イスラムアート紀行

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タイルといっしょに伸びていった!? その花の名は、アカンサス

不思議発見
●駅までの道は、多彩な四季の花が咲く遊歩道です。人工ですが小川もあって、鯉が悠々と泳ぎ、年々増殖中のカルガモ一族も住んでいます。

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●その道で6月上旬のある日、不思議なものが視界に入ってきました。やけに背の高い花。芙蓉などの「日本の夏」的な感じはなく、目に飛び込んでくるような強さとエキゾ感があります。

●「!?」と思ってみると、下には「アカンサス」というプレートが(この歩道、プレートがあるのがうれしいです)。アカンサス!?、、、アカンサスって、あのギリシアの?コリント式の柱頭の?ギザギザの葉の?アカンサスってこんな花が咲くの?で、こんなに大きいの!?

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●私の驚きをよそに、アカンサスの花は、あくまでも垂直にのびのびと咲いています。葉は、たしかにギザギザしています。以前、「旧岩崎庭園」で上品に育てられようとしている苗(↓)を見ましたが、あの植物と、このダイナミックな植物がいっしょのものとは、、。

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●アカンサスは、「広義にはキツネノマゴ科。ハアザミ属の植物を総称」「産地=西地中海沿岸、熱帯アジア」「アザミに似た形の葉は古代ギリシア以来、建築物や内装などの装飾のモチーフとされる。特にギリシア建築のコリント式オーダーはアカンサスを意匠化した柱頭を特色としている」「ギリシアの国花」(Wikipedia、その他)だそうです。

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●「晩春から初夏に高さ2mほどの花茎を出し、緑またはやや紫がかったとがった苞葉とともに花をつける」「花弁は筒状で、色は白、赤などがある」「乾燥にも日陰にもまた、寒気にも強い」「日本には明治末期に観賞目的のために渡来」(同)。なるほど、強い花なんですね。


パルミラとアンジャール
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●アカンサスが建築や意匠に使われている例、できればイスラム圏のものを、と思って写真を探したのですが、あまりいいものがなく、シリア・「パルミラ遺跡」(↑)の門の写真にしてみました。遠目になってしまいますが、アカンサスらしきものが見えません?

レバノンの「アンジャール遺跡」(↓)、壁面のこの葉のギザギザは。もしかしてアカンサス?アンジャールは、ウマイヤ朝カリフの夏の保養地だったところで、グレコ・ローマン様式とビザンチン工法の融合がポイントのようですし、可能性ありませんか? (注:今のうちに言い訳=植物弱いです)

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タイルの文様でアカンサスが使われていないか、専門書などを探してみました。パルメットやロータスなどは多いのですが、アカンサスはチェックできません。トルコの絵付けタイルに、ギザギザした葉の文様があるんですが、アカンサスより細身。

●けれども、こんな文章を見かけました。「(唐草の起源は)、一般的にはギリシヤで派生したアカンサスの植物曲線文様がその原型ではないかともいわれる」。唐草文様だったらタイルとおおいに関係があるんですが、、あまりピンときません。蔓系のものでは?

●タイルに無理やり結びつけるのではないのですが、こんなエピソードをネットで見つけました。

・・・ 「コリントが栄えていた頃、一人の少女が病で亡くなった。乳母が少女の玩具や装身具をバスケットに入れ、タイルでフタをして、埋葬された墓の上に置いた」「翌春、その墓の下から芽吹いたアカンサスの茎や葉がバスケットを破り、タイルを巻き支えるようにして伸び上がった」「偶然通りかかったアテネの建築家カリマコスがその優美な力強さに心打たれ、コリントの円柱にアカンサスの模様を刻んだ」

●タイルに巻きつきながら伸びていったアカンサス。あらためて、花を見ると、たしかにそのくらい強そうです。かな〜り強引な締めくくりですが、、夏のプチ植物物語でした。
by orientlibrary | 2007-06-22 16:03 | 中央ユーラシア暮らしと工芸