イスラムアート紀行

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カテゴリ:日本のいいもの・光景( 48 )

「あめつちの日々」とわたし

前回から1年2ヶ月、あまりに久しぶりのブログ更新となりました。去年の今頃は、ウズベキスタン(ホラズム)行きの準備などで、あわただしく過ごしていました。

昨年5月後半、ウズは極暑一歩前。真青な空、ホラズムの紺碧のタイル。イチャンカラ(ヒヴァ)でのミッション、煉瓦や木材の調達、工芸品探し、陶芸工房やアーティスト訪問と再会、中世のようなバザールの活気。遠い昔のようです。

昨年晩夏以降、気持ちも体調も低迷していました。自身の甘さ全開なのですが、大好きな母の急逝という喪失感は大きく、加えて今年に入って4ヶ月以上も続いた体調の悪さには滅入りました。でも、、ようやく気力が沸いてきました。体調が改善してきたタイミングもあったと思いますが、活力のきっかけにこの映画があったことは間違いありません。「あめつちの日々」。


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■ 「あめつちの日々」のはじまり ■


「2011年。私たちが探していたのは「土」でした。風土と人間の暮らし。撮ってみたかったのはその絶対的存在でした」(「あめつちの日々」WEBサイトより)

そして向かったのは、「四名で持つ共同窯「北窯」。沖縄最大といわれる登窯はダイナミックで上へ上へと昇りあがってます」 松田米司氏に話を聞く。「土はなくならないのでしょうか?」「いずれなくなるかもしれないね。自分たちにも責任はある。だから懸命に喜んでもらえるものをつくろうと思っている」

(*北窯(きたがま)=沖縄中部読谷村。宮城正享・與那原正守・松田米司・松田共司の4窯元の共同窯として1992年に開窯。13連房という大きな登り窯で年5回火入れする。)

約4年をかけて、松田米司さんとその工房、北窯を取材・撮影・編集。上映は16年5月7日が初日。現在、渋谷イメージフォーラムで上映中です。(* プロデューサー=高田 明男、監督・撮影=川瀬 美香。敬称略)

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■ 土と笑顔 ■


(じつは、「あめつちの日々」、すでに3回観ました。何度観ても発見があるし、何か書きたいと最初から思ったので、構成や言葉などを記憶したかったのです。が、覚えてません!無理。以下、あくまで私が覚えている範囲、しかも感覚的印象優位です。正確さは、別の何か?でご確認ください。)

映画の冒頭シーン、瓦の上に置かれたたくさんの赤い陶土。健やかなたくましい姿で、読谷の陽射しを浴びています。土の様子を見に来た松田米司さんの、土と呼応するような満面の笑み。その笑顔があまりにも素敵で、、一瞬にして映画に引き込まれました。

瓶のろくろ挽きの長回しもいいですね〜。端的でよくわかる。「土族(つちぞく)」としては、土がどーんとアップで撮られるということに、すでに興奮状態。しかも、その迫り方に土へのただならぬ愛を感じました。土のアップと長回しで、撮っているのは女性かな?と思いました(当たってました。気になるところにグッと、、そのお気持ち、わかる気がするのです)。

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■ キラキラするものを見つけてしまったんです(松田米司さん) ■


沖縄や“やちむん”(沖縄では焼物のことを「やちむん」という)のことを語る米司さんの言葉のきらめきに魅了されました。(繰り返しになりますが、以下、正確な再現ではありません!)

「沖縄が好き。くされ縁というか、面倒ではあるんだけど、その中に、キラキラするものを見つけてしまったんですよ。土に関わることなんだけど。それは自由で魅力的なことなんです」

「伝統というのは、個人が入ってはダメなんですよ。入らないほうがいい。沖縄の、というところに、誰の、が入ると、なんだか、、うるさいでしょう。工芸というのは、それを話題に皆が語り合うような、文化のものだから。沖縄には伝統があり、しっかりと作れる陶工たちがいるのだから」

「(車で出かけた先にて、カゴに何かを拾って入れながら)  これは釉薬に使う鉄分の多いマンガン。沖縄のやちむんは、自然からいろんなものをもらっているんだよ」  (*「この場所は旧日本軍の飛行場で、その後、米軍が占有していたところ」という。その上空を飛ぶのは米軍飛行機か。現在も米軍基地がある。奇しくも今日5月15日は沖縄返還の日。44年経ちました)

陶土を求めてベトナムへも。合間に街で気に入った茶碗や皿を買い求め、とろけるような笑顔。沖縄の白土の成分とほぼ近い白土(カオリン)の工場と原料採掘所へ。  「(土を手に持ち笑顔で) 採掘所っていうのは、ワクワクするね。この広い採掘所の地面の下、全部(土)でしょう。すごいな。なるべく原土のままで精製しないで使いたい。この土は化粧土にしたい。沖縄の土と混ぜて作陶もしたいし、釉薬にも。本当は沖縄の土でやりたい。でも、いろんな方法を考えなくちゃならない」

「琉球人らしく生きるには、沖縄人らしく生きるには。それを考えて職人になった。どこにも属さず、誰にも頼らず、自活していく。自立していく」

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■ 全国から集まる若い陶工さんたち ■


若い陶工さんたちの土づくりも印象深いシーンです。体全体をかけて何ヶ月も土と向き合う姿。陶芸はろくろ挽きや絵付けだけではないこと、大半は土の調子を整えていくような地道な作業であることに気づきます。

皆さん、いい顔。姿勢というか、姿がきれいです。打ち込んでいる人の意気が伝わります。

火入れ、数日の昼夜通しておこなわれる窯焚きも、じっくりと見ることができます。丸太をどーんと入れている、、豪快! 一方で、温度や時間と場所を細密に調整し続ける根気や集中力にも感心しました。

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● 尾久彰三さん(古民芸研究家) ●


「沖縄のやきものには長い伝統があります。そしてスケールが大きいんですよ。小さな島だけど海も含めると大きい。海洋国のスケールがある。そこが本土の陶芸産地との違いでしょうか」

「米司さんは、伝統を深めるほうでやっていかれればいいと思う。今立っている地の奥の方に行く、と言えばいいかな。沖縄にはそれだけの伝統やものづくりの幅があるのだから」

尾久さん、奥ゆかしくて、ほのぼのしてて、いいな。

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● 山内徳信さん(読谷村元村長) ●


強烈な印象です。こういう骨のある人がいたから、今の読谷があるのかなと思いました。

「村長になったとき、何ができるか、経済じゃない、と思った。当時、村の人が皆うつむいて歩いていることに気づいたの。戦後、村の95%が米軍に占有されていた。大人も子どもも、夜空の星を見上げるように胸を張って、自分の村に誇りを持って欲しかった」

「経済じゃない、文化だ。文化村を作ろう。花織りができる場、やちむんができる場を。そういう場を作るんだということで、交渉していった」

1986年の「読谷文化村」構想。詳細な経緯や経過については知らないのですが、現在の北窯も、この文化村構想があってこそのものなのでしょう。米軍占有地も36%まで減少したそうです。

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▼ 健やかで、骨太で、自由 ▼


全編を通じて、土も、人も、やきものも、健やかで、骨太で、自由、その波動が伝わってきました。この健やかさ、生命感が、私がこの映画と出会って受けとった宝物です。

「マカイ(沖縄の椀)は、重ねて焼成する、という制限がある。茶碗の形ではそれができない。そこからマカイの形が決まっていった」。

制限から生み出された形の美。また、重ねて焼成するには正確に中心が取れていないとダメ。基本がきちっとしているから、目に気持ちいいのかなと思いました。

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▼ リシタンやホラズムを重ねたくなる ▼


中世からの陶芸の歴史、今に続く伝統の継承、そして赤土に象牙色の化粧土、地元の植物を使った釉薬。やはりウズベキスタン陶芸と重ねてしまいます。以前から、沖縄とウズベキスタンは似ているという気がしていましたが、陶芸でも重なりを感じました。

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(リシタン)

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(リシタン)

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(ホラズム)

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(ホラズム)


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▼ 感謝します ▼


松田米司さん、工房の皆様、やちむんを生み出してくださってありがとうございます。

映画製作の皆様、熱くて温い、心に響く映画を作ってくださってありがとうございました。(プロデューサーの高田明男さん、監督・撮影の川瀬美香さんは、「紫」を製作された方なのですね。観ました、紫。こちらも迫る映画でした。工芸の次作はなんでしょう!?待ってます!)

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(上映後あいさつ(川瀬監督、松田米司さん)/今回の展示会で入手した茶碗、皿。緑釉は真鍮とガジュマルの灰釉と聞きました。興味深いなあ。これから知っていきたい)

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(「あめつちの日々」公開記念やちむん展示会にて)


とにかく書いてみました。とにかくラフなまま、アップしようと思います。健やかに歩いていきたいです。
by orientlibrary | 2016-05-15 23:01 | 日本のいいもの・光景

京都で出会う 伝統工芸(京鹿の子絞)、地蔵盆(タイルと祠)

蒸し暑さのなか、関西へ小旅行。「大阪市立東洋陶磁美術館」「河井寛次郎記念館」など、やきもの関係のお話は次回に。今回は、出会いと発見と再確認?のトピックで巡る大阪・京都編です。

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「みんぱく」でビデオを見る


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「中央・北アジア展示」より。実物大再現や記録は民族学博物館ならでは。左下はジオラマによるウズベキスタンの民家。レンガ〜土塀で囲まれ中庭があり果樹があり縁台があり。さすがによくできています。右下は女性の部屋再現。スザニ、赤ちゃんの揺りかごや糸車など)

まずは、みんぱく詣でから。今回、館内の書籍やビデオで、中央アジア関係、タイル(とくにモザイクタイル)関係の資料があればという期待があり、ビデオを4時間くらい見ました。結果からいうと、タイル関係で見たかった映像が10〜15秒あった。なので行った甲斐はありました。

15秒でも貴重です。イランの職人の映像で、モザイクタイルを作るために、タイルを細密にカットして、複雑な模様を裏返しにして並べていました。メートル単位以上の大きな面積です。ポイントは下にデザイン図が敷かれていたこと。知りたかったのは、そこだったのです。15秒でも重要なことでした。

中央アジア(〜北アジア)のビデオ、工芸はタゲスタン、音楽はトゥバが中心。タゲスタンのソ連時代(あるいは、その名残のある)工場でのフェルト作りが、なんだかリアルで臨場感がありました。ビデオにウズベキスタン関係がほとんどないのが不思議。

やはり映像は情報量が多く、一見して伝わります。装飾タイルやイスラーム建築、思う存分に映像が見たいけれど、、今の時代、YouTubeを探した方が早くて確実なのかも。以前ご紹介した、「University of Pennsylvania Museum」の記録映像(すごい!!)など、もう一度しっかり見てみます。その意味でも、いい経験になりました!


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京鹿の子絞との出会い


河井寛次郎記念館で見た雑誌で、岡崎の「京都国立近代美術館」にも河井作品コレクションが多数あると知り、翌日9時半に行ってみることにしました。

10点ほどの展示でしたが、大物もあり満足。せっかくなので、特別展「うるしの近代」も。こちらも展示点数が多く、京都漆芸の歴史と革新を感じることができました、、のですが、、見ているうちに、ものすごい疲労感が立ち上がってきて、何度も会場内の椅子に座って一息。

館内は静かで休める場所もあったので、しばらくボーッとしていましたが、予定では、その後に「細見美術館」「楽美術館」「清水三年坂美術館」と回るつもり。土砂降りの雨もあがったし、時間も限られるし、と、とにかく外に。細見美術館へと歩き始めました。が、ダメ。目の前の建物にフラフラと。「みやこめっせ 京都市勧業館」でした。

レストランで休みました。蒸し暑さ、雨と暑さが交互にくる天候、冷房、睡眠不足などがこたえていたのかも。温かい蕎麦で次第に復活。せっかくなので館内を見てみることにします。地下に「京都伝統産業ふれあい館」というスペースを発見。入ってみると、、、出会ったのです。「京鹿の子絞」に。実演と説明をなさっていた伝統工芸士(意匠部門、下絵図案考案と制作)の後藤和弘さんに。

「京鹿の子絞」、聞いたことはありますが詳しくは知りませんし、実物をじっくり見るのも初めて、職人さんからお話を聞くのももちろん初めて。けれども、すぐに引き込まれていきました。

京鹿の子絞、、図案を起こし、紙に描き、金槌のような道具を使って模様通りに小さな穴を開けていく。青花(あおばな)から抽出した液を用いて、刷毛で穴から布に模様を写す。色がついた小さな部分を50種類にものぼる様々な技法で、ひとつひとつ手作業で括り、染める。括りを解いたときに、立体的な模様が連続する布が姿を現す。行程ごとに分業。高度な技能を持つ技術者同士のつながりから生み出される作品は、足し算以上の技となって現れるといいます。

● 京鹿の子絞の特徴、作り方、魅力=京鹿の子絞振興協同組合のHPより

● 京鹿の子絞振興協同組合HPの「技法」を見ると、「下絵には青花等を用いること」とありります。

青花はツユクサの栽培変種。下絵に青花を使った場合、お湯につけると下書きの青は消える。大事ですよね。化学的な製品もありますが、時間が経つと消えてしまうものもあり、やはり青花でないとダメなのだそうです。

この「昔から京友禅や加賀友禅、絞りなどの下絵に使われてきた」という青花について詳細に説明のあるサイトがありました!!

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(青花のシルが凝縮して染み込んだ和紙。水をたらして左の特製刷毛で穴に刷り込む)

産地は草津。朝摘んだ手摘みの花を、その日のうちに手揉みし数度にわたりしっかりと漉して「シル」を作る。シルを薄い和紙に刷毛などで何度も何度も染み込ませては乾かす作業を何日も繰りかえすそうです。この青に惹かれました!

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(特製道具と細かい穴片。写された模様)

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(年代物の型紙。茶色く硬いですが、これ紙です。和紙に柿渋、そしてロウを塗るのだとか。大正元年、昭和二年などの型紙。いまも模様が生きているようにイキイキしています。美しい!!!!)

青花に続き、驚いたのは、後藤さんの先代であるお父さんの穴開け技法。なんと、火のついた線香で穴をあけていらっしゃったのだそうです。そのほうが曲線がきれいに出るということのようなのですが、線香であのキリッとした円が生まれるなんて。美しく精緻な型紙のために、そのような技法を考え、時間をかけて集中して日々作業されていた姿勢を思うと、頭が下がります。

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(細かい!しっかり括られているので、広げるとグンと伸びる。きれいな斜め45度の角度。緻密でありながら手仕事の温かみ。右の鳥と花も細かい!白がクッキリ。穴を開けるのも、括るのも、染めるのも、すべての行程で熟練の技がないとできない境地ですね!!)

美しいものに触れさせていただいて、どうもありがとうございました!

この後、「ふれあい館」内の図書館をチェック。かなりの充実度!(みんぱく以上?)。例えばタイルの書籍=INAXブックレットのシリーズ、TOTO(タイルの美)、さらに「ペルシアの伝統技術」まで。世界の芸術〜美術全集も揃っている!ただ、洋書が非常に少ないことと、全集などは古書の趣きであることを前提に、利用の仕方によるかなと思いました。全体をちゃんと見ていないのですが、京都関係、京都工芸関係は多数の本があったように思います。岡崎の散策途中に、資料調べ、読書に立ち寄るのに良さそうです。

さらに、友禅型染めの体験にハマり、気がつくともう美術館に行くどころじゃなかった。でも全然後悔していません。本当に良かった!いい時間でした。ありがとうございました。


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「タイルとホコラとツーリズム 」


急いで、中京区のギャラリーで開催されていた<タイル関係の展示イベント&トーク>に走ります。ふふ、タイル関係のイベントですよ!あるんですよ^^ タイル、イベントがあるんです♪「タイルとホコラとツーリズム 」展

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(「京都の街角を歩いた際、不意に地蔵菩薩や大日如来などを奉ったホコラを目にすることがあります。それらの多くはコンクリートや石詰みの基礎の上に木造の社を持つものなどですが、そのしつらえにタイルづくりを取り入れたものもしばしば見受けられます。今も街角に残るホコラには、それらが地域に受け継がれ、奉られてきた信仰の対象である事を伺い知る事が出来ます。また、しばしば目にするタイルづくりのホコラには、それらが受け継がれるにあたり、今日的な都市の様相を取り入れてきた歴史や変遷に思いを馳せるとともに、タイルという建材の持つ清潔さとホコラの持つ神聖さが無縁ではないだろう事を想像させます」)

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(お洒落なカフェの2階にギャラリーが。京都の街角にある地蔵祠を写真と造形で再現。たしかにタイル祠もけっこう多いですね。お供えもあり。特製MAPとオリジナルの「ご詠歌」がすごい!)

トークには「タバコ屋とタイルの会」の主要メンバーの皆さんも登場。会場は満員御礼。(地蔵祠がメインテーマですが)タイルと名のつくイベントが満員^^ すばらし!

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(祠周辺で採集されたタイルのカケラによる演出装飾。タイル研究の中村裕太さんによるもの。こういう発想は私にはできない。動きがあって面白いですね。タイルが軽やか。右上は大人気の和製マジョリカタイル風活用祠の再現)

自分が知りたいテーマを追いかける、現場を歩き、聞き、話す。記録し、創り、そして表し、外に向けて開く。そのマジさ、邁進感。同時に、楽しく見せる、人を巻込んでいく軽やかさや遊び感覚がいいなと思いました。

(イスラームのタイルについて、ここにいろいろ書いていたけど消去しました。自分のできることを少しずつやるのみ!!喜怒哀楽に流されて、それを忘れてしまう。いかんです!反省です!)

ちょっと疲れたけど、行って良かった、関西旅。次は、河井寛次郎さんゆかりの山陰、あるいはやきもののメッカ北九州。行きたい。
by orientlibrary | 2014-08-24 21:13 | 日本のいいもの・光景

中央アジアバス停/フンフルトゥ/古武雄/火の誓い/夏俳句

重厚なセルジュークの装飾タイルが続きました。今回は小さな話題をいくつか。夏休み気分で。

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ついに「SOVIET BUS STOP」


「中央アジアのバス停留所」、これもまた、えらくマニアックなテーマでした。中央アジアを旅行していると、道沿いにポツポツ、不思議な小さな建物があることに気づきます。なんだろう。どうもバス停らしいけれど、地元の人はそれほど関心をはらっているようにもみえない。でも、その手作り感、愛らしさ、奇妙さ、存在感、おもしろさ。誰かバス停の写真集を作ってくれないものかと、長い間思っていました。

そんな奇特な人いないよな、、それがいたんです!中央アジアバス停に強烈にハマってしまった人が。クラウドファンディングで写真集プロジェクトを実施、完売!タイトルは「SOVIET BUS STOP」。出たー!

中央アジア各所にあるということは、ソ連時代のものだろうと想像していました。バス停作り、競争意識があったのか、作りながら楽しかったのかどうか、それはわからない。でも、とにかく、ここまでやるか状態のものもあります。写真を引用するわけにいかないので、ご興味ある方、クリックで飛んでみてください。魅せてくれますよ。again! → http://herwigphoto.com/bs/


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南シベリアからの風  HuunHuurTu 来日公演


南シベリア・トゥバ共和国の生んだ世界的ホーメイグループ「HYH-XYPTY(または HuunHuurTu)フンフルトゥ」、フジロック・フェスティバルのための来日。1回のみのホール公演に行くことができました。生の音楽との出会いに感謝です。

来日公演のWEBサイトより抜粋=「トゥバ人に最も愛され、尊敬されるホーメイグループ。ソ連邦崩壊後間もなく結成され、伝統の中に新しい音楽の要素を折り込んだ洗練されたスタイルが大きな話題に。長らくトゥバ民族とその周辺地域のみで伝えられていた伝統歌唱ホーメイを、世界に知らしめ、発展させた。驚異的なテクニックと懐かしさあふれるメロディーによるオリジナルなアンサンブル」。

オーディエンスもノリノリで3回のアンコール。それに応えてくれたHuunHuurTu。アンコールのラストは、寺田亮平さん(トゥバ音楽演奏家。「中央アジア人3」参照)推選の「チュラー・ホール」でした。「ある男が風に吹かれながら馬と一緒に旅し、ある土地で暮らし始めた。その美しい土地で相棒のチュラー・ホールと競馬に勝ち、美しい恋人から隠れて泣いた」。YouTubeで聴いていたこともあって思い入れがあり、これをラストで聴かせてくれたことに感激!


Huun Huur Tu - Chiraa-Khoor





声そのもののゆたかさ、声の重なりから生み出される透明な音世界、声や楽器による自然の描写、イギルやドシュプールなどシンプルな楽器が織りなす豊穣。4人それぞれが高い演奏技術と歌唱力を持ちつつ、個性をユニットとしてのハーモニーに昇華している。その素晴らしさに浸りました。


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豪快で技法さまざま 魅力の古武雄


「古武雄 やきもの王国九州から 江戸陶磁のモダニズム」展@町田市立博物館へ。九州国立博物館(「古武雄 まぼろしの九州のやきもの 江戸のモダニズム」、愛知県陶磁美術館(「桃山・江戸の華やぎ 古唐津・古武雄」)などと、北上してきた展覧会のようです。チラシの豪快な陶味に惹かれて、猛暑のなか、町田に行ってきました。

佐賀県立九州陶磁文化館開催の「古武雄 江戸のモダニズム」のチラシ。クリックで画像

それにしても、古唐津なら聞いたことがありますが、古武雄とは?

*(古武雄を)分からないのも当然と言えば当然なのです。この「古武雄」という名称は近年生まれたものだからです。「古武雄」は、かつては「二彩唐津」、「武雄唐津」、「弓野」、「二川」などと呼ばれていました。(九州国立博物館HP)

* 江戸時代前期(17世紀前半)から19世紀にかけて武雄地域で「古武雄」というやきものが誕生しました。生き物のように躍動する松、今にも飛び立とうとする鶴、釉を掛け流しただけの力強い文様・・・器をキャンバスに、様々な技法を用いて、大胆な文様を絵画のごとく描いたこれらの陶器は、現在、その魅力と重要性が再評価されています。(
愛知県陶磁美術館HP)

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(鉄絵緑彩松樹文大平鉢 江戸時代・17世紀前半 肥前・武雄/九州国立博物館HP)

* 古武雄は、多彩な文様表現に魅力があります。古武雄の作品で基本的におこなわれる装飾技法の基本は、褐色の胎土の上を白く塗ることに大きな進歩がありました。この白いキャンパスを得られたことにより褐色の胎土という、絵付けにはある意味で言えば不利な条件を克服し、新たな文様表現の土台を得ました。そして、そこに緑や褐色で絵を描いたり、緑や褐色の釉をかけ流して文様にしたり、スタンプで文様を押し、その部分に白い土を埋める象嵌、白い土を刷毛で打ち付ける文様などなど多彩な文様が生み出されました。このような多彩な文様こそ「古武雄」の見所です。(
愛知県陶磁美術館HP)

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(緑釉唐花唐草文五耳壺 江戸時代・17世紀中頃 肥前・武雄/九州国立博物館HP)

* 江戸時代のさまざまな遺跡が調査された結果、公家も武士も、大名も庶民も「古武雄」を愛用していたことがわかってきました。(町田市HP)

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(展覧会図録より/刷毛目打ち刷毛目白泥〜刷毛や筆を用いた白化粧の文様・象嵌〜埋め込まれた白土の模様・鉄絵緑彩〜緑と褐色の絵付け文様)

江戸時代には、参勤交代で江戸でのつきあいが必要な日本各地の有力者たちの「宴会需要」があったそうです。しかし磁器はまだまだ高価。そこで古武雄の大皿が活躍したのだとか。絵柄も作風も大胆で奔放。多彩な技法に触れることもでき、行った甲斐がありました。


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偉大な設計者


新聞の読書欄、(はずれることが多くて)あまり見なくなりました。が、今朝、『白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか』についての隈研吾氏の評(朝日新聞8月10日付)を読んでいるうちに、昨日読んだ河井寛次郎さんの文章が浮かんできました。

『火の誓い』(河井寛次郎/講談社文芸文庫)の第一話「部落の総体」(昭和19年7月)。

「自分はいつも部落に這入る前に、その部落全体の組合せについて驚くべき事を見せられる。その部落を見上げたり見下ろしたりする位置にあればあるだけ、この組合せの魔術にかけられる。森に囲まれた平野の村は這入って見なければ解らないが、これはこれで、思わぬ処で、思わぬ素晴らしさに出喰わして驚かされる事がある。いずれにしても、此等の村と家と家との地形に応ずる巧妙な配置については、見ても見ても見つくす事が出来ない。自分はいつも誰がこんな素晴らしい大きな構図を設計したのかと聞きたくなる」

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(福井県池田町)

「家と家とはーどうしてこんな美しい間隔と均衡を保って隣り合わされたのか。相隔たる甲と丁とはどうしてこんな美しい比率で隔離されたのか。瓦と草屋根を誰がこうもたくみに配分したのか。それぞれの家の持つ力を、時には複雑極まるでこぼこの丘地や山の傾斜面に、誰が一体こんなに見事に配置し組み合わせたのか。自分はいつもこの偉大な設計者の前に立って驚かない訳にはゆかない」

「どんな農家でもーどんなにみすぼらしくってもーこれは真当の住居だという気がする。安心するに足る家だという気がする。喜んで生命を託するに足る気がする。永遠な住居だという気がする。これこそ日本の姿だという気がする」

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(越中和紙の桂樹舍/富山県八尾)

この文章からちょうど70年後出版の、『これからの日本に都市計画は必要ですか』(蓑原敬、藤村龍至、響庭伸、姥浦道生ほか。大御所蓑原敬氏と70年代生まれの若手による論議の記録)。本書は日本の都市計画のつまらなさとその理由を明かしているといいます。

「一言でいえば、日本的縦割りが、本来諸分野を串刺しすべき都市計画をつまらないものにし、機能不全に陥れていたのである。様々な縦割りのひどさに唖然とした。(中略)実際の計画は道路団子とか公園団子などのジューシーで利権だっぷりの団子に委ねられていたのが、戦後日本の寒い姿だった」

天候のせいか今ひとつ調子が悪く読書の日とした昨日、河井さん著書(『火の誓い』『蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ』)の気迫ある文章、凛とした姿勢の強さが滲みました。

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日本の自然や工芸について読んでいると、昔は当たり前だった普通の光景の、普通だからこそ輝く姿が愛おしく思えてきます。十七音でその情緒をうたう俳句、夏の情景、昔日の景を選びました。

  金魚売りの声昔は涼しかりし  正宗白鳥
  うちの子でない子がいてる昼寝覚め   桂米朝

  
  セルの袖煙草の箱の軽さあり  波多野爽波
  ワイシャツは白くサイダー溢るゝ卓  三島由紀夫(中等科時代か)
  

 
 口開けて金魚のやうな浴衣の子   三吉みどり
  
  夕顔やろじそれぞれの物がたり   小沢昭一

  
  バリカンに無口となって雲の峰  辻憲

  

  心太足遊ばせて食べにけり   佐藤ゆき子
  
  たつぷりとたゆたふ蚊帳の中たるみ  瀧井孝作
 

  湯上りや世界の夏の先走り  平賀源内   
  美しき緑はしれり夏料理  星野立子    
  麦の穂を描きて白き団扇かな  後藤夜半  
  稲づまや浪もてゆへる秋津しま  与謝蕪村
  うつくしや雲一つなき土用空  小林一茶  

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(江戸東京たてもの園&多治見の光景)

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(瀬戸焼きの生産の場や道具を展示している瀬戸蔵/瀬戸市)

夏生まれだからかもしれませんが、夏だけは、昔の夏が好きです。青空とプールだけの、あっけらかんとした夏が。
by orientlibrary | 2014-08-10 21:30 | 日本のいいもの・光景

柳宗悦が選ばなかったもの、インドTarabooksの本づくり、そしてモザイクタイル

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(スルチャル・マドラサ/コンヤ)

セルジュークの装飾タイル、そしてモザイクタイルへの道、少しずつ進めています。でも、連続だと、ブログの見た目にも、気持ち的にもちょっと重そうなので、今回は軽めの話題をいくつか。

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中央アジア積み&盛りコレクション


まずは、「中央アジア積み&盛りコレクション」。Facebookのページで、流れで始まった特集。以前から、面白いなあと思っていたんですよね、バザールなどで見かける、てんこ盛りみたいな、とことんやる積み上げ方。各地での採集投稿もいただき、楽しいです。

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(キッチリの「トルクメン積み」はアートの域/缶にまで及ぶ「トルクメ積み」/各所で見られる「ウズ積み」、クルト(チーズの一種)も積みます/トルコのバザール、こだわりの「トルコ積み」。とことん/総菜もすごい、「ウズ盛り」ラッシュ/ニンジンサラダの「ウズ盛り」)


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青の陶器とタイル、好き


青のfacebookも続いています。1年半かけて、「いいね」=400。とくに宣伝してはいないので自然に。青好き、タイル好きの方の存在を感じられて(これまで、なかなか実感が持てなかったので)、心強い気持ちになります。

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(青facebookより、いくつか//ティラカリ・マドラサのモザイクタイル〜サマルカンド/中国風図柄のフランス製ファイアンス花入れ。19世紀後半〜20世紀前半。ブハラのシトライ・モヒ・ホサ宮殿に展示されていた。中国の模様のフランスの錫釉陶磁器がブハラに。献上品だと思うが興味深い/ウズベキスタン、リシタン、ウスマノフ工房間の絵付けタイル。この写真をずっと見ていて、あらためて自分はタイルが好きなのだと気づいた。おおらかなタイルの世界/トルコの骨董屋で購入したキュタヘヤの青い小壷。調味料入れのようだ。タイルだけでなく陶磁器、青のテキスタイルなども時々アップしています)


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柳宗悦が選ばなかったもの


たった4日間の展示会、「柳宗悦が選ばなかったもの VOL3 茶わん 1900—1970」(倉日用品商店 企画展)@べにや民芸店(東京港区南青山/7月1日まで)。

「日本の雑器の7割を生産しながら、民藝という視点では必ずしも光が当たらなかった瀬戸や有田の茶わん。しかし、明治以降全国の家庭に、食卓に、旅館に使われ続けているそれらには窯屋の主人が頭をひねって生み出した、様々なデザインが施されていた。伝統の文様をベースにしつつも次第に珍奇になっていく、誰も記録していなかった「ふつうの飯茶碗」のデザインを、明治から戦後まで一挙公開!」

とても面白かったです。しかも全品即売。しかも1個数百円が大半、最高でも1000円ほどという値段。古いものの値段は私にはわかりませんが、見る人が見たら、かなりの値段がつくものもあるのでは。へたウマイラスト系のもの、昭和モダン系のものなど、お宝もありそう。倉日用品商店Facebookには「さすがに初日はプロに類する方が素早く「特にいいもの」を買っていかれまして、目利きの仕事の鮮やかさを目の当たりにした次第です」とありました。

本業ではないのですが、流れとご縁で、陶器の仕入れと販売をさせていただいた経験、少々あります。ひとつずつすべてが違う手作り品の梱包や値段つけは、素人には大変な作業でした。(とくに中央アジアからは、物流が大変すぎました。値段も前例がないので難しかった)。今回の茶碗は、脆くはないですが、やはり一つ一つのパッキングは手間だと思います。倉日用品商店さんのある京都から持ってきて、開梱して並べる、青山の老舗民芸品店のギャラリーで。思わず、数百円×個数で、かけ算してしまいました。

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(冊子が作成販売されていたので購入。「柳宗悦は、なぜ瀬戸と有田の雑器を選ばなかったのか」の考察、すべての出品茶わんの画像、解説付き。貴重な資料!/べにやギャラリーの様子/下左:初期の茶碗は模様で埋められていることに価値があると考えられたのか、染付印判での全面彩色が流行したのだそうです。その後、ハンコを全面に押す手間より手描きのほうがスピードが出たのか、理由は不明ですが突然姿を消したのだとか/小津映画に出てきそうな小ぶりな茶碗たち/下右:購入品。チャイ茶碗的なぽったりしたものと湯呑み。白地に絵付けをやはり選ぶ傾向。さっそく使っていますが、適度に重くていい感じ。もっと欲しい!)

京都西陣の堀川商店街にある「倉日用品商店」、荒物などを扱い、コーヒーも飲める。なんだか面白そう!今度行ってみよう。三井美術館の明治工芸展で興味津々の幕末、明治の工芸を展示している「清水三年坂美術館」も!&facebookのタイルの会で知った、すてきな京都のタイルも見たい。大好きな河井寛次郎も。


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インドTarabooksのゆかいな本づくり


「インドTarabooksのゆかいな本づくり」スライドトーク、というイベントがありました。案内人は矢萩多聞さん(装丁家) 。

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(以上3点、http://kokyuu.org/tara/?cat=13 より)

「手漉きの紙に、手刷りのシルクスクリーン、手製本で本を綴じ、なにもかも手づくりで絵本をつくっているインドの出版社Tarabooks。彼らの絵本に魅せられ、南インド・チェンナイの印刷工房へ見学にいった矢萩多聞が、現地の写真をたっぷりおみせつつ、彼らのゆかいな本づくりについてお話しします。ぼくはこの出版社に出版の原点、明るい未来を感じています。本好きはもちろん、多くの日本人にこのすばらしい出版社、美しい絵本のことを知ってもらいたいです」

素晴らしい絵本たちを画像で紹介できないのが残念ですが、リンク先に写真がたくさんあります。矢萩さんのHPは、詳細でわかりやすいです。ぜひ、ゆっくりとごらんください。

● Tarabooks とは  (1994年から美しい絵本を数多くつくり、
世界中の本好きたちを魅力しつづける、奇跡の出版社だ。本文用紙は手漉き紙。印刷はすべてシルクスクリーンで刷られている。造本は手製本。通し番号がふられ、工芸品のように美しい絵本たちはまるで宝物のようだ。絵本の挿絵の多くは、インド各地の少数民族たちが描いたもの、、など詳細な説明が。写真も、Tarabooksのオフィスや職人さんたち、制作行程など!)

● ニュース (「Drawing from the city」(街を描く)
作者は西インド、ラジャスターンの門付け芸人を夫にもつテージュベハム。
彼女がペンと紙で書きつづった自伝的絵本。ペンでかかれた世界は、絵の教育をうけた絵描きにはぜったいにかけないような
生き生きとした線にあふれています。ほとんど絵の描いたことのない人、絵本なんて作ったことのない人の絵で
こんな大判の絵本を作ってしまったTarabooksはすごいと思います。
まさに「誰もがもっている宝物を引き出す」仕事/インドから本が届きました!、、など)

● Tarabooks

矢萩多聞さん。矢萩さんと村山和之さんのトークイベント『「A.R.ラフマーンを語る」vol.3 イスラームとラフマーン』で、ラフマーンの音楽に出会いました。このときも矢萩さんは、ラフマーンを訪ねたときのことを、楽しそうに話してくれました。

出会って、好きになって、気になって、調べて、ある日出かけて行く、話を聞く、ますます好きになる。それを分かちたい、紹介したい。そんな自然なテンションや温かい感情が伝わります。

かといって、Tarabooksの代理店になってビジネスを、ということでもなく(すでに日本でもいくつかの代理店がありブックフェアなどにも出ています)、淡々と熱く、できることをする、そんな姿勢に共感しました。

たまたまなのかもしれませんが、倉日用品商店さんも、矢萩多聞さんも、あまり商売っ気がない感じ。でも、熱を感じます。そして行動しています。できることをしています。派手でなくても、大規模ではなくても。費用的にマイナスにはならないように工夫して、他のことでがんばって補いながら、気持ちのいい人たちと出会い、熱を持って思いをシェアしていく、自分も楽しみながら。それがいいのではないかと思うこのごろです。そういうふうに自分もなりたい。

矢萩さんは、20年くらい前からお名前を知っていました。パソコンでネットを見始めた頃、インドでの暮らしを描いた「メールマガジン」を読んでいました。どうも若い人のようだなとは思っていましたが、その頃はなんと10代半ばだったようです。14歳でドロップアウトして、インドで一人暮らし、街や村で生活の中の美を学んでいたのです。なので、20年くらい経っても、まだ34歳くらい。インドや日本の、心に響くものを、これからも伝えて欲しいなと思います。


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モザイクタイルへのみち


タイルについて、ずっと知りたかったこと。大きなテーマであった「なぜ青なのか」は、少し得心できました。もう一つのテーマ、「モザイクタイル(集成モザイク)は、いつ頃、なぜ、どのような背景の中で生まれたのか」。

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(集成モザイク的な要素/アフマドヤサヴィー廟)

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(圧倒的な集成モザイク/シャーヒズインダ墓廟)

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(ブハラの古いモスク。1400年代か?本物の凄みと包容力。素晴らしい)

そこに向かって歩いています。セルジュークのタイルの中に、大きなものを感じています。
by orientlibrary | 2014-07-01 00:03 | 日本のいいもの・光景

土祭展覧会/ほんとの水/リシタンの青い魚たち

渋谷に土を。益子の土・森・祭の情景を伝える展覧会「土祭」が渋谷ヒカリエ8階でスタート(6月10日まで)。栃木県益子町「アース・アート・フェスタ土祭」の世界観をベースに「土」「森」「人と祭」の情景を伝えるもの。

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(デジカメ忘れたのでiPadmini写真です/土オブジェ。アートな急須たち。閑かな色合いのやさしい益子泥だんごが生る樹。益子の森とさえずり)

「益子の土の豊かな表情、窯出しの時に生まれたばかりの器が奏でる澄んだ音、里から分け入る深い森の静謐な空気」。思い切った会場構成。そぎ落とした情報の精度と強さ。勉強になります。

土祭(ヒジサイ)」(リンクは音が出ます。自然の音なので気もちいいですが、仕事中の方はご注意を)。今年は行きたい。いや行こう。

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『民俗と民藝』(前田英樹著/講談社選書メチエ)。民俗学の柳田國男と民藝運動の柳宗悦。「それらを生み出し、成長させた土壌はひとつのものだ」との認識のもと、「二人の仕事をして輪唱のように歌わせたい」という願望から書かれた本。新聞書評で知りました。そして、そこには最終章の河井寛次郎の言葉が「土壌」の核心であると記されていました。

陶芸素人の私、民藝運動の頃の作家作品も多少見る機会を持ってきましたが、この頃感じるのは、どうも私は河井寛次郎作品が好きなようだ、ということ。

著者は河井寛次郎の文集『火の誓ひ』の短章に「感嘆するほか言葉もない」と書きます。「”民藝”というものが、おのずから止めどなく産まれるのに必要な社会の情勢、人と自然の結びつき、暮らしの仕組みと道徳、そして何よりも底知れない信仰の土台が、活き活きと、心の眼に映し出すように描かれている」。

寛次郎さんの郷里、出雲安岐の町での少年時代。明治中期の山陰の小さい町の暮らし。「陶と農とか分かれていない暮し」。『六十年前の今』のなかの「ほんとの水」のくだりは、ゾクゾクするくらいに瑞々しい。一部のみですが引用。

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(写真は多治見市之倉町)

「子供達はここで初めてほんとの水を見た様な思ひがした。井戸の水や海の水や川の水とちがって、ここの水はずっときれいで、生きていた、動いていた、光っていた、ものを言っていた。そしてありとあらゆる物の形の本質ー連続する変化の形態を、ここは子供達に見させた。そしてこれがまぎれもない水の気質であり、体温であるとでも思われるものをじかに彼等のからだに書き込まれた」

本全体も読まなくては。

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暑くなって、そして梅雨入り。水つながりで?ウズベキスタンの青の魚たちをご紹介!

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(2012年夏、リシタンのアリシェル工房にて)

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(同。白地が涼しげ。新しいデザインの傾向のようだ)

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(同。のびのびと描いているところが好き。素焼き後、白化粧土をかけ乾燥させた魚皿、鉛筆でササッと下書き。イメージができているのか迷いがない。絵付けも集中しつつスピード感がある。若い職人さんは今どきの音楽でリズムをとったり、ときにはスマホで話も。でも集中度が高い。自由な絵柄はやはり魅力がある)

なぜ魚?ウズベキスタンには海がなく、魚といってもチョウザメの干物をみかけるくらい。雨も少なく水がとても貴重。水に棲む魚は清浄で幸福の象徴と聞きました。

青ですねえ。白とのバランス、緑系の青との組合せも個性。余白が多くなってきたこと、個人的好み。幾枚かの魚さんといっしょに帰って来たのですが、今のところしまったまま。夏に向けて出してみようかな。

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話は全然違うんですが、、 サウジアラビアであった出来事がネット等で話題になっています。「イケメンすぎて国外追放」。なにそれ!?

「事件」が起きたのは、サウジアラビアの首都リヤドで年に1回行われる「Jenadrivah Heritage & Cultural Festival」というイベント。このイベントにUAEも出展。が、サウジアラビアの宗教警察がUAEの出展者の男性3名を会場からだけでなく、国外へ強制退去したというのです。その理由が、、「3人があまりにハンサムなため、女性たちが魅力に感じ、夢中になってしまうのではないかと恐れた」。は〜!!??なにそれ!?大きなお世話だよっ!!と誰もが思うじゃないですか。

が、ネットの力おそろし。その「イケメンすぎる」という理由でサウジアラビアから国外退去させられた人が特定されて、逆に盛り上がってしまってます。

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(出典:いずれもkimasoku.doorblog.jpより)

UAE・ドバイのカメラマン兼モデルのOmar Borkan Al Galaさん。た、たしかに!、、、Omarさんのfacebookやtwitterにファンが殺到。国外退去は驚いたと思うけど、モデルでもあり、世界的に知名度が上がったことはよかったのでは?

あ、私がこの話題を載せた理由はですね、、これまでイケメンというような話題では欧米中心。中東メンズとかはあまり登場しなかったように思うんですよね。それがバリバリの民族衣装でスマイル。腕には鷹まで。経済力のあるところに話題が生まれる、ということもありそう。

この流れで、ハリウッドではなくボリウッド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』について書こうと思っていましたが、長くなりすぎました。いつか機会があれば。キング、シャー・ルクさん、こちらもすごい!
by orientlibrary | 2013-05-30 00:53 | 日本のいいもの・光景

多治見旅。五月の風、光、空、水、、心の底からリフレッシュ!

「多治見小さな旅編2」、その名の通り旅の2日目。この日も五月晴れで歩くのが気持ちいい。朝から絶好調です!
5月初旬の愉しみは(行ってみてわかったのですが)藤の花。名古屋からの車窓に次々と見えた山藤、品のいい薄紫色ながら大きく揺れてワイルド。街歩きでも、各所で満開の藤の花。引き寄せられました。

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(まずは駅前のながせ商店街を散歩。街にも住宅にもお花がいっぱい。小さなカフェや雑貨店が点在)

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(上左:え?神棚?二つ?こちらではこのように祀るのでしょうか/右下のタイル、日本的ないい色あい)

古い木造の商家。店先の花々や杉玉や貼り紙やらで、吸い込まれるように中に。オーディオがいい音。やきものと花、古い家具類もいいな。気さくな玉木商店ご主人、商店街のイベントのことや多治見のおすすめショップなど、いろいろ話してくださいました。朝からおじゃましました〜!

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(上段:老舗の鰻屋さん、和食店など。黒塀がいい感じ/下左:たじみのキャラクター「うながっぱ」、こちらはモザイクタイル。かっぱとうなぎが融合した生き物のようです/下中:館内に置いてあったマンガ冊子、「やくならマグカップも ね、陶芸やろ?」、、、多治見に引っ越してきた女子高生が主人公らしい。第5話は陶芸部に入部を決意!/下右:自販機コーヒーもちゃんと器で提案)

町の中を川が流れている光景、好きです。空が広くて気持ちがいい。橋を渡って、ウワサのオリベストリートへ。まずは「たじみ創造館」。美濃焼など、ショップいろいろありました。

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(創造館3階、多治見市文化工房ギャラリーヴォイス。「やきものの現在-牛田コレクションを中心に-」展示。広いっていいな、とまず思いました。やきものはこのくらいの広さがあると、しっかり見られますね〜。映えますね。広さは大事。日本の澄んだ青、水のような青がすてきでした。

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(オリベストリート界隈にて。カフェなど/上段:カフェ店内/下右:氷屋さん、白壁とロゴ、カッコ良し!)

カフェもいろいろあって迷います。流れていたノラ・ジョーンズが決め手になって、こちらでランチ休憩。あふれんばかりの家具や食器での演出、いいじゃないですか〜。贅沢!東京のレトロ風カフェとは重厚感、パワーが違いますね。

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(土岐川。新緑と青空が最高!そこにパカパカと、、/下段左:修道院/中と右は虎渓山あたり)

ゆっくり見たいけれど、先を急がねば。ということで橋を渡ります。幹線道路を歩いていると、背後からパカパカという音が、、これは?!、、いやまさか、、振り向いてみると、そのまさか!でした、、馬車でした、、、なんで馬車が幹線道路を、、、多治見七不思議、、たじろいでいる私の横をポコポコと走り抜けて行きました。乗客一人ありました。

目的地の神言会多治見修道院に行ってみると、さっきの馬車。なるほどね。試験運行中なんだそうです。中世ヨーロッパを思わせる修道院と、ビジュアル的に合うかも?修道院は昭和5年設立。小高い丘には葡萄畑やログハウスも。修道院ワインも販売されており、11月にはワインフェスタもあるそうです。

爽やかな風のなか、どんどん歩きます。虎渓山へ!!永保寺へ!!山道を下りるかたちで歩いていきます。けっこう急な坂道、本当にこの先にお寺が???、、すると、、わ〜〜〜!!!!

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(臨済宗南禅寺派 虎渓山永保寺。鎌倉時代末期、夢窓国師が開祖、仏徳禅師を開山として創建)

こ、これは!極楽?!いきなりパラダイスが現れたかと思いました。山を登っていってお寺というのはあるけれど、どんどん下りていってお寺があるとは。

永保寺は鎌倉時代(1313年)開創。「虎渓」の名前は夢窓疎石がこの地を訪れた際、中国 蘆山の虎渓の風景に似ていたことに由来するとのこと。鎌倉末期に建てられた「観音堂」と「開山堂」は国宝。自然の岩山を活かし心字池を配した回遊式庭園は国の名勝。2003年の火災で本堂と庫裏が全焼。2007年に庫裏、2011年本堂が再建されたそうです。心洗われるような景観と古刹、多治見の宝物ですね。

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(青空と風と光と水の音と。ここでの時間が忘れられません)

心残りますが、虎渓山から次の目的地(若い人に人気のギャラリー&ショップ)に。が、地図を見てもよくわからず、参道入り口のお茶屋さん若松屋に入り尋ねてみました。そこには、頭巾をまとった昔話に出てくるようなおじいちゃんが!親切に地図を見ながら考えてくださるのですが、若い人のお店でもあり、、「すいませんでした。下で聞いてみます」とお礼を言って出ようとしたところ、、話を聞いていたお店のお嫁さんが、車のキーを持って「行きましょう」と。結局、図々しくも乗せて頂くことに。おじいちゃん、どうもありがとうございました。また来ます!

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(上段は辿り着いたギャラリー/下左:カリフォルニア、じゃないですよ/下右:パリのカフェ、じゃないですよ)

ところが、、「ギャラリー百草」、ぜんぜんわかりませ〜ん!ようやく辿り着いた場所、これはわからないよ〜!旅行者には難しすぎる!でも、なんと他県ナンバーの車がズラリ。若いカップルなどで賑わっています。人気なんですね〜!驚きました。古民家に、アパレル、雑貨、やきもの、カフェなど。
若松屋お嫁さん、「地元にいても来たことない。私も」と、一緒に見学。二人でおしゃべりしながら楽しい時間でした。なんだかお嫁さんと別れるのが淋しくなってくる。親切に、多治見市美濃焼ミュージアムまで送ってくださって、、どうもありがとうございました!

美濃焼ミュージアムでは、「平安のやきもの 美濃灰釉陶器の世界」や常設展示を見学。写真禁止なので撮っていないせいか、記憶もあいまいになってしまってます。
立派な博物館でした。ただ展示演出がオーソドックスで、ちょっともったいないという気がしてしまいました。昨今は、展示構成や見せ方のレベルがどこもすごく高いので、観る方も贅沢になってしまい、、スイマセン!スタッフの方々は親切でした。ここから土岐プレミアムアウトレットに行きたいという私に、タクシーを呼んで頂き、アウトレットからのバス時間も教えて頂きました。

多治見駅にタクシーで戻るなら、隣の市だけど近いというアウトレットに行ってみようかと、緑の山道をドライブ。アウトレットは、、アウトレットでした。バスで駅へ。JRで多治見に。また歩いてオリベストリートへ。夕暮れのカフェは、おーっと、すでにクローズ!旨い蕎麦で、一日をしみじみ振り返り、多治見いいなあ、と浸っていたのでした。長い一日でした。皆さん、本当に親切で感激です。ありがとうございました。
多治見編、第3弾はセミラックパークMINOの予定です♪

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<訂正>  下記3点、訂正しました。
1:多治見創造館 → たじみ創造館
2:「やきものの現在ー土から成るかたち」展示 → 「やきものの現在-牛田コレクションを中心に-」展示
3:多治見美濃焼ミュージアム → 多治見市美濃焼ミュージアム


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(写真が終盤にないので、チベットフェスティバル2013@護国寺から。写真上段:ファッションミュージアム、ナイス企画。が、マネキンがブーツを履いていないのはなぜ?柄杓を持ってるのは?ツッコミどころ多くて楽しかった!お寺が会場っていいですね。音楽ライブ、ライトアップ、砂絵、食など盛りだくさんの企画で、連日たくさんの人出だったようです。バター茶飲んで、まったりしました。写真下段右は購入品。というのもノルブリンカインスティチュートの洗練をご紹介したくても撮影禁止だったので。相当にデザイン性の高いオシャレな品揃え。チベタンエレガンス。エプロンのラッピングもオシャレ=黒い巻物状態のもの=で感心しました)
by orientlibrary | 2013-05-13 23:45 | 日本のいいもの・光景

「東京ジャーミー」開堂75周年、タタールから日本へ

お寺や神社、やはり馴染みがあるというか、落ち着くし安心します。庭や参道も美しく五感に響き、記念の品購入なども楽しみ。
一方で、モスクに行ったときの独特の高揚と安らぎと心の静けさが、とても好きです。西アジア、中央アジア、建造物としてのモスクの魅力は圧倒的。ただ、内部、礼拝の場に、女性が入ってはいけないところもあるし、イスラム教徒以外は入れないところも。真摯な信仰の場に立ち入ることは、気軽にフラッと、というわけにはいきません。

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ところが、誰にでも扉を開き、拝見できるモスクが日本にあります。東京渋谷区大山町。小田急線(千代田線)代々木上原から徒歩で5分くらい。都心の便利な場所。白い大理石で作られた堂々としたオスマン様式のモスクです。建築材の多くはトルコからのもので、建築家や職人さんなど100人近いトルコの方々が来日して作業されたそうです。

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(ムハンマド生誕記念イベントのチラシ/外観はwikipediaより。タイルばかり撮っていて外観撮ったことがない。一度チャレンジしてみよう/ディテール、細工や仕上げが本格的)

今回は、ジャーミーのサイト(アクセスすると音が流れますので仕事中の方はご注意を?!)などから、このモスクの歴史を見てみたいと思います。(一部は要旨)

* 1917年ロシア革命の後、中央アジアの国々に居住していたイスラム教徒はさまざまな拷問や弾圧を受け、生命の危機を逃れるために、海外への移住を始めました。その一部は、中央アジアからシベリア鉄道を通って満州に移動・定住し、他の一部は小規模な商売をしながら韓国や日本に定住を始めました。

* 自国から逃亡し満州に定住した避難者にはパスポートがなく、海外渡航のためのビザを取得できませんでした。しかし当時、日本政府が1500 円の保証金の代わりにビザを発給することがわかり、1920 年代に満州に逃亡していたカザン州のトルコ人が、日本に移住を始めました。

* カザン州のトルコ人は、短期間で日本の生活になじみました。特に日本の気候は、彼らにとって快適でした。1922年の東京大震災発生の後、アメリカ政府は東京在住の外国人を救助するため、アメリカへ招待し横浜港に特別船を用意したにもかかわらず、カザン州のトルコ人はこの招待を断り、日本を離れませんでした。最初に来日したカザン州のトルコ人は神戸と東京に定住し、東京で最初の定住地となったのは大久保でした。

* カザン州トルコ人の増加する子供達への教育に対応するために、1931年に富ヶ谷に建物を購入。生徒達は、トルコ人とタタール人教師から、トルコ語、タタール語、英語、ロシア語を学び、小学校課程の全授業を日本語で学びました。1935年校舎が建てられ、富ヶ谷から学校が移転。1938年、校舎脇の土地には、東京ジャーミィが建設されました。

Wikipediaには次のような記述がありました。「この礼拝堂の建設の背景には、当時の日本政府の国策としての対イスラム宣撫政策があり、建築資金は日本側の寄付によってまかなわれた。さらに、落成式には頭山満、松井石根、山本英輔ら、大日本帝国陸軍や海軍の有力者が参列した。これが東京ジャーミイの始まりであり、開設後のイマームには、国際的に知られたウラマー、アブデュルレシト・イブラヒムが就任した」

ひとつのモスクの歴史の中に、ときどきの国際情勢や状況が入り組んでいるのですね。発端がロシア革命であること。1920年代の日本政府がビザをお金と引換えに発給したこと。そして移住したのは「カザン州のトルコ人」ということ。1938年のジャーミー建設には日本政府の思惑があったこと。

「カザン州のトルコ人」、カザン、、わかっていません。「タタールスタン共和国の首都。タタール文化の中心であり、多くの文化遺産やカザン大学などの教育機関が集積している」。タタール!「日本では、古くは中国から伝わった韃靼(だったん)を使っていたが、現代ではロシア語風にタタールと呼びかえることが一般的である」。韃靼。わ〜、これはもっと調べないと、いい加減はことは書けません。

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(カザンの写真をwikipediaから引用してみました/左下はロシア連邦内のタタールスタン共和国の位置、右下はタタールスタン共和国内のカザンの位置。Wikipediaより)

1986年に老朽化のため取り壊され、現在の建物は2000年に立て直されたもの。今年で開堂75周年なのだそうです。

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(礼拝堂のタイル。様々な花が愛らしい。高所なので手ぶれでボケてしまってます、、)

この東京ジャーミーについて、もっとも詳細に紹介しているのは、ブログお友達「写真でイスラーム」さんだと思います。あらためて見てみると、やはり素晴らしい。しかも20もの記事があります。とくにカリグラフィーの説明は、他では知ることのできないもの。読み方や内容まで紹介されています。本当に素晴らしい。ステンドグラスや大理石細工、クルアーン台まで。引用させて頂こうと思いましたが、全部になってしまいそうなので、どうぞ直接にお出かけください

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(随所にあるカリグラフィー。細部の細工も見応えあり)

引用ばかりの今回ですが、アップしようと思います。青葉の季節、東京ジャーミー散策も良さそうですね。5月17〜19日は「トルコ・タタール文化の日2013」という催しがあるようですよ。

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(トルコ縁で、「青の魅惑」展出展作品より、トルコの作家作品。メフメット・コチェルさん(作品左と右。細密な絵付け)、アディル・ジャン・ギュヴェンさん(中のタイル。モスクのランプ、蛇、双鳥)。お二人ともイスラームの良き精神を感じる寛大で温かいお人柄。作品には思いが込められていると感じました)

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<コメントをしばらく閉じさせて頂きます> コメント欄へのジャンクメール(コメント、海外から?)がまた増えてきました。消してもまた、です。当面コメント欄を閉じたいと思います。ご了解頂けましたら幸いです。
by orientlibrary | 2013-04-22 00:13 | 日本のいいもの・光景

自然とともにあるやさしい秋模様、にほんのやきもの

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ガザ停戦が現地時間21日午後9時、成立しました。

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(以下、「アル・ジスル パレスチナ最新情報」より一部引用)
とりあえずガザ攻撃は停止されました。しかし、170万人を閉じ込める「天井なき牢獄」ガザ地区の状況は変わりません。今後、合意に基づき、封鎖解除、自由通行の協議が始まりますが楽観はできません。そもそも、1967年6月以来の西岸・ガザ地区の占領が続く限り、パレスチナ人の完全な自決権が認められない限り、そして、1947ー48-49年の「ナクバ」の被害者が無視される限り、平和はなく、パレスチナ人の苦しみは続きます。パレスチナ人の苦しみが続く限り、イスラエル人の平穏な生活もありません。

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(以下、朝日新聞11月23日朝刊「中東和平見直しの時」より抜粋、一部要旨)
イスラム組織ハマスがイスラエル領内に放ったロケット弾1発の値段は約600ドル。それを砲撃するイスラエルのミサイル防衛システムのミサイル1発は約4万ドルだったという。(中略)射程を延ばしたガザからのロケット弾が今回、エルサレムやテルアビブの都市部を初めて脅かした。貧者のロケットが示す教訓は、軍事力で「占領」という不正義を継続することは軍事的にも経済的にも難しいという現実である。
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中東状勢も変化するなか、かの地の人々が尊厳のある人生、安心できる暮らしを取り戻せますように、願うばかりです。
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久々の土もの、秋模様とともに。
(以下、すべて東京国立博物館所蔵品を撮影したものです。解説も同所より)

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(上段:「色絵紅葉賀図茶碗」/仁清/江戸時代、17世紀/胴を卵形に取り、口縁を外に開く珍しい形の茶碗。絵付は源氏物語の紅葉賀の巻を主役の光源氏を描かない、いわゆる留守模様要で暗示的に描き出す|下段:「色絵藤袴図皿」/鍋島/江戸時代、18世紀/円形の画面に破綻なく収められた藤袴の図は、完璧な技巧で仕上げられており、色鍋島ならではの洗練が見て取れる)

仁清、優美さ流麗さに惹かれます。丸みのある薄手の器形に唐風というかエキゾチックな模様、水色と青も新鮮。
鍋島、端正な美しさの中から滲み出るエッジ感がたまらない。かちっとしてみせて洒脱で、語弊があるかもしれませんが品のいいドラッグのような気がします。

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(4点とも、「色絵柴垣図大皿」/鍋島/江戸時代、17世紀/やや青みをおびた白磁肌に、染付と赤・緑・黄の上絵付で柴垣を描く。精選された材料と熟練した技術によるわが国色絵磁器中最も成功な鍋島焼の代表作である)

鍋島。紅葉した葉が波のようで柴垣も華やぐ。余白の白の奥行感。抑制の効いた青の物語感。裏もきっちり仕事されていて、品良くモダンで収まりがいいのに、グルーヴしている。どんな職人さんが描いたのかなあ。。

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(上段:「色絵七宝文盃洗」/永楽和全作/この作品は器面に布をあてがい、絵付けを施す独特の技法が用いられている| 下段左:色絵菊花文茶碗/京焼/江戸時代、17世紀|下段右:「色絵月に蟷螂文茶碗」/永楽保全作)

京焼の永楽保全、和全(保全の長男、御室窯を築窯)。布を使っての技法、にじみがおもしろい味わい。
日本の秋。自然とともに生きる、自然そのものを愛でる感性。江戸時代は今よりももっと自然がゆたかで見近だっただろうな。繊細でイキイキとした筆づかいがいいな。

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(上段左:「染付粟に鶉図皿」/伊万里/江戸時代、19世紀|上段右:「青磁染付鶴亀図大皿」/伊万里/江戸時代、19世紀/青磁釉と染付を塗り分け、とらわれない自由な発想で鶴と亀を描き民衆の器にふさわしい活気溢れた作となった|下段左:「染付鶴繋文大皿」/伊万里/江戸時代、19世紀|下段右:「染付松に鷲図輪花大皿」/伊万里/江戸時代、19世紀)

染付&鳥モチーフ。染付の青が黒みがかって静かで知的な印象。どの皿も、本当に構図が見事じゃないですか!?日本のデザイン力、すごい。

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(左:「銹絵芦文向付」/唐津/江戸時代、17世紀/のびやかな筆づかいで芦の図が描かれている。気負いのない簡略な絵付けでありながら、風になびく芦の表情がよくとらえられている。枇杷色を帯びた柔らかみのある釉膚ともよく調和しており、風韻に富む絵唐津に魅力がよくあらわれている|中:「鼠志野秋草図額皿」/美濃/安土桃山〜江戸時代、16〜17世紀/酸化鉄に泥漿を流し、文様を掻き落とした後に長石釉をかけると鼠地に白い文様が浮かび上がる。鼠地の中の秋草を白く浮かび上がらせた秀作|右:「朝鮮唐津徳利」/唐津/江戸時代、17世紀/唐津焼のうち、鉄呈色の黒釉と藁灰の白濁釉を掛け合わせた釉調に特色がある一群を俗に朝鮮唐津という。鉄分の多い素地が用いられ、板起し・粘土紐巻き上げの叩き成形により薄く成形されている)

このあたり何度見ても好き。西アジア、中央アジアの青のやきものオタクで、鍋島感涙。かつ、黄瀬戸、唐津、猿投あたりにクラッときます。脈絡ない、、でもそうなんだから仕方ないです。
一本の芦が世界を作る。枇杷色の肌がやさしい。
秋草をおだやかに、白で。なんて繊細。
朝鮮唐津の徳利、実際に使われていたんでしょうね。とくとくとお酒も含んで味わいが深まっているようです。

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(上段左:「紅葉に菊流水図」/尾形乾山筆/紙本着色/江戸時代、18世紀|上段右:「小袖/紅縮緬地幕紅葉模様」/江戸時代、19世紀/模様を友禅染によって小袖全体にあらわした。幔幕を張った間から紅葉が色づく風景模様は、「源氏物語」の「紅葉賀」の巻をモチーフにしたものであろう|下段左:「流水四季草花図屏風」/酒井抱一筆/紙本金地着色/江戸時代、19世紀/抱一は江戸淋派と呼ばれる新様式を確立。風流で典雅な花鳥画を得意としている|下段右:「振袖/白絖地楓竹矢来文字模様」/江戸時代、18世紀/「源氏物語」の若紫の巻がモチーフ。紅葉の模様は光源氏が紫の上を自邸に迎えた季節を意味するのであろう。江戸時代のファッション雑誌、小袖模様要雛形の一つ「当流模様 雛形松の月」に掲載される図様を元に制作したと考えられる)

こちらは絵画と着物。秋の図柄。
菊、紅葉、そして流水(写真が切れちゃってますが紺色の部分が流水。コラージュを使うとトリミングされてしまいます)。日本らしいモチーフ。尾形乾山、酒井抱一。水のゆたかな日本、四季それぞれに美しい。
着物はいずれも「源氏物語」から。模様を見ればより大きな場面や物語がわかる。着物の中に雅な世界が凝縮されている。それにしても源氏物語、すごい影響力。

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四季それぞれの自然を愛で、巧みに、またときには巧まず、それを多彩な工芸に写し表し愉しむ。日本のきれいなものに出会える幸せ。うれしく、ありがたいです。


冬には汗をかくくらいモコモコと着ていないと不安でしたが、寒さ恐怖があるから寒いんだ、とこの年になってようやく気づき、、薄着にしてから風邪もひかず、不思議なことに寒がらず、実際寒くなくなりました。本来の体温調節力を自ら狂わせていたようです。思い込みってコワイ。そんなわけで、冬も安定して元気にやってます☆ やきものは、ほっこりします♪

今回もご訪問、ありがとうございました^^
by orientlibrary | 2012-11-24 00:28 | 日本のいいもの・光景

日本の眼力。東洋文庫、民家ギャラリー、遊牧民織物コレクション

秋は各地で、祭り、コンサート、展覧会、映画祭、イベント等が多数開催される季節。今年は秋晴れの日が多いせいか、公園や散策路なども含め、各所とても人出が多い印象です。
今回は(脈絡がないのですが)、興味深いスペースと手工芸の展示をいくつかご紹介、です。

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まず、2011年10月、新たにミュージアムを併設してオープンした「東洋文庫」(東京都文京区本駒込)。
東洋文庫は、三菱財閥3代目の岩崎久彌が、1924年に設立した東洋学の専門図書館、研究所。東洋学センターとして国際的にも名高く世界5指の1つに数えられているそうです。 (東洋文庫の英語名は「The Oriental Library」。私の「orient library」は昔から考えていたものでこちらをマネしたわけじゃないんですが、なんかちょっと気恥ずかしくはあります。。)

名勝「六義園」にも近く、散策にも適したちょっと穴場的なこの施設。建物の建築も見応えあり。ライブラリー、ミュージアム、別棟のレストランなどのある大人の知的エンタテイメント施設という感じです。

新設の「東洋文庫ミュージアム」は、展示方法にデジタルを駆使、スタッフはラオスの民族衣装姿と、なかなかに新鮮な感じ。音声ガイドは、よくあるヘッドホンの貸出しではなく、作品の前に立つと自動的にスピーカーから声が流れる仕組み。しかも「田中真理(仮名)が解説します」など、学芸員さんなどの肉声での解説。けっこうインパクトありました。

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(アジアの街の夜景?アパート群??、、、東洋文庫ミュージアム内、こちらがウワサのモリソン書庫。圧巻!)

圧巻は、「モリソン書庫」。「1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌は北京駐在のオーストラリア人G. E. モリソン博士(当時の中華民国総統府顧問)から東アジア関する欧文の書籍・絵画・冊子等約2万4千点をまとめて購入しました。それから一世紀の時間が流れた今ここにその貴重なコレクションがよみがえりました」、、たしかに蘇ってます。。
本好きの人にはたまらない空間かも。当時の書庫そのままではないそうですが、本の量感が独特の雰囲気を作っています。

東洋文庫の沿革、wikipedia等から見てみると、、
「岩崎久弥はモリソン文庫に加えて和書・漢籍をはじめとする東洋諸言語文献を収集し、日本を含めた東洋全域を網羅的に扱うコレクションを構築」
「三菱の海外支店をつうじて代金の支払いが確実になされるため、東洋に関する良書や貴重書が現れるや、世界中の書店が先を争って文庫に購入を持ちかけた」
けれども、「第二次世界大戦後の混乱期には支援者である三菱財閥の解体により経営が困難となり、蔵書は散逸の危機に瀕した」。
が、「この窮地に対して、1947年に理事長に就任した幣原喜重郎元首相の尽力により、国会が支援に乗り出し、1948年に同じく三菱財閥の支援下にあった静嘉堂文庫とともに、発足したばかりの国立国会図書館の支部とされた」そうです。
現在は、、「2009年3月末日をもって支部契約は終了した。現在は特殊公益増進法人に認定された財団であり、その必要資金は自己資産や三菱グループからの寄付金及び国等の補助金でまかなっている」。

美術工芸品の蒐集もそうですが、昔の財閥は、お金を文化にもふんだんに使いましたね。まさにパトロン、好事家。現代はせちがらい。

ライブラリーの資料は、「和書、欧文資料のほか、漢籍やチベット語、タイ語、アラビア語、ペルシア語、トルコ語などのアジア諸言語文献を蔵書」としており、「全種類の資料をあわせた所蔵総数は約90万点、5件の国宝と、7件の重要文化財を含む」。装飾タイル関連も、宝物があるのかもしれませんが、現地語がわからないと検索できず残念。(基本的に研究者向けのようです)

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(ミュージアム展示「ア!教科書で見たゾ展」/ロビンソン・クルーソー漂流記/オスマン帝国史/イブン・バットゥータ「三大陸周遊記」/ハンムラビ法典(くさび形文字) /コーラン/世界各地で出版された東方見聞録/百万塔陀羅尼〜日本最古の印刷物、経典が入った小塔が100万個作られた!/万葉集/オリエントホール)

ミュージアムの現在の企画展示、「ア!教科書で見たゾ展」(11月4日まで)、「解体新書」「国富論」等々、その昔、わけもわからず覚えたような書籍名の原書が、教科書とともに展示されていてユニーク。
こういうの(展示品リスト)、ご興味ある方は出かけてみられては?

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西早稲田界隈、一歩路地に入り込めば昭和の学生寮やアパートなどが立ち並び、レトロな空気感にほっこりします。
その一角、小さな看板を目印に緑あふれる庭を進んで行くと、こちらも昭和の民家が。この秋より一軒丸ごとギャラリーとして使われることになった「もくれんげ」です。第1回めの展示企画、洗練されたインドの刺子やショールで人気の「kocari」さんの展示会におじゃましてきました。

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(昭和民家を活用した「ギャラリーもくれんげ」)

一階に小さな部屋が5つ、二階に一部屋。日当りが良く、広い縁側から風が通り抜け、気持ちのいい空間。訪れた人たちは、皆さん笑顔で和やかな雰囲気。靴を脱いであがると、なんかくつろぎますよね。

ギャラリーとしてはデビューしたばかりですが、この雰囲気に惹かれる人は多いはず。何人かでシェアしての展覧会やイベントなどにも良さそう。私も展示のプランもないのに、自分はどの部屋がいいかなあなんて、ついつい想像が広がってしまいました。

しかも、こちらはレンタル代が東北支援に使われます。気仙沼の子どもたちのスクールバスの支援と、具体的なのもいいですね。
まだギャラリーのサイトはないようですが、地下鉄副都心線西早稲田駅から数分ほど。地下的の高田馬場駅からも8分くらい。便利な場所。これからが楽しみです。

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京橋にある「LIXILギャラリー」(以前のINAXギャラリー)、建築・工芸系の企画展、やきものや美術の展示が見られます。

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(毛塚友梨さんの青。水道もタライもぜ〜んぶやきもの/この展示は終了しています)

陶芸家・毛塚友梨さんの展示、クールな青の色味、存在感のある造形。日本の陶芸のレベルは本当に高いですね。やきものの国だなあと思います。

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美しい青のやきものを産する西アジア。1960年代からかの地を旅し、遊牧民の毛織物、染織に魅せられた松島きよえさん。遊牧民と生活をともにするなかで、毛織物や装飾品を蒐集されました。日本での遊牧民の手仕事コレクターの先駆けでしたが、残念なことに事故で帰らぬ人に。松島さんが好きで惹かれて集めたものたち、残されたコレクションは、本当に貴重です。

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(松島きよえさんコレクションより。トルクメン、クルド、バローチなどの毛織物。この色使いの洗練、キリッとした表情、魅力的な模様、全体から漂う世界観は何だろう。きびしい気候風土の中で、羊の毛を刈り糸を紡ぎ染料を作り自ら機を作り織り上げていく。自然とともに生きる人たちのすごさにガツンときます)

前回少しご紹介した 「”The Balochi” バローチ族の手仕事、芸能を紹介する10日間」(展示は終了しています)で、その一部が紹介されました。破れやほつれもあり、コンディションがいいとは言えないものもありますが、一点一点、語りかけてくる世界があり、引込まれます。

松島さんの言葉。部族の手仕事の本質的な魅力を語る言葉のように思えます。

 「部族意識が高い集団ほど衣服の刺繍も良く織物に専念し、デザインが冴えていた。これは大事なことである」

 「部族社会では勢力を増し権力地を広げるために他の人間に威信を示す必要」があり、デザインが重視された。デザインは「生活環境からモチーフを得ている。織り込まれた風景の描写は特色ある色彩と形を織り出す」

 「遊牧民は互いに種族の象徴である織物を織り、権威を示した。自族の織物が他の部族の目に何度もさらされているという経験の積み重ねを経て色彩やデザインが洗練度を増し、それぞれの種族の象徴となっている。小さな家庭用品にも生活用品にどのような細部にも種族のシンボルを織り入れる。織物で種族の違いがわかる」

今回、おかげさまで一点を手元に。パワーのある織物に触発され、鼓舞され、がんばっていかないと!と思います。。

皆様の秋の日々が素敵なものでありますように。
(謝謝。たくさんのfacebook「いいね」、押してくださってありがとうございます〜♪(त_त)♪)
by orientlibrary | 2012-10-22 20:21 | 日本のいいもの・光景

常滑行き。旨いもの、染付古便器、散歩道など

1月中旬、手仕事仲間と一緒に、一泊で常滑に行ってきました。この頃が東海地方のインフルエンザのピークで、マスク姿の人が多く辛そうでした。
気温自体は、初日はそれほど寒くなく、行きにはくっきりとした富士山が見えてラッキー。翌日午後から寒波になり、雪を背にしてという感じでの帰宅となりました。

そんなわけで、今回は常滑グルメ。いつもサッと行ってサッと帰っていたので、ゆっくりと旨いものを味わう余裕もありませんでしたが、そのことがいかにもったいなかったか、今回わかりました。醸造文化の地のせいでしょうか、全体にやさしい味わいなんですよね。旨かったです☆

photoshopの使い方がいまだにわからないので、芸もなく、縦一列でいきます。

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(ランチ、今回も常滑屋のちらし寿司。全員違う器で、それぞれが本当に素敵。器がいいとみんな表情が和らぎますね。日本だ〜。もちろん味もナイス)

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(夜ごはんは「ナメっ子」(地元っ子)の強力推選により地魚が旨い「魚楽」へ。ナメっ子Iさんにお任せで、どんどんオーダー入れていただきました。最初がこれ、ナマコ。コリコリでウマイ)

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(シャコ殻付きのお姿を拝見。太古を連想。新鮮さが違う。ウマイ)

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(フグ唐揚げをこのタイミングで。油物が入って勢いがつく)

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(貝刺身。美味。溜まり醤油もいい。このあたりから地酒熱燗「からから」)

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(な、なんだ〜、これ??赤貝のヒモを軽く干したものを揚げた、という珍味。干物の味わいがあり、これはウマイ。Eちゃん、イアリングにして写真撮らないで〜)

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(出た〜!常滑の王者、メジロ。つまりアナゴ。その干物。上品で深みがある。ナイス。なんというか、、こんな女性になりたい、というような味わいの食べ物、、)

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(恐れ入りました〜)

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(Iさんは小休止。旅チームはまだまだ注文。エビ。程よい茹で加減。旨味ぎっしり)

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(お惣菜も。タコがうまい。他の総菜系も興味津々だったけど今回は残念)

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(ご飯ものも食べたい派がしっかり注文。魚楽ご主人が「巻いてやっか」と作ってくれたアナゴの巻き寿司。満足!)

大満足の常滑ごはん。Iさん、ご紹介ありがとうございました。

翌日は、INAXライブミュージアム見学。「陶楽工房」「ものづくり工房」、勉強になります。「土・どろんこ館」は、子どもも大人も楽しめます。泥だんごが名物!?2階の小部屋もいろんな土に出会えて楽しいです。

現在開催中の「青―空と水とやきものの始まりBlue ― Sky and Water and the Origin of Ceramic Tiles」(3月20日まで)。青にまつわるエピソード、空や水が青く見える仕組み実験など。イスラムコーナー(と勝手に呼んでいる)空間越しに見るのは、古代世界の青。

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(イスラム世界越しに見えてくるのは古代エジプト)

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(世界最古のタイルはここにあった!ピラミッドの地下廊下。渾身の再現)

「窯のある広場・資料館」は、11月にリニューアル。充実展示で見応えあり!1階の窯内部空間は重厚で落ち着きますよ。
そして名物「染付古便器」。うっとりするほど、きれいです〜!

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(手水鉢。風雅)

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(これだけの染付便器コレクションがあるところ、他にないでしょう。一見の価値アリ。日本、すごい!)

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(自由でのびのびの絵付け。軽やか。いいですね〜)

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(重厚厠空間。王者の風格。下駄、床、便器のコーディネート)

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(大胆で目立ちます。余裕のあるお家は皆競って作ったのでしょうか。カッコいい)

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(土の産業資材、土管もドカン!敷設光景再現)

満足満足でした。ちょっと空模様が怪しくなってきたので、急いでやきもの散歩道へ。

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(こちらはやきもの散歩道。さりげなく、しかもマジメな風情でヘン(褒め言葉)な店があるところが常滑の奥行。さすが)

陶磁器会館チェック後、人気店「侘助」で熱々カレー鍋。&手仕事つながりで、「SABAI」さんへ。おもしろいものがたくさんあって目移り。それにしても広いなあ。うらやましい。2階のカフェでコーヒーごちそうになり、マダムとお店のスタッフの方とみんなでおしゃべり。どうもありがとうございました。

常滑行き、楽しかったです。皆さん、どうもありがとうございました!☆

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さてさて、超大急ぎで、「ウズベキスタン・アトラス ハンディクラフト コンテスト」。ウズ好きの方、腕に覚えのある方、布好きな方、製品開発に関心のある方、下記ブログをご参照ください!^^

* 「ウズベキスタンの絹織物アトラスを使った手工芸品コンテスト」(「美しい世界の手仕事プロジェクト」)

* 「アトラス・ハンディクラフト・コンテスト、順調に進行中」(「美しい世界の手仕事プロジェクト」)

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(布選び光景)

また追記するかも、です。皆さん、風邪ひかないでくださいね〜!
by orientlibrary | 2012-01-31 22:06 | 日本のいいもの・光景