イスラムアート紀行

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ホラズムの国・カラカルパクの刺繍と女性の暮らし

◆ 答えは、オバマ大統領 ◆
アジアやイスラム圏にハマる前は、私も欧米文化に興味を持っていました。80年代までは欧米以外の情報はとても少なく、自然な流れとして欧米のものがカッコイイと思っていたのです。とくに音楽をとおして、アメリカは好きでした。

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(イスラム圏への興味のもとになった青いタイル/タブリーズの博物館にて撮影)

90年代以降、旅行などをきっかけにアジア、さらには中東や中央アジアへ関心が移りました。歴史の奥行き、文化の多様性と厚み、親しみやすさなど、知るほどに見るほどに好きになり、とりわけイスラム建築のタイル装飾に惹かれて現在にいたっています。

アメリカには興味を失い、とくに911以降の傲慢な一国行動主義、優越思想、ものごとの単純な図式化には、幻滅し、怒り、辟易していました。そのことについてはここではあまり書きませんが、、。そして今回の大統領選。本当にオバマ氏が大統領になったんですね。感慨があります。なんだか本当に感慨があります。私などでもそう感じるのですから、オバマ氏を支持してきた人たちの感慨はいかほどかと思います。

テレビではほんの一部しか紹介されなかった勝利演説の日本語訳がネットにありました。とてもいい演説だったんですね。読みながらドキドキしました。アメリカが、世界が、どのように変化していくのか、私にはわかりませんが、希望、変革という言葉が生きている言葉だということを感じさせてくれるこの演説のことを、私も忘れないと思います。


◆ カラカルパクの刺繍文化  ◆
話題はガラリと変わって、カラカルパクスタンです。ウズベキスタンの西部にある共和国。縮小が問題になっているアラル海に面した国です。

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(カラカルパク光景)

今年トルクメニスタンに旅行したとき、カラカルパクに立ち寄り、古代ホラズム王国の都城址遺跡カラにも行きました。1泊ですがユルタに泊まり、沙漠の植物や動物に親しみました。

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(アヤズカラ1号)

そんなカラカルパクのこと、飛行機(たしかウズベキスタン航空)の機内誌で紹介されていて、インパクトの強い写真が気になっていました。紹介されていたのはカラカルパクの民族衣装や刺繍。トルクメニスタンも刺繍で有名ですが、赤の使用など似た雰囲気もありつつ、でも強くおおらかで少しウズベキスタンテイストを感じさせる刺繍の写真。本文を読まなくてはと思いつつ、のびのびになっていました。

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(機内誌より引用)

ようやく読みましたので、部分的に抜粋しながら少しご紹介したいと思います。筆者はElmira ALENIKOVA-TSOIさんという人です。訳がかなり怪しいですが、雰囲気ということで、、。なお刺繍関連の写真はすべて機内誌からの引用です。

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(機内誌より引用)

・「カラカルパク女性が彼女たちの心の中の世界を表現すると同時に、生活費を稼ぐことを可能にする刺繍は大事な存在でした。20世紀初頭には刺繍芸術は広範に浸透していました。「彼女の指には小穴が開いている」と尊敬をこめて語られました。刺繍の能力は女性にとって最も重要と考えられる長所のひとつとして評価されてきたのです」

・「カラカルパクの装飾(模様)は研究者がおおまかに4つのグループに分類しています。植物、動物、幾何学、図案模様です」

・「植物模様は植物の型に沿った描写です。葉のある花、茎や枝などです。模様は多様です。杏の花「rrik gul」、プラムの花「kareli gul」、綿花「kauash gul」などです」

・「動物模様は、動物の世界と関連しています。主要なモチーフである巧みに曲がった羊の角「muyizi」には多彩な展開例があります。また、蟻の腰「kumyrska bel」、カラスの爪「garga tyrnak」、サソリの尻尾「shayan kuirik」、蛙「kubaka」などいろいろな模様があります」

・「かってカラカルパクの女性たちは刺繍について特別に教えられるということはありませんでした。彼女たちはユルタを飾るための模様編みを教えられました。それは日々の暮らしにとって、より重要なものだったのです。そして少女たちは、冬に開かれる集まりで刺繍を習ったのでした」

・「その集まりには、技能の優れた工芸家女性から初心者までが一堂に集まっていました。彼女たちは自作の刺繍を持ち寄り、年長の少女や大人の女性は膝の上にそれを広げていました。それらのサンプルを見て、若い少女たちは模様を写し、色の組み合わせを変えるなどして新しいバリエーションを工夫しました」

・「色はカラカルパクの刺繍にとってとても重要な役割を果たします。違う色は同じ模様に異なる意味合いを持たせます。たとえば年配の女性はかって白い服に赤、黄、緑の絹糸で刺繍をしていました。なかでも赤の占める割合が高いものでした。花嫁の衣装では、赤の地色に緑を多く使い、赤や黄や白の模様の刺繍がほどこされました。黒の地色には赤や黄や白の絹糸で刺繍されました。模様の位置は衣料の色やタイプによっても異なりました」

・「刺繍はメンバーの誰かの家の庭や日よけの下に座っておこなわれていました。これらの集まりは競争心に満ちていました。少女たちはいかに刺繍するか、そしていかに他の少女より巧みに刺繍ができるようになるか、熱心に学びました。そして多くの少女が国中に名前を知られる巧みな手工芸家になりました。このような刺繍家は結婚式で着る花嫁の衣装を作るために隣の村まで呼ばれました。刺繍で装飾された衣装は高い価値を持つようになり、作り手に多額の収入をもたらしました」

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(機内誌より引用)

伝統的な手工芸で生計が立つ、女性が収入を得られる、大事なことだと思います。ホラズムももっと知りたい地域です。また行きたいな。
by orientlibrary | 2008-11-07 23:09 | 中央アジア5カ国