イスラムアート紀行

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扉とカッワーリー イスラムの街を五感で感じるとき

「扉をあけて」
●イスラムの街を歩く愉しさのひとつは、迷路のような細い路地を、ちょっとドキドキしながら散策することではないでしょうか。人がひとり通れるくらいの細い道。でも、路地に面しては扉があるだけ。どんな人たちが住んでいるんだろう、家の中はどうなっているんだろう。扉をノックして入ってみたい誘惑にかられます。

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(展覧会パンフレットより引用)

●そんな「扉」をクローズアップした写真展が開催されています。(「サデグ・ミーリー写真展」/5月25日〜6月17日/東京のミーリー・コレクション・ショールームにて//中近東文化センター附属博物館でも17日まで同氏の「森羅万象」展を開催中)。ミーリーさんが撮るイランの扉は、重厚でありながら華麗で品があります。

●--- 「伝統的住宅はその内部にのみ開放され、街路面に窓を持たない。唯一の開口部が扉である」。けれども、「同時に、その裏側に広がる空間唯一の顔でもある」 ---。会期中に開催されたレクチャーの講師・ソレマニエ貴実也さんは、こう記します。
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(モロッコの扉/orientlibrary)

●扉の上部にクルアーンの一節を書いている家、ヨーロッパ風の天使を装飾した家など、扉には住み手のメッセージが込められています。そして、扉は装飾が美しいだけでなく、ある役割も果たしていたそうです。

●--- 「(扉は)ガージャール朝まで通常木製の2枚の長方形扉からなり(略)、中央の金具は円形のハルゲ棒状のチャコシが対になっていた」---。 叩くと高い音がするハルゲを叩くのは女性低い音がするチャコシを叩くのは男性。それによって扉まで出迎えるのが女性だったり男性だったりするのだそうです。

●レクチャーでは、扉の向こう=イランの住宅や中庭の写真が紹介されました。中の住宅の華麗なこと!中庭の綺麗なこと!テラスの心地よさそうなこと!窓や細部の細工の優雅なこと!お金持ちの住まいだそうですが、私から見たら「宮殿」でした。また気候風土を快適に暮らすためのたくさんの工夫がありました。いつか関連テーマのときに書いてみたいと思います。


「聖者の宮廷作法考」
●これまで当ブログでも何度かふれたことのあるスーフィーの音楽「カッワーリー」。好きな人は好き、知らない人は知らない、とはっきり分かれそうな、はっきり言って日本ではマイナーなジャンルの音楽。このカッワーリーをひたすら聴く会がありました。題して、「映像検証・イスラーム集団歌謡カッワーリーの現場」(主催:村山和之さん)。

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(パキスタン・ムルターンの聖者廟/orientlibrary)

●その第1回、「パキスタンにおけるカッワーリー記録映像集」です。「ダーター・ガンジ・バフシュ廟とカッワーリー集会とその周辺」など、臨場感あふれるその内容もすごかったけど、参加者の多さと熱心さにも驚きました。

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(パキスタン・ムルターンの聖者廟「シャー・ルクネ・アーラム」(1320-24)・タイル装飾/orientlibrary)

カッワーリーの歌詞を翻訳紹介してこられた専門家、イスラム文化の専門家、音楽関係者、楽器や民族音楽の専門家から、一般愛好者、スーフィー音楽の求道者まで、多彩な顔ぶれ。「ここまで揃うことも、そうないでしょう」(村山さん)。

●いえいえ、これがスタートですよね!?2回目以降のプランやリクエストもあるようです。さらに多彩で濃い顔ぶれになるかもしれません。「初めてだけど聴いてみたい」という人たちが集まるかもしれません。イスラムタイルや土の建築、イスラム圏の工芸や織物などが好きな私にとっても、このような動きはとてもうれしく心強いことです。

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(ムルタン〜あるいはウッチュ〜のタイル/orientlibrary)

●当ブログ、このところ、なんだか気ぜわしく、なかなか更新できませんが、自分自身ももっとスタディしていかなくては、と思います。また、写真ですが、最近、重さを軽くしつつ、サイズを大きくしようとしていたため、画質が粗くなっていました。教えを請いつつ、こちらも改善していけたらと思います。これからもよろしくお願いします
by orientlibrary | 2007-06-07 23:57 | 美術/音楽/映画