イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

15世紀タイル装飾の傑作 タブリーズの「ブルーモスク」

「カラコユンル」、訳して黒羊。イラン北西部からイラクにかけて権力を握ったトルコ系の王朝(1380〜1469年)です。もうひとつアナトリア東部には「アクコユンル(白羊)朝」(1378〜1508年)があって、名前的にはカワイイふたつの王朝ですね。(カラコユンルはその後アクコユンルに滅ぼされます)。そのカラコユンル朝の首都であったタブリーズに、15世紀タイル装飾の傑作「ブルーモスク(マスジド・キャブート)」(1465)があります。

e0063212_23371989.gif


●ブルーモスクは、アゼルバイジャン博物館に隣接した一角にあり、公園では大学生などがくつろいでいました。公園の裏手に回ってモスクの正面へ。そしてファサードのタイルを見た途端、もう息をのみそうでした。優美で高潔なモザイクタイル装飾です。相当な剥離がありますが、それは仕方のないことです。もう550年近くも前の建物なんですから。

●イランも地震の多い土地。「2本のミナレットがあった」と記された17世紀の旅行記があるそうですが、その後の激しい地震で倒壊してしまったと言われています。内部空間では修復が進んでいましたし、英語のパンフレットやペルシア語で書かれた詳細なタイル装飾の解説書もありました。歴史的建造物として保存に力が入っているようです

e0063212_23374459.gif


タイル装飾の特徴は、無釉レンガとタイルの組み合わせや無釉を生かした装飾です。土の味わいを巧みに生かしたデザインに感動します。何度写真を見ても、美しい。アクセント的に混じる黒や黄色が、壁面を引き締め強い印象を与えます。黒が使われている部分は碑文などが書かれており、「慈悲」「憐れみ」などの宗教的な言葉が記されているそうです。

●タイルの専門書籍等でも絶賛しています。「15世紀半ばに西イランとアナトリアの君主となったのは、トルクメン系の黒羊朝の族長であるジャハーン・シャーである。彼のために建てられたこの建築的傑作の壁に施されたファイアンスモザイクは、その芸術性において頂点に達した」。

●「完璧なまでのターコイズブルーやウルトラマリンブルーと白檀のような色合いとの濃淡は、タイル装飾の至高である。タブリーズのブルーモスクは、今では屋根もないうえに損傷もはげしい。しかし今なおペルシア世界の究極であり続けている。華麗な装飾は、タブリーズのトルクメン系君主の唯美的な傾向を映し出しており、同時代のヘラートで流行した抑制的で知的な伝統主義とは相当に異なるものである。」(以上『COLOUR AND SYMBOLIZM IN ISLAMIC ARCHITECTURE 〜 EIGHT CENTURIES OF THE TILE—MAKER‘S ART』より)

絨毯の分野でも突き抜けた美への感性を発現するトルクメン、タイルではこのタブリーズ「ブルーモスク」において、至高の美を表したように思われます。(まだ資料を読み込んでいないので、不足や間違いがあるかも・・。わかり次第修正等していきます)
by orientlibrary | 2006-01-31 23:49 | 至高の美イランのタイル