イスラムアート紀行

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働くために動く いま中央アジアで

●あるセミナーで気になる数字を見ました。CIS諸国の「ロシアへの労働移民」で、出所や詳細がわからないのが残念ですが、<1000人あたり>(ロシアの労働人口の??)ということで2000年と2004年を比較する表になっていました。

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(カザフスタンの道ばたで/積んであるのは石炭と聞きました)

●CIS諸国全体=「2000年・106.4」→「2004年・221.9」。その数の多さ、また4年で2倍強になっていることに驚きました。ロシアの経済発展の様子が、私のような経済素人にも伝わってきたのは、とくにこの数年ですから、04年以降から現在にかけては、さらに増加していることが考えられます。

●表の数字で、ドキッとしたのは、次の数字を見たときです。ウズベキスタン=「2000年・6.1」→「2004年・24.1」。4年で4倍に増えています。24.1という数字もウクライナに次いで2番目です。

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(カザフ・トルケスタンのバザール)

●ウズベキスタンの経済が低迷している、ということは、なんとなく聞いたり読んだりしていました。また実際に、「家族がロシアに働きに行くことになった」という話も聞いていました。でも、高いお給料がもらえるとのことで、「良かったね」と答えたりしていました。状況がよくわかっていなかったのです。

●気になって少し調べてみると、ウズベキスタンからロシア、また経済が好調なカザフスタンへの労働移民は、本当に多いようです。

・・・ 「CIS地域における出稼ぎ労働者の規模については、実態を掴むのが非常に難しい。CIS諸国か らの出稼ぎ労働者を吸収しているのがロシアであり、カザフスタンがこれに続くことだけは議論の余地がない」

・・・ 「過去2〜3年はウズベキスタンからの出稼ぎ労働者の増加が目立つが、同国の統計の公表レベルが低いため、政府発表が実際の労働移民数を大幅に下回っていることが予想される」(以上、日本貿易振興機構・海外調査部/「旧ソ連における地域協力の現状と展望」/2006年)。

・・・ 「カザフスタンのシュペクバエフ内務副大臣は「8月1日から12月31日まで不法移民労働者を合法化する恩赦が行われることになり、すでに85,000人を合法化した」と語った。志願者は今のところ89,600人で、そのうち72.8%がウズベキスタンからの労働者。(略)。こうした労働者は主に建設現場で働いている」(ITAR-TASS/2006年10月3日)

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(キルギスの民家)

●日本貿易振興機構の報告書には、次のような記述もあります。

・・・ 「CIS諸国は国民の1人当たり平均賃金の水準が低いか、もしくは中程度の国々の集まりである。1人当たりGDPは最も高い国でも、2004年の公式為替レートで4,000ドル(ロシア)、次いで2,700ドル(カザフスタン) となっている。タジキスタン、キルギスタン、ウズベキスタンでは、1人当たりGDPが500ドルに達していない

・・・ 「ウズベキスタンでは国民の生活状況が悪化の一途を辿り、労働力人口の流出が起きている。実際、2004〜2005年にはウズベキスタンからの出稼ぎ労働者の数が、カザフスタンとロシアで著しく増加している」

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(ウズベキスタンの子ども)

●天然資源国や大国がエネルギー資源価格の高騰で経済の活況にわく反面、これらの国に比して資源が豊富ではなく、製造業も未成熟な周辺国は経済の低迷に苦しみ、労働力が豊かな国へと流動していることがわかります。

●ウズベキスタンの装飾タイルや陶芸、工芸が好きな、ウズベキスタンファンの私には、複雑な気持ちになる現実です。「経済的な豊かさ」と「幸福」は、単純には直結しないと思いますが、「自国で働き、家族といっしょに暮らす」という選択がむつかしくなっているとすれば、それは悲しいことだと思います。

●なにか解決策はないのでしょうか。

・・・ 「CIS諸国と経済的な先進国との距離は遠大で、これが貿易において輸送費を大幅に引き上げる要因となっている」 「ウズベキスタンは海に面していない内陸国であり、海への直接出口を持たない。そのため、製品輸送にかかる費用は更に上昇する」 「多くのCIS諸国は国土の多くが山岳、砂漠、半砂漠からなる複雑な地理条件を有しており、これも輸送コストの引き上げにつながっている」。

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(ウズベキスタンの陶芸産地リシタンの青の陶器)

●複雑な地形の内陸国、、う〜ん、でもだからこそできることはないか、そんな視点で、何か考えられないかなあ。マイナスに見えることのなかにも必ずプラスの要素がある。ひらりと視点を変えて、外部の人間の素直な目でウズベキスタンの「宝物」を見つけたい、そんな気持ちがわいてきます。

** ブログを初めて1年10ヶ月、、写真のアップの仕方が基本的にちょっと間違っていたことに、今気がつきました、、。残念〜! 折りをみて直していこうかなあ、、、(ショック・・・)。
by orientlibrary | 2007-06-28 15:23 | 中央アジア5カ国