イスラムアート紀行

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古い写真集のなかの「シャーヒズインダ」

サマルカンドにあるティムール親族の墓廟「シャーヒズインダ」(生ける王者の意)。タイル装飾の博物館と言われるほど、多彩な技法を見ることができます。近年、修復が進み様変わりしたとはいえ、やはりタイルに浸れる時空間。もっと時間をかけて、じっくり見たいなあ、、。

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(ウズベキスタンの古い写真集より〜サイズが大きくスキャンできないのでパシャっとデジカメで撮ってみました。こうしてみると、水彩画みたいです。。画質、よりも雰囲気をどうぞ!)

そんなシャーヒズインダで、男性が一冊の本を売っていました。商品はその一冊だけ。高かったです。結局、買いました。たぶん、売り手にはかなりいい商売になったはず。

相当に古い写真集。すべてアラビア語と思われる文字のみなので出版年はわかりませんが、年期が入っているのは一目瞭然。最近は古い写真を現像してカードにしたものをお土産物屋で売っているので、稀少ではないかもしれませんが。

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写真集のサイズはA3くらいと大きく、分厚くずっしり重い。カラー写真が7割くらい。あとは白黒。どうやらウズベキスタン全土のタイル装飾を集めたもののようです。でも、どれがどの建物だか、よくわかりません。文字が読めないことに加えて、「編集」というものがされておらず、都市別とか、年代別とか、そういう順序、ページネーションの意図みたいなものがないのです。

また、ご紹介しようにもサイズが大きすぎて、これまでスキャンできずにいました。が、先日思い立ってコンデジで写真そのものをバシャバシャ撮ってみました。深く考えずに好きなものだけを。

シャーヒズインダの入り口近くと思われるショットが何枚かありました。ページは各所に分散して。でも、こうして見てみると、同じような写真(上から3点)です。この写真家はこの角度が好きだったんでしょうね(シャーヒズインダはたくさんの墓廟が並ぶ広い墓廟群。紹介すべきところはたくさんあります)。といっても自分も無意識にこの角度の写真ばかりを選んでいたわけですが、、

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シャーヒズインダについて。イスラム美術の泰斗・杉村棟先生の論文「中央アジアにおけるティームール時代の建築遺構と装飾タイル」(『シルクロード学研究7(1999)』より、一部(要旨)をご紹介します。杉村先生、タイルについても、その博識と見識が素晴らしいです。

< ティムールとその時代>
・ トルコモンゴル系、1370年から〜。都はサマルカンド
・ イラン、シリア、アナトリア、インド等の征服地から建築技師を強制的に連行して新都を造営
・ 陶工、織工、ガラス職人、仕立屋、宝石細工師、武具師、大工、弓師、画家、鷹匠、馬蹄鉄工、髪飾り師、などの職人、芸術家、学者を使用、建築のみならず写本や工芸品の製作を奨励、諸芸術の発展に寄与した
・ スペインの使節クラヴィホが1404年にサマルカンドを訪れた。建築装飾として青釉金彩のラジュバルディナ手やラスター彩が当時好まれていたことを示唆
・ 宮殿やモスク、墓廟造営にあたってリシタンなど各地の窯場からタイルを焼くために陶工たちが徴用されたと言われている
・ 当時サマルカンドにはリシタンのような陶工たちの出身地名がつけられた町があったとされている
・ ティムールは1405年死去。都はシャー・ルフによってヘラートに移されティムール朝は新たな段階へ

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<シャーヒズインダ>
・ 墓廟群の遺構とタイル装飾
・ 11-19世紀の間に建造されたトランスオクシアナにおいて発達したタイルの標本と言えるほど種々の技法とスタイルを網羅している
・ ほとんどがひとつの墓室からなる稀有な墓廟群。主として ティムール一族のもの。中流貴族の女性埋葬者が多い。墓廟は私的な性格が強い
・ 1370-1045年の間に建てられたものは20を超える
・ 施釉レンガ(バンナーイ)、モザイクタイル、クエルダセカ。無釉レンガのすべてが見られる

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昔のシャーヒズインダ、のどかで、趣き、風情があり、最高ですね〜!

<ブログ内関連記事>
 「蒼の都サマルカンド モザイクタイルの発展」
 「サマルカンドの修復と観光プログラム」
by orientlibrary | 2009-04-03 23:44 | ウズベキスタンのタイルと陶芸