イスラムアート紀行

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カテゴリ:中央ユーラシア暮らしと工芸( 36 )

タシケントのバザール&ショップ、少々 +物語タイル

タシケント、気になるバザール&ショップ

12月のウズ行きにて、今回初見参の「ヤンギアバッド・バザール」。タシケントで週末に開かれる「フリーマーケット&骨董市&闇市!?」。カオス的な雰囲気に大コーフン。雨の中、歩き回ったけれども、たぶんほんの一部しか見ていないと思う。広い!!おもしろい〜〜!!

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(メトロのタシケント駅下車、バスも出ているらしいけれど安全策でタクシー利用しました。ここだと言われて降りたところは、国鉄(言い方古い!)跡地のようなところ。鉄ちゃんの中でも線路マニアには興味深いのでは?と思いながら歩いていくと、やがてポツポツと出店が見え始めて、、、)

facebookでは一度書いたことがあるんですが、バザールで売っているニンジンサラダ(写真参照)。

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あるとき、これを再現しようとニンジンを千切りし始めたんですが、切っても切ってもたいした量にならない。すごい時間がかかる。しかも千切りの形を揃えようとしたらある程度面が揃っていないとダメ→ロスが出る。で、挫折。(>_<。。) 

いったいどうやってあのニンジンを切ってるんだろう、というのが深淵な謎でした。「専用の道具を使うんだよ」という声も聞いたけど、あれだけ大量なものを毎日だとカッターの消耗が激しくて無理なのでは?と、謎が深まっていました。

で、ヤンギアバッドの入口で専用カッター見つけて、思わず買っちゃいました。でも、こういうのなら日本に持ってたよ、、こんなヤワなものでは、すぐ切れなくなりそうだし。

今回、日本語の上手なウズ人大学生に聞いてみました。「あのニンジンはどうやって?」「ものすごい勢いで包丁で切るんですよ」「やっばり!」「おばちゃんたち、手元見てませんから」「?」「見ずにダーッと切ります。今度チョルスーで見せてあげますよ」「やったー」。タイミングが合わず今回は見られませんでしたが、長年の謎は解けた。やはり高速包丁ワザだったんだ!

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(ニンジンカッター、買った。バナナは高級フルーツ。たしか日本円で100円くらい。輸入だと思うけど、おいしいです。「タシケントの人は魚が大好き」というもの最近教えてもらったこと。肉のイメージが強烈なので、魚なんて食べないと思い込んでいましたが、タシケント郊外に魚で有名な町があって、そこにたくさんの人が魚のフライを食べに行くのだそうです。刺身にも興味津々の人が多いですから、意外と魚好きなんですね)

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(なんでもあり!とくに中古部品が多かった。部品だけで100店くらいあるのでは?)

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(陶器!あとで聞くと、ショッピングモールみたいなところがあって、そこにロシア製のユーズドなどがたくさんあるそうです。発見できず残念。でも、このお店では、リシタンやホラズムの古いお皿や旧ソ連圏の国々のカップ&ソーサーをたくさん見られてうれしかった。今回はすでにホラズムで陶器の重量制限?が危なくなっていたので買いませんでしたが、、)

ヤンギアバッドとは対称的なのが、高級ホテル「インターナショナルホテル(旧名:インターコンチネンタルホテル)」で開催される(月に1回?)「アートバザール」(通称?)。ウズベキスタンの民芸工芸品が販売されるのですが、出展者数も来場者数もすごい。日本の商業施設の人が見たら垂涎でしょう。お土産もので買いたいものを探すのが難しいことも多いウズ。でもここはひと味違う。個性的で質も高く、モノとしてこなれている。値段も高額なものもあるけれど、意外と割安感も。

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(欲しいものがたくさん!!買い占めたい!)

なんだか買物特集みたいな感じになってきたので、もう少し。お土産を買うのに良いのが、マドラサの中庭に面した小部屋に民芸品工房があるところ。細密画や木工など、専門の職人さんたちが、そこで制作しながら販売しています。

有名なのが、ナボイ公園内の「アブドゥル・ハシム・マドラサ」。こちらは細密画が多い。集中を要する緻密な作業をしながらの接客、中断してもらうのが申し訳ないくらいです。

旧市街、チョルスーの裏手、ハズラッディ・イマーム広場、バラク・ハン・メドレセも同じように民芸工房が軒を連ねます。

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(上段:バラクハーン・マドラサは16世紀、シャイバーン朝期の建立。現在、ウズベキスタンのイスラム教本庁が置かれているそうです。タイル装飾も綺麗です。下段:アブドゥル・ハシム・マドラサ。右は見せてもらった古い紙。細密画を書くのに使う貴重な紙なのだそうです。今の時代に合う新商品も作っていました)

こうなったら買物、もう少し。ウズベキスタン〜中央アジアの模様、これらが最近ますますさまざまな手工芸品に展開されるようになりました。アトラスやアドラスを使った衣料品も洗練度アップ!

代表的なのが「UZBEK APPAREL」。いいお店。民芸民芸せずにちょっとした集まりなどでも着られる感じ。デザイン優先ではなく縫製もきちんとしています。例えば、ジャケットで日本円で1万5千円〜2万円くらい(その時々の為替レートによりますが)。

「アートバザール」でアトラスをオシャレに着こなしていた可愛いウズ女子に出会い、教えてもらったチョルスーのお店にも。こちらは「ウズのシモキタ」という感じ。ビニールを使ったバッグやジャケットも。でも普通に着られるものもたくさんありました。

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(上段:UZBEK APPAREL/下段:COMO)

そんなこんなで、重量級のスーツケースとデカリュックで帰ってきたのですが、ごく一部をご紹介。

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(今回心惹かれたホラズムのお皿やタイル。これから長いおつきあいになるかも。&アートバザールでリシタンの陶芸家バフティヨルさんに会ったのでリシタンの小さなものもまた買ってしまった。やはりリシタンの青はいいなあ)


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タイルが伝える物語


おっと、話がタイルに近づいてきました。タイルつながりで、こちらの話題も。

昨年、常滑のINAXライブミュージアムなどで開催された展覧会「タイルが伝える物語-図像の謎解き- 展
」が「LIXILギャラリー東京会場」にて開催中です(2月21日まで、水曜休)。

「室内外を華やかに飾るタイルは、耐久性があり、量産も可能なため、古くより世界でさまざまな文様が生み出され、かつ身近な建材として発展しました。本展では、タイルの装飾性だけでなく大衆へのメッセージを含んだ「メディア」としての機能に着目し、描かれた文様の意味や物語を読み解きます」との趣旨で、ヨーロッパ、中国、イスラームの物語を題材にしたタイルを展示紹介しています。

西洋タイルは、子どもの遊びを素朴に描くオランダのデルフトタイルや、家庭で行われていた宗教教育や当時の生活文化が垣間見られるイギリスのタイルなど。中国のタイルは、説話集「二十四孝」を刻んだ貴重な画像塼(がぞうせん)、桃源郷を主題とした染付陶板など。

そしてお楽しみはイスラーム!!

「イスラーム教の戒律がゆるやかになると、人物を描いたタイルが登場し、宮殿などの私的空間の壁を飾りました。 詩人ニザーミーが詠んだ長編ロマンス叙事詩「ホスローとシーリーン」や、美男の預言者ユースフとエジプト高官の妻ズライハの恋を描いた「ユースフとズライハ」など15点を紹介します。鮮やかな色彩で物語や人物を描いたタイルは見ごたえも十分あり、人物の表情や華やかな衣装、背景の模様などから、イスラームの生活文化を伺うことができます」。イスラームタイルとじっくり向き合い、たっぷりと浸りました。撮影可なのがありがたい!

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(いちばん好きだった多彩レリーフタイル「ユースフとズライハ」(イラン、19世紀)。青が美しい。イランの青フィルゼイ(いわゆるトルコブルー)、コバルトブルー、紫味を帯びた青など。見惚れました)

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(有名なペルシア恋愛叙事詩「ホスローとシーリーン」を描いた組タイル(イラン、18〜19世紀)はコバルト青が濃く強い印象。貴人遊楽の図を描いたサファヴィー朝の「野宴図」(18世紀)は、サファヴィー朝らしい優美さで人物や植物や雲を描いています)

「ホスローとシーリーン」のタイルに顕著ですが、タイルとタイルの隙間の目地を塗りつぶしており、一見一枚の陶板。ならば陶板で良かったのでは??大きいサイズは作りにくいのかもしれませんが、作れなくもないでしょう。小さなタイルにした後で再度くっつける理由がわかりませんが、やはり物語を描くのはタイルなのかもしれません。


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今回、写真を用意したのは、上の他、「渋沢史料館 青淵文庫(せいえんぶんこ)」(東京北区)。見に行ったのは初めてですが、タイルが想像以上に良かったです。

もうひとつ、竹橋の東京国立近代美術館 工芸館にて開催中の「所蔵作品展 近代工芸案内 - 名品選による日本の美」(2月15日まで)。今回一部作品をのぞき撮影可だったので、写真を撮ることができました。板谷波山など、少し用意していましたが、、長くなるので、次回にします!

一話ずつのfacebookは短いため書きやすく、こちらはわりとアップしていますので、ご興味がありましたら、遊びにお寄りください。「青の陶器とタイル好き

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(青のfacebook、こんなかんじで、いろんな青をピックアップ)
by orientlibrary | 2015-01-18 23:08 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

2014冬・ホラズム紀行(1) タイル、陶芸、人、暮らしへ

ホラズム(中央アジア西部、アムダリア川下流域)、いつか行かねば、行きたいと思う地でした。ずっと昔に観光旅行でヒヴァに一度、そしてカラカルパクのカラ巡りとクフナ・ウルゲンチの超絶装飾タイル見学はツアーで行きました。

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(Wikipediaより)

クフナ・ウルゲンチのタイルは独特で、土と宇宙の狭間にあるような不思議さに満ちています。そしてホラズムに16世紀初頭、勃興したヒヴァ・ハン国。(ウズベキスタンの)西のタイルを見たい、可能ならばホラズムの陶芸家やタイル職人とお話したい、と思いつつも、自分が行けそうな時期は極暑(50℃になる時も)か厳寒(マイナス30℃にも)。いずれもきびしいです。

今回は厳寒期の12月でしたが、ご縁もあり、きっと今がタイミングなんだ、行こう!と思いました。現地情報から「マイナス30℃」を覚悟しましたが、幸運にも到着日くらいから寒さが弛んだようで、歩き回って元気にすごすことができました。そして、すべての日程、すべての時間、とても楽しく、充実していました。

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(クフナ・アルクにて。一面の青。植物模様絵付けタイル。特徴などは後日)

さらに、ありがたいことに、ホラズムを代表する陶芸、タイルの名匠たちとも出会えました。温かく受け入れていただき、たくさんのリアルなお話を聞くことができました。気持ちがMAX高まりながら、穏やかで和やかな空気に満ちた一日でした。タイルとやきものの神様が微笑んでくれました。皆様、本当にありがとうございました。

ホラズムのヒヴァ、ウルゲンチ、シャワット、そして短時間でしたがカラカルパクスタンのスルタンの聖地も訪れることができました。後半はタシケントで、しっかりたっぷり「今の手工芸」を見て回りました。こちらも堪能しました。

乾燥地帯好き、西アジア中央アジア好きでありながら、弱点のある私。とくに外食で肉がほぼ食べられない。脂っこいものも苦手。ホラズムの気候から考えて脂度高そうと覚悟、カロリーメートなど持参。ところがどのレストランでも、さっぱりとして素材の味が生きて美味しい〜。正直、ウズ外食で美味しいと思ったのは初めてでした。

どの面から見ても、本当にラッキーでうれしい旅。これから何かに生かしていかなくては。ブログも、と思うのですが、情報量が多すぎて、まだ整理がつきません。ヒヴァのタイルも独特で知りたい、調べたいのですが、これはという資料にまだ出会えません。

前置き長過ぎですね。まとまらないけれど、書けないまま、また日がたってしまう。今回は、インデックス的な回にしたいと思います。これだけでも、迷いそう。でも、とにかくアップ!それが大事!(と開き直ります。。)


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ウルゲンチ空港、細部の工芸パワー!


まずはタシケントから国内線でウルゲンチ空港へ。規模が大きいとか豪華とかではありませんが、ここでもうテンションアップ!何これ〜!?このタイル、この手仕事!でも、あ〜、誰も見ていない。残念だ〜。

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(空港にて。柱回りにタイル!!!しかもクエルダセカ!輪郭を描いた中に顔料を盛り上げるように入れる。濃紺と落着いたターコイズ青と白。ヒヴァ、ウルゲンチのタイルでは、この3色の組合せをたっぷりと見ることになります)


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(空港にて。写真がボケていますが、壁面の通気孔のようなもの?機能としては装飾する必要はないし、小窓の中はさらに小さくて見えないというか、それ以前にこれを見る人は誰もいない。が、木と思われる素材が複雑に組み合わされている。ホラズム凄し、テンション上がりました)


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(空港にて。壁面の目立たない部分だったと思う。誰も見ないで通り過ぎて行く。漆喰のレリーフ。幾何学模様と花模様が組合せられている。このパターンも、その後たっぷりと見ることになります。花びらの中など細密)


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ヒヴァ、イチャンカラ! 結婚シーズンのホラズム


ウルゲンチからヒヴァへ。ヒヴァ市街地は1990年にユネスコの世界遺産に。イチャンカラ(城壁の内側)は観光シーズンには人で溢れます。ホテルやレストランも休業する冬季ですが、それでも地元客や、この時期に多い(=出稼ぎなどから帰り親族が揃うため)という地元カップルの結婚練り歩き(〜聖なる場への礼拝)の人並みで賑わっていました。


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(ヒヴァの典型的なイメージはこちらでは!西門を入り陶の案内看板と26mの高さのカルタ・ミナル)


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(イチャンカラにて。一日に何十組?次から次へ。カップルを先頭に親族や友人たちが賑やかに。花嫁は白のウエディングドレス、新郎は黒のスーツ。マイナスの気温の中で根性!温かそうなケープを纏う新婦も。それもまた可愛かったです)


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(ウズの結婚式に欠かせない映像記録担当。その後、何度もビデオを見て愉しむことに。参列者のファッションはフォーマルもあれば普段着的な人も。寒いので女性はブーツなどで防寒)


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(上段左:5000スム札!これがあって便利でしたがウズではお札を数えるのに疲れてうんざり→100ドルでもそう言ってみたい/上段右:開いてて良かったレストラン。ラグマンは見た目よりさっぱり。ナンは薄くて食べやすい/下段左:木工も素晴らしい!/下段右:毛糸の靴下など。女性たちはつねに手を動かして何かを制作!)


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(パフラバン・マホモッド霊廟にて。今回イチャンカラでもっとも長くいた聖所。3日間通って、ひたすらタイルを見ていました。結婚式のカップルも礼拝に続々と。青いタイルと花嫁の白いドレスの対比が鮮やか)


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装飾タイル、陶芸


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(パフラバン・マホモッド霊廟にて。タイル!ヒヴァの建造物の魅力は、土色のレンガと青いタイルの組合せ。サマルカンドなどの青一色の世界とはまた違う乾燥地帯ならではの味わい、中世的な空気を感じます)


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(パフラバン・マホモッド霊廟にて。ドームのある小部屋。パフラバンでは図柄のデザインを見続けたけれど、謎)


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(ヒヴァのタイルにヒミツあり。後日ゆっくり)


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(陶芸工房訪問にて。写真はほんのさわりです。回をあらためて、しっかり書いてみたい。その前に要レコーダー起こし!(*_*;;;))


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工芸、暮らし、人、食、たくさんの出会いと発見!


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(イチャンカラの路地で出会ったカップル。え?中世??いくらなんでも、出来過ぎでしょう!?聞けば、何かの撮影だったようですが、コンデジ写真にも気さくに応じてくれました)


写真コラージュも今回用にたくさん用意したけれど、いつものように長くなりすぎ。このあたりで締めます。旅行全体で写真は1600枚ほど、それほど多くないのですが、出会った内容が濃くて、インデックスにするのも1回では無理でした。。ゆるゆる行きます!
by orientlibrary | 2014-12-24 23:41 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

秋の民芸・工芸見て歩記&イスラーム建築本

百貨店にて、大規模な民藝展、工芸の催事

以前も少し書いていますが、このところ、民芸・工芸的なものに触れる機会が増えてきました。民芸や工芸をテーマとした展覧会、催事、若い世代の工芸のショップ、いずれも人が多いのに驚きます。

(*「民藝」と「民芸」については、展覧会名や書籍での「民藝」使用はそのままに。その他は民芸と記載しました)

日本各地の産地やメーカーが出店しての大規模な「用の美とこころ 民藝展(展示・即売)」(日本橋高島屋(終了)から横浜、京都、大阪高島屋へ巡回)。日本橋に2回行きました。トークイベント開催日だったこともあると思いますが、かなりの人出。トーク会場も満席で、皆さんお話に聞き入っていました。

「高島屋は(民藝運動に賛同し)、昭和9、10年に、彼ら(柳宗悦など)が収集した全国の民藝品の大展覧会を開催。大きな話題を呼びました」「70余年の時を超え、再び大規模な民藝展を開催することになりました」とのこと。特設会場に加え各階でも民藝特集があり、見応えがありました。

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(写真と解説は高島屋プレスリリースより、左上から:瀬戸本業窯(丈夫で飽きがこないシンプルな美しいデザイン。馬の目皿は白州正子も愛用)/倉敷ノッティング(経に木綿糸を張りウールや木綿の色束を結ぶ)/八尾和紙(江戸時代から伝わる伝統工芸。富山の薬売の包装紙や袋から発展)/倉敷手織緞通(い草の産地倉敷で作られていた敷物に柳宗悦が目を留めたことから始まった)/静岡型染(江戸時代に庶民の浴衣の染色技法として発展)/芹沢型角脚バタフライテーブル(松本民藝家具製作))

銀座松屋の「銀座・手仕事直売所」(9月30日まで)。

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(同催事サイトより/「作家、クラフトマン、職人、デザイナー、産地、小規模工場など、ものづくりに一途な各地の作り手が生み出す、今を感じる暮らしの品々。10年経っても暮らしの中で輝いている、そんな「手仕事」を全国各地から選び、作り手が直接ご説明して販売する「直売所」スタイルでご紹介いたします」)

この他、関西の百貨店など各地で暮らしの器や工芸の催事が開催されているようです。活気がありますね〜!


若い感性、器と道具のお店

そして、数年前から各地にオープンしている新しいセンスの民芸や工芸のショップも、とても楽しいです。器が好きで始めたというオーナーたちは若い世代が多く、勉強熱心で、産地や作家さん職人さんときちんと交流している印象(FBやサイトなどから)。次々と魅力的な企画展をおこない、味わいがありつつ日々の暮らしに使いやすい器や道具を、良心的な値段で提供しているように感じます。

ときどき覗かせてもらっている「工藝 器と道具 SML」(東京・目黒)。清新な民芸の動きを感じさせてくれる企画展は、いつも発見があります。若い作家さん・職人さんの作品が、とても魅力的。ここで購入したもの、すべて満足して使っています。在廊の作家さんも気さくに話をしてくれるし、和気あいあいというか、全体が心地いい印象です。

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(SML。企画展開催時にはテーマに合う食事を提供するなどイベントもいろいろ)

なかなか行けないのですが、「工芸喜頓」(東京・世田谷)は、品選びも、それぞれの器の魅力を引き出したディスプレーも、センス抜群。店内空間やオーナーのライフスタイル(食と器など)は、雑誌などでよく紹介されているようです。以前も書きましたが、素朴すぎず、スノッブにならない、際(きわ)のようなセンスは、緊張感を孕みつつ、ほっこりと温かです。

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(工芸喜頓。こちらは2013年の写真)


博物館での展示

さらに、博物館です。日本民藝館(東京・駒場)では、「カンタと刺子 ベンガル地方と東北地方の針仕事」を開催中(11月24日まで)。

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日本民藝館WEBサイトより)

カンタと東北の針仕事、偶然というか、両者ともに以前ご縁があり、素晴らしい手仕事に触れさせていただいたことのあるものでした。

カンタについては、「美しい世界の手仕事プロジェクト」(2008年)の「バングラデシュの宝物」企画展示で、望月真理さんのコレクション(及び真理さん製作のカンタ)の世界に浸りました。また東北の針仕事については、「東北の手仕事」(2011年)にて、コレクター山崎氏の素晴らしい「こぎん刺し」コレクションはじめ、暮らしのなかの手仕事を知ることができました。

民藝館の展示では、カンタのさまざまな表情に触発されました。「カンタとは、旧ベンガル地方で作られた仕事をいいます。中央に蓮の花を、四隅にペーズリーをいれるのを基本とし、生命の樹や花、魚、馬、象、虎、孔雀、蛇などの動植物をはじめ、神様を乗せて練り歩く山車やハサミ、ナッツカッターなど、身近な品々まで生き生きと描かれています」(民藝館HP)。

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(家族連れ、カップル、シニアグループなどで賑わう)

カンタの多様さ、デザインの構図、モチーフの表現の多彩さが新鮮でした。また、白地の余白も印象的でした。「布は使い古しですが数枚重ね、文様の部分は色糸(茜や藍)で刺繍し、地の部分は白糸を埋め尽くした清楚な布です」(岩立フォークテキスタイルミュージアムHP)。


東北地方の刺子展示も多彩でした。そう思いつつ、「東北の手仕事」に提供いただいた「こぎん刺し」コレクションが、本当に圧巻の、通常なかなか見ることのできないコレクションだったことを、再認識しました。こぎん刺しに魅せられたコレクター・山崎氏。惜しげなく見せてくださってありがとうございました!

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(「東北の手仕事」(2011年)、山崎氏コレクションより)

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(「東北の手仕事」(2011年)、山崎氏コレクションより。右下は待合せ場所だった有楽町のビルで、チラッと見せてもらったコレクションに、もうたまらず、その場で広げてしまった面々。警備員さんが何度も来られましたが、「すぐ片付けます!」を3回くらい。その後当然追い出されました)


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また今回、民藝館展示にカンタコレクションを提供している「岩立フォークテキスタイルミュージアム」(東京・自由が丘)では、「パキスタンの民族衣装 沙漠と山岳地帯の手仕事」を開催中(12月20日まで。木金土のみ開館。詳細はHPで)

シンド、パンジャーブ、バローチスターン、北西辺境州(現ハイバル・パフトゥーンフー州)の、婚礼用衣装、被衣、掛布、敷物、壁飾りなど。点数は限定されますが、素晴らしい手仕事が厳選されていました。久々にパキスタンの手工芸に触れ、眼も心も満たされました。


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私家版 『イスラーム建築 その魅力と特質』


建築家・神谷武夫さんの著書、発行書である、私家版 『イスラーム建築 その魅力と特質』。長年、“幻の書”になっていましたが、先日、神谷さんの事務所にうかがい、ゆずっていただくことができました。

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(正方形。布装本の美しい本。内容は「イスラーム建築の名作/イスラームの礼拝空間/材料・構法・装飾/建築種別とその集合体/イスラーム建築の特質」の5章。神谷さん撮影の写真が500点。建築家の撮る写真は見るべきところが示されていて勉強になります)

私のような怠惰でいい加減な人間からすると、神業のような本作りであり、出版です。私家版に至った経緯については、外部の人間が簡単に説明できるものではないので、ご関心のあるかたは、リンク(=神谷武夫とインドの建築ホームページの中の当該ページ)をごらんください。

* 全体の経緯と内容はこちら
* たった1部だけ残ったゲラ刷りをスキャン、両面コピー印刷して布製本、100部限定、そのプロセスなど

私はイスラーム建築を飾るタイルに惹かれたことで、イスラーム建築やかの地の工芸にも触れるようになりました。けれども、日本では日本語で書かれた(日本で出版された)イスラーム関連の書籍は多くはありません。いかに少ないか、下の検索結果をごらんください。

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(参考:一例として、Google「イスラーム建築」検索では、ある図書館の蔵書検索が。状況が垣間見えるのでは。発行年も古い)

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(参考:同じくAmazonで検索。左上→左下→右上→右下の順。深見奈緒子さんのファンなのでご著書はだいたい持っています。が、それ以外は「地球の歩き方」とか世界史の本という選択肢、、)

でも、、本当に魅惑なのです、イスラームの建築や工芸。イスラームの建築について、私にはとても語れないので、神谷さんの訳書『イスラムの建築文化』(アンリ・スチールラン著/神谷武夫訳/1987年/原書房/絶版で入手困難)の解説文、素晴らしい推選文より、その魅力について、抜粋引用させていただきます。

* 「イスラム文化の粋は 建築にあるといってよい。そこには、あらゆる芸術的表現の総合があり、そのようにして実現される空間にこそ、人びとの信仰と知力と感性が凝集しているからだ」(推薦文−板垣雄三氏)

* 「絢爛たるアラベスク模様を張りめぐらした イスラム寺院を訪れた時、まず覚えた虚無感、しかし やがてその背後に隠された、極力 物質性を排除して 無限に複雑な幾何学模様を刻みこんだ豊穣さに圧倒された。一点の瑕瑕も許さぬ整然たる配列に 軽いめまいを覚え、やがて 空間の恐怖ともいうべき感動に打たれた。イスラム世界は 私にとって全く異質の空間体験であった」(推薦文−茂木計一郎氏)

* 「数多いであろうイスラム建築同好の士と同じく、私もその建築のファンであるからだ。それもかなり強烈なマニアであるかも知れないからだ。実はマニアなんて枠を踏み越えて、もう病気みたいなものになっているのかな、なんて恐ろしい自覚だってある。(中略) イスラム建築の病気というのは、スグにミナレットを建てたり、ドームを並べたり、あるいは タイルを装飾的に使ったりという底の浅いモノから、もっと深く ジンジンとするくらいに、建築という形式への想いを 揺り動かしてしまうものまで幅のあるものだ」(< 書評 > 石山修武氏)

こうした書籍が、もっと手に入りやすいかたちで世の中に出ていたら、状況も少し違っていたかもしれません。少しずつ変わっていくといいなと思います。

最後にタイル写真を一葉。
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(ジャディ・ムルク・アカー廟/シャーヒズインダ墓廟群/サマルカンド)
by orientlibrary | 2014-09-28 20:59 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

トゥバのホーメイ、遊牧民の染織、ラスター彩故郷に還る

トゥバ共和国のホーメイ

「アルタイ共和国のカイ、トゥバ共和国のホーメイという、シベリアの喉歌における二大潮流が一堂に会するコンサートが、今年9月に東京と大阪で開催される。両共和国の歌手が同じステージに立つのは本邦初のこと。あわせて、その前後にもアルタイ、トゥバの歌手によるツアーがそれぞれ実施される」(Realtokyoより)

各地で連日盛況かつ感動のコンサート、そのなかの一夜、横浜で開催された「ホーメイの夕べ〜トゥバ共和国の超人的な倍音喉歌」(出演:モングンオール・オンダール、アヤス・クーラル
、ドスタイ・オトクン
、アンザット・クーラル
/横浜みなとみらいホール小ホール)へ。喉歌ワークショップとバックステージツアー付きという貴重な機会でした。

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(上段:ホーメイの夕べ。コンサート写真がないので、バックステージツアーの様子を少々/下段:東京駒場の日本民芸館、「特別展 柳宗理の見てきたもの」11月21日まで)

ロックやスーフィー音楽、そのフュージョンが今も好きだけれど、一方で喉歌や口琴系、パーカッション系に惹かれてきています。じつは、自分がこちら系に来るとは思っていませんでした。年齢とかいろんなことがあるのかな。ギリギリまでそぎ落とした音世界ならではの豊穣、電子音楽と紙一重のトランス感に巻込まれている感じです。

<ホーメイとは>
「
ロシア連邦トゥバ共和国に伝わる喉歌(のどうた)。声に含まれている倍音を、声帯の力で強調させ

て口笛に似た音を出す。非常に低い倍音を出したり、音を細かく震わしたりと、発声法が7種類以上

(28種類という説も)ある。また、この他にもアルタイ山脈周辺地域には類似した「喉歌」が伝えられ、

モンゴル国ではホーミー、アルタイ共和国ではカイ、ハカス共和国ではハイと呼ばれている」



(「ホーメイの夕べ」のワークショップ「ホーメイの魅力 トゥバ共和国発祥の奇跡の歌声」資料〜講師:巻上公一さん〜より)

音の響きの良いホールで、4名それぞれの個性あふれる生歌を堪能。低音の喉歌カルグラー、高い音の出る喉歌スグットなど圧巻。南シベリアの草原、自然の中にいるよう。全体を通して「風」を感じます。それが根源的な気持ち良さにつながっているのかもしれません。

モングンオール・オンダール(スグット)



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柳宗理の見てきたもの

特別展 柳宗理の見てきたもの」=「2011年のクリスマスの日に他界した柳宗理(1915~2011)。世界的な工業デザイナーとして活躍する一方、約30年間にわたり日本民藝館の三代目館長として活動しました。本展では、宗理が蒐集した当館コレクションの逸品をはじめ、柳家から遺贈された陶磁器や染織品、仮面などを展示。また、父宗悦から受け継いだ食器類も併せて展観し、柳宗理がどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介」する展示。日本民芸館にて11月21日まで。

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ひとりの人が好きで集めたもの、いろんな地域、いろんな領域、でも一貫した「好き」が見えてくるようで興味深い。柳宗理さん、生命力がありながらどこか端正な感じ。繰り返す模様が織りなす妙味、色や色合わせの一歩引いたようなシックさ、などを私は感じました。


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西アジア遊牧民の染織

「アジアの染織 西アジア遊牧民の染織」(東京国立博物館・東洋館/~ 2013年12月1日)

「遊牧民研究家、松島清江氏が1960年代から1980年代にかけて現地で収集したコレクションを展示します。インド西北部からパキスタン、アフガニスタン、イランからトルコにかけて遊牧を営んだ部族が染め、織り、制作したハンドメイドの衣類や袋物、テント用敷物。家畜の毛をつむいで織り、あるいはフェルトにして作られた、各部族の特色ある色と文様の世界を紹介します」

松島きよえさんについては、トライバルラグディーラーのTRIBEさんが、これまで熱心に紹介しています。「トルコ~イラク~イラン~アフガニスタン~パキスタン~インドと西アジア~西南アジアを駆け巡り、
遊牧民と行動を共にしながら彼らの生活に溶け込み、同時に毛織物を収集された貴重な日本人である。
今生きていらっしゃればどれだけ話が弾んだであろうと思う。
特に野蛮(遊牧民らしい魅力溢れる)な部族に惹かれ、昔ながらの部族らしさを残した人々に
魅せられていたようである」(TRIBEさんHP)

* 遊牧民に魅せられて。松島きよえさんの物語
* 遊牧民に魅せられた人 松島きよえさん
* ブーラーフィー族 『Josephine Powell&松島きよえ』2

おかげでコレクションの実物も何度か拝見していました。東博のガラスケースの中、さすがに大作、状態の良い絨緞や塩袋が揃っていました。

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(アジアの染織 西アジア遊牧民の染織/東京国立博物館・東洋館)

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(左:アフガニスタンとのこと。トライブ名不明/右:イランのバフティアリ族)

「ブロイ族」とあったので、初めて見る名前だと思いましたが、どうやらブラーフィー族のようです。アルファベット記載は「BRAHUI」。「バルチ族」「バクテアリ族」なども、ちょっと違和感。カタカナでの記載は難しいですね。東博さんはアカデミックな影響力があるところ。少しリサーチしてみてもよかったのでは?

東博ついでに。東博は、じつはモザイクタイルがけっこう使われているんです。有名なのは本館1階の壁面モザイク。外からの光の具合で色や光沢が変化して、とてもきれいです。表慶館の床はビザンチンっぽいモザイクが一面に施されています。表慶館はなぜか現在レストスペースのみ。もったいない!展示したい人が山のようにいると思う。貸出しも一法では?

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(東博のモザイクタイル。左:表慶館、右:本館1階)


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ラスター彩、故郷に還る

京王百貨店の「七代 加藤幸兵衛茶陶展<併催>ラスター彩イラン里帰り展」、もう一度じっくり見たかったな〜、、どこか心残りだったところに、21日放映のテレビ番組「ラスター彩、故郷に還る」。1年間の密着取材での製作光景、展覧会までの道のり、イランでの展覧会の様子など、75分しっかりとラスター彩に浸れて、これで満足しました。いい番組でした。

製作の日々には、圧倒されました。とくに焼成。本当に発色が難しいのですね。いくつもの失敗作もあっての、あの美しさ。感動です。また絵付け前の段階、八角星と十字からご本人が作っていらっしゃるとは、、分業なのかと思っていました。

好きだったシーンは、幸兵衛氏がイランの村で、「土はいいなあ」と土壁にヒタとくっついているところ、そして青い壷を抱えるようにして道ばたに座っているところ。イランの人たちも土への思いは共通するものがあるはず。気持ちは通じますね。

そんなわけで、まだラスター彩気分が続いています。写真もラスターで!すべて「幸兵衛窯」にて。

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(靴、そして描かれた人の絵がかわいい。金や銀と青、これがまた合うのですよね。右は正統派)

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(左:ラスター彩駱駝人物文大皿/右:ラスター彩楽人文茶わん、いずれも加藤卓男氏)

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(左:この青が好きです/右:ラスター彩神鹿文茶わん、いずれも加藤卓男氏)

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(右がテレビで追っていた「生命の樹」ですね。ペルシアのモチーフと日本の感性)

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(加藤幸兵衛氏作品のディテール。遠目にはとても繊細だけど、アップで見ると麒麟や龍が力強い。生きているよう。八角星と十字もきっちり整って緻密で丁寧。素晴らしい)

虹色の陶の光こそ
匠らの 生き死にの果てに
輝けり けふも           天山草


季節は、黄金色の実りの秋に。
by orientlibrary | 2013-09-24 01:41 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

蛇絵画、カシミアショール、西域美術、、博物館で工芸旅

2013年、「イスラムアート紀行」は、西アジア〜中央アジアの装飾タイル、加えて日本を含めての工芸、やきもの、土、染織などを、もっとスタディしていきたいと思います。「青」のテーマもより深く広く知っていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

せっかくなので干支にちなんでと思いますが、蛇、巳は、ビジュアル的になかなかむつかしいですね。リアル蛇も、以前動物園で模様の美しさに惹かれ、たくさん写真を撮ったんですが、iPhotoに入れてみると引いてしまい、消去してしまいました。けっして蛇が嫌いではないし、怖いとも思わないんですが、、ビジュアルとして難しい、、

そんな蛇に、東博が挑戦していました。「博物館に初もうで-巳・蛇・ヘビ」。「ここトーハクに140年をかけ巣食ってきた蛇たちが、いま結集しました」ということで、蛇にちなんだ絵画、彫刻、工芸品などを一堂に集めています。

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(左:胆松に白蛇/江戸時代、19世紀/販売目的ではなく配りものとして制作された版画を摺物と呼んでいる。新春を寿ぐ絵と狂歌を合わせた春興摺物として制作して交換することが江戸後期の趣味人に流行した。弁天様の使いとされるめでたい白蛇が松の木に絡み、朝日が昇っている) (右:岩山に坐す蛇使いの女/インド、北デカン/19世紀後半/音楽を表すラーガマーラ絵画の一つ。アサヴァリ・ラーギニーでは、孔雀の羽をつけた女が白檀の木の下に坐り、周りに蛇たちが集まってくるという図像が一般的である)

「蛇はときに、神のお使いとして、毎日のくらしの安全を守り、富をもたらすものと信じられました。また昔話や神話にもよく登場し、ふしぎな力をふるいます。日本に限らず、いろいろな時代と地域で、バラエティ豊かな蛇が絵に描かれ、形づくられてきましたが、そこには「おそれ」と「うやまい」の入りまじった、複雑な感情があらわれているようにみえます」(東博解説)

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お正月らしく、おめでたい模様、美しい模様を、東博展示から見てみましょう。和の手仕事、細やかで優美ですね。

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(左:打掛/白綸子地松竹梅宝尽模様/江戸時代、18〜19世紀/麻葉繋ぎ文に菊花文を散らした地紋を織り出した綸子に紅・萌黄・鶸色・浅葱・白といった絹糸や、金糸で刺繍を施した総ぬいの小袖。松竹梅や宝尽くし模様要など吉祥文で埋められた晴着) (右:唐織/紅白段牡丹若松孔雀模様/江戸時代、18世紀/日本では牡丹は「顔佳花」と称され美人をして「立てば芍薬、座れば牡丹」とたたえられた) 

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さて、この東博、東洋館がリニューアルオープン!待ってましたよ〜。耐震が主目的だったようですが、全体に明るくなり展示も見やすくなっていました。展示ケースに使用された低反射ガラス、LED照明で、作品がクリアに見えるのがうれしい。アイランド型というのか何というのか、四方から見られるのも陶器の場合、とくにありがたいです。

現在、特集展示として「アジアの染織 カシミア・ショール」開催中。きれいでした〜!「インド北西部・カシミール地方に生育するカシミヤ山羊から採取される上質な毛糸をさまざまな色に染め、綴織や刺繍で細密な模様を表わしたカシミヤ・ショールを中心に展示します。同時代のイラン・ケルマン地方で製作されたカシミア・ショールやインド・ムガル王朝やイラン・サファヴィー朝の衣装も併せて展示しますので、華麗な王宮のイメージをお楽しみください」。

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(カシミア・ショール 赤地ペイズリー菱花文様刺繍/イラン・ケルマン/18~19世紀/鮮やかな緋色のカシミヤ地に色とりどりのカシミヤ毛糸で刺繍。インド独特の植物文であるペイズリー文様。本来カシミヤショールは綴織だが、ヨーロッパで人気が高まり需要が増えるにしたがって、刺繍で量産を試みるようになった/cashmere shawl, paisley, lozenge and flower design in embroidery on red ground)


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(コート 濃紺ヴェルヴェット地花卉文楊金銀糸刺繍/インド・ジャイプール マッダ・シーン2世着用/19世紀/つややかに光る黒いベルベット地に金モール糸で豪華な刺繍を施し、ルビーや真珠、エメラルドといった貴石でまばゆいばかりに装飾されている/coat, flower design in gold and silver in embroidery on deep blue velvet ground)


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(カシミア敷物 赤地ペイズリー立木孔雀人物文様刺繍/イラン・ケルマン/19世紀/18の半ばから19世紀にかけてヨーロッパで絶大な人気を博したカシミール地方のショール。19世紀にはイランのケルマン地方でも模倣して作られるようになった。伝統的な立木文様に鉄砲を持つ兵士が刺繍された近代的感覚を加えたデザイン/cashmere carpet, paisley, tree, peacock and figure design in embroidery on red ground)


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(カシミア壁掛 赤地ミフラーブ文様切嵌刺繍/インド・カシミール/18~19世紀/イスラム教礼拝用の壁掛けに用いたと考えられる。彩り豊かな毛織物を文様の形に切り、地にはめ込み、さらに輪郭を色糸で縁取りした手作りのぬくもりが感じられる作品/cashmere hanging decoration, floral scroll design in embroidery on red ground) これ好きでした〜^^


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(カシミア・ショール裂/18〜19世紀/fragments of cashmere shawls)

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期待の西アジア美術、、少ないなあ、、以前は展示スペースが狭いからないのかと思っていた、、工事中は仮だからなのかと思っていた、、広い場所に正式に置いても数は少ないのね、、。「3か月に一度入れ替えをします」ということだけど、たぶん、私が期待している陶器は元々これ以上ないのでは??これまでいくら見ても、これだけだったもの。もう覚えてるよ(泣)。エジプトはまあまあ多く、考古学的なものもある程度ある。でもイスラーム陶器は東博には少ないということですね。中国陶磁、朝鮮陶磁は多彩ですよ!もちろん日本の陶磁器はすごいです!、、そういうことですね。旅をしましょう。

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(左:西アジアの美術、、)(右:青釉色絵金彩大壺/イラン出土/イスラーム時代・13~14世紀/この青が大好きです。この作品だけ別格で一点だけの展示に)


今年もミュージアム、ギャラリー、展示会やイベントに、どんどん出かけてレポートしたいと思います。&今年は陶芸産地も巡りたいな。日本の産地は全然見ていない。これは大きなテーマ。イラン、トルコ、ウズベキスタン、インド、パキスタン、中東、マグレブも、もっともっと見たい。
今年も遊びにお立ち寄りくださいね!^^
by orientlibrary | 2013-01-06 21:05 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

イランのパーカッション「ダフ」と多彩なイラン絵本に酔う&青の本ご紹介

イランのタイルや細密画の優美さ、緻密さ、奥行きには、いつもうっとり。さすがの伝統とアートセンスです。先日はうれしいイラン日和。イラン絵本とイラン音楽(打楽器の魅力)を堪能しました。まずは音楽から。

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イランの打楽器トーク&ライブ。「イランの打楽器にまつわる逸話や映像を交えつつ、日本ではなかなか聴くことのできないイランのパーカッション演奏をお楽しみください。当日はイラン在住のセタール奏者、北川修一氏をゲストにお迎えします」というイベント。これはもう行くしかないイベントです!

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(真ん中写真、3人が演奏している楽器が「ダフ」。円形の木枠にプラスチックあるいは皮を張った片面タイコ/上左がトンバク/弦楽器のタール、タンブールとのセッション、ヴォーカルもあり、堪能!/会場はイラン料理店。やさしい味の煮込み料理や好物のひよこ豆ペースト・モホス、ザクロジュースとワインのカクテルなども食にも満足)

イランのパーカッション、こんなにたっぷりじっくり聴いたのは初めて。そして、その豊穣の音世界に感動しました。

* ダフ *
いわゆるフレームドラムの一種。直径60センチから70センチほどの円形の木枠にプラスチックあるいは皮を張った片面タイコ。両手の手のひらで支えながら叩いて音を出す。枠の裏には無数の金属製の輪がつけられており、縦に振ることでジャラッという金属音を出すことができる。同系統の打楽器は世界各地に存在し、タンバリンなどはその最も有名なものとしてあげられる。
ダフは音楽演奏というより、もともと地方の神秘主義的な集会や儀式の為に使用される楽器で、ゼクルと呼ばれる詠唱とともに特定のリズムを打ち鳴らすためのもので、他の楽器が絡むことはなかった。ダフ奏者がイラン音楽のアンサンブルに参加するようになったのはごく近年の革命後になってから。革命後のイラン伝統音楽シーンは、ダフの参加により大きく変化。イラン伝統音楽はこれまでになかったグルーヴ感やスピード感を持たせることに成功した。
(「iran japanese radio」のHPより引用)

奏者の方々のトーク&映像にも引込まれました。各人がイラン音楽に関わるようになったきっかけやエピソードが、写真や音像を通して紹介されます。イラン音楽や楽器への敬意がベースに感じられ、その魅力を伝えたいという熱い想いが伝わってきました。こういう想いに感応するんですよね。イラン、相変わらず驚かせてくれる。芸術の国ですね。


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「誰も知らないイランの絵本展」など、気になるタイトルが魅力的なsalamx2さん。今回は「小さな部屋の絵本展」。どのくらい小さいかというと、「ギャラリー」の高さが1m。定員1名。こちらも行くしかないでしょう。

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(種を明かせば階段下のスペース利用ギャラリー。湯島の輸入雑貨店「NICO」内/大人になっても秘密の小部屋みたいな空間はみんな結構好き。靴を脱いで順番に入ってゆっくり絵本と戯れました。待ち時間の人はaikoさんとチャイを飲みながらのおしゃべり!)

「小さな小さな空間で今回展示するのは、初版が2000年までのイランの絵本たち。最近の絵本には見られないようなユニークかつ「濃い」表現の絵本が並ぶ予定です。革命(1979年)以前のもありますからね。どうぞお楽しみに!」(「salamx2の雑談」)。

aikoさん、コレクション持ってますね〜。さすが。なかなか見られないものを見せて頂きました。個人的には、薄いペラペラの紙質のささやかな絵本に惹かれます。


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この秋は、展覧会も充実、イベントや映画祭が多く、いい作品やモノとの出会いがたくさんありました。冬に入っても、展示会やイベントが多数。ネット等を通して情報に触れやすくなったことも一因でしょうね。いつどこに行こうか、迷ってしまうほどです。

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こちらは絨毯・キリム・テキスタイル系の展示。左半分がtribeさんの展示で見つけたウズベクもの。ブーツやスザニ、アトラス。ミラーワークのブーツがかわいい。履きこなされている古いものですが、愛らしさで鮮度感抜群。
右半分は、kannotextileさんの展示。こちらは夏の展示の写真なのですが、左とテイストを合わせてみました。ラカイ族(独自の刺繍で有名)のカラフルなブーツが目を引きます。

ウズベキスタンの伝統的な絣アトラスやアドラスによるモノづくりに取組むカンノさん。スキッとしながら主張のある衣服たち。センスの良さと確かな技術。このような若い層の登場が本当にうれしいです。
夏の旅で出会った布で作った衣服、現地からのバッグや小物、スザニなどを展示販売する「果て無き大陸と巡り廻る布」、現在川口市にて開催中(23日まで)。


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思うところあって、青のfacebookページを始めました。正確に言えば、2011年2月1日にちょこっと投稿して以来、放置していたページ。再開のきっかけは、週明けに判明した選挙結果。青をまじめにやろう、、、この思考回路、ヘンですが、自分のできることをコツコツしていかなくては、それって何?? タイルや陶器や青へとグルグル回ってきました。ヘンですが、やっていきます。

「青の陶器とタイル好き * blue ceramic museum」というそのまんまのページ名です。ご興味もって頂ける方は、どうぞごらんください。
facebookは、テーマを青に絞っての短い1トピック(1枚の写真と短いコメント)でデイリー(平日?)。内容は、<西・中央アジアの青の陶器とタイル><日本の陶芸><世界の青の工芸、染織、光景>予定。
ブログはやや長めで、装飾タイルやテキスタイル、イベントから日々の思いまでいろいろ。週1回更新(めざしてます)。

そんなこともあり、青の本なども紹介していこうかと、本をスキャン始めました。Amazonのリンクでももちろんいいのですが、表紙写真も大きいとやはりインパクトあります。
最近はネットばかりで本を見なくなっていたので、本を重く感じました。重いんですよね、この系統の本。それがキツくなってきてますが、久々に見るとなんか愛おしいですね。汚れ具合も。いくつかのコラージュをご紹介。

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(私の大事な大事なテキスト2冊。それぞれに特徴があり写真も美しい/「the art of the islamic tile」/「colour and symbolism in islamic architecture」)


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(青について詳細に書かれている(はず)、読み込んでいないです、、「and diverse are their hues color in islamic art and culture」/イスラム建築や装飾の草創期、魅力にあふれる時代、「islamic art and architecture 650-1250」)


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(アイユーブ朝シリアの陶器、青が魅力の表紙、「raqqa revisited ceramics of ayyubid syria」/表紙はシャーヒズインダの浮彫りタイルですね。美しい写真とともに技法やモチーフ、事例などについて詳細な解説。「splenders of islam」)


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(表紙がきれいなトルコタイル中心の2冊。ソフトカバーで軽め。写真中心/「turkish tile and ceramic art」/「islamic tiles」)


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(青の表紙の本を元々スキャン予定だったので惜しいと思って裏も取りました。裏表紙がすっごい青のタイル!セルジューク朝からベイリク朝のアナトリアのタイル。読もうと思っていてまだ全然です、、ネットに走ってます、完全に、、/「tiles treasures of anatorian soil tiles of the seljuk and beylik periods」)

この他もスキャンしたのですが、今回はこのくらいにしておきますね。facebookの方でもじょじょにご紹介予定☆♪
by orientlibrary | 2012-12-21 22:08 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

バー「部族地帯」

横浜若葉町、見学しました。「無謀な」チャレンジャーたちが町を活気づけています。いろいろ考えたりヒントを得たり、いい経験でした。
「シネマ・ジャック&ベティ」は、小さくとも珠玉の作品を揃え、舞台挨拶の機会を多く設けて、映画とお客が近い名画座を目指しています。「アートラボ・オーバ」は、不思議感覚あふれるアートやコミュニケーションの拠点。「nitehi works」、昭和な元金融機関のビルをリノベーション。広々とした個性的空間。アート展示やイベント会場に、カフェも。

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(上段:「nitehi works」。天井が高いとイメージ広がりますね。中2階もいい感じでした。錆ついた巨大扇風機は動きます/中段、下段:「cafe&bar 部族地帯」。水タバコあり。美味チャイ。バリ島のアラックはボトルの花模様がいい感じでまったりいい味わい。試作中のトルコピザ味見隊、やさしく品の良い味わい。粉もの上手!チンギスハーンのボトルは細工がきれい。カウンターにアジア系酒瓶が並びます)

横浜ついでに、、 こんな名前を聞いたら行くしかないでしょ!というバーのチェックに。横浜駅から徒歩10分ほどの場所に9月オープンした「cafe&bar 部族地帯」。ぶぞくちたい、って。。。

偵察心全開でドアを開けましたが、意外にもシンプル&ナチュラルな内装。あれれ。一枚板のカウンターにたくさんのお酒、バーの王道。でも水タバコ、マテ茶の道具があったりして、エスニックな気配がじりじりと忍び寄る。
まずチャイを。スパイシーで濃くて、うん、ナイス。お酒もよく見ると、トルコの蒸留酒ラキ、ガイアナ共和国のラム、ジャスミン米で作ったというタイの焼酎、バリ島のアラック、モンゴルのウオッカ・チンギスハーンなど、魅力どころが集結。
メニューを見ると、、アフガン、来た〜〜! アフガンナーン、カライ、カバーブ、ピラフ「カーブーリー・パラオ」。トルコのピザ「ピデ」も。

期待通りの部族地帯でした。マスターはアフガニスタンをフィールドにしたフリーランス・ジャーナリスト、研究者。料理上手!
客を選んでしまうようなリスキーな店名ですが、「店名に関しては、決して大国に屈せず、「国家」が基準単位となった世界で、なにものにも組しない部族民の独立精神にならう、との我ながらかなり楽観的というか好意的な解釈によっている」(ブログより)とのこと。スピリット、ですね。

「私の取材フィールドであるアフガニスタンでは2014年に基本的には全ての外国軍が撤退予定。そして同じ年にこれまで「ターリバーン後」の国家を担ってきたカルザイ大統領も退任する。その前後にはまた取材に行こうと思っている。ともあれ、アフガニスタンとは一生関わっていくつもりだ。立場はどうあれ...。」(ブログより)

次はしっかり食べ飲みに、おじゃましたいと思います。

 2013年10月、閉店されたようです。また違う場所で再開される旨、その際には情報を何かで見つけてうかがいたいと思います。料理の腕も酒選びのセンスやカクテル等も、とてもいいのですから!広くなくてもいい、カウンターだけでもいい、マスターと話がしたい、気軽に一杯飲みたい、旅好きの人や部族の話がしたい、という人は少なくないと思うのです。中央線や小田急沿線の空気と合うようなイメージを持っています(勝手ですいません!)。

皆様も良き秋の日々をお過ごし下さいね!風邪にはご注意を。
by orientlibrary | 2012-11-17 00:50 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

雪のタフテ・スレイマーン、冬のイランの景

静謐で雄大な冬景色を。

タフテ・スレイマーンの写真、ようやくスキャンしました。フィルム時代の写真、スキャンの手間に長年の先延ばし。「もう、なかったことにしよう」とも、、。でも、ようやく、やりました!

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(雪景色のタフテ・スレイマーン/تخت سلیمان‎ Takht-e Soleymān/イラン西アゼルバイジャーン州)

タフテ・スレイマーンは、ペルシア語で「ソロモンの王座」を意味する。ゾロアスター教(サーサーン朝の国教)、サーサーン朝の聖地。火口湖を中心に建てられている。主にサーサーン朝に建造された宗教施設などがある。世界遺産。

でも、どうしてこの地に、ソロモン王(*)の名前スレイマーンがつけられたの??かつてソロモン王がこの土地の100mの深さのある火口湖に怪物を閉じ込めたという伝説が残っているからだそうです。

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(サーサーン朝の日干しレンガに感動)

*ソロモン王(古代イスラエルの第3代の王)。ソロモンはイスラム教においても預言者の一人とされ、現代でもアラビア語ではスライマーン(سليمان Sulaymān)と呼ばれ、また、現代ペルシア語ではソレイマーン (Soleymān)、トルコ語でもスレイマン(Süleyman)とされ、ごく一般的な男子の名として普通に用いられる。ムスリムにあっては、預言者スライマーンは、知恵に満ちていたと同時に、アラブの民間伝承である精霊(ジン)を自由自在に操ったとされている。(wikipediaより引用)

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(日干しレンガは雪でも大丈夫?ユネスコが大規模な修復をしていましたが、、)

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(イラン北西部にあるザンジャーンにて。雪の舞うモスク。ザンジャーンにはアザリー(アゼルバイジャン人)が多い。絨毯も有名)

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(ソルタニエにて)

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(ザンジャーン州。乾いた冷たい空気。人もアヒルも日向に集まる)

タブリーズのマスジド・キャブード(ブルーモスク/1465)の写真もスキャン。安価な現像のため、劣化。悲しい。

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(masjid kabud or blue mosque , tabriz iran , 1465)

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ブルーモスクは、本当に素晴しい。ファサードのモザイクは、あらゆるタイルの中で一番好きです。
こちらに書いてます。「15世紀タイル装飾の傑作 タブリーズの「ブルーモスク」」。この写真が行方不明。どうしたんだろう。これも悲しい。

雪のモスク(たぶん、これブルーモスクだったと思います)、絨毯にも織られています。情景があたたか。

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(テヘランの博物館にて撮影)

イランの冬景色、こちらは遊牧民の移動。300キロにも及ぶ山越え。壮絶なまでにきびしい。このような移動を年に数度繰り返す。

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(バフティヤリー族の移動を描いたドキュメンタリー映画「grass」より)

人も羊もたくましく、強い。彼らの毛織物、羊毛そのものに味があるような気がします。tribeさんの解説です。「ルル/バフティヤリー族  ペルシア語系遊牧民(イラン)」

日本です。笹に積もる雪をあらわしたやきもの。和の情緒と匠ですね。

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(銹絵雪笹文大鉢/仁阿弥道八作/江戸時代、19世紀/江戸末期を代表する京都の陶工仁阿弥道八は、伝統的な京焼を手本に秀作を多く残している。この鉢は、乾山焼の手鉢をモデルにして、大振りの鉢に仕立て直したもの。白泥を釉下に使って、笹に積もった牡丹雪の意匠を描き、その気分がいかにも雅で味わい深い/large bowl. snow coverd bamboo in overglaze iron-brown/東博にて撮影、解説を引用)

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前回に引き続き「coke studio」より。さらに一曲。

Mori Araj Suno, Tina Sani, Coke Studio, Season 3







素晴しい、、パキスタンの歌い手たち、この声は、この歌は、この表現力は、、
「coke studio」、音楽の神が降臨したかのような曲の数々。

今年もあと少し。風邪流行ってます。皆さん、気をつけてくださいね!
by orientlibrary | 2011-12-26 22:47 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

二羽の鳥がいるタイル、陶器、布

今回の写真は、「鳥」をモチーフとしたもの、とくに「双鳥」のものを集めてみました。その理由は、途中で「鳥」に関する記載が出てくるからです。その元々の理由は、、風邪。(>v<)

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(トルコ・イズニックに工房を持つアディル・ジャン・ギュヴェンさんのタイル。素晴しい。このタイルの深み、絵画的世界は何とも言えません。モスクの蝋燭立て、二羽の鳥、キャンドルには蛇がからみつき、トルコの花々が咲き乱れる。青一色の豊穣なる世界。鳥は天国を、蛇は健康を表すとのこと。蛇が良きものである点、東方的な感じがします/「青の魅惑 イラン、トルコ、ウズベキスタンのやきもの」展示作品より)

「風邪はひき始めの二日間が大事」、まさにそれを実感した週末でした。土曜日午後から日曜いっぱいの引きこもり生活。とにかく暖かくして、ひたすら休む。おかげでこじらせず、ほぼ回復。よかった〜。。

よかった、、よね、たしかに。でも、土曜日曜、楽しみにしていたイベントや訪問、すべて行けず(哀)。すごく残念。本来ならば、イベントや会った人たちの話で、今日のブログは情報モリモリ満載のはずでしたが、、何もなし!!(涙)

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(ウズベキスタンの陶芸家アリシェル・ナジロフさんの鳥皿、部分アップ/「青の魅惑」出展作品)

唯一、読めた本が「ユーラシアの神秘思想」(岡田明憲著)。何年も前に買った本、ようやく開いてみると、、風邪の夢うつつの気分に合ったというか、興味深く読めました。

私自身は神秘思想に惹かれるタイプではないのですが、著者岡田明憲さんのこの分野への「入り込み方」、いいなあ。好きで好きで、知りたくて追求したくて、という熱が伝わってきます。情報や商品が渦巻くような日々ですが、年のせいでしょうか、熱のあるモノ、コト、にしか食指が動かないこのごろです。

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(多彩釉画像タイル/イラン北西部/鉄器時代 前8〜7世紀/「ズイヴィエ偉宝」の発見で名高いウルミア湖周辺で出土したと推測される。本来、神殿または王宮の壁面を飾っていた建築材で、世界的にも稀少な作品。表面に描かれた超自然的な図像からは、当時のイラン北西部の宗教的観念の一端が垣間みられる/東博で撮影、解説を引用)

「占いの世界」という章もあります。来年の占いとか、少し気になる時期でもありますよね。

・占いは神秘思想への通路、あるいは神秘思想の応用とも言える
・神託から夢占い〜東西につながる占いの源流に、古代ペルシアのマギ(東方の博士たち〜占星術や夢占いの達人)がいた
・マギは占いに長じていただけでなく、ローマ世界にミトラの密議を伝えたのも彼らである
・このミトラの宗教は弥勒信仰として東にも伝搬する
・マギの占星術が独特の発達をして、そこにカルマの理論を導入して完成された、本場インドの占星術を見てみる
・この本では、占いを通して、日本から中国、インド、イスラム世界、さらにはギリシア・ローマに到るまで、まさにユーラシア的規模でおこなわれた、神秘思想の交流を跡づけていく

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(タシケントの博物館で撮影。建築装飾に用いられた「鳥女」だそうです。ブハラにて出土、6〜7世紀/fragments of architectual decoration image of bird woman,6-7century. varahsha,bukhara region)

ギリシアの神託は、巫女が語るのが普通でしたが、の鳴声や樹の葉のそよぐ音を解釈する仕方もあったそうです。
ローマでも鳥占いが神意をうかがうもの。鳥ト官は最高位の祭司で国政に助言する役割。鳥の飛び方、餌の食べ方で占う鳥占いが、公的なものと認められていたそうです。(餌の食べ方って、、そんなんで大丈夫!?)

その後、占いは中国の陰陽五行、イスラムの夢占い、密教占星術、インドの星学等々、体系づけられて高度に発達。
そして現在の占いブーム。皆さん、占いって信じてますか?
私はオカルトが苦手。何でも占いで語られるのも苦手。でも星座占いを真剣に読むときも。ポジティブな部分を、ちょっとした指針にしてる自分がいます。こうした方がいいと言って欲しいのかなあ。

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(トルコ・イズニックの博物館にて撮影。陶片。鳥と花がいいですね〜)

「ユーラシアの神秘思想」、眼目は「アジアとヨーロッパを合わせたものとしてユーラシアがあるのではなく、アジアとヨーロッパの基盤として、両者の文化が分かれる以前に、ユーラシアが存在していたという事実」という視角です。「人類の原思想」というべきひとつの起源、それを様々な角度から語り起こしている本なのでした。

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(九谷絵付け皿。東博にて撮影。日本の鳥は非対称で余白が効果的。色もスッキリと洗練されていますね)

まだちょっと熱っぽいこともあり、スキッとまとまらない内容で失礼しました。写真を楽しんでくだされば幸いです☆ そして風邪には気をつけてくださいね〜!

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(バングラデシュのカンタ刺繍部分。鳥がかわいい。使い古したサリーなどを再利用して数枚を合わせ刺子のように刺繍を施すもの。アーティストとかではない一般の女性たちが刺したもの。刺繍の細密さだけでなく、デザインや色合いが素晴しいものが多いです)

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(イラク南部の湿原に暮らしていた先住民族「マーシュアラブ」(湿原のアラブ人)の刺繍布部分。カラフルな色の組み合わせ、のびのびとした自由な構図で、鳥や魚、花などを刺繍で表します)

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(東欧の刺繍布。詳細はわかりませんが、ギャラリーで拝見して全体の雰囲気のかわいさに写真を撮らせていただきました)

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(ウズベキスタン・ブハラ、ナディール・ディヴァンベギ・マドラサ。二羽の鳥のモザイクタイル装飾。中央アジアの青のタイル、紺碧の空に映えます。鳥が太陽に向かって飛んでいく構図がスッと馴染む気がします)
by orientlibrary | 2011-12-12 23:46 | 中央ユーラシア暮らしと工芸

青の道を行く。西アジア・中央アジアの陶芸とタイル

旅先で見た青のタイルに惹かれたのが最初でした。しだいに、西アジア・中央アジアのタイルを、もっと見たくなり、もっと知りたくなり、自然な流れとして彼の地の陶芸にも関心を持つようになりました。
何の専門性も持ち合わせておらず、シンプルに好きなだけ。見ているとシアワセ、見ていると知りたいことが増えてくる、を繰り返しながら、今も単なる「タイルオタク」です。

ご縁があって、トルコに行くことになりました。ミッションがあるので、けっこうドキドキしています。どうなるかわからない、としか言えないし、100%なんてないんだと、年々日一日思うようになっています。
とくにこの半年くらい、「イッシャアッラー」を毎日のように言ったり書いたりしており、実感は日々増しています。その面では、あのあたりの地域に近づいているのかな!?


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こんなふうに植物を表現する子どもたちがいる。

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(植物を愛好したバーブルの生地、ウズベキスタン・アンディジャンの小学校にて。山が連なっていますね。キルギスとの国境に近いところです)

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(教室の窓辺にもたくさんの植物が飾られていました。ウズの人たちは皆さん、お花や樹々がとても好きです!)

このような地で生まれ育ち、一筋に陶芸の世界に生きてきた陶芸家。大好きな植物模様を描く匠の技、伸びやかなデザイン、明るい発色。素晴しい。リシタンのアリシェル・ナジロフ氏。

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(コーランの言葉〜カリグラフィー、鳥、植物、どれも大事なもの。心を映す青の世界)

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(若手の作家たちも日々描き続けている。絵の世界に体も心も入っていることを感じる)

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トルコのやきもの、見てきます。写真も撮ってきます。
行ってきます。

(最近、facebookのいいね!をたくさんいただき、ビックリです、、どうもありがとうございます。m(_ _)m)
by orientlibrary | 2011-09-25 11:14 | 中央ユーラシア暮らしと工芸