イスラムアート紀行

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ウズベキスタン 陶芸の里を巡る旅

やきもののくに日本、、瀬戸、有田、九谷、益子など、日本にはたくさんの歴史ある陶芸の町があり、それぞれに異なる産地の個性を楽しむことができます。また現在も各地に熱心な陶芸家が窯をかまえ、腕を競っています。やきものと料理や花との組み合わせなども、大きな楽しみです。

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(ウルグットの陶芸工房にて。土のある光景)

ウズベキスタンの装飾タイルに惹かれている私、でもウズベキスタンのやきものについては、ほとんどイメージがありませんでした。ところが今年、ウズベキスタンの陶芸家であるAさんと一緒にウズベキスタンの陶芸の町を訪ねるという幸運な機会を得て、ウズベキスタン各地に陶芸の産地があり、それぞれに歴史と特徴があるということを知りました。

古代からウズベキスタンの人びとは、水と大地を聖なるものと考えてきました。日干しレンガや焼成レンガは建造物に使われ、食器や皿も土で作られます。そして各地に、古代からの伝統を受け継ぐ陶芸の流派があるのです。

さかのぼると、8〜9世紀には、マワラーアンナフルに釉薬を施した陶器が出現し広く用いられていました。11〜12世紀になると高度な技術が確立。陶器文化の主要な中心地が各地に形成されました。最大の中心地はサマルカンド。シャシ、フェルガナ、チャガニアなどの陶器も有名でした。

ティムールの時代には、都市建設、建築、芸術、文芸、工芸が勃興します。陶器制作では中国陶磁(染付)の影響を受け、まったく新しいスタイルが形成されました。土着の陶土を素材として、ブハラ、シャフリサブス、ウルゲンチなどで陶器が制作されました。中心はやはりサマルカンド。サマルカンドの碧青釉鉢はティムール朝陶器を代表するものです。

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(ウルグットの工房にて。三彩風で土の味わいがある)

18-19世紀には各地に施釉陶芸の主要な流派が形成されました。その流派とは、、
フェルガナ流派==碧青釉陶。中心地はリシタン、グルムサラエなど。
ブハラ・サマルカンド流派==黄釉陶。キジュドゥヴァン、ウバ、ブハラ、ウルゲンチ、サマルカンド、シャフリサブスなど。
ホラズム流派==碧青釉陶。ヒヴァ、カッタバグ、ハナカ村など。

これらの流派はその伝統を20世紀まで残しましたが、その後秘伝の多くが失われたそうです。(歴史については「中央アジア美術の至宝(陶芸)」『偉大なるシルクロードの遺産』展カタログなどを参考にしました)

けれども、Aさんと訪問したアトリエでは、陶芸家の皆さんが熱心に情熱を傾けて作品を作っていました。陶芸家さんと工房でお話していると、なにか日本にいるようで、遠い国とは思えず、とても親しみを感じました。

写真でご紹介しているのは、「ウルグット」「キジュドゥヴァン」「ヒヴァ」「リシタン」のものです。ウルグットでは1600年頃から陶芸が始まり、今回取材したノモン氏は9代目)。釉薬は手で流しかけします。唐三彩のような深い緑と黄土色で、暖かみと味わいがあります。

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(ギジュドゥバンの陶のテーブル。工房にて)

ギジュドゥバンはブハラの近郊にある町。緑や黄土色の色使いと星や太陽の大胆な文様が特徴です。テーブル、なごみ系でいい感じですよね。ブハラからサマルカンドへの途中にあるため、観光客の休憩スポットにもなっているようです。私設博物館が充実しており、各産地の特徴を確認できるのがうれしい!

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(ヒヴァの皿。タシケントの工芸博物館展示品を撮影)

ヒヴァは、古代から栄えた世界遺産の町。陶芸もホラズム派の中心地として発展してきました。鮮やかな色と幾何学模様が特徴。ヒヴァのタイルとも共通したクリアさとシャープさがありモダンな印象です。

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(リシタンの皿)

当ブログでは何度も登場しているリシタン。フェルガナ盆地の南端にある町です。土や顔料など陶器制作に必要な良質の素材に恵まれ、千年以上前から焼き物が作られてきました。天然釉薬「イシクール」を使った鮮やかな青と、繊細な植物文様の絵付けが特徴です。

ただし、これらの皿は飾り皿としての利用が多く、そこが日本と違うと感じました。食卓では既製品の青い陶器のセットが、家庭でもレストランでも、どこに行っても出てくるので、ちょっと驚いてしまいました。陶器が使われる場所が違うということでしょうか。私はウズベキスタンの陶器、ぜひ使いたいと思いますが、今のところ大事に飾ってますね、やっぱり、、。
by orientlibrary | 2006-11-07 00:07 | ウズベキスタンのタイルと陶芸