イスラムアート紀行

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カテゴリ:インド/パキスタン( 41 )

「STUDIO MUMBAI : PRAXIS」、インドの匠が集結するスタジオ・ムンバイ

*** 記事中の写真、全部見えないようになってしまったみたいですね。。ギャラリーで「写真撮ってもいいですか?」と確認して了承を得ましたし、書籍からの引用も出典を明記したのですが、、ダメなのですね。宣伝してお金を得ているわけでもなく、惚れ込んで惚れ込んで、紹介させて頂いたのですが、、残念です。記念にこのままにしておきます〜!(त_त)!(9月2日記)***

「STUDIO MUMBAI : PRAXIS (スタジオ・ムンバイ プラクシス)」が、TOTOギャラリー・間(東京・乃木坂)にて開催中です。
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インド建築界を代表する建築家、ビジョイ・ジェイン氏率いるスタジオ・ムンバイ。展覧会では、スタジオ・ムンバイで実際に使われている素材、模型、スケッチ、モックアップなどをムンバイから移送。東京という環境のなかで再構築した「Studio Mumbai in Tokyo」を見ることができます。

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(書籍『STUDIO MUMBAI : Praxis』)

感動というより、共振という方が近いかもしれない。このような感覚は久々。ギャラリー内写真OKとのことで、取り憑かれたように撮っていたら、コンデジが熱を持って熱くなりました。本当に好きすぎる、、!まさに熱中!?

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「スタジオの再現」。作業机や椅子から作ってる!たしかに、、作ればいいんだよね。普通の家にあるような電気スタンドがいい感じ。
何気なく置かれた「素材や模型、モックアップ」の存在感、スコーンとして気持ちいい。それでいてアート感に満ちている。用途がわからないものもあって、最高。
スタジオ・ムンバイは「スケッチや大きなモックアップでの検討を何度も繰り返すプロセスそのものがデザインになることが特徴」。
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「作品ごとの写真、映像、ドローイング」。こんなところで時間をすごせたら、どんなにいいだろう、、!ツボを直撃。和とも親和性があるような気がする。

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(作品の例:リーディングルーム)

「インスピレーション」。ジェイン氏はじめスタジオのメンバーがインドを旅して触発されたものや光景を写真や映像で紹介。とっても共感!インド、さすが!生々しくて、タフで、抜けがあり、飄々としている。

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(インスピレーション:「蚊帳の集落=地方の村々に暮らす農夫たちは、夏の間だけ日雇い労働者として都会に出稼ぎにやって来る。夜に現れ朝に消えてしまう蚊帳でできた集落」)

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(インスピレーション:「生地屋=布で埋め尽くされ、商品と空間が一体化している。客寄せにもなり、客も手軽に買物ができる」。← これ、インドで思う。商品そのものをディスプレーにするのが巧みだと思う)


「スタジオの日々の映像」。仕事は生活の糧であり、同時に生涯一歩づつ磨いていくもの、集中して熱中しておこなうもの。鍛錬や工夫がもたらす達成感、職人としての誇りや喜び、一人一人の職人の、その幸福感が伝わってくる。そして多くの職能が集まり、つくり上げて行くプラクシス(実践)そのものの、充足感が伝わってくる。

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(職人さんたちが黙々と作業。コンクリの色板も色から制作。中段左から2番目の石工さん、鉛筆をササッと石で削っていた。大工さんも釘を使わず組み立てる。実物大の模型を作り、そこから考えていくという。下段右は音楽タイム!)

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(書籍『STUDIO MUMBAI : Praxis』より)


* ****
スタジオ・ムンバイの活動の特徴は、敷地の造成から設計、施工といった一連の工程すべてを、建築家と熟練工からなる人的ネットワークにより、手作業で行なうことにあります。
スタジオ・ムンバイのワークショップでは、インド各地出身の有能な職人たち(大工、石工、鉄工、金工、井戸掘り工など)約120名が住み込みで働き、ジェイン氏の指導の下、地勢や気候を読み、井戸を掘って水源を確保し、地元由来の素材とそれに適した工法を用いて建築をつくっています。

* ****
先祖代々口伝によって伝わる伝統技能を受け継いだ職人たちの確かな技術力は、乾期の猛暑と雨期のモンスーンという厳しい気候条件に耐え得る建物には不可欠なものです。
彼らの知恵と技能を充分に活かしつつジェイン氏の深い思索に導かれて生まれた建築は、その地での快適な生活を約束しつつ、風景と調和した豊かな詩情を湛えています。

さらに、ジェイン氏は職人たちにスケッチブックを与え、ドローイングの描き方を教えています。教育を受けられず文字も書けない職工たちが、日々の作業と並行して建築を「設計する」ことを学んでいきます。

* ****
Praxis(プラクシス:実践、自然や社会に対する人間の働きかけ)は、建築をつくりたいという意思をもつすべての人に門戸を開いたオープンなコミュニティの中で、さまざまなアイデアや実践を行きつ戻りつしながら最適なゴールを見出していく、スタジオ・ムンバイの存在と活動そのものをあらわす言葉です。

◆■◆■◆
スタジオ・ムンバイの仕事がなぜ反復作業によって成り立っているか、なぜ案を検討するために大型モックアップやスケッチや図面を作成し、素材のスタディを重ねるのか。それはすなわち独自の思想を練り上げ、自発的に組織を形成していくためなのだ。


プロジェクトに取り組むあいだは、場所を念入りに検討し、そこにある環境や文化、人びとが身も心も捧げてきたことに目を向けるようにしている。
なぜならそこには、限られた資源を相手に人間が創意工夫を凝らして編み出した建設技術と素材があるからだ。

◆■◆■◆
スタジオ・ムンバイにはいろんな人たちがいます。建築家もいれば、職人も大工も石工もいる。その彼らが建築を建てる、あるいは作るためにここに集まってきました。(中略)スタジオ・ムンバイではつくりながらアイデアを練るという筋書きを辿ります。あるいは現物を相手にアイデアを組み立てていったり。おおまかにいえば、そんなところです。

◆■◆■◆
先祖代々大工であった人たちも仲間に引き入れました。彼らはもともとラジャスタンの出身で、大工の伝統の中でその継承者として訓練を受けてきたので、工匠の技術をもっています。この地方には切石技術に長けた石工もいます。業種も出身地も異なる人たちが、ひとところに集まって仕事をするのが、スタジオ・ムンバイです。これが事務所の原点です。そしてもうひとつの特徴は、常に外部からの参加に対して開かれていること。建築について考えよう、建築をつくろうという人なら、誰でもこのスタジオに加われます。

◆■◆■◆
inspiration インド国内を旅してまわる中で私たちがたびたび遭遇したのは、制約のある環境下で空間を機能させるという必要から生まれた、ある特色をもった空間である。
限られた空間や資源しか利用できない人びとは、生活の必需をすべて満たすために自発的にそうした空間をつくる。
それらは人と人の交流を決して妨げない、慎ましくも自由な空間である。

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(インスピレーション:例:「ポケットマン(Tシャツに地元の正装の印とされる懐のポケットを縫い付けている)」「ボダイジュに寄りかかりながら建つ寺」「サリーでつくった即席シェルター」「木の枝で熊手作り」など。展示スライドを撮ったものも。よくわからない光景も多かったけど、撮らずにいられなかった)

興味のツボや、これまでモヤモヤと思ってきたことと重なり、ホントにガツンときました。本を読んでから、また見に行こう☆

ご興味ある方は、ギャラリー間のサイト、こちらから。(9月22日まで/入場無料)

 2012年8月、東京国立近代美術館(本館)の前庭にスタジオ・ムンバイがデザインする「夏の家」(仮)がオープン。竹製のBird Tree、モックアップテスト中。敷地となる美術館の前庭に設置。プロセスを紹介するというブログはこちら
暑さにめげず、観察に行きますよ〜!!^^
by orientlibrary | 2012-07-15 01:59 | インド/パキスタン

日本初の「サッジー」試食会、炎の大成功!☆

熱をもって暑さを制す、的な、なんとも野蛮な会がおこなわれました。
主催者Mさん(バローチをこよなく愛するパキスタン文化研究者)銘=「サッジー」実験試食会。サッジーとは、ざっくり言って「焼肉」みたいなもののようです。

これまで数回、バローチスタンの景色や人々、河原での食事の様子などを映像で見せてもらったことがありますが、今回のサッジー現場も期待を上回る野蛮さで、蚊や虫たちもゾロゾロと寄って来放題。

調理に関しては、「日本初の試み」ということで、企画&主催のMさんもワクワクドキドキでしたが、火の加減から各メニューの味付けまで、参加者絶賛の大成功。「次回は実験ではなく本格的に開催」とのことです。
以前より「遊牧民祭」をやりたいという声があがっていましたが(一部より)、サッジーを主役にした遊牧民祭、そのうちにどこかであるかもしれませんよ☆


<サッジー会 お品書き>
骨付きマトン・サッジ一
チキン・サッジー
チキン・スープ
チキン・カラーヒー
全粒粉のシンデレラ・ナン(灰被り焼き)
炭火焼き(鰯・鰹・南瓜・トウモロコシ・ポテト・トマト・パプリカ・ナツメヤシ等)
ハーブ(ミント・ローズマリー・ドクダミ等)
デザート(サクランボ・落ちていたアンズ)
その他(岩塩・レモン・イランのゆかりのような調味料〜名前忘れた・マサラ・乾燥レモン等・アルコール各種)


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(都内某所。Mさん渾身の火起こしが奏功し赤々とした炎。イチジクの枝にダイナミックに刺さっているのはマトン。埼玉県のハラルショップより買い出しの品)

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(奥の木には鶏が出番待ち。ピクニック気分のキリム。手前には鉈)

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(ナン制作班。手前には持ち寄ったハーブや野草。なかでも最強だったのは「カンボジアのドクダミ」。口の中、ピリピリ痺れたし、、)

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(豪華カツオタタキの炙り、野菜各種。イワシは串刺しを目指すも、串がなかなか土に刺さらず挫折し網焼きに)

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(野菜もワイルドを目指し桜の枝に刺してみました。奥にあるのはナツメヤシ。焼くと激甘になることが判明)

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(数時間という時間をかけ焼き上がったサッジー。レアなのでもう少し網で火を通す)

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(Mさん銘による「シンデレラナン」。オシャレな名前、そのココロは「灰被り」だから。灰の中にナンを投げ入れて焼いたもの。しっかし、これがウマイんです。灰って偉大!)

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(右奥がチキンスープ。これが絶品。レモンやミントで味は七変化〜☆ 右手前はトマトとチキンのカラーヒー。油度高し。ナンにつけて食べると最高のようです。ベジな私は生トマトとナンというヤワな組み合わせで)

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(山形の佐藤錦はゆうパック遅れ騒動勃発の前日着でセーフ。落ちていたという杏は、なんとも品のよい甘さで美味でした)

そんなわけで、ナイスな夏の休日でした。


*** タイル絵付け ***

予告編です。
ついに、ついに、夢がかないました。
タイルの絵付け、習い始めました。しかも先生は、イスラムデザインの専門家であり陶芸家でもあるという、最高の師。

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5月からスタート予定が、ようやく7月より始めることができました。さっそく実践編。自分でデザインし絵付けし焼きます。
すでに魅了されています。こういうことがしたかったんだよね、私!!また随時ご報告したいと思います。

習える場所は、こちら「白金陶芸教室」
講師のお二人は、温かく穏やかなお人柄。和みの時空間です。
by orientlibrary | 2010-07-06 22:10 | インド/パキスタン

パキスタンバザール&ムルタンの青タイル

噴水広場に響くパキスタン音楽、立ち並び味を競うパキスタン料理屋台。3月最後の週末、花見客で賑わう上野公園で「パキスタンバザール」がおこなわれました。

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最近、代々木公園などで各国のイベントが開催されることが増えました。行ってみると、いつも多くの人出。屋台や雑貨店、旅行案内等々、お店がもたくさんあり、すごく賑わっています。
「パキスタンバザール」も、在日パキスタン人やパキスタンファン、行楽客などで盛り上がっていました。初パキスタンの人も、音楽や踊りやモノや食べ物から入ると入りやすいですよね。こういう機会は大事だと思います。
ただ、「世界最古のバザール来日!」というものすごく魅力的なキャッチフレーズが意味するところ、示すところが何だったのかは謎です。

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メヘンディをしてもらい、インスタントメヘンディやヘナもゲット。桜を背景にしての民族舞踊もきれいでした。
いちばん気に入ったのは、お人形でした。衣装だけでなく、アクセサリーや靴まで凝っていました。

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ムルタンの現在の製品も少しありました。

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◆ ムルタン(パキスタン)のタイル ◆

ムルタンの陶器つながりで、ムルタンのタイルを少し。イランや中央アジアよりも青の色合いが一段階強く、デザインもどこか土着的で、東のイスラムを感じさせるものがあります。

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(ウッチュ)

中央ユーラシアのタイル文化について、深見奈緒子さんの文章から。(「イスラーム建築とタイル」(深見奈緒子/2001/『砂漠にもえたつ色彩、中近東5000年のタイルデザイン』展覧会カタログより)

*タイルが発展した原因=乾燥地域における土の文化が大きく影響した
* 土を焼成したレンガが被膜材としての位置を獲得するなかで多様な形態をもつようになる
* より美しい被膜材をめざして多様なレンガに釉薬がかけられたものがタイル
* イランや中央アジアには土台となるレンガの文化があったからこそ、タイル文化が育まれた
* 発展の方向はレンガを受け継いだ凹凸で模様をつける時代からはじまり、平滑な面に彩色で文様を現す方向へと進展した
* 注目すべきは12世紀に建築用に開発された技法としてのモザイクタイル
*さらには14世紀後半に陶器の応用から脱して大規模建築の被膜材としての位置づけを獲得した絵付けタイルである

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(ウッチュ)

中央ユーラシアの土の建築文化の流れの中で、ムルタンの青のタイルは独自の輝きを見せています。濃さとゆるさと剛さと温かさが同居しているような、、イスラムタイルの東端の輝きを愛おしく思う私です。

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(ムルタン)
by orientlibrary | 2010-03-29 00:52 | インド/パキスタン

インド・ラジャスターンに咲く サンガネールの優雅なブロックプリント

●相当久しぶりに北インド音楽のライブへ。シタール、タブラ、声楽、そしてカタックダンス。やはり北インドの旋律が好きだなあ。演奏者や踊り、歌の皆さん、すべて私が以前聴いていた時代よりひと回りもふた回りも世代的に若い。そして客層もそれに合わせて若い。クラシックなインド音楽を好きな層というのは、今もちゃんとあるようです。出演の皆さんはインドで勉強をしている人ばかりで、技術も高く、内容的にも浸れました。

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●さて今日はインドにちなんで、インドの布です。私の好きな布、木版捺染(ブロックプリント)のあるラジャスターン地方は古代から様々な民族が行き交い、移り住んできた土地です。東方と西方、北方と南方の文化の起点として多彩な歴史を育んできました。木版捺染の模様もラジャスターンの歴史とともに息づいてきた文化のひとつです。

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●ラジャスターンに栄えたイスラム系の王朝ムガル朝期には、ペルシアの影響を受けた独特の文化が形成されました。インドの綿織物は古代から優れた技術を誇り、インド更紗も古くから作られていましたが、より繊細なものに洗練したのは、この時期権力と富を手にしたマハラジャ(藩王)たちです。マハラジャは贅を尽くして身を飾り、腕の立つ職人を保護して、華やかで洗練された様々な布を競って作らせました

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大航海時代、インドの染織文化はポルトガルによってアジアの国々や日本へ伝えられ、そのエキゾチズムで人々を魅了しました。18世紀にはインド原綿はヨーロッパを席巻し、ムガルのデザインはその後のヨーロッパの服飾や室内装飾にも大きな影響を与えたのです。

●しかし、インド染織をめぐる状況は、イギリスの統治や独立後の社会変化によって激動しました。私がサンガネールという町の工房を訪ねた頃(95年)も、まだ厳しい状況が続いているようでした。デリーから400キロ、ラジャスターンの州都であるジャイプール、その近郊にあるサンガネールやバグルーには木版捺染の工房が集積しています。その中のひとつに「サンガネール様式」を復元した工房がありました。小さな工房でしたが、その作品は私を圧倒しました。

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「サンガネール様式」は、自然主義とペルシア風の気品あふれた花柄が特徴です。花柄の繊細な色を生かすために地色は白のものが多く、清涼感があります。木綿は透けるくらいに薄いものです。縦糸か横糸に絹が入っているものもありますが、暑いインドでは絹よりも風を通す上質な木綿が贅沢なのです。布の「透け感」を見てください。ミニアチュールに描かれたマハラジャの透ける花模様の衣装、こんな感じだったのではないでしょうか。(製法や模様の意味等については次回に続きます)
by orientlibrary | 2009-08-06 01:33 | インド/パキスタン

巡礼地ハリドワールで「ジェー!」と叫ぶ

イスラム建築や工芸、とりわけタイル装飾に惹かれて十数年がたちました。洗練度の高さ、圧倒的な凝縮力、端正で優美な植物模様等々、私にとってイスラムの美は、これからも見続けていきたいと願う興味つきないテーマです。

けれども、時々ヒンドウーの熱い世界に触れたくなります。鮮やかな色彩の乱舞、人間臭い神様たちとその物語、好奇心満々な人々、うねるような自然の生命力。気候も暑いけど、空気自体が熱い。私も素になります。気取っていてはやっていけない。喜怒哀楽もはっきりしてくる。それがなんだかスコンとして心地いい。

デリーから急行列車で4時間半、巡礼地ハリドワール。夕暮れの祈りに集まる人々。数万人とも。ガンガーに沐浴し、お供えを流します。水量ゆたかな水は、冷たく気持ちいい。シヴァ神への帰依を表明する人々の表情はイキイキとしています。みんな神様が大好き。

今回はハリドワール特集です。何か調べたわけではなく観光写真のみです。今後、落ち着いたらムガルの文様とムガルのタイルにチャレンジしたいと思っています。


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(夕暮れ前はまだ人出も少なく、のんびりした感じ)


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(人が増えてきました。沐浴している人は本当に楽しそう)


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(女性たちは、サリーで囲いをつくって着替えをしていましたが、これは何をしている光景かわかりません。濡れたサリーを乾かしているのかな。長い間、ゆったりと乾かしていました)


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(あたりが暗くなってきた頃、礼拝が何となく始まり、人がわ〜っと増え、どんどん盛り上がってきました。右の青い制服の男性が何やら叫ぶと、皆さん「ジェー!」と呼応します。神への帰依の表明のようです。メインは、この対岸の方。指導者たちがお祈りを捧げます。人々の熱狂、陶酔、歓喜。これが日々繰り返されるのですから、、すごいですね〜)


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(夕暮れを見るためにじっと何時間も座っているって、ふだんありませんよね。暑さの残る午後、空の色が華麗に変化する夕暮れ、薄暗がり。昼から夜へ。そのこと自体が、そんなシンプルで当たり前のことがドラマのようでした。そして礼拝に火は欠かせないものだと感じました)


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(山頂の宗教テーマパークのような寺院へはゴンドラで。ディズニーランドも負けそうなものすごい行列にクラクラ&唖然。なんていう人、人、人の群れ、、。ようやく乗れたゴンドラ。皆さん楽しそうですね〜)


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(山頂の寺へのお供えもの。お祈りのあと半分返してもらえるはずだったのだけど、他の人が持っていってしまったのでした、、私が持っていても仕方ないので、それで良かったかも。全体に、イスラム世界の端正さとは、ずいぶん違います。インドはいろいろとパワーがいるけれど、気を使わなくていいのがありがたい。お行儀悪くていいし(と勝手に思ってる、、)。イスラム地域の旅行は、男女の違いなど私もいちおう気を使います。。)
by orientlibrary | 2009-05-12 02:27 | インド/パキスタン

INDIA 09

今年のインドは猛暑の到来が例年より早かったようで、デリーでも40度台、ラジャスターンでは48度くらいありました。帰りの機内が寒かったせいか、極暑の地からの帰りに風邪ひきです。幸い報道のインフルエンザではないようでホッとしています。今回は写真のみですが、雰囲気をお届けできたらうれしいです。


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(リシケシ。母なるガンガーに朝日がさす。マリーゴールドがゆらゆらと流れ行く)



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(リシケシ。夕方の祈りの時間。クリシュナと夕陽と人々と。火と音楽が捧げられる)



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(ハリドワール。夕暮れの祈り)



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(シカンドラ。鹿が遊ぶ庭。楽園のイメージ)



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(インディアン・スイーツ。蓮の花のよう)



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(シカンドラ。ムガルの数少ないタイル装飾例。黄色が特徴。ムルタンと同じパルメット模様)



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(ファテプールシークリー。今回のインドでいちばんおいしいと思ったのが葡萄。みずみずしさがありがたかった)



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(この色彩がインドの魅力。こんな色の中で暮らしていたら心身タフになるだろうなと思う)



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(ジャイプールの朝。公園で人々がヨガをしている。そう、ヨガをするのが大きな目的だった今回。それは結局ほとんどせずに終わってしまった。反省しつつ、ひとりでガンガーの川辺にいた時間をかけがえなく思う。、、これが私のカルマなのかな、、)



円高でルピーが2円にもかかわらず、物価が上がっている〜高いように感じました。いろいろ感じたことはありますが、まだ元気がわいてきません。じわじわを待ちたいと思います。
by orientlibrary | 2009-05-06 11:47 | インド/パキスタン

風のインド、花のインド

インドを書いた本が好きです。(あ、全部ではありません。いろんな本が出てますからね) 私の好きなインド本を出してきました。(引用して更新しようという甘い考え!) でも、どの本も、どのページをめくっても、心に沁みてくる文章、心地よさに包まれる文章で、迷ってしまい、、もうパッと開いたページに近いノリで選び、ほんの少しだけ書き出してみました。ね、インドに行きたくなりませんか!?

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(ヒマーチャルプラディーシュ州/orientlibrary)


*** アショーカ、チャンパ、春 ***

「男の家は城門の脇の路地を数十メートル入ったところにあって、この辺りではめずらしく緑にあふれていた。遠くから庭のアショーカ大樹が見えた。明るい萌葱色の、その涼しげなはむらのあいだからは、珊瑚色の花房がいくつも下がっていた。門の前までいくと、塀の上からチャンパの花枝が張りだしていた。白い優雅な花が、ちょうど咲き始めたところだった。そのかぐわしい匂いを私はよく知っていた。荒涼とした無慈悲な大地にも春が来ているのである、彼は振り返り、微笑みながらその美しい花の名を言った」

■ 『喪失の国、日本』訳者の序より引用/M・K・シャルマ著、山田和訳/文藝春秋/2001年/ここに登場する「彼」が著者のシャルマ氏。とても触発的な素晴らしい文化論なのに本のタイトルが変で残念です。訳者の山田和さんの文章、この透明感がたまらなく好きなんですよね〜!!ふわ〜っとしてきます。

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(ラジャスターンにて/orientlibrary)


*** 花、木、草 ***  

「私にとってインドの良さは都会より田舎にあった。その簡素な暮らしぶり、人と木や草との関わりあい方は、私がふだん何気なくしている行為の原点を見せてくれることが多かった。それまで私を、知らず知らずのうちに縛っていた日本の常識とか観念というたががひとつひとつ外れていくのは快感だった。インドという国で、さまざまのことを言葉とともに覚えていくことは、またたがの掛け替えでもあったが、それは子ども時代をもう一度やり直しするような楽しさがあった」

■ 『インドの樹、ベンガルの大地』より引用/西岡直樹/講談社文庫/1998年/西岡さんの『インド花綴り』には精密で美しい花の絵が満載。

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(ラジャスターンにて/orientlibrary)


*** コンピュータ、牛、日記 ***

「実際のところ、インドは現在の日本しか知らない人間にとっては、驚きの多い社会である。街頭に立つだけで明らかにわかる貧富の差。牛の集団がハイウエイの中央分離帯で昼寝をしている風景。たびたびの予定変更や値引き交渉に現れる価値観のずれ。「召使」や「知識人」といった、現代日本では死語同然になった社会階層が厳然と実在している状況。いまになって日記を読んでみると、私が近代日本について知っている知識を総動員し、それとの比較でこれらの事象を解釈するというかたちで、その衝撃と対応していることがわかる」

■ 『インド日記 牛とコンピューターの国から』より引用/小熊英二/新曜社・2000年/デリー大学の客員教授として滞在した2ヶ月。ネットで日々原稿を日本に送信しながら書かれた本。2000年には、そのこと自体が新鮮に感じられた。インドが高度成長に邁進していた時期、しかしコンピュータカフェの前には牛がいる。見るもの聞くものに敏感に反応し、的確に素早く書きこんでいく。同じ24時間を生きていて、こんなにも多くのことを感受し、即時に文章化できるなんて、、感心します。

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(ラジャスターンにて/orientlibrary)


*** 風、美、幻想 ***

「夕暮れの屋上は、風が出て心地よかった。僕らは椅子に座り、屋上で夕涼みをきめこんだ。足元には赤唐辛子が干してあり、頭上にはあくまでも青く広い空が拡がっている。南天高く仄白い昼の月がかかり、辺りは鳥の声に満ちはじめていた。あちこちの白い石の家々の屋根では猿が戯れていた。広い家並みが遙かな丘陵に向かってなだらかに続き、その頂きには荘重な古い宮殿が眺められた。それこそ、十九世紀末のインド総督ジョージ・カーズンに「美中の美」と絶賛され、ウインザー城に比された、壮麗なマハーラーナー宮殿に他ならなかった」

■ 『インド・ミニアチュール幻想』より引用/山田和/平凡社・1996年/アトランダムにページを開いても、静かで深く、透明で温かな文章がつづられており、引用カ所を選ぶことができません。私の好きな屋上のシーン。視界の広がりがあります。私も夕暮れのウダイプルでなごんでいる気分。山田さんみたいな文章、書けるようになりたい。

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(ヒマーチャルプラディーシュ州/orientlibrary)
by orientlibrary | 2009-04-24 19:46 | インド/パキスタン

手仕事木版捺染(ブロックプリント)JAIPUR , INDIA

MKさんにお借りしている、メチャカッコいい本3冊、インド・ジャイプールを本拠とする有名なブロックプリントショップ「anokhi」の本、昨年末からうっとりと眺めていました。

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(「anokhi museum of hand printing」より。工芸の中の幾何学模様。イスラムの美、最高!)

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(うまく撮れませんでしたが、、3冊です。いちおうブロックプリントをバックに、、)

この本からは、70年代からの現代的なブロックプリントの発展をリードしてきた矜持を強く感じます。ショップだけでなくミュージアム設立や出版物などを通して、ブロックプリントの魅力を伝えようとしているように思えます。(Anokhi Museumのサイトはこちら。)

以前、「anokhi」の衣料やファブリックもかなり買い込みましたが、写真のベスト等は、anokhiのものではなく、より伝統的な工房のものです。(orientlibraryが持っているもの。着てないのですが、、)。

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(「anokhi museum of hand printing」より。版木を作る)

anokhiは「所有する」よりも「着られる」魅力が大きいブランドだと思います。伝統の模様や色、すぐれた技術も、今の時代に合わなければ、タンスの肥やし。数年に一度出して見るだけの美しい布や衣装をお持ちの方も多いでしょう。

伝統を今の暮らしの中で活かしていく。これって、簡単そうで、じつはなかなかにむつかしいことだと思います。好まれるデザインや暮らしに合うサイズも、時代によって違います。たとえば刺繍なども全面に施すのが一番かというと、そうでもない。もっとスキッとした感じが今風でしょう。

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(anokhi museumのリーフレット。商品の雰囲気を)

anokhiは、そのあたりが非常に巧み。あまりに巧みで、逆にちょっと引いてしまうくらいです。この本も、魅力的な写真を豊富に使いながら、模様や製法、道具、歴史、地域の個性などが紹介されており、抗しがたいものがあります。うまいなあと思います。コアをしっかり持ちつつ、だからこそ、それをマーケティングスキルを駆使してきちんと表現していく・・大事なことだと思います。

ちなみに、今回、anokhiのものも撮ってみたんですが、私が撮るのでは映えないんですよね。本物という意味では、版木、衣服ともに、今回写真掲載したものの方が上だと思います。でも、、、ベストって着ますか?それに肩が張っているなど、カッティングやデザインに違和感があるんです。持っていて楽しむ服、着て楽しむ服、、はあ〜〜。。(悲)

MKさんによると、繊細さで有名な産地・サンガネールはその面影がなかったとのこと。残念です。実際に、伝統的手仕事のブロックプリントの市場がどうなっているのか、職人さんたちがどのような暮らしをしているのかは、私にはわかりません。

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(版木。サンガネールの代表的な花文様、揺れている感じが清楚で優雅。*anokhiの商品ではありません。以下4点も同様)

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(版木。この細かさ!天地で約5センチです)

でも、マハラジャの衣装の繊細な模様として、また庶民の衣装の力強い模様として、多彩に発展してきたブロックプリントは、これまでも、今も、これからも、人を惹きつけるものを持っているのではと思います。

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(ベスト。模様は「nodana」)

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(ベスト。ボタンも凝っています)

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(ベスト。刺し子がリズミカル。赤の方が裏。でも両面着られます。写真掲載の3着いずれもリバーシブル)

コットンの素材感、モチーフとしての植物、手仕事ならではの洗練と素朴(ラスティック)のほどよい調和、全体としての温かいカジュアル感は、変化が早すぎる今の時代が求める何かを持っているように感じます。

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by orientlibrary | 2009-02-03 18:05 | インド/パキスタン

神秘的or土着的宗教歌謡?どちらもナイス!Sufi Soul!

●私がイスラム文化に興味を持ったきっかけのひとつに、「カッワーリー」(イスラム神秘主義と関わりのある宗教音楽)があります。92年、来日したパキスタンのヌスラット・ファテ・アリ・ハーン(1948〜1997)のコンサート、よくわからないまま、「とにかくいいから」と友人に誘われ行ってみて、衝撃を受けました。いわゆる洋楽(ロックやブルース)を主に聴いていた私が初めて触れた世界。これは何!?この音楽の背景は何!?

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(パキスタン・ムルタンの聖者廟。ムルタンの青のタイルが見えます)

●それから月日がたちました。この間、イスラム圏にも旅行し、ヌスラットの出身地パキスタンにも行きました。でも現地でカッワーリーを聴きたいという願いはかないませんでした。やはり遠いものだったのです。

●ところが、このところ風向きが変わってきました。「ファイズ・アリー・ファイズ」などカッワーリー・ミュージシャンが来日。生のカッワーリー(〜スーフィー音楽)に触れる機会もできてきました。

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●それだけではありません。彼らと交流のあるる村山和之さん(西南アジアの音楽や舞踊の研究者)が、「南アジア、西アジア、中央アジアで見られる諸宗教の神秘主義的芸能(音楽・舞踊・演劇)を、老若男女の大衆に愛されてきた聖者と聖者の宮廷こと聖者廟ダルガーにおける諸パフォーマンスに視点を置いて考え考察し楽しむ。同行者と自由に広く交流する場」=「聖者の宮廷講」という勉強会をシリーズで開催。私も参加させてもらうようになったのです。

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●参加している皆さんは超熱心。ディープな雰囲気が充満しています。先日(「宮廷楽士考・2」)も魅力的な内容でしたので、ご紹介したくなりました。村山さん、サラーム海上さん(よろずエキゾ風物ライター&DJ)、勝手にすいません〜!

●まずサラームさんが、発売されたばかりの『SUFI SOUL 〜the mystic music of islam〜』(2005/UK)を上映&紹介してくれました。スコットランド人の歴史家が各地のスーフィーを訪ね歩くドキュメンタリーです。

●いきなりシリアのキリスト教会でスーフィーが祈っている場面でびっくり。融合しているところもあるんですね。続いてトルコのコンヤへ。メフレヴィー教団の旋回舞踊が有名。教団の人は言います。「これはダンスではなく祈りだ。銀河系など、すべてのものは回転する。旋回は誰でもできること。世界の祈りに参加することだ」。

●おもしろかったのは、バザールの鍛冶屋が鍋を叩く音と旋回のリズムの合致。同じなんです!このあたりがスーフィーの好ましいところだなあ。ところがスーフィー音楽は現在のトルコでは非合法。観光客用の名目での許可だけという状況。(その中でもしっかり息づいている様子も紹介されて一安心しましたが)。

●悲しかったのは、JAMAAL-ISLAMという組織の指導者が「音楽は悪い人間のすること、罪(sin)だ」と明言したこと。残念でなりません。どのような原理から出ているのかは知らないけれど、踊りや歌を禁止するのは人にとって不自然だと言いたい。女性ジャーナリストの「ムッラー(指導者)は人間の弱さを知らない。スーフィーはゆるす。人間の弱さを知っているから」との言葉にとても共感しました。(英語ヒアリングあやしいかも、、間違ってたらすいません)

●パキスタン、インドへ移り、さすが本場。ホッとする映像です。スーフィーロックの創始者ジェヌーンも登場。さらにモロッコへ。フェズの「聖なる音楽祭」も紹介されました。「自由で寛容なイスラムを音楽を通して見せていきたい」。いいですね〜!

●第2部は村山さんが今年2月、ラホールで撮った映像紹介聖者アリー・フジュウエリー(ダーター・ガンジ・パフシュ)の963回忌命日祭の模様。聖者の命日祭りはウルス(結婚)の名前で祝われ、祝典は二日間続くのだそうです。すごい!貴重!こういう映像を日本で見られるなんて!ありがたいです〜♪

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(村山和之さん撮影の映像を撮影/聖者廟地下音楽堂でのパフォーマンス)

●出演は、メヘル・アリー&シェール・アリー、ファイズ・アリー・ファイズ、モウルヴィー・アフマド・フセイン、リズワーン・ムアッザム&ムジャーヒド・アリー・ハーン(ヌスラットの甥の楽団)、スーフィー・カウワーリー・パーティ(アメリカの楽団)。

●「カウワーリー(村山さんの表記)は宗教儀礼に用いられるとはいえ、実質上、究極の恋愛歌謡である」というのが村山説。たしかに映像を見ていると、強烈な「愛」を感じます。神様への。

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(村山和之さん撮影の映像を撮影/ヌスラットの甥。熱唱!)

●<曲の種類>は次の3つがあるそうです。ハムド=神アッラー賛歌、ナアト=ムハンマド賛歌、マンカバト=聖者賛歌。基本的にはこの順番で演奏されます。今回は「ダーター」の名前が聞き取れる聖者賛歌が中心だったそうです。

●<曲の流れ>は、ナグマ=器楽演奏部、アーラープ=無拍子の前奏部(歌手の聴かせどころ)、バンディッシュ=曲の中心部分へ。各楽団が競い合うように歌い上げ、すごい熱気です。

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(村山和之さん撮影の映像を撮影/サンフランシスコのカッワーリー楽団。女性もいます)

●会場のド派手な電飾や花は地主で電気店主の寄付だとか。ステージ前では男たちがお札をばらまき、やたらにうろうろと歩き回り、ハグで挨拶し、青年がバラ水を撒布して回る。濃〜い男たちの世界でした。

●世界的に有名なヌスラットだけ聴いていると、ジャズ的な感じ、知的現代的な感じも漂うけれど、聖者廟でのコンサートは、あくまで土着的で身体的な歌謡の世界に見えました。3時間、貴重な映像に浸り、スーフィーへの関心がますます高まった会でした。村山さん、サラーム海上さん、どうもありがとうございました☆

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by orientlibrary | 2008-11-13 00:00 | インド/パキスタン

途上国でかわいいモノづくり。そのパワーとセンスを学ぶ

心地良い空間、心地良い時間、人それぞれに違いますよね。美しいビーチリゾートやラグジュアリーなホテルで最高のサービスを受けるのがいちばんという方も多いと思いますが、私は、どうも苦手。高級なところや優雅さと縁のないことバレバレです。

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(インド・ラジャスターン・ナワーブの邸宅を一部使用したプチホテル。客室も居間も全体がひとりの女性デザイナーの布で統一されています。すべて花柄。組み合わせてもうるさくないのが不思議です)

◆ インドのインテリア  ◆
そんな私が宿泊先で心地いいと思うのは、清潔でこじんまりとして簡素。でもセンスの良さと気配りが各所から伝わってくるところ。ホテルなどはあまり写真を撮らないので残念ながら写真がないのですが、ウイグルの小さなホテルでは、ポットとコップの絶妙な配置に美的感性の高さを感じました。そういうのが好きなんです。

写真でご紹介しているのは、インド・ラジャスターンのナワーブ(イスラム藩主)の邸宅を一部使用したプチホテル。同・マハラジャホテル。インド・ヒマーチャルプラディーシュ州・プラグプルの旧家を改造したゲストハウス。そして、ラジャスターンのブロックプリントの工房です。使われている布の素材感がなんともいいんです☆

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(ナワーブのプチホテル。使い古した布を椅子のカバリングに利用。よくこなれていい心地になっています)

インドの布(繊細な木版捺染)やインテリアと出会ったのは95年頃。当時、インドの製品というとチープな雑貨や安価な衣料が大半で、イコール安物という印象が強く、「品質とセンスが抜群にいいものがあります」と言っても、実際に見せても、流通関係の方々にはいい反応がありませんでした(一般の人たちは「きれいね〜!」と高く評価してくれましたが、、)。「残念だけど仕方がない」、私も早々とあきらめました。

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(ラジャスターンのマハラジャホテル「サマードパレス」。ロールカーテンとすだれをミックスしたようなもの。蒸し暑い気候に最適。布は木版捺染。透けるように薄い木綿だから、こんなことも可能に)

◆ バングラディシュでかわいいバッグを作る ◆
バングラディシュで特産のジュートを使って「途上国発ブランド」のバッグを開発製造し日本で販売している山口さん。(本の内容と著者の紹介は、書くと長くなるので、ご興味のある方はamazonのこちらをごらんください。3月にテレビの『情熱大陸』でも紹介されたそうです)。読後、予感通り、ちょっとピシッとしました。

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(インド・ヒマーチャルプラディーシュ州・プラグプルの旧家を改造したゲストハウスの寝室部分=これはサブでメインはもっと広いですが私はここが好き。簡素で心地良い。ラジャスターンの木版捺染が各所に使われており、すだれロールカーテンも同じ。ヒマラヤと沙漠?でも距離的に近いんですよね、意外と)

彼女のガッツと行動力はすごいというか、すさまじい。イジメ、非行、男子柔道部でのド根性の日々、3ヶ月猛勉強で慶応大学入学、ワシントンの国際機関でのインターン、とにかく現場へと渡ったバングラディシュ、腐敗、格差、途上国ブランドという発想、ジュートとの出会い、工場での苦闘、日本での販路開拓。

ワシントンの国際機関の様子には驚きましたが、現実なんでしょうか。「途上国なんて行ったことないし、行きたいとも思わない」という職員たちの優雅なオフィスライフ。「国際機関はいつだってトップに存在する。僕たちトップは頭を使う」という職員に、彼女は「ものすごい違和感と現場との乖離」を感じ、1週間後にバングラ行きのチケットを取ります。

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(ラジャスターン・バグルーの工房。天井がサンプルのようになっていておもしろいです)

エピローグから一部、抜き出してみたいと思います。

 「バングラディシュで見てきた現実の中で自分の人生に最も影響を与えたものは、明日に向かって必死に生きる人たちの姿だった。食べ物が十分でない。きれいな服もない。家族もいない。約束された将来もない。そして生活はいつも政治により阻害され、きれいな水を飲むにも何キロも歩かなければならない。そんな人たちが毎日必死に生きていた。ただただ生きるために、生きていた」
 「そんな姿を毎日見ていたら、バングラディシュの人たちが自分に問いかけているような気がした。“君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?”って」
 「他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になっても自分が信じた道を歩く。それがバングラディシュのみんなが教えてくれたことに対する私なりの答えだ」

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(ラジャスターン・サンガネールのブロックプリントの工房。ホワイトonホワイトの木版捺染です。私も作ってもらいました)

彼女が「本気でやりたいこと」は「バングラディシュでかわいいバッグをつくる」こと。しかもフェアトレードという方法ではなく、あくまでもデザインや品質で勝負する。この感じ、すごくすごくわかります。名を知られていない国のものでも、商品力で直球勝負をする。そして「かわいい」こと。軽い言葉のようですが、これがいちばん難しいと思います。「かわいい」という感覚的なものを、価値観や風土の違う国で形にすることの大変さは想像に難くありません。(山口さんたちのブランド「マザーハウス」サイトはこちら

25歳のガッツと行動力、号泣しながらも走り続ける一本気。現場や体験からにじみ出る素直な言葉の強さ。刺激を受けました。「本気」、ですね。

*補足* 「本気でやりたいこと」の部分について書籍紹介より引用==「バングラデシュで彼女を待ち受けていたものは、開発学の教科書には載っていない、すさまじい腐敗と格差でした。役所に水道を通してもらうのも賄賂、交通事故で警官に救急車を呼んでもらうことまで賄賂。この衝撃に彼女は怒り、そして誰も思いつかなかったアイデアをつかみます。必要なのは途上国への施しではない。貧しい国で作られたものを欲しくもないのに「かわいそうだから」という理由で高い値段で先進国のバイヤーが買っていくフェアトレードという発想じゃダメ、先進国の消費者が本当に「これカワイイ!」と思うものを、このアジア最貧国で作ろう。
こうして23歳のときにバングラデシュで起業を決意、特産のジュート(麻)を使った高品質バッグを現地で生産し輸入販売するマザーハウスを設立します。その後、現地での工場探し、物づくりに対する根本的な考え方の違い、嘘や裏切りなど、日本ではあり得ないような苦難の連続を次々と乗り越えていきます」 

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by orientlibrary | 2008-04-25 00:04 | インド/パキスタン