イスラムアート紀行

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お洒落なワーヒーのシニアたち、帽子に織り込まれた風景とは

●杏の季節だしフンザにしようかなあ、と軽い気持ちで始めたフンザの記事。調べるうちに、ワハンから移動してきたとされる「ワーヒー(人)」が興味深くなってきました。フンザの中心地の人たちより、部族度が高いというか、パミール高原の民という感じがするというか、とても惹かれるものがあります。

e0063212_2120187.gif●たとえば、赤に黄色という目立つ色の帽子に白いショールをまとった年配の女性(←)。よく見るとピンクの服も茶色のカーディガンもお洒落です。

●この帽子はどうも当地独特のもののようです。作りや柄をもっと見たいものだと思っていたところ、ラッキーなことに「旅と絨毯とアフガニスタン」さんが「帽子コレクション」という記事で紹介してくださいました。アップで見ると全面に細かく刺繍されていることがわかります。


男性も負けずにお洒落です(↓)。グルミットでゆったりとたむろってる、「ワーヒーLEON軍団」、というより、LEONよりも渋くてかっこいいおじいちゃんたち。


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シャツ、セーターとジャケットの色合わせなどがセンスいいですね〜。そして全員帽子。これは山羊の毛?寒さがきびしいこの地では必需品かもしれません。

e0063212_21215416.gif●そんなわけでフンザの商店街でも、帽子を売る店をいくつも見かけました(←)。 写真の上の方の帽子は古いものかもしれません。新しいものは鮮やかです。注目は右の貝で作られたもの。山の中では高価なのでは?

帽子は、フンザに限らず各部族や民族でいろいろな形や素材、模様のものを見かけます。女性も、イスラム教徒でなくてもスカーフを被っているところがけっこうあります。

●きびしい自然の中で暮らすと、日差しや風や砂嵐をを遮ったり、寒さや多少の雨雪をしのいだり、頭回りのものは必須かもしれません。そしてこのような暮らしの品々にも美を徹底的に追求するのが部族の手作りのもののすてきなところだと思います。


●遊牧民の染織のフィールドワークで有名な松島きよえさんは、こう書いています。「部族意識が高い集団ほど衣服の刺繍も良く織物に専念し、デザインが冴えていた。これは大事なことである」。

●なぜならば「部族社会では勢力を増し権力地を広げるために他の人間に威信を示す必要」があったから。こうして重視されるデザインは「生活環境からモチーフを得ている。織り込まれた風景の描写は特色ある色彩と形を織り出す

●「遊牧民は互いに種族の象徴である織物を織り、権威を示した。自族の織物が他の部族の目に何度もさらされているという経験の積み重ねを経て色彩やデザインが洗練度を増し、それぞれの種族の象徴となっている。小さな家庭用品にも生活用品にどのような細部にも種族のシンボルを織り入れる。織物で種族の違いがわかる」。

●ワーヒーのおばあさんの帽子の模様は、どのような風景から生まれ、何を象徴しているのでしょうか。これからも少しづつ、イスラム圏の人々の美意識を勉強していきたいと思います。
by orientlibrary | 2006-04-23 21:34 | インド/パキスタン