イスラムアート紀行

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トラベク・ハニム、独特なタイルの模様と色に接近!

●華麗な美の世界に目もくらむようなイスファハーンやイスタンブール、煌めく青いタイルが憧憬を誘うサマルカンド、、有名なタイルのある地はいくつかあります。こうしたなかで、ホラズム王国のオアシス都市だったクニャ・ウルゲンチは、ややマイナー。

●けれども、行ってみると「トラベク・ハニム廟」(1370年)のタイルは、とてもとても素晴らしいものでした。前回は、タイル史的に有名な内部天井の宇宙的なモザイクタイルをご紹介しましたが、外部壁面やムカルナス(天井に至る部分の装飾。鍾乳石飾り、ハニカムなどとも呼ばれるイスラム建築の重要な装飾造形)のタイルも多彩でした。素朴でどこか土着的な匂いもありながら、細工は細かく、色の使い方も独特です。個人的には大変惹かれました。紋様に絞ってご紹介したいと思います。


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八角星のなか花模様、その中にまた八角星。煉瓦赤の色使いもポイントです。青が主体のタイル装飾でモザイクの赤の使用はあまり多くないと思いますが(マグレブをのぞく)、トラベク・ハニムでは内部でも外部でもかなり使っているのが特徴だと思います。


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この模様は不思議です。タイル装飾では見たことがないような気がします。でもどこかで何かの模様で見たような気もします。緑色も印象的です。


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アーチ部分の装飾。花模様がとてもかわいい!白が効いていますね。


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不思議なデザイン。真ん中のメダリオン的なものにも、じつに多様なデザインがあります。すごいなあ、ホラズム!


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いい模様ですね〜!この組紐模様みたいなものも不思議です。拡大してみたところこの部分はモザイクではなくペイントのようでした。


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入り口のムカルナスの装飾です。これはすごいです。1370年にこのモザイクは、すごいです。模様もそれぞれ違います。もっとたくさんの模様のパターンがあるので載せたいと思ったんですが写真があまり多いと重くなってしまうのでやめました。訪れた時間が夕刻だったこともあり、実際は肉眼ではこの模様は見えませんでした。14世紀の人たちが見えたかどうかわかりませんが、この緻密さのエネルギーはきっと伝わるのだと思います。


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ソルタニエのタイル(オルジェイトゥーの廟/1307〜13)に同じような多星形の(こういう言葉ってあり?)模様があります。ブログ内関連記事(↓)の「モンゴル系王朝が拓き、輝かせた、装飾タイルの世界」上から3番目です。いずれも、とてもかわいい模様だと思いませんか?


* 比較編 *
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ほぼ同時期のアフマドヤサヴィー廟、内部壁面の花模様のタイル装飾。この連続する花模様はティムール期のタイル装飾によく登場するものですが、上のものは落ち着いた色合いで花びらも独特です。写真は室内が暗く撮影禁止だったので(タイルLOVEなのでそこを何とか!)鮮明に撮れませんでした。アフマドヤサヴィーは青いドーム屋根のタイル、外部壁面のバンナーイ(煉瓦とタイルの組み合わせ)が見所です。また美しい多角星のタイルもあるので、次の機会にご紹介します。けれども同時期・同地域であっても、ホラズムと意匠的な違いがあります。ホラズムを知り、あらためてタイルの奥深さを感じています。


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15世紀中頃のタブリーズのブルーモスク内部壁面から同じような模様を選んでみました。メインの装飾ではない壁面のなかの細部ですが、青の発色がいいですね!


* ブログ内関連記事 *
 モンゴル系王朝が拓き、輝かせた、装飾タイルの世界
 巡礼地アフマド・ヤサヴィー廟 待望の訪問
 ”蒼の宝石箱”ブルーモスク&黒羊さんのヒミツ?!
by orientlibrary | 2008-06-28 21:33 | タイルのデザインと技法