イスラムアート紀行

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ソルタニエ 土の建築なかの一点の木の美

土の建築の国イラン、メソポタミアからのその建築伝統を継承し、数多くの建造物が作られたのはモンゴル系の王朝イル・ハーン朝(1256〜1336)の時代です。なかでもオルジャイトの治世は、王朝の黄金時代でした。

墓廟「ソルタニエ・ドーム」(1307〜13)は八角形の広壮な建物です。そして現存するイル・ハーン朝のモニュメントの中で最も美しいものと言われています。直径25.5メートルもの大ドームは、「フィレンツエのブルネルスキの偉大な仕事を先取りするもの」と言われるほどです。

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タイルについて言えば、現在、目にすることのできるタイルワークはわずかです。けれども、ファサードのアーチ上部(↑)や内部壁面にしっかりと残るタイルの、コバルトブルーとトルコブルーの「青」の美しさ、シンプルながら自由で力強いデザインは、古雅の香りに満ちてタイルファンを魅了します。(内部のタイルワークは次の機会にご紹介します)

ソルタニエの装飾の素晴らしさは、<装飾的なレンガ積み>と<浮き彫りを施した埋め木>にも見られます。イランで「ハザールバーフ」(千の交織)として知られる装飾的なレンガ積み、なかでも地模様積みは明暗の効果を生み出します。土の建築ならではの美の表現でしょう。

地模様積みには、セルジューク朝時代には漆喰の継ぎ材が用いられるようになりました。そしてさらに、豊かな装飾が好まれたため、これらの漆喰の継ぎ材にも浮き彫りが施されるようになりました。この継ぎ材の装飾化は、その後ますます進化!レンガとレンガの間に浮き彫りを施した埋め木が嵌め込まれるようになります。これがソルタニエの壁面にあるのです。

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現地で見たときも、帰って写真を現像してからも、ずっとこれは漆喰の装飾と思っていました。ところが、以前ご紹介したすごい本『ペルシアの伝統技術』に、なんとこれが「煉瓦と煉瓦の間に嵌め込まれた浮き彫りが施された埋め木」として紹介されていてびっくりしました。

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そして最終的には、豊かな浮き彫りが全面に施された漆喰の壁↑が用いられるようになったそうです。「この技法はソルタニエのオルジャイト廟のドームやヴォールトの建築において頂点に達した」と前述の本にあります。すごいぞ!ソルタニエ!!
by orientlibrary | 2006-03-15 23:21 | 至高の美イランのタイル