イスラムアート紀行

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こんな空間で暮らしたい! 天幕を彩る華麗な布世界

三鷹市にある中近東文化センターで3月から始まっていた「中近東の織物 コプト織りとペルシア錦・絨毯」に、ようやく行ってきました。

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コプト織りはキリスト教化した「コプト」と呼ばれるエジプトの人々が生み出した綴織(つづれおり)を主とする織物。そしてペルシア錦は豪華に金糸や銀糸を織り込んだイランのサファヴィー朝時代の織物です。コプトの素朴な力強いデザインは、単なる文様というよりも、何か象徴的な意味を持つ図像なのではないかという気がします。その「念力」みたいなものは、最近興味を持っている部族絨毯につながるものがあるように思います。

展覧会では、「イラン人と布 その歴史と伝統」(千代延惠正さん)という講演会も聞くことができました。イラン人と布?絨毯ならまだしも、布との関連で独自の特徴が出るんでしょうか?実際、先生もどんな切り口でまとめるか苦労されたようです。(レジメにも「イラン人独特の布の用法の発見=困難」と記してありました・・・)。けれども、布を広義に捉え、天幕や移動の籠などにも視点を広げた内容で、天幕好きの私には興味深いものでした。

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まずイランの天幕を、ミニアチュールや浮彫などから抜き出して形状を整理。天幕に張られた布のデザインや文様も見ていきます。一本の棒に布をかけた原初的なものから、王様やお后のための豪華な天幕、暑さ寒さをしのぐ工夫など、ミニアチュールにはいろいろなタイプの天幕が描かれていることに気づきました。(写真で紹介しているミニアチュールは講演のものとは違いますので、文脈と絵の内容は合致していません)

床の絨毯と天井の布がコーディネートされている絵もありました。華麗で豪華な天井の布、、重さ的に絨毯ではないでしょうから、刺繍?手描きまたはブロックプリントの更紗?

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移動のための布=籠、輿、幌馬車。日差しを避けるための布=傘、日よけ布。信仰の中での布=聖者の覆い布、旗。暮らしの中の布=チャドルや女性の顔を覆う布、食卓布ソフレ(テーブルのようにして使う布)など、、なるほど、イランの布の活用方法が多彩に見えてきました。

興味深いのは、やはり住居としての布です。移動を前提とした暮らしでは、持ち運び容易な織物がさまざまな局面で使われてきたようです。

以前は「テント」というと、キャンプというイメージしかありませんでした。でも、インド・ラジャスターン地方で美しい天幕に出会って以来、移動する人々にとっての住まいとしての天幕に魅せられてきました。本当に美しいテント・リゾートというものがあればいいと思ってきましたが、自分の企画としてはかないませんでした。

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ところはそのインド・ラジャスターン、数年前アマン・リゾートがテントホテル(アマニカス)をオープン。私、贅沢したいと思いません。ブランドものもまったく興味なし。ですがアマンには泊まりたい!とくにテント・リゾートは憧れだっただけに、一生に一回は!

*写真は、(上)コプト織り(展覧会チラシより引用)、(2〜4番目の写真)=美しい天幕が登場するミニアチュールは『MINIATURES ILLUMINATIONS OF NISAMI’S “HAMSAH”』より引用しました(出版社名はロシア語のためわからず、、以前ウズベキスタンで買ったものです)。
by orientlibrary | 2006-06-26 01:27 | 絨緞/天幕/布/衣装