イスラムアート紀行

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天然釉薬イシクール七変化 魅惑の色の世界

これまですでに何回か、ウズベキスタンの陶芸について書いてきました。千年以上の歴史があり、シルクロードの土の文化を体現するウズベキスタン陶芸。ペルシア系であり、色絵の軟陶が多いのが特徴です。主に、黄色、緑、紫、コバルトを使い、カラフルな抽象画や幾何学模様が描かれます。

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<リシタンの町になにげなくある陶のアート、レンガの色合いとクリアな青のコントラストが鮮烈>

ソ連時代には伝統工芸の伝承がすたれ、また販路もなくなったため打撃を受けたそうですが、現在はアートセンターやギャラリー、ショップなどで、豊富な陶器を見ることができます。また意欲のある陶芸家は海外で展示会をするなど、ウズベキスタン陶芸の紹介に情熱を傾けています。

サマルカンドでもタシケントでも、お店にはたくさんの美しい青の皿や壷がところ狭しと陳列されています。その多くはリシタンのものでしょう。フェルガナ盆地にある陶芸の里・リシタンは千年近い歴史を持ち、陶芸芸術のふるさととも言われています。

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<リシタン陶芸工房での作業光景>

「本物の青い陶器の通(つう)ならば、フェルガナ盆地、リシタンに行くことを切望する」とも言われるリシタン。本物の青、その秘密は天然の釉薬「イシクール」にあります。

砂漠の灌木の灰から作られるイシクールは、ウズベキスタン伝統の釉薬。しかし現在では、工業製品や自家製の鉛の釉薬を使う産地が増えているといいます。こうしたなかでも、リシタンでは今でもイシクールの伝統を守り続けています。

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<砂漠の灌木からイシクールが作られる。現在、灌木自体が減少し、作品も稀少になっている>

陶芸家は、イシクールに錫、コバルト酸化物、銅、鉄を加えます。これらの添加物とイシクールの灰の中の酸化カリウムの組み合わせによって、ウルトラマリン、ターコイズ、白、黒、茶色に変化するのです。

現在イシクールを使いこなせる人は、ウズベキスタンでも数人しかいないとも聞きました。誇りを持って大事に伝承されてきた秘伝の釉薬が、空のようにクリアなリシタンブルーや爽やかなグリーンを生み出しているのです。
by orientlibrary | 2006-11-20 00:51 | ウズベキスタンのタイルと陶芸