イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

イラン現代詩人、その詩と人生を聞く

●日本は俳句や短歌などの文芸が盛ん。たくさんの人が自然の美や暮らしの思いを言葉に託し、同好の仲間と交流し、楽しんでいます。日本の良さだと思います。

e0063212_03465.jpg
王のモスク(イマーム・モスク)・半ドームのタイル装飾/イスファハーン/1627/『The Art of the Islamic Tile』より引用)

●一方、「詩の国」と言われるのがイラン。たとえば、「多くの人が何らかの詩を暗唱していたり、詩を日記に書いたり、恋人への手紙に詩を挿入したり、指導者も演説に入れたりしている」そうです。また、「書店でも詩のコーナーは小説と同じくらいあり、ショーウインドウにも飾ってある。詩の夜などイベントも頻繁にある」とか。そして、「詩の国のプライドを持っている」

●今回、そんなお話をうかがったのは、カフェバグダッドさんのイベント、「イラン現代詩の深淵へ-セタールの響きとともに」にて。イラン現代詩を代表する2詩人、ナーデル・ナーデルプールとフォルーグ・ファッロフザードの詩の朗読、彼らの生き方に迫るトーク、優美なセタールの響き、を堪能しました。

e0063212_0352381.jpg
(「ダルビッシュ」。ペルセポリス風演出?雑司ヶ谷の方に向かう商店街のなかにあります)

●会場は、池袋のイラン料理レストラン「ダルビッシュ」。こちらは初めてでしたが、料理や演出に、センスの良さや繊細さを感じました。こういうイラン料理屋さんもあるんですね。新鮮でした。ご主人はイラン古典音楽の演奏家。食事や音楽を楽しみに、また行きたいな。

●イランの詩や詩人(とくに現代)については知識ゼロの私。トークで聞いた二人の詩人の激しい生き方、奔放な恋愛模様にはびっくりしました。「ナーデル・ナーデルプールとフォルーグ・ファッロフザード。2人の関係は、恋愛、別離、そして芸術上の対立関係とめまぐるしく変化した」。イラン革命の前ですから、今とはずいぶん社会も違うのでしょうけれど、、。こちらの方が本来のイランなのかな??

●詩は、それぞれの研究者が朗読。カシュガイのキラキラした赤いドレス姿でステキでした!いただいたレジュメから、ほんの一部を転載させていただきたいと思います。印象的だなと思った部分、2節ずつです。(鈴木さん、小野寺さん、事後(〜無理矢理?)承諾になってしまいますが、よろしくお願いいたします)

e0063212_0354296.jpg


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「壁」 (フォルーグ・ファッロフザード/鈴木珠里訳)

冷え切った瞬間が足早に立ち去って
あなたの荒々しい目は その沈黙の中で
私の周りに壁を造る
あなたからもう逃げるしかない 横道に入って

そしたら 月の埃のなかで平原を見たり
そしたら 光りの泉の水で自分の体を洗ったり
夏の暑い朝の 色とりどりの霧の中で
野生の百合の花でスカートを飾ったり
農家の屋根の上から鶏の声を聞いたりしよう

(後略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

e0063212_0344878.jpg
ブルーモスク(タブリーズ)・壁面タイル装飾/1465/モザイクです。素晴らしい。傑作!/orientlibrary)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「運命の日」  (ナーデル・ナーデルプール/小野寺菜穂訳)

(前略)

君なしで 君の心とともに鼓動していた僕の心は
ああ嘆きに嘆いた
君なしで、君なしで、僕の盲た運命の手は
葡萄酒の代わりに涙と血を杯に注いだ

僕の生は暗い星のない夜だった
君の目が、その星々になった
それは一瞬 雲の間から現れ
一瞬で雲に飲み込まれてしまった

(後略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●いやあ、情熱的、叙情的、耽美的ですね〜。恋、花、酒、星、月、、ペルシア、なんですね〜。日本の和歌などは同じ叙情でも、「短い」というのが、大きく違う気がします。イランは歌い上げますね〜。<心性>というものが、それぞれなんだなあと思いました。文芸の国同士、仲良くしていきたいですね!


e0063212_050578.jpg
MIR CHAQMAQ MOSQUE/ヤズド/1457/ミヒラーブのモザイク装飾/『The Art of the Islamic Tile』より引用)



*** 年内にもう一本、「ジプシーを追いかけて、バローチスタンのジプシー楽士」を書こうかと思っていましたが、こちらは新年の幕開けトピックとしたいと思います。いつも当ブログを読んでいただいている皆様、今年も遊びに立ち寄ってくださって、どうもありがとうございました。どうぞ、よいお年をお迎えください。風邪などひかれませんように。年末年始、良き日々でありますように!!
by orientlibrary | 2008-12-27 00:43 | 美術/音楽/映画