イスラムアート紀行

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トルキスタンの味と慣習 干し杏水&頼母子講

個人が発信するブログなどのパーソナルメディア、具体的で筆者の思い入れが伝わるものが多く、更新を楽しみに待っているものがいくつもあります。そのひとつが、カシュガルにお住まいの男性による「ウイグルの生活と文化」(エキサイトブログ)です。

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(↑ ウイグルのバザール/トルファンにて/手前が干し杏かな?)

コメントなどは受け付けていらっしゃらないのでブログ的交流はありませんが、ウイグル人の女性と結婚し現地で長く暮らしていらっしゃる方ならではの話題と内容を、あのあたりが大好きな私は興味津々で拝読しています。写真もガイドブックなどでは見ることのできないものが多く、とても貴重。

干し杏水&干し杏酒
そんな「ウイグルの生活と文化」さん、今回は「ドーグゥ」という飲み物の話題でした。「ドーグゥ」に使われる氷は、凍結した池から切り出し氷室で貯蔵したものなのだとか。そんな土混じりの氷水のお話を楽しく読んでいると、最後の方に「ん?」と思う写真がありました。氷に関連した話題として、「干し杏で味付けした水売り」が紹介されていたのです。

そうか!?と思いました。ウズベキスタンからお土産の干し杏、どうしようかとずっと置いていたものがあったのです。お酒を愛するTさんから、「焼酎に漬けると美味しいよ」と聞いたことも思い出し、さっそく「干し杏水」と「干し杏酒」製作実験をしてみました。

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ちなみに、健康関連の各種情報によると、干し杏というのは、「生果・乾果も合わせた果実のなかで、β-カロテンの量がいちばん多く、活性酸素の害を抑制することで、抗ガン、抗動脈硬化、抗細胞老化の効果が期待できる」ほか、書ききれないほどの効能が紹介されています。たしかにパキスタンのフンザなど、長寿で名高い土地には杏がたくさんありますもんね。

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(杏の里、長寿の村、パキスタン・フンザの女性)

ウイグルの「チャイ」とウズベクの「ギャプ」
もうひとつ、「ウイグルの生活と文化」さん、以前読んでいて興味深かったのが、「チャイ」と呼ばれる互助組織の記事です。「チャイ」という言葉は、お茶と意味すると同時に、「大きめの宴席に招待したりされたりする」ときの表現にも使われるそうです。

ウイグルの「チャイ」
さらに、「日本の頼母子講に似た、「チャイ」 と称する親類縁者による親睦・相互扶助組織」があるそうです。内容は、「親類縁者女性同士の組織で、月に1度、当番の家や当番が予約したレストランに集まってする親睦会」とのこと。

具体的なケースを読んでいて、あれ?と思いました。・・・「妻の 「チャイ」 メンバーは15人で、毎月1人170元(食事代20元を含む)を会費として納めて、当番がお金を受け取るとのことです。1月4日は妻の当番日で、食事代を差し引いた2000元(約3万円)ほどを受け取ったと言うか、¥満期になったため戻って来たようなもの¥です」・・・

ウズベキスタンの「ギャプ」
これと似た組織のこと、¥「ウズベキスタンの慣習経済」¥というテーマのセミナーで聞いたことがあります。(講師は、樋渡雅人さん/東京大学)。そのときのメモから、少しご紹介します。

---慣習経済とは、血縁や地縁等の社会的な結びつきや慣行などにより人々が相互に依存しあっている経済のことを言う。インフォーマルエコノミー、セカンドエコノミーなどの言葉もあるように、旧ソ連時代にも¥計画経済と並存して根付いていた¥ものである。

---そのひとつの事例が¥「ギャプ」である。ギャプとは、定まった構成員が定期的に家に集まり、会食などを楽しむウズベキスタンの慣習。構成員は、マハラ(共同体)、同級生、親族、同業者など、何らかの接点に基づく。ホストはローテーションで回り、情報交換をしたり問題を討議したりする。また冠婚葬祭や緊急事態における互助単位としての側面も併せ持つ。

---ギャプには、「回転式貯蓄信用講」とでもいうべき経済的機能がある。定期的に構成員から定まった額のお金を徴収し、誰か一人にそれを自由に使わせるということを、全員が順番に回るまで繰り返す、という金融の仕組みがあるのである。これによって、多額の投資が可能になり、電化製品や絨毯など耐久消費財の購入が早まる。

---同種の接点を持つ同質のメンバーが選別され、共同利害によって結束するギャプは、メンバーの関係性を固定化、安定化する。ギャプにより地域のネットワークは重層化し、社会的相互作用は制度化、強化されていく。また、社会保障政策との補完性などからも注目される。

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(ウズベキスタンのバザールにて)

ウイグルでは女性だけ、ウズベキスタンでは多様なグループという点は異なりますが、基本は同じ仕組みですよね。大きな買い物をするとき、親族や地域で都合しあっていたことがわかります。ほんと、日本の「頼母子講」ですね。このような共通項を発見すると、さらに親しみが増すように思います。
by orientlibrary | 2007-03-15 22:42 | ウイグル/アフガン