イスラムアート紀行

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シーア派聖地・ゴム 〜 イスラム世界聖者廟のタイルが好き!

毎回充実の「中東・西アジアの都市周遊」の講座(国際交流基金)。総論、テヘラン、アルジェ、ダマスカス、リヤドときて、先日はイランの聖廟都市ゴム(近世ペルシア語ではクム・Qum)でした。

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(イマームザーデ HELEL IBN ALI/イスファハン/『Iran〜the cradle of civilization』より引用。こういう新しいタイルは、あまり惹かれてませんが、イマームザーデ例で掲載)

イスラムの街や村には、「聖廟」といわれる建物が数多くあります。廟ですから、お墓。イスラムの重要人物や聖人が葬られています。敬虔な信者が集まる独特の雰囲気に加え、素晴らしいタイル装飾のあるものも多く、タイル好きには気になる存在です。ゴムはシーア派の聖地であり、聖廟都市として有名。私はゴムには行ったことがありませんが、「相当に宗教的な街」だということを、訪れたことのある人たちから聞いたことがあります。

ゴムの聖廟に葬られているのは、シーア派第8代イマーム(宗教指導者)の妹ファーテメ・マアスーメ。兄をメルブに訪ねる途中、スンニ派の街で病気になったのですが、ゴムの地への搬送を望み、ゴムで亡くなったそうです。

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(ゴム聖廟/『Iran〜the cradle of civilization』より引用。金色のドームがすごいですね。金のドームは聖廟として第一級の証だそうです。私はタイル派ですが・・)

本を買っては積ん読状態になっている私、、シーア派関係の本もあるのですが、読めていません。昨年からシーア派関連の講座や研究会に(勝手に)参加したりしているのですが、まだ書ける程度までこなれていません。ですので、講座(東京大学・森本一夫先生)の内容を中心に、少し書いてみたいと思います。

まずシーア派について。人口はイスラム人口全体の1割から1.5割。イラン、イラク、バーレーン、レバノン南部、ペルシア湾岸、アフガニスタン、インド、パキスタンなど、少数派にもかかわらず広い範囲に居住しているそうです。

特徴は、「正義を体現するも、現世では多数派のスンニ派に虐げられてきたとされる超人的指導者“イマーム” =半分人間で半分神様、あやまちがない、無謬」の存在です。

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(パキスタン・ウッチュの聖廟「ビービー・シャビンディ」(これも女性のお墓)。私の好きな聖者廟。蒼のタイルが最高! 手前の白い盛り上がりは信者のお墓。廟の回りには自然発生的に墓地ができるようです/orientlibrary)

シーア派のなかでも多数を占める派は、その名も「12イマーム派」。初代アリー以降、12代目までイマーム(ムハンマドの子孫)が継承。けれども、第12代のイマームは、940年に神の配慮で「お隠れ」になり、世界が不正義で満ちたときに救世主(マフディー)として再臨するということが信じられています。

ゆえに、殉教・殉死したイマームや一族のお墓にお参りすることは、とても大事。イマーム廟とイマーム一族の廟(=イマームザーデ)への参詣という宗教行為が盛んにおこなわれるのだそうです。廟のある「聖廟都市」は、このようななかで発展してきました。

代表的なシーア派聖廟都市は、ナジャフ(イラク)、カルバラー(イラク)、マシュハド=殉教の地という意味(イラン)、カーズィマイン(カズィミーヤ/イラク)、サーマッラー(イラク)、ゴム、マザーリシャリフ(アフガニスタン)など。最近のニュースに頻繁に登場する地名が並びますが、明るい話題ではないだけに、複雑な気持ちです。

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(ビービーシャビンディでクルアーンを詠む少年たち。ジャニーズ系よりイケてます!?/orientlibrary)

ゴムは、「シーア派聖職者たちの世界、特殊な国際都市、コンパクトで街の性格がはっきりしている」という特徴があり、100万人の人口にたいして、70カ国から8万人の神学生が集まり、年間2000万人の参詣客が訪れるのだそうです。

1922年に、ゴムの神学校コンプレックス(ホウゼ)が復興され、スンニ派主導のイラクに存在する諸聖廟都市に替わって教学の中心になったそうです。「マルジャウ制度」や「5分の1税(フムス)」などの独特の制度により、聖職者の専門知識が生かされつつ、宗教税が資金として街の発展に環流。コンピューターなども駆使して、教学の普及に努める聖職者の姿なども紹介されました。

廟で祈る人たちの姿は、とても熱がこもっているのですが、でも何か日本の寺社へのお参りを思わせるところもあり、私は違和感があまりないのですが、皆さんはいかがですか。
by orientlibrary | 2007-02-24 22:49 | 至高の美イランのタイル