イスラムアート紀行

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ジャムのミナレット なぜこの青がアフガニスタンの谷間に!?

今回は「中東・西アジア都市周遊」講座から、カーブルとアフガニスタンについて少し書きたいと思いますが、その前にいくつかトピックを。ティーマサラ、巣ごと蜂蜜、サマルカンドブルーの陶芸の3つです。

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ティーマサラ
前回のチャイ調査で「ティーマサラを持参して」うんぬんと書いたところ、日本でティーマサラは手に入るのかというメールを何通かいただきました。売っています。知っているところでは、「LUPICIA」という紅茶専門店(通販もあり)。インド雑貨店でも見たことがあります。ご興味のある方は検索してみられるのもいいかもしれません。

私はなぜか手元に妙にマサラがあります。どこでどうやって買ったかも忘れました。インドに行く人にお土産に頼むのもいいかもしれませんね。または、カルダモンやシナモン、ジンジャーなど、日本で買いやすい好みのスパイスをミックスしてもいいのでは?手軽です。


巣ごと蜂蜜
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イランで買った巣ごとの蜂蜜をどうやって食べるかについての苦闘の歴史と実験について、以前書きました。熱することで解決、でしたが、先日、日本で見つけたのです。富士山麓の巣ごと蜂蜜を。200グラム1575円。販売の方に聞いてみると、「巣は残りますね。トーストにしても巣は残ってしまいます」とのこと。

私は実験後、適量を取り巣ごとレンジにかけて溶けた部分だけを使用するようにしています。でも日本の値段だと微妙ですね。それなら蜂蜜を買ったほうが手軽ということになってしまいます。ただ、巣のものの方が味が濃いように思いますので、好みによるということでしょうか。


サマルカンドブルーの陶芸
先日、イラン人陶芸家・ティムアさんと芸大の仲間たちとの展覧会を表参道で見たあと、向かったのは日本橋三越のギャラリー。石川県九谷の陶芸家・武腰一憲さんの作陶展です(会期は6日から12日まで)。「天空のサマルカンドブルー」と題された展覧会。その作品は、中央アジアとやきものが好きな私には衝撃的でした。

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サマルカンドの青というと、煌めくようなコバルトブルーとターコイズブルーを思い浮かべますが、武腰さんの青は、渋みと深みのある薄紺とでもいうような青。日本の青だと思いました。そんな青をベースに白を鮮烈に配し、剛直と繊細が同居したようなキリッとした線が形作る花器や陶額には、厳しいまでの美しさがありました。

でも、そこに遊び心のあるモチーフが加わることで、器は軽やかさと物語性に包まれます。そのモチーフとは、私の愛する中央アジアの人々や生き物の姿であり、イスラムの幾何学模様でした。日本とシルクロードを美しく融合する武腰さんの感性と匠の技に感動しました。


都市周遊・カーブル
トピックに続いては、「中東・西アジア都市周遊」講座(国際交流基金)より、「カーブル アフガニスタンを背負う街、アフガニスタンならざる街」(八尾師誠さん・東京外国語大学)です。

まず、都市の名前について。日本の報道機関は「カブール」という呼称を用いていますが、現地語であるダリー語のアラビア文字表記は「کابل」(kābul)) 。発音は「カーブル」または「カーボル」なのだそうです。欧米での用いられ方(報道や地図)がカブールだったことから、日本ではそれを導入したという、ありそうな話。以前、京大のH先生がある報道機関に投書して正したところ、答えは「昔からこうなっているので変えられない」だったとか。私は今後、「カーブル」と記すことにします。

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「リグ・ヴェーダ」にも登場し、アレキサンダーが通過したとされるカーブル。古い街なんですね。8世紀頃からイスラム時代に入り、様々な王朝が支配・争奪・係争する土地として複雑な歴史があるようです。タイル好きとしては、ジャムのミナレット(1179)(↑は全景)(↓は壁面のタイル装飾)が建設された12世紀のゴール朝が気になります。また、インド・ムガル朝を建国したバーブルが愛した街としての印象が強くあります。

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地形や歴史など先生のお話に引き込まれたのですが、驚いたのはカーブルの人口の推移。1988年の推計1424000人から、1994年には推計700000人に半減しているのです。クーデターやソ連やアメリカの侵攻など戦火の絶えない現代の歴史のなかでも、ムジャヒディーンの時代の混乱というのがいかにひどかったかがわかります。

以前、「在りし日のカブール博物館」というドキュメンタリー映画を見たことがありますが、博物館が無惨に破壊され貴重な収蔵品が略奪されたのもこの時代(93年)。現在は人口300〜400万人に増加しており、博物館にも収蔵品が戻ってきているようです。

私の最終目的地アフガニスタン。ヘラートやマザリシャリフのタイルを見に行きたい。深刻な課題が多いのに軽いことを言うのは不謹慎かもしれませんが、きれいなものを見に行けるようになる日が一日も早く来ることを願っています。

*写真は、上から順に、「インド・カングラのお茶畑にて」、「富士の蜂蜜」「武腰一憲作陶展パンフレットより引用」、「ジャムのミナレット〜『COLOUR AND SYMBOLIZM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用」、「同タイル装飾〜同」
by orientlibrary | 2007-03-11 17:22 | ウイグル/アフガン