

●「もうすぐラマダン」というコアな話から始まって、絨毯需要とヨーロッパ経済及び移民問題、ペルシャ絨毯とトルコ絨毯のビジネス感覚の違い、男性が織る国・女性が織る国について、絨毯のケミカルウオッシュにおける酵素の役割や酸とアルカリについて(このあたり化学の授業を思い出した)等々、いつも通りディープに展開。あっという間の2時間45分。

●そして今日は、マドンナSさんが「土(ツチ)族さんに」と言って、珍しい写真を見せてくれた。
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●1920年代頃の北イタリアの山荘のインテリアなのだが、バスルームの壁面がタイルや陶器の皿で飾られている。トルコあたりのものだろうか。こういうのも、前回勉強したヨーロッパのオリエンタリズムの一例なのかな。バスルームなのに絨毯が敷かれているのもすごい。e0063212_1195330.jpg

●山荘の主、ダヌンツィオ氏はイタリアの詩人。多くの戦争に参戦もしている。波瀾万丈の人生だったことは確かなようだ。この山荘にこもってからは、酒と麻薬の引退生活を送ったらしい。

●バスルームをオリエントのタイルで飾る感性と波瀾万丈の人生との関連はよくわからないが、ダヌンツィオさんと取り巻きの無政府主義者が発布した憲法の中身は「国家の最高原理は音楽だ」だったという。

●Sさん、情報どうもありがとう! 今日は憂無庵さんご推薦の『美の幾何学』もアマゾンから届いて、近々にスタディ開始。 タイルLOVEの日々は続くのだった。
by orientlibrary | 2005-09-30 01:09 | タイルのデザインと技法

モザイクタイル in JAPAN

●日本にも、すごいモザイクタイルの空間がある。それはスペイン料理のレストラン。埼玉県の川越市にある「西班牙市場」。初めて訪れたのは98年だからもう7年も前になる。その後2000年にもお邪魔している。しかし、それから時間がたっているので、内装や店には変化があったかもしれない。それを前提に、今回は当時の驚きをご紹介したい。

●店の広さは体育館くらいある。事情あって、その内装すべてをオーナーとスタッフで手作りで仕上げることになった。材料はほとんどが瓦、土管、古材、料理に使った貝殻など「不要になったもの」である。テーブルや椅子もすべて手作り。そのスケール、ディテール、独創性など、すべてがぶっ飛んでいた。

●床や壁はモザイクで仕上げていた。近所の人やお客さんも手伝ってくれた。2回目に訪れたときは、カンカンカンカンと外で瓦を割っていた。オーナーとスペイン人のシェフたちだ。暑い昼下がり、腰に蚊取り線香を下げてひたすらカットしていた。店は進行形で作り続けており、当時は銀座に出す店の準備もしていたのだ。料理を作ろうと思ってきたシェフたちも、タイル作りに精を出していた。

●また料理が旨い。それもそのはず、オーナーは本場スペインのパエリアコンテストで日本人で初めて優勝した人で、内装の資金を捻出するために、当時もイベントに出かけては大鍋でパエリアを作っていた。圧倒されつつ、心地よく食と空間を楽しんだ。

●あと日本のタイルの聖地、愛知県常滑市のINAX「世界のタイル博物館」周辺には貝殻や木の葉を埋め込んだ小道のあるトイレパークがあります。大好き!!!タイル博物館。ガラスケースに顔をくっつけて必死で見ました。そろそろ再訪したいな〜。
by orientlibrary | 2005-09-28 23:59 | タイルのデザインと技法

おおらか!アジアン・モザイク

●タイルのご縁で当ブログに遊びに来てくださったvanillaleafさんが、皿や陶器を使ってモザイクしてみようかな、と楽しそうなプランを書いてくださっている。

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●それで思い出したのがアジアのお寺。タイの寺院などでキラキラ輝く陶片の壁面装飾だ。「今こそスタディ」カテゴリー・05年2月の「汎アジアの陶磁交易」(講師:坂井隆さん)、先生の講義を私なりにまとめたのだが、その中にこんなお話があって、タイル好きの私は耳をそばだてた。

●「突然登場したベトナムタイルの発注とプレ・イズニークとの関係は、まだ不明である。西ジャワ寺院の”皿の壁面装飾”(デルフトや肥前も使われている)、19世紀から始まった”陶磁片モザイク”、東ジャワのトウバン聖人廟には四角いタイルが貼ってある。イズニーク職人がシリアなどに拡散したのは17世紀。インドネシアでのタイルはまだ不明な点が多い」(メモを元にしているので正確さは確実とは言い切れません。ご了承を)。

●イスラム世界で華麗に展開したタイルモザイク、同じイスラム国であるインドネシアも何らかの影響を受ける可能性がある。そしてそこでタイルを細かく刻むのではなく、身近な皿を使ったのだとしたら、そのこともまた興味深い。しかし、タイの寺院やベトナム等との関連は私には現在わからない。

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●ただ、皿を壁面装飾に使うというアイデアは、世界各地に散見するのではないかと思う。陶器はアジアの明るい陽光にキラキラ光る。精緻なモザイクタイルは王侯貴族や富裕層の権力の象徴でもある。庶民が陶器で壁面を自分流に飾るのは、自然な流れのようにも思える。実際のところ、どうなんでしょうね?!?

*壁面に皿(光ることを活用し目印等何らかの目的で使用?)。シリアにて。
by orientlibrary | 2005-09-28 00:58 | タイルのデザインと技法

スーベニア VS かけら

●フェズのタイルは中世の技法が今も受け継がれているようだ。

e0063212_1553610.jpg●タイル工房では煙がモクモク。粘土を四角形に型どりして焼き、焼いたタイルをモザイクにカットしていた。積み上げられた色とりどりの陶板の質感にドキドキ、タイルの街だなあ!

●併設のお店があり、さまざまなおみやげ物を販売。わ〜っ、タイルが買える!!と喜んだのだが、、、なぜか欲しいと思えなかった。手の込んだものもあったが、何かが違う。タイルでもないし、でも陶器でもない感じで、困った。

●仕方なく色見本と思っていちばん小さいのをいくつか買ったが、けっこうEASYな仕事(左側のもの。3㎝×6㎝くらいで5−7ドルくらい。5年ほど前)・・・

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●がっかりして外に出て、工房の中をぶらぶらしていると、、ゴミ置き場のそばに何かが、、えっ!タイルのかけらが・・・落ちている!。私を呼んでくれたのね〜!一緒に日本に帰ろう、と拾ってきたのが右のもの。

●かけらの方がイメージが沸く。土の質感もいい。ふふ・・・LOVE&LOVE・・ケースに入れて大事に飾ってます。
by orientlibrary | 2005-09-27 01:40 | タイルのデザインと技法

フェズのアラベスク

[タイルフォトギャラリー(4) モロッコ-1]

●パキスタンがイスラム・タイル世界の東の端だとすると、モロッコは西の端。精緻なタイル装飾が素晴らしい。
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●北アフリカのイスラム世界、いわゆるマグレブでは、中世のナスル期とマリーン朝の時代に、幾何学模様やモザイクタイルが発展した。宮殿やマドラサはカラフルなタイル装飾で目も眩むよう。しっくい装飾との組み合わせも独特。

●タイル装飾は精緻だが、赤や黄なども用いて色が明るく豊富であり、幾何学模様のバリエーションも多彩。アラベスクのリズミカルな展開もどこか軽やかで、お洒落感がある。

●素晴らしいタイルを見るなら古都のフェズ。フェズは9世紀に北アフリカ初のイスラム国家の都として建設が始まった。この時期の旧市街は世界一複雑な迷路と言われ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。また13世紀にできた新市街には王宮や多くのモスクがある。

●フェズのタイルの白眉であるムーレイ・イドリス廟、カラウィン・モスク、アッタリーン・マドラサ、ブー・ジュルード門などのタイルは、西方イスラム世界の洗練と都市の活気を今に伝えている。
by orientlibrary | 2005-09-26 02:42 | タイルのデザインと技法

スイーツに国境はなし!

「絨毯を洗う会」、洗ったあとのお楽しみ、お茶&スイーツタイム。

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紅茶の砂糖はそのままかじるのもOK、紅茶に浸してもOK。黄色いのは羊のラードで作ったクッキー。サクサク溶けるように軽くて新食感。銀色の包みの中はピスタチオのソフトヌガー、ふんわりやさしい味。ピスタチオの緑がヌガーの乳白色の中で鮮やか。

そして、う〜〜〜ん、何てベストな!!イランのナツメヤシ!! みずみずしくて「半生」という感じ。ドライのものしか食べたことがなかったので、ジューシーさに驚いた。

気分は一気に西アジア。でもナツメヤシは羊羹的な味わいもあり、紅茶だけでなく緑茶とも合う。スイーツに国境はなしだなあ。こういうふうに床で食べるスタイルも好き。座の語らいもいいな。

タイル、スタディ中につき、なかなかアップできず、です。でもブログを始めたおかげで、やっとエンジンがかかってきて、毎日コツコツing! 
by orientlibrary | 2005-09-25 02:26 | 絨緞/天幕/布/衣装

絨毯を洗う

● 色が泣かないように!

世の中には、いろんな分野があるものだと思う。絨毯会議の「メンテナンス分科会・絨毯を洗う会」。絨毯のクリーニングを実際に体験する。長年、このお仕事に専門に携わってこられた追分さんの会社で開催。見たことのない道具がたくさんあって興味津々。絨毯の本場、イラン人技術者の皆さんの動きが頼もしい。

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行程は、まず大豆石鹸や酢酸などを使いポリッシャーや手で洗い上げる。さらにたわしなどで汚れを取る。脱水は要になる作業。絨毯の種類によって、遠心分離器やクワを使い分ける。もう水分はないように見えても、クワで水を掻きだすようにすると大量の水が出る。イラン製のクワ、すぐれものだ。

重くて大きい絨毯、体力もいるが、色が落ちない工夫など繊細さも必要だ。色がにじみ出ることを「色が泣く」と言うらしい。専門用語って、ホント臨場感ある。
こうして洗い上がった絨毯は色も鮮やかで生まれたてのよう。屋上で広げて1日くらい干して完成。

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●ペットは手織り絨毯が好き!

その後、紅茶とイランのお菓子を頂きながら、絨毯のメンテナンスについて議論が盛り上がる。

絨毯に関する知識がまだまだ少ない日本、シミ抜きなどは素人はシャツと同じように簡単に取れると考えているが、大変な手間がかかるそうだ。また、草木染めと一口に言ってもいろいろなものがあるようで、クリーニングもむつかしいものらしい。大事な絨毯には、それなりの使い方が必要なようだ。

面白かったのは、ペットと手織り絨毯の関係。ある販売の方の実感では、「絨毯を持っている人の4割がペットを飼っている」と言う。犬や猫は手織り絨毯が大好きで、「猫なんかは半狂乱になって喜んでいる」という報告も。羊の毛がペットを癒す。遠い野生を思い出すのか?! 
嬉しさのあまり絨毯の上でおしっこをしてしまうペットも。そんなときのとっさの処置、匂いの消し方など、ディープな報告や質問が続く。いろんな世界があるなあ、と今日もまた感心の一日だった。
by orientlibrary | 2005-09-24 02:22 | 絨緞/天幕/布/衣装

リアルのちから

● 「好き力」と「語り部」待望論
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スウエーデンのインテリアやアートを日本に紹介しているHさんと話す。私は北欧はあまり知らないし、率直に言って強い関心があるわけでもない。でも、Hさんの話を聞いていると、「スウエーデンもいいな」と思えてくる。
多様なメディアからの情報があふれる社会だが、やはり生の人の声は強い。そして思いの強い人の話には説得力がある。「好き」ということが伝わってくることが大きい。その人をつき動かす「好き」に同調したら楽しいかも、何かあるかも、と思わせるものがある。情報というもの全般に言えることかもしれない。いろいろな分野で「語り部」が待望されている。

● 土地の人が演じる、強烈なリアリティ

「酔っぱらった馬の時間」のゴバディ監督の、イラク北部クルド人の小さな村を舞台とした「亀も空を飛ぶ」。2003年のアメリカのイラク侵攻前夜を、リアリズムと幻想を混在させたタッチで描く映画だ。
村の子供たちのリーダー格でサテライトと呼ばれる少年、難民で両腕のない少年、哀しい瞳の少女、目の悪い赤ちゃんなど、出演者の大半は子供で、かつ全員が地元住民、つまり素人だ。
皆、難民キャンプや街中で探した。地雷などの犠牲になり障害のある子があふれるこの地域だが、役のイメージに合う子供を捜すのに3ヶ月もかかったと言う。イランのキアロスタミ監督の映画でも、よく素人が主人公や重要な役を演じていて、それがその人しかあり得ないようにはまっている。演技とか役者って何だろうと思ってしまう。
「私は単に手足のない子供たちを探していたのではありませんよ。あなたがあそこを訪れたら、ものの5分間で多くのそういった子供たちと出会うことでしょう。私は彼らに演技を指導するのではなく、彼ら自身が持つ個性をフィルムに収めるだけです。あなたが映画で見たものは、彼らそれぞれの実際の人生だと言えます」(ゴバディ監督。公式サイトより)
「亀も空を飛ぶ」という変わったタイトルは、「甲羅のように重荷を背負って生きる姿、つまりクルド人」をイメージしている。「空を飛ぶ」に込められた希望が重い。岩波ホールで上映中。

*写真はイラン・シラーズのハーフェズ廟タイル
by orientlibrary | 2005-09-23 01:30 | 社会/文化/人

西域への憧れ [イスラム俳句の試み(2)] 

  玉虫に乗り西方へひとっ飛び

●正直言うと、若い頃はアメリカやヨーロッパの文化が好きだった。それ以外の多様な文化について知りうる機会が少なかったとも言える。しかしイスラム圏への旅行をきっかけに、その後ジワジワ嗜好が変わり、今ではイスラムおたくを自認する「変わり者」である。日本ではとかく誤解されがちなイスラム文化。正倉院のルーツはペルシアと言うと「ステキ!」となるが、イランと言うと途端にウケが悪い。同じ国なのに。玉虫厨子もビックリ。季語は「玉虫」で夏。

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   全身に受く祝福のトマトかな

●ヨーロッパの中でも南ヨーロッパには、何となく親近感がある。これはテレビで見たのだが、南欧のある町で、収穫を祝って町の人全員で真っ赤に熟れたトマトを投げつけ合っていた。半端な量ではない。トラック満載のトマトが何台も集まる。町中がトマトでグチャグチャになり、大人も子供も全身ベトベト。祝福のトマト。これはいいな。このノリがいいな。季語は「トマト」で夏。 (いずれも02.08)
 
*写真はシルクロードのオアシス都市・ホータン。麺のふるさととも言われる。多彩な麺の屋台がバザールで味を競う。
by orientlibrary | 2005-09-22 00:38 | ウイグル/アフガン

モザイクの構成

[タイルフォト・ギャラリー(3) 「シャー・ルクネ・アーラム」-2]

●青のタイル装飾が壁面を覆うムルタンの「シャー・ルクネ・アーラム」ディテール。無彩色の煉瓦とその中にはめ込んだ青緑(ターコイズ)釉タイルとを組み合わせた幾何学模様。デザインに合うようにカットしたものを組み合わせている。(右下図参照・『ISLAMIC ARCHITECTURE OF PAKISTAN』)

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(Mausoleum of Rukn-i-Alam /Multun/ 1320-24)

●日本でもタイルの本が出版されている。『イスラームのタイル』(INAXギャラリー)は、私にタイルへの目を開かせてくれた大事な本。タイルへの愛情や敬意といったものが底流にある本だと思う。またTOTO出版の『タイルの美 イスラーム編』も日本の研究者の方が書かれた貴重な本。ただしイランとトルコがメイン。パキスタンについて書かれた日本の資料を見つけるのが困難。

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●しかし、英語の本にはかなりいいものがある。
*『ISLAMIC ARCHITECTURE OF PAKISTAN』(NATIONAL HIJRA COUNCIL PAKISTUN)
*『The Art of the Islamic tile』(Flammarion)
ただ、こういう原稿の参考にしょうと思うと、用語も独特で、キツイものがある。違っていたらスイマセン! やりながらスタディしてるので、1年後くらいには何とかなってると思う今日この頃です。ふ〜〜〜・・・・
by orientlibrary | 2005-09-21 01:46 | タイルのデザインと技法