イスラムアート紀行

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アブルバンディ・雲の織物。ウズベキスタンの絹絣

先日テレビをつけたら、偶然、中山恭子さん(参議院議員)が映っていました。おっとりした話し方ながらも毅然とした感じ。そして、私が真っ先に目をとめたのは、スーツからのぞくカラフルなシャツでした。わあ〜、ウズベキスタンの絣だ〜!

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(ウズベク絣のシャツがステキな中山恭子さん。NHK「クローズアップ現代」より)

◆ ”ほっとする国”で ◆
中山さんは元ウズベキスタン大使(1999-2002)です。就任まもなくキルギスで日本人鉱山技師拉致事件が起きましたが、その際にも巧みな交渉で問題解決に尽力されたようです。けれども、大変なこともありながら、ウズベキスタンには魅力を感じられたようで、『ウズベキスタンの桜』という本も書いていらっしゃいます。

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(サマルカンドにて)

日本をたつときは・・・「見送りの方々は、あまり馴染みのない大変な国へ大使として赴任すると考えてか、言葉には出さないながらも少し不安げで、慰めを言うのも不適切だと少し戸惑いながら」見送られたそうです。

けれどもタシケント空港では・・・「タラップを降りながら不思議な気持ちになりました。遠い中央アジアの国にやって来たというのに何の違和感もありません」。さらにウズベクの人が<遠慮をする>様子に驚いた中山さんは、欧米やアジアでの体験を思い返しながらこう書きます。・・・「外国に出て、遠慮することを身につけている人々に初めて出会いました。どんなにびっくりして嬉しかったことか」。

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(ブハラのチャイハナにて)

「ウズベキスタンを訪ねたら、日本人であればどなたでも、まるで古き良き時代の日本に来たかと、ほっとした気持ちになることでしょう」と書く中山さん。だからウズベク伝統の絣なんだなあ。キャリア女性〜政治家らしくない服装かもしませんが、私はうれしい気持ちで見ていました。

◆ 鮮やかな色、象徴的な文様 ◆
ウズベキスタンの絣は、ツヤツヤした絹の質感、色の鮮やかさ、大胆な模様が特徴です。5世紀にはホータンから絹が伝わり、7世紀頃に中国やインドから絣の技術が伝わったそうです。有名なソグドの絹織物は7〜8世紀のもの。染色・織物は長い歴史があるんですね!

ウズベクでは絣のことを「アブルバンディ」といいます。雲の意味だと聞きました。どうして雲なのかなあと思っていたのですが、「水面に映った雲を見た織り人がその美しさを絣布に表したのが始まり」なのだそうです。(『世界の染め・織りの見方』/東京美術)。

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(フェルガナ/結婚式で)

「絣の織りは、まず糸を染めることから始まる。この地の絣は経絣で、その経糸を約60本の束にまとめ、模様に応じた印を付ける。それを綿糸でくくり、染液につける。6回から10回縛る作業を繰り返しながら薄い色から濃い色へと染めていく」(同書)。

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(フェルガナ・マルギランの工房にて)

「染料は、あんずの根、ざくろの樹皮、胡桃の皮、西洋茜、藍、ラックなど天然素材のものであった」・・・。今は化学染料も使っているようですが、100%天然染料をとおしている工房もあるようです。

織りの基本は平織りです。図案化された模様には意味が込められました・・・「ザクロや虹、花、太陽は豊穣や幸福を表し、アーモンドは男性の叡智や長寿の象徴である。羊や角や櫛、蛇や虎の尻尾、サソリ、ラクダのこぶは魔よけであり、蔓草は輪廻転生の意味にたとえられた」(同書)。

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(フェルガナにて)

◆ 布もの選びは楽しいな ◆
写真でご紹介しているように、今も暮らしを彩っているウズベキスタンの絣。日本人には派手すぎるという声も聞くのですが、シックな色合いのものもあります。また中山さんのように鮮やか色を襟元に使うと、顔が明るく見えるのでは? 

ーーー ブログ内関連記事 ーーー
* 「日本人のかざりごごろを揺さぶる中央アジア染織世界」
* ウズベキスタンの絣については、カフェトライブさんの「ウズベキスタンのIKAT」にきれいな衣装がたくさん掲載されています。
by orientlibrary | 2007-09-19 21:47 | ウズベキスタンのタイルと陶芸