イスラムアート紀行

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カテゴリ:ムルタン・蒼のタイル( 10 )

心に残るパキスタンのタイル

パキスタンのムルタン、ウッチュのタイルが大好きです。どうしてこんなタイルがここに?この聖者廟のかたちはどうしてこうなったの?、、そんな素朴な気持ちからタイルを求めて歩いてきました。中央アジアとの共通点を見つけて、ひとり喜んでいます。タイルって、そんな感じです。

ムルタンとウッチュのタイルを中心に写真をピックアップしてみました。あの蒼のタイルと蒼い空、見に行きたいな。


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by orientlibrary | 2008-09-03 20:19 | ムルタン・蒼のタイル

「パクス・イスラミカ」の本を読む

●旅ものが読みたくなって、『深夜特急』を3册再読。著者の沢木耕太郎さん、旅をした年齢からずいぶん後になって書いたということですが、心理状態も含めて、とても臨場感があります。才能だと思いますが、記録の仕方もあるのかな、と、風邪の熱っぽい頭で考えていました。

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(パキスタン・ムルターン〜ウッチュのタイル)

●下川裕治さんの『日本を降りる若者たち』という本もサクッと読めました。これまでバックパッカーが旅の途中で気に入った街に1ヶ月、2ヶ月と滞在し、ぶらぶらと過ごすことを「沈没する」と言うことは知っていました。

●が、最近は、海外で半年、一年と滞在しても、何もせずどこにも行かない旅行者(と言うのかな?)が少なくないそうです。著者は、その人たちのことを「ひきこもり」ではなく「外こもり」と名づけてタイなどで取材しています。

日本を「生きにくい」と感じる若者たちの多さと、長期の外こもりが可能であること、両方に複雑な気持ちがしました。後半、積極的に、かつ気負いなく、海外で働き生きる人たちも登場して、少しホッとしました。

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(パキスタン・ムルターン/シャールクネアーラムと周辺)

●大ヒットは、ずいぶん昔に買ったまま本棚の中に置いていた『パクス・イスラミカの世紀』(鈴木菫・編/講談社新書)。どうしてこれを読まなかったんだろう!?私の好きなエリア(本では「東方イスラーム世界」とされています)の歴史が、こんなにわかりかすく書かれているなんて、、。著者の皆さんに感謝。

●完全復帰にはあと少しかかりそうなので、開き直って本読みしようと思います。読みかけの『チョコレートの真実』『あなたのTシャツはどこから来たのか?』は、ずしりと読み応えありそう。日本のことも知りたいので、『花鳥風月の科学』も。、、結果、、来週は忙しそうだなあ、、がんばろう〜!(意欲)

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(パキスタン・ウッチュのタイル)

●きちんとした記事が書けずに残念です。寒さもこの冬一番、皆様もくれぐれも風邪にはご注意くださいね!
by orientlibrary | 2008-01-13 14:15 | ムルタン・蒼のタイル

輝く青を求めて 2008

明けましておめでとうございます。

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(パキスタン・ムルターンの絵付けタイル)

『イスラムアート紀行』を見てくださっている皆様へ。
いつも、どうもありがとうございます。
たいへんに遅いご挨拶になりましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆様にとって、2008年が素晴らしい一年になりますように。

私の愛するイスラムタイルのある地域からも、たくさんの明るいニュースが聞こえてきますように。

世界の人たちが、健やかで安心して暮らせる日々でありますように。

私も、イスラムの美しいものを求めて歩く旅ができますように。
輝く青のタイル、愛らしい植物文様と、今年も出会えますように。
ブログを通して、今年も多くの方々と交流できますように。

心から願っています。

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(サマルカンド・シャーヒジンダ墓廟群の浮彫りタイル)
by orientlibrary | 2008-01-05 17:49 | ムルタン・蒼のタイル

タイルのある光景 ウッチュ(パキスタン)

聖者廟「ビービーシャビンディー」のあるウッチュ。宗教的な雰囲気が濃厚な街。
蒼い空に緑の椰子が揺れ、強烈な日射しの中を黒の衣装を纏った女性が歩いていく。
水場で遊ぶ子どもたちの表情は無垢。そしてウッチュのタイルは水の色のような蒼。

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by orientlibrary | 2006-04-09 08:08 | ムルタン・蒼のタイル

タイルににじみ出る インド・イスラムのDNA?!?

●今日は超〜!まじめに!研究編です〜!前回、久しぶりにラホールの写真を開いて、ムガル、ムガルと騒いでいた頃の私を思い出しました。<ムガル=インド(国)×イスラム(宗教)×中央アジア(出自)×ペルシャ(文化的影響)=好きなテイスト>って感じで。端正なタージマハル、優雅なムガルガーデン、華麗な植物模様、繊細な更紗、優美な工芸。インド・イスラムには、本当に美しいものがたくさんあります。そう思うと、やはりラホールのタイルだけでは片手落ちのような気がしてきました。

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●写真(上)は、ラジャスターンの宮殿をホテルにした「サマードパレス」の広間〜廊下に描かれた壁画の花模様。壁画には、地面から立ち上がる草花や灌木、風になびく花木、樹木などのさまざまな植物模様、そして鳥、アラベスクなどが、隙間なく描かれています。ムガルです。

●前回記事のラホールのタイルのモチーフはこのような壁画と重なります。しかし、残念ながら色の組み合わせにちぐはぐ感があるのは否めないと思います。

●写真(中)は、タージマハルの優美さを象徴する貴石、色石の象嵌です。真っ白の大理石に刻まれた可憐な花模様やアラベスクこそ、ムガルの工芸の神髄だと思います。

●そして前回気がついたのは、ムガルのタイルはこの象嵌の手法にのっとって作られたのではないかということ。時代的にはタージマハルはラホールの建造物より10〜20年くらい後(1654)なのですが、それ以前からアグラの建造物に象嵌は見られ(1626/イティマード・アッタウラ廟)、それはラホール・フォートのタイル装飾(1631)よりも前になります。

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●インド建築について数々の名著を書いていらっしゃる神谷武夫さんによると、「インドの主要な建築は石造であるにもかかわらず、木造的な原理で建てられている」「インド建築は木造起源であって、中世に石造建築が主流になってもなお、木造的な架構と表現に執着した」「石を木のように使い続けた」と分析(神谷さんHPより)されています。

ラホールのタイルは、ムガルの壁画を象嵌の感覚で作ったように思えます。写真(下)は、ウズベキスタンの「アブドウアリアジズハーン」のマドラサのモザイクタイル装飾(1651)で、ムガルインドの影響を受けて作られたものです。また、ムルタンでもラホールの影響の花模様のタイルが見られます。でも、何か違う。

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●ウズベクのタイルは密度があり精緻で、いかにもタイルモザイクだし、ムルタンのものはいわゆる絵付けタイルで、一枚のタイルに絵を描いたものです。つまり、もともとの花模様をタイルで表現するには、タイルなりの手法があったのではないでしょうか。それをラホールでは、象嵌的なものを引きずっておこなったような気がします。

●そこに、神谷先生が指摘されるような、インドの「体にしみこんだ美感覚の方が重要」というような独自の感性が反映したのか。それともタイルや陶芸の技術や土、焼成温度の限界があったのか??

しかーし!!(正気にかえって)、ド素人の私の浅薄な推測です。学術的裏付けは、いつものようにありません。こういうのって、いつか赤面なんだろうなあ・・・でも、気になって見比べてしまうんですよね。これが「業」ってものでしょうかあ?!かるま。

*写真は、(上)サマードパレス壁画(奥行きがなく、こんな角度でしか撮れなかった)、(中)タージマハルの花模様の象嵌(『TAJMAHAL』/ABBEVILEEPUBLISHINGより引用)、(下)ムガルの影響を受けたウズベキスタンのタイルモザイク例(『The Art of the Islamic Tiles』/Flammarionより引用)
by orientlibrary | 2005-12-15 03:14 | ムルタン・蒼のタイル

パンジャーブに咲く ムガルの花々

[タイルフォト・ギャラリー(15)「ラホール・フォート」(ラホール)]

ナマステ!インド・パキスタン編です。スタートは“カッワーリ”。カッワーリは、私がイスラム圏に興味を持ち始めたきっかけとしてはずせません。あれは92年の春のこと。友だちが「絶対いいから。とにかくチケット買っとくね」と強烈リコメンドしたのが「ヌスラット・ファテ・アリー・ハーン」のコンサート。パキスタンだけでなくヨーロッパなどでも熱狂的な支持を得ていたカッワーリの名手、2度目の来日、ということは後で知りました。

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カッワーリとは、イスラム神秘主義(スーフィズム)と関連する宗教音楽。(今ネットで調べていて「スーフィー族の宗教音楽」と説明しているものがあったけど・・・族って言うかあ?!)。宗教的陶酔の中て神との一体感を感じるというはじめて聴く未知の音楽世界。戸惑う間もなく、最初からガツーンと衝撃、あとはひたすら浸り感じるのみ。パンフレットには「聴衆を10分で金縛り状態にした」とあったけど、まさにそんな感じでした。

ヌスラットは97年8月に亡くなったんだけど、そのとき私はデリーのあるお家にステイしていて、新聞でその記事を発見。驚いていると、パンジャーブ(現在のパキスタン、カッワーリの盛んな地域)出身のお母さんは、私がヌスラットを知っていることが意外そう&少し嬉しそうでした。

印パ分離独立のとき、大変な思いをして逃げてきた世代だけに、あまり語らないけれど故郷への思いは強いのかもしれません。そのあと買い物に出かけたお母さんは、なんとヌスラットのCDをプレゼントしてくれました。当時、インドではCDはすごく高かった。そしてそのCD、じつは私は持っていた。でも本当にうれしくありがたかった。

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そんなこともあって、パンジャーブということばを聞いただけで、心が動きます。その州都がラホール。12世紀にはアフガニスタン・カズニ朝の都として、16〜17世紀にはムガル帝国の首都として様々な建築物が作られた街。

ラホール・フォートは、ムガルの歴代皇帝が増築を重ね拡大。1631年に完成。全体はレンガ造で、外の壁にはカラフルなタイル装飾があります。石がメインのインドでは見られない貴重なタイル装飾です。けれども他のイスラム圏のタイルとは、ずいぶん雰囲気が違います。地域的に近いムルタンのタイルとも全然違います。まぎれもない「ムガル・テイスト」なのです。

建築大好き皇帝シャー・ジャハーンはあのタージ・マハルを建てた人。彼の時代に、やはりラホール・フォートも拡充されています。モザイクタイル装飾もその時代のもの。テーマはムガルらしい可憐な植物や宮廷の暮らし、軍隊の行進や象の戦い、ポロの試合など。これらは当時絶頂期にあった宮殿の壁画絵画のタイル装飾版といえるのですが、色の種類が絵画と比べて限定的であり、それが非現実的な印象を与えています。

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タイルはイスラム美術の華であり、ムガル皇帝が始祖と仰ぐティムールの時代に花開いた建築文化。建築オタクのシャー・ジャハーンももちろんがんばったのでしょうが、やはりインドは他の建材が豊富なので土ものが盛んではなく、タイルには彼のオタクぶりが発揮されていないように見えます。

華やかだけど、なんかちぐはぐな感じもあって、あのタージ・マハルの完璧な美と比べると、ちょっとラフ?どちらかというと象嵌に近い感じ?それでも、タイルとイスラムアートと、そしてインドが好きな私には貴重な例。ユニークだな、と思いながら見ています。

*写真は、(上)宗教的雰囲気のあるラホールの街と人、(中)ラホール・フォート外壁面モザイクタイル装飾ディテール、(下)同、ムガルテイストの花模様。西洋のハーブの雰囲気を漂わす
by orientlibrary | 2005-12-13 02:53 | ムルタン・蒼のタイル

700年前の輝きを今も ムルタンの青

[タイルフォト・ギャラリー(6) 「シャー・ルクネ・アーラム」(ムルタン)]

パキスタンのイスラム建築及びタイル装飾の白眉、ムルタンの「シャー・ルクネ・アーラム」。『ISLAMIC ARCHITECTURE OF PAKISTAN』では「THE CLIMAX(頂点)]として1章まるごと使って紹介している。プランや内部についても徐々に書いていきたい。

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<Mausoleum of Rukn-i-Alam (Multun/ 1320-24)>

写真は、ファサード上部のタイル装飾。テラコッタと施釉タイルによる軽快でスキッとした組み合わせ。上のテラコッタはミヒラブの形状? 中にアラビア文字、青と白のタイルで縁取るかたち。

ボーダーの下のタイルはパルメット(ナツメヤシ)が単純化したものだろうか?(この紋様がムルタン、ウッチュで多い)。このあたりまだわからないことが多くて時間がかかりそうです。
by orientlibrary | 2005-10-07 00:27 | ムルタン・蒼のタイル

聖者廟 内部空間のタイル装飾 

[タイルフォト・ギャラリー(5) 「ヴァハルディンハリム廟」(ウッチュ)]

●デリー・スルタン朝、トウグルク朝時代のパキスタンは、独自のイスラム建築が開花した。その中心地であるムルタンの南方にあるウッチュもまた、ダルガー(聖者廟)のある町として知られている。なかでも前回掲載のビービー・ジャヴィンディは、白いドーム屋根、輝くばかりの青いタイル、そして洪水により半壊した姿が有名だ。

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<Mausoleum of Bahaユal-Din Halim (Uch/ 15世紀末)>  

●そしてビービー・ジャヴィンディに隣接して、同様に半壊した「ヴァハルディンハリム廟」がある。これもまたレンガ造で、多量の青い施釉タイルや施釉レンガで飾られている。

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●ありがたいのは、半壊した内部空間のタイル装飾が状態良く残っていることだ。煉瓦の茶色と蒼のタイルのバランスも良く、軽やかなアラベスクを刻んでいる。思わず往事の輝きを想像してしまうが、逆に半壊したからこそ本来はクローズドな内部のタイルがが陽光に煌めく姿が見られるのだろう。この青・蒼が本当に好き!まわりには椰子の木が揺れており、乾燥地帯の廟の独特の風情に惹きつけられる。
by orientlibrary | 2005-10-04 01:53 | ムルタン・蒼のタイル

ムルタンの精華 シャー・ルクネ・アーラム

[タイルフォト・ギャラリー(2) 「シャー・ルクネ・アーラム」-1]

●昨日の「ビービー・ジャヴィンディ」は、ムルタンの代表的なダルガー(聖者廟)である「シャー・ルクネ・アーラム」を真似て作られた。そしてシャー・ルクネ・アーラムは、イランや中央アジアの煉瓦造の建造物に影響を受けて作られたという。

●八角形のプラン、白いドーム、小塔とその頂上の装飾、青と白を強調したタイル装飾、というムルタン様式の代表的な廟。土の味わいが高く、かつ優雅で洗練されている。

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<Mausoleum of Rukn-i-Alam (Multun/ 1320-24)>

●名前のシャー・ルクネ・アーラムは、ムルタンの聖人シャー・ルクヌッディン・アブル・ファタに授けられた称号で、「世界の柱」を意味する。カースィム・バーグの丘の上に建っており、今もなお多くの人々が訪れて熱心に祈っている。

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(=写真をクリックするとさらに拡大されますので、大きくして見てください)

●上の写真は、ターコイスとコバルトの青、そして白のタイルをカットして多辺形に組み合わせたパネル。白地には花が描かれている。よく見るとものすごい手の込んだ仕事であることがわかる。
by orientlibrary | 2005-09-15 01:32 | ムルタン・蒼のタイル

パキスタン・イスラムタイル紀行 ムルタン&ウッチュ

[タイルフォト・ギャラリー(1) 「ビービー・ジャヴィンディ」-1]

●パキスタンはタイル界での名声(?)は、それほど高くない。なんていっても、イランやトルコの優雅・洗練の極致のようなタイルが人を(タイル好きを)魅了する。本当に素晴らしい。完璧な美だ。

●しかし、私は中央アジアからインドにかけてのテイストというのが最も好きで、ティムール期、ムガル期(それ以前のイスラム系諸王朝期含む)の建造物やデザインに惹かれる。中央アジア〜西南アジアのタイルは、土そのものの質感が高く大胆で素朴な美がある。どこまでも青いタイルはシルクロードの蒼空と対をなすかのようだ。

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<Mausoleum of Bibi Jawindi (Uch/ 1493)>
 
●パンジャーブ州ウチ・シャリフのダルガー「ビービー・ジャヴィンディ」。青のタイルが輝く八角形の聖者廟。正面から見るとずっしりと安定感のある姿をしているが(この写真がどうしてもアップロードできなかった。本当に残念)、サトレジ川の洪水によって何と後ろ半分が崩壊している。このことによって正面からは2層+ドームに見える廟が、中は空洞であることがわかる。

●ビービー・ジャヴィンディの魅力は、輝くばかりのタイル装飾とそのモチーフの多彩さ。青、アジュール(蒼)、白のくっきりしたコントラスト。煉瓦の茶色、漆喰の白も加わり奥行きが増す。それが褐色の土とどこまでも青い空の狭間に立つ。その力強さ。もう夢中で写真を撮った。地元の子供達は「この人、必死だね」みたいな感じで見ていた。

●祀られているジャヴィンディは女性。敬虔なムスリマでこの地方の人々に尊敬されていたという。彼女の墓に寄り添うように、庶民の墓が延々と続く。その褐色の土の盛り上がりもまた、造形美をなしている。
by orientlibrary | 2005-09-14 01:25 | ムルタン・蒼のタイル