イスラムアート紀行

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BIOMBO 屏風に描かれた中央アジアは!?

「BIOMBO/屏風 日本の美」という展覧会がサントリー美術館で開催されています。不思議な言葉・ビオンボとは、ポルトガルやスペイン語で屏風を意味するそうです。

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(展覧会チラシ)

◆ 日本の美の世界を堪能! ◆
日本の屏風は、近世初期、南蛮貿易の輸出品として、盛んにヨーロッパに送られました。今回の展示は、平安時代からの屏風の名作に加えて、海外に渡った屏風も一堂に集まり、屏風の役割や時代の変遷などが印象的に紹介されていて、見応えがありました。

これまで屏風に強い関心があったわけではないのですが、大胆な構図と細密で凝った表現が両立している屏風の世界に引き込まれました。

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(「四季花鳥図屏風」・狩野元信・室町時代/金地で豪華!「和漢融合」の先駆的作例だそうです/チラシより引用)

山水や花鳥図などの自然美は繊細華麗。そして街の様子や祭礼、合戦、花見などが丹念に描かれた屏風は、当時の人びとの暮らしを伝えます。日本の美的感性、自然と親和した繊細な表現力など、すごいなあと思いました。

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(「白絵屏風」・江戸時代/出産の場で立て回されたと考えられている屏風。屏風は儀礼にも使われました。現存しているものは稀少/チラシより引用)

◆ 桃山時代の人が想像した世界 ◆
なかでも興味深かったのが、「BIOMBOの時代 屏風に見る南蛮交流」の屏風たちです。当時輸出された屏風は、現在ほとんど行方がわからないそうです。が、西洋からもたらされた絵画表現で大画面に描き出された屏風が白眉!当時の人びとの異国への好奇心が凝縮されているようで、見入ってしまいました。

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(「レバント戦闘図・世界地図屏風」・桃山時代/展覧会図録より引用)

とくに「レバント戦闘図」と対の「世界地図屏風」は、ブラウ・カエリウスの1609年の世界地図を簡略化して地域ごとに色分けして描いたものだそうです。桃山時代(17世紀)の人たち、世界をどう見てしていたのかなあと想像させて楽しい。会場では、私の好きなエリア・中央アジアのあたりをじっと見ていました。でも、、なんだかあいまいな感じが、、。

帰宅して実際の地図と比較(↓)してみると、やはり東南アジアの密度に比して、インド以西のヨーロッパまでのあたりはざっくりとしています。逆にアフリカなどはかなり詳細です。カスピ海の存在は知られていたようですが、かなり大きいですね〜!

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(「世界地図屏風」/展覧会図録より引用/中央アジアのあたりをクローズアップ)
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(17世紀の世界/最新世界史図説(帝国書院)より引用/同地域を比較してみました)

この屏風で感心したのは、海の波の細かさ。本当に細密に描かれていて、地図のざっくり感との対比が面白かったです。日本画の伝統と異国への好奇心や西洋の新技法が渾然一体となっているようでした。

また、海には船などが描かれているのですが、ところどころ人魚もいました。おとぼけですよね。女性人魚らしきものは、当時のモラルなのか「らしい」表現でとどめています。驚いたのは男性人魚。初めて見ました。たしかに男性人魚がいてもいいんですけど、、考えたことなかったです。さりげなくそういうものを配していて楽しめる屏風。当時の人たちも、ワクワクして見たことでしょう。

中央アジアのあたり、かなりのざっくりで、そういうもんかなあ、と思いましたが、でも今でも、たとえばウズベキスタンの話をすると、95%の人に「どこにあるの?」と聞かれるので、あまり状況は変わっていないのかも!?

◆ 中央アジア トリビア? ◆
ちなみに、私が中央アジアに興味を持ち始めた頃、5つの国をどうやって覚えようかと編み出したのが「加藤タキ」方式。北から左回りに、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、その頭文字を取って覚えました。面白かったので、けっこう人にも喋っていたのですが、先日wikipediaを見ていたら、中央アジアのトリビアにこの加藤タキ方式が載っていて、「!?」と思いました。考えることは同じ、なのかな。それとも??
by orientlibrary | 2007-09-08 12:47 | 日本のいいもの・光景