イスラムアート紀行

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イスラムの青。コバルトとターコイズ

●先日、「“イスラム”と言っただけで一歩引かれた」という話を聞きました。ニュースに出てくる“イスラム”を見れば、きな臭い話題ばかりですから、そういう印象になるのも仕方のないことなのかもしれません。でも残念、、。

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チョガザンビルの青/神殿都市/イラン/紀元前13世紀頃)

●きれいなものがたくさんあるのになあ、、。とくに西アジア〜中央アジアで見る「青」には、心惹きつけられます。旅行した方々からも、「青がすごく綺麗だった」という感想を聞きます。

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(イラン国立博物館にて撮影)

●紺碧の空に負けないくらいの燦めきを放つ青のドームや、建造物の壁面を埋め尽くす青のタイル。博物館で圧倒的な存在感を示す青の陶器やガラスイスラムの青は格別な気がします。

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(イラン国立博物館にて撮影)

●これまでもタイルやレンガや陶器の青について、何度か書いてきました。
「天空への憧れ、聖なる青(ウズベキスタン装飾タイル)」  
「施釉タイル、輝く青はこうして作られる(イランでの施釉の工程)」  
「紀元前13世紀の施釉レンガ(チョガザンビル)」   
「15世紀タイル装飾の傑作・ブルーモスク(イラン・タブリーズ)」  
「天然釉薬イシクール(ウズベキスタンの陶芸産地リシタンの青)」    などです。

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青の都サマルカンドの廟・ビビハニム(1399-1406)の青/初期建造の煉瓦ではないと思いますが味わい有り!こういうものにグッと惹かれてしまいます)

●振り返ってみると、その他でも建築や陶芸など、結局は青の魅力について書いていることが多いのに気づきました。もしかして、別名「青紀行」かも、、。

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「アフマド・ヤサヴィー廟」のタイル/トゥルケスタン/カザフスタン/1397-99/ティムール朝初期の代表的建造物/コバルトとターコイズの組み合わせはティムール朝の美意識を反映。花模様も何とも可愛らしい)

●西アジア、中央アジアの陶器やタイルに青が多い理由としては、釉薬の原料となるコバルト酸化物や呈色剤である銅など、青の原料が豊富だったことが一因のようです。また、高い温度で焼くことのできる粘土や高火度焼成に必要な油の多い木材が少ないことから、低い温度で焼ける釉薬を利用。青、黄、緑が多くなりました。

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タブリーズのブルーモスク(1462-65年)/カラコユンル朝/コバルトブルーの地にターコイズの茎。白い蓮の花。これがモザイクタイルだなんて、、。圧倒されました)

イスラムタイルの青、コバルトとターコイズ。どちらも貴石、宝石を連想させる青です。そう、ラピスラズリとトルコ石。古代より権力者の装飾品を豪華に彩ってきた石です。コバルトとターコイズは、神秘的な魅力を持つ石の青を再現しようとして作られた色なのかもしれません。

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ウズベキスタンの陶芸産地・リシタンの現在の作品・茶碗/青が鮮烈、手描きの絵付けは丁寧かつ自在で一つとして同じものがありません)

●イスラムの美の魅力のひとつは凝縮力ではないかと思います。稠密で集中していて、優美でありながらテンションの高さを感じます。色彩に乏しい乾燥地帯であることが、逆に色への強烈な感性を育んだでのは、、イスラムの青を見ていると、そんな思いが強まります。
by orientlibrary | 2007-11-23 00:40 | タイルのデザインと技法