イスラムアート紀行

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タイルのある光景 モンパルナスの家(フランス)

藤田嗣治の全画業を紹介する展覧会が、竹橋の近代美術館で開催されています。どちらかというと、工芸館の「花より工芸」展がメインだったのですが、花もきれいな北の丸公園のふたつの館に行ってきました。藤田展はテレビなどで紹介されたようで、すごい混みようでした。
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●洋画や藤田嗣治についてはほとんど知らないのですが、一生の間に多くの大作を残したエネルギーのある人だったんだなあと感心しました。しかも時期によって作風がかなり違うのです。最も有名なのはパリ時代の「乳白色の肌」と言われる優美な裸婦画ですよね。次の中南米時代のカラフルで大胆な絵も魅力がありました。

●しかし年配の方々には、国策により戦争の絵を描いた人としても記憶にあるようです。従軍画家としても活動し、各地の戦況を描いています。戦後はそのことが批判の対象に。失意のうちに二度目のパリ生活に入り、日本に戻ることはなかったそうです。

●彼の戦争画は暗く重い大作でした。確かに日本兵が凄みをもって描かれています。けれども全体を貫くトーンは悲惨さであり、とても戦意を高揚しているようには私には思えませんでした。ただ彼が習得した西洋画独特の重厚さが、結果的に戦争を美化した側面が、もしかしてあるのかもしれません。

e0063212_2164912.gif●二度目のフランス移住後、主なテーマのひとつとなったのが子どもです。描かれた子どもたちは皆ひたいが広く目が吊り上がり気味で今で言うと奈良美智の感じ。そこで、タイルを発見!

絵タイル「小さな職人たち」は、油彩でハードボードに描かれたもの。子どもが靴屋、額縁屋など大人の職業にいそしんでおり、独特の世界を醸し出しています(←)。

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モンパルナスのカンパーニュ・ブルミエール街にあったフジタの家の壁一面を飾っていたそうです(→)。

●展覧会では、一番上の写真のように、現存するタイルで壁の一部を復元し、その上に当時の住まいと同じように絵をかけて雰囲気を出していました。

●フジタ展でタイルに出会えるとは思っていませんでした。イスラム圏主体の当ブログのタイルのある光景としては少々異色ですが、絵も幻想的で面白いので掲載したいと思います。

*写真3点はすべて同展カタログから引用しました。
by orientlibrary | 2006-04-10 21:16 | タイルのデザインと技法