イスラムアート紀行

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身近な美術で小さな旅。アフガン、ウイグル、インドへ

◆ アフガニスタンの写真、絵、陶器 ◆
秋です。美術にちょっと関連のあるエピソードをいくつか。この春、ダリー語などについてお話を聞く機会があったアフガニスタン出身の江藤セデカさんのお店(ハリーロード/新宿区曙橋)を訪ねました。新聞に、アフガニスタン支援のため写真による紹介をお店でおこなうという記事が載っていたのです。絨緞や工芸品の奥にセデカさんの笑顔がありました。

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アフガニスタンの村の写真・・・なぜかとても惹かれます。農作業など日常の景色なのですが、重く切ない、でも確かで揺るぎない美しさを感じるのです。(うまく表現できないのがもどかしいです)。これらの村は今どうなっているのでしょう。

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子どもたちが描いた絵・・・以前、「アフガニスタン、明日へつなぐアーティストたち」という展覧会(国際交流基金、2003年)で、10代、20代の若い人たちの作品を見て、その成熟した描きっぷりに驚いた(記事はこちら=「大人になる速度・・・戦国時代、草原、アフガニスタン」)ことがあります。彼らは路上で靴磨きなどをして働いており、あるNGOの職業訓練で絵を習ったといいます。観察がたしかで表現が重厚。とくに陰影の表現が巧みだと感じましたが、ハリーロードにあった絵も同様に、ナン焼き釜の熱さが伝わってくるようでした。

また、「イスタリフ焼き」の作品もじっくり拝見することができました。2003年に新聞で紹介されたアフガニスタンの陶芸村イスタリフ、それ以来ずっと気になっていました。2005年には国際交流基金の招きでイスタリフの陶工など15名が来日し、土岐、瀬戸、常滑、砥部などの陶芸産地を訪問したことも記事で読んでいました。その際に通訳兼エスコートとして同行したのがセデカさんだったのです。

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「イスタリフ焼きは鮮やかな青や緑が魅力的だ。だが、地元の粘土には鉛分が多く、陶器はややもろい。また、陶芸の技術、皿の模様(絵つけ)やデザインには発展の余地が十分にある。陶工一行は、日本の陶工から、粘土から空気を抜く技術、皿のデザイン、絵つけなど幅広く陶芸技術を学んだ」(国際交流基金ホームページより引用)

本物の青のイスタリフが見たい、とずっと思っていました。それが目の前にあります。たしかにかなり柔らかい陶器のようです。模様もザクっとしており練れていない印象です。

「“内戦によって、存在していたものすべてをなくした”。イスタリフからきた陶工のひとりはこう表現した。 

こうして同じ土地で300年近く続いてきた家業が中断。一行のひとり、アブドゥル・ワーセ氏は、内戦で町を追われ、カブール、そしてパキスタンへ逃れた。陶芸をすることもならず、5年間も皮革業で生計をたてるしかなかった」(国際交流基金ホームページより引用)

訪日した人の多くは現地の窯元の跡取り。陶芸の村はその後、どのように?、、手がかりのひとつが、リンクしている「アフガニスタン/パキスタン駐在日記」さんにありました(2007/09/07)。「陶器のお店が立ち並ぶ」とのキャプションで、たくさんの陶器が飾られた店の写真もあります。先日見たものよりも、特徴である青色を強調している印象です。陶芸の村イスタリフ、彼らの家業が安定して続いていることを願います。


◆ ウイグルの写真、おもてなし ◆
先日、ウイグルからの留学生たちが主催する会がありました。きれいな民族衣装を着た若者で賑わっています。ウイグル音楽の演奏などもあって、明るい雰囲気。展示物を見ていると、来日して4か月という女性が一生懸命説明してくれました。どうもありがとう!

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展示してあった写真が、とても良かった。ウイグルってホントに絵になります。また、来場者にはお茶や手作りのお菓子が振る舞われました。心づくしのものをたっぷり。そんなもてなしは、中央アジアや西アジアの魅力。ごちそうさまでした☆

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◆ インド細密画の魅力 ◆
『インド細密画への招待』(浅原昌明/PHP新書)という本が出ました。マニアックなテーマにもかかわらず新書なのがすごい。850円の新書のなかに、カラー写真の細密画がたくさん紹介されています。

著者は、1979〜83年、家電メーカーからインドの子会社に出向。そこでインド細密画に出会い魅了され、勤めのかたわら研究を続けてきたそうです。退職後にはさらに調査を深め、トルコやイランにも調査対象を広げているとのこと。内容は、インド細密画の特徴、ヒンドウー教系、イスラム教系、さらにそのなかの派の分類、細密画から読み取る歴史や文化など、わかりやすく解説されています。

写真での実例が豊富に掲載されているのですが、そのなかにどこかで見た絵がありました。この切手持ってる!(日印交流年記念切手)。久々にスキャンしてみました。(切手って精密なんですね。これだけ拡大しても大丈夫、、)。安定したライン、細密な模様、ショールの透け感、そして色が鮮やかでキレイ!「ラーダーの肖像画」(キシャンガール派・1735-48頃)、「インドのモナリザ」と言われているそうです。

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インド細密画の本といえば、大好きな『インドミニアチュール幻想』(山田和/平凡社)があります。情感、透明感のあるこの本からミニアチュールへの憧れが強まりました。山田さんのインド本、好きです。インド工芸の目利きであるB氏からいただいた2枚の細密画(↓)。現代のものですが、青好きな私の好みがお見通しなのがすごい。今も大事に飾っています。

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イラン、トルコ、ウズベキスタンなどの細密画も好きです。美しいのはもちろんのこと、衣装、植物、庭、天幕、建物、そして装飾タイルなどの模様や色がとても参考になります。細密画、、見れば見るほど遊べる、学べるものだなあと思います。
by orientlibrary | 2008-10-17 00:18 | 美術/音楽/映画