イスラムアート紀行

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ユーラシアの空の下 花咲くタイルたち

このところパルメットをはじめとする植物文様について調べていた私にうれしい展覧会。古代オリエント博物館(東京・池袋)で開催が始まったばかりの『シルクロード 華麗なる植物文様の世界』展(11月26日まで)です。

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「シルクロードからジパングへ。葡萄唐草・蓮・牡丹・柘榴、百花繚乱」というコピーにもあるように、エジプトから地中海世界、西アジア、南アジア・東南アジア、東アジアまで、広範囲にわたって花や葉の文様を見比べることができました。

パルメットに関しては「椰子と言われているが諸説ある」という解説がありました。時代や地域のなかで複雑化しているようなので、私もこのへんでパルメットは納得しておきたいと思います。

展覧会の中で気になったのは、もちろんタイルです。ポスター等のキーヴィジュアルも、16世紀オスマン朝(イズニク)の「花唐草タイル」でした。こういう華やかな花模様は白地の絵付けが映えますね。

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そして今回のいちばんのお気に入りは、イルハーン朝の夏の宮殿タフテ・ソレイマーンの「ラスター彩鳳凰文」。鳳凰のコバルトブルー&ターコイズブルーがたまりません。個人的にはラスターの玉虫色よりも好き。鳳凰も伸びやかで勢いがあります。上の植物文様も何の花とはいえないけれど、バランスが良くて落ち着いた帯になっていると思います。

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イランの文様には動物や人物が描かれるものがけっこうあります。「緑釉動物文タイル」は12〜13世紀イランのものというクレジット。宮殿の壁面なのでしょうか。気になります。唐草も動物も躍動感があって動き出しそう。でも実物は色が枯れていて、その味わいが良かったです。

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18世紀のオスマン朝シリア・ダマスカスの「多彩糸杉文タイル」。シリアのタイルでよく見る糸杉とチューリップの組み合わせです。シリアのタイルは、この糸杉以外でも染付のような白地に青の植物文様が多く、オスマン朝イズニクのブルーの花模様と似た印象を受けます。でもどこか可愛らしさがある感じで、中東の匂いがします。

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トルコのイズニクというと、やはりこの赤を連想しますよね。「多彩唐草文タイル」は16世紀後半。イズニク最盛期の唐草です。細かな動きが表現されています。これはモザイクではむつかしい。絵付け、モザイク、それぞれの持ち味ですね。

この他、土族orientlibraryが足を止めて見入っていたのは、イラン・スーサの「彩釉煉瓦」や、ペルセポリスの「石灰岩装飾浮彫」のロゼッタ文様。伸びやかで華があります。

瓦の軒先を飾る軒丸瓦と言われるもの。瓦なので中国と日本のもの。そのせいか蓮華文様と唐草中心でした。日本のものには忍冬もありました。建築の中にもたくさんの植物が咲いています。じつはこの軒丸瓦、モンゴルで面白いものを見たので、いつか写真を載せたいと思っています。また、中国のレンガ「墫(せん)」も展示されていましたが、このあたりもいつか記事にしたいと思っています。タイル(レンガ)界も意外と広いんです!

*写真はすべて展覧会図録より引用させていただきました。
by orientlibrary | 2006-10-01 01:54 | タイルのデザインと技法