イスラムアート紀行

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ウズベク絣を着た歌姫〜アラブポップスとこぶし

「ブハラ国立美術館展」!?、、去年、何度同じように駅の広告を読み間違えたでしょう。「プラハ国立美術館展」でした。目がそういうふうに認識(ブハラ=タイルが素晴らしいウズベキスタンの古都の名前)してしまうところが、オタクなんでしょうか。
昨日も駅で、「TOKYO HERAT」という広告を見つけて、「ヘ、ヘラート!?!(見たいタイルのあるアフガニスタンの町の名前)」、いったい何が始まるの!、、と手に汗握ったのですが、「TOKYO HEART」というあたりさわりのないものでした(惜)。

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(ブハラ・グレイトモスク)

◆ ウズベク絣で熱唱するビョーク ◆
そんな私が、「お!」と思った新聞記事の小さな写真。ウズベキスタンの絣を着てロックしているこの女性は、アイスランドの歌手・ビョーク。日本公演の様子でした。「衣装でも観客を魅了したビョーク」とキャプションがあります。

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(朝日新聞夕刊・08.02.29より引用)

ビョークについてはほとんど知らないのですが、記事によると、コソボ独立に捧げた曲(「ディクレア・インデペンデンス」)のパフォーマンスが最も強烈で、評者は「この一曲を演奏するためにツアーを回っている風にすら感じられた」と書いています。

そんな政治的なメッセージの強い歌にウズベキスタンの絣、う〜ん、、。でも、鮮烈な色使いや大胆な模様はたしかに強いですね。独特のメークとも相まって、なんだか巫女のようにも見えてきます。以前記事で書いた、中山恭子さん(元ウズベキスタン大使)の上品な着こなしとは、ずいぶん印象が違います。それだけ衣服としての奥行きがあるっていうことかな。

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(ウズベキスタンの絣アトラスを着た女子学生/サマルカンドにて)

小国の独立問題に関心が強いというビョーク、どうしてウズベキスタンの絣を選んだんだろう。どんなインスピレーションを受けたんだろう。プラハをブハラと間違えるオタクの私には、ちょっとうれしい想像の時間でした。
追記1:03.07:いただいたコメントなどから、ビョークの衣装を「ウイグル」との関連から考えるようになりました。絹絣アトラスのこの柄はウズベキスタン〜ウイグルで見られます。そしてウイグルでも「独立」が志向されています。)(追記2:03.07:ビョークの上海でのチベット独立アピールと衣装について、コメント、トラックバックで情報をいただいています。)

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(追加でアップします。ウイグルの少女)


◆ アラブと日本、共通する”こぶし” ◆
数回前に、アラブポップスの記事を書いたけどミスで消してしまいアップできなかったという大泣きの記事を書きました。今どきのアラブの若者たちが熱中するポップスについて、たくさんの音像を見せてもらうセミナー&イベントがあり、興味深かったので、そのことを書いていたのです。

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(中東はウードやリュートなど楽器の源流/シリアにて)

エジプトを中心としたアラブ諸国で、90年代のビデオクリップの普及と、2000年代に入ってからの衛星放送の登場により、ビジュアルを重視した新しいタイプの音楽が浸透している様子には驚きました。歌手にも歌唱力だけでなくルックスの良さが求められ(美容整形当たり前?)、とくに女性の衣装の露出度は相当のものでした。(スパイスガールズやブリトニー・スピアーズを濃厚にした感じ!?)

最近では「YOUTUBE」などもありますから、住んでいる地域の限定を超えて、より気軽に音楽を楽しめます。グローバル化と西洋化が進行しているようでした。

でも、アラブ独特の要素もしっかりあります。 “こぶし”を効かせた歌唱法、哀愁をおびた “旋律” 。遠く離れた国々なのに、どこか日本の音楽と通じるものがあります。会場からも「河内音頭みたい」「こぶしがきいていて日本の民謡や演歌みたい」との声。

専門家のお話では「アラブの音楽は西洋の音楽とは構造が楽理的に違う。楽器にはフレットがない。4分の1でも8分の1でも19分の7でも表現できる。単音の音楽なのだ」「アラブの古典に低音はあまりない。音階はオリエント独特」とのこと。中東から中央ユーラシア、東南アジア(=つまりは非西洋になるのかもしれませんが)、底流の旋律や歌唱には共通するものがあるのかもしれません。

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(シリア・ボスラ遺跡・黒の玄武岩で建設されている/日本の演歌コンサート大好評!)

シリアに、ローマ時代の大劇場で有名な「ボスラ」という遺跡があります。そこで日本の北島三郎さんがコンサートをおこなったところ、大好評だったそうです。演歌の“こぶし”がシリアの観客を魅了したようです。日本とアラブ、音楽でも「遠くて近い」んですね!
追記3:03.09:コメントで情報いただきました。このコンサート開催は20年くらい前のようです。私はつい先日このエピソードを聞いたのでわりと最近のことかと思っていましたが、、情報ありがとうございました〜♪♪それにしても、どういうきっかけで<ボスラで演歌>が実現したのかな?)

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by orientlibrary | 2008-03-04 19:04 | 絨緞/天幕/布/衣装