イスラムアート紀行

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白いカラスになりたい・・・アスロル君(リシタン)からのメッセージ

●暦では大寒、一年で寒さがもっともきびしい時期。今年は暖冬とはいえ、一枚余計に着たくなりますよね。そんななか、心がほんのり温かくなる会がありました。リシタン・ジャパン・センターによる「アスロル君歓迎会」です。
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●私が昨年おじゃましたウズベキスタン・フェルガナの町リシタンには有名なものがふたつあります。ひとつは中世からの伝統を持つ素晴らしい青の陶芸、そしてもうひとつは日本語教育です。リシタンは知る人ぞ知る、日本語の町なのです。


e0063212_20473512.gif●なぜフェルガナの小さな町で日本語が?と思われる方も多いことでしょう。そこには、ある日本人ご夫妻のフェルガナの子どもたちへの思いがありました。そしてその思いに共感した多くの人びとの行動がありました。

「リシタン・NORIKO学級」、その小さな私塾の第一期生として学んだムミノフ・アスロール君は現在20歳。フェルガナ大学の3年生です。昨年秋におこなわれた「中央アジア日本語弁論大会」で見事優勝。優勝副賞のチケットを使い、念願の来日を果たしました。彼が会いたかった人とは、来日の目的は、そもそもNORIKO学級って?・・・


e0063212_2046268.gif●それを書く前に、順序は逆かもしれませんが、アスロル君が優勝したスピーチをご紹介したいのです。

●彼は歓迎会で弁論会でのスピーチを再現してくれました。落ち着いた正確な日本語に加え、そこに込められた祖国やコミュニティへの思い。会場はシンとして聞き入りました。

●アスロル君はウズベキスタンのことを述べているのですが、正直で簡潔な言葉のなかに、普遍的なものがあるのでは、と思いました。日本に「白いカラス」はいるのでしょうか。


e0063212_2115217.gifウズベキスタン・日本 人材開発センターのサイトに載っている原稿、リンクでご紹介した方がブログ誌面はスッキリするとは思うのですが、できれば多くの方に読んで頂きたく、全文をここに転載させて頂きたいと思います。

●出典は、同センター・ホームページの中の「第10回中央アジア日本語弁論大会 原稿集」です。NORIKO学級、リシタン・ジャパン・センターなどについては次回に!

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e0063212_2045554.gif 「白いカラス」 / リシタン・NORIKO学級 ムミノフ・アスロール

 人間は、ひとりひとり、考え方が違います。考え方は、国や地域によっても、いろいろあります。私は、 ウズベク人の考え方について、お話します。
ウズベクには「マハラ」という、日本の町内会のような、組織があります。「マハラ」が親代わりになっ たり、結婚式、お葬式、など、めでたいことや、困ったことなどを、お互いに助けあいます。ひとつのマハラは、三キロ四方ぐらいの広さで、約2,000人ぐらいの人が、住んでいます。
マハラにもルールがありますが、厳しいものではありません。どこかに、お葬式や、「ハシャール」という、町の共同作業があるとき、手伝いに出なかったことを、恥ずかしいと思って、マハラの仕事があるときは、どの家でも必ず、誰かが手伝いに行きます。 私は、マハラはウズベクの、大事な宝物だと思います。
つぎに、ウズベク人の悪いところをお話します。 まず、時間を守らないことです。仕事中にクロスワード・パズルをしたり、仕事と関係のないことを、何時間も話していることもあります。
日本では、会社の仕事を、家族より大事にして、会社のために、残業までして、がんばるそうです。どうして、ウズベクでは、そうしないのでしょうか。
大学では、学生は、ノートを丸めて持っています。それがカッコいいとされているのです。勉強しているふりをしていますが、実際はあまり勉強していません。しっかり勉強している学生は、少ないと思います。私のクラスの半分ぐらいは、そんな学生です。
もうひとつ、ウズベクでわからないことがあります。それは、国内空港の出発待合室のことです。イス のそばに、灰皿があります。たくさんの人が、タバコを吸っています。それでも、壁には「NO SMOKING」 の、看板があるのです。
そのことを、税関の人に、「禁煙なのにタバコをすっています。また、灰皿があるのも、おかしいですよ」 と、言いました。その人は、「私の仕事は荷物の検査です」と、逃げてしまいました。また、「責任者の人と話したい」と、言っても無視されました。
待合室には、タバコを吸わない人や、子供や、女性もたくさんいますから、禁煙は守るべきだと思います。
いろいろと、ウズベクの悪いところをいいました。皆さん、私の言いたいのは、こんなことを、ウズベクの人々は、どうして問題にしないのか、と言うことです。ウズベクでは、こんなことを言う人を、『白い カラス』と呼びます。
カラスは、ふつうは黒いですが、みんなが傍観している時、一人で問題にするような人を、『白いカラス』 と呼びます。社会を変えるきっかけになる、だいじな存在だと思います。
わたしは、そんな『白いカラス』がたくさん増えることが、ウズベクをよくするのだと思います。
それでは、『白いカラス』を増やすには、どうしたらいいのでしょうか。
とりあえず、幼稚園、小学校、中学校、高校でエチケットの教科書を作って指導したり、テレビで知ら せたりするのが、いいと思います。また、親たちへの協力も必要だと思います。
どんどん『白いカラス』が増えれば、いいと思います。まず、私が『白いカラス』になるつもりです。
私の友達は、「お前は、口先だけでなく、何かやるんだな?」と、言いました。
私は、今、お話した空港待合室の、喫煙問題に、チャレンジするつもりです。だいたいの計画は考えて おります。
もし、来年の今頃、空港の待合室に灰皿がなかったら、「彼は、『白いカラス』になったな」と、思って くだされば、嬉しいです。
どうもありがとうございました。

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by orientlibrary | 2007-01-22 21:23 | ウズベキスタンのタイルと陶芸