イスラムアート紀行

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カテゴリ:美術/音楽/映画( 46 )

夏映画その1/「ソウル・パワー」&クバ王国の布

◎梅酒と煎茶

冷んやり、という言葉が魅力的に感じるこの頃。常滑(愛知県)の酒文化、急須文化を楽しもうという会がありました。そこにあったのがこの瓶。「水」がテーマのイベントだけに、中には旨い酒を生み出す常滑の水がなみなみと入っていました。ガラスも涼しげで、冷んやり気分です。

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日本酒の古酒で作った「梅酒」は、深みがありまろやかで、とっても美味でした〜!急須で煎れる煎茶もいただいたのですが、そのテーブルにあったのがこの茶碗(の部分)。800年前のものだそうです。土味がいいですね〜。飾りとはいえ、実際に使っていることに魅力を感じました。
常滑は日本六古窯の一つであり、その中でも最古で最大。焼き物・・良き土と水と火が生み出した日本の美ですね。

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◎ ソウル・パワー

熱い映画でした。「ソウル・パワー」。1974年、アフリカのザイールで開催された伝説の音楽祭の映像。2009年に34年の時を経て公開されました。若きモハメド・アリのインタビューから始まり、コンサート開催までのドキュメンタリー、実際のライブの映像など、最後までテンション高く盛り上がります。

時代を考えると、黒人解放運動のこと、自分たちのルーツであるアフリカで演奏することの誇りと喜び、「ブラックネス」に誇りを持ち価値を発見してゆく様子、当時の興業のこと(チャレンジングなこのコンサートに投資したのはリベリアの投資家(だったと思う))など、細部も興味深いものがありました。

そして、ジェームス・ブラウンなどアフリカ系アメリカ人ミュージシャンたちのライブが、とにかく素晴らしかった。何よりミュージシャンたちの表情が良かった。歓喜、高揚、充足感が伝わってきました。晴れ晴れとした健やかなパフォーマンスという印象でした。アフリカの大地と観衆の力なのかな。

ザイールと聞いて思い出したのが、「ラフィア布」(椰子科の植物ラフィアの若芽を糸にして織り上げた布)のこと。ザイールって、現在のコンゴ民主主義共和国ですよね。

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(ラフィアを使った「草ビロード」と呼ばれる儀礼用の布。ビロードに見えるとことからその名がついている)

そのコンゴには、モダンアートを思わせる多彩なテキスタイルがあり、クレーやマチスなどヨーロッパのアーティストたちも触発されています。それを知ったのが、2年前の「美しい世界の手仕事プロジェクト アフリカの布展」のときでした。

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(ラフィア布。アップリケの色合いやデザインが楽しい。躍動感)

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(100枚以上のコレクションの展示準備。目眩のするようなラフィアの海でした。というか、本当に目眩がして船酔い状態に)

コンゴといえば、首都キンシャサの路上音楽集団の映画「ベンダ・ビリリ!〜もう一つのキンシャサの奇跡」も9月公開。こちらも楽しみです。

クバ王国の布については、「コンゴクバ王国の布」(部族の絨毯と布 caffetribe)でも紹介されています。ご参照ください。
by orientlibrary | 2010-08-10 11:46 | 美術/音楽/映画

聖者の宮廷講 イスラーム、スーフィズム、ジュヌーン

「伝説のスーフィーロックバンド“ジュヌーン”以降パキスタン大衆音楽はいかに発展してきたか?音楽と詩の力で“愛と平和”を実現するために?若き音楽研究者の声を聞き逃してはならない」との硬派で魅力的な呼びかけに参集した音楽好き、70名弱。

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(サラームさんツアーがアミール・フスラウの墓廟を訪ねたときに購入した布。カリグラフィーがびっしり)

当ブログでも何回かご紹介してきた「聖者の宮廷講」、今回は22歳の大学生・野上郁哉君(ウルドウー語専攻)が一癖も二癖もある大人たちを前に語ります。内容は、「パキスターニー・ポップ・ミュージック 〜イスラームとスーフィズムのパースペクティブから見たジュヌーン(junoon)登場以降の発展とその課題〜」。

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(野上氏企画編集の音楽雑誌創刊号。現在3号に向け始動中とか)

野上君は、数年前から自分で企画取材原稿営業まですべておこなう音楽雑誌「oar」を発刊してきたツワモノ。発表後には、ワールド音楽評論やDJで大活躍のサラーム海上さん、パキスタン音楽研究の堀江弘道さん、南西アジア文化研究の村山和之さんなど、これまた濃い〜人たちがコメンテーターとして待ち構えています。

発表は、『HEAVY METAL ISLAM 』という本(中東6カ国のヘビメタをはじめとする音楽事情が書かれている)のパキスタンの章「愛と平和を実現するために」の紹介からスタート。貧困と暴力と宗教的過激主義が混在するラーホールで育ったジュヌーン(1990年にデビューしたパキスタン伝説のスーフィーロックバンド)のメンバーは、自由、愛、希望への熱望を歌に託しました。その際に取り入れたのがスーフィーの歌詞や考え方です。

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(『HEAVY METAL ISRLAM 』)

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(『HEAVY METAL ISRLAM 』の中の写真を映しました。モスクの前の広場のようですね)

「ジュヌーンは社会批判をずいぶんしたバンド。政治的社会的批判を歌詞に取り込みました。スーフィーの詩の持っている力や民話のストーリーを借りて、暴力を使わない魂の平和を求め伝えたのです。それをロックに合わせてやったのが新しかったしカッコ良かった」(BY野上君/速記のメモなので細かい部分はちょっと違うかも)。

パキスタンの音楽の歴史も。アミール・フスラウ(カッワーリーを作ったとされるスーフィー詩人、政治家)、大衆的なガザル歌謡、カッワーリー(宗教儀礼で歌われる陶酔の音楽)、カーフィー(音韻叙情短詩)、フォークミュージック、1940年代頃からの映画と融合したポピュラーソングからジュヌーンやMEKAAL HASSAN BAND(ジャズと南アジア音楽のフュージョン)に代表されるスーフィー伝統を取り入れたバンドの登場までを概観します。

そして野上君のテーマである「イスラームにおける音楽の是非」に移ります。なぜイスラームにおいて音楽は否定されるのか、その根拠は?クルアーンやハディースにおけるその記載を探しますが、厳密には「ない」ようです。ハディースに無益なものと書かれた部分があるくらいで、結局よくわからない。そしてわからないままCDショップの爆破などが起きています。「イスラームの名の下に、パキスタンではこの3年間で800軒の音楽店が焼かれ、楽士が殺された」とチラシにも書かれています。未解決の問題のようです。本当に本当に残念なことだと思います。

90分、映像も取り入れながらの発表が無事終了。堂々としていて良かったですよ。コメントも各人の経験や視点が光ってました☆

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(村山さんが蒐集した80〜90年代のパキスタンのカセット。そういわれてみれば、私もつい買ってましたね、カセット)

その後、村山さんによる「パキスタン・非CD音楽の旅」。村山さんが蒐集した1980〜90年代のパキスタン音楽のカセットテープを聴かせてもらいました。カセットが今も生きるパキスタン。2009年8月時点でも63%の人がカセットで音楽を聴いているそうです。(数字細かいですけど、、こういう調査があるってことも不思議でおもしろい)

「当時ジャケ買いしたカセットを今取り出してみたら、最近ずっと探していた貴重な音源が入っていたりして驚いた。CDにできない、ならない音源は現地ならではの臨場感があり、深い。今になって価値がわかった」と村山さん。

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(カセットを聴きながらphotobooth〜プロジェクターでジャケを見る。頭いい〜!)

みんなでカセットを聴いているうちに、サラームさんがMacのPhotoBooth通しでスクリーンにジャケットを映してくれました(なるほど〜!これは便利!)。個性満開のミュージシャンのビジュアルを見ながらの、村山さんの深くて味のある語り。こういう音楽の聴き方もいいですね〜。

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(ワールド音楽熱中人たち)

さらにサラーム海上さんの、「ラジャスターン 伝統音楽舞踊10日間の旅」(昨年末〜年始。サラームさん企画&添乗。独自のコンサート3つ。私も行きたかったな〜!)の写真や音像紹介。サラームさんのグイグイと惹き付ける語り口、豊富な知識、シャープな視点に感心しているうちに、時間があっという間にたってしまいました。

音楽家のコロニー(芸術家村のようなところ)の写真も良かったし、その場で盛り上がって歌ってくれたようなノリの「Allah Hoo」が最高でした!!リラックスした楽士たちの表情も良かった!現地で聴けた皆さん、良かったですね。ホント、こういうの、PRICELESSです。

この時点で4時間半ほどが経過。その後、恒例の「宴」。実際に音楽をやっている人も多く、音楽やインド、パキスタン、中東の話で夜は更けていくのでした。

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(宴会。手前のトルコものに注目!いちじく、ヴァクラヴァ、甘くないバナナチップ、オリーブ、そしてイランのバムの最高級半生デーツ。ダンディMさん、ごちそうさま〜☆)

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(こんなカセット集も展示されていました。トルクメンのフォークソング。模様がいいですね)
by orientlibrary | 2010-02-09 02:23 | 美術/音楽/映画

広尾でスーフィー音楽を聴く

●このところ、「部族の赤い世界」の展示を見たり関連のトークを聞いたりする機会が多く、赤を意識することが多い日々でした。そして先日、展示会場で、赤い絨緞の王様的なトルクメン絨緞をカットした小さなラグが椅子にディスプレーされていたので座ってみたところ、なんだか身体がぽかぽかと暖かくなってきました。あったかくていいわ〜と、いくつか違う柄のものに座ってみましたが、なぜかぽかぽかするのはその柄のときだけ。この柄と相性が合うのかも、と購入。パソコン前の椅子に置いて座布団がわりに使っています。

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(部族の赤い世界)

●その後におきたちょっと不思議な現象、、別に気持ちの悪いことではなく、ちょこっと不思議な体験なのですが、このラグと関係しているのかも!?トルクメンのギュル(文様)、、強いです。良い気をもらってパワーアップしたいです。

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(塗りの赤も)

●部族の織物にはたしかに赤が多いと感じます。一方、私が見ることの多いのはいわゆる「イスラムの青」。建築物は青の世界です。「赤い織物」と「青いタイル」、対照的なのですが、エリアとしては西アジアや中央アジアなど、同じ地域にあります。基本的には材料の要因が大だと思いますが(赤い染料としての茜やコチニール、青い釉薬としてのアルカリ釉や呈色剤としての銅)、暮らしの中の色と権力者の色、部族的嗜好と宗教的な象徴性、などが、もしかしてあるのかもしれません。そのあたりを調べるのもおもしろそうです。

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(パキスタン・ムルタンのタイル。異なる青の組み合わせが魅力的。黄色、茶色、白なども使いますが、やはりタイルは青が主役)

●といいつつ、ほとんどスタディできておらず、、でも本は見ると買ってしまうので、読むべき陶芸関係の本がたまる一方。中身をご紹介できないので、写真で表紙を、という苦肉の策を弄する私です。

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(スタディ要!陶芸関連の本)

●そんななか、パキスタン大使館でおこなわれたパキスタン&日本文化祭に行ってきました。パキスタン大使館は広尾の有栖川公園近くにあり、コンクリート打ちっぱなしのシャープな建物です。土着的、あるいはイスラム的な建築を予想していくと意外な感じがしますが、スッキリ感もいいなと思います。南麻布のイラン大使館もとってもキレイ。大使館の印象って、国のイメージに影響を与えると思いますし、カッコいいのは大歓迎!

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(パキスタン大使館で。工芸品の紹介)

●文化祭では、中庭で飲食を楽しむことができ、ホールでは音楽などが紹介されていました。私が参加したのは、パキスタンのスーフィーやスーフィー音楽についての紹介イベント。ダルガー(聖者廟)でのウルス(聖者の命日祭)でのカッワーリー(宗教的儀式で歌われる集団歌謡)の貴重な映像では、ファイズアリーファイズ、メヘルアリー&シェールアリーのパフォーマンスを見ました。命日祭での歌唱ということもあり、テンション高くて迫力です。

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(スーフィー音楽パフォーマンス)

●そして、ラホールでスーフィー音楽家に弟子入りし学んでいるTさんご夫妻(日本人)による歌と演奏がありました。パンジャービー語での歌には心がこもっていました。そして私も大好きな「Allah Hoo」では、途中日本語の歌詞での歌唱もあり、グッとくるものがありました。

●最後に、パキスタンで人気があるという音楽番組「COKE STUDIO」から、スーフィーフォークのSAIN ZAHOORやカッワ-リーのNIAZMAT RAHAT FATEH ALI KHANとロックバンドの共演の映像紹介。

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(「COKE STUDIO」、SAIN ZAHOOR)

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(「COKE STUDIO」、NIAZMAT RAHAT FATEH ALI KHAN)

これがカッコいいんです!テイストのあるロックというか、、。スーフィー音楽もロックも好きな私、相当きます。もっと若かったら一気にのめりこむところですが、さすがに無理(タイルのスタディでもヨレヨレしてる状態です、、残念)。タイルや陶器の話題が書けるように読み込まなくては!
by orientlibrary | 2009-10-20 00:49 | 美術/音楽/映画

磁器製人形に見る中央アジアの民族の衣装や暮らし

バロック、ロココあたりが苦手な自分の嗜好、よくわかっています。ひどいときには、気分が悪くなってきます。ヴェルサイユ宮殿などヨーロッパに輸出された蒔絵の展覧会(サントリー美術館)も、蒔絵だからと油断したら、ゴテゴテのクネクネに、5分も持たずに外に出る有様。

そんな私なので、不安を抱きつつ、でも磁器を見てみたいという気持ちで思い切って出かけたのが、『エカテリーナ2世の四大ディナーセット 〜ヨーロッパ磁器に見る宮廷晩餐会〜』(東京都庭園美術館)。これが、良かったんです。

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(展覧会チラシより)

私にとってロシアといえば、中央アジアに進出してきた帝国であり、ソ連邦として中央アジアを組み込んでしまった社会主義国であり、トルコを脅かし、シベリアの少数民族のロシア化を進め、アフガニスタンに侵攻し、、私に親しみのある国や民族の歴史を思うと微妙な感情も。

しかもエカテリーナさんの頃の歴史的背景には無知。でも、、展覧会は十分に楽しめました。ひとつには、民族的な要素が混ざっていたことがあると思います。展示の主役は四大ディナーセットですが、多彩な磁器製彫像があり、ロシア周辺諸民族の男性、女性が細密に表現されていました。

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(シリーズ<ロシアの諸民族>/カザンのタタール人の男、女/展覧会図録より引用)

「シリーズ<ロシアの諸民族>」は、18世紀末ロシアにおける様々な民族を代表する人々の職業の特徴と生活様式をリアルに表現した磁器製彫像(高さ20㎝前後)。<カザンのタタール人><カムチャッカ原住民><フィンランド人><エストニア北部の女>など、色鮮やかな磁器の人形に目を奪われました。

このシリーズはサンクトペテルブルグ帝室磁器製作所で制作されましたが、その元になったのが、『ロシア帝国に住む諸民族、さらにその生活儀礼、信仰、習慣、住居、衣装など記憶に値する諸事の記録』(1776-1777)という本。その中の色刷りの挿絵(著名で専門的な旅行家や学者の写生スケッチに基づき描かれていた)を立体的に表現したものなのだそうです。

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(シリーズ<ロシアの諸民族>/左=エストニア北部の女、中=ロシア人の農婦、右=キルギス人の女/展覧会図録より引用)

図録の解説には、「小さな丸い台座に立つ男や女の彫像に塗られた様々な色は、民族衣装の色に忠実な色合いであった」 「この磁器製の「人形」を詳しく見ていくと、各彫像の諸要素を入念に具体化しているのが明らかになる。例えば、<エストニア北部の女>におけるかぶり物の飾り紐の綿密な型どり、<カザンのタタール人の女>の衣装のビーズの細かい仕上げ、<カムチャッカ原住民の女>における毛皮外套の毛皮の入念な点描などがそうである」と記されています。

この丹念さを見ていて、キルギスのイシククル湖近くの博物館で見た陶製地図と現地の人を描いたと思われる絵付け陶板を思い出しました。名前は忘れましたが、ロシアの探検家を記念した博物館。記録という面では、探検や調査は功績がありますよね。

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(キルギスの博物館にて。探検ルートと年代が一目でわかる陶製地図。列強諸国の秘境探検が盛んだった頃ですね)
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(キルギスの博物館にて。探検家によるスケッチから制作されたと思われる絵付け陶板。上の地図の回りにあるもの。ラクダなどの動物や光景も。全部撮ってくればよかった、、!)

「シリーズ<もの売りと職人>」も魅力的でした。当時の様子を彷彿とさせるような、臨場感のある人形です。このシリーズは特別な人気を博したそうです。そして、「ロシアの諸民族シリーズ」と並んで、外交的な贈り物として後の時代にも繰り返し生産し続けられたとのこと。ロシアが大国であることを誇示するために、民族が利用されているのではありますが、、そこは複雑な気持ちになりますが、、

もの売りと職人シリーズでは、民族衣装に加え、それぞれの職業上の特徴が描かれています。図録の解説から引用すると、「例えば、<アイスクリーム売りの男>は左肩の後ろに桶を持ち、<ミルク売りの女>は右手に水差しを持ち、<ケシの実売りの女>はベルトに木箱をつけ、<エゾライチョウ売りの男>は背中に籠を背負い左手に野鳥を持っている」。図鑑みたいです。

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(シリーズ<もの売りと職人>/左=アイスクリーム売りの男、右=エゾライチョウ売りの男/展覧会図録より引用)

また、「この彫像のシリーズのテーマは18世紀における民衆向けのマジョリカ焼き(軟質磁器)の小像に近く、同時に民衆用の陶器製の玩具を作ってきたロシアの陶工たちの伝統を受け継ぐものであった」(図録解説より)。なるほど、陶製の玩具という伝統があったんですね。

「彫像の素地はマジョリカ焼きの地色に似せて黄緑色や褐色に塗られている。彫像の背後には、焼成時に像がへたらぬように支えの役割をする岩の塊が実物に似せて色づけされておかれている」「入念な仕上げにも注目すべき。小さく切り抜かれ濃茶色に塗られた口はあたかも彼らが呼び声を発しているかのよう」。20センチくらいの小さな人形なのに、存在感がありました。

この展覧会の主役はディナーセット。私が疎いこの時代、この地域ですが、図録の解説を読むうちに興味がわいてきました。磁器を見て、「これは粘土だ。我々は粘土には関心がない」と言っていたロシアが、ヨーロッパの生活様式を取り入れる努力を重ねるうちに、磁器に熱中していくのです!できれば次回書いてみたいです。
by orientlibrary | 2009-06-22 23:18 | 美術/音楽/映画

文字は奏でる、文字は踊る、書は語る、書は伝える

◆ 手書きとキーボード ◆
新聞の投書欄に目がとまりました。「手紙に対してメールは失礼」。ちょっとドキッとします。内容は、「心をこめて書いた手紙に対しては手紙で返すのがマナー。それなのに仕事でもプライベートでも、メールで返事がくることが多い」というものでした。

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(装飾タイルのカリグラフィー/ウズベキスタン・ブハラ)

気持ちはわかります。たしかにマナーかもしれません。でも正直なところ、最近私も、手書きや手紙に対して、気が重くなってきています。理由のひとつは、長年の腱鞘炎傾向。手書きは確実に腕にきます。重痛く張ってきて冷たくなるなど違和感が出てくるのです。ひどくなると接骨院さんに走ります。もうひとつは、やはりメールの方が書きやすいから。即お返事できるし、内容も修正しつつ自由にのびのびと書けます。

趣味のいい便箋と封筒で、達筆な万年筆や毛筆の手紙をいただくと、やはりうれしいものです。でも、お返事の封筒をどれにしよう、ボールペンじゃ失礼かな、ワープロで印刷してもいいかな、等々、何か緊張してしまい、出し終わるとホッ、、。

そんな私も、昔は完全な文字人間、手書き人間でした。ワープロがない時代は、毎日毎日大量の文字を書いていました。筆圧が高くHBでも折るくらい。しかも字が大きい。腱鞘炎にもなるわけです。書道も好きで、唯一長く続いた習い事でした。

でも、ールがそんなにいけないんだろうか、という気持ちもあります。手書きの文字は心がこもっていて、キーボードの文字には心がこもっていない。そうでしょうか。私、メールも、ワープロで書く手紙も、その人のことを考え、気持ちが伝わる表現になるよう修正を重ねます。精一杯、心をこめて書いています。

大事なのは、内容、気持ちの表現なのではないでしょうか。手段は、手紙も良し、メールも良し、手書きも良し、ワープロも良しなのでは?その人が手書き手紙派でも、相手にも自分と同じ手段を求めなくてもいいのでは?「失礼な」相手も、メールの方が読みやすいのに、と思っているかもしれません。もちろん、正式な文書、お礼状などもあり、状況に応じて臨機応変でしょうか。


◆ 日本の書、世界の文字 ◆
と言いつつ書って好きなんです。見るのが好きなんです。展覧会「文字の力、書のチカラ」(出光美術館)、楽しみました。

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(展覧会チラシより。上の文字「選佛場」=禅院額字、中国南宋時代/下=「伊勢集」より、平安時代)

「パソコンの普及によって、文字は書くものから打つものへと変わりつつある中、書の世界は、いま静かなブームを迎えています」(美術館ホームページより)。

「
古来わが国では、漢字と仮名の両方を用いながら、独自の世界観を形成してきました。漢詩文や和歌など貴族社会の文芸を中心に発展してきた中、江戸期には町衆や庶民層に至るまで、文字を書くことが浸透してゆきました。今なお、わたしたちは日々の暮らしの中で文字に親しみ、書くこと、綴ることによって、自らの意志をどのように表現し、伝えようかと工夫しつづけています」。漢字と仮名、これが宝ですね。両方あるから、いいんです。


私はやはり仮名が入ったものが好き。藤原定家、西行、綺麗!空海、巧い!本阿弥光悦、平櫛田中、棟方志功、芸術家の文字は味があるな〜!プラス、アラビア文字のカリグラフィーや「銘文付粘土釘」(イラク、前20世紀)、「白地多彩文字文鉢」(中央アジア、10世紀)など、私好みの世界も展開されていました。

展示されているカリグラフィーを見ながら、日本とアラブ世界って近いのでは?と思っていました。書道を愛好する心性、文字を美しくすることにかける思い。彫刻など立体的なものにはあまり行かずに、植物模様や文字に精魂を傾けているような気がします。文字がおもしろい写真を、少し選んでみました

古代アラム文字は、BC600-AD600年頃、中東の国際語だった古代アラム語の文字。今でもアラム語を話すマルーラ村(ヨルダン)。美しくのどかな村の中に、世界で最も古い教会のひとつ、聖サルキス教会があります。古代を思わせる風景・・古い言葉が残るのもわかるような気がしました。

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イランのチョガ・ザンビール(BC1250年頃)。楔形文字の粘土板を発見して、土族、大喜びしました。

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看板。モロッコの街角で。アラビア文字がかわいい。モロッコって、全体にお洒落系。最近は、サンダルやタジン鍋が日本でも人気あるみたいです。

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カリグラフィー。イスラムの華。各地の建造物を高雅に彩ります。イスラムの幾何学嗜好が書道にも息づいているような感じがします。

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モロッコの建造物のカリグラフィーのデザイン。(上)=BAB AGNAOU、マラケシュ、11世紀、クーフィー体のカリグラフィーの模写/(中)=UDAYAの門、ラバト、12世紀/(下)=CHELLAH /いずれも同じ文章。意味は「I RELY ON GOD」/『TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE』より引用)


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◆ 日本からガザへ ◆
●外務省1月23日付け「ガザ地区に対する人道支援
(ファクト・シート)」より。「2008年12月19日のガザ地区での停戦終了に始まった一連の事態は、1月18日までにイスラエル・パレスチナ武装勢力双方がそれぞれ停戦を表明し、平穏を取り戻したが、パレスチナ人1314名が死亡、5300名以上が負傷する1967年戦争以来の惨事となった」。

●「一連の事態」(空爆、侵攻ではなく事態?)、「双方それぞれ停戦を表明し」(双方って五分五分的なイメージ狙い?)、などの表現は、アメリカの同盟国・日本の文書としては仕方のないものかもしれません。けれども「1967年戦争以来の惨事」という現実が伝えるものが大きいのかもしれません。

●「ガザ地区に対する人道支援として」、日本政府は総額1000万ドルの緊急無償資金協力や、国際機関を通じた食料援助、物資協力などを決定。「今後も中立の立場を守りつつ、一般市民の救済や平和構築への支援を行っていきたいと思います」(JICA)

JICAは「パレスチナ自治区ガザの病院へ医療機材を供与」しています。「JICAはこれまでもシーファー病院(ガザ地区最大の病院)に対して医療機材の供与や医療従事者への研修を行っており、そのフォローアップとして、同病院に血液遠心分離機を供与することを、今般の紛争以前から予定していました。

そしてこのたび、(略)激しい戦火の中、人道的配慮から行われた3時間程度の休戦時間を利用して、血液遠心分離機1台と関連資材の血小板分離キット70セットを納入することに成功しました」とのことです。記事はこちら

●このような救援物資を輸送する船もイスラエル海軍によって阻止されています。 == 「イスラエル海軍は、(2月)5日、ガザ地区へ救援物資を運ぼうとした “ブラザーフッド号”をガザ沖で拿捕、アシュドッド港へ強制着岸させ、乗員や船客のジャーナリストら20人を拘束、尋問した」  「この船は、「ガザ封鎖に反対するパレスチナ国民委員会」が「自由ガザ運動」(本部=アメリカ)の協力で仕立てたもので、トーゴ船籍の貨物船。キプロスからレバノンのトリポリ経由でガザに向かい、4日、イスラエル艦艇に阻止された。“ブラザーフッド”には、ギリシア・カトリックの聖職者モンシニョール・ヒラリオン師らが乗り組み、医薬品、食糧、衣類、子供のおもちゃのほか1万袋の血漿、計約60トンの救援物資を積み込んでいた」  「救援船に乗っていたアル・ジャジーラの記者によると、海軍はまず同船に発砲して横付け、5人の兵士が乗り込んできて乗船者に銃をつきつけ殴打した。船主は、イスラエル兵が船の通信機器を壊し持ち去ったという。イスラエル軍は、上空に威嚇射撃しただけだとしている」  「レバノンのシンヨーラ首相は、『レバノンとガザで罪のない市民を殺した連中は、世界の目の前で、人道物資を運ぶ船を攻撃した。私は、最大級のことばでこの蛮行を非難する』と語った。ラバノンの国連代表カロライン・ジアーデ氏は、イスラエルがただちに船を返すよう、安保理が圧力をかけて欲しいと要請した」 (2/5 Reuters, 2/6 Al-Jazeera) 
by orientlibrary | 2009-02-11 00:15 | 美術/音楽/映画

大寒・ミュージアムちょっと見て歩記

◆ ガザの状況についての記事 ◆
日本パレスチナ医療協会・メルマガの「ニュース速報(090125)」より。・・・「ガザ地区では、24日、各地で被害をまぬかれた学校が再開された。UNRWA(国連難民救済機関)立の221校が授業を再開、約20万人の児童生徒が出席。UNRWA校の多くは、イスラエルの攻撃中、住民の避難所となり、現在も家を破壊された人々が寝泊まりしている。うち数校は、イスラエル軍の作戦中、砲撃などで破壊され、避難民が死傷している。生徒たちは「おはよう、生きていたの?」とあいさつを交わし、教員たちは、子供たちに父母の安否をたずねた」


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(ガザの暮らしの安定と平和を願って(4)/パキスタンのミラー刺繍。魔除けの意味もあるとされるミラーワーク。色鮮やかな花々が咲く/O氏コレクションより)


日本パレスチナ医療協会・メルマガの「ニュース速報(090124)」より。・・・「イラクに侵攻したときのアメリカ軍同様、ガザ地区を攻撃したイスラエル軍は、ジャーナリストの同地区入りを全面的に禁止しました。記者団の抗議で、軍当局はようやく停戦後、報道陣の現地入りを認めました。その結果、日本の報道機関も記者を入れ、凄まじい破壊と住民の殺傷が行われた当地の模様を報道し始めています」

イスラエル、軍幹部名の報道禁じる 戦争犯罪の訴追恐れ (1・27 朝日)

紛争のガザ、子供たちに「心の傷」…おびえ・悪夢見る(1・26 読売)

「閉じ込められ砲撃、妻子ら失う」ガザ住民証言(1・24 朝日)

「卑劣な攻撃」で消えた友 ガザ国連学校ルポ(1・22 朝日)

ガザ:密輸トンネルもう復旧「生活物資運ぶ生命線」(1・24 毎日)

ガザ:無抵抗の娘をイスラエル兵は射殺した(1・24 毎日)

自宅消滅、地面に大穴…嘆きのガザ住民「虐殺だ」(1・20 読売)

言葉にできません。オバマ大統領は就任後、まずアッバース大統領に、そしてオルメルト首相に電話したというニュースを見ました。特命大使も選任されました。行動が早いです。アメリカという国を背負っていますから180度の転換はないかもしれませんが、パレスチナの人々が安定した暮らしができ、そして希望を持てる日々が来ますように。お願いします。(前大統領はテキサスに帰り、「何も思い残すことはない」と支持者を前に上機嫌でした。もう何も言いたくもありません)


◆ 大寒にめげるな、博物館歩き ◆
寒さが苦手で、流行の「巣ごもり」をしかねない私。大寒にめげずにゴーゴー!と、出かけたのは、展覧会「japan 蒔絵」(サントリー美術館)。「日本の漆工芸は世界的に名高く、陶磁器を“china”と呼ぶように漆器が“japan”と呼ばれたことが、その浸透ぶりを象徴しています。特に、金銀を用いて漆黒の地をきらびやかに飾る蒔絵(まきえ)は、桃山時代にはじめて来日したヨーロッパの人々を魅了し、特注品が作られるほどになりました」(同館HPより)。

正倉院の螺鈿の蒔絵など、とっても綺麗ですよね!展覧会に期待もしつつ、「もしかしてダメかも、、」という不安もありました。日本の蒔絵に加え、ヴェルサイユ宮殿美術館所蔵のアントワネットコレクション等々、「ヨーロッパ各地に残された貴重なコレクション」も多数展示されていたからです。

これがもう、予想以上の拒否反応。せっかく来たのだから見よう、経験として見ておけばいい、と思うのに、目が(体が)どうしてもイヤだと断固拒否。あのあたりは最も苦手なテイスト。洗練された華やぎが魅力の蒔絵が、クネクネゴテゴテにされて(なって)しまって、、過剰だってば!(ポスター、チラシの時点でもうダメなのでビジュアルご紹介もできません、、。私も、もう少し寛容な視線が持てないものかと思いますが、、ダメなものを受け入れられないのが弱点です。。)

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(「セカンド・ネイチャー」チラシより引用)

気を取り直して、隣接した「21-21」という美術館へ。「セカンド・ネイチャー」(吉岡徳仁ディレクション)という展示をみました(1月18日にて終了)。こちらは期待以上に良かったです。自然の結晶構造が成長することで生まれる造形美。「デザイナーとして環境問題に向き合うとき、再生素材でものをつくることだけがエコロジー、という考えではなく、むしろ自然や地球の美しさがどうやってできているのか、そういうことに目を向け、考える事で、自然を大切にする。そういった本質的な部分を、作品を通して提案ができればと」(吉岡氏インタビュー/WEBMAGAZINE 「OPENERS」より)。

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(「おらんだのたのしみ方」チラシより引用)

通りがかりに入ったもので良かった展覧会もありました。「おらんだのたのしみ方」(たばこと塩の博物館/1月25日にて終了)。オランダ渡りの金唐皮、インド更紗、異国情緒を描いたガラスなど、江戸時代の舶来文物や情報はおおいに珍重され、人気を集めたようです。絵画には、新奇なものに接したときの人々の驚きや好奇心がイキイキと表されていました。


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(インド更紗利休型女持ち懐中たばこ入れ・江戸時代後期/『おらんだのたのしみ方』(たばこと塩の博物館)より引用/今でいえばヴィトンの財布みたいなもの?いやいや、もっとレアですよね。更紗はこういう小物になったときに小粋さが増すような気がします)


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(ビロード秋草刺繍女持ち腰差したばこ入れ・江戸時代後期/『おらんだのたのしみ方』(たばこと塩の博物館)より引用/輸入された絹ビロード使用、刺繍は日本で。こういうのを腰に差してスパーっと一服。迫力〜!)


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(駱駝之図・1824・歌川国安画、山東京山述/1821年に長崎に来た駱駝は2年後に払い下げになり見せ物に。大阪、京都から10年以上をかけて各地を巡回。異国の動物として大評判に。興業では人間も異国人の衣装をまとい異国の楽器を奏で、異国情緒を高めていたそうです/『おらんだのたのしみ方』(たばこと塩の博物館)より引用)


ちょっと驚いたのは、図録替わりの書籍が500円だったこと。最近は図録も立派なものが多く2000円が当たり前。500円は手軽でうれしいです。同館は場所も渋谷の公園通り、入館料がなんと100円なんですから、、もっとたくさんの人が立ち寄ってもいいはず。館もいろんなことができそうな気がするんですが、、大きなお世話ですね!(昨今は、独立採算を契機にしてなのか、公立の博物館や美術館のほうが集客やテーマ設定に懸命の努力をしているように感じられます)。


◆ 泥と更紗 ◆
『泥の文明』(松本健一)を、最近読み始めています(2006年出版の本ですが)。松本氏は、世界を、ヨーロッパ型石の文明、西アジアの砂の文明、そしてアジアなどの泥の文明、という三つに分けます。このような分類自体はこれまでもあったかと思いますが、興味深いのは、石の文明を「外に進出する力」、砂の文明を「ネットワークする力」、泥の文明を「内に蓄積する力」として、その行動原理を読み解いている点です。

従来、砂の文明たる西アジア、中東は「好戦的、攻撃的」と分析され、アジアは「受容的、忍従的」などとされてきました。このような学説は、知らず知らず、私たちのイメージを規定しているようにも思われます。そのような面からも興味を持って読んでいますが、ブログで書くとなると、少しはまとまりが必要かなあと思います。いつか少し書いてみたいです。

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(anokhi's book 表紙/この写真、たまりませ〜ん♥)

MKさんからお借りしているインドの木版捺染ファブリックショップ「anokhi」併設ミュージアムのめちゃカッコイイ本3冊(写真もデザインも超カッコイイ。これを買いにジャイプールに行きたいくらい)。

というわけで、まとまりのない今回でしたが、ぼちぼちゆるゆるとやっていきます。また遊びに来てください☆
by orientlibrary | 2009-01-27 00:55 | 美術/音楽/映画

パキスタンのジプシー楽士(ムルタンのタイルとともに)

ごあいさつが遅くなりました。新しい年、今年も皆様にとって良き一年でありますように!!ゆっくり更新中のブログではありますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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(ムルタンにある聖者廟のタイル&テラコッタ)

映画「ジプシーキャラバン」や「ラッチョドローム」のこと、など、ジプシーやジプシー音楽のことを時々書いています。(ロマと書いたりジプシーと書いたりしていますが、どう書くのが最も良いのか、正直よくわかりません。最近は、またジプシーという表現が多いような気がしています。ジプシー/ロマ、という表記も)。何か惹かれるものがあるのです。

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(ムルタン、タイルの小塔。今回はパキスタンの話であることと、「ジプシーが多様な呼び方をされている理由はおそらくはただひとつ、ジプシーがいろいろな地域からやってきたせいである。トルキスタンでは”ムルターニ”(ムルタン出身の意味)と呼ばれてきた」(松岡正剛の「千夜千冊」より)、、ということもあり、ムルタン〜ウッチュのタイル装飾をご紹介しています)


昨年末に、興味深い催しがありました。「関口義人の『ジプシーを追いかけて』Vol.17/@渋谷UPLINK」です。ジプシー音楽をテーマとしたシリーズ、なんともう17回も開催されているとは。書籍出版も相次ぎ、ジプシーに魅せられている人が少なくないことを実感します。

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今回のゲストは村山和之さん。ということは、パキスタンですね!ジプシーとパキスタン、一瞬ピンときませんが、ラジャスターン地方から出発したともいわれるジプシー。近いです。村山さんならではのパンジャーブのジプシーの芸能やバローチスタンの楽士たちの音像を、たっぷりと見せていただきました。(写真は、上映された映像を撮影したもの)

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(ドール。リクエストして演奏してもらうそうです。後ろの素焼きの壷が気になって、、ついパチリ)

音像は7本。これまでに見せてもらったものもありますが、何度見ても飽きません。今回もっとも感動したのは、「LORIK」(バローチ〜中央アジアでジプシーと呼ばれている人)の演奏。ムハンマドを讃える歌、、耳で聴くよりも心の奥底で聴いた気がします。音楽、なのかな。ジプシーの音楽って、旋律だけではない、歌詞だけではない、身体(人生と言ってもいいかもしれない)で聴く気がする。

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(心に響きしみ込んでいく。言葉で言い表せない、、感動しました)

コメントやお二人のトークは、マニアックかつ洒脱で楽しかった。でもメモは取ったものの、真っ暗な中で書いたので正確さは超あやうい。特に固有名詞やその表記は未確認なので危ない。が、え〜いっ、学術ブログではないので、ざっくりとメモのご紹介。雰囲気を味わってください。

・ パンジャーブ州の南の砂漠地帯、東のタール沙漠とつながるあたり、そこにいるジプシーはバローチスタンの楽士とどう違うかなどを見て欲しい
・「MIRASI」、イスラム教徒のジプシー楽士、伝統音楽の継承者という意味、低カースト、ドーム(ローム)の中でイスラム化している人、ロマ、ロムの源流としてのドマ、ドム
・「ローリー(LORIK?)」、バローチスタンのジプシーの芸能
・ LORIK、バローチ〜中央アジアでジプシーと呼ばれている人、ムハンマドを讃える歌の演奏
・ ドーリー、ドール(太鼓)奏者、ローリーの中でも下層といわれる
・バローチスタン調査旅行の映像紹介も、水辺での食事、牛糞でのナン作り、果物のもてなし、地上の楽園のような庭(バーグ)の夕暮れなど
・ チカップの映像、輪になって踊る、カスタネットの使用、バローチの特徴
・ ドキュメンタリー番組から=大都市のジプシー・ストリートミュージシャンの映像、婚礼会場の外で演奏
・ イランのマクラーン地方のチャバハールでの映像、英雄叙事詩を叙情豊かに歌いあげる楽士

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(ジプシー楽士たちの師匠。風情、風格がありますね)

映像の中で、旅人をテント(というか、枝と布で構成されるシンプルな空間)に招き、土地の果物をたっぷりと提供してもてなす光景が紹介されていました。テント内部にはローカルの絨毯が敷かれています。絨毯文化の地域だから当然とはいうものの、ボロボロながら質感の良い魅力的な絨毯でした。

それに比して、、、メインステージに敷かれていたカーペットは、かなりキツかったです。「せっかく絨毯で有名なバローチの話なのになあ、、」「バローチの絨毯があれば、ものすごくカッコいい時空間になったよね、、」「残念!!」「言ってくれれば持ってきたのに、、」「日本では敷物が軽視されているのでは」と、乾燥地帯〜バローチ好き仲間たちは語り合っていたのでした。

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(ウッチュにある聖者廟のタイル&テラコッタ)
by orientlibrary | 2009-01-07 01:15 | 美術/音楽/映画

イラン現代詩人、その詩と人生を聞く

●日本は俳句や短歌などの文芸が盛ん。たくさんの人が自然の美や暮らしの思いを言葉に託し、同好の仲間と交流し、楽しんでいます。日本の良さだと思います。

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王のモスク(イマーム・モスク)・半ドームのタイル装飾/イスファハーン/1627/『The Art of the Islamic Tile』より引用)

●一方、「詩の国」と言われるのがイラン。たとえば、「多くの人が何らかの詩を暗唱していたり、詩を日記に書いたり、恋人への手紙に詩を挿入したり、指導者も演説に入れたりしている」そうです。また、「書店でも詩のコーナーは小説と同じくらいあり、ショーウインドウにも飾ってある。詩の夜などイベントも頻繁にある」とか。そして、「詩の国のプライドを持っている」

●今回、そんなお話をうかがったのは、カフェバグダッドさんのイベント、「イラン現代詩の深淵へ-セタールの響きとともに」にて。イラン現代詩を代表する2詩人、ナーデル・ナーデルプールとフォルーグ・ファッロフザードの詩の朗読、彼らの生き方に迫るトーク、優美なセタールの響き、を堪能しました。

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(「ダルビッシュ」。ペルセポリス風演出?雑司ヶ谷の方に向かう商店街のなかにあります)

●会場は、池袋のイラン料理レストラン「ダルビッシュ」。こちらは初めてでしたが、料理や演出に、センスの良さや繊細さを感じました。こういうイラン料理屋さんもあるんですね。新鮮でした。ご主人はイラン古典音楽の演奏家。食事や音楽を楽しみに、また行きたいな。

●イランの詩や詩人(とくに現代)については知識ゼロの私。トークで聞いた二人の詩人の激しい生き方、奔放な恋愛模様にはびっくりしました。「ナーデル・ナーデルプールとフォルーグ・ファッロフザード。2人の関係は、恋愛、別離、そして芸術上の対立関係とめまぐるしく変化した」。イラン革命の前ですから、今とはずいぶん社会も違うのでしょうけれど、、。こちらの方が本来のイランなのかな??

●詩は、それぞれの研究者が朗読。カシュガイのキラキラした赤いドレス姿でステキでした!いただいたレジュメから、ほんの一部を転載させていただきたいと思います。印象的だなと思った部分、2節ずつです。(鈴木さん、小野寺さん、事後(〜無理矢理?)承諾になってしまいますが、よろしくお願いいたします)

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「壁」 (フォルーグ・ファッロフザード/鈴木珠里訳)

冷え切った瞬間が足早に立ち去って
あなたの荒々しい目は その沈黙の中で
私の周りに壁を造る
あなたからもう逃げるしかない 横道に入って

そしたら 月の埃のなかで平原を見たり
そしたら 光りの泉の水で自分の体を洗ったり
夏の暑い朝の 色とりどりの霧の中で
野生の百合の花でスカートを飾ったり
農家の屋根の上から鶏の声を聞いたりしよう

(後略)

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ブルーモスク(タブリーズ)・壁面タイル装飾/1465/モザイクです。素晴らしい。傑作!/orientlibrary)


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「運命の日」  (ナーデル・ナーデルプール/小野寺菜穂訳)

(前略)

君なしで 君の心とともに鼓動していた僕の心は
ああ嘆きに嘆いた
君なしで、君なしで、僕の盲た運命の手は
葡萄酒の代わりに涙と血を杯に注いだ

僕の生は暗い星のない夜だった
君の目が、その星々になった
それは一瞬 雲の間から現れ
一瞬で雲に飲み込まれてしまった

(後略)

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●いやあ、情熱的、叙情的、耽美的ですね〜。恋、花、酒、星、月、、ペルシア、なんですね〜。日本の和歌などは同じ叙情でも、「短い」というのが、大きく違う気がします。イランは歌い上げますね〜。<心性>というものが、それぞれなんだなあと思いました。文芸の国同士、仲良くしていきたいですね!


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MIR CHAQMAQ MOSQUE/ヤズド/1457/ミヒラーブのモザイク装飾/『The Art of the Islamic Tile』より引用)



*** 年内にもう一本、「ジプシーを追いかけて、バローチスタンのジプシー楽士」を書こうかと思っていましたが、こちらは新年の幕開けトピックとしたいと思います。いつも当ブログを読んでいただいている皆様、今年も遊びに立ち寄ってくださって、どうもありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。風邪などひかれませんように。年末年始、良き日々でありますように!!
by orientlibrary | 2008-12-27 00:43 | 美術/音楽/映画

ふしぎなひつじから数寄者まで、秋の美術工芸散歩

◆ ふしぎひつじのファンタジー?  ◆
気持ちのいいお天気の日が続きます。夏好きの私も、今年の秋は、秋という季節っていいなあと思います。そんなある日、通りがかりに目についたのは、懐かしい感じの絵。向井潤吉アトリエ館(世田谷区)での展覧会のポスターでした。

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昭和初期に活躍した画家の多くは、安定した収入の一助として本の挿絵や装丁の仕事をしていたそうです。民家の絵で有名な向井潤吉さんも絵本や挿絵を描いており、それらをテーマにした展覧会のようです。

ゆったりした絵の世界、やさしい色合いに惹かれて見ていましたが、一番上左の絵が、妙に気になりました。「ひつじのいるけしき」と題されていますが、ちょっとした違和感を感じました。富士山を思わせる美しい山、水色の湖、たっぷりの草、静かでやさしい、そしてやや密集した風景、そのなかに「ひつじ」がいるのがなんだか不思議感があったのです。

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(ひつじのいるけしき/『あそび』8集Ⅰ編一号P2-3/1955)

これって、私の思い込みかもしれません。羊だっていろんな地域にいるのでしょう。でも私がこれまで見た羊のいる光景って、乾燥地帯、沙漠に近いところ、茫洋とした草原。

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(ヨルダン/ペトラ遺跡。山羊?羊?)

だから向井さんの絵のように、水と緑豊かな湿潤なところ、そしてこじんまりした風景のなかににいる羊というのが、どうもピンとこないものがあって、、、でもそれが逆にファンタジーのように感じました。

しかもこの(絵の)羊、山羊っぽい。(当初、羊だと思って記事と写真を用意していましたが、ふと、あれ?!山羊?!と慌てて書き換えて、、でも「ひつじのいるけしき」と書いてあったのを思い出し、、、、、非常に混乱しました)。これは写生による絵?それとも想像の絵?(向井さん、羊を見たことがなかったのかも、、という気がしてきました)。皆さんはどんな印象を持たれましたか?

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装飾タイルは、幾何学模様、植物模様やカリグラフィーが主体で、人や動物は基本的には表現されません。けれども例外もあります。有名な例のひとつが、ブハラの「ナディール・ディワン・ベギ・マドラサ」(1622)の鳥。(この鳥はスィーモルグ」:エルブルズ山に棲む霊鳥。賢者にも優る知恵を持ち、星に届くほど巨大な巣を作る鳥の王と言われています)。イキイキとしたモザイクタイルが見事です。

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そして気になるのが、鳥の下にいる生き物。これって何?スィーモルグの寓話と関係のある生き物なんでしょうか。スィーモルグはペルシア語のようなので、地域的に羊的なものかななどと想像するのですが、この生き物にまで言及した記述を見たことがなく、わかりません。


◆ 日本の美の感性「数寄」  ◆
秋は展覧会が満開です。ジョットやフェルメールなどが開催中なのは知っているのですが、やはり私はこういうのに惹かれます。「茶人のまなざし 森川如春庵の世界」(日本橋の三井記念美術館/11月30日まで)。

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チラシのコピーは、「益田鈍翁が驚嘆。16歳で「時雨」を所有した名古屋の数寄者」。「時雨」は本阿弥光悦作。さらに19歳で「乙御前」(同じく光悦)を所持。10代で二つの光悦の名椀を所蔵したその審美眼、感性が益田鈍翁などの数寄者を驚かせ、交友を深めていきました。

そんな森川如春庵のコレクションやゆかりの品々を展示した展覧会は、器から書までジャンルはバラバラなのですが、一貫した趣味のようなものが感じられて見るのが楽しかった。そのテイストを一言でいうと、やはり「数寄」になるのかもしれません。

会場の三井美術館も、重厚な内装で落ち着きがあり、展示も見やすく工夫されていました。休憩できる椅子が各所にあるのも親切。(対照的なのが都心にある陶芸系の某美術館。デザイン主体の心地悪さで行く気がしなくなります)。三井美術館が所蔵する美術工芸品3700点は三井家(三井グループ)のコレクション。昔のお金持ちは、お金もどんどん稼いだのでしょうが、美術工芸に造詣が深く、いいものを集め、公開した人が多いように思います。

「没後七十年 数寄者益田鈍翁 心づくしの茶人」も畠山美術館(港区)で12月14日まで開催中です。(まだ見ていません)

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陶芸関係では、出光美術館で「陶磁の東西交流 景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセン」が11月1日スタートで12月23日まで。テイスト的には正直、好みではないのですが、時間があったら見ようかな。

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ぜひ行きたいと思っているのが、五島美術館(世田谷区)の「古渡り更紗 江戸を染めたインドの華」(11月30日まで)。インド更紗の深みのある色合いや図柄の魅力はもちろん、日本での応用(陣羽織や小物などに仕立てられた)も興味があります。

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関連して、大倉集古館(港区)で「インドネシア更紗のすべて 伝統と融合の芸術」が開催中(12月21日まで)。

世の中の動き、語られているお金の単位、もうさっぱりわかりません。追いつめられるような気持ちがしてきます。工芸を見ていると、その世界に遊ぶことができます。小さなものに大きな世界が宿っているような気がします。
by orientlibrary | 2008-10-31 01:11 | 美術/音楽/映画

身近な美術で小さな旅。アフガン、ウイグル、インドへ

◆ アフガニスタンの写真、絵、陶器 ◆
秋です。美術にちょっと関連のあるエピソードをいくつか。この春、ダリー語などについてお話を聞く機会があったアフガニスタン出身の江藤セデカさんのお店(ハリーロード/新宿区曙橋)を訪ねました。新聞に、アフガニスタン支援のため写真による紹介をお店でおこなうという記事が載っていたのです。絨緞や工芸品の奥にセデカさんの笑顔がありました。

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アフガニスタンの村の写真・・・なぜかとても惹かれます。農作業など日常の景色なのですが、重く切ない、でも確かで揺るぎない美しさを感じるのです。(うまく表現できないのがもどかしいです)。これらの村は今どうなっているのでしょう。

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子どもたちが描いた絵・・・以前、「アフガニスタン、明日へつなぐアーティストたち」という展覧会(国際交流基金、2003年)で、10代、20代の若い人たちの作品を見て、その成熟した描きっぷりに驚いた(記事はこちら=「大人になる速度・・・戦国時代、草原、アフガニスタン」)ことがあります。彼らは路上で靴磨きなどをして働いており、あるNGOの職業訓練で絵を習ったといいます。観察がたしかで表現が重厚。とくに陰影の表現が巧みだと感じましたが、ハリーロードにあった絵も同様に、ナン焼き釜の熱さが伝わってくるようでした。

また、「イスタリフ焼き」の作品もじっくり拝見することができました。2003年に新聞で紹介されたアフガニスタンの陶芸村イスタリフ、それ以来ずっと気になっていました。2005年には国際交流基金の招きでイスタリフの陶工など15名が来日し、土岐、瀬戸、常滑、砥部などの陶芸産地を訪問したことも記事で読んでいました。その際に通訳兼エスコートとして同行したのがセデカさんだったのです。

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「イスタリフ焼きは鮮やかな青や緑が魅力的だ。だが、地元の粘土には鉛分が多く、陶器はややもろい。また、陶芸の技術、皿の模様(絵つけ)やデザインには発展の余地が十分にある。陶工一行は、日本の陶工から、粘土から空気を抜く技術、皿のデザイン、絵つけなど幅広く陶芸技術を学んだ」(国際交流基金ホームページより引用)

本物の青のイスタリフが見たい、とずっと思っていました。それが目の前にあります。たしかにかなり柔らかい陶器のようです。模様もザクっとしており練れていない印象です。

「“内戦によって、存在していたものすべてをなくした”。イスタリフからきた陶工のひとりはこう表現した。 

こうして同じ土地で300年近く続いてきた家業が中断。一行のひとり、アブドゥル・ワーセ氏は、内戦で町を追われ、カブール、そしてパキスタンへ逃れた。陶芸をすることもならず、5年間も皮革業で生計をたてるしかなかった」(国際交流基金ホームページより引用)

訪日した人の多くは現地の窯元の跡取り。陶芸の村はその後、どのように?、、手がかりのひとつが、リンクしている「アフガニスタン/パキスタン駐在日記」さんにありました(2007/09/07)。「陶器のお店が立ち並ぶ」とのキャプションで、たくさんの陶器が飾られた店の写真もあります。先日見たものよりも、特徴である青色を強調している印象です。陶芸の村イスタリフ、彼らの家業が安定して続いていることを願います。


◆ ウイグルの写真、おもてなし ◆
先日、ウイグルからの留学生たちが主催する会がありました。きれいな民族衣装を着た若者で賑わっています。ウイグル音楽の演奏などもあって、明るい雰囲気。展示物を見ていると、来日して4か月という女性が一生懸命説明してくれました。どうもありがとう!

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展示してあった写真が、とても良かった。ウイグルってホントに絵になります。また、来場者にはお茶や手作りのお菓子が振る舞われました。心づくしのものをたっぷり。そんなもてなしは、中央アジアや西アジアの魅力。ごちそうさまでした☆

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◆ インド細密画の魅力 ◆
『インド細密画への招待』(浅原昌明/PHP新書)という本が出ました。マニアックなテーマにもかかわらず新書なのがすごい。850円の新書のなかに、カラー写真の細密画がたくさん紹介されています。

著者は、1979〜83年、家電メーカーからインドの子会社に出向。そこでインド細密画に出会い魅了され、勤めのかたわら研究を続けてきたそうです。退職後にはさらに調査を深め、トルコやイランにも調査対象を広げているとのこと。内容は、インド細密画の特徴、ヒンドウー教系、イスラム教系、さらにそのなかの派の分類、細密画から読み取る歴史や文化など、わかりやすく解説されています。

写真での実例が豊富に掲載されているのですが、そのなかにどこかで見た絵がありました。この切手持ってる!(日印交流年記念切手)。久々にスキャンしてみました。(切手って精密なんですね。これだけ拡大しても大丈夫、、)。安定したライン、細密な模様、ショールの透け感、そして色が鮮やかでキレイ!「ラーダーの肖像画」(キシャンガール派・1735-48頃)、「インドのモナリザ」と言われているそうです。

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インド細密画の本といえば、大好きな『インドミニアチュール幻想』(山田和/平凡社)があります。情感、透明感のあるこの本からミニアチュールへの憧れが強まりました。山田さんのインド本、好きです。インド工芸の目利きであるB氏からいただいた2枚の細密画(↓)。現代のものですが、青好きな私の好みがお見通しなのがすごい。今も大事に飾っています。

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イラン、トルコ、ウズベキスタンなどの細密画も好きです。美しいのはもちろんのこと、衣装、植物、庭、天幕、建物、そして装飾タイルなどの模様や色がとても参考になります。細密画、、見れば見るほど遊べる、学べるものだなあと思います。
by orientlibrary | 2008-10-17 00:18 | 美術/音楽/映画